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特開2024-82429センサモジュールおよびセンサモジュールを備える表示装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082429
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】センサモジュールおよびセンサモジュールを備える表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240613BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
G06F3/041 522
G06F3/041 495
G06F3/044 124
G06F3/041 412
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196274
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】柿木 雄飛
(57)【要約】      (修正有)
【課題】近接する入力手段の位置を正確に特定するセンサモジュール及び当該センサモジュールを備える表示装置を提供する。
【解決手段】センサモジュール200は、絶縁性のセンサ基板202、センサ基板202上の複数のセンサ電極230、複数のセンサ電極230上の絶縁性の容量形成層204、容量形成層204上に位置する少なくとも一つの電荷分散膜240及び少なくとも一つの電荷分散膜240上のカバー基板を備える。少なくとも一つの電荷分散膜240は、複数のセンサ電極230のすべてと重なる単一の電極として構成できる。この場合、電荷分散膜240は、比較的電気抵抗の高い導電膜として構成され、その電気抵抗は1×10Ω/□以上1×10Ω/□未満に設定される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の第1の基板
前記第1の基板上の複数のセンサ電極、
前記複数のセンサ電極上の絶縁性の第2の基板、
前記第2の基板上に位置する少なくとも一つの電荷分散膜、および
前記少なくとも一つの電荷分散膜上の第3の基板を備える、センサモジュール。
【請求項2】
前記少なくとも一つの電荷分散膜は、前記複数のセンサ電極のすべてと重なる単一の電荷分散膜で構成される、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項3】
前記電荷分散膜は、1×10Ω/□以上1×10Ω/□未満の電気抵抗を有する、請求項2に記載のセンサモジュール。
【請求項4】
前記少なくとも一つの電荷分散膜は複数の電荷分散膜を含む、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項5】
前記複数の電荷分散膜の各々は櫛型構造を有し、
前記複数の電荷分散膜は、前記複数の電荷分散膜から選択される第1の電荷分散膜の一つの櫛歯が、前記複数の電荷分散膜から選択され、前記第1の電荷分散膜に隣接する第2の電荷分散膜の二つの櫛歯の間に挟まれるように配置される、請求項4に記載のセンサモジュール。
【請求項6】
前記複数の電荷分散膜の各々は、全体が櫛型構造で構成される、請求項5に記載のセンサモジュール。
【請求項7】
前記少なくとも一つの電荷分散膜は、インジウムを含有する透光性酸化物を含む、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項8】
前記少なくとも一つの電荷分散膜は、金属を含み、複数の開口を有する、請求項1に記載のセンサモジュール。
【請求項9】
前記複数の電荷分散膜の上または下に位置し、前記電荷分散膜と電気的に接続される帯電防止膜をさらに備え、
前記帯電防止膜は、前記複数の電荷分散膜の電気抵抗よりも大きな電気抵抗を有する、請求項4に記載のセンサモジュール。
【請求項10】
前記帯電防止膜は、一定電位が供給されるように構成される、請求項9に記載のセンサモジュール。
【請求項11】
表示モジュール、および
前記表示モジュール上のセンサモジュールを備え、
前記センサモジュールは、
絶縁性の第1の基板
前記第1の基板上の複数のセンサ電極、
前記複数のセンサ電極上の絶縁性の第2の基板、
前記第2の基板上に位置する少なくとも一つの電荷分散膜、および
前記少なくとも一つの電荷分散膜上の第3の基板を備える、表示装置。
【請求項12】
前記少なくとも一つの電荷分散膜は、前記複数のセンサ電極のすべてと重なる単一の電荷分散膜で構成される、請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記電荷分散膜は、1×10Ω/□以上1×10Ω/□未満の電気抵抗を有する、請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記少なくとも一つの電荷分散膜は複数の電荷分散膜を含む、請求項11に記載の表示装置。
【請求項15】
前記複数の電荷分散膜の各々は櫛型構造を有し、
前記複数の電荷分散膜は、前記複数の電荷分散膜から選択される第1の電荷分散膜の一つの櫛歯が、前記複数の電荷分散膜から選択され、前記第1の電荷分散膜に隣接する第2の電荷分散膜の二つの櫛歯の間に挟まれるように配置される、請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記複数の電荷分散膜の各々は、全体が櫛型構造で構成される、請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記少なくとも一つの電荷分散膜は、インジウムを含有する透光性酸化物を含む、請求項11に記載の表示装置。
