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特開2024-82445基板間の電気的接続構造、及び表示パネル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082445
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】基板間の電気的接続構造、及び表示パネル
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/14 20060101AFI20240613BHJP
   H05K 3/36 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H05K1/14 C
H05K3/36 A
H05K1/14 G
H05K1/14 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196298
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木科 大樹
【テーマコード(参考)】
5E344
【Fターム(参考)】
5E344AA02
5E344AA19
5E344AA23
5E344BB02
5E344BB13
5E344CC09
5E344CC11
5E344CC14
5E344CC25
5E344CD02
5E344CD06
5E344CD12
5E344DD06
5E344EE17
(57)【要約】
【課題】導通不良を簡便かつ確実に抑制する。
【解決手段】第1基板50の第1電極54と、第2基板30の第2電極31との電気的接続構造75であって、第1基板50は、第2基板30との重畳部51Aと、非重畳部51Bと、を有する。第2基板30は、第1基板50の一方の主面51Cと対向配置され、第1基板50の重畳部51Aと非重畳部51Bとの境界と重なる側面30Dを有する。第1電極54は、第1基板50の非重畳部51Bに設けられ、第2電極31は、第2基板30の主面のうち第1基板50と反対側の主面30Aに設けられる。第1基板50の非重畳部51Bには、第2基板30の側面30Dに隣接し、少なくとも突出面58B1が導電性を有する突出部58が設けられる。突出面58B1は、第1電極54と導通すると共に、第2電極31と導電部材70を介して導通している。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板の第1電極と、第2基板の第2電極と、を電気的に接続する基板間の電気的接続構造であって、
前記第1基板は、前記第2基板との重畳部と、非重畳部と、を有し、
前記第2基板は、前記第1基板の一方の主面と対向配置され、前記第1基板の前記重畳部と前記非重畳部との境界と重なる側面を有し、
前記第1電極は、前記第1基板の前記非重畳部に設けられ、
前記第2電極は、前記第2基板の主面のうち前記第1基板と反対側の主面に設けられ、
前記第1基板の前記非重畳部には、前記第2基板の前記側面に隣接し、少なくとも突出面が導電性を有する突出部が設けられ、
前記突出面は、前記第1電極と導通すると共に、前記第2電極と導電部材を介して導通している基板間の電気的接続構造。
【請求項2】
前記第1基板の主面のうち前記第2基板側の主面から前記突出部の前記突出面までの長さは、前記第1基板の前記主面から前記第2基板の前記第2電極の表面までの長さと実質的に同一である請求項1に記載の基板間の電気的接続構造。
【請求項3】
前記突出部は、前記第1基板に一体的に設けられている請求項1又は請求項2に記載の基板間の電気的接続構造。
【請求項4】
前記突出部内を貫通し、前記第1電極と前記突出面とを導通するコンタクト部が設けられている請求項3に記載の基板間の電気的接続構造。
【請求項5】
前記突出部は、導電性のテープ状部材である請求項1又は請求項2に記載の基板間の電気的接続構造。
【請求項6】
前記導電部材は導電ペーストである請求項1又は請求項2に記載の基板間の電気的接続構造。
【請求項7】
前記第1基板は、フレキシブル基板であり、前記第2基板は、ガラス基板である請求項1又は請求項2に記載の基板間の電気的接続構造。
【請求項8】
前記第2基板は、表示パネル用の基板であり、
前記第1基板は、前記表示パネルとコントロール基板とを接続している請求項7に記載の基板間の電気的接続構造。
【請求項9】
前記第1基板及び第2基板は、ガラス基板である請求項1又は請求項2に記載の基板間の電気的接続構造。
【請求項10】
前記第1基板及び第2基板は、表示パネル用の基板である請求項9に記載の基板間の電気的接続構造。
【請求項11】
第1電極を有する第1基板と、
第2電極を有する第2基板と、を備え、
前記第1電極と前記第2電極とは、請求項1又は請求項2に記載の基板間の電気的接続構造によって接続されている表示パネル。
【請求項12】
前記表示パネルは液晶パネルである請求項11に記載の表示パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の技術は、基板間の電気的接続構造、及び表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、重ね合わされた2つの基板を電気的に接続する技術が知られており、その一例が特許文献1に開示されている。特許文献1には、表示装置において、複数の駆動素子が設けられた画素基板と、タッチ検出電極が設けられた対向基板とを、基板の外側で電気的に接続する技術が開示されている。特許文献1に記載の一接続構造は、対向基板の一端面と、画素基板の主面の一部との間に導電体支持部(樹脂層)が傾斜状に塗布されており、この導電体支持部の表面に、画素基板の電極と対向基板のタッチ検出電極とを接続する導電体(導電ペースト)が設けられている。また、特許文献1に記載の他の接続構造は、対向基板の一端面を傾斜状にテーパー加工し、傾斜面上に導電体が設けられている。これらの接続構造によれば、2つの基板間に生じる段差を緩和することができ、段差によって導電ペーストが断線する事態を低減できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-120003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の一接続構造のように導電体支持部(樹脂層)を塗布する場合、樹脂層の塗布量及び塗布位置の制御が難しく、これらのバラつきに起因して導電体(導電ペースト)の導電不良が生じる懸念がある。また、特許文献1に記載の他の接続構造のように対向基板の一端面を傾斜状にする場合、薄い対向基板を高精度にテーパー加工することが技術的に難しい。仮に高精度に加工できた場合であっても、対向基板の端面が破損しやすくなってしまうのが実情である。
