(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082373
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】虚像表示装置及び頭部装着型表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20240613BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240613BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240613BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240613BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20240613BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20240613BHJP
G02B 3/08 20060101ALI20240613BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20240613BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20240613BHJP
G02B 5/32 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02F1/13 505
G09F9/00 313
G09F9/00 359
G02B5/30
G02B5/00 A
G02B3/00 A
G02B3/08
G02B5/02
G02B5/18
G02B5/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196173
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】井出 光隆
【テーマコード(参考)】
2H042
2H088
2H149
2H199
2H249
5G435
【Fターム(参考)】
2H042AA04
2H042AA15
2H042AA26
2H088EA10
2H088EA42
2H088HA02
2H088HA03
2H088HA15
2H088HA18
2H088HA28
2H149AA02
2H149BA02
2H149FC06
2H149FC10
2H199CA12
2H199CA23
2H199CA30
2H199CA42
2H199CA63
2H199CA65
2H199CA68
2H199CA70
2H199CA74
2H199CA75
2H199CA85
2H199CA86
2H249AA04
2H249AA14
2H249AA60
5G435AA18
5G435BB12
5G435CC09
5G435EE12
5G435FF02
5G435FF07
5G435FF13
5G435GG01
5G435GG02
5G435HH02
5G435KK07
(57)【要約】
【課題】シースルー透過率を向上する。
【解決手段】虚像表示装置が、液晶画素PEと、光透過領域A2とを有する光変調素子24と、光変調素子24の外界側に配置され、液晶画素PEへの外界光の入射を抑制する遮光部材21と、光変調素子PEと遮光部材21との間に配置され、3色の光を時分割で液晶画素PEに照射するバックライト22と、光変調素子24の光透過領域A2を通過した外界光と液晶画素PEから射出される映像光とを第1偏光方向の偏光に制限して通過させる偏光板25と、偏光板25から射出される映像光の偏光方向を選択的に変化させる画像選択変換部材26と、画像選択変換部材26の顔側に配置され、映像光の偏光に対して機能する屈折力を有する偏光分離レンズ素子40とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶画素と、光透過性を有する第1光透過領域とを有する光変調素子と、
前記光変調素子の外界側に配置され、前記液晶画素への外界光の入射を抑制する遮光部材と、
前記遮光部材と前記光変調素子との間に配置され、3色の光を時分割で前記液晶画素に照射するバックライトと、
前記光変調素子の前記第1光透過領域を通過した外界光と前記液晶画素から射出される映像光とを第1偏光方向の偏光に制限して通過させる偏光板と、
前記偏光板から射出される前記映像光の偏光方向を選択的に変化させる画像選択変換部材と、
前記画像選択変換部材の顔側に配置され、前記映像光の偏光に対して機能する屈折力を有する偏光分離レンズ素子と
を備える、虚像表示装置。
【請求項2】
前記液晶画素が2次元状に配置され、
前記バックライトが、前記液晶画素に対応する位置に2次元状に配置され、前記3色の光を対応する前記液晶画素に時分割でそれぞれに照射する発光部を有する、請求項1に記載の虚像表示装置。
【請求項3】
前記液晶画素が2次元状に配置され、
前記遮光部材が、前記液晶画素に対応する位置に2次元状に配置された遮光層を含む、請求項1に記載の虚像表示装置。
【請求項4】
前記液晶画素が2次元状に配置され、
前記画像選択変換部材が、前記液晶画素に対応する位置に2次元状に配置された波長板を含む、請求項1に記載の虚像表示装置。
【請求項5】
前記画像選択変換部材が、前記偏光板を通過した前記映像光を前記第1偏光方向に対して直交する第2偏光方向の偏光に変換する、請求項1に記載の虚像表示装置。
【請求項6】
前記偏光分離レンズ素子が液晶レンズである、請求項1に記載の虚像表示装置。
【請求項7】
前記遮光部材と前記バックライトと前記偏光板と前記画像選択変換部材とが一体化されて複合表示部材を構成しており、
前記液晶レンズが、前記複合表示部材から離間して配置されている、請求項6に記載の虚像表示装置。
【請求項8】
前記バックライトが、前記3色の光を発生する発光素子と、光透過性を有する第2光透過領域とを有する、請求項1に記載の虚像表示装置。
【請求項9】
更に、前記バックライトの顔側に配置され、前記3色の光の放射角を低減する光束整形素子を備える、請求項1に記載の虚像表示装置。
【請求項10】
前記光束整形素子が、マイクロレンズを備えている、請求項9に記載の虚像表示装置。
【請求項11】
更に、前記光変調素子の前記液晶画素から射出される前記映像光を拡散する光拡散素子を備える、請求項9に記載の虚像表示装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の虚像表示装置を備える第1装置と、
請求項1~11のいずれか一項に記載の虚像表示装置を備える第2装置と、
前記第1装置と前記第2装置とを支持し、頭部への装着を可能にするテンプルを含む支持装置と
を備える、頭部装着型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、虚像の観察を可能にする虚像表示装置及び頭部装着型表示装置に関し、特に外界像を視認可能にするシースルー型の虚像表示装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