【請求項18】
前記少なくとも一つの電荷分散膜は、金属を含み、複数の開口を有する、請求項11に記載の表示装置。
【請求項19】
前記複数の電荷分散膜の上または下に位置し、前記電荷分散膜と電気的に接続される帯電防止膜をさらに備え、
前記帯電防止膜は、前記複数の電荷分散膜の電気抵抗よりも大きな電気抵抗を有する、請求項14に記載の表示装置。
【請求項20】
前記帯電防止膜は、一定電位が供給されるように構成される、請求項19に記載の表示装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態の一つは、センサモジュール、およびセンサモジュールを備える表示装置に関する。例えば、本発明の実施形態の一つは、非接触式センサモジュール、および非接触式センサモジュールを備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報端末に情報を入力するためのインターフェースの一つとして、静電容量式のセンサモジュールが広く用いられている。センサモジュールでは、マトリクス状に配列された複数のセンサ電極に入力手段が近接すると、センサ電極と入力手段の間に仮想的な容量素子が形成され、その結果、センサ電極の電位が変動する。複数のセンサ電極の電位変動を利用することで、入力手段の入力位置を特定することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-10603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の一つは、新しい構造を有するセンサモジュール、およびこのセンサモジュールを備える表示装置を提供することを課題の一つとする。あるいは、本発明の実施形態の一つは、近接する入力手段の位置を正確に特定することが可能なセンサモジュール、およびこのセンサモジュールを備える表示装置を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態の一つは、センサモジュールである。センサモジュールは、絶縁性の第1の基板、第1の基板上の複数のセンサ電極、複数のセンサ電極上の絶縁性の第2の基板、第2の基板上に位置する少なくとも一つの電荷分散膜、および少なくとも一つの電荷分散膜上の第3の基板を備える。
【0006】
本発明の実施形態の一つは、表示装置である。表示装置は、表示モジュール、および表示モジュール上のセンサモジュールを備える。センサモジュールは、絶縁性の第1の基板、第1の基板上の複数のセンサ電極、複数のセンサ電極上の絶縁性の第2の基板、第2の基板上に位置する少なくとも一つの電荷分散膜、および少なくとも一つの電荷分散膜上の第3の基板を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る表示装置の模式的展開斜視図。
図2】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの模式的展開斜視図。
図3】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの模式的上面図。
図4A】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの模式的端面図。
図4B】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの模式的上面拡大図。
図5A】従来のセンサモジュールの動作を説明する模式的端面図。
図5B】従来のセンサモジュールの動作を説明する模式図。
図6A】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの動作を説明する模式的端面図。
図6B】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの動作を説明する模式図。
図7】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの模式的上面図。
図8】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの模式的端面図。
図9】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの模式的上面拡大図。
図10】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの模式的上面拡大図。
図11】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの模式的上面拡大図。
図12】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの模式的上面拡大図。
図13】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの模式的端面図。
図14】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの模式的展開斜視図。
図15】本発明の実施形態に係る表示装置の模式的端面図。
図16】本発明の実施形態に係る表示装置の模式的斜視図。
図17】本発明の実施形態に係る表示装置の表示モジュールの模式的上面図。
