(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082394
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】処理装置、処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240613BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196209
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】池田 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】谷 真宏
(72)【発明者】
【氏名】児島 一郁
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】他人の情報に基づき対象ユーザの活動エリアを判定する技術において、判定の精度を向上させる。
【解決手段】本発明は、対象期間における活動エリアを推定する対象である対象ユーザと所定の関係を有する1人又は複数の参照ユーザを、対象期間に基づき設定されたサーチ期間内に各ユーザによってソーシャルメディアに投稿された投稿情報に基づき特定する特定部11と、対象期間における参照ユーザの活動エリアを推定する推定部12と、対象期間における参照ユーザの活動エリアに基づき、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定する判定部13と、を有する処理装置10を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象期間における活動エリアを推定する対象である対象ユーザと所定の関係を有する1人又は複数の参照ユーザを、前記対象期間に基づき設定されたサーチ期間内に各ユーザによってソーシャルメディアに投稿された投稿情報に基づき特定する特定手段と、
前記対象期間における前記参照ユーザの活動エリアを推定する推定手段と、
前記対象期間における前記参照ユーザの活動エリアに基づき、前記対象期間における前記対象ユーザの活動エリアを判定する判定手段と、
を有する処理装置。
【請求項2】
前記特定手段は、
ソーシャルメディア上で前記対象ユーザと繋がりのあるユーザを特定し、
特定したユーザの前記サーチ期間内の前記投稿情報に基づき、特定したユーザの中から前記参照ユーザを特定する請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記所定の関係は、
前記サーチ期間内に前記対象ユーザを含む画像を投稿した、
前記サーチ期間内に前記対象ユーザのことに言及したメッセージを投稿した、及び、
前記サーチ期間内に前記対象ユーザをタグ付けした前記投稿情報を投稿した、
前記サーチ期間内に前記対象ユーザと同じタイミングで同じ場所にいたことがある、
の中の少なくとも1つを含む請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記判定手段は、
複数の前記参照ユーザ各々の前記サーチ期間内の前記投稿情報に基づき、複数の前記参照ユーザ各々に重みを設定し、
前記対象期間における複数の前記参照ユーザ各々の活動エリアと、複数の前記参照ユーザ各々の重みとに基づき、前記対象期間における前記対象ユーザの活動エリアを判定する請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項5】
前記判定手段は、
前記サーチ期間内に投稿した前記対象ユーザを含む画像の数、
前記サーチ期間内に投稿した前記対象ユーザのことに言及したメッセージの数、及び、
前記サーチ期間内に投稿した前記対象ユーザをタグ付けした前記投稿情報の数、
の中の少なくとも1つに基づき、前記重みを設定する請求項4に記載の処理装置。
【請求項6】
前記判定手段は、
前記サーチ期間内に前記対象ユーザを含む画像を投稿した日数、
前記サーチ期間内に前記対象ユーザのことに言及したメッセージを投稿した日数、及び、
前記サーチ期間内に前記対象ユーザをタグ付けした前記投稿情報を投稿した日数、
の中の少なくとも1つに基づき、前記重みを設定する請求項4に記載の処理装置。
【請求項7】
前記対象期間内に前記対象ユーザによってソーシャルメディアに投稿された前記投稿情報の数は、基準値未満である請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項8】
前記判定手段は、
前記対象ユーザによって投稿された前記投稿情報に基づき、前記対象期間における前記対象ユーザの活動エリアを判定する第1のモードと、前記対象期間における前記参照ユーザの活動エリアに基づき、前記対象期間における前記対象ユーザの活動エリアを判定する第2のモードと、を有し、
前記対象期間内に前記対象ユーザによってソーシャルメディアに投稿された前記投稿情報の数が基準値以上である場合、前記第1のモードを実行し、
前記対象期間内に前記対象ユーザによってソーシャルメディアに投稿された前記投稿情報の数が前記基準値未満である場合、前記第2のモードを実行する請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項9】
1つ以上のコンピュータが、
対象期間における活動エリアを推定する対象である対象ユーザと所定の関係を有する1人又は複数の参照ユーザを、前記対象期間に基づき設定されたサーチ期間内に各ユーザによってソーシャルメディアに投稿された投稿情報に基づき特定し、
前記対象期間における前記参照ユーザの活動エリアを推定し、
前記対象期間における前記参照ユーザの活動エリアに基づき、前記対象期間における前記対象ユーザの活動エリアを判定する処理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
対象期間における活動エリアを推定する対象である対象ユーザと所定の関係を有する1人又は複数の参照ユーザを、前記対象期間に基づき設定されたサーチ期間内に各ユーザによってソーシャルメディアに投稿された投稿情報に基づき特定する特定手段、
前記対象期間における前記参照ユーザの活動エリアを推定する推定手段、
前記対象期間における前記参照ユーザの活動エリアに基づき、前記対象期間における前記対象ユーザの活動エリアを判定する判定手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する技術が、特許文献1及び2、非特許文献1乃至5に開示されている。
【0003】