外界を視認可能にするシースルー型の虚像表示装置として、画像表示領域と、該画像表示領域を囲むように形成された透明表示領域とを有する液晶パネルと、光源から端部に入射されたバックライト光を導光する導光板とを備え、導光板が液晶パネルの画像表示領域にバックライト光を照射する発光領域と環境光を透過させる光透過領域とを備えるものが公知となっている(特許文献1)。この表示装置は、導光板の光透過領域及び液晶パネルの透明表示領域から環境光が観察者に到達すると共に、画像表示領域にバックライト光を照射しない期間に環境光が導光板の発光領域と液晶パネルの画像表示領域とを透過して観察者に到達するように構成されている。このような構成により、映像光と環境光とが重ね合わされたシースルー表示が実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記装置では、導光板の発光領域にドットの形成、散乱材の塗布等の加工がなされており、液晶パネルの画像表示領域を通過する環境光が、加工がなされた発光領域を通過することになるので、画像表示領域に対応する視野の中央付近でのシースルー透過率が低下する。視野の中央付近において高いシースルー透過率のシースルー表示を実現するためには、別途、シースルー透過率の高い光学系等が必要となり、大型化に繋がる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面における虚像表示装置は、液晶画素と、光透過性を有する第1光透過領域とを有する光変調素子と、光変調素子の外界側に配置され、液晶画素への外界光の入射を抑制する遮光部材と、遮光部材と光変調素子との間に配置され、3色の光を時分割で液晶画素に照射するバックライトと、光変調素子の第1光透過領域を通過した外界光と液晶画素から射出される映像光とを第1偏光方向の偏光に制限して通過させる偏光板と、偏光板から射出される映像光の偏光方向を選択的に変化させる画像選択変換部材と、画像選択変換部材の顔側に配置され、映像光の偏光に対して機能する屈折力を有する偏光分離レンズ素子とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の虚像表示装置の装着状態を図示する外観斜視図である。
【
図2】表示光学系の光学的構造を説明する概念的な斜視図である。
【
図3】複合表示部材の繰返単位を説明する概念的な拡大斜視図である。
【
図4】バックライトの構成の一例を図示する平面図である。
【
図5A】バックライトの発光部と液晶画素の位置関係の例を図示する平面図である。
【
図5B】バックライトの発光部と液晶画素の位置関係の他の例を図示する平面図である。
【
図6】光変調素子の具体的な構造の一例を図示する概念的な斜視図である。
【
図7】液晶レンズの構造及び機能を説明する概念的な斜視図である。
【
図8】第1実施形態の虚像表示装置の動作を説明する概念図である。
【
図9A】光変調素子と偏光板の設定及び動作の変形例を図示する斜視図である。
【
図9B】光変調素子と偏光板の設定及び動作の変形例を図示する斜視図である。
【
図10】変形例の表示光学系を図示する概念的な斜視図である。
【
図11】第2実施形態の虚像表示装置を図示する概念図である。
【
図12】変形例の表示光学系を図示する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
以下、
図1~10を参照して、本発明の第1実施形態に係る虚像表示装置等について説明する。
【0008】
図1は、ヘッドマウントディスプレイ、即ち、頭部装着型表示装置200の装着状態を説明する斜視図である。頭部装着型表示装置(以下、HMDとも称する)200は、これを装着する観察者又は装着者USに虚像としての映像を認識させる。
図1等において、X、Y、及びZは、直交座標系であり、+X方向は、HMD200を装着した観察者又は装着者USの両眼EYの並ぶ横方向に相当し、+Y方向は、装着者USにとっての両眼EYの並ぶ横方向に直交する上方向に相当し、+Z方向は、装着者USにとっての前方向又は正面方向に相当する。±Y方向は、鉛直軸又は鉛直方向に平行になっている。
【0009】
HMD200は、右眼用の第1虚像表示装置100Aと、左眼用の第2虚像表示装置100Bと、虚像表示装置100A,100Bを支持する一対のテンプル100Cと、情報端末であるユーザー端末88とを備える。ユーザー端末88は、第1虚像表示装置100Aと第2虚像表示装置100Bとに表示すべき表示画像に対応する画像データをHMD200に供給する。虚像表示装置100A,100Bは、外界像と表示画像とを重ねるシースルー表示を行うように構成されている。
【0010】
第1虚像表示装置100Aは、第1装置1Aであり、上部に配置される第1表示駆動部102aと、眼前を覆う第1表示光学系103aと、第1表示光学系103aを外界側又は前方側において覆う光透過カバー104aとで構成される。第2虚像表示装置100Bは、第2装置1Bであり、上部に配置される第2表示駆動部102bと、眼前を覆う第2表示光学系103bと、第2表示光学系103bを外界側又は前方側において覆う光透過カバー104bとで構成される。第1装置1Aである第1虚像表示装置100Aと、第2装置1Bである第2虚像表示装置100Bとを組み合わせたHMD200は、広義の虚像表示装置でもある。一対のテンプル100Cは、装着者USの頭部に装着される装着部材又は支持装置106であり、外観上一体化されている表示駆動部102a,102bを介して一対の表示光学系103a,103bの上端側と、一対の光透過カバー104a,104bの上端側とを支持している。一対の表示駆動部102a,102bを総称して駆動装置102と呼ぶことがある。一対の光透過カバー104a,104bを総称してシェード104と呼ぶことがある。
【0011】
図2は、第1表示光学系103aの構造を説明する斜視図である。第1表示光学系103aは、2次元的な表示画像を形成し映像光を射出する板状の複合表示部材20と、映像光に対してレンズとして機能する偏光分離レンズ素子40とを備える。外界像と表示画像とを重ねるシースルー表示を実現するために、複合表示部材20と偏光分離レンズ素子40は、更に、外界からの外界光を透過可能に構成されている。複合表示部材20と偏光分離レンズ素子40とは、光軸AX方向に離間して配置されている。複合表示部材20は、遮光部材21とバックライト22と偏光板23と光変調素子24と偏光板25と画像選択変換部材26とを積層して一体化した積層体として構成されている。図示された実施形態では、複合表示部材20が、光軸AXに垂直な、即ち、XY面に平行な板状の部材として構成されている。複合表示部材20は、XY面に沿って2次元状又はマトリクス状に配列された複数の繰返単位20aで構成され、各繰返単位20aは、光変調素子24の液晶画素PEを1つ含んでいる。映像光は、各液晶画素PEから射出される。
【0012】
偏光分離レンズ素子40は、複合表示部材20の画像選択変換部材26の顔側つまり-Z側に配置されて眼前を覆うように配置されており、複合表示部材20から射出された映像光を屈折させて映像光の放射角を調整する。映像光を生成する複合表示部材20は、観察者又は装着者の近くに位置しているので、映像光は平行光でない場合があり得る。一方で、外界光は遠くの光源から到来するので、平行光と考えてもよい。人の眼は基本的には平行光を観察するように構成されているので、外界像と表示画像との両者を観察可能にするために、偏光分離レンズ素子40は、外界光を屈折させずに映像光を選択的に屈折し、映像光を平行光にコリメートし、又は、平行光に近い光束になるように映像光の放射角を調整する。これにより、外界像と表示画像とを重ねるシースルー表示が実現される。
【0013】