図18】本発明の実施形態に係る表示装置の模式的端面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の各実施形態について、図面などを参照しつつ説明する。ただし、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0009】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状などについて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。同一、あるいは類似する複数の構造を総じて表す際にはこの符号が用いられ、これらを個々に表す際には符号の後にハイフンと自然数が加えられる。
【0010】
本明細書および請求項において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0011】
本明細書および請求項において、「ある構造体が他の構造体から露出する」という表現は、ある構造体の一部が他の構造体によって覆われていない態様を意味し、この他の構造体によって覆われていない部分は、さらに別の構造体によって覆われる態様も含む。また、この表現で表される態様は、ある構造体が他の構造体と接していない態様も含む。
【0012】
本発明の実施形態において、複数の膜が同一の工程で同時に形成された場合、これらの膜は同一の層構造、同一の材料、同一の組成を有する。したがって、これら複数の膜は同一層内に存在しているものと定義する。
【0013】
<第1実施形態>
本実施形態では、本発明の実施形態の一つであるセンサモジュール200、およびセンサモジュール200を備える表示装置100について説明する。
【0014】
1.表示装置
表示装置100の模式的展開斜視図を図1に示す。表示装置100は、表示モジュール110、および表示モジュール110上に配置されるセンサモジュール200を含む。表示モジュール110とセンサモジュール200は、図1では示されない接着層によって互いに固定されてもよい。
【0015】
2.表示モジュール
表示モジュール110は、映像を表示する機能を有するデバイスであり、アレイ基板112、アレイ基板112上に形成される複数の画素116、アレイ基板112上の対向基板114を基本的な構成として備える。複数の画素116は、複数の行と列を有するマトリクス状に配置される。以下、行方向をX方向、列方向をY方向とも呼ぶ。複数の画素116を囲む領域は表示領域120と呼ばれる。各画素116は表示素子を備えており、色情報を提供する最小単位として機能する。表示素子としては、液晶素子をはじめ、無機電界発光素子(LED)や有機電界発光素子(OLED)に例示される電界発光素子(自発光型の発光素子)などを用いることができる。液晶素子を用いる場合には、表示モジュール110には、図示しない光源(バックライト)がさらに設けられる。各画素116は、フレキシブル印刷回路(FPC)基板などのコネクタ118を介して供給される電源と映像信号に従って動作し、映像信号に基づく階調で特定の色の光を提供する。画素116の動作を映像信号に基づいて制御することで、表示領域120上に映像を表示することができる。
【0016】
表示モジュール110の大きさには制約はなく、例えば12.1インチ(31cm)サイズと呼ばれる携帯通信端末などに利用される大きさでもよく、コンピュータに接続されるモニタやテレビ、サイネージなどに好適な大きさ(例えば、14.1インチ(36cm)サイズから32インチ(81cm)サイズ)でもよく、さらに大きなサイズであってもよい。
【0017】
3.センサモジュール
センサモジュール200は、表示モジュール110からの光を透過させるとともに、表示装置100に情報を入力するためのインターフェースとして機能するデバイスである。センサモジュール200は接触式または非接触式センサモジュールであり、指や掌、先端に樹脂が配置されたタッチペンなどの入力手段がセンサモジュール200に直接接触したときのみならず、入力手段がセンサモジュール200に接することなく検出レンジ内に近づいた際にも入力手段を検出し、センサモジュール200上における入力手段の位置(以下、単に入力位置とも記す。)を特定する機能を備える。当該入力手段の位置とは検出レンジ(後述のセンサ領域)内の2次元座標、すなわち検出レンジ内のX方向における座標位置とY方向における座標位置であっても構わないし、3次元情報、すなわち検出レンジ内におけるX方向、Y方向の座標位置のみならずZ方向の座標位置であっても構わない。Z方向の検出レンジは適宜設定可能であり、例えば、センサモジュール200の最外表面から5mm以内、20mm以内、50mm以内、または100mm以内の範囲などに設定することができる。以下、センサモジュール200の各構成について説明する。
【0018】
3-1.センサ基板とカバー基板
図1図2の模式的展開斜視図に示すように、センサモジュール200は、センサ基板202とセンサ基板202に対向するカバー基板206を備える。センサ基板202とカバー基板206は、いずれも絶縁性の基板であり、表示モジュール110によって表示される映像を視認させるため、可視光を透過する材料で構成される。このため、センサ基板202とカバー基板206は、ガラスや石英、ポリイミドやポリアミド、ポリカーボネートなどの高分子材料などで構成される。センサ基板202および/またはカバー基板206は、任意に変形できる程度の可撓性を備えてもよく、あるいは塑性変形しない程度の低い可撓性を有してもよい。
【0019】
3-2.センサ電極
