(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082419
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】プローブ
(51)【国際特許分類】
G01R 1/067 20060101AFI20240613BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20240613BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
G01R1/067 C
G01R31/26 J
G01R31/28 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196254
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】赤平 明久
(72)【発明者】
【氏名】成田 寿男
(72)【発明者】
【氏名】林▲崎▼ 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】今 瑞穂
(72)【発明者】
【氏名】須藤 賢一
【テーマコード(参考)】
2G003
2G011
2G132
【Fターム(参考)】
2G003AA07
2G003AG03
2G003AG04
2G003AH04
2G003AH05
2G011AA02
2G011AA10
2G011AA15
2G011AA16
2G011AB01
2G011AB03
2G011AB07
2G011AC14
2G011AE03
2G011AF07
2G132AF01
(57)【要約】
【課題】湾曲させたときの機械的強度を向上させたプローブを提供する。
【解決手段】プローブは、接触部、湾曲部、および接触部と湾曲部を連結する連結部が軸方向に接続された構造を含む柱形状である。湾曲部と連結部の軸方向に垂直な断面は、第1の部材と第1の部材よりも硬度が低い第2の部材とが混在した構造である。断面における第1の部材に対する第2の部材の面積比は、連結部よりも湾曲部の方が高い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の電気的特性の検査に使用されるプローブであって、
接触部、湾曲部、および前記接触部と前記湾曲部を連結する連結部が軸方向に接続された構造を含む柱形状であり、
前記湾曲部と前記連結部の前記軸方向に垂直な断面は、第1の部材と前記第1の部材よりも硬度が低い第2の部材とが混在した構造であり、
前記断面における前記第1の部材に対する前記第2の部材の面積比が、前記連結部よりも前記湾曲部の方が高い、
プローブ。
【請求項2】
前記接触部の剛性は前記連結部の剛性よりも高い、請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
第1の前記接触部、第1の前記連結部、前記湾曲部、第2の前記連結部および第2の前記接触部が前記軸方向に沿って順に接続されている、請求項1又は2に記載のプローブ。
【請求項4】
前記断面が、前記第1の部材により前記第2の部材が挟まれる構造を含む、請求項1又は2に記載のプローブ。
【請求項5】
前記連結部では、前記第2の部材は前記第1の部材に周囲を囲まれている、請求項1又は2に記載のプローブ。
【請求項6】
前記連結部と接続する前記湾曲部の接続領域の前記断面の面積が、前記接続領域を除いた前記湾曲部の残余の領域の前記断面の面積よりも小さい、請求項1又は2に記載のプローブ。
【請求項7】
前記接触部の一部の領域の周囲が、前記接触部よりも硬度の高い保護材で覆われている、請求項1又は2に記載のプローブ。
【請求項8】
前記保護材が、前記接触部と前記連結部の接続部分を超えて前記連結部の一部を覆っている、請求項7に記載のプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物の電気的特性の検査に使用するプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路などの検査対象物の電気的特性をウェハ状態で検査するために、プローブを含む電気的接続装置が使用されている。プローブを用いた検査では、プローブの一方の端部を検査対象物の電極パッドに接触させ、プローブの他方の端部を、プリント基板などに配置された端子(以下において「ランド」という。)に接触させる。ランドは、テスタなどの検査装置と電気的に接続される。
【0003】
