(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082428
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】空気ばね
(51)【国際特許分類】
F16F 9/32 20060101AFI20240613BHJP
F16F 15/04 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
F16F9/32 V
F16F15/04 P
F16F15/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196273
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 望
【テーマコード(参考)】
3J048
3J069
【Fターム(参考)】
3J048AA01
3J048BA08
3J048BE02
3J048DA01
3J048EA16
3J069AA01
3J069AA29
3J069CC40
3J069DD26
(57)【要約】
【課題】高周波騒音の発生を抑制可能な空気ばねを提供する。
【解決手段】空気ばねは、上面板と、下面板と、ダイアフラムと、積層ゴムとを有している。下面板は、上面板に対面している。ダイアフラムは、上面板と下面板とを繋いでいる。積層ゴムは、下面板に対して上面板の反対にある。下面板と積層ゴムとは、第1空間を形成している。上面板と下面板とダイアフラムとは、第2空間を形成している。下面板において、第1流路と、第2流路とが設けられている。第1流路は、第1空間および第2空間の各々に連なっている。上面板から下面板に向かう方向は、軸線方向とされる。第1流路は、軸線方向に沿って延びている。第2流路は、第1空間および第1流路の各々に連なっている。軸線方向に平行であり且つ第1流路および第2流路の各々と交差する断面において、第2流路が延びる方向は、第1流路が延びる方向と交差している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面板と、
前記上面板に対面する下面板と、
前記上面板と前記下面板とを繋いでいるダイアフラムと、
前記下面板に対して前記上面板の反対にある積層ゴムと、を備え、
前記下面板と前記積層ゴムとは、第1空間を形成しており、
前記上面板と前記下面板と前記ダイアフラムとは、第2空間を形成しており、
前記下面板において、
前記第1空間および前記第2空間の各々に連なり且つ前記上面板から前記下面板に向かう軸線方向に沿って延びている第1流路と、
前記第1空間および前記第1流路の各々に連なる第2流路と、が設けられており、
前記軸線方向に平行であり且つ前記第1流路および前記第2流路の各々と交差する断面において、前記第2流路が延びる方向は、前記第1流路が延びる方向と交差している、空気ばね。
【請求項2】
前記軸線方向に平行であり且つ前記第1流路および前記第2流路の各々と交差する断面において、前記第2流路が延びる方向は、前記第1流路が延びる方向に対して垂直な方向に沿っている、請求項1に記載の空気ばね。
【請求項3】
前記軸線方向に平行であり且つ前記第1流路および前記第2流路の各々と交差する断面において、前記第2流路が延びる方向は、前記第1流路が延びる方向および前記第1流路が延びる方向に垂直な方向の各々に対して傾斜している、請求項1に記載の空気ばね。
【請求項4】
前記第1流路は、前記第1空間に連なる第1流路部と、前記第2空間および前記第1流路部の各々に連なる第2流路部とを有し、
前記第1流路部の最大径は、前記第2流路部の最大径よりも小さい、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の空気ばね。
【請求項5】
前記第2流路部は、
前記第1流路部に連なる第1部分と、
前記第1部分および前記第2空間の各々に連なる第2部分とを有し、
前記第2部分の最大径は、前記第1部分の最大径よりも大きく、
前記第2流路は、前記第1流路部に連なっている、請求項4に記載の空気ばね。
【請求項6】
前記下面板は、前記第1流路部を形成している内壁面を含み、
前記内壁面に、雌ネジ部が設けられている、請求項4に記載の空気ばね。
【請求項7】
前記第1流路部が延びる方向に垂直な断面における前記第1流路部の断面積を第1面積とし、
前記第2流路が延びる方向に垂直な断面における前記第2流路の断面積を第2面積とした場合、
前記第1面積は、前記第2面積よりも大きい、請求項4に記載の空気ばね。
【請求項8】
前記下面板は、本体部を含み、
前記本体部において、前記第1流路部、前記第2流路部および前記第2流路の各々が設けられている、請求項4に記載の空気ばね。
【請求項9】
前記下面板は、本体部と、前記本体部と前記積層ゴムとの間にある調整部材とを含み、
前記本体部において、前記第2流路部が設けられており、
前記調整部材において、前記第1流路部および前記第2流路の各々が設けられている、請求項4に記載の空気ばね。
【請求項10】
前記下面板は、本体部と、前記本体部と前記積層ゴムとの間にある調整部材と、前記本体部と前記調整部材との間にあるスペーサとを含み、
前記本体部において、前記第2流路部が設けられており、
前記調整部材において、前記第1流路部が設けられており、
