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  • 特開-液圧モータユニット 図1
  • 特開-液圧モータユニット 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082436
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】液圧モータユニット
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/00 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
F15B11/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196285
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】永山 弘海
【テーマコード(参考)】
3H089
【Fターム(参考)】
3H089BB27
3H089CC09
3H089DA03
3H089DB28
3H089EE14
3H089GG02
3H089JJ02
(57)【要約】
【課題】外部から接続する配管数を減らすことができる液圧モータを提供する。
【解決手段】実施形態の油圧モータユニット10は、出力軸13a及びブレーキ13bを有する油圧モータ13と、出力軸13aの速度を切り替える二速切替弁23と、ブレーキ13bの制動を解除するブレーキ解除アクチュエータ15と、を備える。油圧モータ13は、駆動用の作動油が導かれる第1主油路11及び第2主油路12に接続されている。第1主油路11及び第2主油路12のうち圧力の低い作動油がブレーキ解除アクチュエータ15と二速切替弁23とに別々に供給される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力軸及び前記出力軸を制動するブレーキを有する液圧モータと、
前記出力軸の速度を切り替える二速切替弁と、
前記ブレーキの制動を解除するブレーキアクチュエータと、
を備え、
前記液圧モータは、駆動用の作動液が導かれる第1流路及び第2流路に接続され、
前記第1流路及び前記第2流路のうち圧力の低い作動液が前記ブレーキアクチュエータと前記二速切替弁とに別々に供給される、
液圧モータユニット。
【請求項2】
前記第1流路及び前記第2流路に接続された低圧選択弁と、
前記低圧選択弁の下流側の流路の途中に接続された比例弁と、
を備え、
前記比例弁に接続されたパイロット流路により、前記圧力の低い作動液が前記ブレーキアクチュエータと前記二速切替弁とに別々に供給される、
請求項1に記載の液圧モータユニット。
【請求項3】
前記液圧モータは、前記第1流路及び前記第2流路に接続された液圧ポンプとともに閉回路接続されてHST式の回路を構成し、
前記HST式の回路の内部に比例弁が収納されている、
請求項2に記載の液圧モータユニット。
【請求項4】
前記比例弁は1つであり、
前記パイロット流路を分岐して前記ブレーキアクチュエータと前記二速切替弁とに作動液が供給される、
請求項2又は請求項3に記載の液圧モータユニット。
【請求項5】
出力軸及び前記出力軸を制動するブレーキを有する液圧モータと、
前記出力軸の速度を切り替える二速切替弁と、
前記ブレーキの制動を解除するブレーキアクチュエータと、
を備え、
前記液圧モータは、液圧ポンプにより駆動用の作動液が導かれる第1流路及び第2流路に接続され、前記液圧ポンプとともに閉回路接続されてHST式の回路を構成し、
前記第1流路及び前記第2流路に接続され、前記第1流路及び前記第2流路のうち圧力の低い作動液を選択する低圧選択弁と、
前記低圧選択弁の下流側の流路の途中に接続され、前記HST式の回路の内部に収納された1つの比例弁と、
を備え、
前記比例弁に接続されたパイロット流路により、前記圧力の低い作動液が前記ブレーキアクチュエータと前記二速切替弁とに分岐して供給される、
液圧モータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧モータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば油圧ショベル等の機械車両には、液圧モータとして複数の油圧モータが設けられている。これら油圧モータのうち、特に走行用の油圧モータのなかには、制動用のブレーキと、速度を切り替える変速機構とをまとめてユニット化したものがある。
一般に制動用のブレーキや速度切替用の変速機構は、独立した2つのパイロット油路が油圧モータの外部から接続され、それぞれのパイロット油路における作動油の圧力によって駆動される。このため、それぞれのパイロット油路を形成する配管が必要となる。この結果、それぞれのパイロット油路で作動油の圧力を制御する電磁比例弁等の部品が独立して必要となっている。
