(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082417
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】装置及び方法
(51)【国際特許分類】
F04B 43/02 20060101AFI20240613BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20240613BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
F04B43/02 B
C12M1/00 A
G01N1/00 101F
F04B43/02 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196248
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 啓太
【テーマコード(参考)】
2G052
3H077
4B029
【Fターム(参考)】
2G052AD06
2G052CA12
2G052FB10
3H077AA01
3H077CC09
3H077DD07
3H077EE16
3H077FF07
3H077FF31
4B029AA27
4B029BB01
4B029CC01
4B029DF10
4B029DG10
4B029GB10
(57)【要約】
【課題】対象液を流路内に効率的に流すこと。
【解決手段】実施形態に係る装置は、内部に流路を備える部材と、前記流路の内壁の第1の面に設けられ、前記内壁のうち前記第1の面と反対側に位置する第2の面との距離が対象液の流れ方向の下流側に向けて小さくなるように配置された斜面を備える突起と、前記突起を、前記流れ方向と交差する交差方向に振動させる振動子とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流路を備える部材と、
前記流路の内壁の第1の面に設けられ、前記内壁のうち前記第1の面と反対側に位置する第2の面との距離が対象液の流れ方向の下流側に向けて小さくなるように配置された斜面を備える突起と、
前記突起を、前記流れ方向と交差する交差方向に振動させる振動子と
を備える、装置。
【請求項2】
前記突起は、前記第1の面に対して直交し且つ前記流れ方向に対して平行な平面上の断面形状が直角三角形となる形状を有し、当該直角三角形の斜辺は前記斜面に対応する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記突起は、多面体であり、
前記多面体は、前記流れ方向の下流側に向けて前記第2の面との距離が小さくなるように配置された第1斜面と、前記流れ方向の下流側に向けて前記第2の面との距離が大きくなるように配置された第2斜面とを備え、前記第1斜面は前記第2斜面より大きい、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記突起を複数備え、
複数の前記突起のそれぞれは、前記流路よりも小さい幅を有し、前記流れ方向に沿って直線状に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記突起を複数備え、
複数の前記突起のそれぞれは、前記流路よりも小さい幅を有し、前記第1の面に対して平行で前記流れ方向に直交する方向に異なる位置に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記振動子は、前記部材の外壁に接することで前記突起を前記交差方向に振動させる加振器である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記部材は、第1の部材と、当該第1の部材に対して前記交差方向に動くことのできる第2の部材とを含み、
前記突起は、前記第2の部材に対して配置され、
前記振動子は、前記第1の部材に対する前記第2の部材の位置を前記交差方向に動かすことにより、前記突起を前記交差方向に振動させる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記部材は、第1の部材と、変形可能な第2の部材とを含み、
前記突起は、前記第2の部材に対して配置され、
前記振動子は、前記第1の部材と前記第2の部材との接続部を固定端、前記第2の部材を弦として振動させることにより、前記突起を前記交差方向に振動させる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記部材は、孔を備え、
前記突起は、前記孔の内部に前記交差方向に移動可能に配置され、
前記振動子は、前記孔の内部での前記突起の位置を前記交差方向に動かすことにより、前記突起を前記交差方向に振動させる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