前記本体部と前記調整部材との間において、前記第2流路が形成されている、請求項4に記載の空気ばね。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気ばねに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば鉄道車両用のサスペンションとして空気ばねが利用されている。特開2009-41660号公報(特許文献1)には、上面板と、下面板と、ダイアフラムとを備えた空気ばねが開示されている。下面板に連通路が設けられている。空気ばねは、連通路を介して補助タンクに連通されている。連通路内において、下面板とは別体である絞り部材が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、高周波騒音の発生を抑制可能な空気ばねを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る空気ばねは、上面板と、下面板と、ダイアフラムと、積層ゴムとを備えている。下面板は、上面板に対面している。ダイアフラムは、上面板と下面板とを繋いでいる。積層ゴムは、下面板に対して上面板の反対にある。下面板と積層ゴムとは、第1空間を形成している。上面板と下面板とダイアフラムとは、第2空間を形成している。下面板において、第1流路と、第2流路とが設けられている。第1流路は、第1空間および第2空間の各々に連なっている。上面板から下面板に向かう方向は、軸線方向とされる。第1流路は、軸線方向に沿って延びている。第2流路は、第1空間および第1流路の各々に連なっている。軸線方向に平行であり且つ第1流路および第2流路の各々と交差する断面において、第2流路が延びる方向は、第1流路が延びる方向と交差している。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、高周波騒音の発生を抑制可能な空気ばねを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る空気ばねの構成を示す縦断面模式図である。
【
図3】
図3は、
図2のIII-III線に沿う横断面模式図である。
【
図4】
図4は、
図2のIV-IV線に沿う縦断面模式図である。
【
図5】
図5は、補助空気室に空気ばねが取り付けられた状態を示す縦断面模式図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る空気ばねが伸び上がる際の空気の流れを示す縦断面模式図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態の第1変形例に係る空気ばねの構成を示す横断面模式図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の第2変形例に係る空気ばねの構成を示す横断面模式図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態の第3変形例に係る空気ばねの構成を示す横断面模式図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態の第4変形例に係る空気ばねの構成を示す縦断面模式図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係る空気ばねの構成を示す拡大断面模式図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態に係る空気ばねの構成を示す拡大断面模式図である。
【
図13】
図13は、第3実施形態の変形例に係る空気ばねの構成を示す拡大断面模式図である。
【
図14】
図14は、第4実施形態に係る空気ばねの構成を示す横断面模式図である。
【
図15】
図15は、第4実施形態に係る空気ばねの構成を示す縦断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0009】
(1)本開示に係る空気ばね100は、上面板3と、下面板4と、ダイアフラム5と、積層ゴム6とを備えている。下面板4は、上面板3に対面している。ダイアフラム5は、上面板3と下面板4とを繋いでいる。積層ゴム6は、下面板4に対して上面板3の反対にある。下面板4と積層ゴム6とは、第1空間1を形成している。上面板3と下面板4とダイアフラム5とは、第2空間2を形成している。下面板4において、第1流路11と、第2流路12とが設けられている。第1流路11は、第1空間1および第2空間2の各々に連なっている。上面板3から下面板4に向かう方向は、軸線方向101とされる。第1流路11は、軸線方向101に沿って延びている。第2流路12は、第1空間1および第1流路11の各々に連なっている。軸線方向101に平行であり且つ第1流路11および第2流路12の各々と交差する断面において、第2流路12が延びる方向は、第1流路11が延びる方向と交差している。
【0010】
(2)上記(1)に係る空気ばね100によれば、軸線方向101に平行であり且つ第1流路11および第2流路12の各々と交差する断面において、第2流路12が延びる方向は、第1流路11が延びる方向に対して垂直な方向に沿って延びていてもよい。
【0011】
(3)上記(1)に係る空気ばね100によれば、軸線方向101に平行であり且つ第1流路11および第2流路12の各々と交差する断面において、第2流路12が延びる方向は、第1流路11が延びる方向および第1流路11が延びる方向に垂直な方向の各々に対して傾斜していてもよい。
【0012】
(4)上記(1)から(3)のいずれかに係る空気ばね100によれば、第1流路11は、第1流路部21と、第2流路部22とを有していてもよい。第1流路部21は、第1空間1に連なっていてもよい。第2流路部22は、第2空間2および第1流路部21の各々に連なっていてもよい。第1流路部21の最大径は、第2流路部22の最大径よりも小さくてもよい。
【0013】
(5)上記(4)に係る空気ばね100によれば、第2流路部22は、第1部分91と、第2部分92とを有していてもよい。第1部分91は、第1流路部21に連なっていてもよい。第2部分92は、第1部分91および第2空間2の各々に連なっていてもよい。第2部分92の最大径は、第1部分91の最大径よりも大きくてもよい。第2流路12は、第1流路部21に連なっていてもよい。
【0014】
(6)上記(4)または(5)に係る空気ばね100によれば、下面板4は、第1内壁面61を含んでいてもよい。第1内壁面61は、第1流路部21を形成していてもよい。第1内壁面61に、第2雌ネジ部69が設けられていてもよい。
【0015】
(7)上記(4)から(6)のいずれかに係る空気ばねによれば、第1流路部21が延びる方向に垂直な断面における第1流路部21の断面積は、第1面積とされる。第2流路12が延びる方向に垂直な断面における第2流路12の断面積は、第2面積とされる。第1面積は、第2面積よりも大きくてもよい。
【0016】