【0003】
配管や部品点数を減らす試みとして、例えば制動用のブレーキと、速度を制御する変速機構と、をパイロット油路で共通の電磁比例弁に接続する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このものは、ブレーキと変速機構とを共通の比例弁で制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6690855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、例えば共通の電磁比例弁は油圧モータの外部に設けられる。このため、パイロット油路を形成する2本の配管を油圧モータの外部からブレーキと変速機構とに独立させて接続する必要がある。よって、配管や部品点数をさらに減らすことが望まれている。
【0006】
本発明は、外部から接続する配管数を減らすことができる液圧モータユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決手段として、本発明の態様は以下の構成を有する。
本発明の一態様に係る液圧モータユニットは、出力軸及び前記出力軸を制動するブレーキを有する液圧モータと、前記出力軸の速度を切り替える二速切替弁と、前記ブレーキの制動を解除するブレーキアクチュエータと、を備え、前記液圧モータは、駆動用の作動液が導かれる第1流路及び第2流路に接続され、前記第1流路及び前記第2流路のうち圧力の低い作動液が前記ブレーキアクチュエータと前記二速切替弁とに別々に供給される。
【0008】
ブレーキアクチュエータと二速切替弁とを一体にユニット化した液圧モータユニットは、この液圧モータユニットの内部に、第1流路及び第2流路のうち圧力の低い作動液を選択可能に構成されている。また、第1流路及び第2流路のうち圧力の低い作動液をブレーキアクチュエータと二速切替弁とに別々に供給するように構成した。
これにより、圧力の低い作動液をブレーキアクチュエータと二速切替弁とに別々に供給するパイロット流路を液圧モータユニットの内部に収納することが可能である。したがって、液圧モータユニットの外部から接続する配管数を減らすことができる。
【0009】
上記構成では、前記第1流路及び前記第2流路に接続された低圧選択弁と、前記低圧選択弁の下流側の流路の途中に接続された比例弁と、を備え、前記比例弁に接続されたパイロット流路により、前記圧力の低い作動液が前記ブレーキアクチュエータと前記二速切替弁とに別々に供給されてもよい。
【0010】
上記構成では、前記液圧モータは、前記第1流路及び前記第2流路に接続された液圧ポンプとともに閉回路接続されてHST式の回路を構成し、前記HST式の回路の内部に比例弁が収納されていてもよい。
【0011】
上記構成では、前記比例弁は1つであり、前記パイロット流路を分岐して前記ブレーキアクチュエータと前記二速切替弁とに作動液が供給されてもよい。
【0012】
本発明の他の態様に係る液圧モータユニットは、出力軸及び前記出力軸を制動するブレーキを有する液圧モータと、前記出力軸の速度を切り替える二速切替弁と、前記ブレーキの制動を解除するブレーキアクチュエータと、を備え、前記液圧モータは、液圧ポンプにより駆動用の作動液が導かれる第1流路及び第2流路に接続され、前記液圧ポンプとともに閉回路接続されてHST式の回路を構成し、前記第1流路及び前記第2流路に接続され、前記第1流路及び前記第2流路のうち圧力の低い作動液を選択する低圧選択弁と、前記低圧選択弁の下流側の流路の途中に接続され、前記HST式の回路の内部に収納された1つの比例弁と、を備え、前記比例弁に接続されたパイロット流路により、前記圧力の低い作動液が前記ブレーキアクチュエータと前記二速切替弁とに分岐して供給される。
【0013】
一般的に低圧選択弁が液圧モータユニットの内部に収納されているものがある。このため、低圧選択弁の下流側の流路の途中に比例弁を接続することにより、比例弁を液圧モータユニットの内部に収納することが可能である。この比例弁に接続されたパイロット流路によりブレーキアクチュエータと二速切替弁とに作動液を分岐して供給する。ブレーキアクチュエータ及び二速切替弁は、一般的に液圧モータユニットの内部に収納されている。よって、パイロット流路を液圧モータユニットの内部に収納することが可能である。これにより、液圧モータユニットの外部から接続する配管数を減らすことができる。
【0014】
圧力の低い作動液を比例弁によりブレーキアクチュエータと二速切替弁とに分岐して供給するパイロット流路をHST式の回路の内部に収納することが可能である。第1流路及び第2流路をHST式の回路の内部に収納することが可能である。これにより、HST式の回路の外部から接続する配管数をさらに減らすことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、外部から接続する配管数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態における油圧システムの概略構成図である。
