(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082396
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】表面材
(51)【国際特許分類】
B32B 27/12 20060101AFI20240613BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20240613BHJP
D06N 7/04 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B32B27/12
B32B27/20 Z
D06N7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196211
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000229542
【氏名又は名称】日本バイリーン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】南出 慎介
(72)【発明者】
【氏名】臼田 啓治
【テーマコード(参考)】
4F055
4F100
【Fターム(参考)】
4F055AA21
4F055BA02
4F055DA12
4F055EA24
4F100AK01B
4F100AK25A
4F100AK25B
4F100AK41A
4F100BA02
4F100CA13B
4F100CA18A
4F100DC21B
4F100DD01B
4F100DE01B
4F100DG06A
4F100DG11A
4F100DG15A
4F100EC09
4F100EH46
4F100EJ86
4F100GB33
4F100HB00A
4F100HB00B
4F100HB31
4F100JL10A
4F100JL10B
4F100JM01A
4F100JM01B
4F100YY00A
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】
プリントを備える主面を触った際に人が覚える凹凸感が十分なものであり、触感に満足できる表面材の提供を課題とする。
【解決手段】
布帛と、樹脂および粒子を含み構成されているプリントとを備えており、前記布帛の少なくとも一方の主面に、部分的に前記プリントが存在している表面材において、プリントの存在態様と、当該プリントを備える主面を触った際に人が覚える凹凸感との間に相関関係があることを見出した。表面材の主面上における隣接するプリント部分同士の間隔が、283μmより大きく752μm未満である箇所を有することによって、当該プリントを備える主面を触った際に人が覚える凹凸感が十分なものであり、触感に満足できる表面材を実現できる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布帛と、樹脂および粒子を含み構成されているプリントとを備えており、
前記布帛の少なくとも一方の主面に、部分的に前記プリントが存在している、下記の構成を満足する点aと点bが存在する表面材。
記
1.前記部分的に存在している任意のプリントの輪郭における任意の一点(点a)を中心として、半径283μmの内円と半径752μmの外円を作図した際に、前記内円と前記外円で形成された円環における前記内円上と前記外円上を除いた領域内に、樹脂および粒子を含み構成されているプリントの輪郭が存在している、
2.前記点aと、前記領域内に存在するプリントの輪郭における任意の一点(点b)とを結ぶ線分Aを作成した際に、前記線分Aはその両端以外で前記プリントと交わることも、接することもない。
【請求項2】
布帛と、樹脂および粒子を含み構成されているプリントとを備えており、
前記布帛の少なくとも一方の主面に、部分的に前記プリントが複数存在している、下記の構成を満足する点a´と点b´が存在する表面材。
記
1.前記部分的に存在している任意のプリントの輪郭における任意の一点(点a´)と、前記任意のプリントに隣接して存在している、別の任意のプリントの輪郭における任意の一点(点b´)とを結ぶ線分A´を作成した際に、前記線分A´はその両端以外で前記プリントと交わることも、接することもない。
2.長さが283μmより大きく752μm未満の前記線分A´を作成可能である。
【請求項3】
布帛と、樹脂および粒子を含み構成されているプリントとを備えており、
前記布帛の少なくとも一方の主面に、部分的に前記プリントが存在している、表面材であって、
表面材のプリントが存在している主面における、表面試験機(KES-FB4)で測定した表面粗さ(SMD)が14.06より高い、
表面材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車などの内装を構成可能な、表面材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの内装を構成可能な表面材として、従来から、布帛(例えば、繊維ウェブ、不織布、織物、編物など)と、樹脂および粒子を含み構成されているプリントとを備えており、前記布帛の少なくとも一方の主面に前記プリントを備える表面材が使用されている。そして、当該表面材を意図した形状に成形して、内装を調製することが行われている。
【0003】
このような表面材として、例えば、特開2015-104848(特許文献1)や特開2016-147466(特許文献2)などに開示された表面材が知られている。そして、このようなプリントを備える表面材によって、色彩に富む意匠性を備えた内装を実現できる。更に、部分的にプリントが存在していることによって柄を表現でき、より意匠性に富む表面材を提供できる。
【0004】
また、近年では自動車などの内装にも触感の向上が求められている。本願出願人はこれまで、上述した構成を備える表面材について、プリントに含まれている中空粒子の平均粒子径の大きさと触感とが関係性を有するという知見を見出した。そして、当該知見のもと、国際公開WO2018/212245号(特許文献3)にも記載している通り、プリントに含まれる中空粒子の平均粒子径を最適化することで、触感に優れる内装を実現できる表面材を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-104848
【特許文献2】特開2016-147466
【特許文献3】国際公開WO2018/212245号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願出願人は、上述したような従来技術にかかる表面材、つまり、布帛の少なくとも一方の主面に、部分的に樹脂および粒子を含み構成されているプリントを備える表面材について検討した。しかしながら、従来技術にかかる表面材は、当該プリントを備える主面を触った際に人が覚える凹凸感に劣ることがあり、なお触感に満足できない表面材となることがあった。その結果、成形して触感に満足できる内装を実現できないことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の本発明は「布帛と、樹脂および粒子を含み構成されているプリントとを備えており、
前記布帛の少なくとも一方の主面に、部分的に前記プリントが存在している、下記の構成を満足する点aと点bが存在する表面材。
記