特許文献1、非特許文献1乃至非特許文献5には、SNS(social networking service)等のソーシャルメディアにアカウントを有するユーザの活動エリアを判定する技術が開示されている。そして、特許文献1には、対象ユーザと、ソーシャルメディア上で対象ユーザに関連がある他のユーザとの現実空間における友人関係の度合を算出し、当該度合に基づき他のユーザに重みを付し、当該重みに基づき対象ユーザの活動エリアを判定する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、画像に写る人物同士の親密度を算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2021/028988号公報
【特許文献2】特開2017-167793号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】池田 圭佑、児島 一郁、谷 真宏著「友人群の地理的近接性に着目した居住エリア推定手法の検討」、電子情報通信学会、信学技報、Vol. 119、No. 317、pp. 37-42、AI2019-36、2019年11月
【非特許文献2】Dan Xu, Peng Cui, Wenwu Zhu, Shiqiang Yang著, "Graph-based residence location inference for social media users", IEEE Computer Society, IEEE MultiMedia, Volume 21, Issue 4, pp 76-83, 2014年10月
【非特許文献3】Backstrom Lars, Eric Sun, Cameron Marlow著, "Find me if you can: Improving geographical prediction with social and spatial proximity" Proceedings of the 19th international conference on World Wide Web, 2010, pp.61-70
【非特許文献4】Liu Zhi, Yan Huang 著, "Closeness and structure of friends help to estimate user locations", International Conference on Database Systems for Advanced Applications, Springer, pp. 33-48
【非特許文献5】池田 圭佑、児島 一郁、谷 真宏著「カーネル密度推定を用いたソーシャルメディアユーザーの活動エリア推定手法」、電子情報通信学会、信学技報、Vol. 120、No. 379、pp. 18-23、AI2020-42、2021年2月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
対象ユーザの投稿情報に基づき対象ユーザの活動エリアを判定する技術がある。しかし、当該技術の場合、対象ユーザが投稿情報を十分に投稿していない期間においては、その対象ユーザの活動エリアを判定できない。
【0008】
特許文献1に開示の技術のように、対象ユーザの友人、より具体的にはソーシャルメディア上だけでなく、現実空間においても繋がりのある友人の情報に基づき対象ユーザの活動エリアを判定することで、対象ユーザが投稿情報を十分に投稿していない期間においても対象ユーザの活動エリアを判定することが可能となる。
【0009】
しかし、現実空間において繋がりのある友人といえども、常に対象ユーザと一緒に行動しているわけではない。通常、各友人と一緒に行動する頻度は、時期毎にばらつき得る。例えば、学生時代の友人や故郷の友人の場合、過去によく一緒に行動していたが、今は離れた場所で暮らしており、たまに会う程度(例:1年に数回)ということがある。また、最近できた新しい友人の場合、今はよく一緒に行動しているが、当然過去には全く一緒に行動していない。このような状況を考慮していない特許文献1に開示の技術の場合、対象ユーザの活動エリアの判定精度が低くなる。その他の文献はいずれも、上記課題及びその解決手段を開示していない。
【0010】
本発明の目的の一例は、上述した問題を鑑み、他人の情報に基づき対象ユーザの活動エリアを判定する技術において、判定の精度を向上させるという課題を解決する処理装置、処理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、
対象期間における活動エリアを推定する対象である対象ユーザと所定の関係を有する1人又は複数の参照ユーザを、前記対象期間に基づき設定されたサーチ期間内に各ユーザによってソーシャルメディアに投稿された投稿情報に基づき特定する特定手段と、
前記対象期間における前記参照ユーザの活動エリアを推定する推定手段と、
前記対象期間における前記参照ユーザの活動エリアに基づき、前記対象期間における前記対象ユーザの活動エリアを判定する判定手段と、
を有する処理装置が提供される。
【0012】
本発明の一態様によれば、
1つ以上のコンピュータが、
対象期間における活動エリアを推定する対象である対象ユーザと所定の関係を有する1人又は複数の参照ユーザを、前記対象期間に基づき設定されたサーチ期間内に各ユーザによってソーシャルメディアに投稿された投稿情報に基づき特定し、
前記対象期間における前記参照ユーザの活動エリアを推定し、
前記対象期間における前記参照ユーザの活動エリアに基づき、前記対象期間における前記対象ユーザの活動エリアを判定する処理方法が提供される。
【0013】
本発明の一態様によれば、
コンピュータを、
対象期間における活動エリアを推定する対象である対象ユーザと所定の関係を有する1人又は複数の参照ユーザを、前記対象期間に基づき設定されたサーチ期間内に各ユーザによってソーシャルメディアに投稿された投稿情報に基づき特定する特定手段、
前記対象期間における前記参照ユーザの活動エリアを推定する推定手段、
前記対象期間における前記参照ユーザの活動エリアに基づき、前記対象期間における前記対象ユーザの活動エリアを判定する判定手段、
として機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、他人の情報に基づき対象ユーザの活動エリアを判定する技術において、判定の精度を向上させるという課題を解決する処理装置、処理方法、及びプログラムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
上述した目的、及びその他の目的、特徴及び利点は、以下に述べる公的な実施の形態、及びそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0016】
【
図1】処理装置の機能ブロック図の一例を示す図である。
【
図3】処理装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
【
図4】特定部の入出力の一例を説明するための図である。
【
図5】推定部の入出力の一例を説明するための図である。
【
図6】判定部の入出力の一例を説明するための図である。
【
図7】判定部の処理の一例を説明するための図である。
【