検査対象物の検査において、プローブを電極パッドに接触させた後に、更に電気的接続装置と検査対象物を近づけてプローブを弾性変形により湾曲させる処理が行われている。プローブを湾曲させることにより、プローブの弾性力によって電極パッドおよびランドにプローブを安定して接触させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
検査対象物の電極パッドの狭ピッチ化により、プローブの細径化の要求がある。しかし、プローブの細径化に伴い、プローブを湾曲させたときのプローブの機械的強度が低下する問題が生じる。本発明は、湾曲させたときの機械的強度を向上させたプローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るプローブは、接触部、湾曲部、および接触部と湾曲部を連結する連結部が軸方向に接続された構造を含む柱形状である。湾曲部と連結部の軸方向に垂直な断面は、第1の部材と第1の部材よりも硬度が低い第2の部材とが混在した構造である。断面における第1の部材に対する第2の部材の面積比は、連結部よりも湾曲部の方が高い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、湾曲させたときの機械的強度を向上させたプローブを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るプローブの構成を示す模式図である。
【
図2】
図1のII-II方向に沿った模式的な断面図である。
【
図3】
図1のIII-III方向に沿った模式的な断面図である。
【
図4】
図1のIV-IV方向に沿った模式的な断面図である。
【
図5】
図1のV-V方向に沿った模式的な断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るプローブを有する電気的接続装置の構成を示す模式図である。
【
図7】本発明の実施形態の変形例に係るプローブを有する電気的接続装置の構成を示す模式図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII方向に沿った模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各部の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置および製造方法などを下記のものに特定するものでない。
【0010】
図1に示す実施形態に係るプローブ1は、検査対象物の電気的特性の検査に使用される。プローブ1は、第1の接触部111、第1の連結部121、湾曲部13、第2の連結部122および第2の接触部112が軸方向に沿って順に接続された構造を含む柱形状である。以下、第1の接触部111と第2の接触部112のそれぞれを限定しない場合には、接触部11と表記する。また、第1の連結部121と第2の連結部122のそれぞれを限定しない場合には、連結部12と表記する。言い換えると、プローブ1は、接触部11、湾曲部13、および接触部11と湾曲部13を連結する連結部12を含む。
【0011】
第1の連結部121は、第1の接触部111と湾曲部13を連結する。第2の連結部122は、第2の接触部112と湾曲部13を連結する。第1の接触部111の先端は、検査において検査対象物(図示略)と接触する。第2の接触部112の先端は、検査対象物の検査においてランドと接触する。後述するように、検査対象物の検査時にプローブ1は弾性変形により湾曲する。
【0012】
本発明の実施形態の説明では、
図1に示すようにX方向、Y方向、Z方向を定義する。
図1において、X方向は紙面の左右方向、Y方向は紙面の奥行方向、Z方向は紙面の上下方向にそれぞれ平行である。プローブ1の軸方向は、Z方向に沿っている。以下では、プローブ1が、軸方向に垂直な断面が矩形状である場合を説明する。そして、X方向をプローブ1の幅の方向とし、Y方向をプローブ1の厚さの方向とする。
【0013】
図2に、
図1のII-II方向に沿った湾曲部13の軸方向に垂直な断面(以下において、単に「断面」という。)の構造を示す。
図3に、
図1のIII-III方向に沿った連結部12の断面の構造を示す。プローブ1では、湾曲部13と連結部12の断面が、第1の部材41と第1の部材41よりも硬度が低い第2の部材42とが混在した構造である。以下において、第1の部材41と第2の部材42とが混在した構造を「混在構造」とも称する。例えば、
図2および
