(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082371
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】熱融着ボード製造装置、及び、混合装置
(51)【国際特許分類】
D04H 1/732 20120101AFI20240613BHJP
D04H 1/54 20120101ALI20240613BHJP
D04H 1/542 20120101ALI20240613BHJP
B27N 3/04 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
D04H1/732
D04H1/54
D04H1/542
B27N3/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196171
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】山上 利昭
(72)【発明者】
【氏名】小島 英揮
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 彰雄
【テーマコード(参考)】
2B260
4L047
【Fターム(参考)】
2B260AA12
2B260BA15
2B260BA19
2B260CB01
2B260CD03
2B260CD04
2B260CD23
2B260DA07
2B260DA17
2B260EA05
2B260EB02
2B260EB13
2B260EB21
4L047AA07
4L047AA12
4L047AA13
4L047AA19
4L047AB02
4L047BA09
(57)【要約】
【課題】強度が強い熱融着ボードを得られないおそれがある。
【解決手段】熱融着ボード製造装置は、布を含む原料を解繊し、繊維材料を作成する解繊部と、繊維材料を輸送する材料供給管部と、繊維材料を加湿可能な加湿部と、繊維材料とは異なる材料を、繊維材料に混入して輸送する輸送管部と、輸送管部の一部において、材料、及び、繊維材料を混合して堆積繊維材料を作成する混合部と、堆積繊維材料を堆積させ、繊維集合体を成形する堆積部と、繊維集合体を加熱加圧して、熱融着ボードを成形する熱融着部と、加湿部を制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布を含む原料を解繊し、繊維材料を作成する解繊部と、
前記繊維材料を輸送する材料供給管部と、
前記繊維材料を加湿可能な加湿部と、
前記繊維材料とは異なる材料を、前記繊維材料に混入して輸送する輸送管部と、
前記輸送管部の一部において、前記材料、及び、前記繊維材料を混合して堆積繊維材料を作成する混合部と、
前記堆積繊維材料を堆積させ、繊維集合体を成形する堆積部と、
前記繊維集合体を加熱加圧して、熱融着ボードを成形する熱融着部と、
前記加湿部を制御する制御部と、を備える熱融着ボード製造装置。
【請求項2】
前記繊維材料に混入する前記材料は、熱溶融性を有する繊維形状の樹脂材料であり、前記樹脂材料の長尺方向の平均繊維長は1mm以上、20mm以下である、請求項1に記載の熱融着ボード製造装置。
【請求項3】
前記混合部はダクト部を備え、前記ダクト部は導入口部を有しており、前記導入口部の径が前記平均繊維長より大きい、請求項2に記載の熱融着ボード製造装置。
【請求項4】
前記ダクト部は排出口部を有しており、前記排出口部の径が前記平均繊維長より大きい、請求項3に記載の熱融着ボード製造装置。
【請求項5】
前記混合部はダクト部を備え、前記ダクト部は導入口部、及び、排出口部を有しており、
前記導入口部、及び、前記排出口部の成す角度は、85°以上、95°以下である、請求項1に記載の熱融着ボード製造装置。
【請求項6】
前記混合部はダクト部を備え、前記ダクト部内において湿度を検出するセンサーを有しており、
前記制御部は、前記センサーが検出した前記湿度に基づき、前記加湿部を制御する、請求項1に記載の熱融着ボード製造装置。
【請求項7】
前記加湿部は、前記混合部に対し、前記繊維材料を輸送する方向の上流に位置する、請求項1に記載の熱融着ボード製造装置。
【請求項8】
布を含む原料を解繊した繊維材料に、熱溶融性を有する繊維形状の樹脂材料を混入して輸送する輸送管部と、
前記輸送管部の一部において、前記樹脂材料、及び、前記繊維材料を混合して堆積繊維材料を作成する混合部と、を備え、
前記混合部は、
回転可能な円盤に複数のリブ状の羽根を有する羽根部と、
前記輸送管部を前記羽根部に向けて接続するダクト部と、を有し、
前記羽根部において、隣り合う前記羽根の間隔は、前記繊維材料、及び、前記樹脂材料の長尺方向の平均繊維長より大きい、混合装置。
【請求項9】
前記樹脂材料の長尺方向の平均繊維長は1mm以上、20mm以下である、請求項8に記載の混合装置。
【請求項10】
前記ダクト部は、前記輸送管部に接続する導入口部を有しており、前記導入口部の径が前記平均繊維長より大きい、請求項9に記載の混合装置。
【請求項11】
前記ダクト部は、前記輸送管部に接続する排出口部を有しており、前記排出口部の径が前記平均繊維長より大きい、請求項9に記載の混合装置。
【請求項12】
前記ダクト部は、前記輸送管部に接続する導入口部、及び、排出口部を有しており、
前記導入口部、及び、前記排出口部の成す角度は、85°以上、95°以下である、請求項8に記載の混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱融着ボード製造装置、及び、混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、ニードルパンチ機を用いて繊維と樹脂とを混合し、熱融着ボードを製造する装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の装置では、特に短繊維では繊維と樹脂とを十分に混合できないおそれがあり、強度が強い熱融着ボードを得られないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
熱融着ボード製造装置は、布を含む原料を解繊し、繊維材料を作成する解繊部と、前記繊維材料を輸送する材料供給管部と、前記繊維材料を加湿可能な加湿部と、前記繊維材料とは異なる材料を、前記繊維材料に混入して輸送する輸送管部と、前記輸送管部の一部において、前記材料、及び、前記繊維材料を混合して堆積繊維材料を作成する混合部と、前記堆積繊維材料を堆積させ、繊維集合体を成形する堆積部と、前記繊維集合体を加熱加圧して、熱融着ボードを成形する熱融着部と、前記加湿部を制御する制御部と、を備える。
【0006】
