(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008238
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】半導体冷却装置、電力変換装置、半導体冷却装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240112BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240112BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H05K7/20 D
H01L23/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109942
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン ティ
(72)【発明者】
【氏名】徳山 健
(72)【発明者】
【氏名】青柳 滋久
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 英樹
(72)【発明者】
【氏名】難波 明博
(72)【発明者】
【氏名】荒木 隆宏
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
5H770
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA07
5E322AA10
5E322AB01
5E322AB04
5E322DA04
5E322FA01
5F136CB07
5F136CB08
5F136DA27
5F136DA42
5F136EA36
5F136FA02
5F136FA03
5H770AA21
5H770PA14
5H770PA22
5H770PA26
5H770PA28
5H770PA42
5H770QA06
5H770QA08
(57)【要約】
【課題】小型化、低コスト化、高放熱化を実現する半導体冷却装置および半導体冷却装置の製造方法を提供する。
【解決手段】
半導体冷却装置は、複数の半導体モジュールと、前記半導体モジュールに対応して設けられる複数の第1冷媒流路と、複数の前記第1冷媒流路と接続する一対の流路パイプと、を備え、複数の前記半導体モジュールは、複数の前記第1冷媒流路とそれぞれ対向して、第1の方向に並べて基板に配置され、一対の前記流路パイプは、前記第1の方向に沿ってそれぞれ延在し、複数の前記半導体モジュールは、複数の前記第1冷媒流路と接するそれぞれの放熱面が、前記第1冷媒流路の延在方向と前記複数の半導体モジュールの配置方向とに対して交差方向に配置され、前記第1冷媒流路は、前記交差方向に変形可能な変形部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を内蔵する複数の半導体モジュールと、
複数の前記半導体モジュールにそれぞれ対応して設けられる複数の第1冷媒流路と、
複数の前記第1冷媒流路の入口および出口とそれぞれ接続する一対の流路パイプと、を備え、
複数の前記半導体モジュールは、複数の前記第1冷媒流路とそれぞれ対向して、第1の方向に並べて基板に配置され、
一対の前記流路パイプは、前記第1の方向に沿ってそれぞれ延在し、
複数の前記半導体モジュールは、複数の前記第1冷媒流路と接するそれぞれの放熱面が、前記第1冷媒流路の延在方向と前記複数の半導体モジュールの配置方向とに対して交差方向に配置され、
前記第1冷媒流路は、前記流路パイプと接続される部分に、前記交差方向に変形可能な変形部を有する
半導体冷却装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体冷却装置であって、
前記変形部は、前記第1冷媒流路に対して前記交差方向に設けられる
半導体冷却装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体冷却装置であって、
前記変形部は、S字状に形成される
半導体冷却装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体冷却装置であって、
前記半導体モジュールは、一方の面に前記第1冷媒流路、他方の面に第2冷媒流路を配置する
半導体冷却装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体冷却装置であって、
前記第2冷媒流路は、前記半導体モジュールを介して前記第1冷媒流路と対向して配置され、かつ前記第1冷媒流路より幅広く形成され、
前記第2冷媒流路と前記基板との間には放熱部材が配置される
半導体冷却装置。
【請求項6】
請求項4に記載の半導体冷却装置であって、
前記第2冷媒流路は、複数の前記半導体モジュールを一面で冷却し、前記第1冷媒流路より高剛性である