図示されている実施形態では、偏光分離レンズ素子40として、液晶レンズ41が使用されている。液晶レンズ41は、光変調素子24の複数の液晶画素PEから射出される映像光を包括的に屈折させる単独レンズである。図示された実施形態では、液晶レンズ41は、XY面に平行に延びる板状の部材であり、屈折率の状態が異なる複数の円形の輪帯部分RAを含む。一群の輪帯部分RAは、光軸AXの周りに対称的に同心で配置されている。一群の輪帯部分RAのうち、光軸AXから離れた周辺の輪帯部分RAは、光軸AXが通る中央の輪帯部分RAよりも、光軸AXを中心とする径方向の幅が狭くなっている。つまり、輪帯部分RAの径方向の幅は、液晶レンズ41の周辺にあるものほど狭くなっている。液晶レンズ41については、後に詳細に説明する。
【0014】
第2表示光学系103bは、第1表示光学系103aと光学的に同一であり、或いは第1表示光学系103aを左右反転させたものであり、詳細な説明を省略する。
【0015】
図3は、複合表示部材20の繰返単位20aを説明する部分拡大斜視図である。ここで、軸AXaは、
図2に示す光軸AXに平行な軸である。
【0016】
遮光部材21は、光透過性を有する平板21a上に矩形の遮光層21bを設けたものである。
図3には一つの遮光層21bしか図示されていないが、全体の遮光部材21には、多数の遮光層21bが、XY面に平行な面に沿って2次元状又はマトリクス状に配列されている。つまり、遮光部材21を構成する全ての遮光層21bは、横のX方向及び縦のY方向に関して周期的に2次元配列されている。各遮光層21bは、各繰返単位20aにおける液晶画素PEに対応する位置に形成されており、対応する液晶画素PEへの外界光OLの入射を抑制する。一方、遮光部材21のうち遮光層21bが設けられていない光透過領域A1は、外界光OLを透過させる。光透過領域A1を通過した外界光OLは、最終的に、観測者又は装着者の眼に入射して外界像として観測される。
【0017】
一実施形態では、遮光層21bは、吸光性を有する塗料その他の物質で形成されてもよく、例えばインクジェット方式で目的の個所に塗布することで形成されてもよい。他の実施形態では、遮光層21bは、平板21a上において遮光層21bを形成しない位置に事前に離型剤からなる離型パターンを記録し、吸光物質のスプレーを全体に塗布し、離型パターンの箇所で吸光物質を除去することで、残った吸光物質層からなるものであってもよい。更に、遮光層21bは、フォトレジスト技術等を用いて平板21a上において遮光層21bを形成すべき箇所に金属パターンを形成し、金属パターンを酸化して吸収性を高めたものであってもよい。
【0018】
バックライト22は、遮光部材21の顔側に配置されており、光変調素子24にバックライト光を照射するように構成されている。バックライト22は、光透過性を有する透明基板22aと、透明基板22a上に形成された発光部LEとを備えている。発光部LEは、光変調素子24にバックライト光を照射する。
図3には一つの発光部LEしか図示されていないが、全体のバックライト22には、多数の発光部LEが、XY面に平行な面に沿って2次元状又はマトリクス状に配列されている。つまり、発光部LEは、横のX方向及び縦のY方向に関して周期的に2次元配列されている。各発光部LEは、各繰返単位20aにおいて光変調素子24の液晶画素PEに対応する領域に形成されており、対応する液晶画素PEにバックライト光を照射するように構成されている。バックライト22の発光部LEのサイズは、光変調素子24の液晶画素PEのサイズと同等であるか、又は、バックライト光が拡散することを考慮して液晶画素PEのサイズの方が僅かに大きい。これにより、バックライト光が拡散しても包括的に液晶画素PEに入射される。
【0019】
各発光部LEは、バックライト光として、3色の光を時分割で液晶画素PEに照射するように構成されている。該3色の光は、表示画像に対して求められる色域内の任意の色が表現可能であり、重ね合わされたときに白色光となるように選択される。図示された実施形態では、各発光部LEが、赤色の光を発生するR発光素子22rと、緑色の光を発生するG発光素子22gと、青色の光を発生するB発光素子22bとを備えている。R発光素子22r、G発光素子22g及びB発光素子22bは、自発光素子、例えば、有機発光ダイオード(OLED)、無機材料で形成されたマイクロ発光ダイオード(μLED)のような発光ダイオードであってもよい。バックライト22は、更に、R発光素子22r、G発光素子22g及びB発光素子22bを駆動するため配線を備えるが、
図3には図示されていない。また、
図3には、R発光素子22r、G発光素子22g及びB発光素子22bがX軸に平行に並んだ配置が図示されているが、R発光素子22r、G発光素子22g及びB発光素子22bの配置は、図示されているものに限定されない。
【0020】
バックライト22は、更に、遮光部材21によって遮蔽されずに到来した外界光OLを少なくとも部分的に通過させるように構成された光透過領域A2を備えている。一実施形態では、透明基板22aのうちの発光部LEが設けられている部分以外の部分が、光透過領域A2として使用される。
【0021】
図4は、バックライト22の構成の例を示す平面図である。図示された実施形態では、バックライト22が、複数の電極31と、複数のR電極32rと、複数のG電極32gと、複数のB電極32bと、複数のR発光層33rと、複数のG発光層33gと、複数のB発光層33bとを備えている。電極31は、X軸に平行な方向に延伸するように設けられ、R電極32r、G電極32g及びB電極32bは、Y軸に平行な方向に延伸するように設けられている。
【0022】
一実施形態では、電極31、R電極32r、G電極32g及びB電極32bが、ITO(インジウム錫酸化物)のような透明電極で形成されてもよい。これにより、R発光層33r、G発光層33g、B発光層33bが発生した光をより多く光変調素子24の液晶画素PEに照射し、バックライト22に到来した外界光OLのより多くを透過させることができる。また、透明電極を使用することにより、光透過領域A2を意図的に設けなくてもバックライト22において外界光OLを透過させて観測者又は装着者に観察可能にすることができる。
【0023】
図示された実施形態では、R発光素子22rが、R発光層33rと、電極31とR電極32rのR発光層33rを挟む部分とで構成される。R発光層33rは、電極31とR電極32rとの間に設けられており、電極31とR電極32rとによって駆動電圧又は駆動電流が印加されると赤色の光を発する。更に、G発光素子22gが、G発光層33gと、電極31とG電極32gのG発光層33gを挟む部分とで構成される。G発光層33gは、電極31とG電極32gとの間に設けられており、電極31とG電極32gとによって駆動電圧又は駆動電流が印加されると緑色の光を発する。更に、B発光素子22bが、B発光層33bと、電極31とB電極32bのB発光層33bを挟む部分とで構成される。B発光層33bは、電極31とB電極32bとの間に設けられており、電極31とB電極32bとによって駆動電圧又は駆動電流が印加されると青色の光を発するように構成される。
【0024】