混合装置は、布を含む原料を解繊した繊維材料に、熱溶融性を有する繊維形状の樹脂材料を混入して輸送する輸送管部と、前記輸送管部の一部において、前記樹脂材料、及び、前記繊維材料を混合して堆積繊維材料を作成する混合部と、を備え、前記混合部は、回転可能な円盤に複数のリブ状の羽根を有する羽根部と、前記輸送管部を前記羽根部に向けて接続するダクト部と、を有し、前記羽根部において、隣り合う前記羽根の間隔は、前記繊維材料、及び、前記樹脂材料の長尺方向の平均繊維長より大きい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】熱融着ボード製造装置、及び、混合装置の構成を示す模式図。
【
図2】積層される表面シート、及び、第2繊維集合体を示す断面図。
【
図5】混合部を、回転軸の延設方向から見たときの断面図。
【
図6】混合部を、回転軸の延設方向に対する垂直方向から見たときの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.熱融着ボード製造装置の構成
実施形態に係る熱融着ボード製造装置1について、
図1~
図3を参照して説明する。なお、
図1~
図3における方向を、三次元座標系を用いて説明する。説明の便宜上、Z軸の正方向を上方向、上方、又は単に上と称し、負方向を下方向、下方、又は単に下と称し、Y軸の正方向を右方向、右方、又は単に右と称し、負方向を左方向、左方、又は単に左と称し、X軸の正方向を前方向、前方、又は単に前と称し、負方向を後方向、後方、又は単に後と称して説明する。
なお、以下では、熱融着ボード製造装置1を、単に製造装置1と称することとする。
【0009】
図1に示すように、製造装置1は、原料OPから熱融着ボードS4を成形していく順に配置される、原料供給部5、粗砕部10、解繊部30、加湿部190、第1樹脂成分ホッパー13、混合部300、堆積部100、形状維持シート供給ローラー81、形状維持シート搬送部120、バッファー部140、第1熱融着部150、第1冷却部180、第1切断部160、積層部130、搬送部133、第2熱融着部153、第2冷却部181、第2切断部161を含んで構成される。
なお、以下では、この順に従って、上位にある位置及び方向を上流と称し、下位にある位置及び方向を下流と称する。
【0010】
さらに、製造装置1は制御部200を備える。制御部200は、製造装置1の各部を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)、入出力を管理するUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)、論理回路であるFPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device)、記憶部などを含んで構成されている。CPUはプロセッサーともいう。
記憶部は、書き換え可能な不揮発性メモリーであるフラッシュROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)、揮発性メモリーであるRAM(Random Access Memory)などを含んで構成されている。
制御部200のCPUは、記憶部の不揮発性メモリーに記憶されたファームウェアなどのプログラムを読み出し、記憶部の揮発性メモリーを作業領域として用いて、各種の処理を実行する。
【0011】
図1に示すように、原料供給部5は、粗砕部10に原料OPを供給する。この原料OPは、使用済み又は不要となった布を含むものであり、例えば、少なくとも以下の繊維のいずれかを含む。すなわち、繊維は、綿、麻等の植物繊維、絹、羊毛、アルパカ、アンゴラ、カシミヤ、モヘア等の動物繊維、レーヨン、キュプラ、ポリノジック等の再生繊維、アセテート、トリアセテート、プロミックス等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等の合成繊維などである。
また、繊維は、例えば、パルプや古紙、木材や竹などを細かくしたものなどを含んでいてもよい。
【0012】
原料供給部5により、原料OPが粗砕部10へ供給される。粗砕部10は、原料供給部5から供給された原料OPを粗砕する。粗砕部10は、例えば布裁断機で構成される。
粗砕部10は一対の粗砕刃11を有する。一対の表面にある粗砕刃11は、相対的に反対方向に移動することにより、これらの間で原料OPを粗砕して粗砕片にすることができる。なお、一対の粗砕刃11のうち、一方が固定されていてもよい。粗砕部10により粗砕された粗砕片の形状や大きさは、次の解繊部30における解繊に適するように、例えば、1辺の長さが100mm以下の小片であるのが好ましく、70mm以下の小片であるのがより好ましい。なお、粗砕部10が布裁断機の場合、粗砕片として、裁断された裁断片が形成される。
【0013】
定量供給機50は、粗砕片を一定量ずつ解繊部30へ供給可能である。具体的には、定量供給機50は、一定量の粗砕片を粗砕片ホッパー12へ投入し、粗砕片導入管20を経て解繊部30へ供給する。
定量供給機50は、例えば、振動フィーダーにより粗砕片を連続的に供給するように構成してもよく、フレキシブルコンテナバッグに粗砕片を一定量貯めてから供給するように構成してもよい。
【0014】
粗砕片導入管20は解繊部30の供給口31に連通している。解繊部30は、回転刃を有して回転するローター34、固定刃を有するステーター33を有する。供給口31から解繊部30へ供給された粗砕片は、回転するローター34の回転刃、及び、ステーター33の固定刃の間で解繊され、繊維材料である解繊繊維DFが作成される。
ここで、「解繊する」とは、複数の繊維が集合されてなる解繊対象物、すなわち粗砕片を、糸1本1本に、さらには繊維1本1本に、又は数本単位に、綿状に解きほぐすことをいう。そして、この解きほぐされたものが解繊繊維DFである。
【0015】
なお、解繊部30が作成する解繊繊維DFの長尺方向の平均繊維長の範囲は、例えば、1mm以上、20mm以下が好ましい。解繊繊維DFが、混合部300で混合し易くなる。解繊繊維DFの形状は、必ずしもすべてが綿状でなくてもよく、糸状や帯状のものが混ざっていてもよい。また、解繊繊維DF同士は、絡み合って塊状となった状態でもよく、いわゆるダマを含んでいてもよい。
【0016】
解繊された解繊繊維DFは、回転するローター34が発生する気流により、解繊部30の外周へと移動していき、放出口32から放出される。さらに、解繊繊維DFは、この気流に乗って放出口32から材料供給管部40へと排出される。なお、解繊部30は、別途、気流発生機構を備えて、積極的に気流を発生させ、解繊繊維DFを移動させるようにしてもよい。
【0017】
解繊部30の下流に位置する加湿部190は、材料供給管部40へ排出された解繊繊維DFに対して加湿可能である。加湿部190は、例えば、水分を含むフィルター(不図示)を有し、フィルターに空気を通過させることにより、湿度を高めた加湿空気を解繊繊維DFに供給する温風気化式の加湿器を含んで構成される。
なお、加湿部190は、温風気化式でなくてもよく、例えば、超音波方式、スチーム式、気化式、温風気化式などでもよい。