半導体冷却装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体冷却装置であって、
複数の前記第1冷媒流路において、前記流路パイプの入口側に近い位置で前記流路パイプと接続する前記第1冷媒流路よりも、前記流路パイプの出口側に近い位置で前記流路パイプと接続する前記第1冷媒流路の方が幅広い
半導体冷却装置。
【請求項8】
請求項4に記載の半導体冷却装置であって、
前記第1冷媒流路および前記第2冷媒流路には、それぞれ前記半導体モジュールと対向する面に絶縁部材が接着される
半導体冷却装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の半導体冷却装置を備え、
前記基板は、複数の前記半導体モジュールとそれぞれ接続し、かつ直流電流が流れる直流配線および交流電流が流れる交流配線を含む複数の配線層を有する
電力変換装置。
【請求項10】
半導体素子を内蔵しかつ基板に並んで配置された複数の半導体モジュールに、それぞれ対応して設けられる複数の第1冷媒流路と、複数の前記第1冷媒流路と接続されかつ複数の前記半導体モジュールの配置方向に沿って延在する一対の流路パイプと、を接合し、
接合した複数の前記第1冷媒流路と一対の前記流路パイプとを、前記半導体モジュールに実装する
半導体冷却装置の製造方法。
【請求項11】
半導体素子を内蔵しかつ基板に並んで配置された複数の半導体モジュールに、それぞれ対応して設けられる複数の第1冷媒流路を接合し、
複数の前記半導体モジュールの配置方向に沿って延在する一対の流路パイプを、複数の前記第1冷媒流路に接合する
半導体冷却装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体冷却装置、電力変換装置、半導体冷却装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータは、大量生産可能な半導体モジュールの活用とプリント基板を用いた主回路配線の一体化により、高出力化・低コスト化が実現できる。しかしながら、複数の半導体モジュールを両面冷却する場合、熱抵抗を低減するために、半導体モジュールと冷却水路には高い寸法精度が要求され高コストになるが、こうした中でも、小型化・低背化は厳しく求められている。
【0003】
下記の特許文献1では、部品点数を増加させることなく、電子部品とチューブとの接触面積を充分に確保可能にした冷却器の構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の構造では、半導体モジュールを基板に実装した際にそれぞれのモジュールにはある程度の高低差があり、それぞれの半導体モジュールは接触する水路に対して追従性がない場合がある。そのため、コスト低減が実現できたとしても、こうした高低差から生じる放熱面のバラツキによって、冷却装置としての信頼性が低下する課題が生じていた。これを鑑みて本発明は、小型化、低コスト化、高放熱化を実現する半導体冷却装置および半導体冷却装置の製造方法を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
半導体冷却装置は、半導体素子を内蔵する複数の半導体モジュールと、複数の前記半導体モジュールにそれぞれ対応して設けられる複数の第1冷媒流路と、複数の前記第1冷媒流路の入口および出口とそれぞれ接続する一対の流路パイプと、を備え、複数の前記半導体モジュールは、複数の前記第1冷媒流路とそれぞれ対向して、第1の方向に並べて基板に配置され、一対の前記流路パイプは、前記第1の方向に沿ってそれぞれ延在し、複数の前記半導体モジュールは、複数の前記第1冷媒流路と接するそれぞれの放熱面が、前記第1冷媒流路の延在方向と前記複数の半導体モジュールの配置方向とに対して交差方向に配置され、前記第1冷媒流路は、前記流路パイプと接続される部分に、前記交差方向に変形可能な変形部を有する。
また、半導体冷却装置の製造方法として、半導体素子を内蔵しかつ基板に並んで配置された複数の半導体モジュールに、それぞれ対応して設けられる複数の第1冷媒流路と、複数の前記第1冷媒流路と接続されかつ複数の前記半導体モジュールの配置方向に沿って延在する一対の流路パイプと、を接合し、接合した複数の前記第1冷媒流路と一対の前記流路パイプとを、前記半導体モジュールに実装する方法を採用する。
また、別の半導体冷却装置の製造方法として、半導体素子を内蔵しかつ基板に並んで配置された複数の半導体モジュールに、それぞれ対応して設けられる複数の第1冷媒流路を接合し、複数の前記半導体モジュールの配置方向に沿って延在する一対の流路パイプを、複数の前記第1冷媒流路に接合する方法を採用する。
【発明の効果】
【0007】
小型化、低コスト化、高放熱化を実現する半導体冷却装置および半導体冷却装置の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、半導体冷却装置の全体斜視図。