図2】本発明の実施形態における油圧モータユニットの変形例の一部を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態に係る油圧モータユニット10を図面に基づいて説明する。
【0018】
<油圧システム>
図1は、油圧システム1を示す概略構成図である。
図1に示すように、油圧システム1は、油圧ポンプ(請求項における液圧ポンプの一例)2と、油圧ポンプ2に接続された油圧モータユニット(請求項における液圧モータユニットの一例)10と、を備える。
【0019】
油圧システム1は、例えば図示しない油圧ショベル等の機械車両に設けられ、機械車両に設けられた走行体を駆動する。
油圧ポンプ2は、動力源としてのエンジン3に連結されている。油圧ポンプ2は、エンジン3が駆動することにより回転する。油圧ポンプ2が回転することにより作動油が吐出される。この作動油により、油圧モータユニット10の油圧モータ(請求項における液圧モータの一例)13が回転する。
【0020】
<油圧モータユニット>
油圧モータユニット10は、第1主油路(請求項における第1流路の一例)11及び第2主油路(請求項における第2流路の一例)12により油圧ポンプ2に接続された油圧モータ13と、油圧モータ13に設けられた変速アクチュエータ14及びブレーキ解除アクチュエータ(請求項におけるブレーキアクチュエータの一例)15と、第1主油路11及び第2主油路12に接続された低圧選択弁(請求項における低圧選択弁の一例)16と、低圧選択弁16の下流側の油路(請求項における低圧選択弁の下流側の流路の一例)17の途中に接続された電磁比例弁(請求項における比例弁の一例)18と、低圧選択弁16の下流側で油路17に接続されたフラッシングバルブ19と、第1主油路11及び第2主油路12に接続された高圧選択弁20と、高圧選択弁20、ドレン油路21、パイロット油路(請求項におけるパイロット流路の一例)22、及び変速アクチュエータ14に接続された二速切替弁(請求項における二速切替弁の一例)23と、を備えている。
【0021】
変速アクチュエータ14、ブレーキ解除アクチュエータ15、低圧選択弁16、電磁比例弁18、フラッシングバルブ19、高圧選択弁20、及び二速切替弁23は、油圧モータユニット10の内部に収納されている。すなわち、油圧モータユニット10は、変速アクチュエータ14、ブレーキ解除アクチュエータ15、低圧選択弁16、電磁比例弁18、フラッシングバルブ19、高圧選択弁20、及び二速切替弁23が油圧モータ13とともに一体にまとめられてユニット化されている。電磁比例弁18を油圧モータユニット10の内部に収納可能とする理由については後で詳しく説明する。
【0022】
<油圧モータ>
油圧モータ13は、油圧モータユニット10に設けられたモータ単体である。油圧モータ13は、第1主油路11及び第2主油路12に接続され、第1主油路11及び第2主油路12を介して油圧ポンプ2が接続されている。油圧モータ13は、油圧ポンプ2、第1主油路11、及び第2主油路12とともに閉回路接続され、いわゆるHST(Hydro Static Transmission;静油圧式無段変速機)式の回路を構成する。換言すれば、HST式の回路とは、第1主油路11、及び第2主油路12により、油圧モータ13と油圧ポンプ2とを閉回路とした構成をいう。
【0023】
油圧モータ13は、油圧ポンプ2が駆動して第1主油路11及び第2主油路12の一方に油圧ポンプ2から作動油(請求項における作動液の一例)が吐出されことにより回転する。この場合、第1主油路11及び第2主油路12の一方における作動油の圧力が他方における作動油の圧力より高くなる。
油圧モータ13は、機械車両の走行用のモータである。油圧モータ13の出力軸13aは、減速機25を介して機械車両の走行体に連結されている。このため、油圧ポンプ2によって油圧モータ13が駆動されることにより、油圧モータ13で走行体を駆動させて機械車両を走行させる。
【0024】
油圧モータ13は、例えば変速機構として図示しない斜板を備えた斜板式油圧モータ(アキシャルピストン型油圧モータ)が使用されている。変速機構としての斜板は、後述する変速アクチュエータ14に連結されている。油圧モータ13は、油圧モータ13の出力軸13aを制動するブレーキ13bを備えている。図1では、説明の便宜上、油圧モータ13の回路図(JIS記号)を示しているが、油圧モータ13を示す回路図は出力軸13a及びブレーキ13bを含むものとする。ブレーキ13bは、後述するブレーキ解除アクチュエータ15に連結されている。
【0025】
<変速アクチュエータ>