このような構成のバックライト22は、例えば下記のように動作することで、3原色の光、即ち、赤色、緑色、青色の光を時分割で発生可能である。赤色の光をバックライト光として発生する期間(以下、「赤発光期間」ということがある)では、電極31とR電極32rとを用いて駆動電圧又は駆動電流を印加することによってR発光層33rが駆動され、R発光層33rによって赤色の光が発生される。赤発光期間では、G電極32g及びB電極32bが電極31と同一の電位に保持され、又は、ハイインピーダンスにされ、G発光層33g及びB発光層33bは駆動されない。緑色の光をバックライト光として発生する期間(以下、「緑発光期間」ということがある)では、電極31とG電極32gとを用いてG発光層33gが駆動され、G発光層33gによって緑色の光が発生される。緑発光期間では、R電極32r及びB電極32bが電極31と同一の電位に保持され、又は、ハイインピーダンスにされ、R発光層33r及びB発光層33bは駆動されない。青色の光をバックライト光として発生する期間(以下、「青発光期間」ということがある)では、電極31とB電極32bとを用いてB発光層33bが駆動され、B発光層33bによって青色の光が発生される。青発光期間では、R電極32r及びG電極32gが電極31と同一の電位に保持され、又は、ハイインピーダンスにされ、R発光層33r及びG発光層33gは駆動されない。
【0025】
赤発光期間、緑発光期間及び青発光期間に加えて、R発光素子22r、G発光素子22g及びB発光素子22bの全てが発光する全発光期間が設けられてもよい。全発光期間を設けることにより、表示画像の輝度を全体的に高めることができる。
【0026】
図4において、2点鎖線の箱34は、光変調素子24の液晶画素PEに対応する領域を示している。図示された実施形態では、領域34は、液晶画素PEの透明基板22aの表面への投影である。各発光部LE、即ち、一組のR発光素子22r、G発光素子22g及びB発光素子22bは、光変調素子24の液晶画素PEに対応する領域34に配置されており、時分割で発生した3原色の光をバックライト光として対応する液晶画素PEに照射する。
【0027】
図5Aは、バックライト22の各発光部LEと液晶画素PEの位置関係の一例を図示している。
図5Aにおいて、2点鎖線の箱35は、光変調素子24の液晶画素PEに対応する領域を示している。図示された実施形態では、領域35は、液晶画素PEの透明基板22aの表面への投影である。バックライト22は、それぞれが
図2の繰返単位20aに対応している繰返区画36を有している。
図5Aには4つの繰返区画36のみが図示されているが、全体のバックライト22には、多数の繰返区画36が、XY面に平行な面に沿って2次元状又はマトリクス状に配列されている。各繰返区画36は、発光部LEと光透過領域A2とを有している。各発光部LEは、1つのR発光素子22rと、1つのG発光素子22gと、1つのB発光素子22bとを備えている。各発光部LEは、液晶画素PEに対応する領域35内に位置しており、液晶画素PEに対向している。繰返区画36は、発光部LEと光透過領域37とを組み合わせたものとして見ることができ、シースルー発光部TXということもできる。遮光部材21によって遮られなかった外界光OLは、バックライト22のシースルー発光部TXの一部である光透過領域37を通過して光変調素子24に入射する。一方、バックライト光は、シースルー発光部TXの一部である発光部LEから射出されて光変調素子24に入射する。
【0028】
図5Bは、バックライト22の各発光部LEと液晶画素PEの位置関係の他の例を図示している。
図5Bにおいても、光変調素子24の液晶画素PEに対応する領域35が2点鎖線で示されている。
図5Bに図示された実施形態は、各発光部LEが、ベイヤー配置で配置された1つのR発光素子22r、2つのG発光素子22g及び1つのB発光素子22bを備えている点で
図5Aに図示された実施形態と異なっている。
図5Bの実施形態においても、1つのR発光素子22r、2つのG発光素子22g及び1つのB発光素子22bを含む各発光部LEが、光変調素子24の液晶画素PEに対応する領域35に配置されている。バックライト22に設けられる配線が、R発光素子22r、G発光素子22g及びB発光素子22bの配置に合わせて設計されることは、当業者に容易に理解されよう。
【0029】
図3に戻って、複合表示部材20の偏光板23は、バックライト22の顔側に配置されており、透過光を所定の偏光方向、具体的には第1方向の偏光である縦偏光に制限し、第1方向に直交する第2方向の偏光である横偏光を遮断するように構成されている。図示された実施形態では、縦偏光が上下の±Y方向に平行な偏光面を有する偏光であり、横偏光が左右の±X方向に平行な偏光面を有する偏光である。
図3及び他の図において、縦偏光が「P1」、横偏光が「P2」で示されている。偏光板23の作用により、遮光部材21の光透過領域A1を通過した外界光OL及びバックライト22が発生したバックライト光のうち、横偏光は偏光板23で遮断され、縦偏光P1は偏光板23を通過する。一実施形態では、偏光板23は、光透過性を有する平板23a上に吸収型の偏光膜23bを貼り付けたものであってもよい。偏光膜23bは、例えばヨウ素吸着させたポリビニルアルコール(PVA)を特定方向に延伸した樹脂シートであってもよい。図示の例では、偏光膜23bは、上下の±Y方向に平行な偏光面を有する縦偏光P1のみを透過させ、左右の±X方向に平行な偏光面を有する横偏光を吸収する。
【0030】
更に、複合表示部材20の光変調素子24が偏光板23の顔側に配置され、偏光板25が光変調素子24の顔側に配置されている。光変調素子24と偏光板25とは、表示画像に対応する画像データに応じて液晶画素PEに入射したバックライト光を変調して映像光MLを生成するように構成されている。詳細には、光変調素子24の各液晶画素PEは、画像データに示されている各液晶画素PEの階調に対応する駆動電圧で駆動され、バックライト光の偏光面を該駆動電圧に対応する角度だけ回転して映像光MLを射出する。液晶画素PEから射出される映像光MLの縦偏光成分又は横偏光成分が、信号成分、即ち、当該液晶画素PEの階調に対応した強度を有している。光変調素子24は、更に、光透過領域A3において外界光OLを透過させる。偏光板25は、入射する映像光MLの縦偏光成分又は横偏光成分のうちの不要な方を除去し、各液晶画素PEの階調に対応する光強度を有する映像光MLを射出する。偏光板25を透過可能な偏光の偏光方向は、偏光板25に入射される外界光OLが実質的に減衰されず、かつ、偏光板25から射出される映像光MLが、当該液晶画素PEの階調に対応した強度を有するように選択される。
図3の実施形態では、偏光板25に入射される外界光OLが縦偏光P1であり、偏光板25が、横偏光を除去し、縦偏光を透過させるように構成されている。これにより、映像光MLの横偏光成分が除去される一方、外界光OLと、映像光MLの信号成分である縦方向成分とが偏光板25を透過する。偏光板25は、偏光板23と同様に、光透過性を有する平板25a上に吸収型の偏光膜25bを貼り付けたものであってもよい。偏光膜25bは、例えばヨウ素吸着させたPVAを特定方向に延伸した樹脂シートであってもよい。
図3に図示されている例では、偏光膜25bは、上下の±Y方向に平行な偏光面を有する縦偏光P1のみを透過させ、左右の±X方向に平行な偏光面を有する横偏光を吸収する。
【0031】
カラー表示を実現するために、光変調素子24の各液晶画素PEは、バックライト22による3原色のバックライト光の時分割での発生に同期して駆動される。バックライト光として赤色の光が発生される赤発光期間では、赤色の階調に対応する駆動電圧で液晶画素PEが駆動される。同様に、バックライト光として緑色の光が発生される緑発光期間では、緑色の階調に対応する駆動電圧で液晶画素PEが駆動され、バックライト光として青色の光が発生される青発光期間では、青色の階調に対応する駆動電圧で液晶画素PEが駆動される。バックライト22が3原色の光をバックライト光として時分割で発生して液晶画素PEに照射するので、カラー表示を行う場合でも光変調素子24の解像度、即ち、液晶画素PEの密度が低いことが許容される。これは、光変調素子24における光透過領域A3の割合を増加させ、シースルー透過率を向上することを可能にする。