センサ基板202とカバー基板206の間には、複数のセンサ電極230が設けられる。複数のセンサ電極230は、複数の行と列を有するマトリクス状に配置される。複数のセンサ電極230が配置される領域はセンサ領域と呼ばれ、センサ領域が表示領域120と重なるようにセンサ電極230が配置される。センサ電極230の数(すなわち、行と列の数)や大きさ(面積)は、表示装置100の大きさ、センサモジュール200に要求される検出精度などに応じて適宜設定すればよい。図1から理解されるように、各センサ電極230は、画素116よりも大きな面積を有しており、複数の画素116と重なるように設けられる。
【0020】
センサ電極230は、例えばインジウム-スズ混合酸化物(ITO)やインジウム-亜鉛混合酸化物(IZO)などの透光性酸化物を含む。あるいは、センサ電極230は、チタンやモリブデン、タングステン、アルミニウム、銅などの金属(0価の金属)、またはこれらの金属の一つまたは複数を含む合金を含んでもよい。当該金属を用いる場合には、透光性を確保するため、複数の開口を有するメッシュ状または細線状にセンサ電極230を形成すればよい。
【0021】
3-3.電荷分散膜と容量形成層
図2図3に示すように、センサモジュール200はさらに、複数のセンサ電極230上に配置される容量形成層204、および容量形成層204上の電荷分散膜240を備え、電荷分散膜240上にカバー基板206が配置される。このため、容量形成層204は、センサ電極230と電荷分散膜240によって挟まれる。
【0022】
容量形成層204は絶縁性を有する層により形成され、例えばガラスや石英、ポリイミドやポリアミド、ポリカーボネートなどの高分子材料などで構成される。表示モジュール110で創り出される映像はセンサモジュール200を介して視認されるため、センサ基板202とカバー基板206と同様、容量形成層204も可視光を透過するように構成される。容量形成層204も可撓性を有してもよい。
【0023】
図3の鎖線A-A´に沿った端面の模式図(図4A)に示すように、透光性の接着層236によって容量形成層204が複数のセンサ電極230上に固定される。後述するように、センサモジュール200では、入力位置の特定の際に容量形成層204とこれを挟むセンサ電極230と電荷分散膜240によって容量を形成し、これによってセンサ電極230の電荷を分散する。適切な容量を形成するため、容量形成層204の厚さは、例えば1μm以上1.0mm以下に調整される。容量形成層204が数μmから数十μm程度の厚さを有する場合には、無機膜、有機膜、またはこれらの積層体が採用される。容量形成層204が数百μmからmm程度の厚さを有する場合には、例えばガラス基板が容量形成層204として採用される。この場合、ガラス基板上に電荷分散膜240を形成する構成も採用可能である。
【0024】
図3図4Aから理解されるように、電荷分散膜240は複数のセンサ電極230と重なるよう、容量形成層204を介してセンサ電極230上に配置される。電荷分散膜240は、すべてのセンサ電極230と重なるように配置してもよい。ただし、最上行、最下行、および/または両端の列に配置されるセンサ電極230が入力手段の検出に寄与しない場合には、これらの行または列に位置するセンサ電極230は電荷分散膜240から一部または全体が露出してもよい。電荷分散膜240は、スパッタリング法や化学気相成長(CVD)法などの成膜法を利用して容量形成層204上に直接形成してもよく、あるいは図示しない接着層を用いて容量形成層204に固定してもよい。この場合、カバー基板206は、接着層222を介して電荷分散膜240に固定される(図4A)。あるいは、電荷分散膜240をスパッタリング法やCVD法などを利用してカバー基板206と直接接するように設けてもよい。この場合には、図示しない接着層によって容量形成層204と電荷分散膜240が互いに固定される。
【0025】
電荷分散膜240は、すべてまたは複数のセンサ電極230と重なる単一の電極として構成することができる。この場合、電荷分散膜240は、比較的電気抵抗の高い導電膜として構成され、その電気抵抗は1×10Ω/□以上1×10Ω/□未満に設定される。また、表示モジュール110が生成する映像を視認することができるよう、可視光を透過するように構成される。このため、電荷分散膜240は、例えばITOやIZOなどの透光性酸化物を含み、上記電気抵抗を実現するため、比較的小さい厚さ(例えば、30nm以上100nm以下)を有するように設けられる。あるいは、電荷分散膜240は、センサ電極230で用いることが可能な上記金属または合金を含んでもよい。この場合には、透光性を確保するため、図4Bに示すように、複数の開口240aを有するメッシュ状に電荷分散膜240が形成される。開口240aの形状は任意に決定することができ、例えば円、楕円、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、三角形、あるいは五角形以上の多角形でもよい。また、開口240aの大きさ(面積)も適宜選択することができ、例えば行方向の最大長aと列方向の最大長bは、不可視化の観点から定められ、表示モジュール110と使用者の目の位置との関係に依存する。例えば、表示モジュール110がスマートホンなどの小型表示モジュールである場合、最大長aと最大長bはそれぞれ数百nm程度で設定され、表示モジュールが大型テレビジョンなどの大型表示装置である場合、最大長aと最大長bは数十mmで設定される。最大長aと最大長bは、互いに同一でもよく、異なってもよい。
【0026】
3-4.その他の構成
各センサ電極230からは、センサ電極230と電気的に接続される配線(図示しない)がセンサ基板202の一辺まで延伸し、端部において端子234を形成する(図3)。端子234にはフレキシブル印刷回路(FPC)基板などの第1のコネクタ210が電気的に接続され(図1図2)、第1のコネクタ210には検出回路212が設けられる。図示しない外部回路から供給される電源が検出回路212によって交流電圧(交流矩形波)に変換され、この交流電圧が端子234を介して各センサ電極230に供給される。