加湿空気が解繊繊維DFに供給されることにより、後述の混合部300内で、解繊繊維DFが静電気によって付着することを抑制できる。
【0018】
なお、混合部300が備えるダクト部310内には湿度を検出するセンサー(不図示)が備えられている。また、加湿部190は、混合部300に対し、解繊繊維DFを輸送する方向の上流に位置する。
制御部200は、下流に位置する混合部300のセンサーが検出する湿度に基づき、上流に位置する加湿部190を制御して、ダクト部310内が所定の湿度になるように、材料供給管部40の解繊繊維DFを加湿する。
具体的には、制御部200は、乾燥により解繊繊維DFが静電気を帯びることを抑制するため、湿度が20%RHを超える範囲となるように、加湿部190を制御することが好ましい。また、制御部200は、過度の加湿により解繊繊維DFが絡むことを抑制するため、50%RH未満の範囲となるように、加湿部190を制御することが好ましい。これらの範囲であれば、解繊繊維DFが混合部300で混合し易くなる。
【0019】
加湿部190により所定の湿度にされた解繊繊維DFは、材料供給管部40により、矢印で示す輸送方向へ向かって輸送される。
材料供給管部40は輸送管部60に連通する。解繊繊維DFは、輸送管部60を通過する際、第1樹脂成分搬送管61から第1樹脂成分N1が混入される。第1樹脂成分N1は、繊維材料とは異なる材料であって、熱溶融性を有する繊維形状の樹脂材料である。なお、熱溶融性を熱可塑性ともいう。
第1樹脂成分N1の長尺方向の平均繊維長の範囲は、例えば、1mm以上、20mm以下が好ましい。第1樹脂成分N1が混合部300で混合し易くなる。なお、第1樹脂成分N1の長尺方向の平均繊維長の範囲は、解繊繊維DFと同等であることが好ましい。
【0020】
第1樹脂成分N1は、いわゆる熱溶融性を有する樹脂材料を含む、溶融材料である。第1樹脂成分N1は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの各種ポリオレフィン、PET(Polyethylene terephthalate)等のポリエステル、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、EVA(Ethylen-Vinyl Acetate)、PLA(Poly Lactic Acid)等の熱可塑性樹脂、各種熱可塑性エラストマー等の少なくともいずれかを含む。また、第1繊維DF中に同様の成分がある場合は、代用することができる。
なお、第1樹脂成分N1は、20wt%(重量パーセント)以上、50wt%以下であることが好ましい。第1樹脂成分N1が、混合部300で混合し易くなる。
【0021】
第1樹脂成分N1は、200℃以下で溶融又は軟化するものが好ましい。200℃を越えると、混合解繊繊維DF1に含まれる解繊繊維DFが焦げたり、燃えたりするなど、劣化するおそれがあるからである。一方、製造装置1が消費するエネルギーを抑制するためには、第1樹脂成分N1は、種類が限定されるが、160℃以下で溶融又は軟化するものが好ましい。解繊繊維DFを劣化させず、第1樹脂成分N1の種類をできるだけ限定させないためには、第1樹脂成分N1は、160℃以上、200℃以下の範囲内で溶融又は軟化するものが好ましい。
【0022】
第1樹脂成分N1は、第1樹脂成分ホッパー13に投入される。第1樹脂成分N1は、第1樹脂成分ホッパー13から第1樹脂成分搬送管61を経て、輸送管部60へ供給される。
このとき、第1樹脂成分N1は、調整バルブ65によって、輸送管部60へ供給される量が調整される。また、第1樹脂成分搬送管61の管径は輸送管部60の管径より小さくすることが好ましい。第1樹脂成分N1が輸送管部60へ供給される際、解繊繊維DF中に分散し易くなるからである。
輸送管部60は、第1樹脂成分N1が解繊繊維DFに混入された状態で、混合部300へ輸送する。なお、以下では、混合部300で混合される前の状態である、第1樹脂成分N1が混入された解繊繊維DFを、混合前解繊繊維DF0(不図示)と称する。
【0023】
混合部300は、導入口部301、及び、排出口部302を有する。導入口部301、及び、排出口部302は、それぞれ輸送管部60に連通する。
混合前解繊繊維DF0は、輸送管部60から導入口部301へ導入され、混合部300内で撹拌されることにより混合され、堆積繊維材料である混合解繊繊維DF1として作成される。作成された混合解繊繊維DF1は、排出口部302から排出され、輸送管部60へ戻される。
すなわち、混合部300は、導入口部301を介して輸送管部60から混合前解繊繊維DF0を導入し、混合して混合解繊繊維DF1とし、排出口部302を介して輸送管部60へ戻す。
【0024】
このように、混合部300は、導入口部301及び排出口部302を介して、輸送管部60の途中の位置に構成される。すなわち、混合部300は、輸送管部60の一部において、混合前解繊繊維DF0に含まれる第1樹脂成分、及び、解繊繊維DFを混合し、混合解繊繊維DF1を作成することができる。
混合部300により、第1樹脂成分及び解繊繊維DFが十分に混合される。この結果、製造される熱融着ボードS4内でのムラの発生を抑制することができ、熱融着ボードS4の強度を強くすることができる。なお、混合部300の詳細の構成については、後述する。
【0025】
混合部300で作成された混合解繊繊維DF1は、輸送管部60により、矢印で示す輸送方向へ向かって輸送され、堆積部100へ供給される。
堆積部100は、混合解繊繊維DF1を堆積させ、繊維集合体である第1繊維集合体S1を成形する。
【0026】
堆積部100は、混合解繊繊維DF1を空気中で分散させる分散機構と堆積機構である、回転可能なフォーミングドラム101を含んで構成される。
回転するフォーミングドラム101内に、混合解繊繊維DF1、及び、空気が供給され、撹拌される。フォーミングドラム101の表面には小孔スクリーンが設けられており、混合解繊繊維DF1が所定量ずつ空気とともに吐出されるようになっている。小孔スクリーンの径は、混合解繊繊維DF1のサイズにも関係し、円形でもよいが、5mm×25mm程度の長孔が生産性と均一性とを両立でき、好ましいサイズとなる。
フォーミングドラム101は、さらに混合解繊繊維DF1を混合しながら、より均一化しつつ、表面の小孔スクリーンから通過させる。フォーミングドラム101の小孔スクリーンを通過した混合解繊繊維DF1は、空気中に分散しながら、後述のメッシュベルト122上の形状維持シートRへ向かって落下し、空気と分離されながら堆積していく。
【0027】
製造装置1の後方に位置する形状維持シート供給ローラー81からは、長尺状の形状維持シートRが堆積部100に供給される。形状維持シートRは、堆積部100で成形される繊維状ウエブである第1繊維集合体S1の底面を構成する土台部分となる。
形状維持シートRは、第1繊維集合体S1を支持して形状を維持させることができるシートであり、例えば不織布である。なお、形状維持シートRは、通気性があるシートであれば、織布や紙であってもよい。