流路の内壁の第1の面に設けられ、前記内壁のうち前記第1の面と反対側に位置する第2の面との距離が対象液の流れ方向の下流側に向けて小さくなるように配置された斜面を備える突起を、前記流れ方向と交差する交差方向に振動させる
ことを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、流路内に対象液を流して、検体検査や細胞培養、化学分析等を行なう方法が提案されている。この方法では、流路の断面積を小さくするほど使用する対象液の量を削減することができる。従って、貴重な対象液を使用する際には、必要最低限の流路断面積が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、対象液を流路内に効率的に流すことである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る装置は、内部に流路を備える部材と、前記流路の内壁の第1の面に設けられ、前記内壁のうち前記第1の面と反対側に位置する第2の面との距離が対象液の流れ方向の下流側に向けて小さくなるように配置された斜面を備える突起と、前記突起を、前記流れ方向と交差する交差方向に振動させる振動子とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態に係る流路の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る流路に対象液を流す方法の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る装置の構成例を示す図である。
【
図4A】
図4Aは、実施形態に係る流路内の対象液に加わる駆動力について説明するための図である。
【
図4B】
図4Bは、実施形態に係る流路内の対象液に加わる駆動力について説明するための図である。
【
図5A】
図5Aは、実施形態に係る突起の形状の一例を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、実施形態に係る突起の形状の一例を示す図である。
【
図6A】
図6Aは、実施形態に係る突起の配置の一例を示す図である。
【
図6B】
図6Bは、実施形態に係る突起の配置の一例を示す図である。
【
図7A】
図7Aは、実施形態に係る突起を振動させる方法の一例を示す図である。
【
図7B】
図7Bは、実施形態に係る突起を振動させる方法の一例を示す図である。
【
図7C】
図7Cは、実施形態に係る突起を振動させる方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、装置及び方法の実施形態について詳細に説明する。
【0008】
(実施形態)
図1に流路の一例を示す。
図1の流路は、部材10の内部に設けられた隙間であり、当該流路を対象液が流れることにより、検体検査や細胞培養、化学分析等が実行される。なお、対象液の種類については特に限定されるものではなく、試料(サンプル)や試液、その他の薬品であってもよい。
【0009】
図1においてX方向、Y方向及びZ方向は互いに直交する。以下では、流路内における対象液の流れ方向をX方向とし、当該流れ方向の下流側を+X方向として説明する。YZ平面における流路の面積は、流路の断面積に対応する。Y方向又はZ方向が鉛直方向に対応するように配置されてもよいが、この点は特に限定されるものではない。
【0010】
対象液の使用量を減らすためには、流路の断面積を小さくすることが好ましい。流路の具体的な寸法は用途によって様々だが、例えば、
図1に示す流路のY方向の幅「ΔY」は「300μm」以下に設計される。これに対して流路の長さ「ΔX」は長く、「数cm」程度に設計される場合もある。このような微細な流路においては表面張力の影響が大きく、重力や流路内壁の濡れ性による駆動力のみで対象液を流路内に流すことは難しい。
【0011】
微細な流路に対象液を流すための方法として、対象液に対してポンプで圧力を加えることが考えられる。例えば、
図2では、流路の上流側の端部にコネクタ21a及びチューブ22aを接続し、下流側の端部にコネクタ21b及びチューブ22bを接続している。また、マイクロポンプ23は、コネクタ21a及びチューブ22aの内部を加圧し、コネクタ21b及びチューブ22bの内部を減圧する。例えば、マイクロポンプ23は、蠕動ポンプ、ピエゾポンプ、ダイヤフラム等である。これにより、流路内の対象液に対して表面張力を上回る圧力を加え、下流側に向けて押し流すことができる。
【0012】
しかしながら、
図2に示す方法では、コネクタ21a及びチューブ22aの内部を対象液で満たしておく必要があり、対象液の使用量は多くなってしまう。そこで、実施形態の装置100は、
