(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082374
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】粉体分注装置
(51)【国際特許分類】
B05C 19/04 20060101AFI20240613BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B05C19/04
B05C5/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196174
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】栗林 誉
(72)【発明者】
【氏名】堀 牧人
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AB05
4F041BA10
4F041BA34
4F042AB03
4F042BA12
4F042CA01
4F042EC04
4F042EC06
(57)【要約】
【課題】粉体の凝集を破壊することで高い精度の分注を行うことができる粉体分注装置を提供すること。
【解決手段】粉体分注装置は、粉体を貯留するホッパーと、前記ホッパーに接続され、前記ホッパー内に貯留された前記粉体を吐出する吐出口を備える筒状のノズルと、前記ノズルに挿入され、前記ノズルに対して移動することにより、前記吐出口からの前記粉体の吐出を阻止する閉状態と前記吐出口からの前記粉体の吐出を可能とする開状態とを切り替えるシャフトと、前記シャフトの前記ノズルとは反対側の基端部に気体を吹き付ける吹付部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を貯留するホッパーと、
前記ホッパーに接続され、前記ホッパー内に貯留された前記粉体を吐出する吐出口を備える筒状のノズルと、
前記ノズルに挿入され、前記ノズルに対して移動することにより、前記吐出口からの前記粉体の吐出を阻止する閉状態と前記吐出口からの前記粉体の吐出を可能とする開状態とを切り替えるシャフトと、
前記シャフトの前記ノズルとは反対側の基端部に気体を吹き付ける吹付部と、を有することを特徴とする粉体分注装置。
【請求項2】
前記気体の流量が経時的に変化する請求項1に記載の粉体分注装置。
【請求項3】
前記シャフトは、多孔質体である請求項1に記載の粉体分注装置。
【請求項4】
前記シャフトは、前記基端部に開口する孔を有する中空であり、
前記吹付部は、前記開口から前記孔内に前記気体を導入する請求項3に記載の粉体分注装置。
【請求項5】
前記ホッパー内に気体を導入して、前記ホッパー内を加圧する加圧部を有する請求項1に記載の粉体分注装置。
【請求項6】
前記ホッパーは、多孔質体である請求項5に記載の粉体分注装置。
【請求項7】
前記ホッパーを振動させる振動部を有する請求項1に記載の粉体分注装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体分注装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、所要量の粉体を供給するためのディスペンサー・デバイスが記載されている。特許文献1に記載のディスペンサー・デバイスは、粉体の吐出口を有するハウジングと、ハウジングに挿入されている送出/閉鎖部材と、を有する。また、送出/閉鎖部材には側面に開口する凹部が形成されている。送出/閉鎖部材を上側に移動させて凹部をハウジング内に開口させることによりハウジング内の粉体が凹部内に導入され、送出/閉鎖部材を下側に移動させて凹部を吐出口外に開口させることにより凹部内の粉体を吐出口から吐出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなディスペンサー・デバイスでは、ハウジング内の粉体が凝集してしまうと、粉体の流動性が悪化したり、凝集体で吐出口が詰まったりして吐出量の調整が困難になるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の粉体分注装置は、粉体を貯留するホッパーと、
前記ホッパーに接続され、前記ホッパー内に貯留された前記粉体を吐出する吐出口を備える筒状のノズルと、
前記ノズルに挿入され、前記ノズルに対して移動することにより、前記吐出口からの前記粉体の吐出を阻止する閉状態と前記吐出口からの前記粉体の吐出を可能とする開状態とを切り替えるシャフトと、