図8】処理装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】処理装置の処理の流れの他の一例を示すフローチャートである。
【
図10】推定部の機能ブロック図の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、全ての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0018】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る処理装置10の概要を示す機能ブロック図である。処理装置10は、特定部11と、推定部12と、判定部13とを有する。
【0019】
特定部11は、対象期間における活動エリアを推定する対象である対象ユーザと所定の関係を有する1人又は複数の参照ユーザを、対象期間に基づき設定されたサーチ期間内に各ユーザによってソーシャルメディアに投稿された投稿情報に基づき特定する。推定部12は、対象期間における参照ユーザの活動エリアを推定する。判定部13は、対象期間における参照ユーザの活動エリアに基づき、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定する。
【0020】
このような構成を備える処理装置10によれば、他人の情報に基づき対象ユーザの活動エリアを判定する技術において、判定の精度を向上させるという課題が解決される。
【0021】
<第2の実施形態>
「概要」
第2の実施形態の処理装置10は、第1の実施形態の処理装置10をより具体化したものである。
【0022】
図2を用いて、本実施形態の処理装置10の概念を説明する。処理装置10は、「対象期間」における対象ユーザの活動エリアを、対象ユーザの友人等の他人の情報に基づき判定する。すなわち、本実施形態では対象ユーザの活動エリアを判定する期間が特定される。
【0023】
図2に示すように、処理装置10は、対象ユーザとソーシャルメディア上で繋がりのある複数のユーザの中から、対象期間における対象ユーザの活動エリアの判定に役立つ参照ユーザを特定する。例えば、対象期間に基づき設定されたサーチ期間内に、対象ユーザを含む画像を投稿したユーザや、サーチ期間内に対象ユーザのことに言及したメッセージを投稿したユーザや、サーチ期間内に対象ユーザをタグ付けした投稿情報を投稿したユーザなどが、参照ユーザとして特定される。
【0024】
そして、処理装置10は、対象期間における参照ユーザ各々の活動エリアを推定した後、それら推定結果に基づき、対象期間における対象ユーザの活動エリアを推定する。
【0025】
このように、対象ユーザとソーシャルメディア上で繋がりのある複数のユーザの中から、対象期間における対象ユーザの活動エリアの判定に役立つ参照ユーザを特定し、特定した参照ユーザの活動エリアに基づき、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定する本実施形態の処理装置10によれば、精度よく、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定することができる。以下、処理装置10の構成をより詳細に説明する。
【0026】
「ハードウエア構成」
次に、処理装置10のハードウエア構成の一例を説明する。処理装置10の各機能部は、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット(あらかじめ装置を出荷する段階から格納されているプログラムのほか、CD(Compact Disc)等の記録媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムをも格納できる)、ネットワーク接続用インターフェイスを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0027】
図3は、処理装置10のハードウエア構成を例示するブロック図である。
図3に示すように、処理装置10は、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。処理装置10は周辺回路4Aを有さなくてもよい。なお、処理装置10は物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよい。この場合、複数の装置各々が上記ハードウエア構成を備えることができる。
【0028】
バス5Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、周辺回路4A及び入出力インターフェイス3Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。入出力インターフェイス3Aは、入力装置、外部装置、外部サーバ、外部センサ、カメラ等から情報を取得するためのインターフェイスや、出力装置、外部装置、外部サーバ等に情報を出力するためのインターフェイスなどを含む。入力装置は、例えばキーボード、マウス、マイク、物理ボタン、タッチパネル等である。出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ、プリンター、メーラ等である。プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行うことができる。
【0029】
「機能構成」
次に、第2の実施形態の処理装置10の機能構成を詳細に説明する。
図1に、処理装置10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、処理装置10は、特定部11と、推定部12と、判定部13とを有する。
【0030】
特定部11は、対象ユーザと所定の関係を有する1人又は複数の参照ユーザを、サーチ期間内に各ユーザによってソーシャルメディアに投稿された投稿情報に基づき特定する。
【0031】
具体的には、特定部11は、まず、ソーシャルメディア上で対象ユーザと繋がりのあるユーザを特定する。そして、特定部11は、特定したユーザのサーチ期間内の投稿情報に基づき(すなわち、投稿情報を解析して)、特定したユーザの中から参照ユーザを特定する。
【0032】
「対象ユーザ」は、活動エリアを推定する対象のユーザである。本実施形態では、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定する。ソーシャルメディア上でアカウントを有するユーザの中の任意のユーザを、対象ユーザとして指定することができる。
【0033】
「対象期間」は、対象ユーザの活動エリアを判定する期間である。処理装置10のオペレータが対象期間を指定してもよい。その他、処理装置10が任意のアルゴリズムで対象期間を自動的に指定してもよい。
【0034】
「活動エリア」は、実世界(現実空間)において各ユーザが活動するエリアである。例えば、市区町村等の単位で示されてもよいし、それよりも広いエリアで示されてもよいし、又はそれよりも狭いエリアで示されてもよい。