【0032】
なお、後述されるように、光変調素子24の構成によっては、外界光OLが光透過領域A3を通過する際に縦偏光から横偏光に変換されることがある。一例としては、光変調素子24が光透過領域A3及び液晶画素PEの両方においてTN(Twisted Nematic)液晶の層を有している場合が挙げられる。このような場合には、偏光板25は、例えば後に参照する
図9A、
図9Bに図示されているように、入射する映像光MLの縦偏光成分を除去し、外界光OL及び映像光MLの横方向成分を透過させるように構成される。光変調素子24による外界光OLの偏光面の回転とそれに対応する偏光板25の構成については、後に詳細に説明する。
【0033】
図6は、光変調素子24の具体的な構造の一例を説明する概念的な斜視図である。
図6は、光変調素子24の、1つの繰返単位20aに対応する部分構造を図示している。図示の例では、光変調素子24が、アクティブマトリクス型の液晶パネルとして構成されている。光変調素子24は、第1基板51と、第1基板51に対向するように配置された第2基板52とを備えている。第1基板51と第2基板52とは、光透過性を有するガラスやプラスチックで形成されている。第1基板51と第2基板52の間の空間は、液晶で満たされている。液晶としては、例えば、TN液晶、IPS(in plane switching)液晶、VA(Vertical Alignment)液晶が使用され得る。第1基板51上には、ゲート線とも呼ばれることもある走査線53と、ソース線と呼ばれることもある信号線54と、スイッチ素子である駆動素子55と、画素電極56とが形成されている。図示された実施形態では、走査線53がX軸に平行に延伸するように設けられ、信号線54がY軸に平行に延伸するように設けられている。駆動素子55は、薄膜トランジスター(TFT)を備えており、例えば、走査線53を高電位にプルアップすることにより走査線53が選択されると、走査線53と画素電極56とを電気的に接続するスイッチ素子として構成されている。第2基板52には、共通電圧に維持される対向電極57が形成される。画素電極56と、対向電極57と、これらの間にある液晶層とが、繰返単位20aの液晶画素PEを構成している。液晶画素PEは、画像データに示されている液晶画素PEの階調に対応する駆動電圧が書き込まれると、液晶画素PEに入射されたバックライト光の偏光面を該駆動電圧に対応する角度だけ回転して映像光MLを射出するように構成されている。駆動電極の液晶画素PEへの書き込みは、走査線53を選択して駆動素子55をオンにした状態で、不図示のドライバーから信号線54及び駆動素子55を介して画素電極56に駆動電圧を供給することによって行われる。
【0034】
図示されていないが、液晶画素PEが液晶で満たされた液晶セルに格納され、該液晶セルの外部には液晶層が存在しないように光変調素子24が構成されていてもよい。このような構成では、液晶画素PEの外部の光透過領域A3において外界光OLが液晶層を通過しないので、電圧が印加されなくても偏光面を回転させる液晶が用いられる場合でも
図3に図示されているように、光透過領域A3を通過する外界光OLが縦偏光に維持される。
【0035】
図3に戻って、画像選択変換部材26は、偏光板25の顔側に配置されており、外界光OLの偏光方向を変化させずに液晶画素PEからの映像光MLの偏向方向を選択的に変化させるように構成されている。図示された実施形態では、画像選択変換部材26は、光透過性を有する平板26a上に四角形の波長板26bを設けたものである。
図3には一つの波長板26bしか図示されていないが、全体の画像選択変換部材26には、多数の波長板26bが、XY面に沿って2次元状又はマトリクス状に配列されている。つまり、画像選択変換部材26を構成する全ての波長板26bは、横のX方向及び縦のY方向に関して周期的に2次元配列されている。各波長板26bは、各繰返単位20aにおける液晶画素PEに対応する領域に形成されている。画像選択変換部材26のうち波長板26bが設けられていない光透過領域A4は、外界光OLを透過させ、波長板26bは、光変調素子24の液晶画素PEから射出され偏光板25を通過した第1偏光方向の縦偏光P1の映像光MLを、第1偏光方向と直交する第2偏光方向の横偏光P2の映像光MLに変換する。波長板26bは、映像光MLの偏光方向を変更するため、1/2波長板であり、遅相軸又は光学軸を例えば+X方向と+Y方向の中間の45°方向に設定することにより、偏光面がY方向に平行な縦偏光P1の映像光MLを、偏光面がX方向に平行な横偏光P2の映像光MLに変換する。
【0036】
波長板26bの作成方法として、例えば平板26a上に特定種類の液晶を含む光配向材を一様に塗布し、偏光UV光を照射して配向性を整え、その後、配向性を維持しつつ固化させる加熱温度及び加熱時間で処理することで光配向材を固定するといった手法が可能である。また、ナノインプリント等によってベース層を形成し、ベース層上に蒸着膜を繰り返し成膜することで結晶格子を形成することにより、波長板を得ることもできる。
【0037】
図3に関連する説明では、偏光板23及び25が縦偏光P1の外界光OL及び映像光MLを透過させ、画像選択変換部材26が縦偏光P1の映像光MLを横偏光P2の映像光MLに選択的に変化又は変換するとしたが、偏光板23及び25は、例えば横偏光の外界光OL及び映像光MLを透過させるものであってもよい。この場合、画像選択変換部材26は、横偏光の映像光MLを縦偏光の映像光MLに選択的に変化又は変換する機能を有するものとする。加えて、後述する液晶レンズ41についても、偏光板23、偏光板25及び画像選択変換部材26の機能変更に伴い、レンズとして機能する偏光方向が、対応するものに変更される。
【0038】
偏光分離レンズ素子40は、複合表示部材20の画像選択変換部材26の顔側に配置されており、外界光OLを屈折させずに映像光MLを選択的に平行光にコリメートし、又は、平行光に近い光束に整形する。偏光分離レンズ素子40は、縦偏光に対してレンズ効果を発揮してレンズの役割をする一方で、横偏光に対してはレンズ効果を発揮しないように構成され、これにより、偏光分離レンズ素子40は、縦偏光P1の外界光OLを屈折させずに横偏光P2の映像光MLを選択的に屈折するレンズ機能を有する。一実施形態では、このようなレンズ機能を有する偏光分離レンズ素子40として液晶レンズ41が使用される。
【0039】
図7は、偏光分離レンズ素子40として使用される液晶レンズ41の構造や機能を説明する図である。
図7中で、上側α1は、液晶レンズ41の概念的な斜視図であり、下側α2は、液晶レンズ41のリタデーションの分布状態を例示するチャートである。液晶レンズ41は、特定偏光成分に対してレンズの役割をするレンズであり、外部からの制御によってレンズ機能すなわちパワーを変化させることができる。つまり、液晶レンズ41は、映像光MLの偏光に対して機能する屈折力を有しその屈折力を輪帯部分RAごとに変化させることができる。液晶レンズ41は、縦偏光と横偏光とが入射した場合において、一方向の偏光に対して屈折率の分布により選択的にレンズとして作用し、他方向の偏光に対して略そのまま透過させて作用を及ぼさない。
図3の実施形態については、一方向の偏光は具体的には横偏光の映像光MLであり、他方向の偏光は具体的には縦偏光の外界光OLである。液晶レンズ41の屈折率の分布を全体的に増減させれば、液晶レンズ41の屈折力を増減させることもできる。
【0040】