図3に示すように、湾曲部13と連結部12における混在構造が、第1の部材41により第2の部材42が挟まれる積層構造を含むようにしてもよい。この積層構造は、プローブ1の厚さ方向(Y方向)に第1の部材41と第2の部材42が積層された構造である。
【0014】
第1の部材41よりも第2の部材42の硬度が低いように、第1の部材41と第2の部材42が選択される。そして、第2の部材42の導電性は、第1の部材41の導電性以上であることが好ましい。例えば、第1の部材41に、ニッケル(Ni)またはニッケル合金などが使用される。第2の部材42に、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)などが使用される。
【0015】
プローブ1では、断面における第1の部材41に対する第2の部材42の面積比が、連結部12よりも湾曲部13の方が高く設定される。例えば、湾曲部13を、
図2に示すように、幅が第2の部材42と同程度の第1の部材41によって、第2の部材42を厚さ方向に挟んだサンドイッチ構造としてもよい。一方、連結部12を、
図3に示すように、第2の部材42の周囲を第1の部材41で囲むようにしてもよい。連結部12と湾曲部13において第2の部材42の厚さを同程度にすることにより、断面における第1の部材41に対する第2の部材42の面積比が、連結部12よりも湾曲部13の方が高くなる。なお、連結部12から湾曲部13に渡って第1の部材41と第2の部材42のそれぞれが連続するように、プローブ1を形成してもよい。
【0016】
上記のように、プローブ1では、断面における第1の部材41に対する第2の部材42の面積比が連結部12よりも湾曲部13が高く、且つ、第1の部材41よりも第2の部材42の硬度が低い。このため、連結部12は、湾曲部13よりも剛性が高い。言い換えると、プローブ1が弾性変形する場合に、湾曲部13が連結部12よりも湾曲し易い。
【0017】
接触部11の剛性は、連結部12の剛性よりも高く設定される。例えば、
図4に示すように、接触部11の全体が第1の部材41であってもよい。接触部11が第2の部材42を含まないために、接触部11の剛性は連結部12および湾曲部13よりも高い。このため、プローブ1が弾性変形する場合に、接触部11の湾曲が抑制される。
【0018】
上記のように、プローブ1は、湾曲部13よりも湾曲し難く且つ接触部11よりも剛性が低い連結部12が、湾曲部13と接触部11の間に配置された構成である。このため、検査対象物の検査においては、プローブ1が湾曲部13で大きく湾曲すると共に、連結部12において湾曲部13よりも湾曲が抑制される。上記のように湾曲し易さが異なる連結部12と湾曲部13が連続しているため、プローブ1が湾曲するときの応力集中が緩和され、且つ、接触部11の直進性が確保される。
【0019】
なお、
図5に示すように、接触部11の一部の領域の周囲を、接触部11よりも硬度の高い保護材50で覆ってもよい。保護材50には、例えばロジウム(Rh)材などが好適に使用される。プローブ1の外周に保護材50を配置することにより、外部との接触によるプローブ1の損傷を抑制できる。
図5には保護材50が接触部11の外周を周回する場合を例示的に示したが、保護材50が接触部11の外周の全体を覆わなくてもよい。例えば、断面の一方の長辺および2つの短辺を保護材50で覆うようにしてもよい。
【0020】
なお、
図1に示すように、湾曲部13の連結部12に接続する領域の断面の面積を、湾曲部13のその他の領域の断面の面積よりも小さくしてもよい。以下において、プローブ1の湾曲部13の連結部12と接続する領域を、「接続領域」とも称する。また、接続領域を除いた湾曲部13の残余の領域を、以下において「中間領域」とも称する。
図1に示す湾曲部13は、中間領域133と、中間領域133の一方の端部に連結する第1の接続領域131と、中間領域133の他方の端部に連結する第2の接続領域132を含む。第1の接続領域131は第1の連結部121に接続し、第2の接続領域132は第2の連結部122に接続している。以下、第1の接続領域131と第2の接続領域132のそれぞれを限定しない場合には、接続領域130と表記する。
【0021】
湾曲部13において中間領域133よりも接続領域130の断面の面積を小さくすることにより、プローブ1が湾曲するときに、中間領域133と連結部12の間で接続領域130が特に大きく湾曲する。このため、湾曲部13とは反対側で連結部12に接続する接触部11の直進性を更に確実にできる。例えば、
図1に示すように、X方向において接続領域130の幅を中間領域133の幅よりも狭くすることによって、接続領域130の断面の面積を中間領域133の断面の面積より小さくしてもよい。このとき、X方向からみて湾曲部13の厚みは一定である。