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0010】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0011】
(本発明の一実施形態と装置の全体構成)
(
図1)
図1(a)は基板に備えた複数の半導体モジュールに半導体冷却装置を実装した様子を表す全体斜視図、
図1(b)は半導体冷却装置の斜視図である。半導体冷却装置100(以下冷却装置100)は、電力変換装置の電力変換部を担う複数の半導体モジュールを共通で固定するプリント基板4(以下基板4)、複数の小片冷却流路1(以下第1冷媒流路1)、一対の冷却流路パイプ2(以下流路パイプ2)を備えている。
【0012】
複数の第1冷媒流路1は、それぞれ一対の流路パイプ2と両端で接続されている。複数の第1冷媒流路1と一対の流路パイプ2との接続部分には、変形部3(詳細は後述)が設けられている。一対の流路パイプ2は、流路入口出口2aを通して外部から冷媒を取り入れ、複数の第1冷媒流路1にそれぞれ冷媒を流している。第1冷媒流路1は、並列に流路パイプ2と接合されることより、半導体モジュール10の各相との接触部分の流路に均等流量かつ同一温度の冷媒が流れ、半導体モジュール10の各相の互いの温度差を低減できる。
【0013】
(
図2)
冷却装置100は、半導体素子を内蔵する複数の半導体モジュール10と、複数の半導体モジュール10にそれぞれ対応して設けられる複数の第1冷媒流路1と、複数の第1冷媒流路1の入口および出口とそれぞれ接続する一対の流路パイプ2と、を備えている。
【0014】
第1冷媒流路1において、流路パイプ2から流れてくる冷媒の入口側を前方側、冷媒の出口側を後方側として定義した場合、流路パイプ2の入口側に近い位置で流路パイプ2と接続する前方側の第1冷媒流路1aよりも、流路パイプ2の出口側に近い位置で流路パイプ2と接続する後方側の第1冷媒流路1bの方が幅広く形成されていてもよい。これにより、第1冷媒流路1において、内部を流れる冷媒によって後方側の第1冷媒流路1bの圧力損失が大きくならないため、全体で圧力を低減できる。
【0015】
また、冷却装置100は、第1冷媒流路1において、半導体モジュール10と対向する面にシート状の絶縁部材6と、放熱部材7が接着される。このようにしたので、絶縁部材6を固定する固定部材が不要になる。なお、絶縁部材6は、例えばシリコーン樹脂シートなどの絶縁性と接着を持つ材料である。また、放熱部材7は、例えばTIM(Thermal Interface Material)である。
【0016】
基板4に備えられる複数の半導体モジュール10は、一方の面に第1冷媒流路1、他方の面に第2冷媒流路13を配置する。このように、半導体モジュール10の両面にそれぞれ冷媒流路を配置することにより、半導体モジュール10の冷却性を向上させる。第2冷媒流路13は、半導体モジュール10と対向する面において、シート状の絶縁部材6が接着される。
【0017】
第2冷媒流路13は、半導体モジュール10を介して第1冷媒流路1と対向して配置され、かつ第1冷媒流路1より幅広く形成される。これにより、基板4を冷却できる。なお、第2冷媒流路13は、第1冷媒流路1と同様に、一対の流路パイプ2と接続されている。また、第2冷媒流路13は、基板4との間に第2放熱部材12が配置している。これにより、第2放熱部材12を介して第2冷媒流路13と基板4が密着するため、冷却性が向上する。なお、第2放熱部材12は、例えばギャップフィラーや放熱シートである。
【0018】
また、第2冷媒流路13は、複数の半導体モジュール10を一面で冷却し、第1冷媒流路1より高剛性である。これにより、第1冷媒流路1をネジ締結した時に、半導体モジュール10に対する第1冷媒流路1の追従性を向上させる。
【0019】
基板4は、プリント基板であり、銅バスバーなどの電気導通部材によって形成されている。つまり、基板4は半導体モジュール10の固定と電気導通の両方の役割を兼ねている。基板4は、複数の半導体モジュール10とそれぞれ接続し、かつ直流電流が流れる直流配線および交流電流が流れる交流配線を含む複数の配線層を有する。これにより、小型化、低コスト化、高放熱を実現する冷却装置100を備える電力変換装置を実現できる。
【0020】
また、複数の半導体モジュール10は、それぞれ搭載される部材が基板4であり、共通に搭載されることにより、工程上において、例えば半導体モジュール10を第2冷媒流路13に設置した場合の基準面11が取りやすくなり、生産性と実装性が向上する。
【0021】
(
図3)
図3(a)は
図1のX-X断面図、
図3(b)は
図3(a)の構成を固定する部材を説明する図である。第1冷媒流路1は、一対の流路パイプ2との接続部分にそれぞれ交差方向に変形可能な変形部3を有している。変形部3は、例えばアルミやばねなどの弾性材である。また、第1冷媒流路1は内部に放熱フィン5を有している。放熱フィン5は、例えばアルミや銅などの高熱伝導部材である。
【0022】