液晶レンズ41は、レンズ部材41aと駆動回路41cとを備える。レンズ部材41aは、対向する2つの光透過基板43a,43bと、光透過基板43a,43bの内面側に設けられた2つの電極層44a,44bと、電極層44a,44bに挟まれた液晶層45とを備える。なお、図示を省略しているが、電極層44a,44bと液晶層45との間には、配向膜が配置され、液晶層45の初期配向状態を調整している。第1の電極層44aは、輪帯部分RAにおいて、XY面に沿って同心に配置される多数の電極47を含み、各電極47は、環状の透明電極である。多数の電極47は、互いに離間し、外側に位置する電極47ほど横幅が狭まっている。電極47の横幅は、レンズ部材41aによる屈折作用の精度に影響する。各電極47は、途中経路上では不図示の絶縁層によって絶縁された配線48を介して駆動回路41cに接続されている。第2の電極層44bは、XY面に平行に延びる共通電極であり、光透過基板43bに沿って一様に形成されている。多数の電極47には、異なる印加電圧V1~V7が印加され、複屈折又はリタデーションの分布状態を変化させる。液晶レンズ41に凸レンズの効果を持たせる場合、印加電圧V1を印加電圧V7よりも高くし、印加電圧V2~V6を電圧範囲V1~V7内で徐々に変化させた値に設定する。
【0041】
光変調素子24から射出された映像光MLが画像選択変換部材26等を介して液晶レンズ41に入射する場合、つまりX方向に平行な偏光面を有する横偏光が液晶レンズ41に入射する場合について考える。横偏光に関しては、周辺部である最も外側に配置される電極47に印加される電圧が高くなってリタデーションが減少し、この領域で屈折率が相対的に低くなるので、例えば点光源からの光を考えたとき、周辺部の電極47を経て液晶レンズ41を追加した光は、波面が相対的に進む。一方、中央部である最も内側の電極47に印加される電圧が低くなってリタデーションが元に近い状態に維持され、この領域で屈折率が相対的に高くなるので、例えば点光源からの光を考えたとき、中央部の電極47を経て液晶レンズ41を通過する光は、波面が相対的に遅れる。よって、所定の焦点面FPに設定された像RIから液晶レンズ41に入射する発散する状態の映像光ML0は、横偏光であり、液晶レンズ41を通過することで凸レンズとしての作用を受け、発散角が減少した状態の映像光MLPRとなる。映像光MLPRを逆に辿った仮想的な映像光MLPIは、焦点面FPよりも遠方の虚像位置からのものとなる。液晶レンズ41の焦点距離は、点光源からの光がコリメートされる場合の点光源から液晶レンズ41までの距離である。近似的には、レンズの公式により、焦点面FPから液晶レンズ41までの距離をAとし、液晶レンズ41から像面までの距離をBとし、液晶レンズ41の焦点距離をFとして
1/F=1/A+1/B
なる関係が成り立つ。ここで、焦点面FPから虚像位置までの距離Bは、液晶レンズ41から焦点面FPまでの距離Aの数倍から数10倍の距離に設定される。この距離比は、虚像の拡大率に相当するものとなる。以上において、印加電圧V1~V7の相対的比率を略維持して低電圧とした場合、中心と周辺でリタデーションの差が減少し、液晶レンズ41の正のパワーの絶対値が減少する。つまり、液晶レンズ41に高電圧VHを印加することで、パワーの絶対値を増加させることができ、液晶レンズ41に低電圧VLを印加することで、パワーの絶対値を減少させることができ、駆動回路41cによって液晶レンズ41を外部から調整可能な可変焦点レンズとして機能させることができる。なお、遮光部材21等を通過した外界光OLについては、縦偏光であり、液晶レンズ41を通過しても、印加電圧V1~V7の値に関わらずリタデーションがXY面内で一様に保たれるので、位相差が与えられず、液晶レンズ41のレンズ作用の影響を受けない。つまり、外界光OLは、複合表示部材20及び偏光分離レンズ素子40によって実質的な作用を受けることなく直進する。
【0042】
液晶レンズ41を可変焦点レンズとして機能させることにより、焦点距離Fが変化するので、液晶レンズ41から像面位置又は虚像位置までの距離Bを自在に変更することができ、拡大率の調整が可能になる。また、装着者USの視力が近視等で偏っている場合であっても、焦点があった状態で虚像を観察するフォーカス調整が可能になる。つまり、個人の視度能力差(遠視、近視、乱視等)に合わせて像面位置又は虚像位置を微調整することができる。拡大率の調整やフォーカス調整は、装着者USが例えばユーザー端末88を操作することで実現される。つまり、虚像表示装置100A,100Bは、装着者USの操作によって拡大率やフォーカスに関するカスタマイズが可能になっている。
【0043】
液晶レンズ41は、横偏光又は縦偏光の映像光MLに対して結像作用を有するものであり、特定の偏光成分に対してレンズの役割をする液晶レンズということができ、特定の偏光成分に作用してレンズ機能を有する液晶レンズということもできる。液晶レンズ41を眼前に配置することで、液晶レンズ41のサイズに近いアイボックスを確保することができ、アイボックスを大きくでき画像の欠けを生じにくくできるだけでなく、小型ながらFOVを大きくした表示光学系103a,103bを実現することができる。さらに、バックライト22、偏光板23、光変調素子24、偏光板25、画像選択変換部材26等を含む複合表示部材20と、液晶レンズ41とを組み合わせることにより、小型の光学系で大画面を表示することができる。ここで、大画面の表示とは、例えば2.5m前方に70インチ以上の虚像を形成する場合を意味する。
【0044】
液晶レンズ41は、可変焦点で使用する必要はなく、固定焦点で使用することができる。液晶レンズ41は、中心から周辺に向かってリタデーションが徐々に減少するものに限らず、例えば国際公開第2009/072670号に開示のようにフレネル型のレンズとすることもできる。液晶レンズ41は、超音波で液晶の配向方向を変更するものであってもよい。
【0045】
図8を参照して、一実施形態では、光変調素子24の液晶画素PEから射出された映像光MLは、偏光板25を経て縦偏光P1のみとなり、画像選択変換部材26を経て偏光方向が縦から横へと選択的に変化し、横偏光P2として射出される。画像選択変換部材26を通過した映像光MLは、横偏光に対して凸レンズとして機能する偏光分離レンズ素子40の液晶レンズ41を経て虚像を形成する。装着者の眼EYには、映像光MLで形成された虚像が観察される。一方、外界光OLは、遮光部材21の光透過領域A1を通過し、バックライト22の光透過領域A2を通過し、偏光板23を通過して偏光方向が縦に制限され、光変調素子24の光透過領域A3及び偏光板25を通過し、さらに、画像選択変換部材26の平行平板状の光透過領域A4を通過する。この際、外界光OLは、遮光部材21、バックライト22、偏光板23、光変調素子24、偏光板25及び画像選択変換部材26によってレンズ作用を受けず、装着者の眼EYには、通常の外界像が観察される。つまり、表示光学系103a,103bを介して外界像のシースルー視が可能になる。
【0046】
上述のように、光変調素子24の光透過領域A3において外界光OLが液晶層を通過する構成、例えば、