【0022】
プローブ1は、例えば
図6に示す電気的接続装置100に使用される。電気的接続装置100では、プローブ1はプローブヘッド20によって保持されている。具体的には、プローブヘッド20に含まれる第1ガイド板21、第2ガイド板22および第3ガイド板23のガイド穴に挿入されて、複数のプローブ1がプローブヘッド20に保持される。以下では、第1ガイド板21、第2ガイド板22および第3ガイド板23のそれぞれを限定しない場合には、ガイド板と表記する。プローブヘッド20は、第1ガイド板21、第2ガイド板22、第3ガイド板23を、ガイド板の主面の面法線方向に相互に離隔して配置した構成を有する。
【0023】
プローブ1の第1の接触部111は、検査対象物2の検査時に、検査対象物2の電極パッド(図示略)と接触する。プローブ1の第2の接触部112は、基板30のランド31に接触する。ランド31は、図示を省略するICテスタなどの検査装置と電気的に接続されている。
【0024】
図6に示す電気的接続装置100では、同一のプローブ1が貫通するガイド穴について、第1ガイド板21のガイド穴に対して第2ガイド板22のガイド穴の位置が、第1ガイド板21の主面と平行な方向Fにずらして配置されている。以下において、ガイド穴の位置をずらした配置を「オフセット配置」と称する。また、ガイド穴の位置をずらした方向Fを「オフセット方向」とも称する。オフセット配置により、第1ガイド板21と第2ガイド板22の間でプローブ1が湾曲している。即ち、第1ガイド板21と第2ガイド板22の間の中空領域200で、プローブ1は弾性変形により湾曲した状態である。例えば、オフセット方向は、断面が矩形状のプローブ1の長辺が向いた方向である。第2ガイド板22のガイド穴の位置と第3ガイド板23のガイド穴の位置は、ガイド板の面法線方向から見て一致している。
【0025】
第1ガイド板21のガイド穴と第2ガイド板22のガイド穴とがオフセット配置されていることにより、プローブ1の第1の接触部111が検査対象物2と接触すると、中空領域200においてプローブ1が座屈する。即ち、プローブ1が検査対象物2に接触した状態(接触状態)において、プローブ1が検査対象物2に接触していない状態(非接触状態)における湾曲形状からプローブ1がたわみ変形により更に湾曲する。プローブ1が更に湾曲することにより、所定の押力でプローブ1が検査対象物2に接触する。したがって、オフセット配置により、プローブ1を用いて検査対象物2の電気的特性を安定して測定することができる。プローブ1は、非接触状態になると、検査対象物2に接触する前の形状に復帰する弾性を有する。
【0026】
接触状態においてプローブ1が湾曲するとき、連結部12と湾曲部13が湾曲する。特に、連結部12よりも第1の部材41に対する第2の部材42の割合が高い湾曲部13が湾曲し易い。湾曲部13よりも湾曲し難く且つ接触部11よりも剛性が低い連結部12が湾曲部13と接触部11の間に配置されているため、検査対象物2の検査時にプローブ1が湾曲するときでも、接触部11はガイド板のガイド穴の中心軸に沿って直線的に移動する。このため、プローブ1とガイド板のガイド穴の側面が接触してプローブ1が損傷することが抑制される。なお、ガイド穴の「側面」は、ガイド穴の内壁面および開口部を含む。
【0027】
更に、湾曲部13が中間領域133と接続領域130を含む場合には、接続領域130でプローブ1は大きく湾曲する。このため、接触部11のガイド穴に沿った直線的な移動を更に確保できる。その結果、ガイド穴の側面と接触部11の接触によるプローブ1の損傷を抑制できる。ただし、湾曲部13が接続領域130を含まなくてもガイド穴の側面と接触部11の接触を抑制できる場合には、湾曲部13の径は一定であってもよい。
【0028】
また、プローブ1の接触部11のガイド穴を通過する領域の周囲に、接触部11より硬度の高い保護材50を配置することにより、ガイド穴の側面と接触してプローブ1が損傷することを抑制できる。
図6に示すプローブ1では、第1の接触部111の第2ガイド板22と第3ガイド板23のガイド穴を通過する領域、および、第2の接触部112の第1ガイド板21のガイド穴を通過する領域に、保護材50を配置している。
【0029】