1.前記部分的に存在している任意のプリントの輪郭における任意の一点(点a)を中心として、半径283μmの内円と半径752μmの外円を作図した際に、前記内円と前記外円で形成された円環における前記内円上と前記外円上を除いた領域内に、樹脂および粒子を含み構成されているプリントの輪郭が存在している、
2.前記点aと、前記領域内に存在するプリントの輪郭における任意の一点(点b)とを結ぶ線分Aを作成した際に、前記線分Aはその両端以外で前記プリントと交わることも、接することもない。」である。
【0008】
第二の本発明は「布帛と、樹脂および粒子を含み構成されているプリントとを備えており、
前記布帛の少なくとも一方の主面に、部分的に前記プリントが複数存在している、下記の構成を満足する点a´と点b´が存在する表面材。
記
1.前記部分的に存在している任意のプリントの輪郭における任意の一点(点a´)と、前記任意のプリントに隣接して存在している、別の任意のプリントの輪郭における任意の一点(点b´)とを結ぶ線分A´を作成した際に、前記線分A´はその両端以外で前記プリントと交わることも、接することもない。
2.長さが283μmより大きく752μm未満の前記線分A´を作成可能である。」である。
【0009】
第三の本発明は「布帛と、樹脂および粒子を含み構成されているプリントとを備えており、
前記布帛の少なくとも一方の主面に、部分的に前記プリントが存在している、表面材であって、
表面材のプリントが存在している主面における、表面試験機(KES-FB4)で測定した表面粗さ(SMD)が14.06より高い、
表面材。」である。
【発明の効果】
【0010】
本願出願人が検討を続けた結果「布帛と、樹脂および粒子を含み構成されているプリントとを備えており、前記布帛の少なくとも一方の主面に、部分的に前記プリントが存在している」表面材において、プリントの存在態様と、当該プリントを備える主面を触った際に人が覚える凹凸感との間に相関関係があることを見出した。
【0011】
以上の知見をふまえ本願出願人は、「1.前記部分的に存在している任意のプリントの輪郭における任意の一点(点a)を中心として、半径283μmの内円と半径752μmの外円を作図した際に、前記内円と前記外円で形成された円環における前記内円上と前記外円上を除いた領域内に、樹脂および粒子を含み構成されているプリントの輪郭が存在している、
2.前記点aと、前記領域内に存在するプリントの輪郭における任意の一点(点b)とを結ぶ線分Aを作成した際に、前記線分Aはその両端以外で前記プリントと交わることも、接することもない態様のプリントを有していることによって、当該プリントを備える主面を触った際に人が覚える凹凸感が十分なものであり触感に満足できる、表面材を提供できることを見出した。
【0012】
特に、プリントを複数備える表面材においては、「1.前記部分的に存在している任意のプリントの輪郭における任意の一点(点a´)と、前記任意のプリントに隣接して存在している、別の任意のプリントの輪郭における任意の一点(点b´)とを結ぶ線分A´を作成した際に、前記線分A´はその両端以外で前記プリントと交わることも、接することもない。
2.長さが283μmより大きく752μm未満の前記線分A´を作成可能である」態様のプリントを有していることによって、当該プリントを備える主面を触った際に人が覚える凹凸感が十分なものであり触感に満足できる、表面材を提供できることを見出した。
また、本願出願人が検討を続けた結果「布帛と、樹脂および粒子を含み構成されているプリントとを備えており、前記布帛の少なくとも一方の主面に、部分的に前記プリントが存在している、表面材」について、当該プリントが存在している主面における、表面試験機(KES-FB4)で測定した表面粗さ(SMD)が14.06より高いことによって、プリントを備える主面を触った際に人が覚える凹凸感が十分なものであり触感に満足できる、表面材を提供できることを見出した。
【0013】
以上から、本発明にかかる表面材によって、触感に優れる内装を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明にかかる表面材の主面の一部を表した、模式図である。なお、白色で表した布帛の主面に、灰色で表した一つのプリントを備えている。
【
図2】本発明にかかる別の表面材の主面の一部を表した、模式図である。なお、白色で表した布帛の主面に、灰色で表した一つのプリントを備えている。
【
図3】(a)本発明にかかる更に別の表面材の主面の一部を表す、線分Aを作図した表面材の模式図である。なお、白色で表した布帛の主面に、灰色で表した複数のプリントを備えている。(b)本発明にかかる更に別の表面材の主面の一部を表す、線分A´を作図した表面材の模式図である。なお、白色で表した布帛の主面に、灰色で表した複数のプリントを備えている。
【
図4】(a)実施例1で調製した表面材の主面の一部を表した、線分Aを作図した表面材の模式図である。なお、白色で表した布帛の主面に、黒色で表した複数のプリントを備えている。(b)実施例1で調製した表面材の主面の一部を表した、線分A´を作図した表面材の模式図である。なお、白色で表した布帛の主面に、黒色で表した複数のプリントを備えている。
【
図5】
図3(b)に図示したプリント3
1と、作成した線分A´上に引いた直線Bを表した、拡大模式図である。
【
図6】
図4(b)に図示したプリント3
1と、作成した線分A´上に引いた直線Bを表した、拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明では、例えば以下の構成など、各種構成を適宜選択できる。なお、本発明で説明する各種測定は特に記載や規定のない限り、常圧のもと25℃温度条件下で測定を行う。そして、本発明で説明する各種測定結果は特に記載や規定のない限り、求める値よりも一桁小さな値まで測定で求め、当該値を四捨五入することで求める値を算出する。具体例として、小数第一位までが求める値である場合、測定によって小数第二位まで値を求め、得られた小数第二位の値を四捨五入することで小数第一位までの値を算出し、この値を求める値とする。また、本発明で例示する各上限値および各下限値は、任意に組み合わせることができる。
【0016】
本発明にかかる表面材は、布帛と、樹脂および粒子を含み構成されているプリントとを有しており、当該プリントは、布帛の少なくとも一方の主面に部分的に存在している。
【0017】
本発明でいう布帛とは、例えば、不織布あるいは織物や編み物などの、シート状の繊維集合体である。本発明の表面材は布帛を含んでいるため、柔軟性に富み金型への追従性に優れるなど成形性に優れる。特に、布帛として不織布を備えた表面材は、より柔軟性に富み成形性に優れ好ましい。
【0018】
布帛の構成繊維は、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をニトリル基またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)、スチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエーテル系樹脂(例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、二トリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)など、公知の樹脂を用いて構成できる。