図3に示す構成により、対象液を流路内により効率的に流すことを可能とする。装置100は、検体検査や化学分析を行なう解析装置、細胞培養を行なう製造装置、或いは、微粒子の選別や複数の薬品を混合する処理装置である。
【0013】
図3に示す装置100は、内部に流路を備える部材10に加えて、振動子31、突起32a、突起32b、突起32c及び突起32dを備える。
図3に示す通り、突起32a~32dは、流路の内壁に設けられる。なお、流路の内壁のうち、突起32a~32d等の突起が設けられる面を第1の面とも記載する。また、流路の内壁のうち、第1の面と反対側に位置する面を第2の面とも記載する。
図3においては、流路の内壁のうち上側(+Y方向)の面が第1の面に対応し、下側(-Y方向)の面が第2の面に対応する。突起32a~32dは、第2の面との距離が対象液の流れ方向の下流側(+X方向)に向けて小さくなるように配置された斜面を備える。
【0014】
例えば、突起32aのXY平面における断面は、直角の頂点が流路の内壁に接するとともに、当該直角の頂点の位置より+X方向側の位置で他の頂点が流路の内壁に接する直角三角形の形状を有する。この時、直角三角形の斜辺は、+X方向に向けて、第2の面との距離が小さくなるように配置される。即ち、突起32aは、流路の内壁の第1の面に対して直交し且つ流れ方向に対して平行な平面(XY平面)上の断面形状が直角三角形となる形状を有し、当該直角三角形の斜辺は、+X方向側に向けて第2の面との距離が小さくなるように配置された斜面に対応する。この時、流路におけるY方向の幅は、+X方向に向けて、「ΔY1」から「ΔY2」まで増加する。当該差分「ΔY2-ΔY1」の分だけ、流路の断面積は増加することとなる。
【0015】
以下では、突起32a~32d等の各種の突起を特に区別しない場合、単に突起32と記載する。振動子31は、
図4A及び
図4Bの矢印A11及び矢印A12に示すように、突起32をY方向に振動させる。なお、
図4A及び
図4Bでは突起32がY方向に振動するものとして説明するが、振動の方向はX方向に対して厳密に直交する必要はなく、X方向と交差する方向であればよい。X方向と交差する方向については交差方向とも記載する。Y方向は、交差方向の一例である。例えば、振動子31は、部材10の+Y方向側の外壁に接することで突起32をY方向に振動させる加振器である。例えば、振動子31は、超音波加振器である。
【0016】
例えば、振動子31は処理回路を備え、-X方向の端から流路内に対象液が流され始めたことをセンサ又はユーザからの入力に応じて検知し、検知後に突起32の振動を開始させる。このような処理回路は、プロセッサにより実現される。
【0017】
突起32がY方向に振動している間、突起32が-Y方向に移動する段階(
図4A)と、突起32が+Y方向に移動する段階(
図4B)とが繰り返される。突起32が-Y方向に移動する際、
図4Aの矢印A21に示すように、対象液は+X方向に流れる。より具体的には、突起32が-Y方向に移動することにより、突起32の斜面S1によって対象液が+X方向に押し出される。一方で、突起32が+Y方向に移動する際、
図4Bの矢印A22に示すように、対象液は-X方向に流れる。
【0018】
ここで、矢印A21に示す対象液の流れと比較して、矢印A22に示す対象液の流れは小さい。即ち、矢印A21に示す対象液の流れと矢印A22に示す対象液の流れとを交互に発生させ、これらの流量差により、対象液を+X方向に流すことができる。
【0019】
上述した通り、実施形態の装置100は、内部に流路を備える部材10と、流路の内壁の第1の面に設けられ、第2の面との距離が対象液の流れ方向の下流側に向けて小さくなるように配置された斜面を備える突起32と、突起32を流れ方向と交差する交差方向に振動させる振動子31とを備える。かかる構成により、装置100は、対象液を流路内に効率的に流すことができる。即ち、装置100によれば、微細な流路に対しても対象液を流すことができ、少量の対象液で検体検査、細胞培養、化学分析等を行なうことができる。また、装置100によれば、例えば
図2に示したコネクタ21a及びチューブ22aの内部を対象液で満たしておく必要はないため、対象液の使用量を更に削減することができる。
【0020】
なお、
図2に示した構成において、コネクタ21a及びチューブ22aの内部を気体、又は対象液と異なる他の液体で満たした上で、流路内の対象液を加圧することも考えられる。しかしながら、この場合、気体又は他の液体が対象液に溶解して反応・変質する可能性があるとともに、複数の流路がある場合には、流路ごとに気体又は他の液体の充填を行なう必要がある。これに対し、装置100によれば、対象液を変質させることなく流路に流すことができ、また、複数の流路に対して連続的に対象液を流すことも可能である。