【0028】
フォーミングドラム101の下方には、形状維持シートRを前方へ搬送する形状維持シート搬送部120が配置される。形状維持シート搬送部120は、複数の張架ローラー121にメッシュベルト122が張架されて構成される。メッシュベルト122は、メッシュが形成されている無端状のベルトである。張架ローラー121が時計回りに回転することに伴い、メッシュベルト122も時計回りに周回する。
なお、メッシュベルト122は、金属製でも、樹脂製でもよい。メッシュの穴径は60μm~125μm程度が好ましい。
堆積部100のフォーミングドラム101から分散しながら落下する混合解繊繊維DF1は、メッシュベルト122により搬送されている形状維持シートR上に堆積する。なお、フォーミングドラム101の下に整流板(不図示)を設置することにより、落下する混合解繊繊維DF1の左右方向である幅方向の範囲を調整することができる。
【0029】
堆積部100は、下方へ向かって気流を発生可能なサクション装置110を含んで構成される。サクション装置110は、形状維持シートRを載置するメッシュベルト122の下方に位置する。サクション装置110は、分離された空気を吸引しその気流でメッシュベルト122を介して、形状維持シートRに混合解繊繊維DF1をウエブ状に吸着させることができる。
【0030】
なお、サクション装置110により吸引する気体量である気体容量を、落下する混合解繊繊維DF1を含む気体量である気体容量より大きくすることにより、製造装置1外への混合解繊繊維DF1の吹き出しを抑制することができる。
サクション装置110が吸引する気体には、形状維持シートR及びメッシュベルト122を通過した原料中の微粉が混じっているので、排気側にサイクロンやフィルター集塵機を設置して、微粉を分離し除去することが好ましい。
また、メッシュベルト122は、移動しながら、クリーニングブレード123によって擦られて、表面の汚れ等が除去される。
【0031】
堆積部100により、シート状の第1繊維集合体S1が成形される。第1繊維集合体S1は、形状維持シートR上に混合解繊繊維DF1を所定の厚さに堆積した繊維状ウエブである。
なお、堆積部100による混合解繊繊維DF1の堆積量、メッシュベルト122の搬送速度、及び、下流に位置する第1熱融着部150による加熱加圧の条件に基づき、後述の第2繊維集合体S2の密度が決定される。例えば、10mm厚の密度0.1g/cm3~0.15g/cm3程度の第2繊維集合体S2を得るときには、堆積部100は、約40mm~60mm程度、混合解繊繊維DF1を堆積させることが好ましい。
【0032】
第1繊維集合体S1は、バッファー部140を経て、第1熱融着部150へ搬送される。
バッファー部140は、上下に移動可能な架橋ローラーである、いわゆるダンサーローラーを有している。バッファー部140は、ダンサーローラーを上下させることにより、第1熱融着部150へ搬送する第1繊維集合体S1の搬送量を調整することができる。
【0033】
第1熱融着部150は、上方に第1加熱加圧部151、下方に第2加熱加圧部152を備える。
第1加熱加圧部151、及び、第2加熱加圧部152は、少なくともいずれかが昇降可能に構成され、それらの間に第1繊維集合体S1を挟んで加圧、及び、離反して開放することができる。
【0034】
制御部200の制御の下、第1熱融着部150は、第1繊維集合体S1を、第1加熱加圧部151、及び、第2加熱加圧部152で挟み、所定の条件で加熱加圧し、第1樹脂成分N1を融着させ、第2繊維集合体S2を成形することができる。
その後、開放された状態のとき、成形された第2繊維集合体S2が取り出され、次に成形される第1繊維集合体S1が、第1加熱加圧部151、及び、第2加熱加圧部152の間に搬送される。
【0035】
なお、第1加熱加圧部151、及び、第2加熱加圧部152は、0.01MPa~30MPaの圧力で、第1繊維集合体S1を加圧する条件とすることが好ましい。
第1加熱加圧部151、及び、第2加熱加圧部152は、それぞれヒーターを有する。第1繊維集合体S1を加圧しているとき、第1加熱加圧部151、及び、第2加熱加圧部152は、各ヒーターにより、第1繊維集合体S1を加熱することができる。
【0036】
第1加熱加圧部151、及び、第2加熱加圧部152の各ヒーターにより、第1繊維集合体S1を加熱する温度は、上述のように、解繊繊維DFの劣化を抑制するために200℃以下が好ましい。一方、製造装置1が消費するエネルギーを抑制するためには、第1樹脂成分N1の種類が限定されるが、加熱する温度は160℃以下が好ましい。解繊繊維DFを劣化させず、製造装置1が消費するエネルギーを抑制し、第1樹脂成分N1の種類をできるだけ限定させないためには、加熱する温度は、160℃以上、200℃以下の範囲とする条件が好ましい。
【0037】
第1繊維集合体S1には、第1樹脂成分N1が分散して含まれている。第1加熱加圧部151、及び、第2加熱加圧部152の各ヒーターは、第1樹脂成分N1が溶融又は軟化する温度以上で、加圧された第1繊維集合体S1を加熱加圧する。溶融又は軟化した第1樹脂成分N1は、第1繊維集合体S1内の解繊繊維DFの間に滲み出し、第1繊維集合体S1を融着する。
【0038】
第1熱融着部150は、第1繊維集合体S1を加圧しつつ、加熱するので、第1樹脂成分N1が溶融又は軟化しても、第1繊維集合体S1の変形を抑制することができ、又は、再成形することができる。
第1熱融着部150により加熱加圧された第1繊維集合体S1を、第2繊維集合体S2と称する。なお、第1熱融着部150は、第1繊維集合体S1を同時に加熱及び加圧しなくてもよく、加熱後、加圧してもよい。
【0039】
バッファー部140は、第1熱融着部150が第1繊維集合体S1を加熱加圧する際、第1繊維集合体S1の搬送を停止するように調整する。
加熱加圧された後、第1加熱加圧部151、及び、第2加熱加圧部152から開放された第2繊維集合体S2は、バッファー部140により、第1冷却部180へ搬送される。
【0040】
第1冷却部180は、下方へ向いた気流発生装置を有し、第2繊維集合体S2へ向かって室温の外気もしくは冷却された気流を発生可能である。第1冷却部180は、加熱加圧された第2繊維集合体S2に気流を当てて冷却する、いわゆる強制冷却することが可能である。第1冷却部180は、第1樹脂成分N1が溶融又は軟化する温度より低くなるように、第2繊維集合体S2を冷却する。
【0041】
第1冷却部180により冷却されるとき、第2繊維集合体S2内の解繊繊維DFの繊維の間に入り込んだ第1樹脂成分N1が硬化する。第1樹脂成分N1が硬化するとき、第2繊維集合体S2内の解繊繊維DFと共に一体化して強固に硬化することができる。
なお、製造装置1は、第1冷却部180を備えず、加熱加圧された第2繊維集合体S2を、外気中に放置するいわゆる自然冷却するようにしてもよい。
【0042】