【0019】
なお、これらの樹脂は、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また樹脂がブロック共重合体やランダム共重合体でも構わず、また樹脂の立体構造や結晶性の有無がいかなるものでも、特に限定されるものではない。更には、多成分の樹脂を混ぜ合わせたものでも良い。
【0020】
表面材に難燃性が求められる場合には、布帛の構成繊維が難燃性の樹脂を含んでいるのが好ましい。このような難燃性の樹脂として、例えば、モダアクリル樹脂、ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ノボロイド樹脂、ポリクラール樹脂、リン化合物を共重合したポリエステル樹脂、ハロゲン含有モノマーを共重合したアクリル樹脂、アラミド樹脂、ハロゲン系やリン系又は金属化合物系の難燃剤を練り込んだ樹脂などを挙げることができる。また、バインダ等を用いることで難燃剤を担持してもよい。
【0021】
構成繊維は、一種類の樹脂から構成されてなるものでも、複数種類の樹脂から構成されてなるものでも構わない。複数種類の樹脂から構成されてなる繊維として、一般的に複合繊維と称される、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型、バイメタル型などの態様であることができる。
【0022】
布帛が構成繊維として熱融着性繊維を含んでいる場合には、繊維同士を熱融着することによって、布帛に強度と形態安定性を付与でき好ましい。このような熱融着性繊維は、全融着型の熱融着性繊維であっても良いし、上述した複合繊維のような態様の一部融着型の熱融着性繊維であっても良い。熱融着性繊維において熱融着性を発揮する成分(樹脂)として、例えば、低融点ポリオレフィン系樹脂や低融点ポリエステル系樹脂を含む熱融着性繊維などを適宜選択して使用することができる。
【0023】
布帛が捲縮性繊維を含んでいる場合には、伸縮性が増して金型への追従性に優れ好ましい。このような捲縮性繊維として、例えば、潜在捲縮性繊維の捲縮を発現した捲縮性繊維やクリンプを有する繊維などを使用することができる。
【0024】
これらの構成繊維は、断面が略円形の繊維や楕円形の繊維以外にも異形断面繊維を含んでいてもよい。なお、異形断面繊維として、中空形状、三角形形状などの多角形形状、Y字形状などのアルファベット文字型形状、不定形形状、多葉形状、アスタリスク形状などの記号型形状、あるいはこれらの形状が複数結合した形状などの繊維断面を有する繊維であってもよい。
【0025】
構成繊維の繊度は特に限定するものではないが、剛性に優れる表面材を提供できるように、1dtex以上であるのが好ましく、1.5dtex以上であるのがより好ましく、2dtex以上であるのがより好ましい。他方、成形性に優れる表面材となるように、100dtex以下であるのが好ましく、50dtex以下であるのがより好ましく、30dtex以下であるのがより好ましく、10dtex以下であるのが更に好ましい。
【0026】
また、構成繊維の繊維長も特に限定するものではないが、剛性の観点から、20mm以上であるのが好ましく、25mm以上であるのがより好ましく、30mm以上であるのが更に好ましい。他方、繊維長が110mmを超えると、布帛の調製時に繊維塊が形成される傾向があり成形性が劣る表面材となるおそれや、触感が意図しないものとなり触感が悪くなるおそれがあることから、110mm以下であるのが好ましく、60mm以下であるのがより好ましい。なお、「繊維長」は、JIS L1015(2010)、8.4.1c)直接法(C法)に則って測定した値をいう。
【0027】
構成繊維は、例えば、溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法など)、複合繊維から一種類以上の樹脂成分を除去することで繊維径が細い繊維を抽出する方法、繊維を叩解して分割された繊維を得る方法など公知の方法により得ることができる。
【0028】
布帛が不織布である場合、例えば、上述の繊維をカード装置やエアレイ装置などへ供することで繊維を絡み合わせる乾式法、繊維を溶媒に分散させシート状に抄き繊維を絡み合わせる湿式法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法、紡糸原液と気体流を平行に吐出して紡糸する方法(例えば、特開2009-287138号公報に開示の方法)など)を用いて繊維の紡糸を行うと共にこれを捕集する方法、などによって調製できる。また、構成繊維を絡合および/または一体化させてもよい。構成繊維同士を絡合および/または一体化させる方法として、例えば、ニードルや水流によって絡合する方法、加熱処理へ供するなどしてバインダあるいは熱融着性繊維によって構成繊維同士を接着一体化あるいは溶融一体化させる方法などを挙げることができる。
【0029】
加熱処理の方法は適宜選択できるが、例えば、ロールにより加熱または加熱加圧する方法、オーブンドライヤー、遠赤外線ヒーター、乾熱乾燥機、熱風乾燥機などの加熱機へ供し加熱する方法、無圧下で赤外線を照射して含まれている樹脂を加熱する方法などを用いることができる。
【0030】
布帛を構成する繊維同士を接着するため、バインダを用いても良い。使用可能なバインダの種類は適宜選択するが、例えば、ポリオレフィン(変性ポリオレフィンなど)、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体などのエチレン-アクリレート共重合体、各種ゴムおよびその誘導体(スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)など)、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、エポキシ樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF-HFP)、アクリル系樹脂(アクリル酸エステル樹脂、アクリロニトリルスチレン共重合体樹脂など)、ポリウレタン樹脂などを使用できる。
【0031】
バインダがアクリル系樹脂を含有していると、金型を用いたヒートプレス等の熱成形時に適度に軟化するため、金型への追従性に優れる表面材を提供でき好ましい。
【0032】
布帛に含まれるバインダの目付は適宜選択するが、バインダ量が多いほどプリントを施す主面を平滑にして意図する触感を有する表面材を提供し易いことから、バインダの目付は、1g/m2以上であるのが好ましい。一方、バインダ量が過剰に多い場合には、柔軟性が劣る表面材となるおそれがあることから、バインダの目付は、50g/m2以下であるのが好ましく、30g/m2以下であるのが好ましく、10g/m2以下であるのが好ましい。
【0033】
また、バインダは、例えば、難燃剤、香料、顔料、抗菌剤、抗黴材、光触媒粒子、乳化剤、分散剤、界面活性剤、増粘剤などの添加剤を含有していてもよい。
【0034】
布帛が織物や編物である場合、上述のようにして調製した繊維を織るあるいは編むことで、織物や編物を調製できる。
【0035】
布帛の厚みや目付などの諸構成は、特に限定されるべきものではなく適宜調整する。布帛の厚みは、0.5~5mmであることができ、1~3mmであることができ、1.1~1.9mmであることができる。また、布帛の目付は、例えば、50~500g/m2であることができ、80~300g/m2であることができ、100~250g/m2であることができる。なお、本発明において厚みとは主面と垂直方向へ20g/cm2圧縮荷重をかけた時の当該垂直方向の長さをいい、目付とは布帛の最も広い面積を有する面(主面)における1m2あたりの質量をいう。