(8)上記(4)から(7)のいずれかに係る空気ばねによれば、下面板4は、第1本体部41を含んでいてもよい。第1本体部41において、第1流路部21、第2流路部22および第2流路12の各々が設けられていてもよい。
【0017】
(9)上記(4)から(7)のいずれかに係る空気ばねによれば、下面板4は、第1本体部41と、調整部材42とを含んでいてもよい。調整部材42は、第1本体部41と積層ゴム6との間にあってもよい。第1本体部41において、第2流路部22が設けられていてもよい。調整部材42において、第1流路部21および第2流路12の各々が設けられていてもよい。
【0018】
(10)上記(4)から(7)のいずれかに係る空気ばねによれば、下面板4は、第1本体部41と、調整部材42と、第1スペーサ43とを含んでいてもよい。調整部材42は、第1本体部41と積層ゴム6との間にあってもよい。第1スペーサ43は、第1本体部41と調整部材42との間にあってもよい。第1本体部41において、第2流路部22が設けられていてもよい。調整部材42において、第1流路部21が設けられていてもよい。第1本体部41と調整部材42との間において、第2流路12が形成されていてもよい。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、図面に基づいて、本開示の実施形態の詳細について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0020】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る空気ばね100の構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る空気ばね100の構成を示す縦断面模式図である。
図1に示されるように、空気ばね100は、上面板3と、下面板4と、ダイアフラム5と、積層ゴム6と、第1連結軸7と、第2連結軸8とを主に有している。
【0021】
積層ゴム6は、空気ばね100に負荷された衝撃を緩衝するように構成されている。下面板4は、積層ゴム6上にある。下面板4と、積層ゴム6とは、第1空間1を形成している。第1空間1は、圧縮空気が充填される部分である。第1連結軸7は、積層ゴム6に取り付けられている。第1連結軸7は、第1空間1と空気ばね100の外部とを繋ぐように構成されている。具体的には、第1連結軸7は、たとえば積層ゴム6と鉄道車両の補助空気室(図示せず)とを繋ぐように構成されている。
【0022】
上面板3は、下面板4に対面している。ダイアフラム5は、上面板3と下面板4とを繋いでいる。上面板3と下面板4とダイアフラム5とは、第2空間2を形成している。第2空間2は、圧縮空気が充填される部分である。下面板4において、第1流路11が設けられている。第1流路11は、第1空間1および第2空間2の各々に連なっている。第1流路11の中心軸は軸線Aとされる。第2連結軸8は、上面板3に取り付けられている。第2連結軸8は、たとえば第2空間2と空気ばね100の外部とを繋ぐように構成されている。空気ばね100は、たとえば鉄道車両用のサスペンションとして用いられる。
【0023】
上面板3から下面板4に向かう方向は、軸線方向101とされる。軸線方向101は、軸線Aに平行な方向である。軸線方向101に垂直な方向は、径方向とされる。なお、
図1に示される断面は、軸線方向101に平行な断面である。
図1に示される断面は、軸線Aを含んでいる。
【0024】
積層ゴム6は、下面板4に対して上面板3の反対にある。別の観点から言えば、軸線方向101において、下面板4は、積層ゴム6と上面板3との間にある。積層ゴム6は、底板81と、ゴム板82と、金属板83とを有している。積層ゴム6は、軸線方向101に沿って負荷された衝撃を緩衝するように構成されている。具体的には、底板81上に、ゴム板82と金属板83とが軸線方向101に沿って交互に積層されることによって、積層ゴム6は構成されている。
【0025】
下面板4は、第1本体部41と、調整部材42と、外周支持部45と、ゴム座49とを有している。第1本体部41は、上面板3に対面している。調整部材42は、第1本体部41と積層ゴム6との間にある。調整部材42は、積層ゴム6から離間している。調整部材42は、たとえば接着剤(図示せず)によって、第1本体部41に接着されている。調整部材42は、ボルト(図示せず)によって第1本体部41に固定されていてもよい。
【0026】
軸線方向101において、外周支持部45は、第1本体部41と積層ゴム6との間にある。外周支持部45は、第1本体部41に接している。外周支持部45と第1本体部41とは、たとえばボルト80によって固定されている。外周支持部45は、第1本体部41に対して径方向外側に突出している。ゴム座49は、外周支持部45に接している。ゴム座49は、第1本体部41に対して径方向外側にある。
【0027】
軸線方向101において、第1流路11は、第1空間1と第2空間2との間に設けられている。別の観点から言えば、第1空間1と第2空間2とは、第1流路11を介して互いに連なっている。第1流路11は、下面板4を貫通している。具体的には、第1流路11は、たとえば第1本体部41と調整部材42とを貫通している。
【0028】
ダイアフラム5は、第1端部51と、第2端部52と、中間部55とを有している。第1端部51は、下面板4に接している。第2端部52は、第1端部51の反対にある。第2端部52は、上面板3に接している。中間部55は、第1端部51と第2端部52とを繋いでいる。ダイアフラム5の形状は環状である。
【0029】
上面板3は、第2本体部31と、外筒ゴム32とを有している。第2本体部31は、第1本体部41に対面している。外筒ゴム32は、第2本体部31およびダイアフラム5の各々に接している。
【0030】
第1連結軸7は、底板81に取り付けられている。第1連結軸7の形状は環状である。第1連結軸7の中心軸は、軸線Aと実質的に重なっていてもよい。第1連結軸7の内径は、第1直径D1とされる。第1直径D1は、たとえば20mm以上60mm以下である。
【0031】