図6において、液晶画素PEが液晶セルに格納されず、第1基板51と第2基板52の間の空間の全体が液晶で満たされる構成では、液晶層によって外界光OLの偏光面が回転することがある。一例としては、光変調素子24が光透過領域A3及び液晶画素PEの両方においてTN液晶の層を有している場合が挙げられる。このような場合には、偏光板25を透過可能な偏光の偏光方向、及び、液晶レンズ41が選択的に屈折力を有する偏光の偏光方向が、光透過領域A3における外界光OLの偏光面の回転に整合するように設定される。偏光板25を透過可能な偏光の偏光方向は、偏光板25に入射される外界光OLが実質的に減衰されず、かつ、偏光板25から射出される映像光MLが、当該液晶画素PEの階調に対応した強度を有するように選択される。例えば、光透過領域A3の液晶層の作用によって外界光OLが縦偏光から横偏光に変換される場合には、偏光板25が、入射する映像光MLの縦偏光成分を除去し、外界光OL及び映像光MLの横方向成分を透過させるように構成される。偏光板25から射出された映像光MLは、偏光方向が外界光OLの偏光方向と直交する方向に切り替えられ、液晶レンズ41を集光作用又はレンズ作用を受けつつ通過し、各液晶画素PEの虚像に変換される。
【0047】
図9A及び
図9Bは、偏光板25を透過可能な偏光の偏光方向を、光変調素子24の構成に依存して設定する例を図示している。
図9A、
図9Bは、光変調素子24が光透過領域A3及び液晶画素PEの両方においてTN液晶で形成された液晶層を有している構成を図示している。ここで、
図9Aは、液晶画素PEのTN液晶に駆動電圧が印加される電圧が0Vである場合の液晶画素PEの状態を示しており、
図9Bは、液晶画素PEのTN液晶に最大の駆動電圧が印加されている場合の液晶画素PEの状態を示している。
図9A、
図9Bには、液晶画素PEの内部における液晶分子58の向きが、模式的に示されている。TN液晶は、電圧が印加されていない状態において偏光面90°回転させるが、印加される電圧を増加させると偏光面の回転の角度が0°になる。液晶画素PEに印加される最大の駆動電圧は、偏光面を回転させない電圧に設定される。よって、
図9Aに図示されているように、液晶画素PEに印加される駆動電圧が0Vである場合、液晶画素PEにおける偏光面の回転は90°であり、
図9Bに図示されているように、液晶画素PEに印加される駆動電圧が最大の駆動電圧である場合、偏光面の回転は0°である。液晶画素PEに0Vと最大の駆動電圧の間の駆動電圧が印加されると、液晶画素PEでは、画像データに示されている液晶画素PEの階調に対応する角度だけ偏光面が回転する。
【0048】
図9A、
図9Bに示す構成では、光透過領域A3を通過する際に外界光OLの偏光面が回転し、外界光OLが縦偏光P1から横偏光P2に変換される。光透過領域A3における外界光OLの偏光面の回転に整合させるために、
図9A、
図9Bに示す実施形態では、偏光板25が、縦偏光を除去し、横偏光P2を透過させるように構成される。これにより、偏光板25を通過する外界光OLは実質的に減衰されない一方で、偏光板25から射出される映像光MLは、当該液晶画素PEの階調に対応した強度を有するようになる。
【0049】
加えて、
図9A、
図9Bに示す構成では、液晶レンズ41についても、レンズとして機能する偏光方向が、光変調素子24及び偏光板25の機能変更に応じて変更される。偏光板25から射出される外界光OLと映像光MLとはいずれも横偏光P2であるので、映像光MLの偏光方向のみを選択的に90°回転させるように構成された画像選択変換部材26から射出される映像光MLは、縦偏光P1である。これに対応して、液晶レンズ41の構成及び/又は動作が、縦偏光P1に対して選択的に屈折力を有する凸レンズとして機能するように変更される。液晶レンズ41の液晶層45の材料、液晶層45の初期配向状態、及び/又は電極47の印加電圧V1~V7を適切に選択することにより、縦偏光P1に対して選択的に機能する屈折力を有するように液晶レンズ41を構成することができる。
【0050】
以上で説明した第1実施形態の虚像表示装置100A,100B,200は、液晶画素PEと光透過領域A2とを有する光変調素子24と、光変調素子24の外界側に配置され、液晶画素PEへの外界光の入射を抑制する遮光部材21と、遮光部材21と光変調素子24との間に配置され、3色の光を時分割で液晶画素PEに照射するバックライト22と、光変調素子24の光透過領域A2を通過した外界光と液晶画素PEから射出される映像光とを特定の偏光方向の偏光に制限して通過させる偏光板25と、偏光板25から射出される映像光の偏光方向を選択的に変化させる画像選択変換部材26と、画像選択変換部材26の顔側に配置され、映像光の偏光に対して機能する屈折力を有する偏光分離レンズ素子40とを備えている。
【0051】
上記虚像表示装置100A,100B,200では、遮光部材21を通過した外界光が、光変調素子24、偏光板25を経て所定の偏光方向に制限され、偏光分離レンズ素子40を屈折力の作用を受けずに通過する。これにより、外界像が観察可能になる。一方で、バックライト22によって生成されたバックライト光が光変調素子24の液晶画素PEに入射され、液晶画素PEから射出された映像光MLが、偏光板25を経て所定の偏光方向に制限され、画像選択変換部材26によって偏向方向を変換され、偏光分離レンズ素子40を屈折力の作用を受けて通過し、虚像を形成する。このとき、バックライト22が3色の光をバックライト光として時分割で発生して液晶画素PEに照射するので、カラー表示を行う場合でも光変調素子24の解像度、即ち、液晶画素PEの密度が低いことが許容される。これは、光変調素子24における光透過領域A3の割合を増加させ、シースルー透過率を向上することを可能にする。
【0052】
図10は、第1実施形態の虚像表示装置100A,100B又はHMD200の変形例を図示している。
図10に図示されている構成では、複合表示部材20の顔側の近傍に、液晶レンズ41の代わりに、マイクロレンズアレイ241からなる偏光分離レンズ素子240が配置されている。偏光分離レンズ素子240は、光変調素子24を構成する各液晶画素PEから映像光MLを個別に屈折させる複数のレンズ要素49eを含む。レンズ要素49eは、外界光OLに屈折作用を及ぼさない。このような構成でも、虚像表示装置100A,100B又はHMD200は動作可能である。しかしながら、アイボックスを拡大する観点からは、
図2、
図3、
図7、
図8に図示されている液晶レンズ41を使用する構成が好適である。
【0053】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態の虚像表示装置について説明する。なお、第2実施形態の虚像表示装置は、第1実施形態の虚像表示装置を部分的に変更したものであり、第1実施形態の虚像表示装置と共通する部分については説明を省略する。
【0054】
図11を参照して、第2実施形態の虚像表示装置100A,100B又はHMD200では、バックライト22の各発光部LEの顔側に、各発光部LEから発光されたバックライト光の放射角を小さくする光束整形素子27が配置されている。各発光部LEからのバックライト光の放射角が大きすぎる場合、光変調素子24までの距離に応じて液晶画素PEを大きくする必要があり、シースルー透過率が悪化する可能性がある。バックライト光の放射角を小さくする光束整形素子27を設けることで、液晶画素PEのサイズを小さくすることができる。
図11に図示されている実施形態では、光束整形素子27として、屈折作用によってバックライト光の放射角を小さくするマイクロレンズ28が用いられている。光束整形素子27として、マイクロレンズ28の代わりに、回折作用によってバックライト光の放射角を小さくする回折光学素子、例えば、ナノインプリントによる回折光学素子、ホログラム、メタレンズなどが使用されてもよい。
【0055】
光束整形素子27が使用される場合、