【0036】
本発明でいうプリントとは、布帛の少なくとも一方の主面において樹脂ならびに粒子が存在している部分(例えば、樹脂と粒子の混合物が存在している部分)を指し、主として表面材の意匠性ならびに触感を向上させる役割を担う。
【0037】
また、本発明にかかるプリントは、布帛の主面を構成する繊維上に樹脂や粒子が直接接触していることで、当該主面に存在している態様であることができる。あるいは、本発明にかかるプリントは、布帛との間に他の樹脂層(例えば、粒子を含有していない他の樹脂層)を介し、布帛の主面にプリントが存在している態様であることができる。具体的には、一方の主面からもう一方の主面に向かい、プリント‐他の樹脂層‐布帛という構成を備える表面材も本発明の構成を満足し得るものである。
【0038】
なお、プリントを構成する成分(樹脂や粒子など)の一部が、布帛の構成繊維間に入り込んでいてもよい。
【0039】
本発明にかかる表面材では、その主面に存在するプリントは当該主面における凸部となることで、主として表面材の主面に凹凸を与え触感を向上する役割を担う。そして、プリントに含有されている本発明にかかる粒子は、当該プリントを立体的な形状にして凸部を形成し維持する役割を担うものである。加えて、本発明にかかる表面材はプリント量が少なくとも当該粒子の存在によってプリントの凸部が形成されているため、プリント量を増量することなく触感に優れる表面材を実現でき、プリント量を増量することに伴い生じる成形性の低下が防止されている。更に、粒子の存在によって当該立体構造が成されているため、成形によってプリントが潰れるのが防止され、成形後も触感が維持できる。
【0040】
なお、当該粒子を用いることなく、表面材の主面に設けるプリント量を増量することでも、表面材の主面に凹凸を与え触感を向上し得ると考えられる。しかし、このような態様の表面材ではプリント量の増量に伴い、プリントにより表現される柄に滲みが生じて意匠性が劣るという問題が生じると共に、表面材が硬くなり成形性に劣るという問題が生じる。
【0041】
また、当該粒子を用いることなく、プリントに加熱すると気体を放出する発泡剤を混合してプリントの体積を増大することでも、表面材の主面に凹凸を与え触感を向上し得ると考えられる。しかし、このような態様の表面材では、成形時にプリントが容易に潰れてしまい、触感が維持できないという問題を有している。
【0042】
プリントに含まれている粒子の種類は適宜選択でき、中実粒子であっても中空粒子であってもよいが、触感が向上した表面材を提供し易いことから、中空粒子を採用するのが好ましい。また、粒子の構成成分も適宜選択でき、例えば、シリカやアルミナなどの無機成分で構成された無機粒子や有機樹脂で構成された有機粒子、あるいは、有機樹脂と無機成分を含んだ構成を備える粒子であってもよい。
【0043】
ここでいう中空粒子とは、内部に空洞を有する粒子を意味する。中空粒子は中実粒子よりも粒子径方向へ変形し易いため、人は中空粒子を含有する表面材の主面を触った際に、人は硬質なものを触った際の触感ではなく弾性を有するものを触った際の触感を感じる。その結果、表面材の主面を触った際に柔軟性が感じられ易くなることに起因して、触感が向上した表面材を提供できる。
【0044】
粒子を構成する成分は適宜選択できる。粒子が中空粒子である場合、粒子径方向へ変形し易い中空粒子であるよう、中空粒子を構成する成分は有機樹脂を含んでいるのが好ましい。また、中空粒子として、有機樹脂と無機成分を含んだ構成を備える中空粒子を採用すると、分散媒に中空粒子が均一に分散してなるプリント液を調製し易くなる。その結果、当該プリント液を布帛へ付与することで、中空粒子が均一に分布してなるプリントを備えた、より触感に優れる表面材を意図したとおり効率良く提供でき好ましい。
【0045】
中空粒子の具体例として、松本油脂製薬株式会社のMFL-81GTA、MFL-81GCA、MFL-SEVEN、MFL-HD30CA、MFL-HD60CA、MFL-100MCA、MFL-110CALなどを挙げることができる。また、加熱を受けることによって熱膨張する粒子を採用してもよい。このような粒子として、熱膨張して中空粒子となる、日本フィライト株式会社の920DU40、909DU80、930DU120などを挙げることができる。
【0046】
表面材が備えるプリントに含まれている粒子の平均粒子径は、プリントに含まれている各粒子の種類ごとに適宜調整する。
非特許文献「渡辺信一 他「触感覚による粒子群の認識と言語評価」、精密工学会誌、出版年月:2005.11、Vol.71、PP1421-1425」には、平均粒子径が106μmの粒子、および、それよりも平均粒子径が小さい粒子は、人の指の指紋の中に入り込み人の指の指紋にひっかかり易いという知見が開示されている。
【0047】
つまり、人が平均粒子径が106μm以下の粒子を含有するプリントを備えた表面材の主面を触った際に、当該主面上に露出している粒子が触っている人の指の指紋の中に入り込み人の指の指紋にひっかかり易い。その結果、人は表面材の当該主面上を指が滑り難く抵抗感を覚えることで、より凹凸感を覚えて触感に満足する表面材を実現し易い。
【0048】
そのため、プリントに含まれている主として触感向上に寄与する粒子(特に、上述したような中空粒子)の平均粒子径は106μm以下であるのが好ましい。なお、平均粒子径の下限は適宜選択できるが、粒子同士の凝集、粒子と樹脂との組み合わせ等を考慮すると10μm以上であるのが現実的である。また、前記非特許文献によれば、粒子の平均粒子径が余りにも小さい場合には、人が粒子を含有するプリントを備えた表面材の主面を触った際に覚える感覚が鈍いものとなり、触感の向上効果が意図せず低くなる恐れがあることから、粒子の平均粒子径は35μmよりも大きいのが好ましい。
【0049】
なお、本発明において粒子の平均粒子径は以下の方法で算出される値をいう。
(平均粒子径の算出方法)
(1)表面材におけるプリントに含まれている粒子を複数採取し、室温(25℃)雰囲気下に置いた当該複数の粒子の200倍の光学顕微鏡写真を撮影する。そして、写真に写る当該複数の粒子からランダムに10個の粒子を選出する。
(2)選出した10個の粒子の粒子径を各々算出し、算出した値の平均値を平均粒子径とする。なお、写真に写る粒子の面積と同じ面積を有する円の直径を算出し、その直径の値を粒子の粒子径とみなす。
【0050】
プリントに含まれている粒子における粒子径の変動係数(以降、CV値と略称することがある)は、各粒子の種類ごとに適宜選択できる。CV値が小さいほど粒子の分布が狭いことで、触感に優れる表面材を意図したとおり効率良く提供することができる。そのため、粒子における粒子径のCV値は、17%以下であるのが好ましく、16%以下であるのが好ましい。なお、下限値は適宜選択できるが、理想的には0%である。なお、当該CV値は、前述した(平均粒子径の算出方法)の(1)で選出した各粒子の粒子径から求めることができる。
【0051】
プリントは複数種類の粒子を含有していても良いが、より触感に優れる表面材を提供できるよう、主として触感向上に寄与する粒子として中空粒子のみを含有するプリントを備えた表面材であるのが好ましい。
【0052】