【0035】
「対象ユーザと繋がりのあるユーザ」は、ソーシャルメディア上でアカウントを有するユーザの中のソーシャルメディア上で対象ユーザと何らかの繋がりがあるユーザである。例えば、対象ユーザと相互フォローの関係にあるユーザ、対象ユーザがフォローしているユーザ、対象ユーザをフォローしているユーザ、対象ユーザとメッセージの交換歴のあるユーザ、各アカウントのユーザと同じタイミングで同じ場所にいたことがあるユーザの中の少なくとも1つが、対象ユーザと繋がりのあるユーザとなる。
【0036】
「メッセージの交換歴がある」とは、少なくとも一方のユーザが他方のユーザにテキストデータ、絵文字、写真、動画、音声、アイコン等を送ったり、いいねボタンの押下でアクションを行ったりしたことがある状態であってもよい。その他、「メッセージの交換歴がある」とは、両方のユーザが互いにテキストデータ、絵文字、写真、動画、音声、アイコン等を送ったり、いいねボタンの押下でアクションを行ったりしたことがある状態であってもよい。
【0037】
「対象ユーザと同じタイミングで同じ場所にいたことがあるユーザ」は、例えば投稿場所及び投稿日時に基づき特定されてもよい。対象ユーザと他のユーザの投稿において、投稿日時の差が基準値以内であり、かつ、投稿場所が同じか又はその差が基準値以内である場合、その2人のユーザは、同じタイミングで同じ場所にいたと判断されてもよい。その他、GPS(Global Positioning System)で各アカウントのユーザの位置を追跡している場合、互いの距離が閾値以内になったことがある2人のユーザ、又は互いの距離が閾値以内になった状態が所定時間以上継続したことがある2人のユーザは、同じタイミングで同じ場所にいたと判断されてもよい。その他、各ユーザが利用した施設(店舗等)及び利用した日時が取得できた場合、同じ施設を利用しており、かつ利用日時の差が基準値以内である2人のユーザは、同じタイミングで同じ場所にいたと判断されてもよい。各ユーザが利用した施設(店舗等)及び利用した日時は、各ユーザの投稿物に基づき特定してもよいし、その他の手法で特定してもよい。
【0038】
処理装置10は、ソーシャルメディアのサービスを提供するサーバから、当該サーバ上で公開されている公開情報を取得する。公開情報は、各ユーザの投稿情報や、各ユーザのプロフィールや、上記ソーシャルメディア上での他のユーザとの繋がりを示す情報等を含む。そして、特定部11は、当該公開情報に基づき、対象ユーザと繋がりのあるユーザを特定する。
【0039】
「投稿情報」は、ソーシャルメディア上に投稿された情報であって、公開されているもの(すなわち、閲覧制限等で閲覧できない状態になっていないもの)である。投稿情報は、メッセージ、静止画像、動画像、音声、これらに付された付属情報(タグ等)を含む。
【0040】
「プロフィール」は、各ユーザを紹介する情報である。プロフィールに含まれる項目はソーシャルメディア毎に異なり得るが、例えば、ユーザ名、ニックネーム、性別、生年月日、国籍、年齢(又は年代)、出身地、現在の居住地、所属(会社名、学校名)、出身校等を含んでもよい。
【0041】
「参照ユーザ」は、ソーシャルメディア上でアカウントを有するユーザの中の対象期間における対象ユーザの活動エリアの判定に役立つユーザである。対象ユーザと所定の関係を有するユーザが参照ユーザとして特定される。本実施形態では、対象ユーザと繋がりのあるユーザの中から参照ユーザが特定される。
【0042】
「所定の関係」は、
・サーチ期間内に対象ユーザを含む画像を投稿した、
・サーチ期間内に対象ユーザのことに言及したメッセージを投稿した、及び、
・サーチ期間内に対象ユーザをタグ付けした投稿情報を投稿した、
・サーチ期間内に対象ユーザと同じタイミングで同じ場所にいたことがある、
の中の少なくとも1つを含む。
【0043】
「サーチ期間」は、対象期間に基づき設定された期間である。例えば、対象期間そのものをサーチ期間としてもよい。例えば、対象期間が「2022年7月7日~7月15日」である場合、「2022年7月7日~7月15日」をサーチ期間としてもよい。その他、対象期間を任意の手法で拡張した期間をサーチ期間としてもよい。例えば、対象期間が「2022年7月7日~7月15日」である場合、前後に1日ずつ拡張し、「2022年7月6日~7月16日」をサーチ期間としてもよい。その他、対象期間を任意の手法で縮小した期間をサーチ期間としてもよい。例えば、対象期間が「2022年7月7日~7月15日」である場合、前後1日ずつ縮小し、「2022年7月8日~7月14日」をサーチ期間としてもよい。
【0044】
対象ユーザと上述のような所定の関係を有する参照ユーザを特定する処理は、あらゆる技術を用いて実現される。
【0045】
例えば、特定部11は、上述した公開情報の中から、ソーシャルメディア上で対象ユーザと繋がりのあるユーザによってサーチ期間内に投稿された投稿画像を抽出する。そして、特定部11は、抽出した投稿画像の中から対象ユーザを検出することで、「サーチ期間内に対象ユーザを含む画像を投稿したユーザ」を特定する。投稿画像の中から対象ユーザを検出する処理は、例えば、対象ユーザの外観の特徴量(例えば、顔の特徴量)を用いた照合処理で実現されてもよい。この場合、対象ユーザの外観の特徴量、又は対象ユーザの画像が予め処理装置10に登録されている。
【0046】
その他、特定部11は、上述した公開情報の中から、ソーシャルメディア上で対象ユーザと繋がりのあるユーザによってサーチ期間内に投稿されたメッセージを抽出する。そして、特定部11は、抽出したメッセージの中から対象ユーザの名称やニックネームを検出することで、「サーチ期間内に対象ユーザのことに言及したメッセージを投稿したユーザ」を特定する。この場合、対象ユーザの名称やニックネームが予め処理装置10に登録されている。
【0047】
その他、特定部11は、上述した公開情報の中から、ソーシャルメディア上で対象ユーザと繋がりのあるユーザによってサーチ期間内に投稿された投稿情報を抽出する。そして、特定部11は、抽出した投稿情報の中から対象ユーザをタグ付した投稿情報を検出することで、「サーチ期間内に対象ユーザをタグ付けした投稿情報を投稿したユーザ」を特定する。
【0048】
また、特定部11は、上述した「対象ユーザと同じタイミングで同じ場所にいたことがあるユーザ」を特定する手法を用いて、「サーチ期間内に対象ユーザと同じタイミングで同じ場所にいたことがあるユーザを特定することができる。
【0049】
図4に示すように、特定部11には、ソーシャルメディア上で公開されている「公開情報」、対象ユーザの活動エリアを判定する期間である「対象期間を示す情報」及び「対象ユーザの識別情報」が入力される。
【0050】
特定部11は、それらの情報に基づき、「ソーシャルメディア上で対象ユーザと繋がりのあるユーザを特定する処理」及び「特定したユーザのサーチ期間内の投稿情報に基づき、特定したユーザの中から対象ユーザと所定の関係を有する参照ユーザをさらに特定する処理」を実行する。