【0021】
図3に示した装置100の構成はあくまで一例であり、種々の変形が可能である。
【0022】
例えば、
図3では、突起32の例として、4つの突起(突起32a、突起32b、突起32c及び突起32d)を示した。しかしながら、装置100が備える突起の数については任意に変更可能であり、1つであってもよい。
【0023】
また、
図3では、突起32を直角三角形の形状で示したが、突起32の形状はこれに限定されるものではない。以下、突起32の形状の変形例について、
図5A及び
図5Bを用いて説明する。
【0024】
図5Aでは、突起32の一例として突起32eを示す。突起32eにおけるXY平面上の断面形状は、一辺が流路の内壁に接する三角形となっている。当該三角形における三辺のうち、流路の内壁に接する辺以外の辺であって、+X方向側の辺に対応する面を斜面S2、-X方向側の辺に対応する面を斜面S3とする。ここで、振動子31による振動を受けて対象液に+X方向の流れを生じさせるためには、斜面S3より斜面S2が大きければよい。
【0025】
なお、斜面S2と斜面S3とで大きさが同じ場合には、対象液を+X方向に駆動する力と-X方向に駆動する力とが釣り合うため、重力や流路内壁の濡れ性による駆動力で不足な場合には、+X方向の流れは生じないこととなる。また、斜面S2より斜面S3が大きい場合には、+X方向の流れを阻害する力が対象液に加わるため、+X方向の流れは生じないこととなる。
【0026】
即ち、突起32eは一種の多面体であるところ、+X方向に向けて第2の面との距離が小さくなるように配置された斜面S2と、+X方向に向けて第2の面との距離が大きくなるように配置された斜面S3とを備える。ここで、斜面S3より斜面S2が大きければ、振動子31による振動を受けて対象液に+X方向の流れを生じさせることができる。斜面S2は、第1斜面の一例である。斜面S3は、第2斜面の一例である。
【0027】
図5Bでは、突起32の一例として突起32fを示す。突起32fは、+X方向に向けて流路の内壁の第2の面との距離が小さくなるように配置された斜面S4を備える。言い換えると、突起32fは、
図4A及び
図4Bに示した突起32から、斜面S1に対応する部分のみを抽出したものである。上述した通り、対象液を+X方向に流すための駆動力は、斜面S1が対象液を+X方向に押し出すことに起因して発生している。従って、斜面S1に対応する部分のみを抽出した突起32fにおいても同様に、対象液を+X方向に流すための駆動力を発生させることが可能である。
【0028】
上述した例の他にも、振動させた際に
図4A及び
図4Bに示したような流量差を生み出すことのできる形状であれば、突起32の形状は任意である。例えば、突起32は、XY平面上の断面形状が台形となる形状、その他の多面体形状であってもよい。また、
図5A及び
図5Bでは、斜面S2、斜面S3及び斜面S4を直線で示したが、これらは曲線であってもよい。即ち、突起32は、曲面を含む形状であってもよい。
【0029】
上述した各種の突起32のZ方向の幅については、流路のZ方向の幅と同じでもよいし、流路のZ方向の幅より小さくてもよい。突起32と流路とでZ方向の幅が同じ場合、突起32から流路内壁までの最小ギャップ(
図4Aに示すGmin)が過度に小さくならないように設計することが好ましい。これは、突起32と流路とのZ方向の幅が同じであり且つ最小ギャップGminが小さい場合、突起32によって流路が塞がり、対象液の流れが阻害されてしまうためである。一方で、最小ギャップGminが小さいほど流路内の対象液を駆動する力は大きくなる。最小ギャップGminは、十分な駆動力を得つつ流路が塞がってしまわないように調整される。
【0030】
突起32のZ方向の幅が流路のZ方向の幅より小さい場合について、
図6A及び
図6Bを用いて説明する。
図6A及び
図6Bでは、突起32の一例として、Z方向の幅が流路のZ方向の幅より小さい突起32g、突起32h及び突起32iを示している。突起32g~32iのXY平面上の断面形状は特に限定されるものではないが、例えば
図3~
図4Bに示した形状を採用することができる。この場合、突起32g~32iそれぞれの流路内壁までの最小ギャップGminは、
図6A及び
図6Bに示すように、突起32g~32iそれぞれの-X方向側の端部の位置に生じる。
【0031】
図6Aでは、流れ方向に沿って直線状に突起32g~32iを配置している。また、
図6Bでは、第1の面に対して平行で流れ方向に直交する方向(即ち、Z方向)に異なる位置に突起32g~32iを配置している。
図6Bの突起32g~32iは、流路内の両端の位置に交互に配置されてもよい。ここで、最小ギャップGminが小さく、突起32g~32iと流路内壁との隙間を対象液が通ることのできない場合でも、
図6A及び
図6Bに矢印で示す通り、対象液は最小ギャップGminの位置を避けて流れることができる。