本発明にかかるプリントに含有されている樹脂は、主として表面材の意匠性(特に、樹脂が顔料を含んでいる場合)ならびに触感を向上させる役割を担うことができると共に、布帛の少なくとも一方の主面に粒子を担持する役割を担う。その種類は適宜選択でき、上述したバインダと同様の樹脂を採用することができる。特に、金型を用いたヒートプレス等の熱成形時に適度に軟化するため、金型へ追従し、成形性に優れる表面材を提供できることから、プリントを構成する樹脂がアクリル系樹脂を含んでいるのが好ましい。なお、プリントは、本発明にかかる粒子(例えば、中空粒子)以外に、例えば、難燃剤、香料、顔料、抗菌剤、抗黴材、光触媒、乳化剤、分散剤、界面活性剤、増粘剤、架橋剤などの添加剤を含有していてもよい。
【0053】
また、プリントに含まれている樹脂と粒子の質量比率は適宜調整できる。熱と圧力を作用させて厚さを薄くした場合であっても、触感に富む内装材を実現できるよう、主面に備えられたプリントに含まれている樹脂と粒子の質量比率は、7:1~1:1であるのが好ましく、4:1~1:1であるのがより好ましく、2:1~1:1であるのが更に好ましい。
【0054】
なお、主面に備えられたプリントに含まれている樹脂と粒子の質量比率は、表面材の製造工程を確認することで求めることができる。当該製造工程が不明である場合には、以下の方法で算出してもよい。
1.主面にプリントを備える表面材から、正方形形状の試料(タテ:50mm、ヨコ:50mm、タテ方向およびヨコ方向は主面上で互いに直角をなす)を採取する。また、当該試料の質量(単位:g)を量る。
2.試料からプリントの一部を採取し組成を確認することで、プリントを構成する樹脂と粒子の種類、および、プリントに含有されている樹脂と粒子の質量比率を確認する。
【0055】
本発明にかかる表面材は、布帛の少なくとも一方の主面に部分的にプリントを備えている。ここでいう、布帛の少なくとも一方の主面に部分的にプリントを備えているとは、後述する(プリント面積の百分率の求め方)で述べる方法により撮影した顕微鏡写真中に、プリントが存在している部分とプリントが存在していない部分とが認められる(後述するプリント面積の百分率が0%よりも多く100%未満)ことを意味する。
【0056】
布帛の一方の主面に占める、当該主面に存在しているプリント面積の百分率は、0%よりも多く100%未満である。具体的には、10~90%であることができ、15~80%であることができ、20~70%であることができる。
【0057】
なお、当該百分率は、以下の方法で算出できる。
(プリント面積の百分率の求め方)
1.表面材におけるプリントが存在している側の主面を30倍に拡大した顕微鏡写真(一辺50mmの正方形)を撮影する。このとき、中央にプリントが存在しているようにして、顕微鏡写真を撮影する。
2.当該主面の異なる場所ごとに顕微鏡写真を撮影して、合計10枚の顕微鏡写真を用意する。
3.各顕微鏡写真に写る当該主面に存在しているプリントの面積(単位:mm2)を、各々の顕微鏡写真ごとに算出する。
4.各プリント面積から算出したプリント面積の平均値(単位:mm2)を、以下の計算式へ代入してプリントの面積の百分率(単位:%)を算出する。
プリントの面積の百分率(%)=100×(各プリントの面積の平均値/2500)
【0058】
布帛の少なくとも一方の主面に存在するプリントの数は適宜調整でき、
図1~
図2に図示するような1つのプリントを備えた表面材であっても、
図3~
図4に図示するような複数のプリントを備えた表面材であってもよい。
【0059】
なお、
図1~
図2に図示するように、布帛におけるプリントを備える主面から筆を離すことなくプリントすべてを塗りつぶせる場合(このとき、プリントの同じ箇所を何度通っても良い)には、当該主面にプリントは1つのみ存在すると判断できるものである。また、布帛の少なくとも一方の主面に存在しているプリントについて、
図3~
図4に図示するように、布帛におけるプリントを備える主面から筆を離さなければプリントすべてを塗りつぶせない場合には、当該主面にプリントは複数存在するものであると判断できる。
【0060】
1つのプリントを備えた表面材として、V字状(
図1)、格子(
図2)や菱形格子(図示せず)などの、プリントを備えた表面材を例示できる。一方、複数のプリントを備えた表面材として、ストライプ柄など互いに平行を成す複数の直線(
図3)、格子や菱形格子を引いたと仮定した際の当該格子や当該菱形格子交点上に、複数のプリントが分散し存在している態様(
図4)などのプリントを備えた表面材を例示できる。
【0061】
なお、
図1、2に示すような1つのプリントと
図3、4に示すような複数のプリントとが混在している結果、複数のプリントを備える表面材であっても良い。
【0062】
本発明にかかる表面材には、その主面に、
1.前記部分的に存在している任意のプリントの輪郭における任意の一点(点a)を中心として、半径283μmの内円と半径752μmの外円を作図した際に、前記内円と前記外円で形成された円環における前記内円上と前記外円上を除いた領域内に、樹脂および粒子を含み構成されているプリントの輪郭が存在している、
2.前記点aと、前記領域内に存在するプリントの輪郭における任意の一点(点b)とを結ぶ線分Aを作成した際に、前記線分Aはその両端以外で前記プリントと交わることも、接することもない。
という態様でプリントが存在している。
【0063】
また、布帛の少なくとも一方の主面に、部分的に前記プリントが複数存在している、本発明にかかる表面材には、その主面に、
1.前記部分的に存在している任意のプリントの輪郭における任意の一点(点a´)と、前記任意のプリントに隣接して存在している、別の任意のプリントの輪郭における任意の一点(点b´)とを結ぶ線分A´を作成した際に、前記線分A´はその両端以外で前記プリントと交わることも、接することもない。
2.長さが283μmより大きく752μm未満の前記線分A´を作成可能である、
という態様でプリントが存在している。
【0064】
このような態様でプリントが存在していることによって、当該主面を触った際に人が覚える凹凸感が十分なものであり触感に満足できる、表面材(1)を提供できる。
本発明にかかる表面材において、プリントの存在態様を表す線分Aおよび線分A´の長さは、近くのプリント間の距離であり、プリントが存在しておらず、布帛表面が露出した表面の長さに相当し、本発明は、この長さと主面を触った際に人が覚える凹凸感が十分で、触感に満足できる感覚との相関関係を見出したものである。
【0065】
具体的には、線分Aおよび線分A´の長さは、その下限値が283μmより大きいものであって、300μm以上であるのが好ましく、350μm以上であるのが好ましく、392μm以上であるのが好ましく、一方その上限値は752μm未満であって、750μm以下であるのが好ましく、700μm以下であるのが好ましく、650μm以下であるのが好ましく、600μm以下であるのが好ましい。
【0066】
表面材が備えるプリントの存在態様を表す線分Aは、先述した(プリント面積の百分率の求め方)で述べる方法により撮影した顕微鏡写真を用いて、以下のようにして作成できる。また、線分Aの長さは、以下のようにして求めることができる。一例として
図1~
図2、
図3(a)および
図4(a)を用いて説明する。
【0067】
(1)プリント(3
1)が写るように顕微鏡写真を撮影する。
(2)顕微鏡写真に写るプリント(3