第1冷却部180により冷却され、硬化された第2繊維集合体S2は、第1切断部160により、所定の大きさに切断される。第1切断部160は、後述の表面シートHの大きさに合わせて、第2繊維集合体S2を切断することが好ましい。
第1切断部160は、例えば、超音波カッターである。第1切断部160は、固定刃及び移動刃で構成されるカッターでもよい。また、第1切断部160は、例えば、ロータリーカッターでもよい。
第1切断部160により切断されたカットシート状の第2繊維集合体S2は、積層部130が備える第2繊維集合体用トレイ(不図示)に載置される。
【0043】
なお、第1切断部160により切断されたカットシート状の第2繊維集合体S2を、熱融着ボードとしてもよい。この場合、製造装置1は、上述における、原料供給部5、粗砕部10、解繊部30、加湿部190、第1樹脂成分ホッパー13、混合部300、堆積部100、形状維持シート供給ローラー81、形状維持シート搬送部120、バッファー部140、第1熱融着部150、第1冷却部180、第1切断部160を含む構成となる。
混合部300により、第1樹脂成分及び解繊繊維DFが十分に混合される。この結果、製造される第2繊維集合体S2の表裏の成分の差や第2繊維集合体S2内でのムラの発生を抑制することができ、第2繊維集合体S2の強度を強くすることができる。
【0044】
また、剥離バー及び巻取部を有する剥離部(不図示)を備え、第1樹脂成分N1が硬化する前に、剥離バーにより第2繊維集合体S2から形状維持シートRを剥離し、巻取部で巻き取るようにしてもよい。第2繊維集合体S2に含まれる形状維持シートRが不要の場合には、剥離部により、形状維持シートRを除去することができる。
【0045】
次に、積層部130は、第2カットシートフィーダー132を備える。第2カットシートフィーダー132は、切断されたカットシート状の第2繊維集合体S2を、第2繊維集合体用トレイから、1枚ずつ、搬送部133へ送り出すことができる。
また、積層部130は、第1カットシートフィーダー131を備える。さらに、積層部130は、熱溶融性を有する第2樹脂成分N2を含むカットシート状の表面シートHを載置する表面シートH用トレイ(不図示)を備える。第1カットシートフィーダー131は、表面シートH用トレイから、カットシート状の表面シートHを、1枚ずつ、搬送部133へ送り出すことができる。
第2カットシートフィーダー132、及び、第1カットシートフィーダー131は、例えば、ゴムローラーなどによるフリクションフィード方式により、第2繊維集合体S2及び表面シートHを、1枚ずつ、送り出すことができる。
【0046】
なお、表面シートHを構成する基材となる材料は、PLA、PET、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの化学繊維や、綿や麻などの植物繊維である。
また、表面シートHに含まれる第2樹脂成分N2は、熱溶融性を有する樹脂を含むものである。第2樹脂成分N2は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの各種ポリオレフィン、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、EVA、PLA等の熱可塑性樹脂、各種熱可塑性エラストマー等の少なくともいずれかを含む。第2樹脂成分N2は、例えば、上述の第1樹脂成分N1と同様のものであってもよい。
【0047】
第2樹脂成分N2は、200℃以下で溶融又は軟化するものが好ましい。200℃を越えると、第2繊維集合体S2に含まれる解繊繊維DFが焦げたり、燃えたりするなど、劣化するおそれがあるからである。一方、製造装置1が消費するエネルギーを抑制するためには、第2樹脂成分N2は、種類が限定されるが、160℃以下で溶融又は軟化するものが好ましい。解繊繊維DFを劣化させず、第2樹脂成分N2の種類をできるだけ限定させないためには、第2樹脂成分N2は、160℃以上、200℃以下の範囲内で溶融又は軟化するものが好ましい。
第2樹脂成分N2の溶融又は軟化する温度の条件は、例えば、上述の第1樹脂成分N1の場合と同様であってもよい。
【0048】
積層部130の第1カットシートフィーダー131は、第2カットシートフィーダー132の上方に位置している。制御部200の制御の下、第1カットシートフィーダー131から送り出された表面シートHは、第2カットシートフィーダー132から送り出された第2繊維集合体S2に対し、位置を合わせて上方に積層される。表面シートHが積層された第2繊維集合体S2を、表面シート付き繊維集合体S3と称する。
図2に示すように、第2樹脂成分N2を含む表面シートHは、硬化された第1樹脂成分N1を内部に含む第2繊維集合体S2の上に積層され、表面シート付き繊維集合体S3を成形する。
【0049】
なお、上述の例では、積層部130は、表面シートHを第2繊維集合体S2の一方の面である上面に積層させた。積層部130は、さらに、表面シートHを第2繊維集合体S2の他方の面である下面にも積層させるように、表面シートH用のトレイ及びカットシートフィーダーを別途備えて構成してもよい。
【0050】
搬送部133は、複数の張架ローラー134にベルト135が張架されて構成される。ベルト135は無端状のベルトである。張架ローラー134が時計回りに回転することに伴い、ベルト135も時計回りに周回する。
搬送部133は、ベルト135上に載置された表面シート付き繊維集合体S3を、第2熱融着部153へ搬送する。
【0051】
第2熱融着部153は、上方に第3加熱加圧部154、下方に第4加熱加圧部155を備える。なお、第2熱融着部153は、例えば第1熱融着部150と同様の構成であってもよい。
第3加熱加圧部154、及び、第4加熱加圧部155は、少なくともいずれかが昇降可能に構成され、それらの間に表面シート付き繊維集合体S3を挟んで加圧、又は、離反して開放することができる。
【0052】
制御部200の制御の下、第2熱融着部153は、表面シートHが第2繊維集合体S2に積層された表面シート付き繊維集合体S3を、第3加熱加圧部154、及び、第4加熱加圧部155で挟み、所定の条件で加熱加圧し、第2樹脂成分N2を融着させ、熱融着ボードS4を成形することができる。このとき、第2熱融着部153は、第2繊維集合体S2に含まれる第1樹脂成分N1を、再度融着させることもできる。
その後、開放された状態のとき、熱融着ボードである成形された熱融着ボードS4が取り出され、次に成形される表面シート付き繊維集合体S3が、第3加熱加圧部154、及び、第4加熱加圧部155の間に搬送される。
【0053】
なお、第2熱融着部153の第3加熱加圧部154、及び、第4加熱加圧部155は、0.01MPa~30MPaの圧力で、表面シート付き繊維集合体S3を加圧する条件とすることが好ましい。
第3加熱加圧部154、及び、第4加熱加圧部155は、それぞれヒーターを有する。表面シート付き繊維集合体S3を加圧しているとき、第3加熱加圧部154、及び、第4加熱加圧部155は、各ヒーターにより、表面シート付き繊維集合体S3を加熱することができる。