【0027】
センサモジュール200のセンサ基板202と表示モジュール110の対向基板114の間には、表示モジュール110からの電気的な影響を遮蔽するためのノイズシールド層220を設けてもよい。ノイズシールド層220は、接着層102を介して対向基板114上に固定してもよく(図4A)、あるいは、図示しないが、対向基板114上にノイズシールド層220を形成し、接着層102を用いてノイズシールド層220をセンサ基板202に固定してもよい。ノイズシールド層220は、ITOやIZOなどの透光性酸化物、あるいは金属を含む。後者の場合には、可視光の透過を許容するよう、複数の開口を有するメッシュ状の金属膜をノイズシールド層220として用いればよい。ノイズシールド層220は、複数のセンサ電極230と重なるように設けられる。ノイズシールド層220には、FPC基板などの第2のコネクタ208が電気的に接続され(図1図2参照。)、センサ電極230に印加される電位と同相のパルス状交流電圧が印加される。このため、ノイズシールド層220はセンサ電極230と常時等電位となる。また、対向基板114に表示モジュール110を固定するための接着層や、対向基板114に偏光板やカバー基板206を固定するための接着層を導電性とし、これをノイズシールド層220として用いる構成も採用可能である。
【0028】
3-5.センサモジュールによる入力位置の特定
上述したように、第1のコネクタ210に設けられる検出回路212によって交流電圧(交流矩形波)が生成され、この交流電圧が端子234を介して各センサ電極230に供給される。入力手段がセンサモジュール200に近づくと、入力手段とセンサ電極230の間に仮想的な容量が形成され、これに伴ってセンサ電極230の容量が変化する。検出回路212は、この容量変化を電位変動として検出し、さらにデジタル化して検出信号に変換することで各センサ電極230に対応するセンサ値が取得される。各センサ電極230のセンサ値を用いることで、入力位置を表す座標が決定される。
【0029】
この時、電荷分散膜が設けられない従来のセンサモジュールでは、図5Aの模式的端面図に示すように、入力手段に最も近いセンサ電極(ここではセンサ電極230-3)のセンサ値が最大となる。最大のセンサ値を示すセンサ電極230、すなわち、入力手段が最も近くに位置するセンサ電極230-3のセンサ値のみを利用して入力位置を特定すると、上述したようにセンサ電極230は画素116よりも大きいため、表示モジュール110が提供する精細な映像に適合するように入力位置を精細に特定することができない。このため、最大のセンサ値を示すセンサ電極230だけでなく、その近傍(例えば、図5Aの例ではセンサ電極230-1、230-2、230-4、230-5など)のセンサ値が利用される。しかしながら、図5Bに模式的に表すように、入力手段が最接近するセンサ電極230-3以外のセンサ電極230のセンサ値は、センサ電極230-3のセンサ値と比較して極めて小さい。このようにセンサ値の分布が極端に小さくなると、入力手段とセンサ電極230-3との間の位置関係を正確に求めることが困難にあり、精細かつ正確な位置特定ができない。例えば、センサモジュール上で入力手段を移動させても、センサ値分布に大きな変化が生じず、入力手段の移動を検知することが難しくなる。特にセンサ電極230のピッチと比較して入力手段が大きい場合、この傾向が顕著になる。センサ電極230を小型化することで位置特定の精度を向上させることもできるが、同時にセンサ電極230の数も増大するため、検出回路212に大きな負担がかかり、その結果、入力位置の特定に要する時間が増大する。このことは、センサモジュール200の応答速度の低下やS/N比の悪化、製造コストと消費電力の増大の原因となる。
【0030】
これに対し、本実施形態に係るセンサモジュール200には、比較的電気抵抗の高い電荷分散膜240が容量形成層204を介してセンサ電極230上に設けられる。このため、電荷分散膜240、容量形成層204、およびセンサ電極230によって容量が形成される。このような構成では、入力手段がセンサモジュール200に近づく際に電荷分散膜240に生じる電荷が、入力手段が最接近するセンサ電極230-3上からその近傍のセンサ電極230上に流れ込む(図6Aの波線矢印参照。)。その結果、電荷が電荷分散膜240を介して流れ込んだセンサ電極230の電位は、容量結合によって変動し、比較的大きなセンサ値を示す(図6B)。したがって、センサ値の分布が広がる、すなわち、入力手段が最接近するセンサ電極230-3の近傍に位置するセンサ電極230からも比較的大きなセンサ値を取得することができるので、これらのセンサ値を利用することで入力手段の位置を精細にかつ正確に特定することが可能となる。したがって、本発明の実施形態を適用することで、消費電力の増大や応答速度の低下を招くことなく、入力手段の高精度の位置特定が可能なセンサモジュールを提供することができる。
【0031】
<第2実施形態>
本実施形態では、第1実施形態で述べたセンサモジュール200と構造が異なるセンサモジュール250について説明する。第1実施形態で述べた構成と同一または類似する構成については説明を割愛することがある。
【0032】