図12に図示されるように、光変調素子24の顔側に、液晶画素PEから射出される映像光MLを拡散する光拡散素子29が配置されても良い。光拡散素子29は、光束整形素子27によりバックライト光を細めると、液晶画素PEから射出される映像光MLが過剰に細くなり、アイボックスが小さくなることに対処するためのものである。光拡散素子29を使用することにより、液晶画素PEから射出される映像光MLが拡散してアイボックスの確保が容易になる。光拡散素子29としては、拡散板が使用されてもよく、ナノインプリントによる回折光学素子、ホログラム、メタレンズなどのような回折素子が使用されてもよい。
【0056】
〔変形例その他〕
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。上記実施形態において、液晶レンズ41は、電極を要素とするものに限らず、フレネルレンズ状の第1基板と平板状の第2基板との間に液晶を充填し、液晶の配向をフレネルレンズ面に揃えることで屈折力を持たせたものであってもよい。また、液晶レンズ41は、リング状の輪帯部分RAを含むものに限らず、特定の偏光に対してレンズ作用を持つ様々な構造を採用することができる。更に、液晶レンズ41は、円形に限らず特定方向に若干長い長円状の電極を有するものであってもよい。
【0057】
以上では、HMD200が頭部に装着されて使用されることを前提としたが、上記虚像表示装置100A,100Bは、頭部に装着せず双眼鏡のようにのぞき込むハンドヘルドディスプレイとしても用いることができる。つまり、本発明において、ヘッドマウントディスプレイには、ハンドヘルドディスプレイも含まれる。
【0058】
具体的な態様における虚像表示装置は、液晶画素と、光透過性を有する第1光透過領域とを有する光変調素子と、光変調素子の外界側に配置され、液晶画素への外界光の入射を抑制する遮光部材と、遮光部材と光変調素子との間に配置され、3色の光を時分割で液晶画素に照射するバックライトと、光変調素子の第1光透過領域を通過した外界光と液晶画素から射出される映像光とを第1偏光方向の偏光に制限して通過させる偏光板と、偏光板から射出される映像光の偏光方向を選択的に変化させる画像選択変換部材と、画像選択変換部材の顔側に配置され、映像光の偏光に対して機能する屈折力を有する偏光分離レンズ素子とを備える。
【0059】
上記虚像表示装置では、外界光が、偏光板を経て第1偏光方向に制限され、屈折力の作用を受けずに偏光分離レンズ素子を通過する一方で、光変調素子の液晶画素から射出された映像光が、偏光板を経て第1偏光方向に制限され、画像選択変換部材によって偏向方向を変換され、屈折力の作用を受けて偏光分離レンズ素子を通過し、虚像を形成する。このとき、バックライトが3色の光を時分割で液晶画素に照射するので、カラー表示を行う場合でも光変調素子の解像度、即ち、液晶画素の密度が低いことが許容される。これは、光変調素子における第1光透過領域の割合を増加させ、シースルー透過率を向上することを可能にする。
【0060】
具体的な態様における虚像表示装置において、バックライトが、液晶画素に対応する位置に2次元状に配置され、3色の光を対応する液晶画素に時分割でそれぞれに照射する発光部を有している。このような構成によれば、発光部を液晶画素に近接して設けることを可能にし、光変調素子の液晶画素に3色の光を照射する一方で外界光が透過する第1光透過領域に発生した3色の光への入射を抑制することができる。
【0061】
具体的な態様における虚像表示装置において、液晶画素が2次元状に配置され、遮光部材が、液晶画素に対応する位置に2次元状に配置された遮光層を含む。遮光層により、この位置に入射した外界光が映像光の経路に入り込んで迷光となることを回避できる。
【0062】
具体的な態様における虚像表示装置において、液晶画素が2次元状に配置され、画像選択変換部材が、液晶画素に対応する位置に2次元状に配置された波長板を含む。これにより、外界光への影響を抑制しながら液晶画素から射出された映像光の偏光方向を選択的に変換することができる。
【0063】
具体的な態様における虚像表示装置において、画像選択変換部材は、偏光板を通過した映像光を第1偏光方向に対して直交する第2偏光方向の偏光に変換する、これにより、映像光と外界光との干渉を抑えることができる。
【0064】
具体的な態様における虚像表示装置において、偏光分離レンズ素子は、液晶レンズである。液晶レンズを使用することで、アイボックスの拡大が容易になる。
【0065】
具体的な態様における虚像表示装置において、遮光部材とバックライトと偏光板と画像選択変換部材とが一体化されて複合表示部材を構成しており、液晶レンズが、複合表示部材から離間して配置されている。このような構成では、複合表示部材と液晶レンズとの間の距離をとることで、アイボックスを拡大することができる。
【0066】
具体的な態様における虚像表示装置において、バックライトが、液晶画素に照射される3色の光を発生する発光素子と、光透過性を有する第2光透過領域とを有している。このような構成では、第2光透過領域で外界光を透過させることでシースルー表示が可能になる。
【0067】
具体的な態様における虚像表示装置において、バックライトの顔側に配置され、バックライトから射出される3色の光の放射角を低減する光束整形素子が設けられている。このような構成によれば、バックライトから射出される光の放射角が大きい場合でも液晶画素のサイズを小さくすることができる。光束整形素子の一例としては、マイクロレンズが挙げられる。
【0068】
具体的な態様における虚像表示装置において、光束整形素子が使用される場合に、光変調素子の液晶画素から射出される映像光を拡散する光拡散素子が更に設けられる。このような構成では、光束整形素子の使用によって映像光の光束が過剰に細くされた場合でも、アイボックスを確保することができる。
【0069】
具体的な態様における頭部装着型表示装置において、上述した虚像表示装置を備える第1装置と、上述した虚像表示装置を備える第2装置と、第1装置と第2装置とを支持し、頭部への装着を可能にするテンプルを含む支持装置とを備える。
【符号の説明】
【0070】
1A…第1装置、1B…第2装置、20…複合表示部材、20a…繰返単位、21…遮光部材、21a…平板、21b…遮光層、22…バックライト、22a…透明基板、22r…R発光素子、22g…G発光素子、22b…B発光素子、23…偏光板、23a…平板、23b…偏光膜、24…光変調素子、25…偏光板、25a…平板、25b…偏光膜、26…画像選択変換部材、26a…平板、26b…波長板、27…光束整形素子、28…マイクロレンズ、29…光拡散素子、31…電極、32r…R電極、32g…G電極、32b…B電極、33r…R発光層、33g…G発光層、33b…B発光層、34,35…領域、36…繰返区画、40…偏光分離レンズ素子、41…液晶レンズ、41a…レンズ部材、41c…駆動回路、43a…光透過基板、43b…光透過基板、44a…第1の電極層、44b…第2の電極層、45…液晶層、47…電極、48…配線、49e…レンズ要素、51…第1基板、52…第2基板、53…走査線、54…信号線、55…駆動素子、56…画素電極、57…対向電極、58…液晶分子、88…ユーザー端末、100A,100B,200…虚像表示装置、100C…テンプル、102…駆動装置、102a,102b…表示駆動部、103a,103b…表示光学系、104…シェード、104a…光透過カバー、104b…光透過カバー、106…支持装置、200…頭部装着型表示装置、240…偏光分離レンズ素子、241…マイクロレンズアレイ、A1,A2,A3,A4…光透過領域、AX…光軸、AXa…軸、EY…眼、FP…焦点面、LE…発光部、ML,ML0,MLPI,MLPR…映像光、OL…外界光、P1…縦偏光、P2…横偏光、PE…液晶画素、RA…輪帯部分、RI…像、TX…シースルー発光部、US…装着者