【0054】
第3加熱加圧部154、及び、第4加熱加圧部155の各ヒーターにより、表面シート付き繊維集合体S3を加熱する温度は、上述のように、解繊繊維DFの劣化を抑制するために200℃以下が好ましい。一方、製造装置1が消費するエネルギーを抑制するためには、表面シートHに含まれる第2樹脂成分N2の種類が限定されるが、加熱する温度は160℃以下が好ましい。解繊繊維DFを劣化させず、製造装置1が消費するエネルギーを抑制し、第2樹脂成分N2の種類をできるだけ限定させないためには、加熱する温度は、160℃以上、200℃以下の範囲とする条件が好ましい。
第2熱融着部153の加熱加圧における加熱温度は、第1樹脂成分N1、及び、第2樹脂成分N2がともに溶融又は軟化する温度とすることもできる。
【0055】
表面シート付き繊維集合体S3には、積層された表面シートH内に第2樹脂成分N2が含まれている。第3加熱加圧部154、及び、第4加熱加圧部155の各ヒーターは、第2樹脂成分N2が溶融又は軟化する温度以上で、加圧された表面シート付き繊維集合体S3を加熱する。表面シート付き繊維集合体S3内において、溶融又は軟化した第1樹脂成分N1は、表面シートHの第2樹脂成分N2と一体化し、融着する。
このように、第2熱融着部153は、積層された表面シートH、及び、第2繊維集合体S2を含む表面シート付き繊維集合体S3を融着させる。
【0056】
また、このとき、第2熱融着部153が、第2樹脂成分N2に加え、積層された第2繊維集合体S2に含まれる第1樹脂成分N1も溶融又は軟化する温度以上で加熱した場合、再度、溶融又は軟化した第1樹脂成分N1は、第2繊維集合体S2内の解繊繊維DFの間に滲み出し、融着することができる。このように、第2熱融着部153は、第2樹脂成分N2に加え、積層された第2繊維集合体S2の内部の第1樹脂成分N1も含めて、表面シート付き繊維集合体S3をより強固に融着させることができる。
第2熱融着部153により、第2樹脂成分N2に加えて、再度、第1樹脂成分N1も融着させるので、接着強度をより強くすることができる。
【0057】
第2熱融着部153は、表面シート付き繊維集合体S3を加圧しつつ、加熱するので、第2樹脂成分N2や第1樹脂成分N1が溶融又は軟化しても、表面シート付き繊維集合体S3の変形を抑制することができ、又は、再成形することができる。
第2熱融着部153により加熱加圧された表面シート付き繊維集合体S3を、熱融着ボードS4と称する。なお、第2熱融着部153は、表面シート付き繊維集合体S3を同時に加熱及び加圧しなくてもよく、加熱後、加圧してもよい。
図3に示すように、溶融又は軟化した第2樹脂成分N2により、表面シートHと第2繊維集合体S2とを融着し、熱融着ボードS4が成形される。
【0058】
搬送部133は、第2熱融着部153が表面シート付き繊維集合体S3を加熱加圧する際、表面シート付き繊維集合体S3の搬送を停止するように調整する。
加熱加圧された後、第3加熱加圧部154、及び、第4加熱加圧部155から開放された熱融着ボードS4は、搬送部133により第2冷却部181へ搬送される。なお、第2冷却部181まで延長された搬送部133、又は、搬送部133とは別の搬送機構を設けることにより、熱融着ボードS4を第2冷却部181へ向かって搬送することができる。
【0059】
第2冷却部181は、下方へ向いた気流発生装置を有し、熱融着ボードS4へ向かって気流を発生可能である。第2冷却部181は、加熱加圧された熱融着ボードS4に気流を当てて冷却する、いわゆる強制冷却することが可能である。第2冷却部181は、第2樹脂成分N2が溶融又は軟化する温度より低くなるように、熱融着ボードS4を冷却する。なお、第2冷却部181は、第1樹脂成分N1、及び、第2樹脂成分N2が溶融又は軟化する温度より低くなるように冷却してもよい。
なお、第2冷却部181は、例えば第1冷却部180と同様の構成であってもよい。
【0060】
第2冷却部181により冷却されるとき、第2樹脂成分N2が硬化する。第2樹脂成分N2が硬化するとき、表面シートH、及び、第2繊維集合体S2を含む熱融着ボードS4と共に一体化して強固に硬化することができる。また、第1樹脂成分N1も、再度、硬化することができる。
熱融着ボードS4において、表面シートHが積層された上方の面には、第2樹脂成分N2がリッチとなった膜が成形される。この膜は非透水性の性質を有することができる。
なお、製造装置1は、第2冷却部181を備えず、加熱加圧された熱融着ボードS4を、外気中に放置するいわゆる自然冷却するようにしてもよい。
【0061】
第2冷却部181により冷却され、硬化された熱融着ボードS4は、第2切断部161により、所定の大きさに切断される。
第2切断部161は、例えば、超音波カッターである。第2切断部161は、固定刃及び移動刃で構成されるカッターでもよい。第2切断部161は、例えば、ロータリーカッターでもよい。
切断された熱融着ボードS4は、熱融着ボードトレイ170に排出される。なお、第2切断部161は、例えば、第1切断部160と同様の構成であってもよい。
【0062】
混合部300により、第1樹脂成分及び解繊繊維DFが十分に混合される。この結果、製造される熱融着ボードS4内でのムラの発生を抑制することができ、熱融着ボードS4の強度を強くすることができる。
このように製造された熱融着ボードS4は、その表面が防水性を有し、木材ボード、樹脂ボード、樹脂シート等の建材の代替材料として使用されたり、ボード材、シート材、梱包材等として、各種製品の部材として使用される。表面シートHを予め印刷しておくことにより、熱融着ボードS4の表面の質感やデザインを変えることができる。また、熱融着ボードS4は防湿の用途に使用されることもできる。
【0063】
2.混合部の構成
ここで、
図4~
図7を用いて、混合部300の構成を説明する。
図4に示すように、混合部300は、混合前解繊繊維DF0を、導入口部301の方向である導入方向INから導入し、混合部300の内部で撹拌して混合し、混合解繊繊維DF1として排出口部302の方向である排出方向OUTから排出する。
なお、導入口部301の上流側、及び、排出口部302の下流側は、それぞれ輸送管部60に接続される。
【0064】
図4に示すように、混合部300は、導入口部301、及び、排出口部302を有するダクト部310を備える。ダクト部310は、円柱形状のハウジング部380により覆われて形成される。ダクト部310内には、後述の羽根部350が備えられる。導入口部301を介して、ダクト部310により、輸送管部60を羽根部350に向けて接続することができ、混合前解繊繊維DF0を、輸送管部60から羽根部350へ向かって導入することができる。