図7の模式的上面図と図7の鎖線B-B´に沿った端面の模式図(図8)に示すように、本実施形態に係るセンサモジュール250は、互いに電気的に離隔し、互いに同一の層内に存在する複数の電荷分散膜240を有する。複数の電荷分散膜240は、互いに電気的に浮遊し、他の素子と電気的に接続されなくてもよい。各電荷分散膜240の大きさ(面積)はセンサ電極230の大きさよりも小さい。このため、各センサ電極230は二つ以上の電荷分散膜240と重なる。複数の電荷分散膜240も複数の行と列を有するマトリクス状に配置することができる。また、電荷分散膜240のピッチP(隣接する電荷分散膜240の中心または重心間の距離)は、容量形成層204の厚さよりも小さいことが好ましい。あるいは、本実施形態においては各電荷分散膜240が矩形状を呈しているが、電荷分散膜240の隣り合う辺間の間隔が容量形成層204の厚さよりも小さいことが好ましい。ピッチPを容量形成層204の厚さよりも小さく設定することで、電荷分散膜240とセンサ電極230で形成される容量よりも大きな容量を面内方向に形成することができる。あるいは、電荷分散膜240のピッチPは、対応するセンサ電極230の大きさとの関係によって定義されても構わない。例えば1つのセンサ電極230上に少なくともn行m列の電荷分散膜240を重畳させる必要性から、電荷分散膜240のX方向のピッチをセンサ電極のX方向の長さの1/n(nは3以上の整数)とすることも可能である。Y方向についても同様に、電荷分散膜240のY方向のピッチをセンサ電極のy方向の長さの1/m(mは3以上の整数)とすることも可能である。
【0033】
第1実施形態のセンサモジュール200と同様、センサモジュール250に設けられる複数の電荷分散膜240も、表示モジュールからの光を透過するよう、ITOやIZOなどの透光性酸化物を含む。あるいは、電荷分散膜240は、センサ電極230で用いることが可能な上記金属または合金を含んでもよい。この場合には、透光性を確保するため、複数の開口を有するメッシュ状に電荷分散膜240が形成される。開口の形状や大きさ、アスペクト比も適宜決定することができる。なお、センサモジュール250の複数の電荷分散膜240は、互いに電気的に絶縁された浮遊状態とする場合には、比較的低い電気抵抗を有してもよい。例えば、複数の電荷分散膜240の電気抵抗は、1×10Ω/□以上1×10Ω/□未満でもよい。
【0034】
上記構成と配置を有する複数の電荷分散膜240を設けることで、電荷分散膜240とセンサ電極230間の容量のみならず、隣接する電荷分散膜240の間において面内方向に容量を形成することができ、これにより、電気的に浮遊するノードを形成することができる。入力手段が近接した際、入力手段が最接近する電荷分散膜240の電荷によってその近傍の電荷分散膜240の電位が容量結合によって変動する。この変動に伴い、入力手段が最接近するセンサ電極230の近傍に位置するセンサ電極230の電位も変動し、比較的高いセンサ値を与えることができる。したがって、センサモジュール200と同様、センサモジュール250も精細かつ正確な位置特定が可能である。
【0035】
隣接する電荷分散膜240間でより大きな容量を形成するため、各電荷分散膜240の一部または全体を櫛型構造を有するように成形し、隣接する電荷分散膜240間で櫛歯が噛み合うように電荷分散膜240を構成してもよい。一つの例を図9の模式的上面図に示す。ここでは、一つの電荷分散膜240が実線で示されており、当該電荷分散膜240に隣接する複数の電荷分散膜240が点線で示されている。この例では、各電荷分散膜240は、中心部240bとともに、櫛型部240cを有している。中心部240bとは、屈曲構造を持たない部分であり、例えば最大長とそれに直交する最大幅の比(アスペクト比)が0.5以上1.5以下の部分として定義することができる。一方、櫛型部240cとは、複数の屈曲部を有し、隣接する屈曲部間のアスペクト比が上記範囲から逸脱した部分として定義することができる。櫛型部240cは中心部240bに対して行方向と列方向にそれぞれ形成されている。図9に示すように、隣接する電荷分散膜240の櫛歯が互いに噛み合うように電荷分散膜240が構成、配置される。換言すると、一つの電荷分散膜240の一つの櫛歯は、隣接する電荷分散膜240の隣接する二つの櫛歯の間に挟まれるように配置される。隣接する電荷分散膜240の櫛歯が噛み合う部分において、隣接する櫛歯間の距離は、上述した不可視化の観点も加味し、表示装置100の使用態様に応じて数百μm程度から数重mmの間で定められる。不可視化を実現可能な範囲で、できる隣接する櫛歯間の距離を狭めることが好ましい。このような構造を採用することで、隣接する電荷分散膜240の面内方向の距離が大幅に低下し、かつ、形成される容量の面内方向の長さが増大するため、隣接する電荷分散膜240間でより大きな容量を形成することができる。その結果、入力手段と最接近するセンサ電極230の近傍のセンサ電極230のセンサ値をより効果的に増大することができる。
【0036】
上述したように、本実施形態の電荷分散膜240は金属を含むメッシュ形状を有することができる。この場合、中心部240bだけでなく、図10に示すように櫛型部240cもメッシュ形状を備えてもよい。メッシュの開口のアスペクト比は任意に決定することができる。例えば櫛歯の開口の延伸方向における長さに対する当該延伸方向に垂直な方向における長さの比を小さくすることで隣接する櫛歯間の距離を低減し、容量を増大させてもよい。
【0037】
隣接する櫛歯240c-1間には配線や電極を配置せず、隣接する櫛歯240c-1間に亘って接着層222と容量形成層204が接してもよいが、図10に示すように、隣接する櫛歯240c-1間に櫛歯240c-1と同様のメッシュ構造を有する電気的に浮遊したダミー配線240c-2を設けてもよい。ダミー配線240c-2は中心部240bや櫛型部240cと同一層内に存在して同様の形状を有することができるが、中心部240bや櫛型部240cとは接続されず、電気的に浮遊する。ダミー配線240c-2を配置することで、複数の電荷分散膜240が設けられるセンサ領域全体に亘って均一な光学特性が得られるため、モアレの発生を防止することができる。