前記シャフトの前記ノズルとは反対側の基端部に気体を吹き付ける吹付部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る粉体分注装置の閉状態を示す断面図である。
【
図3】粉体分注装置が備えるシャフトの変形例を示す断面図である。
【
図4】粉体分注装置による分注方法を説明するためのフローチャートである。
【
図5】第2実施形態に係る粉体分注装置の閉状態を示す断面図である。
【
図6】粉体分注装置による分注方法を説明するためのフローチャートである。
【
図7】第3実施形態に係る粉体分注装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の粉体分注装置を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0008】
図1は、第1実施形態に係る粉体分注装置の閉状態を示す断面図である。
図2は、粉体分注装置の開状態を示す断面図である。
図3は、粉体分注装置が備えるシャフトの変形例を示す断面図である。
図4は、粉体分注装置による分注方法を説明するためのフローチャートである。なお、以下では、説明の便宜上、
図1ないし
図3の上側を「上」、下側を「下」とも言う。また、
図1ないし
図3の紙面縦方向は、鉛直方向に沿うものとする。
【0009】
図1に示す粉体分注装置1は、粉体Qを貯留するホッパー2と、ホッパー2の下端部に接続されたノズル4と、ノズル4に挿入されたシャフト5と、シャフト5をノズル4に対して上下に移動させる駆動部6と、シャフト5に気体としての空気A1を吹き付ける吹付部7と、ホッパー2を振動させる振動部9と、駆動部6、吹付部7および振動部9の駆動を制御する制御部10と、を有する。
【0010】
図1に示すように、ホッパー2内の粉体Qの一部が凝集して塊Q1となっていると、塊Q1によって粉体Qの流動性が低下したり不安定になったりする。また、塊Q1によってノズル4が詰まってしまうこともある。そのため、粉体Qの吐出が不安定となり、吐出量の調整が困難になる。そこで、粉体分注装置1は、塊Q1を粉砕する手段として吹付部7を備え、粉体Qの吐出を安定させて吐出量の調整を容易としている。以下、具体的に説明する。
【0011】
図1に示すように、ホッパー2は、鉛直方向に延びた管状であり、内部に粉体Qが貯留される。また、ホッパー2の下端部は、テーパー状であり、内径が下側に向けて漸減している。このようなホッパー2は、粉体Qが通過できない程の細孔が形成された多孔質体で形成されている。多孔質体としては、特に限定されず、例えば、金属多孔質体、セラミック多孔質体、プラスチック多孔質体、ガラス多孔質体等が挙げられ、本実施形態では、プラスチック多孔質体で形成されている。
【0012】
ノズル4は、ホッパー2の下端部に接続されている。これにより、ホッパー2内の粉体Qが自重によってノズル4にスムーズに導かれる。ノズル4は、鉛直方向に延びる筒状をなし、ホッパー2と同軸的に配置されている。また、ノズル4は、その下端が吐出口41となっており、この吐出口41を介してホッパー2内の粉体Qがホッパー2外に吐出される。
【0013】
シャフト5は、ノズル4に挿入されている。また、シャフト5は、鉛直方向に沿って延在し、駆動部6の駆動によって上下に移動する。また、シャフト5は、上端に開口する孔511を有する基部51と、基部51の下端部に接続され、下端に開口する凹部521を有する弁部52と、を有する。このようなシャフト5をノズル4に対して上下に移動させることで、
図1に示す閉状態P1と、
図2に示す開状態P2と、に切り替えることができる。閉状態P1では凹部521がノズル4内に退避しており、吐出口41からの粉体Qの吐出が阻止される。一方、開状態P2では凹部521がホッパー2内に臨み、粉体Qが凹部521内を通って吐出口41から吐出される。粉体分注装置1では、これら閉状態P1と開状態P2とを適宜切り替えることにより、所定量の粉体Qを吐出する分注作業が行われる。
【0014】
このようなシャフト5は、粉体Qが通過できない程の細孔が形成された多孔質体で形成されている。多孔質体としては、特に限定されず、例えば、金属多孔質体、セラミック多孔質体、プラスチック多孔質体、ガラス多孔質体等が挙げられ、本実施形態では、プラスチック多孔質体で形成されている。
【0015】
ただし、シャフト5の構成としては、特に限定されず、例えば、
図3に示すように、密な材料で形成され、シャフト5の内外を連通する複数の貫通孔53が形成された構成であってもよい。このような構成によっても、本実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0016】