変速アクチュエータ14は、後述する二速切替弁23の下流側に接続されている。変速アクチュエータ14は、二速切替弁23から導かれた作動油により斜板の傾転角(傾斜角度)を調整して油圧モータ13を低速と高速との二速に切り替える。
【0026】
<ブレーキ解除アクチュエータ>
ブレーキ解除アクチュエータ15は、後述する電磁比例弁18の下流側に接続されている。具体的には、ブレーキ解除アクチュエータ15は、電磁比例弁18の下流側に接続されたパイロット油路22のうち、分岐された一方の油路に接続されている。ブレーキ解除アクチュエータ15は、電磁比例弁18から導かれた作動油により、油圧モータ13の出力軸13aに対するブレーキ13bの制動を解除する。以下、油圧モータ13の出力軸13aに対するブレーキ13bの制動を、単に油圧モータ13の制動という。
【0027】
<低圧選択弁>
低圧選択弁16は、第1主油路11及び第2主油路12における油圧モータ13の下流側に接続されている。低圧選択弁16は、第1主油路11及び第2主油路12のうち圧力の低い作動油を選択して下流側の油路17に導く。
すなわち、低圧選択弁16は、例えば第1主油路11の作動圧が第2主油路12の作動圧より高い状態で設定値を上回る場合、第2主油路12の作動油を電磁比例弁18及びフラッシングバルブ19に油路17を経て導く。低圧選択弁16は、例えば第2主油路12の作動圧が第1主油路11の作動圧より高い状態で設定値を上回る場合、第1主油路11の作動油を電磁比例弁18及びフラッシングバルブ19に油路17を経て導く。
【0028】
<電磁比例弁>
電磁比例弁18は、油路17の途中に接続されるとともに、ドレン油路21を介してタンク27に接続され、さらにパイロット油路22に接続されている。パイロット油路22は、途中で二股に分岐されている。分岐されたパイロット油路22のうちの一方の油路は、ブレーキ解除アクチュエータ15に接続されている。分岐されたパイロット油路22のうちの他方の油路は、二速切替弁23に接続されている。
すなわち、電磁比例弁18は、パイロット油路22を介してブレーキ解除アクチュエータ15と二速切替弁23とに接続されている。電磁比例弁18は、低圧選択弁16で選択された圧力の低い作動油をブレーキ解除アクチュエータ15と二速切替弁23とに分岐して供給する。
【0029】
電磁比例弁18は、後述する電子制御装置5に電気的に接続され、電子制御装置5からの電気信号により作動される。電子制御装置5は、例えば作業者が操作部を操作することにより電磁比例弁18に電気信号を出力する。電磁比例弁18は、電子制御装置5からの入力信号がない場合には、パイロット油路22とドレン油路21とが開位置で、かつ油路17が閉位置に保たれる。電磁比例弁18は、電子制御装置5からの入力信号の増減に応じて、パイロット油路22と油路17との開度を無段階に増減させる。
【0030】
ここで、電磁比例弁18を油圧モータユニット10の内部に収納可能とする理由について説明する。
すなわち、電磁比例弁18は、低圧選択弁16の下流側における油路17の途中に接続されている。低圧選択弁16は、油圧モータユニット10の内部に収納されている。このため、電磁比例弁18を油圧モータユニット10の内部に収納することが可能になる。
【0031】
ブレーキ解除アクチュエータ15及び二速切替弁23も油圧モータユニット10の内部に収納されている。このため、油圧モータユニット10の内部にパイロット油路22を収納することが可能になる。
ここで、電磁比例弁18の上流側における油路17の途中に、オリフィス28が接続されている。これにより、例えば油路17に導かれた作動油の圧力をオリフィス28により調整することにより、圧力が調整された作動油を電磁比例弁18に導くことができる。
【0032】
<フラッシングバルブ>
フラッシングバルブ19は、油路17の作動圧が設定値を上回る場合に油路17の作動油をタンク27にドレン油路21を経て還流する(排出する)。油路17の作動油をタンク27に還流させることにより、第1主油路11及び第2主油路12における作動油の熱を外部に逃がし、作動油の温度を好適に保つことができる。
【0033】
<高圧選択弁>
高圧選択弁20は、第1主油路11及び第2主油路12に接続され、さらに二速切替弁23に接続されている。高圧選択弁20は、第1主油路11及び第2主油路12のうち圧力が高い作動油を二速切替弁23に導く。
【0034】
<二速切替弁>
二速切替弁23は、高圧選択弁20、ドレン油路21、パイロット油路22(具体的には、分岐された他方の油路)、及び変速アクチュエータ14への油路29に接続されている。二速切替弁23は、パイロット油路22における作動油の圧力が設定値よりも低い場合、変速アクチュエータ14に接続された油路29とドレン油路21とを開く位置に保たれる。
【0035】