【0038】
なお、中心部240bの形状は四角形に限られず、任意の形状を有してもよい。例えば図11に示すように、中心部240bは正六角形または略正六角形でもよい。この場合には、中心部240bを取り囲む六つの櫛型部240cが形成される。図示しないが、中心部240bの形状は、例えば八角形でもよい。中心部が形成する多角形の角の数が増大するに従って一つの電荷分散膜240に隣接する電荷分散膜240の数が増大するため、より精度の高い位置検出が可能となる。
【0039】
さらに、図12に示すように、各電荷分散膜240は中心部240bを持たず、櫛型部240cから構成されてもよい。このような構成では、各電荷分散膜240中に占める櫛型部240cの大きさが最大となるため、隣接する電荷分散膜240間で極めて大きな容量を形成することが可能となる。
【0040】
なお、図8に対応する模式的端面図である図13に示すように、センサモジュール250は、複数の電荷分散膜240の上または下に帯電防止膜242を有してもよい。帯電防止膜242は電荷分散膜240よりも高い電気抵抗を有し、複数の電荷分散膜240と電気的に接続される。例えば、帯電防止膜242の電気抵抗は、1×10Ω以上1×10Ω未満でもよい。帯電防止膜242も可視光を透過するように構成され、例えばITOやIZOなどの導電性酸化物を含んでもよく、さらにケイ素を含んでもよい。なお、帯電防止膜242は、第1のコネクタ210を介して一定電位(例えば、接地電位)に接続される。帯電防止膜242を設けることでセンサモジュール250の帯電が防止され、外部からの静電気などの侵入を防止することができる。
【0041】
<第3実施形態>
本実施形態では、第1、第2実施形態で述べたセンサモジュール200、250とは構造が異なるセンサモジュール260、およびセンサモジュール260を含む表示装置100について説明する。第1、第2実施形態で述べた構成と同一または類似する構成については説明を割愛することがある。
【0042】
本実施形態に係るセンサモジュール260は、所謂インセル型の相互容量方式タッチセンサ付き表示装置に適用することが可能なモジュールであり、図14の模式的展開斜視図に示すように、表示装置100の対向基板114上に配置される複数のセンサ電極230、複数のセンサ電極230上の容量形成層204、および容量形成層204上の電荷分散膜240を基本的な構成として備える。カバー基板206は電荷分散膜240上に設けられる。
【0043】
図15に一つの画素116を中心とする表示装置100の模式的端面図を示す。表示装置100に含まれる表示モジュール110の構成に制約はなく、公知の構造を適宜適用することができる。図15に示す表示モジュール110では、トランジスタ130などの各種素子を含む複数の画素回路がアレイ基板112上に設けられ、その上に各画素回路と接続される液晶素子が形成される。液晶素子は、画素回路と電気的に接続される画素電極136、共通電極132、画素電極136と共通電極132を絶縁する層間絶縁膜134、画素電極136と共通電極132上の第1の配向膜138と第2の配向膜142、第1の配向膜138と第2の配向膜142の間に配置される液晶層140を含む。液晶素子上には、対向基板114が設けられ、対向基板114の上(図15では対向基板114の下)には、オーバーコート148に覆われる遮光膜146やカラーフィルタ144などが配置される。
【0044】
センサモジュール260の複数のセンサ電極230は、ストライプ状に配置され、その上に容量形成層204を介して電荷分散膜240が配置される。図示しないが、表示装置100は、アレイ基板112の下とカバー基板206の上にそれぞれ偏光膜が設けられる。なお、センサ電極230と対向基板114の間、センサ電極230と容量形成層204の間、容量形成層204とカバー基板206の間には、図示しない接着層が形成されていてもよい。あるいは、センサ電極230と対向基板114は互いに接してもよく、センサ電極230と容量形成層204も互いに接してもよく、あるいは容量形成層204とカバー基板206も互いに接してもよい。
【0045】
ここで、表示モジュール110には複数の共通電極132がストライプ状に設けられ、各共通電極132は、複数列または複数行に配置される画素116と重なるとともに、複数のセンサ電極230と交差する。さらに、共通電極132は、液晶素子の液晶層140の配向を制御するための一つの電極として機能すると同時に、センサモジュール260において入力手段を検知するための電極としても機能する。具体的には、表示モジュール110で映像を表示する期間では、共通電極132には所定の電位が供給され、画素電極136と協働して液晶層140の配向を制御する。一方、入力手段を検知する期間においては、一定の周波数(例えば数kHzから数十kHz)のパルス電圧が共通電極132に印加され、共通電極132はセンサ電極230と連携してセンサモジュール200の構成として機能する。
【0046】
センサ電極230は、第1のコネクタ210上に設けられる検出回路212に接続され、当該検出回路212によってその電位の変動が検出される。上述したように、共通電極132には時分割で交流電圧が供給されるため、共通電極132とセンサ電極230との間で容量が形成される。入力手段が近接することにより、当該容量が変化し、当該変化を検出回路212がセンサ電極230を介して検出する。これにより、入力位置を表す座標が決定される。