図1に示すように、吹付部7は、ポンプ71を有し、このポンプ71を作動することにより、シャフト5のノズル4とは反対側の基端部つまり上端部50に空気A1を吹き付ける。具体的には、吹付部7は、シャフト5の上端部50に形成された開口から孔511内に空気A1を導入する。前述したように、シャフト5は、多孔質体で形成されているため、孔511内に吹き付けられた空気A1は、図示しない細孔を通過してシャフト5外、つまり、ホッパー2内に排出される。そして、ホッパー2内に排出された空気A1によって粉体Qが流動したり、空気A1が塊Q1に接触したりすることにより塊Q1が粉砕される。これにより、粉体Qの吐出が安定し、精度の高い分注作業を行うことができる。さらには、空気A1が導入されることによりホッパー2内が加圧されて陽圧になる。そのため、粉体Qの排出速度が高まり、分注作業に要する時間を短縮することができる。
【0017】
特に、本実施形態のように、シャフト5を多孔質体で構成することにより、シャフト5の構成が簡単となる。また、シャフト5の全域から空気A1が排出されるため、粉体Qが流動し易く、また、塊Q1に空気A1を接触させ易い。したがって、粉体Qの吐出が安定し、精度の高い分注作業を行うことができる。また、弁部52からも空気A1を排出することができるため、ノズル4付近の塊Q1をより確実に粉砕することができ、さらには、凹部521内にこびり付いた粉体Qを剥離することもできる。そのため、ノズル4の詰まりをより効果的に抑制、解消することができる。
【0018】
シャフト5に導入する空気A1の流量としては、特に限定されないが、例えば、0.03L/(min・cm2)より大きく、0.063L/(min・cm2)よりも小さいことが好ましい。これにより、空気A1の流量を精密にコントロールすることができると共に、十分な流量となる。そのため、塊Q1をより確実に粉砕することができ、ホッパー2内を適度な陽圧にすることができる。
【0019】
なお、空気A1の流量が0.03L/(min・cm2)以下であると、例えば、ホッパー2の大きさや粉体Qの性質によっては、空気A1の流量が足りず、塊Q1を効果的に粉砕できないおそれがある。反対に、空気A1の流量が0.063L/(min・cm2)以上であると、例えば、吹付部7の構成によっては、空気A1の流量を精度よくコントロールできず、ホッパー2内の圧力が過度に高まって粉体分注装置1の駆動が不安定となるおそれがある。
【0020】
また、空気A1の流量を経時的に変化させてもよい。また、この変化は、規則的であってもよいし、不規則であってもよい。これにより、空気A1が脈動し、塊Q1をより効果的に粉砕することができる場合もある。また、ホッパー2内の粉体Qの流動の様子が変化して、その流動性がより向上する場合もある。
【0021】
なお、本実施形態では、吹付部7がシャフト5に吹き付ける気体として空気A1を用いているが、気体としては空気A1に限定されない。
【0022】
図1に示すように、駆動部6は、シャフト5の上端部に接続されているモーター61を有する。そして、このモーター61を駆動することにより、シャフト5がノズル4に対して上下に移動し、閉状態P1と開状態P2とが切り替わる。ただし、駆動部6の構成としては、シャフト5をノズル4に対して上下に移動させることができれば、特に限定されない。また、駆動部6は、省略してもよい。この場合、シャフト5を手動で上下に移動させてもよいし、ロボット等の他の装置を用いて上下に移動させてもよい。
【0023】
図1に示すように、振動部9は、ホッパー2に配置されているバイブレーター91を有する。そして、バイブレーター91を駆動することにより、ホッパー2が振動する。ホッパー2を振動させることにより、ホッパー2の内壁にこびり付いた粉体Qを剥離することができる。また、振動により塊Q1を崩壊することもできる。また、振動によりホッパー2内の粉体Qを流動させることができ、粉体Qをノズル4に向けて誘導することができる。ただし、振動部9の構成としては、ホッパー2を振動させることができれば、特に限定されない。また、振動部9は、省略してもよい。
【0024】
図1に示すように、制御部10は、モーター61、ポンプ71およびバイブレーター91の駆動をそれぞれ独立して制御する。制御部10は、例えば、コンピューターから構成され、情報を処理するプロセッサー(CPU)と、プロセッサーに通信可能に接続されたメモリーと、外部装置との接続を行う外部インターフェースと、を有する。メモリーにはプロセッサーにより実行可能な各種プログラムが保存され、プロセッサーは、メモリーに記憶されたプログラム等を読み込んで実行することができる。
【0025】
以上、粉体分注装置1の構成について簡単に説明した。次に、粉体分注装置1を用いた分注方法について