【0051】
そして、特定部11は、特定した「参照ユーザの識別情報」を出力する。
【0052】
図1に戻り、推定部12は、対象期間における参照ユーザの活動エリアを推定する。特定部11によって複数の参照ユーザが特定されている場合、推定部12は、対象期間における各参照ユーザの活動エリアを推定する。
【0053】
図5に示すように、推定部12には、ソーシャルメディア上で公開されている「公開情報」、「対象期間を示す情報」及び「参照ユーザの識別情報」が入力される。推定部12は、入力された情報に基づき、対象期間における各参照ユーザの活動エリアを推定する。そして、推定部12は、「対象期間における各参照ユーザの活動エリアを示す情報」を出力する。
【0054】
推定部12は、参照ユーザの公開情報に基づき、対象期間における参照ユーザの活動エリアを推定する。例えば、推定部12は、参照ユーザのプロフィールや、対象期間内に参照ユーザによって投稿された投稿情報や、参照ユーザとソーシャルメディア上で繋がりのあるユーザの公開情報等の中の少なくとも一部に基づき、対象期間における参照ユーザの活動エリアを推定する。当該推定処理の詳細なアルゴリズムは特段制限されず、あらゆる技術を採用できる。例えば、推定部12は、特許文献1、非特許文献1乃至非特許文献5等に開示に技術を利用して、対象期間における参照ユーザの活動エリアを推定してもよい。以下の実施形態で、推定部12による処理の一例を説明する。
【0055】
判定部13は、対象期間における参照ユーザの活動エリアに基づき、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定する。
【0056】
図6に示すように、判定部13には、「対象期間における参照ユーザの活動エリアを示す情報」が入力される。判定部13は、入力された情報に基づき、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定する。そして、判定部13は、「対象期間における対象ユーザの活動エリアを示す情報」を出力する。
【0057】
ここで、判定部13による判定処理の一例を説明する。対象期間における複数の参照ユーザ各々の活動エリアは、例えば
図7のように示される。エリアR
1は対象期間における第1の参照ユーザの活動エリアであり、エリアR
2は対象期間における第2の参照ユーザの活動エリアであり、エリアR
3は対象期間における第3の参照ユーザの活動エリアである。
【0058】
判定部13は、例えば、少なくとも1人の参照ユーザの対象期間における活動エリアとなっているエリアを、対象期間における対象ユーザの活動エリアと判定してもよい。
図7の例の場合、エリアR
1、エリアR
2、エリアR
3のいずれかで占められたエリアが、対象期間における対象ユーザの活動エリアと判定される。
【0059】
その他、判定部13は、例えば、所定数以上の参照ユーザの対象期間における活動エリアとなっているエリアを、対象期間における対象ユーザの活動エリアと判定してもよい。
図7の例において、所定数が2である場合、エリアR
1とエリアR
2が重なりあったエリア、エリアR
1とエリアR
3が重なりあったエリア、エリアR
2とエリアR
3が重なりあったエリア、及びエリアR
1とエリアR
2とエリアR
3が重なりあったエリアが、対象期間における対象ユーザの活動エリアと判定される。
【0060】
次に、
図8のフローチャートを用いて、処理装置10の処理の流れの一例を説明する。
【0061】
処理装置10は、対象期間及び対象ユーザを示す情報(対象ユーザの識別情報)を取得すると(S10)、ソーシャルメディア上で公開されている公開情報に基づき、ソーシャルメディア上で対象ユーザと繋がりのあるユーザを特定する(S11)。
【0062】
次いで、処理装置10は、S11で特定したユーザの中から、対象ユーザと所定の関係を有する参照ユーザを特定する(S12)。所定の関係は、「サーチ期間内に対象ユーザを含む画像を投稿した」、「サーチ期間内に対象ユーザのことに言及したメッセージを投稿した」、「サーチ期間内に対象ユーザをタグ付けした投稿情報を投稿した」及び「サーチ期間内に対象ユーザと同じタイミングで同じ場所にいたことがある」の中の少なくとも1つを含む。処理装置10は、ソーシャルメディア上で公開されている公開情報に基づき、参照ユーザを特定する。
【0063】
次いで、処理装置10は、S12で特定した参照ユーザ各々の対象期間における活動エリアを推定する(S13)。処理装置10は、ソーシャルメディア上で公開されている公開情報に基づき、対象期間における参照ユーザ各々の活動エリアを推定する。
【0064】
次いで、処理装置10は、S13で推定した対象期間における参照ユーザ各々の活動エリアに基づき、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定する(S14)。
【0065】
「作用効果」
本実施形態の処理装置10は、対象ユーザとソーシャルメディア上で繋がりのある複数のユーザの中から、対象期間における対象ユーザの活動エリアの判定に役立つ参照ユーザを特定し、特定した参照ユーザの活動エリアに基づき、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定する。このような処理装置10によれば、精度よく、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定することができる。
【0066】
また、本実施形態の処理装置10は、ソーシャルメディア上で対象ユーザと繋がりのあるユーザを特定し、特定したユーザの中から参照ユーザを特定することができる。このように、ソーシャルメディア上で対象ユーザと繋がりのあるユーザに絞り込んだ後に参照ユーザを特定する処理装置10によれば、コンピュータの負担を軽減することができる。
【0067】
また、本実施形態の処理装置10は、サーチ期間内に対象ユーザを含む画像を投稿したユーザ、サーチ期間内に対象ユーザのことに言及したメッセージを投稿したユーザ、サーチ期間内に対象ユーザをタグ付けした投稿情報を投稿したユーザ、及びサーチ期間内に対象ユーザと同じタイミングで同じ場所にいたことがあるユーザの中の少なくとも一つのユーザを、参照ユーザとして特定することができる。このような処理装置10によれば、対象期間における対象ユーザの活動エリアの判定に役立つ参照ユーザを精度よく特定することができる。
【0068】
<第3の実施形態>
本実施形態の処理装置10は、特定した参照ユーザに対して重みを設定する。対象期間における対象ユーザの活動エリアの判定に役立つと考えられる参照ユーザほど、大きい重みが設定される。そして、処理装置10は、当該重みを考慮して、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定する。以下、詳細に説明する。
【0069】