【0047】
センサモジュール260に含まれる電荷分散膜240としては、第1実施形態または第2実施形態で述べた複数の電荷分散膜240を適用すればよい。図示しないが、複数の電荷分散膜240を適用する場合には、第2実施形態で述べたように、帯電防止膜242をさらに設けてもよい。センサモジュール260には電荷分散膜240が設けられるため、上述したように、消費電力の増大や応答速度の低下を招くことなく、入力手段の高精度の位置特定が可能なセンサモジュールを提供することができる。
【0048】
なお、本実施形態においては、センサ電極230を対向基板114上に設ける構成も採用有能である。この場合、センサ電極230上に容量形成層204、電荷分散膜240およびカバー基板206を設けてよい。この場合、表示モジュール110上にこれらセンサ電極230、容量形成層204および電荷分散膜240を設けた構成をセンサモジュールと称してよく、あるいはタッチパネル機能付き表示装置と称してよい。
【0049】
<第4実施形態>
本実施形態では、第1から第4実施形態で述べたセンサモジュール200、250、260とは構造が異なるセンサモジュール270、およびセンサモジュール270を含む表示装置104について説明する。第1から第3実施形態で述べた構成と同一または類似する構成については説明を割愛することがある。
【0050】
本実施形態に係るセンサモジュール270は、所謂インセル型の自己容量方式タッチセンサ付き表示装置に適用することが可能なモジュールである。ただし、図16の模式的展開斜視図に示すように、センサモジュール260と異なってセンサ電極230を持たない。このため、センサモジュール270は、表示モジュール110上に配置される容量形成層204および容量形成層204上の電荷分散膜240を基本的な構成として備える。カバー基板206は電荷分散膜240上に設けられる。
【0051】
センサ電極230の機能は、表示モジュール110に配置される共通電極132が担う。具体的には、図17の模式的上面図と図15に対応する模式的端面図(図18)に示すように、本実施形態に係る表示モジュール110では、複数の共通電極132が、それぞれ対応する複数の画素電極136と重なるようにマトリクス状に配置される。第3実施形態で述べた表示モジュール110と同様、映像を表示する期間では、共通電極132にはコネクタ118を介して外部回路(図示しない)から所定の電位が供給され、画素電極136と協働して液晶層140の配向を制御する。これにより、各画素116において液晶層140の配向が制御され、映像信号に従った階調が実現される。
【0052】
入力手段を検知する期間においては、各共通電極132には、一定の周波数(例えば数kHzから数十kHz)のパルス電圧が供給され、当該パルス電圧に基づいて容量が形成されるが、当該容量は入力手段が近接することにより変化する。当該容量の変化に基づくパルス電圧の変化を検出することによって入力手段を検知し、その座標を特定することができる。
【0053】
センサモジュール260と同様、センサモジュール270に含まれる電荷分散膜240として、第1実施形態または第2実施形態で述べた複数の電荷分散膜240を適用すればよい。また、複数の電荷分散膜240を適用する場合には、第2実施形態で述べたように、帯電防止膜242をさらに設けてもよい。電荷分散膜240が設けることで、消費電力の増大や応答速度の低下を招くことなく、入力手段の高精度の位置特定が可能なセンサモジュールを提供することができる。
【0054】
なお、本実施形態においては、対向基板114上に容量形成層204、電荷分散膜240およびカバー基板206を設けてよい。また、対向基板114を容量形成層204と見做し、対向基板114上に電荷分散膜240およびカバー基板206を設けてよい。この場合、表示モジュール110上にこれらセンサ電極230、容量形成層204、電荷分散膜240を設けた構成をセンサモジュールと称してよく、あるいはタッチパネル機能付き表示装置と称してよい。
【0055】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置やセンサモジュールを基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0056】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0057】
100:表示装置、102:接着層、104:表示装置、110:表示モジュール、112:アレイ基板、114:対向基板、116:画素、118:コネクタ、120:表示領域、130:トランジスタ、132:共通電極、134:層間絶縁膜、136:画素電極、138:第1の配向膜、140:液晶層、142:第2の配向膜、144:カラーフィルタ、146:遮光膜、148:オーバーコート、200:センサモジュール、202:センサ基板、204:容量形成層、206:カバー基板、208:第2のコネクタ、210:第1のコネクタ、212:検出回路、220:ノイズシールド層、222:接着層、230:センサ電極、230-1:センサ電極、230-2:センサ電極、230-3:センサ電極、230-4:センサ電極、230-5:センサ電極、234:端子、236:接着層、240:電荷分散膜、240a:開口、240b:中心部、240c:櫛型部、240c-1:櫛歯、240c-2:ダミー配線、242:帯電防止膜、250:センサモジュール、260:センサモジュール、270:センサモジュール
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18