二速切替弁23は、パイロット油路22における作動油の圧力が設定値を上回る場合、高圧選択弁20に接続された油路30と変速アクチュエータ14に接続された油路29とを開く位置に保たれる。このため、高圧選択弁20で選択された圧力の高い作動油が二速切替弁23を経て変速アクチュエータ14に導かれる。これにより、変速アクチュエータ14で油圧モータ13の斜板が調整されて油圧モータ13の容積(容量、流量、吐出流量)が変更される。すなわち、二速切替弁23は、油圧モータ13における出力軸13aの回転速度(請求項における速度の一例)を切替可能なバルブである。
【0036】
<油圧モータユニットの動作>
次に、油圧モータユニット10の動作を図1に基づいて説明する。
図1に示すように、エンジン3を駆動することにより油圧ポンプ2を駆動する。油圧ポンプ2が駆動することにより、例えば第1主油路11に作動油を吐出するとともに第2主油路12から作動油を吸い込む。これにより、第1主油路11における作動油の圧力が第2主油路12における作動油の圧力より高くなり、油圧モータユニット10の油圧モータ13が回転する。
【0037】
この状態で、電磁比例弁18に電子制御装置5からの操作信号が入力されていない場合には、電磁比例弁18によりパイロット油路22とドレン油路21とが開位置で、かつ油路17が閉位置に保たれる。このため、ブレーキ解除アクチュエータ15が作動されない状態に保たれ、油圧モータ13がブレーキ13bにより制動状態に保たれる。また、二速切替弁23が変速アクチュエータ14の油路29とドレン油路21とを開く位置に保たれる。したがって、変速機構の斜板が変速アクチュエータ14により低速位置に保たれる。すなわち、油圧モータ13は回転が停止された停止状態に保たれる。
【0038】
電磁比例弁18は、電子制御装置5からの操作信号に応じて、パイロット油路22と油路17との開度を無段階に増減させる。このため、電子制御装置5による電磁比例弁18への操作信号の入力を開始することにより、パイロット油路22と油路17とが開き始める。これにより、電磁比例弁18によりパイロット油路22における作動油の圧力が第1規定値未満に調整される。
この状態でも、ブレーキ解除アクチュエータ15により油圧モータが制動状態に保たれる。変速機構の斜板は、変速アクチュエータ14により低速位置に保たれる。すなわち、油圧モータ13は回転が停止された停止状態に保たれる。
【0039】
この状態から電子制御装置5による電磁比例弁18の調整量が増すことにより、パイロット油路22における作動油の圧力が第1規定値以上で第2規定値未満に調整される。このため、ブレーキ解除アクチュエータ15により油圧モータ13の制動が解除された状態に保たれる。変速機構の斜板は、変速アクチュエータ14により低速位置に保たれる。
これにより、油圧モータ13が低速回転で回転する状態に保たれる。機械車両の走行体は、油圧モータ13により駆動して低速で走行する。
【0040】
この状態から電子制御装置5による電磁比例弁18の調整量がさらに増すことにより、パイロット油路22における作動油の圧力が第2規定値以上に調整される。このため、ブレーキ解除アクチュエータ15により油圧モータの制動が継続して解除状態に保たれる。変速機構の斜板は、変速アクチュエータ14により高速位置に保たれる。
これにより、油圧モータ13が高速回転で回転する状態に保たれる。機械車両の走行体は、油圧モータ13により駆動して高速で走行する。
【0041】
以上説明したように、実施形態の油圧モータユニット10では、油圧モータ13にブレーキ解除アクチュエータ15と二速切替弁23とが一体にまとめてユニット化されている。油圧モータユニット10は、この油圧モータユニット10の内部で第1主油路11及び第2主油路12のうち圧力の低い作動油を選択可能に構成されている。ブレーキ解除アクチュエータ15及び二速切替弁23は、油圧モータユニット10の内部に収納されることにより一体にまとめてユニット化されている。
【0042】
加えて、油圧モータユニット10の内部で圧力の低い作動油を選択し、油圧モータユニット10の内部に収納されたブレーキ解除アクチュエータ15と二速切替弁23とに作動油を分岐して供給するようにした。これにより、油圧モータユニット10の外部から接続する配管数を減らすことができる。
油路17の途中に1つの電磁比例弁18を接続し、電磁比例弁18の下流側に接続されたパイロット油路22を分岐してブレーキ解除アクチュエータ15と二速切替弁23とに作動油を供給する。ブレーキ解除アクチュエータ15や二速切替弁23に作動油を供給するのに1つの電磁比例弁18で済むので、部品点数を減少できる。
【0043】
低圧選択弁16は、油圧モータユニット10の内部に収納されている。このため、低圧選択弁16の下流側に電磁比例弁18を設けることにより、電磁比例弁18を油圧モータユニット10の内部に収納することが可能になる。