第2連結軸8は、第2本体部31に取り付けられている。第2連結軸8の形状は環状である。第2連結軸8の中心軸は、軸線Aと実質的に重なっていてもよい。第2連結軸8の内径は、第2直径D2とされる。第2直径D2は、第1直径D1以下であってもよい。
【0032】
図2は、
図1の領域IIの拡大断面模式図である。
図2に示されるように、調整部材42は、第1面71と、第2面72と、外周面70と、第1内壁面61と、第2内壁面62とを有している。第1面71は、底板81(
図1参照)に対面している。第1面71は、底板81から離間している。第2面72は、第1面71の反対にある。
【0033】
外周面70は、第1面71および第2面72の各々に連なっている。外周面70は、軸線方向101に沿って延びている。軸線方向101において、外周面70は、第1面71と第2面72との間にある。第1内壁面61は、第1面71および第2面72の各々に連なっている。軸線方向101において、第1内壁面61は、第1面71と第2面72との間にある。第1内壁面61は、軸線Aを取り囲んでいる。第2内壁面62は、外周面70および第1内壁面61の各々に連なっている。径方向において、第2内壁面62は、外周面70と第1内壁面61との間にある。
【0034】
第1本体部41は、第3面73と、第4面74と、第3内壁面53と、第4内壁面54と、底面56とを有している。第3面73は、第2面72に対面している。第3面73と第2面72とは、たとえば接着剤(図示せず)を介して接している。なお、第3面73は、第2面72に直接接していてもよい。
【0035】
第4面74は、第3面73の反対にある。第4面74は、上面板3(
図1参照)に対面している。第3内壁面53は、第4面74に連なっている。第3内壁面53は、第3面73から離間している。軸線方向101において、第3内壁面53は、第3面73と第4面74との間にある。第3内壁面53は、軸線Aを取り囲んでいる。第3内壁面53に、第1雌ネジ部59が設けられている。別の観点から言えば、軸線方向101に平行であり且つ第3内壁面53と交差する断面において、第3内壁面53に、少なくとも1以上の第1凸部58が設けられている。軸線方向101に平行であり且つ第3内壁面53と交差する断面において、第1凸部58は、径方向内側に突出している。
【0036】
第4内壁面54は、第3面73に連なっている。第4内壁面54は、第4面74から離間している。軸線方向101において、第4内壁面54は、第3面73と第4面74との間にある。第4内壁面54は、第3内壁面53に対して軸線方向101にあってもよい。第4内壁面54は、たとえば軸線方向101に沿って延びている。第4内壁面54は、軸線Aを取り囲んでいる。径方向において、第4内壁面54は、第3内壁面53の内側にある。
【0037】
底面56は、第3内壁面53および第4内壁面54の各々に連なっている。底面56は、たとえば径方向に沿って延びている。軸線方向101において、底面56は、第3面73と第4面74との間にある。径方向において、底面56は、第3内壁面53と第4内壁面54との間にある。
【0038】
図2に示されるように、第1流路11が延びる方向は、第1方向121とされる。第1流路11は、軸線方向101に沿って延びている。言い換えれば、第1方向121は、軸線Aに沿っている。第1流路11は、第1流路部21と、第2流路部22とを有している。調整部材42において、第1流路部21が設けられている。第1流路部21は、第1空間1(
図1参照)に連なっている。第1流路部21は、第1内壁面61によって形成されている。第1流路部21は、第1面71と第2面72とを貫通している。第1流路部21は、たとえば直線状に延びている。第1流路部21が延びる方向は、第1方向121である。
【0039】
第1流路部21の最大径は、第3直径D3とされる。第3直径D3は、第1内壁面61の最大径である。第3直径D3は、たとえば10mmである。第3直径D3は、たとえば6mm以上30mm以下であってもよい。第3直径D3の上限は、たとえば15mm以下であってもよい。
【0040】
第1本体部41において、第2流路部22が設けられている。第2流路部22は、第2空間2(
図1参照)および第1流路部21の各々に連なっている。第2流路部22は、第2空間2と第1流路部21との間に設けられている。第2流路部22は、第3内壁面53と底面56と第4内壁面54とによって形成されている。第2流路部22は、第3面73と第4面74とを貫通している。第2流路部22が延びる方向は、第1方向121である。
【0041】
第2流路部22は、第1部分91と、第2部分92とを有している。第1部分91は、第1流路部21に連なっている。第1部分91は、第1流路部21と第2空間2との間に設けられている。第1部分91は、第1空間1および第2空間2の各々から離間している。第1部分91は、第4内壁面54によって形成されている。第1部分91は、第3面73を貫通している。第1部分91は、たとえば直線状に延びている。第1部分91の延びる方向は、第1方向121である。
【0042】
第1部分91の最大径は、第4直径D4とされる。第4直径D4は、第3直径D3と実質的に同じであってもよい。別の観点から言えば、第1流路部21と第1部分91とは、直径が第3直径D3である流路を構成していてもよい。第4直径D4は、第3直径D3よりも大きくてもよい。
【0043】
第2部分92は、第2空間2および第1部分91の各々に連なっている。第2部分92は、第2空間2と第1部分91との間に設けられている。第2部分92は、第1空間1から離間している。第2部分92は、第3内壁面53と底面56とによって形成されている。第2部分92は、第4面74を貫通している。第2部分92は、たとえば直線状に延びている。第2部分92の延びる方向は、第1方向121である。
【0044】
第2部分92の最大径は、第5直径D5とされる。第5直径D5は、第2流路部22の最大径である。第5直径D5は、第1雌ネジ部59の内径である。第5直径D5は、たとえば20mmである。第5直径D5は、たとえば8mm以上40mm以下であってもよい。第3直径D3は、第5直径D5よりも小さい。第5直径D5に対する第3直径D3の比率は、たとえば15%以上75%以下である。
【0045】
下面板4において、第2流路12が設けられている。具体的には、調整部材42において、第2流路12が設けられている。第2流路12は、第1空間1(