第1冷媒流路1と接続される一対の流路パイプ2は、板バネなどの水路固定部材9によって覆われており、ネジ8によって水路固定部材9が電力変換装置の筐体等(図示せず)に締結固定されることで、基板4に実装される複数の半導体モジュール10に対して第1冷媒流路1が押し付けられ、固定される。これにより、第1冷媒流路1と半導体モジュール10との密着性が向上する。
【0023】
変形部3は、波状や薄肉状などの変形しやすい形状を有している。なお、変形部3の剛性は、第1冷媒流路1の剛性よりも低くなっている。変形部3は、複数の半導体モジュール10に対して第1冷媒流路1が押し付けられると、その締結力により変形する。これにより、第1冷媒流路1と半導体モジュール10との密着性が向上する。
【0024】
ここで、
図1~
図3から、複数の半導体モジュール10は、複数の第1冷媒流路1とそれぞれ対向し、また、第1の方向に並べて基板4に配置され、一対の流路パイプ2は、第1の方向に沿ってそれぞれ延在していることがわかる。また、複数の半導体モジュール10は、複数の第1冷媒流路1と接するそれぞれの放熱面が、第1冷媒流路1の延在方向(
図3の左右方向)と複数の半導体モジュール10の配置方向(
図3の手前-奥行き方向)とに対して交差方向(
図3上下方向側)に配置されていることがわかる。なお、ここでいう交差方向とは、前述した第1冷媒流路1の延材方向および半導体モジュール10の配置方向に対して垂直方向側でありかつ広い範囲のことを指す。
【0025】
このようにしたことで、冷却装置100の信頼性を向上させつつ、第1冷媒流路1の流路壁を介した放熱フィン5と半導体モジュール10の密着性を向上させている。また、変形部3は、半導体モジュール10の配置方向ではなく、交差方向側に変形するため、第1冷媒流路1に対する半導体モジュール10それぞれの厚み公差を吸収しつつ、第1冷媒流路1の構成を基板4に沿って同一平面に並列配置するため、第1冷媒流路1自体を薄型化できる。よって、冷却装置100全体において低背化を実現できる。
【0026】
(第1変形例)
(
図4)
変形部3は、たとえばS字状に形成されるS字状変形部3aであってもよい。これにより、第1冷媒流路1は、一対の流路パイプ2と同じ平面に設けられるため、冷却装置100の低背化を実現できる。
【0027】
(第2変形例)
(
図5)
図5(a)は
図3の第2変形例、
図5(b)は
図5(a)に示した変形例の構成の一部の断面図である。一対の流路パイプ2は、第1冷媒流路1に対して前述した交差方向に設けられており、これに伴い、変形部3も、第1冷媒流路1に対して前述した交差方向に設けられている。変形部3は、例えばベローズによって形成されている。これにより、第1冷媒流路1の床面積を低減する。また、変形部3は、垂直方向(交差方向)に圧縮されることで変形するため、半導体モジュール10に対して交差方向に追従性が向上し、冷却装置100としての信頼性が向上する。また、変形部3は、プレスなどの低コスト部品で形成されることで、第1冷媒流路1全体のコストを低減している。なお、一対の流路パイプ2は、円筒状や低コストのプレス板などで形成される。
【0028】
(第3変形例)
(
図6)
流路パイプ2は、複数の第1冷媒流路1とそれぞれ接続される位置の間に、それぞれベローズ14を有している。このような構造により、第1冷媒流路1が半導体モジュール10のアームごとに追従性を向上させて、さらに交差方向で半導体モジュール10それぞれの公差を吸収しやすくなる。
【0029】
(半導体冷却装置の製造方法)
(
図7)
冷却装置100の製造方法は、例えば以下の通りである。まず、半導体素子を内蔵しかつ基板4に並んで配置された複数の半導体モジュール10に、それぞれ対応して設けられる複数の第1冷媒流路1と、複数の第1冷媒流路1と接続されかつ複数の半導体モジュール10の配置方向に沿って延在する一対の流路パイプ2と、を接合する。つづいて、接合した複数の第1冷媒流路1と流路パイプ2とを、半導体モジュール10に実装する。このような製造方法を採用したので、接合した状態で第1冷媒流路1を半導体モジュール10に実装する工程において、第1冷媒流路単体で検査することができ、工程数を低減するとともに、歩留まりを向上させることができる。
【0030】
また、冷却装置100の別の製造方法として、
図7に示す以下の方法がある。まず、半導体素子を内蔵しかつ基板4に並んで配置された複数の半導体モジュール10に、それぞれ対応して設けられる複数の第1冷媒流路1を接合する。次に、複数の半導体モジュール10の配置方向に沿って延在する一対の流路パイプ2を、
図7に図示するように、複数の第1冷媒流路1に接合する。このような製造方法を採用したので、第1冷媒流路1と流路パイプ2との接合部分の応力を低減できる。
【0031】
以上、本発明の半導体冷却装置100を説明してきたが、例えば、第1冷媒流路1は、半導体モジュール10の相ごとに対応して6分割して公差を吸収する上述の構成を、半導体モジュール10を2列分、1つの第1冷媒流路1で押し付ける3分割の構成にしてもよい。また、第2冷媒流路13を流路1枚にした構成を上述したが、第1冷媒流路1を1枚にして第2冷媒流路13を半導体モジュール10の相ごとに対応するような分割構成にしてもよい。