電磁比例弁18は、低圧選択弁16で選択された圧力の低い作動油をパイロット油路22に導く。パイロット油路22は、電磁比例弁18から導かれた作動油をブレーキ解除アクチュエータ15と二速切替弁23とに分岐して供給する。ブレーキ解除アクチュエータ15及び二速切替弁23は、油圧モータユニット10の内部に収納されている。このため、パイロット油路22を油圧モータユニット10の内部に収納することが可能である。これにより、油圧モータユニット10の外部から接続する配管数を減らすことができる。
【0044】
さらに、油圧ポンプ2及び油圧モータ13は、閉回路接続されてHST式の回路を構成している。このため、電磁比例弁18から導かれた作動油をブレーキ解除アクチュエータ15と二速切替弁23とに分岐して供給するパイロット油路22をHST式の回路の内部に収納することが可能である。さらに、第1主油路11及び第2主油路12は、HST式の回路の内部に収納されている。これにより、HST式の回路の外部から接続する配管数をさらに減らすことができる。
【0045】
[変形例]
本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0046】
図2は、油圧モータユニット10の変形例の一部を示す概略構成図である。
上述の実施形態では、低圧選択弁16の下流側の油路17の途中に電磁比例弁18を接続した場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、例えば図2に示すように、低圧選択弁16の下流側の油路17をブレーキ解除アクチュエータ15と二速切替弁23との油路に途中で分岐し、分岐した油路にそれぞれ独立した電磁比例弁18を接続することも可能である。すなわち、ブレーキ解除アクチュエータ15用の電磁比例弁18と、二速切替弁23用の電磁比例弁18と、を独立させて接続することも可能である。
【0047】
上述の実施形態では、高圧選択弁20で選択された圧力が高い作動油を変速アクチュエータ14に二速切替弁23を経て導く場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、例えば高圧選択弁20及び二速切替弁23を廃止して、パイロット油路22を変速アクチュエータ14に接続することも可能である。
【0048】
上述の実施形態では、低圧選択弁16の下流側の油路17の途中に電磁比例弁18を接続した場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、例えば低圧選択弁16の下流側の油路17の途中に電磁比例弁18に代えて切換え弁を接続することも可能である。
【0049】
上述の実施形態では、電磁比例弁18の上流側における油路17の途中にオリフィス28を接続した場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、例えば電磁比例弁18の上流側に加えて、電磁比例弁18の下流側のパイロット油路22にオリフィスを接続することも可能である。これにより、例えばパイロット油路22における作動油の圧力をオリフィスにより調整して、調整された作動油をブレーキ解除アクチュエータ15と二速切替弁23とに導くことができる。
【0050】
上述の実施形態では、油圧システム1は、例えば図示しない油圧ショベル等の機械車両に設けられる場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、さまざまな機械車両や、機械車両の他のさまざまな油圧機器に、油圧システム1を採用することができる。
【0051】
上述の実施形態では、液圧ポンプとして作動油を吐出する油圧ポンプ2を例に説明した。液圧モータとして作動油によって駆動する油圧モータ13を例に説明した。液圧ポンプ及び液圧モータを備えた液圧モータユニットとして油圧モータユニット10を例に説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、作動油以外のさまざまな液体を吐出する液圧ポンプを採用することができる。作動油以外のさまざまな液体によって駆動する液圧モータを採用することができる。作動油以外のさまざまな液体を用いた液圧モータユニットに油圧モータユニット10の構成を採用することができる。
【0052】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換えることは可能である。また、上述した各変形例を組み合わせても構わない。
【0053】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0054】
1…油圧システム
2…油圧ポンプ(液圧ポンプ)
10…油圧モータユニット(液圧モータユニット)
11…第1主油路(第1流路)
12…第2主油路(第2流路)
13…油圧モータ(液圧モータ)
13a…出力軸
13b…ブレーキ
15…ブレーキ解除アクチュエータ(ブレーキアクチュエータ)
16…低圧選択弁
17…油路(低圧選択弁の下流側の流路)
18…電磁比例弁(比例弁)
22…パイロット油路(パイロット流路)
23…二速切替弁
図1
図2