図1参照)および第1流路11の各々に連なっている。具体的には、第2流路12は、たとえば第1流路部21に連なっている。別の観点から言えば、第2流路12は、たとえば第1空間1と第1流路部21とを繋いでいる。第2流路12は、たとえば第2流路部22および第2空間2の各々から離間している。第2流路12は、第1空間1と第1流路11との間に設けられている。第2流路12は、たとえば直線状に延びている。第2流路12は、たとえば第3面73と第2内壁面62とによって形成されている。なお、
図1および
図2に示される断面は、軸線方向101に平行であり且つ第1流路11および第2流路12の各々と交差する断面である。
【0046】
図2に示されるように、第2流路12が延びる方向は、第2方向122とされる。軸線方向101に平行であり且つ第1流路11および第2流路12の各々と交差する断面において、第2方向122は、第1方向121と交差している。別の観点から言えば、第1流路11を流れる流体と第2流路12を流れる流体とが混合するように、第1流路11および第2流路12は構成されている。
【0047】
図2に示されるように、第2流路12の中心軸は、第1中心軸111とされる。第2方向122は、第1中心軸111に沿っている。軸線方向101に平行であり且つ第1流路11および第2流路12の各々と交差する断面において、第2方向122は、たとえば第1方向121に対して垂直な方向に沿っている。言い換えれば、軸線方向101に平行であり且つ第1流路11および第2流路12の各々と交差する断面において、第1中心軸111は、たとえば軸線Aに対して垂直な方向に沿って延びている。第1中心軸111は、軸線Aと交差していてもよい。
【0048】
軸線方向101における第2流路12の高さHは、たとえば0.3mmである。高さHは、たとえば軸線方向101における第2内壁面62と第3面73との間の最大距離である。言い換えれば、高さHは、たとえば軸線方向101における第2内壁面62と第2面72との間の最大距離である。高さHは、たとえば0.1mm以上2mm以下である。
【0049】
図3は、
図2のIII-III線に沿う横断面模式図である。
図3に示される断面は、第1方向121に垂直であり且つ第2流路12と交差する断面である。言い換えれば、
図3に示される断面は、軸線Aに垂直であり且つ第2流路12と交差する断面である。
図3に示されるように、軸線方向101に見て、外周面70は、たとえば円形である。軸線方向101に見て、第1内壁面61は、たとえば円形である。
【0050】
軸線方向101に見て、第1中心軸111は、第1内壁面61と交差している。第1方向121に垂直な断面における第1流路部21の断面積は、第1面積とされる。第1面積は、第1方向121に垂直な断面における第1内壁面61に囲まれた領域の面積である。軸線方向101に見て、第2方向122に垂直な方向における第2流路12の幅は、第1幅W1とされる。第1幅W1は、第3直径D3と実質的に同じであってもよい。
【0051】
図4は、
図2のIV-IV線に沿う縦断面模式図である。
図4に示される断面は、第2方向122に垂直な断面である。言い換えれば、
図4に示される断面は、第1中心軸111に垂直な断面である。
図4に示されるように、第2内壁面62は、第2面72に連なっている。第2流路12は、たとえば四角形状である。
【0052】
第2方向122に垂直な断面における第2流路12の断面積は、第2面積とされる。第2方向122に垂直な断面において、第2面積は、たとえば第2内壁面62と第3面73とに囲まれた領域の面積である。第1面積は、第2面積よりも大きくてもよい。第1面積に対する第2面積の比率は、たとえば0.5%以上20%以下である。なお、流路の断面積が一定でない場合、流路の断面積は、流路の延びる方向に垂直な断面における流路の壁面に囲まれた領域の最小面積とされる。
【0053】
次に、第1実施形態に係る空気ばね100の作用効果について説明する。
図5は、補助空気室に空気ばね100が取り付けられた状態を示す縦断面模式図である。
図5に示されるように、空気ばね100は、鉄道車両の補助空気室90に取り付けられる。補助空気室90は、第3空間99を形成している。第3空間99には、圧縮空気が充填される。
【0054】
鉄道車両が走行する際に、たとえば軌道の勾配が変化する部分において、車両の揺れまたは振動が発生する。空気ばね100は、伸縮することによって車両の揺れまたは振動を減衰させる。空気ばね100が伸び上がるように変形する場合、第2空間2の体積は大きくなる。言い換えれば、軸線方向101における上面板3と下面板4との間の距離が長くなるように空気ばね100が変形する場合、第2空間2の体積は大きくなる。この場合、圧縮空気は、第3空間99から第1連結軸7、第1空間1および第1流路11の各々を順に通って、第2空間2へ流れる。
【0055】
空気ばねが伸び上がるように変形する際に、笛吹音と呼ばれる高周波騒音が発生する場合がある。高周波騒音は、空気ばね100内の圧縮空気の流れの乱れに起因して発生すると考えられる。具体的には、圧縮空気が第1空間1から第1流路11に流入する際に、圧縮空気の流速は増大する。流速が増大した圧縮空気が第1流路11から第2空間2に流入することによって、第2空間2において圧縮空気の渦が発生すると考えられる。これによって、圧力変動が発生し、圧力変動に起因して高周波騒音が発生すると考えられる。高周波騒音は、鉄道車両の乗客に不快感を与えるため、鉄道車両の乗り心地を低下させる。
【0056】
図6は、第1実施形態に係る空気ばね100が伸び上がる際の圧縮空気の流れを示す縦断面模式図である。第1実施形態に係る空気ばね100によれば、下面板4において、第1流路11と、第2流路12とが設けられている。第1流路11は、第1空間1および第2空間2の各々に連なっている。第2流路12は、第1空間1および第1流路11の各々に連なっている。軸線方向101に平行であり且つ第1流路11および第2流路12の各々と交差する断面において、第2流路12が延びる方向(第2方向122)は、第1流路11が延びる方向(第1方向121)と交差している。
【0057】
このため、