1)の輪郭における任意の一点(a)を中心(a)として、前記一方の主面上に、半径283μmの内円(4、破線で図示)と半径752μmの外円(5、破線で図示)を有する円環(6)を、顕微鏡写真上に作図する。
(3)作図した円環(6)における内円(4)上と外円(5)上を除いた領域内に、樹脂および粒子を含み構成されているプリントの輪郭(
図1~
図2ではプリント3
1の別部分の輪郭、
図3(a)および
図4(a)では別のプリント3
3の輪郭)が存在しているか否かを確認する。
(4)前述した(3)において、プリントの輪郭(
図1~
図2ではプリント3
1の別部分の輪郭、
図3(a)および
図4(a)では別のプリント3
3の輪郭)が存在していた場合には、点aと、前述した円環(6)の領域内に存在する当該プリントの輪郭における任意の一点(点b)とを結ぶ線分Aを作成する。
(5)作成した線分Aは、その両端以外で前記プリント(3
1、3
3)と交わるか、また、接するか否かを確認する。ここでいう、線分Aがその両端以外でプリント(3
1、3
3)と交わることも、接することもないとは、線分Aにおける両端以外の部分はそのどこにおいても、プリント(3
1、3
3)と重なっても、プリント(3
1、3
3)と接してもいないことを意味する。
(6)前述した(5)において、両端以外で前記プリント(3
1)と交わることも、接することもない線分Aであった場合には、当該線分Aの長さを測定する。
【0068】
なお、測定された当該線分Aの長さは、283μmより大きく752μm未満である。
また、表面材が備える複数のプリントの存在態様を表す線分A´は、先述した(プリント面積の百分率の求め方)で述べる方法により撮影した顕微鏡写真を用いて、以下のようにして作成できる。また、線分A´の長さは、以下のようにして求めることができる。一例として
図3(b)および
図4(b)を用いて説明する。
【0069】
(1)複数のプリント(31、33)が写るように顕微鏡写真を撮影する。
(2)顕微鏡写真に写るプリント(例えば、31)の輪郭における任意の一点(a´)と、前記任意のプリント(31)に隣接して存在している、別の任意のプリント(例えば、33)の輪郭における任意の一点(点b´)とを結ぶ線分A´を作成する。
(3)作成した線分A´は、その両端以外で前記プリント(31、33)と交わるか、また、接するか否かを確認する。ここでいう、線分A´がその両端以外でプリント(31、33)と交わることも、接することもないとは、線分A´における両端以外の部分はそのどこにおいても、プリント(31、33)と重なっても、プリント(31、33)と接してもいないことを意味する。
(4)前述した(3)において、両端以外で前記プリント(31、33)と交わることも、接することもない線分A´であった場合には、当該線分A´の長さを測定する。
【0070】
本発明にかかる表面材が上述した存在態様のプリントを備えている場合、当該表面材におけるプリントが露出し存在している主面を、人が指を一直線に動かし触った際に、指の腹はプリントの存在を感じてから次のプリントの存在を感じるまでの間、プリントの存在していない主面部分を触ることとなり凹凸感を感じる。このとき、本願出願人は、表面材の主面における凸部であるプリント同士が離間する距離を、283μmより大きく752μm未満に調整することによって、プリントを備える主面を触った際に人が覚える凹凸感が十分なものであり触感に満足できる、表面材を提供できることを見出したものである。
【0071】
また、本発明にかかる表面材(1)は、上述した線分Aあるいは線分A´を作成可能な態様で存在するプリントを備えていることで触感が向上しているものであるが、より触感に優れる表面材であるように、プリント(31)以外にも上述した存在態様を有する他のプリント(31以外のプリント)を備えている表面材であるのが好ましい。また、表面材(1)が備えるいずれのプリントも、上述した線分Aあるいは線分A´を作成可能な態様で存在しているのがより好ましい。
【0072】
特に、表面材(1)が備えるプリント(31)の輪郭におけるいずれの任意の一点(a)においても、上述した線分Aあるいは線分A´を作成可能であるのがより好ましい。
【0073】
また、表面材(1)が備える全ての別のプリントの輪郭におけるいずれの任意の一点(a)においても、上述した線分Aあるいは線分A´を作成可能であるのがより好ましい。このような態様のプリントを備える表面材であることによって、主面上のどの方向へ向かい、人が指を一直線に動かし触った場合であっても、プリントを備える主面を触った際に人が覚える凹凸感が十分なものであり触感に満足できる、表面材を提供できる。
【0074】
更に、プリントの幅は適宜調整できるが、プリントの幅を調整することによって、当該主面を触った際に人が覚える凹凸感が十分なものであり触感に満足する表面材を提供し易い。そのため、当該プリントの幅の下限は0μmより大きく、100μm以上であるのが好ましく、200μm以上であるのが好ましく、300μm以上であるのが好ましく、400μm以上であるのが好ましく、500μm以上であるのが好ましく、597μm以上であるのが好ましい。一方、当該プリントの幅の上限もまた、当該主面を触った際に人が覚える凹凸感が十分なものであり触感に満足する表面材を提供できるよう適宜調するが、2104μm未満であるのがより好ましく、2100μm以下であるのがより好ましく、2000μm以下であるのが好ましく、1900μm以下であるのが好ましい。
【0075】
なお、当該プリントの幅は、以下に述べる方法により求めることができる。複数のプリントを備えている表面材が備えるプリントの幅について、一例として、
図5および
図6を用いて説明する。
【0076】
(1)各プリントにおける顕微鏡写真上に作図可能な線分A´のうち、最も短い線分上に直線を引く。一例として
図5および
図6に、最も短い線分A´上に引いた直線Bを図示する。
図5は
図3(b)のプリント(3
1)に作図した最も短い線分A´上に引いた直線Bを図示し、
図6は
図4(b)のプリント(3
1)に作図した最も短い線分A´上に引いた直線Bを図示している。なお、
図5および
図6では、直線Bにおけるプリント3
1と重なっている部分は白線として図示している。
(2)作図した直線Bにおけるプリント3
1と重なっている部分の長さ(
図5および
図6では、直線Bにおける白線部分の長さ、単位:μm)を求め、これをプリントの幅(単位:μm)とする。
【0077】
また、一つのプリントを備えている表面材が備えるプリント(例えば、
図1~
図2)の幅の求め方についても、線分A´を線分Aに読み替えることで、上述した方法と同様にしてプリントの幅を求めることができる。
【0078】
なお、本発明にかかる表面材(1)は、上述したプリントの幅を有することで、触感に満足する表面材を提供し易いものであるが、より触感に満足する表面材を提供し易いように、プリント(3
1)以外にも上述した幅を有する他のプリント(例えば、
図3、
図4のプリント3
3)を備えている表面材であるのが好ましく、いずれのプリントも上述した幅を有する表面材(1)であるのがより好ましい。
【0079】
表面材の主面に備えるプリントの目付は、5~100g/m2であることができ、7~70g/m2であることができ、10~40g/m2であることができる。
【0080】