【0032】
以上説明した本発明の一実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
【0033】
(1)半導体素子を内蔵する複数の半導体モジュール10と、複数の半導体モジュール10にそれぞれ対応して設けられる複数の第1冷媒流路1と、複数の第1冷媒流路1の入口および出口とそれぞれ接続する一対の流路パイプ2と、を備えている。複数の半導体モジュール10は、複数の第1冷媒流路1とそれぞれ対向して、第1の方向に並べて基板4に配置され、ている。一対の流路パイプ2は、第1の方向に沿ってそれぞれ延在し、複数の半導体モジュール10は、複数の第1冷媒流路1と接するそれぞれの放熱面が、第1冷媒流路1の延在方向と複数の半導体モジュール10の配置方向とに対して交差方向に配置される。第1冷媒流路1は、流路パイプ2と接続される部分に、交差方向に変形可能な変形部3を有する。このようにしたことで、小型化、低コスト化、高放熱を実現する半導体冷却装置を提供できる。
【0034】
(2)変形部3は、第1冷媒流路1に対して交差方向に設けられる。このようにしたことで、変形部3は、垂直の圧縮方向に変形するため、半導体モジュール10に対して交差方向に追従性が向上するため、信頼性が向上する。
【0035】
(3)変形部3は、S字状に形成される。このようにしたことで、第1冷媒流路1は、流路パイプ2と同じ平面に設けられるため、低背化を実現できる。
【0036】
(4)半導体モジュール10は、一方の面に第1冷媒流路1、他方の面に第2冷媒流路2を配置する。このようにしたことで、半導体モジュール10を両面冷却できる。
【0037】
(5)第2冷媒流路2は、半導体モジュール10を介して第1冷媒流路1と対向して配置され、かつ第1冷媒流路1より幅広く形成されている。第2冷媒流路2と基板4との間には放熱部材12が配置される。このようにしたことで、半導体モジュール10と基板4が密着するため、冷却性が向上する。
【0038】
(6)第2冷媒流路2は、複数の半導体モジュール10を一面で冷却し、第1冷媒流路1より高剛性である。このようにしたことで、ネジ締結時の半導体モジュール10に対する第1冷媒流路1の追従性を向上させる。
【0039】
(7)複数の第1冷媒流路1において、流路パイプ2の入口側に近い位置で流路パイプ2と接続する第1冷媒流路1aよりも、流路パイプ2の出口側に近い位置で流路パイプ2と接続する第1冷媒流路1bの方が幅広い。このようにしたことで、基板4を冷却できる。
【0040】
(8)第1冷媒流路1および前記第2冷媒流路には、それぞれ半導体モジュール10と対向する面に絶縁部材6が接着される。このようにしたことで、絶縁部材6を固定する固定部材が不要になる。
【0041】
(9)電力変換装置は半導体冷却装置100を備え、基板4は、複数の半導体モジュール10とそれぞれ接続し、かつ直流電流が流れる直流配線および交流電流が流れる交流配線を含む複数の配線層を有する。このようにしたことで、小型化、低コスト化、高放熱を実現した電力変換装置を提供できる。
【0042】
(10)半導体冷却装置100の製造方法として、まず、半導体素子を内蔵しかつ基板4に並んで配置された複数の半導体モジュール10に、それぞれ対応して設けられる複数の第1冷媒流路1と、複数の第1冷媒流路1と接続され、かつ複数の半導体モジュール10の配置方向に沿って延在する一対の流路パイプ2と、を接合する。そして、接合した複数の第1冷媒流路1と流路パイプ2とを、半導体モジュール10に実装する方法を採用する。このようにしたことで、工程数を低減するとともに、歩留まりを向上させることができる。
【0043】
(11)半導体冷却装置100の製造方法として、まず、半導体素子を内蔵しかつ基板4に並んで配置された複数の半導体モジュール10に、それぞれ対応して設けられる複数の第1冷媒流路1を接合する。そして、複数の半導体モジュール10の配置方向に沿って延在する一対の流路パイプ2を、複数の第1冷媒流路1に接合する方法を採用する。このようにしたことで、第1冷媒流路1と流路パイプ2との接合部分の応力を低減できる。
【0044】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や他の構成を組み合わせることができる。また本発明は、上記の実施形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1 小片冷却水路(第1冷媒流路)
1a 前方側の第1冷媒流路
1b 後方側の第1冷媒流路
2 冷媒流路パイプ
2a 流路入口出口
3 変形部
3a S字状変形部
4 プリント基板
5 放熱フィン
6 絶縁部材
7 放熱部材
8 ネジ
9 水路固定部材
10 半導体モジュール
11 基準面
12 第2放熱部材
13 第2冷媒流路
14 ベローズ
100 半導体冷却装置(冷却装置)