図6に示されるように、第1空間1から第2空間2に向かって流れる圧縮空気は、第1流路11および第2流路12の各々を通る。第1流路11を通る圧縮空気は、第1矢印131に沿って流れる。具体的には、圧縮空気は、第1空間1から第1流路11に流入し、第1流路11が延びる方向に流れて第2空間2に流入する。第2流路12を通る圧縮空気は、第2矢印132に沿って流れる。具体的には、第1空間1において、圧縮空気は、外周面70に沿って第2流路12に向かって流れる。その後、圧縮空気は、第1空間1から第2流路12に流入し、第2流路12が延びる方向に流れて第1流路11に流入する。
【0058】
これによって、第2流路12を流れる圧縮空気は、第1流路11を流れる圧縮空気と合流する。別の観点から言えば、第1流路11を流れる圧縮空気と第2流路12を流れる圧縮空気とは、第1流路11において混合され、第1流路11を流れる圧縮空気の流れが乱される。このため、第1流路11から第2空間2に流入する圧縮空気の流速を遅くすることができる。これによって、圧縮空気の渦に起因して発生する圧力変動を小さくすることができる。この結果、高周波騒音の発生を抑制できる。
【0059】
第1実施形態に係る空気ばね100によれば、調整部材42において、第2流路12が設けられていてもよい。言い換えれば、第1本体部41と異なる部品において第2流路12が設けられていてもよい。このため、第1本体部41に第2流路12を設ける場合と比較して、第2流路12を設けるための加工に必要な時間を低減できる。この結果、空気ばね100の作製に必要な時間を低減できる。
【0060】
空気ばね100の振動減衰力を高めたい場合、第1流路部21の直径が小さくされる。第1流路部21の直径が小さくなるにつれて、第1流路部21を通る圧縮空気の流速は速くなる。このため、第1流路部21の直径が小さくなるにつれて、高周波騒音は大きくなると考えられる。第1実施形態に係る空気ばね100によれば、第1流路部21の直径は、15mm以下であってもよい。このように、第1流路部21の直径が小さい場合であっても、第1実施形態に係る空気ばね100によれば、高周波騒音の発生を抑制できる。
【0061】
(第1実施形態の変形例)
図7は、第1実施形態の第1変形例に係る空気ばね100の構成を示す横断面模式図である。
図7に示される断面模式図は、
図3に示される断面模式図に対応している。
図7に示されるように、下面板4は、第5内壁面65を有していてもよい。第5内壁面65は、外周面70、第1内壁面61および第2内壁面62の各々に連なっている。径方向において、第5内壁面65は、外周面70と第1内壁面61との間にある。
【0062】
下面板4において、第3流路13が設けられていてもよい。第3流路13は、第1流路11および第1空間1(
図1参照)の各々に連なっている。第3流路13は、第1流路11と第1空間1との間に設けられている。第3流路13は、第5内壁面65と第3面73(
図2参照)とによって形成されている。第3流路13の延びる方向は、第3方向123とされる。第3方向123は、第1方向121(
図2参照)と交差していてもよい。第1流路11を流れる流体と第3流路13を流れる流体とが混合するように、第1流路11および第3流路13は構成されている。
【0063】
図7に示されるように、第3流路13の中心軸は、第2中心軸112とされる。軸線方向101に見て、第2中心軸112は、第1内壁面61と交差している。軸線方向101に見て、第2中心軸112は、第1中心軸111と実質的に平行であってもよい。軸線方向101に見て、第3方向123に垂直な方向における第3流路13の幅は、第2幅W2とされる。第2幅W2は、第1幅W1と実質的に同じであってもよい。
【0064】
図8は、第1実施形態の第2変形例に係る空気ばね100の構成を示す横断面模式図である。
図8に示される断面模式図は、
図7に示される断面模式図に対応している。
図8に示されるように、下面板4は、第6内壁面66と、第7内壁面67とを有していてもよい。第6内壁面66は、外周面70、第1内壁面61、第2内壁面62および第5内壁面65の各々に連なっている。径方向において、第6内壁面66は、外周面70と第1内壁面61との間にある。
【0065】
第7内壁面67は、外周面70、第1内壁面61、第2内壁面62、第5内壁面65の各々に連なっている。径方向において、第7内壁面67は、外周面70と第1内壁面61との間にある。
【0066】
下面板4において、第4流路14と、第5流路15とが設けられていてもよい。第4流路14は、第1流路11および第1空間1(
図1参照)の各々に連なっている。第4流路14は、第1流路11と第1空間1との間に設けられている。第4流路14は、第6内壁面66と第3面73(
図2参照)とによって形成されている。第4流路14の延びる方向は、第4方向124とされる。第4方向124は、第1方向121(
図2参照)と交差していてもよい。第1流路11を流れる流体と第4流路14を流れる流体とが混合するように、第1流路11および第4流路14は構成されている。
【0067】
図8に示されるように、第4流路14の中心軸は、第3中心軸113とされる。軸線方向101に見て、第3中心軸113は、第1内壁面61と交差している。軸線方向101に見て、第3中心軸113は、第1中心軸111に対して傾斜している。軸線方向101に見て、第3中心軸113は、第1中心軸111に対して実質的に垂直であってもよい。軸線方向101に見て、第4方向124に垂直な方向における第4流路14の幅は、第3幅W3とされる。第3幅W3は、第1幅W1と実質的に同じであってもよい。
【0068】
第5流路15は、第1流路11および第1空間1(
図1参照)の各々に連なっている。第5流路15は、第1流路11と第1空間1との間にある。第5流路15は、第7内壁面67と第3面73(
図2参照)とによって形成されている。第5流路15の延びる方向は、第5方向125とされる。第5方向125は、第1方向121(
図2参照)と交差していてもよい。第1流路11を流れる流体と第5流路15を流れる流体とが混合するように、第1流路11および第5流路15は構成されている。
【0069】