また、表面材は布帛の少なくとも一方の主面における一部あるいは全面に渡り、本発明にかかるプリント以外の、組成が異なる別のプリント(例えば、中空粒子を含んでいないプリント)を備えていても良い。
【0081】
また、表面試験機(KES-FB4)により測定される表面粗さ(SMD)が14.06よりも高い主面を有する表面材(1)は、当該主面を触った際に人が覚える凹凸感が十分な表面材(1)である。
【0082】
なお、本願出願人は、表面試験機(KES-FB4)により測定される表面粗さ(SMD)によって、表面材の主面が有する凹凸の程度は評価可能であることを見出した。また、後述する実施例の結果からも明らかとなった通り、布帛と、樹脂および粒子を含み構成されているプリントとを備える表面材であって、布帛の少なくとも一方の主面に、部分的に前記プリントが存在している表面材において、一方の主面における当該SMDの値が14.06よりも高い主面(プリントを備える主面)を有する表面材は、当該主面を触った際に人が覚える凹凸感が十分なものであることを見出した。
【0083】
SMDの値が高いほど、表面材の主面に存在する凹凸が大きいことを意味する。そのため、当該主面を触った際に人が覚える凹凸感が更に十分なものであるよう、当該SMDの値は14.50以上であるのが好ましく、15.00以上であるのが好ましく、15.30以上であるのが好ましい。また、上限値は適宜調整可能なものであるが、当該SMDの値が過剰に高い場合には、主面を触った際に人がざらざらとした感覚を覚えて触感が悪く感じる恐れがある。そのため、当該SMDの値が20.23以下の主面(表面材におけるプリントを備える主面)を有する表面材であるのが好ましい。
【0084】
この表面粗さ(SMD)は表面試験機(KES-FB4)を用いて測定される値である。具体的には、表面材から採取した試料(20cm角)を試験機に400gの荷重をかけてセットする。そして、粗さ接触子(0.5mmワイヤー、接触面幅:5mm)に10.0gの加重をかけて、試料におけるプリントを備える主面に接触させた状態で、試料を1mm/sec.の速度で直線方向に移動させることで測定された、試料の厚さ方向における長さの平均偏差を意味する。
【0085】
なお、測定を行うに際し、先述したプリントの幅の求め方において作図されたいずれかの直線B上をなぞり、粗さ接触子が移動するようにして測定を行う。
【0086】
また、プリントは布帛の一方の主面のみに存在する態様以外にも、布帛におけるもう一方の主面にもプリントが存在していても良い。なお、布帛の両主面にプリントが存在する場合、布帛の両主面に存在するプリントが、ともに本発明にかかる構成を備えていても良いし、いずれか一方の主面のみが本発明にかかる構成を備えていても良い。
【0087】
表面材の厚みや目付などの諸構成は、特に限定されるべきものではなく適宜調整する。表面材の厚みは、0.5~5mmであることができ、1~3mmであることができ、1.1~1.9mmであることができる。また、表面材の目付は、例えば、50~500g/m2であることができ、80~300g/m2であることができ、100~250g/m2であることができる。
【0088】
本発明の表面材は、更に別の多孔体、フィルム、発泡体などの構成部材を備えていてもよい。これらの構成部材は表面材における、プリントが存在している側の主面とは異なる主面側に積層して設けるのが好ましい。
【0089】
次に、本発明の表面材の製造方法について説明する。なお、上述の表面材について説明した項目と構成を同じくする点については説明を省略する。
【0090】
本発明にかかる表面材の製造方法は適宜選択することができるが、一例として、
工程1.布帛を用意する工程、
工程2.プリントを構成可能な樹脂と粒子を分散媒に混合して、プリント液を調製する工程、
工程3.布帛の少なくとも一方の主面へ、部分的にプリント液を付与する工程、
工程4.プリント液を付与した布帛を加熱することで分散媒を除去する工程、
を備える、表面材の製造方法を挙げることができる。
【0091】
工程1について説明する。
【0092】
布帛として、例えば、繊維ウェブや不織布、あるいは、織物や編み物などの、シート状の布帛を用意する。なお、布帛における構成繊維の繊度や繊維長、布帛の厚みや目付は上述した数値のものを採用することができる。
【0093】
工程2について説明する。
【0094】
分散媒の種類は適宜選択できるが、布帛の一方の主面へ求める態様で部分的にプリント液を付与できるよう、プリントを構成可能な樹脂が溶解すると共に、粒子が溶解せず分散可能な分散媒を採用する、あるいは、プリントを構成可能な樹脂粒子および粒子が溶解せず分散可能な分散媒を採用するのが好ましい。
【0095】
また、プリント液には、例えば、難燃剤、香料、顔料、抗菌剤、抗黴材、光触媒、乳化剤、分散剤、界面活性剤、増粘剤、架橋剤などの添加剤を溶解あるいは分散させ、含有させてもよい。特に、プリント液が顔料を含んでいると、意匠性に優れる表面材を提供でき好ましい。
【0096】
工程3について説明する。
【0097】
布帛の一方の主面へ、部分的にプリント液を付与する方法は適宜選択できるが、布帛の一方の主面にプリント液をそのまま、あるいは泡立てた状態で、スプレーやグラビアロールあるいはシリンダなどを用いて、布帛の主面へ柄を形成するようにプリントして付与する方法などを選択できる。なお、一種類のプリント液を付与する以外にも、他のプリント液を付与しても良い。また、付与する他のプリント液の各組成(含有されている粒子の組成、粒子の有無、柄、プリント液の組成)や、他のプリント液の付与態様は異なっていても良い。
【0098】
工程4について説明する。
【0099】
分散媒を除去してプリントを備える布帛を調製する方法は適宜選択できるが、例えば、オーブンドライヤー、遠赤外線ヒーター、乾熱乾燥機、熱風乾燥機などの加熱機へ供し加熱する、室温雰囲気下や減圧雰囲気下に静置するなどして、分散媒を蒸発させ除去できる。分散媒を除去する際の加熱温度は分散媒が揮発可能な温度であると共に、布帛や中空粒子など構成部材の形状や機能などが意図せず低下することがないよう、加熱温度の上限を選択する。なお、本工程によって構成繊維同士をバインダで接着する、あるいは、構成繊維に含まれる熱可塑性成分を溶融させ接着することで、不織布を形成してもよい。また、本工程によって、架橋剤で前記樹脂を架橋させてもよい。
【0100】
また、粒子が加熱により熱膨張する粒子である場合には、本工程で粒子を熱膨張させても良い。
【0101】
上述の表面材の製造方法では、更に別の多孔体、フィルム、発泡体などの構成部材を積層する工程、用途や使用態様に合わせて形状を打ち抜くなどして加工する工程などの、各種二次工程を備えた表面材の製造方法であってもよい。なお、これらの構成部材は表面材における、プリントが存在している側の主面とは異なる主面側に積層して備えることができる。
【実施例0102】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0103】
(布帛の調製)
原着ポリエステル繊維(繊度:2.2dtex、繊維長:38mm)をカード機により開繊して繊維ウェブを形成した後、片面から針密度400本/m2でニードルパンチ処理を行った。その後、熱ロール間(ギャップ間隔:0.4mm、ロール加熱温度:165℃)へ供することで、ニードルパンチ不織布(目付:180g/m2、厚み:1.5mm)を調製した。