図4に示すフローチャートに基づいて説明する。まず、ステップS1として、粉体分注装置1を閉状態P1から開状態P2にして粉体Qを吐出する。次に、ステップS2として、ステップS1で開状態P2にしてから所定時間が経過したかを判定する。所定時間が経過していない場合は、ステップS2を繰り返す。反対に、所定時間が経過した場合は、ステップS3として、粉体分注装置1を開状態P2から閉状態P1にして粉体Qの吐出を停止する。これにより、粉体Qの吐出が1サイクル行われる。
【0026】
次に、ステップS4として、粉体Qの吐出速度Vqを算出する。吐出速度Vqは、前記所定時間と直前の1サイクルでの粉体Qの吐出量とに基づいて算出することができる。また、吐出量は、図示しない重量計によって周期的に計測される。次に、ステップS5として、吐出速度Vqと目標吐出速度V0とを比較する。目標吐出速度V0としては、特に限定されないが、本実施形態ではV0=10g/sである。そして、Vq<V0の場合には、ステップS6として、ポンプ71を駆動し、シャフト5を介してホッパー2内に空気A1を導入する。これにより、粉体Qが流動したり、空気A1が塊Q1に接触したりすることにより塊Q1が粉砕される。さらには、ホッパー2内が加圧される。そのため、次回の吐出速度Vqを高めることができる。一方、Vq≧V0の場合には、すでに十分な吐出速度Vqが得られているため、ステップS6を飛ばしてステップS7に移行する。
【0027】
次に、ステップS7として、粉体Qの分注量dと目標分注量d0とを比較する。分注量dが目標分注量d0に対して-1%(=0.99d0)に到達した場合、つまり、d≧0.99d0の場合は、分注作業を終了する。反対に、d<0.99d0の場合は、ステップS1に戻り、再び粉体Qを吐出する。
【0028】
このような方法によれば、空気A1によって粉体Qを流動させたり、塊Q1を粉砕したり、ホッパー2内を加圧したりすることで、吐出速度Vqを高めることができる。これにより、粉体Qの吐出が安定して精度の高い分注作業を行うことができると共に、分注作業に要する時間を短縮することができる。
【0029】
以上、粉体分注装置1について説明した。このような粉体分注装置1は、前述したように、粉体Qを貯留するホッパー2と、ホッパー2に接続され、ホッパー2内に貯留された粉体Qを吐出する吐出口41を備える筒状のノズル4と、ノズル4に挿入され、ノズル4に対して移動することにより吐出口41からの粉体Qの吐出を阻止する閉状態P1と吐出口41からの粉体Qの吐出を可能とする開状態P2とを切り替えるシャフト5と、シャフト5のノズル4とは反対側の基端部である上端部50に気体である空気A1を吹き付ける吹付部7と、を有する。このような構成によれば、ホッパー2内に排出された空気A1によって粉体Qが流動したり、空気A1が塊Q1に接触したりすることにより塊Q1が粉砕される。これにより、粉体Qの吐出が安定し、精度の高い分注作業を行うことができる。さらには、空気A1が導入されることによりホッパー2内が加圧されて陽圧になる。そのため、粉体Qの排出速度が高まり、分注作業に要する時間を短縮することができる。
【0030】
また、前述したように、粉体分注装置1では、空気A1の流量が経時的に変化してもよい。これにより、空気A1が脈動し、塊Q1をより効果的に粉砕することができる場合もある。また、ホッパー2内の粉体Qの流動の様子が変化して、その流動性がより向上する場合もある。
【0031】
また、前述したように、シャフト5は、多孔質体である。これにより、シャフト5の構成が簡単となる。また、シャフト5の全域から空気A1が排出されるため、粉体Qが流動し易く、また、塊Q1に空気A1を接触させ易い。そのため、粉体Qの吐出が安定し、精度の高い分注作業を行うことができる。
【0032】
また、前述したように、シャフト5は、上端部50に開口する孔511を有する中空であり、吹付部7は、開口から孔511内に空気A1を導入する。これにより、簡単な構成で、ホッパー2内に空気A1を排出することができる。
【0033】
また、前述したように、粉体分注装置1は、ホッパー2を振動させる振動部9を有する。これにより、ホッパー2の内壁にこびり付いた粉体Qを剥離することができる。また、振動により塊Q1を崩壊することもできる。また、振動によりホッパー2内の粉体Qを流動させることができ、粉体Qをノズル4に向けて誘導することができる。
【0034】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態に係る粉体分注装置の閉状態を示す断面図である。
図6は、粉体分注装置による分注方法を説明するためのフローチャートである。