図8に示されるように、第5流路15の中心軸は、第4中心軸114とされる。軸線方向101に見て、第4中心軸114は、第1内壁面61と交差している。軸線方向101に見て、第4中心軸114は、第1中心軸111に対して傾斜している。軸線方向101に見て、第4中心軸114は、第1中心軸111に対して実質的に垂直であってもよい。軸線方向101に見て、第4中心軸114は、第3中心軸113に対して実質的に平行であってもよい。軸線方向101に見て、第5方向125に垂直な方向における第5流路15の幅は、第4幅W4とされる。第4幅W4は、第1幅W1と実質的に同じであってもよい。
【0070】
図9は、第1実施形態の第3変形例に係る空気ばね100の構成を示す縦断面模式図である。
図9に示される断面模式図は、
図2に示される断面模式図に対応している。
図9に示されるように、第3内壁面53は、第3面73に連なっていてもよい。第2流路部22は、たとえば直線状に延びていてもよい。第2流路12は、第1流路部21および第2流路部22の各々に連なっていてもよい。
【0071】
図10は、第1実施形態の第4変形例に係る空気ばね100の構成を示す縦断面模式図である。
図10に示される断面模式図は、
図2に示される断面模式図に対応している。
図10に示されるように、第2内壁面62は、第2面72から離間していてもよい。第2内壁面62は環状である。軸線方向101において、第2内壁面62は、第1面71と第2面72との間にある。第2流路12は、第2流路部22から離間している。第2流路12は、第1内壁面61と外周面70とを貫通している。
【0072】
調整部材42は、第2内壁面62を有していなくてもよい。第2面72に微少な凹凸が設けられており、当該凹凸によって第2面72と第3面73との間において、実質的に空気の流路が設けられていてもよい。具体的には、第2面72の最大高さSzは、たとえば0.03mmである。第2面72の最大高さSzは、たとえば0.01mm以上0.3mm以下であってもよい。
【0073】
最大高さSzは、二次元の最大高さRzを三次元に拡張したパラメータである。最大高さSzは、国際規格ISO25178に規定されている三次元表面性状パラメータである。
【0074】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る空気ばね100の構成について説明する。第2実施形態に係る空気ばね100は、主に、第1内壁面61において第2雌ネジ部が設けられている点において、第1実施形態に係る空気ばね100の構成と異なっており、その他の点については、第1実施形態に係る空気ばね100の構成と実質的に同一である。以下、第1実施形態に係る空気ばね100の構成と異なる点を中心に説明する。
【0075】
図11は、第2実施形態に係る空気ばね100の構成を示す拡大断面模式図である。
図11に示される断面模式図は、
図2に示される断面模式図に対応している。
図11に示されるように、第1内壁面61に、第2雌ネジ部69が設けられていてもよい。別の観点から言えば、軸線方向101に平行であり且つ第1内壁面61と交差する断面において、第1内壁面61に、少なくとも1以上の第2凸部68が設けられていてもよい。軸線方向101に平行であり且つ第1内壁面61と交差する断面において、第2凸部68は、径方向内側に突出している。第1内壁面61に第2雌ネジ部69が設けられている場合、第3直径D3は、第2雌ネジ部69の内径である。
【0076】
次に、第2実施形態に係る空気ばね100の作用効果について説明する。第2実施形態に係る空気ばね100によれば、第1内壁面61に第2雌ネジ部69が設けられている。このため、第2雌ネジ部69によって、第1流路部21を通る圧縮空気の流れが乱される。これによって、第1内壁面61に第2雌ネジ部69が設けられていない場合と比較して、第1流路部21を流れる圧縮空気の流速を低減できる。この結果、高周波騒音の発生を抑制できる。
【0077】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る空気ばね100の構成について説明する。第3実施形態に係る空気ばね100は、主に、第1本体部41において、第1流路部21および第2流路12の各々が設けられている点において、第1実施形態に係る空気ばね100の構成と異なっており、その他の点については、第1実施形態に係る空気ばね100の構成と実質的に同一である。以下、第1実施形態に係る空気ばね100の構成と異なる点を中心に説明する。
【0078】
図12は、第3実施形態に係る空気ばね100の構成を示す拡大断面模式図である。
図12に示される断面模式図は、
図2に示される断面模式図に対応している。
図12に示されるように、第1本体部41は、第1内壁面61と、第2内壁面62とを有していてもよい。別の観点から言えば、第1本体部41において、第1流路部21および第2流路12の各々が設けられていてもよい。第1内壁面61は、第3内壁面53および第3面73の各々に連なっている。軸線方向101において、第1内壁面61は、第3内壁面53と第3面73との間にある。第2内壁面62は、たとえば第3内壁面53から離間している。
【0079】
次に、第3実施形態に係る空気ばね100の作用効果について説明する。第3実施形態に係る空気ばね100によれば、第1本体部41において、第1流路部21および第2流路12の各々が設けられていてもよい。言い換えれば、一体の部品に、第1流路部21、第2流路部22および第2流路12の各々が設けられていてもよい。このため、別体の部品に第1流路部21、第2流路部22および第2流路12の各々が設けられている場合と比較して、部品の脱落を抑制できる。
【0080】
図13は、第3実施形態の変形例に係る空気ばね100の構成を示す拡大断面模式図である。
図13に示される断面模式図は、
図12に示される断面模式図に対応している。
図13に示されるように、第1本体部41は、斜面57を有していてもよい。斜面57は、第3面73および第2内壁面62の各々に連なっている。斜面57は、第3面73に対して径方向外側にある。斜面57は、第3面73に対して、下面板4から上面板3に向かう方向に傾斜している。第2流路12は、第1内壁面61と斜面57とを貫通している。