次いで、ニードルパンチ不織布のニードリングを施した面とは反対の面から、以下に記載の割合で配合したバインダ液を泡立てた状態で付与し、加熱温度を25℃となるよう調整したロール間(ギャップ間隔:0.25mm)へ供した。その後、温度160℃のキャンドライヤーで乾燥することで、バインダ接着不織布(目付:185g/m2、厚み:1.6mm、密度:116kg/m3)を調製した。
【0104】
なお、バインダ液の組成は以下の通りであった。
・アクリル酸エステル樹脂エマルジョン(アクリル酸エステル樹脂のTg:-40℃、アクリル酸エステル樹脂エマルジョンの固形分質量:50質量%):4.8質量部
・界面活性剤:0.5質量部
・25%アンモニア水:0.1質量部
・水:94.6質量部
【0105】
(プリント液の調製)
表1に記載した組成のプリント液1およびプリント液2を用意した。なお、含有していない成分については表中に「―」印を記載した。また、アクリル酸エステル樹脂エマルジョン1およびアクリル酸エステル樹脂エマルジョン2の詳細、ならびに、中空粒子と黒色顔料の詳細は以下の通りである。
・アクリル酸エステル樹脂エマルジョン1(アクリル酸エステル樹脂のTg:-5℃、アクリル酸エステル樹脂エマルジョンの固形分質量:45質量%)
・アクリル酸エステル樹脂エマルジョン2(アクリル酸エステル樹脂のTg:-5℃、アクリル酸エステル樹脂エマルジョンの固形分質量:28質量%)
・中空粒子:日本フィライト株式会社製 EXPANCEL(登録商標)920-40DU(液状ガスを内包した樹脂殻からなる123℃以上の温度雰囲気下で熱膨張する中空粒子)
・黒色顔料:平均粒子径が0.5μm未満である、中実の粒子形状を有する。
【0106】
【0107】
(実施例1)
バインダ接着不織布におけるバインダ液を塗布した側の主面に対して、シリンダを用いて当該主面上全体にわたってプリント液1を、
図4に図示したように主面に複数の平行四辺形のプリントが分散し存在しているようにして、部分的に付与した。なお、バインダ接着不織布の主面上に菱形格子を引いたと仮定した際の、当該菱形格子の交点上に平行四辺形のプリントが存在するようにして、プリント液1を部分的に付与した。その後、加熱温度を160℃に調整したドライヤーで乾燥することで、中空粒子を熱膨張させると共にバインダ液1に含まれる水を除去した。
このようにして、一方の主面上全体にわたって、
図4に図示したように主面に複数の平行四辺形のプリントが分散し存在している、表面材を調製した。なお、表面材の主面上に菱形格子を引いたと仮定した際の、当該菱形格子の交点上に平行四辺形のプリントが存在していた。
なお、以上のようにして調製した表面材のプリントに含まれる、熱膨張した中空粒子の平均粒子径は55.5μmであった。
【0108】
(比較例1~7、実施例2~9)
バインダ接着不織布におけるバインダ液を塗布した側の主面に対して、シリンダを用いて当該主面上全体にわたってプリント液2を、複数の直線形状を成すことで互いに平行を成すストライプ柄を形成するようにして付与した。なお、プリント同士の間隔(ピッチ)およびプリントの幅が、各実施例および各比較例で異なるようにして、プリント液2の付与態様を変更した。
その後、加熱温度を160℃に調整したドライヤーで乾燥することで、中空粒子を熱膨張させると共にバインダ液2に含まれる水を除去した。
このようにして、バインダ接着不織布における一方の主面上全体にわたって、複数の直線形状を成すことで互いに平行を成すストライプ柄を形成するプリントを備えた、表面材を調製した。
なお、以上のようにして調製した各表面材のプリントに含まれる、熱膨張した中空粒子の平均粒子径はいずれも55.5μmであった。
【0109】
以上のようにして調製した各種表面材について、顕微鏡写真上に作図される線分A´(同様に線分A)の長さ(表2では「長さ」欄に記載、単位:μm)、および、顕微鏡写真上に写るプリントの幅(表2では「幅」欄に記載、単位:μm)、プリントを備える主面におけるSMD、プリントを備える主面を触った際に感じる触感の評価結果を表2にまとめた。
【0110】
なお、作図した線分A´(同様に線分A)は、隣接するプリント同士を結ぶ線分のうち最も短い線分であった。このようにして各プリントに対し作成した各線分A´(同様に各線分A)は、いずれも同じ長さ(単位:μm)を有していた。
【0111】
また、このようにして各プリントに対し作成した各線分A´(同様に各線分A)を用いて求められた各プリントの幅は、いずれも同じ長さ(単位:μm)を有していた。
【0112】
なお、プリントを備える主面を触った際に感じる触感の評価は、以下の方法で求めた。
(触感の評価方法)
表面材を一辺25cmの正方形に打ち抜いた。そして、打ち抜かれた表面材におけるプリントが露出し存在している主面(プリント液を付与した側の主面)における、SMD測定時に粗さ接触子を接触させた場所をなぞるようにして、モニターの指を直線方向に移動させ、モニターの指の腹で触らせた。
まず、比較例2の表面材を触った際に感じられた触感を基準として「×」と評価し、表中の触感欄に「×」印を記載した。なお、比較例2の表面材を触った際に感じられた触感は、凹凸感が十分でなく触感に満足できなかったものであった。
また、比較例2の表面材を触った際に感じられた触感と同じ、あるいは、それよりも凹凸感が十分でなく触感に満足できなかったと感じられた表面材は、表中の触感欄に「×」印を記載した。
一方、比較例2の表面材を触った際に感じられた触感よりも凹凸感が十分なものであり触感に満足したと感じられた表面材は、表中の触感欄に「〇」印を記載した。
【0113】
【0114】
以上の結果から、比較例で調製した表面材よりも、実施例で調製した表面材の方が触感に優れていた。
【0115】
このような触感に優れる実施例で調製した表面材はその主面に、樹脂および粒子を含み構成されているプリントが、
1.前記部分的に存在している任意のプリントの輪郭における任意の一点(点a)を中心として、半径283μmの内円と半径752μmの外円を作図した際に、前記内円と前記外円で形成された円環における前記内円上と前記外円上を除いた領域内に、樹脂および粒子を含み構成されているプリントの輪郭が存在している、
2.前記点aと、前記領域内に存在するプリントの輪郭における任意の一点(点b)とを結ぶ線分Aを作成した際に、前記線分Aはその両端以外で前記プリントと交わることも、接することもない、
という態様で存在しているものであった。
【0116】
また、実施例で調製した表面材はその主面に、樹脂および粒子を含み構成されているプリントが、
1.前記部分的に存在している任意のプリントの輪郭における任意の一点(点a´)と、前記任意のプリントに隣接して存在している、別の任意のプリントの輪郭における任意の一点(点b´)とを結ぶ線分A´を作成した際に、前記線分A´はその両端以外で前記プリントと交わることも、接することもない。
2.長さが283μmより大きく752μm未満の前記線分A´を作成可能である、
という態様で存在しているものであった。
【0117】
加えて、比較例で調製した表面材のSMDはいずれも14.06以下であったのに対し、実施例で調製した表面材のSMDはいずれも14.06より高いものであった。
なお、上述した実施例で調製した表面材が有するプリントは、いずれも、0μmより大きく2104μm未満の幅を有するものであった。
本発明の表面材は、天井、ドアサイド、ピラーガーニッシュ、リヤパッケージなど自動車用;パーティションなどのインテリア用;壁装材などの建材用に、好適に使用することができる。