【0035】
本実施形態の粉体分注装置1は、ホッパー2を覆うケース3およびホッパー2内を加圧する加圧部8をさらに備えること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態の各図において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0036】
図5に示す粉体分注装置1は、粉体Qを貯留するホッパー2と、ホッパー2を収容するケース3と、ホッパー2の下端部に接続されたノズル4と、ノズル4に挿入されたシャフト5と、シャフト5をノズル4に対して上下に移動させる駆動部6と、シャフト5に気体を吹き付ける吹付部7と、ホッパー2内を加圧する加圧部8と、ホッパー2を振動させる振動部9と、駆動部6、吹付部7、加圧部8および振動部9の駆動を制御する制御部10と、を有する。
【0037】
本実施形態のホッパー2は、粉体Qが通過できない程の細孔が形成された多孔質体で形成されている。多孔質体としては、特に限定されず、例えば、金属多孔質体、セラミック多孔質体、プラスチック多孔質体、ガラス多孔質体等が挙げられる。
【0038】
また、ケース3は、ホッパー2を収容している。ケース3は、上下に分かれた2つの部屋を有し、下側の部屋がホッパー2内に気体としての空気A2を導入する導入室31、上側の部屋がホッパー2内に導入された空気A2を排出する排出室32である。導入室31には外部と連通する導入孔311が形成され、排出室32には外部と連通する排出孔321が形成されている。
【0039】
加圧部8は、導入孔311に接続されたポンプ81を有する。ポンプ81は、制御部10により制御される。そして、このポンプ81を作動することにより、導入室31内に空気A2を導入し、さらに、ホッパー2の壁面を介してホッパー2内に空気A2を導入する。反対に、ホッパー2内の空気は、ホッパー2の壁面を介して排出室32に排出され、さらに、排出孔321を介してケース3外に排出される。このような空気の流れにより、ホッパー2内の粉体Qが流動したり、空気A2が塊Q1に接触したりすることにより塊Q1が粉砕される。これにより、粉体Qの吐出が安定し、精度の高い分注作業を行うことができる。さらには、空気A2が導入されることによりホッパー2内が加圧されて陽圧になる。これにより、粉体Qの吐出速度Vqが高まり、分注作業に要する時間を短縮することができる。
【0040】
特に、本実施形態では空気A1がホッパー2の中心側からホッパー2内に導入され、空気A2がホッパー2の外周側からホッパー2内に導入されることから、より効果的に、ホッパー2内の粉体Qを流動させることができると共に塊Q1を粉砕することができる。
【0041】
なお、本実施形態のように、ホッパー2を多孔質体で構成することにより、ホッパー2の構成が簡単となる。またホッパー2の全域から空気A2が導入されるため、粉体Qが流動し易く、また、塊Q1に空気A2を接触させ易い。したがって、粉体Qの吐出が安定し、精度の高い分注作業を行うことができる。
【0042】
ホッパー2に導入する空気A2の流量としては、特に限定されないが、例えば、0.03L/(min・cm2)より大きく、0.063L/(min・cm2)よりも小さいことが好ましい。これにより、空気A2の流量を精密にコントロールすることができると共に、十分な流量となる。そのため、塊Q1をより確実に粉砕することができ、ホッパー2内を適度な陽圧にすることができる。
【0043】
なお、空気A2の流量が0.03L/(min・cm2)以下であると、例えば、ホッパー2の大きさや粉体Qの性質によっては、空気A2の流量が足りず、塊Q1を効果的に粉砕できないおそれがある。反対に、空気A2の流量が0.063L/(min・cm2)以上であると、例えば、加圧部8の構成によっては、空気A2の流量を精度よくコントロールできず、ホッパー2内の圧力が過度に高まって粉体分注装置1の駆動が不安定となるおそれがある。
【0044】
また、空気A2の流量を経時的に変化させてもよい。また、この変化は、規則的であってもよいし、不規則であってもよい。これにより、空気A2が脈動し、塊Q1をより効果的に粉砕することができる場合もある。また、ホッパー2内の粉体Qの流動の様子が変化して、その流動性がより向上する場合もある。
【0045】
以上、粉体分注装置1の構成について簡単に説明した。次に、粉体分注装置1を用いた分注方法について