【0081】
図13に示されるように、軸線方向101に平行であり且つ第1流路11および第2流路12の各々と交差する断面において、第2方向122は、第1方向121および第1方向121に垂直な方向の各々に対して傾斜していてもよい。軸線方向101に平行であり且つ第1流路11および第2流路12の各々と交差する断面において、第1中心軸111と軸線Aとがなす角度θは、たとえば45°である。角度θは、たとえば20°以上70°以下であってもよい。角度θは、第1方向121と第2方向122とがなす角度である。
【0082】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る空気ばね100の構成について説明する。第4実施形態に係る空気ばね100は、主に、下面板4がスペーサを有している点において、第1実施形態に係る空気ばね100の構成と異なっており、その他の点については、第1実施形態に係る空気ばね100の構成と実質的に同一である。以下、第1実施形態に係る空気ばね100の構成と異なる点を中心に説明する。
【0083】
図14は、第4実施形態に係る空気ばね100の構成を示す横断面模式図である。
図14に示される断面模式図は、
図3に示される断面模式図に対応している。
図15は、第4実施形態に係る空気ばね100の構成を示す縦断面模式図である。
図15に示される断面模式図は、
図2に示される断面模式図に対応している。
図15に示される断面は、
図14のXIV-XIV線に沿う組み合わせ断面である。
【0084】
図14および
図15に示されるように、下面板4は、第1スペーサ43と、第2スペーサ44とを有していてもよい。第1スペーサ43は、第1本体部41と調整部材42との間にある。具体的には、第1スペーサ43は、第2面72と、第3面73との間にある。第1スペーサ43は、第1本体部41と調整部材42との間に挟まれている。
図14に示されるように、軸線方向101に見て、第1スペーサ43は、外周面70と第1内壁面61との間にある。
【0085】
第2スペーサ44は、第1本体部41と調整部材42との間にある。具体的には、第2スペーサ44は、第2面72と、第3面73との間にある。第2スペーサ44は、第1本体部41と調整部材42との間に挟まれている。第2スペーサ44は、第1スペーサ43から離間している。
図14に示されるように、軸線方向101に見て、第2スペーサ44は、外周面70と第1内壁面61との間にある。
【0086】
図14および
図15に示されるように、第1本体部41と調整部材42との間において、第2流路12が形成されている。具体的には、第1本体部41と調整部材42と第1スペーサ43と第2スペーサ44とは、第2流路12を形成している。第2流路12は、軸線方向101において第1本体部41と調整部材42に挟まれ、且つ径方向において第1スペーサ43と第2スペーサ44とに挟まれている空間である。
【0087】
図14に示されるように、第1幅W1は、第3直径D3よりも大きくてもよい。
図15に示されるように、高さHは、軸線方向101における第1スペーサ43および第2スペーサ44の各々の厚みである。言い換えれば、高さHは、軸線方向101における第2面72と第3面73との間の距離である。
【実施例0088】
(サンプル準備)
まず、サンプル1からサンプル5に係る空気ばね100を準備した。サンプル1およびサンプル2に係る空気ばね100は、比較例である。サンプル3からサンプル5に係る空気ばね100は、実施例である。サンプル3およびサンプル4に係る空気ばね100の構成は、
図9に示される空気ばね100の構成とした。サンプル3に係る空気ばね100における第2流路12の高さHは、0.3mmとした。サンプル4に係る空気ばね100における第2流路12の高さHは、0.8mmとした。サンプル5に係る空気ばね100において、調整部材42は、第2内壁面62を有していない。第2面72の最大高さSzは、0.03mmとした。第2面72の凹凸によって、第2面72と第3面73との間に実質的に流路が形成された。
【0089】
サンプル1およびサンプル2に係る空気ばね100の下面板4は、調整部材42を有していない。サンプル1およびサンプル2に係る空気ばね100の下面板4において、第2流路12は設けなかった。サンプル2に係る空気ばね100の下面板4において、第1内壁面61に第2雌ネジ部69を設けた。第2雌ネジ部69の谷の径は12mmとした。サンプル1からサンプル5に係る空気ばね100の下面板4において、第3直径D3は10mmとした。
【0090】
(実験方法)
サンプル1からサンプル5に係る空気ばね100の各々を繰り返し伸縮させて、高周波騒音の発生の有無を確認した。具体的には、サンプル1からサンプル5に係る空気ばね100の各々を、軸線方向101における上面板3と下面板4との間の距離が増減するように伸縮させた。伸縮の周波数は0.5Hzとした。伸縮の振幅は、1mm以上30mm以下とした。空気ばね100の内圧は376kPaとした。空気ばね100から1m離れた位置において、高周波騒音の有無を確認した。
【0091】
(実験結果)
【0092】
【0093】
表1は、高周波騒音の有無を示している。表1において、Aは、高周波騒音が確認されなかったことを示している。Bは、高周波騒音が確認されたことを示している。表1に示されるように、サンプル1に係る空気ばね100において、振幅が10mm以上である場合に高周波騒音が確認された。サンプル1に係る空気ばね100において、振幅を30mmとした場合に確認された高周波騒音の周波数は約12kHzであった。
【0094】
サンプル2に係る空気ばね100において、振幅が24mm以上である場合に高周波騒音が確認された。サンプル2に係る空気ばね100において、振幅を30mmとした場合に確認された高周波騒音の周波数は約4kHzであった。サンプル3からサンプル5に係る空気ばね100において、高周波騒音は確認されなかった。
【0095】
以上の結果より、下面板4に第2流路12を設けることによって、高周波騒音の発生が抑制可能であることが確認された。
【0096】
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。