判定部13は、推定部12によって特定された複数の参照ユーザ各々のサーチ期間内の投稿情報に基づき、複数の参照ユーザ各々に重みを設定する。上述の通り、対象期間における対象ユーザの活動エリアの判定に役立つと考えられる参照ユーザほど、大きい重みが設定される。
【0070】
例えば、判定部13は、
・サーチ期間内に投稿した「対象ユーザを含む画像」の数、
・サーチ期間内に投稿した「対象ユーザのことに言及したメッセージ」の数、及び、
・サーチ期間内に投稿した「対象ユーザをタグ付けした投稿情報」の数、
の中の少なくとも1つに基づき、重みを設定してもよい。
【0071】
この場合、判定部13は、サーチ期間内に投稿した「対象ユーザを含む画像」の数が多いほど、サーチ期間内に投稿した「対象ユーザのことに言及したメッセージ」の数が多いほど、またサーチ期間内に投稿した「対象ユーザをタグ付けした投稿情報」の数が多いほど、大きい重みを設定する。
【0072】
他の例として、判定部13は、
・サーチ期間内に「対象ユーザを含む画像」を投稿した日数、
・サーチ期間内に「対象ユーザのことに言及したメッセージ」を投稿した日数、及び、
・サーチ期間内に「対象ユーザをタグ付けした投稿情報」を投稿した日数、
の中の少なくとも1つに基づき、重みを設定してもよい。
【0073】
この場合、判定部13は、サーチ期間内に「対象ユーザを含む画像」を投稿した日数が多いほど、サーチ期間内に「対象ユーザのことに言及したメッセージ」を投稿した日数が多いほど、またサーチ期間内に「対象ユーザをタグ付けした投稿情報」を投稿した日数が多いほど、大きい重みを設定する。
【0074】
そして、判定部13は、対象期間における複数の参照ユーザ各々の活動エリアと、複数の参照ユーザ各々の重みとに基づき、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定する。判定部13は、重みが相対的に大きい参照ユーザの活動エリアをより重視して、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定する。
【0075】
ここで、
図7を用いて、重みを考慮して、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定する処理の一例を説明する。
【0076】
図7では、第1乃至第3の参照ユーザ各々の対象期間における活動エリアが示されている。エリアR
1は対象期間における第1の参照ユーザの活動エリアであり、エリアR
2は対象期間における第2の参照ユーザの活動エリアであり、エリアR
3は対象期間における第3の参照ユーザの活動エリアである。
【0077】
判定部13は、各参照ユーザの活動エリアに、各参照ユーザの重みに応じたスコアを付す。複数の参照ユーザの活動エリアが重なっているエリアに対しては、判定部13は、複数の参照ユーザ各々の重みに応じたスコアを付す。例えば、判定部13は、複数の参照ユーザの活動エリアが重なっているエリアに対して、複数の参照ユーザ各々の重みに応じたスコアを足し合わせたスコアを付してもよい。
【0078】
ここで、重みを利用する処理の具体例を説明する。なお、ここで説明する具体例は、あくまで一例であり、これに限定されない。
【0079】
まず、第1の参照ユーザに対して重み「1.0」が設定され、第2の参照ユーザに対して重み「0.3」が設定され、第3の参照ユーザに対して重み「0.7」が設定されたとする。そして、各参照ユーザの活動エリアに、各参照ユーザの重みをスコアとして付すものとする。
【0080】
この場合、第1の参照ユーザの活動エリアであるエリアR1にはスコア「1.0」が付され、第2の参照ユーザの活動エリアであるエリアR2にはスコア「0.3」が付され、第3の参照ユーザの活動エリアであるエリアR3にはスコア「0.7」が付される。そして、エリアR1とエリアR2が重なりあったエリアにはスコア「1.3」が付され、エリアR1とエリアR3が重なりあったエリアにはスコア「1.7」が付され、エリアR2とエリアR3が重なりあったエリアにはスコア「1.0」が付され、エリアR1とエリアR2とエリアR3が重なりあったエリアにはスコア「2.0」が付されることとなる。
【0081】
判定部13は、このようにエリア毎にスコアを付した後、スコアが閾値以上のエリアを、対象期間における対象ユーザの活動エリアと判定する。
【0082】
本実施形態の処理装置10のその他の構成は、第1及び第2の実施形態の処理装置10の構成と同様である。
【0083】
本実施形態の処理装置10によれば、第1及び第2の実施形態の処理装置10と同様の作用効果が実現される。
【0084】
また、サーチ期間内に対象ユーザを含む画像を投稿したり、対象ユーザのことに言及したメッセージを投稿したり、対象ユーザをタグ付けした投稿情報を投稿したりした複数の参照ユーザの中においても、対象ユーザとの繋がり度合が様々なユーザが存在する。処理装置10は、このような複数の参照ユーザに対して、対象期間における対象ユーザの活動エリアの判定に役立つ度合に応じて参照ユーザに重みを設定し、当該重みを考慮して、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定することができる。結果、対象期間における対象ユーザの活動エリアを精度よく判定することができる。
【0085】
<第4の実施形態>
本実施形態の処理装置10は、対象期間内に対象ユーザによってソーシャルメディアに投稿された投稿情報の数が基準値未満、すなわち対象ユーザの活動エリアの推定のために不十分である場合に、第1乃至第3の実施形態で説明した処理で、対象期間内における対象ユーザの活動エリアを判定する。以下、詳細に説明する。
【0086】
判定部13は、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定する処理において、第1のモードと第2のモードとを有する。すなわち、判定部13は、第1のモード又は第2のモードで、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定することができる。
【0087】
第1のモードでは、判定部13は、対象ユーザによって投稿された投稿情報に基づき、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定する。例えば、判定部13は、特許文献1、非特許文献1乃至非特許文献5等に開示の技術を利用して、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定することができる。
【0088】
第2のモードでは、判定部13は、対象期間における参照ユーザの活動エリアに基づき、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定する。すなわち、第1乃至第3の実施形態で説明した処理が第2のモードである。
【0089】