なお、導入口部301の径は、解繊繊維DF、及び、第1樹脂成分N1の長尺方向の平均繊維長より大きいことが好ましく、20mmを越えることが好ましい。また、排出口部302の径も、解繊繊維DF、及び、第1樹脂成分N1の長尺方向の平均繊維長より大きいことが好ましく、20mmを越えることが好ましい。
【0065】
回転軸320は、モーター309により回転される。後述の円盤部340は、結合部(不図示)により回転軸320と結合され、回転可能である。
導入口部301における混合前解繊繊維DF0の導入方向INは、回転軸320の延設方向Rでもあり、この方向を方向Y1とする。一方、排出口部302における混合解繊繊維DF1の排出方向OUTは、回転軸320の延設方向Rと交わる方向でもあり、この方向を方向X1とする。
【0066】
方向Y1、及び、方向X1は、同じ平面上になく、互いに「ねじれの位置」にある。方向Y1、及び、方向X1を、互いの垂直方向であるZ1へ移動させて同じ平面上にした場合に、互いの間に成す角度を角度θとする。
混合前解繊繊維DF0を、導入口部301から導入し、羽根部350により撹拌した後、混合された混合解繊繊維DF1として排出口部302から排出する際、スムーズに移動させるための好ましい角度θの範囲は、85°以上、95°以下である。角度θの詳細については、後述する。
【0067】
図5~
図7に示すように、円盤部340の導入口部301側の面には、
図7に示す回転方向に沿って一定間隔で、複数のリブ状の羽根を有する羽根部350が形成される。円盤部340の円周方向において、隣り合う羽根の間隔は、解繊繊維DF、及び、第1樹脂成分N1の長尺方向の平均繊維長より大きいことが好ましく、20mmを越えることが好ましい。隣り合う羽根の間隔が、平均繊維長以下の場合、解繊繊維DF、及び、第1樹脂成分N1が絡み易くなるためである。
なお、以下では、円盤部340において、導入口部301側の面であって、羽根部350が形成されている側の面を表面と称し、羽根部350が形成されていない反対側の面を裏面と称す。また、羽根部350の羽根も、単に羽根部350と称する。
【0068】
羽根部350は、円盤部340上において、四角形状の板として形成される。羽根部350は、遠心方向へ向かって湾曲するように形成されてもよい。なお、遠心方向は、円盤部340が回転する際、遠心力が作用する方向である。
羽根部350の板の四角形状の長辺は、円盤部340の表面から導入口部301へ向かって垂直に延びる。一方、羽根部350の板の四角形状の短辺は、円盤部340の回転中心である回転軸320との係合部から、遠心方向へ向かって円盤部340の円周の端まで延びる。
【0069】
湾曲する場合、羽根部350の四角形状の短辺は、回転軸320との係合部から遠心方向へ向かって円弧を形成するように回転方向とは逆方向に湾曲することが好ましい。この結果、羽根部350は、いわゆるターボ型の羽根形状を有し、効率よく搬送ができる。
【0070】
図7に示すように、時計回りに回転軸320が回転すると、円盤部340上に形成された羽根部350も、円盤部340と共に時計回りに回転する。
混合前解繊繊維DF0は、ターボ型の羽根形状の羽根部350が回転することにより撹拌され、効率良く混合されることができる。なお、混合をさらに促進するため、羽根部350を有する円盤部340を複数備え、多段に構成してもよい。
また、
図5に示すように、ダクト部310内において、円盤部340の円周の縁の位置であって、羽根部350の羽根の遠心方向の短辺の端の位置から、ハウジング部380の第1内壁380aまでの間には、所定寸法を有する隙間が形成されている。混合前解繊繊維DF0は、羽根部350により撹拌されつつ、この隙間内を移動し、混合解繊繊維DF1となって、排出口部302へ向かうことができる。
【0071】
ところで、
図5、
図6に示すように、ハウジング部380は、ダクト部310内へ向かって突出する複数の突部370を有している。突部370は、ダクト部310内へ突出する凸形状を有する三角柱の形状で形成される。
突部370は、ハウジング部380の異なる位置に、ぞれぞれ、複数の第1突部370a、複数の第2突部370bを有する。複数の第1突部370a、複数の第2突部370bは、それぞれ一定間隔で設けられる。
【0072】
第1突部370aは、ハウジング部380内の円柱形状の円周側の第1内壁380aに設けられる。第1突部370aは、第1内壁380aから、羽根部350における遠心方向の端である短辺の端へ向かって突出する。
一方、第2突部370bは、ハウジング部380内の円柱形状の天面側であって導入口部301側の第2内壁380bに設けられる。第2突部370bは、第2内壁380bから、羽根部350における導入口部301側の端である長辺の端へ向かって突出する。
【0073】
図6に示すように、円盤部340の裏面側であるモーター309側は、回転軸320を介して、ハウジング部380に設けられた軸受部330により支持される。なお、軸受部330は、ベアリングを含んで構成される。
一方、円盤部340の表面側である導入口部301側は、回転軸320が延びていなく、また支持するものもない。
【0074】
円盤部340の導入口部301側において、導入口部301の導入方向INが、回転軸320の延設方向Rである方向Y1に向かっている。
この結果、混合前解繊繊維DF0は、回転軸320が延びていなく支持するものがない、すなわち妨げるものがない、導入口部301の導入方向INから導入される。このとき、混合前解繊繊維DF0は、回転軸320等に妨げられることなく、導入口部301からスムーズにダクト部310内へ導入されることができる。
【0075】
ダクト部310内へ導入された混合前解繊繊維DF0は、羽根部350を有する円盤部340の表面に衝突することで散らばり、回転する円盤部340の表面の羽根部350により急峻な運動方向の変化を受け、撹拌される。
また、混合前解繊繊維DF0は、回転する羽根部350、及び、ハウジング部380の第2内壁380bに設けられた第2突部370bの間において、撹拌される。
さらに、混合前解繊繊維DF0は、回転する羽根部350、及び、第1内壁380aに設けられた第1突部370aの間においても、乱流が発生することで絡まりがほぐれ、撹拌が促進される。
これらの撹拌により、混合前解繊繊維DF0に含まれる、第1樹脂成分N1、及び、解繊繊維DFは分散されて混合が十分に促進され、混合解繊繊維DF1となっていく。
この結果、製造される熱融着ボードS4内でのムラの発生を抑制することができ、熱融着ボードS4の強度を強くすることができる。
【0076】
混合された混合解繊繊維DF1は、羽根部350の回転により、遠心方向であるハウジング部380の第1内壁380aの方向へ移動される。そして、混合解繊繊維DF1は、羽根部350の回転により発生する気流に乗って、排出口部302から排出される。
【0077】
混合解繊繊維DF1は、羽根部350の回転により、ハウジング部380の第1内壁380aに沿って回転するとき、遠心力が付与される。この遠心力により、混合解繊繊維DF1は、第1内壁380aの円周の接線方向へ飛び出そうとする。この方向が、排出方向OUTであり、方向X1である。また、この方向は、羽根部350の回転により発生する気流の方向でもある。