図6に示すフローチャートに基づいて説明する。まず、ステップS1として、粉体分注装置1を閉状態P1から開状態P2にして粉体Qを吐出する。次に、ステップS2として、ステップS1で開状態P2にしてから所定時間が経過したかを判定する。所定時間が経過していない場合は、ステップS2を繰り返す。反対に、所定時間が経過した場合は、ステップS3として、粉体分注装置1を開状態P2から閉状態P1にして粉体Qの吐出を停止する。これにより、粉体Qの吐出が1サイクル行われる。
【0046】
次に、ステップS4として、粉体Qの吐出速度Vqを算出する。次に、ステップS5として、吐出速度Vqと目標吐出速度V0とを比較する。Vq<V0の場合は、ステップS6として、ポンプ71、81を駆動し、ホッパー2内に空気A1、A2を導入する。これにより、粉体Qが流動したり、空気A1、A2が塊Q1に接触したりすることにより塊Q1が粉砕される。さらには、ホッパー2内が加圧される。そのため、次回の吐出速度Vqを高めることができる。一方、Vq≧V0の場合には、すでに十分な吐出速度Vqが得られているため、ステップS6を飛ばしてステップS7に移行する。
【0047】
なお、ステップS6において、例えば、Vq>0.5V0であればポンプ71だけを駆動し、Vq≦0.5V0であればポンプ71、81の両方を駆動するといったように、吐出速度Vqに応じて駆動するポンプ71、81を選択してもよい。
【0048】
次に、ステップS7として、粉体Qの分注量dと目標分注量d0とを比較する。分注量dが目標分注量d0に対して-1%(=0.99d0)に到達した場合、つまり、d≧0.99d0の場合は、分注作業を終了する。反対に、d<0.99d0の場合は、ステップS1に戻り、再び粉体Qを吐出する。
【0049】
このような方法によれば、空気A1、A2によって粉体Qを流動させたり、塊Q1を粉砕したり、ホッパー2内を加圧したりすることで、吐出速度Vqを高めることができる。これにより、粉体Qの吐出が安定して精度の高い分注作業を行うことができると共に、分注作業に要する時間を短縮することができる。
【0050】
以上のような粉体分注装置1は、前述したように、ホッパー2内に気体である空気A2を導入して、ホッパー2内を加圧する加圧部8を有する。これにより、粉体Qの吐出速度Vqが高まり、分注作業に要する時間を短縮することができる。
【0051】
また、前述したように、ホッパー2は、多孔質体である。これにより、ホッパー2の構成が簡単となる。またホッパー2の全域から空気A2が導入されるため、粉体Qが流動し易く、また、塊Q1に空気A2を接触させ易い。したがって、粉体Qの吐出が安定し、精度の高い分注作業を行うことができる。
【0052】
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0053】
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態に係る粉体分注装置を示す断面図である。
【0054】
本実施形態の粉体分注装置1は、シャフト5および吹付部7の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態に関し、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態の図において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0055】
図7に示すように、本実施形態の粉体分注装置1では、シャフト5が中実かつ密である。そして、吹付部7は、シャフト5の上端部50に空気A1を吹き付ける。これにより、シャフト5が振動し、この振動により、ホッパー2内の粉体Qが流動する。また、シャフト5の振動や粉体Qの流動によって塊Q1が粉砕する。これにより、粉体Qの吐出が安定し、精度の高い分注作業を行うことができる。
【0056】
以上のような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0057】
以上、本発明の粉体分注装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…粉体分注装置、10…制御部、2…ホッパー、3…ケース、31…導入室、311…導入孔、32…排出室、321…排出孔、4…ノズル、41…吐出口、5…シャフト、50…上端部、51…基部、511…孔、52…弁部、521…凹部、53…貫通孔、6…駆動部、61…モーター、7…吹付部、71…ポンプ、8…加圧部、81…ポンプ、9…振動部、91…バイブレーター、A1…空気、A2…空気、P1…閉状態、P2…開状態、Q…粉体、Q1…塊、S1…ステップ、S2…ステップ、S3…ステップ、S4…ステップ、S5…ステップ、S6…ステップ、S7…ステップ、V0…目標吐出速度、Vq…吐出速度、d…分注量、d0…目標分注量