判定部13は、対象期間内に対象ユーザによってソーシャルメディアに投稿された投稿情報の数が基準値以上である場合、第1のモードを実行する。そして、判定部13は、対象期間内に対象ユーザによってソーシャルメディアに投稿された投稿情報の数が基準値未満である場合、第2のモードを実行する。
【0090】
ここで、
図9のフローチャートを用いて、処理装置10の処理の流れの一例を説明する。
【0091】
処理装置10は、対象期間及び対象ユーザを示す情報(対象ユーザの識別情報)を取得すると(S20)、ソーシャルメディア上で公開されている公開情報に基づき、対象期間内に対象ユーザによって投稿された投稿情報の数をカウントする(S21)。
【0092】
カウント数が基準値以上である場合(S22のYes)、処理装置10は、第1のモードで、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定する。すなわち、処理装置10は、対象ユーザによって投稿された投稿情報に基づき、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定する。
【0093】
一方、カウント数が基準値未満である場合(S22のNo)、処理装置10は、第2のモードで、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定する。すなわち、処理装置10は、対象期間における参照ユーザの活動エリアに基づき、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定する。より詳細には、処理装置10は、上述した
図8のS11乃至S14の処理を実行する。
【0094】
本実施形態の処理装置10のその他の構成は、第1乃至第3の実施形態の処理装置10の構成と同様である。
【0095】
本実施形態の処理装置10によれば、第1乃至第3の実施形態の処理装置10と同様の作用効果が実現される。また、処理装置10は、対象期間内に対象ユーザによってソーシャルメディアに投稿された投稿情報の数に応じた適切なモードで、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定することができる。状況に応じた適切なモードを実行することで、対象期間における対象ユーザの活動エリアを精度よく判定することができる。
【0096】
<第5の実施形態>
本実施形態の処理装置10は、推定部12による参照ユーザの活動エリアの推定方法が具体化される。以下、詳細に説明する。
【0097】
図10に示すように、推定部12は、友人情報取得部121と、友人分布生成部122と、投稿情報取得部123と、投稿分布生成部124と、活動エリア分布生成部125とを有する。
【0098】
友人情報取得部121は、参照ユーザの友人(ソーシャルメディア上で繋がりのあるユーザ)の公開情報の中からプロフィールを取得する。「ソーシャルメディア上で繋がりのあるユーザ」、「公開情報」、「プロフィール」については、上述した通りである。
【0099】
友人分布生成部122は、友人情報取得部121が取得した参照ユーザの友人のプロフィールに基づき、参照ユーザの居住地の分布を示す居住地分布を生成する。居住地分布の生成方法は様々であるが、例えば下記式(1)の右辺の第1項が、居住地分布を生成する式の一例である。ちなみに、下記式(1)の右辺の第2項は、投稿分布を生成する式の一例である。
【0100】
投稿情報取得部123は、参照ユーザの公開情報の中から投稿場所及び投稿日時が示されている投稿情報を取得する。
【0101】
投稿分布生成部124は、投稿情報取得部123が取得した情報に基づき、対象期間における参照ユーザの投稿場所の分布を示す投稿場所分布を生成する。
【0102】
活動エリア分布生成部125は、居住地分布と投稿場所分布とに基づき、参照ユーザの活動エリアを推定する。以下、処理例を説明する。
【0103】
「第1の処理例」
例えば、活動エリア分布生成部125は、居住地分布と投稿場所分布とを掛け合わせたエリアを参照ユーザの活動エリアとしてもよい。当該手法の演算は、下記式(1)で示される。
【0104】
【0105】
右辺の第一項は居住地分布を表し、第二項は投稿場所分布を表す。これらの分布によって参照人物の活動エリアの分布を推定する。fはfriendの略である。fの添え字が付された変数は友人に関する変数である。pはpostの略である。pの添え字が付された変数は投稿に関する変数である。lfは参照ユーザの友人の居住地の集合、hfは友人用バンド幅、wfは友人用重み、Kfは友人用カーネル関数である。lpは参照ユーザの投稿場所の集合、hpは投稿用バンド幅、wpは投稿用重み、Kpは投稿用カーネル関数である。Lはlfとlpの集合を表す。
【0106】
バンド幅はカーネル密度推定において各標本の影響範囲を示すパラメータである。
【0107】
投稿用バンド幅は、投稿分布用の所定の値であり,予め設定されていてもよいし,予め複数の投稿場所から学習して得られた値でもよい。出力された活動エリア(推定結果)に応じて投稿用バンド幅を変更してもよい。
【0108】
友人用バンド幅は、友人分布用の所定の値であり、投稿用バンド幅と同様予め設定されていてもよいし、複数の友人の居住地から学習して得られた値でもよい。友人用バンド幅は投稿用バンド幅と異なってもよいし、同じでもよい。出力された活動エリア(推定結果)に応じて、友人用バンド幅を変更してもよい。
【0109】
「第2の処理例」
その他、活動エリア分布生成部125は、居住地分布と投稿場所分布とにおいて最も重なるエリアを、参照ユーザの活動エリアとして推定してもよい。
【0110】
「第3の処理例」
その他、活動エリア分布生成部125は、第2の処理例で想定した活動エリアから半径rkm以内を、参照エリアの活動エリアとして推定してもよい。
【0111】
本実施形態の処理装置10のその他の構成は、第1乃至第4の実施形態の処理装置10の構成と同様である。
【0112】
本実施形態の処理装置10によれば、第1乃至第4の実施形態の処理装置10と同様の作用効果が実現される。また、本実施形態の処理装置10によれば、参照ユーザの活動エリアを精度よく推定することができる。
【0113】
<変形例>
ここで、第1乃至第5の実施形態に適用可能な変形例を説明する。当該変形例においても、第1乃至第5の実施形態と同様の作用効果が実現される。
【0114】
「第1の変形例」
第1乃至第5の実施形態では、特定部11は、対象ユーザとソーシャルメディア上で繋がりのある複数のユーザの中から、対象ユーザと所定の関係を有する参照ユーザを特定した。第1の変形例では、ソーシャルメディアの全てのユーザの中から、対象ユーザと所定の関係を有する参照ユーザを特定してもよい。
【0115】
このようにした場合、第1乃至第5の実施形態で特定できた参照ユーザに加えて、ソーシャルメディア上及び現実空間のいずれにおいても対象ユーザと繋がりがないが、たまたま同じタイミングで同じ場所に居合せて、投稿画像の中に対象ユーザがたまたま写っていたユーザを参照ユーザとして特定することができる。
【0116】
「第2の変形例」