混合解繊繊維DF1は、羽根部350により付与された遠心力と気流により、ダクト部310の排出口部302へスムーズに排出されることができる。
なお、第1内壁380aの円周の接線方向は、円盤部340の円周の接線方向でもある。
【0078】
上述のように、混合前解繊繊維DF0は、導入口部301の導入方向INである方向Y1に沿って、導入口部301からダクト部310内へ導入される。方向Y1は、回転軸320の延設方向Rでもある。
一方、混合された混合解繊繊維DF1は、排出口部302の排出方向OUTである方向X1に沿って、ダクト部310の排出口部302から排出される。方向X1は、円盤部340の円周の接線方向でもある。
【0079】
そして、導入口部301、及び、排出口部302の成す角度であって、方向Y1と方向X1との間の角度が角度θである。
角度θは、円盤部340を回転させる回転軸320の延設方向R、及び、円盤部340の円周の接線方向との間の角度でもあることから、85°以上、95°以下が好ましく、約90°がより好ましい。
このような角度θにより、混合部300は、混合前解繊繊維DF0を、導入口部301から導入し、十分な撹拌混合した後、混合解繊繊維DF1として排出口部302から滞留することなく排出することができる。
【0080】
なお、上述のように、混合部300のダクト部310内には湿度を検出するセンサー(不図示)が備えられている。センサーは、少なくとも、ダクト部310内の混合前解繊繊維DF0、及び、混合解繊繊維DF1のいずれかの湿度を検出することが可能である。
また、ダクト部310内の混合前解繊繊維DF0、及び、混合解繊繊維DF1は、加湿部190により適度に水分を帯びている。この結果、これらは、混合部300で撹拌される際、静電気の発生が抑制され、ダクト部310内に付着することを抑制できる。
【0081】
3.混合装置の構成
ここで、
図1に示すように、上述の混合部300、及び、輸送管部60を含んだ装置を混合装置2として構成する。
混合装置2を構成する混合部300、及び、輸送管部60については、上述の通りであるので、
図4~
図7を参照しながら、それぞれについて簡潔に説明する。
【0082】
輸送管部60は、布を含む原料OPを解繊した繊維材料である解繊繊維DFに、熱溶融性を有する繊維形状の樹脂材料である第1樹脂成分N1を混入して輸送する。
混合部300は、導入口部301を介して輸送管部60から混合前解繊繊維DF0を導入し、混合して混合解繊繊維DF1とし、排出口部302を介して輸送管部60へ戻す。
このように、混合部300は、導入口部301及び排出口部302を介して、輸送管部60の途中の位置に構成される。すなわち、混合部300は、輸送管部60の一部において、解繊繊維DF、及び、第1樹脂成分N1を混合して堆積繊維材料である混合解繊繊維DF1を作成することができる。
なお、解繊繊維DF、及び、第1樹脂成分N1の長尺方向の平均繊維長は、1mm以上、20mm以下であることが好ましい。
【0083】
混合部300は、導入口部301、及び、排出口部302を有するダクト部310を備える。ダクト部310内には、回転可能な円盤部340に複数のリブ状の羽根を有する羽根部350が備えられる。導入口部301を介して、ダクト部310により、輸送管部60を羽根部350に向けて接続することができ、混合前解繊繊維DF0を、輸送管部60から羽根部350へ向かって導入することができる。
なお、導入口部301の上流側、及び、排出口部302の下流側は、それぞれ輸送管部60に接続される。
【0084】
円盤部340の円周方向において、羽根部350の隣り合う羽根の間隔は、解繊繊維DF、及び、第1樹脂成分N1の長尺方向の平均繊維長より大きいことが好ましく、20mmを越えることが好ましい。
また、導入口部301の径は、解繊繊維DF、及び、第1樹脂成分N1の長尺方向の平均繊維長より大きいことが好ましく、20mmを越えることが好ましい。さらに、排出口部302の径も、解繊繊維DF、及び、第1樹脂成分N1の長尺方向の平均繊維長より大きいことが好ましく、20mmを越えることが好ましい。
【0085】
図4に示すように、導入口部301、及び、排出口部302の成す角度は、角度θである。混合部300が、混合前解繊繊維DF0を導入口部301からスムーズに導入し、撹拌した後、混合解繊繊維DF1として排出口部302からスムーズに排出させるための好ましい角度θの範囲は、85°以上、95°以下である。さらに好ましい角度θは、約90°である。
この角度θの範囲であれば、混合前解繊繊維DF0、及び、混合解繊繊維DF1は、混合部300のダクト部310内でスムーズに移動することができ、ダクト部310内で滞留するなどにより混合が妨げられることを抑制できる。
これらの結果、混合部300により、第1樹脂成分及び解繊繊維DFが十分に混合される。製造される熱融着ボードS4内でのムラの発生を抑制することができ、熱融着ボードS4の強度を強くすることができる。
【0086】
以上のように、本実施形態の製造装置1及び混合装置2は、導入口部301及び排出口部302を介して、輸送管部60の途中の位置に混合部300を構成する。すなわち、混合部300は、導入口部301を介して輸送管部60から混合前解繊繊維DF0を導入し、混合して混合解繊繊維DF1とし、排出口部302を介して輸送管部60へ戻す。
このように、混合部300は、輸送管部60の一部において、解繊繊維DF、及び、第1樹脂成分N1を混合して堆積繊維材料である混合解繊繊維DF1を作成することができる。
このような構成とすることにより、製造装置1、及び、混合装置2は、混合部300により、第1樹脂成分及び解繊繊維DFを十分に混合することができる。この結果、製造される熱融着ボードS4内でのムラの発生を抑制することができ、熱融着ボードS4の強度を強くすることができる。
【0087】
以上、本実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1…熱融着ボード製造装置、2…混合装置、10…粗砕部、30…解繊部、100…堆積部、120…形状維持シート搬送部、130…積層部、133…搬送部、140…バッファー部、150…第1熱融着部、151…第1加熱加圧部、152…第2加熱加圧部、153…第2熱融着部、154…第3加熱加圧部、155…第4加熱加圧部、160…第1切断部、161…第2切断部、180…第1冷却部、181…第2冷却部、190…加湿部、200…制御部、300…混合部、301…導入口部、302…排出口部、310…ダクト部、340…円盤部、350…羽根部、370…突部、380…ハウジング部、DF…解繊繊維、DF1…混合解繊繊維、N1…第1樹脂成分、N2…第2樹脂成分、OP…原料、S1…第1繊維集合体、S2…第2繊維集合体、S3…表面シート付き繊維集合体、S4…熱融着ボード、X1,Y1…方向、θ…角度。