保護材50が、接触部11と連結部12の接続部分を超えて連結部12の一部を覆っていてもよい。即ち、連結部12の接触部11に近い領域を保護材50で覆い、連結部12の湾曲部13に近い領域を保護材50で覆わないようにしてもよい。連結部12の接触部11に近い領域を保護材50で覆うことにより、連結部12の一部がガイド穴の内部を通過する場合にも、ガイド穴の側面との接触によりプローブ1が損傷することを抑制できる。保護材50が覆う領域においても、連結部12は第1の部材41と第2の部材42の混在構造である。保護材50が覆う領域も混在構造にすることにより、プローブ1が湾曲した状態において連結部12に応力が集中することを防止することができる。
【0030】
以上に説明したように、本発明の実施形態に係るプローブ1では、連結部12よりも湾曲部13の方が断面における第2の部材42の割合が大きいため、連結部12より湾曲部13が湾曲し易い。湾曲し易さが異なる連結部12と湾曲部13が連続するため、プローブ1によれば、プローブ1が湾曲したときの応力集中を抑制することができる。したがって、検査対象物の電極パッドの狭ピッチ化などによりプローブ1を細径化した場合にも、湾曲させたときのプローブ1の機械的強度を向上させることができる。
【0031】
<変形例>
図7に示す実施形態の変形例に係るプローブ1は、プローブ1の表面に、プローブ1の軸方向に沿って互いに離隔して複数の絶縁性の被覆材60が配置されている。被覆材60は、保護材50が配置された領域の残余の領域に配置されている。
【0032】
検査対象物の検査時にプローブ1がプローブヘッド20の内部で座屈したときに、プローブ間の短絡が発生するおそれがある。
図7に示した電気的接続装置100では、プローブ1の表面に配置された絶縁性の被覆材60が隣接するプローブ1と接触することにより、プローブ間の短絡が防止される。
【0033】
被覆材60は、プローブ1のオフセット方向を向いた側面(以下、「オフセット側面」と称する。)、若しくはオフセット側面の反対方向を向いた側面に配置することが好ましい。例えば、
図8に示すように、矩形状の断面を有するプローブ1のオフセット側面、および、オフセット側面に隣接する2つの側面に、被覆材60を連続的に配置してもよい。或いは、プローブ1の全周に渡って被覆材60を配置してもよい。
【0034】
被覆材60は、プローブ1の中空領域200を通過する部分において、少なくとも湾曲する部分を含めて間欠的に配置されている。これに対し、第1の接触部111から第2の接触部112までプローブ1の表面を軸方向に沿って連続的に被覆材60で覆うと、プローブ1に反りが生じ易い。しかし、
図7に示すプローブ1では、軸方向に沿って被覆材60を間欠的に配置することにより、プローブ1の反りが抑制される。
【0035】
ところで、プローブ1をプローブヘッド20にセットするために、ガイド板のガイド穴にプローブ1を貫通させる。例えば、すべてのガイド板のガイド穴の中心軸を一致させた状態で、ガイド板のガイド穴にプローブ1を連続的に貫通させる。このため、プローブ1の外径と被覆材60の厚みの合計は、ガイド穴の内径よりも小さく設定される。つまり、被覆材60の厚みは、プローブ1の外径と被覆材60の厚みの合計とガイド穴の内径とのクリアランスを確保できる範囲で、且つプローブ間の短絡を防止できる厚みに設定される。
【0036】
被覆材60の材料は、例えば樹脂類、ガラス繊維、永久レジスト、セラミック蒸着物などであってもよい。被覆材60をプローブ1の表面の所定の位置に形成するには、例えば、プローブ1の表面の全面に被覆材60を形成した後、フォトリソグラフィ技術などを用いて被覆材60をパターニングしてもよい。
【0037】
(その他の実施形態)
上記のように本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0038】
例えば、上記では、プローブ1の断面の形状が矩形状である場合について説明したが、プローブ1の断面が他の形状であってもよい。例えば、プローブ1の断面が矩形以外の多角形状であってもよい。プローブ1の断面がどのような形状であっても、断面の混在構造における第1の部材41に対する第2の部材42の面積比を連結部12よりも湾曲部13の方を高くする。これにより、連結部12よりも湾曲部13を湾曲し易くすることができる。
【0039】
このように、本発明は上記では記載していない様々な実施形態などを含むことはもちろんである。
【符号の説明】
【0040】
1…プローブ
11…接触部
12…連結部
13…湾曲部
20…プローブヘッド
21…第1ガイド板
22…第2ガイド板
23…第3ガイド板
30…基板
31…ランド
41…第1の部材
42…第2の部材
50…保護材
100…電気的接続装置
111…第1の接触部
112…第2の接触部
121…第1の連結部
122…第2の連結部
130…接続領域
133…中間領域