第5の実施形態で説明した推定部12の機能を利用して、対象期間における対象ユーザの活動エリアを判定してもよい。
【0117】
具体的には、友人情報取得部121は、対象ユーザとソーシャルメディア上で繋がりのあるユーザの公開情報の中からプロフィールを取得する。そして、友人分布生成部122は、友人情報取得部121が取得した対象ユーザとソーシャルメディア上で繋がりのあるユーザのプロフィールに基づき、対象ユーザの居住地の分布を示す居住地分布を生成する。
【0118】
投稿情報取得部123は、参照ユーザの公開情報の中から投稿場所及び投稿日時が示されている投稿情報を取得する。投稿分布生成部124は、投稿情報取得部123が取得した情報に基づき、対象期間における参照ユーザの投稿場所の分布を示す投稿場所分布を生成する。そして、投稿分布生成部124は、生成した対象期間における「参照ユーザ」の投稿場所の分布を示す投稿場所分布を、対象期間における「対象ユーザ」の投稿場所の分布を示す投稿場所分布として出力する。
【0119】
活動エリア分布生成部125は、友人情報取得部121が出力した対象ユーザの居住地の分布を示す居住地分布と、投稿分布生成部124が出力した対象ユーザの投稿場所の分布を示す投稿場所分布とに基づき、対象期間における対象ユーザの活動エリアを推定する。
【0120】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。上述した実施形態の構成は、互いに組み合わせたり、一部の構成を他の構成に入れ替えたりしてもよい。また、上述した実施形態の構成は、趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもよい。また、上述した各実施形態や変形例に開示される構成や処理を互いに組み合わせてもよい。
【0121】
また、上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、各実施の形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。各実施の形態では、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。また、上述の各実施の形態は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
【0122】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限られない。
1. 対象期間における活動エリアを推定する対象である対象ユーザと所定の関係を有する1人又は複数の参照ユーザを、前記対象期間に基づき設定されたサーチ期間内に各ユーザによってソーシャルメディアに投稿された投稿情報に基づき特定する特定手段と、
前記対象期間における前記参照ユーザの活動エリアを推定する推定手段と、
前記対象期間における前記参照ユーザの活動エリアに基づき、前記対象期間における前記対象ユーザの活動エリアを判定する判定手段と、
を有する処理装置。
2. 前記特定手段は、
ソーシャルメディア上で前記対象ユーザと繋がりのあるユーザを特定し、
特定したユーザの前記サーチ期間内の前記投稿情報に基づき、特定したユーザの中から前記参照ユーザを特定する1に記載の処理装置。
3. 前記所定の関係は、
前記サーチ期間内に前記対象ユーザを含む画像を投稿した、
前記サーチ期間内に前記対象ユーザのことに言及したメッセージを投稿した、及び、
前記サーチ期間内に前記対象ユーザをタグ付けした前記投稿情報を投稿した、
前記サーチ期間内に前記対象ユーザと同じタイミングで同じ場所にいたことがある、
の中の少なくとも1つを含む1又は2に記載の処理装置。
4. 前記判定手段は、
複数の前記参照ユーザ各々の前記サーチ期間内の前記投稿情報に基づき、複数の前記参照ユーザ各々に重みを設定し、
前記対象期間における複数の前記参照ユーザ各々の活動エリアと、複数の前記参照ユーザ各々の重みとに基づき、前記対象期間における前記対象ユーザの活動エリアを判定する1から3のいずれかに記載の処理装置。
5. 前記判定手段は、
前記サーチ期間内に投稿した前記対象ユーザを含む画像の数、
前記サーチ期間内に投稿した前記対象ユーザのことに言及したメッセージの数、及び、
前記サーチ期間内に投稿した前記対象ユーザをタグ付けした前記投稿情報の数、
の中の少なくとも1つに基づき、前記重みを設定する4に記載の処理装置。
6. 前記判定手段は、
前記サーチ期間内に前記対象ユーザを含む画像を投稿した日数、
前記サーチ期間内に前記対象ユーザのことに言及したメッセージを投稿した日数、及び、
前記サーチ期間内に前記対象ユーザをタグ付けした前記投稿情報を投稿した日数、
の中の少なくとも1つに基づき、前記重みを設定する4に記載の処理装置。
7. 前記対象期間内に前記対象ユーザによってソーシャルメディアに投稿された前記投稿情報の数は、基準値未満である1から6のいずれかに記載の処理装置。
8. 前記判定手段は、
前記対象ユーザによって投稿された前記投稿情報に基づき、前記対象期間における前記対象ユーザの活動エリアを判定する第1のモードと、前記対象期間における前記参照ユーザの活動エリアに基づき、前記対象期間における前記対象ユーザの活動エリアを判定する第2のモードと、を有し、
前記対象期間内に前記対象ユーザによってソーシャルメディアに投稿された前記投稿情報の数が基準値以上である場合、前記第1のモードを実行し、
前記対象期間内に前記対象ユーザによってソーシャルメディアに投稿された前記投稿情報の数が前記基準値未満である場合、前記第2のモードを実行する1から7のいずれかに記載の処理装置。
9. 1つ以上のコンピュータが、
対象期間における活動エリアを推定する対象である対象ユーザと所定の関係を有する1人又は複数の参照ユーザを、前記対象期間に基づき設定されたサーチ期間内に各ユーザによってソーシャルメディアに投稿された投稿情報に基づき特定し、
前記対象期間における前記参照ユーザの活動エリアを推定し、
前記対象期間における前記参照ユーザの活動エリアに基づき、前記対象期間における前記対象ユーザの活動エリアを判定する処理方法。
10. コンピュータを、
対象期間における活動エリアを推定する対象である対象ユーザと所定の関係を有する1人又は複数の参照ユーザを、前記対象期間に基づき設定されたサーチ期間内に各ユーザによってソーシャルメディアに投稿された投稿情報に基づき特定する特定手段、
前記対象期間における前記参照ユーザの活動エリアを推定する推定手段、
前記対象期間における前記参照ユーザの活動エリアに基づき、前記対象期間における前記対象ユーザの活動エリアを判定する判定手段、
として機能させるプログラム。
【符号の説明】
【0123】
10 処理装置
11 特定部
12 推定部
13 判定部
121 友人情報取得部
122 友人分布生成部
123 投稿情報取得部
124 投稿分布生成部
125 活動エリア分布生成部
1A プロセッサ
2A メモリ
3A 入出力I/F
4A 周辺回路
5A バス