【0032】
上述した通り、最小ギャップGminが小さいほど流路内の対象液を駆動する力は大きくなる。但し、流路が微細である場合、製造時の寸法公差や使用による摩耗、変形等により、最小ギャップGminが変化し、略「0」となってしまうケースも想定される。かかる場合でも
図6A及び
図6Bに示した突起32g~32iの配置によれば、対象液が流れるための経路を確保しておくことができる。
【0033】
次に、振動子31が突起32を振動させる方法のバリエーションについて、
図7A~
図7Cを用いて説明する。
【0034】
図7Aでは、内部に流路を備える部材10を、部材10aと、部材10aに対してY方向に動くことのできる部材10bとで構成している。突起32は、部材10bに対して配置される。この場合、振動子31は、部材10aに対する部材10bの位置をY方向に動かすことにより、突起32をY方向に振動させることができる。
図7Aに示す方法では、部材10を単一の部材で構成する場合と比較して突起32をY方向に大きく振動させることができ、より大きな駆動力を得ることができる。部材10aは、第1の部材の一例である。部材10bは、第2の部材の一例である。
【0035】
図7Bでは、内部に流路を備える部材10を、部材10cと、変形可能な部材10dとで構成している。突起32は、部材10dに対して配置される。この場合、振動子31は、部材10cと部材10dとの接続部を固定端、部材10dを弦として振動させることにより、突起32をY方向に振動させることができる。
図7Bに示す方法では、部材10を単一の部材で構成する場合と比較して突起32をY方向に大きく振動させることができ、より大きな駆動力を得ることができる。部材10cは、第1の部材の一例である。部材10dは、第2の部材の一例である。
【0036】
図7Cでは、内部に流路を備える部材10を、部材10eと、複数の孔を備えた部材10fとで構成している。突起32は、部材10fの孔の内部に、Y方向に移動可能に配置される。この場合、振動子31は、孔の内部での突起32の位置をY方向に動かすことにより、突起32をY方向に振動させることができる。
図7Cに示す方法では、部材10を単一の部材で構成する場合と比較して突起32をY方向に大きく振動させることができ、より大きな駆動力を得ることができる。また、突起32のみを動かしているため、最低限の運動エネルギーで突起32の振動を実現することができる。
【0037】
上述した実施形態では、突起32が複数ある場合、流路内壁のうちいずれかの面に複数の突起32を配置するものとして説明した。しかしながら実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、
図3において、流路内壁のうち+Y方向側の面に突起32a~32dを配置するとともに、同様の複数の突起32を、流路内壁のうち-Y方向側の面に配置してもよい。
【0038】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU(Graphics PROCESSING Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、実施形態のプロセッサは、単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
【0039】
また、処理回路が実行するプログラムについては、単一のメモリが記憶してもよいし、複数のメモリを分散して配置し、個別のメモリから対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。また、メモリにプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0040】
上述した実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。即ち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
【0041】
また、上述した実施形態で説明した方法は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0042】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、対象液を流路内に効率的に流すことができる。
【0043】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0044】
100:装置
10,10a,10b,10c,10d,10e,10f:部材
31:振動子
32,32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32h,32i:突起