【0005】
本願明細書に記載の技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、導通不良を簡便かつ確実に抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本願明細書に記載の技術に関わる基板間の電気的接続構造は、第1基板の第1電極と、第2基板の第2電極と、を電気的に接続する基板間の電気的接続構造であって、前記第1基板は、前記第2基板との重畳部と、非重畳部と、を有し、前記第2基板は、前記第1基板の一方の主面と対向配置され、前記第1基板の前記重畳部と前記非重畳部との境界と重なる側面を有し、前記第1電極は、前記第1基板の前記非重畳部に設けられ、前記第2電極は、前記第2基板の主面のうち前記第1基板と反対側の主面に設けられ、前記第1基板の前記非重畳部には、前記第2基板の前記側面に隣接し、少なくとも突出面が導電性を有する突出部が設けられ、前記突出面は、前記第1電極と導通すると共に、前記第2電極と導電部材を介して導通している。
【0007】
(2)また、上記基板間の電気的接続構造は、上記(1)に加え、前記第1基板の主面のうち前記第2基板側の主面から前記突出部の前記突出面までの長さは、前記第1基板の前記主面から前記第2基板の前記第2電極の表面までの長さと実質的に同一であってもよい。
【0008】
(3)また、上記基板間の電気的接続構造は、上記(1)又は(2)に加え、前記突出部は、前記第1基板に一体的に設けられていてもよい。
【0009】
(4)また、上記基板間の電気的接続構造は、上記(3)に加え、前記突出部内を貫通し、前記第1電極と前記突出面とを導通するコンタクト部が設けられていてもよい。
【0010】
(5)また、上記基板間の電気的接続構造は、上記(1)又は(2)に加え、前記突出部は、導電性のテープ状部材であってもよい。
【0011】
(6)また、上記基板間の電気的接続構造は、上記(1)から(5)のいずれか1つに加え、前記導電部材は導電ペーストであってもよい。
【0012】
(7)また、上記基板間の電気的接続構造は、上記(1)から(6)のいずれか1つに加え、前記第1基板は、フレキシブル基板であり、前記第2基板は、ガラス基板であってもよい。
【0013】
(8)また、上記基板間の電気的接続構造は、上記(7)に加え、前記第2基板は、表示パネル用の基板であり、前記第1基板は、前記表示パネルとコントロール基板とを接続していてもよい。
【0014】
(9)また、上記基板間の電気的接続構造は、上記(1)から(6)のいずれか1つに加え、前記第1基板及び第2基板は、ガラス基板であってもよい。
【0015】
(10)また、上記基板間の電気的接続構造は、上記(9)に加え、前記第1基板及び第2基板は、表示パネル用の基板であってもよい。
【0016】
(11)本願明細書に記載の技術に関わる表示パネルは、第1電極を有する第1基板と、第2電極を有する第2基板と、を備え、前記第1電極と前記第2電極とは、上記(1)から(10)のいずれか1つの基板間の電気的接続構造によって接続されている。
【0017】
(12)また、上記表示パネルは、上記(11)に加え、液晶パネルであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本願明細書に記載の技術によれば、導通不良を簡便かつ確実に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1に係る液晶表示装置の斜視図
図2】液晶パネル及びフレキシブル基板の斜視図
図3図2のI-I線断面図
図4図2をアレイ基板側から視た平面図
図5図3の導電部材付近を拡大した平面図
図6図5のII-II線断面図
図7】比較例1に係るアレイ基板とフレキシブル基板の電気的接続構造を示す断面図
図8】比較例1に係る電気的接続構造の電子顕微鏡写真
図9】実施形態2に係るアレイ基板とフレキシブル基板の電気的接続構造を示す断面図
図10】実施形態3に係るアレイ基板と対向基板の電気的接続構造を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
実施形態1に係る液晶表示装置100(表示装置の一例)について図1から図6を参照して説明する。なお、一部の図面にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で共通する方向となるように描かれている。また、Z軸方向において液晶パネル10側を表側とし、バックライト装置80側を裏側とする。
【0021】
液晶表示装置100は、図1及び図2に示すように、画像を表示可能な液晶パネル10(表示パネルの一例)と、液晶パネル10を駆動するICであるドライバ12と、コントロール基板16と、フレキシブル基板(FPC、flexible printed circuits)50(第1基板の一例)と、液晶パネル10に対して裏側に配されて液晶パネル10に光を照射するバックライト装置80(照明装置の一例)と、を少なくとも備えている。液晶パネル10は、その面内が、画像を表示可能で且つ中央側に配される表示領域(アクティブエリア)AAと、表示領域AAを取り囲む形で外周側に配されて平面に視て枠状(額縁状)をなす非表示領域(ノンアクティブエリア)NAAと、に区分されている。本実施形態における液晶パネル10、バックライト装置80、及び液晶表示装置100は、全体として縦長な矩形状をなし、短辺方向が各図面のX軸方向と一致し、長辺方向がY軸方向と一致し、厚さ方向がZ軸方向と一致しているが、図示の形状は一例であり、限定されない。
【0022】
コントロール基板16は、ドライバ12に対して各種信号を供給する。コントロール基板16には、画像を表示するための信号を供給するICが実装されている。また液晶パネル10がタッチパネル機能を有する場合、コントロール基板16には、液晶パネル10のセンサ電極によって検出されたセンサ信号に基づいて、入力位置等を算出するICが実装される。
【0023】
フレキシブル基板50は、液晶パネル10とコントロール基板16とを電気的に接続する。フレキシブル基板50は、コントロール基板16から供給される各種信号を液晶パネル10に伝送する。また液晶パネル10がタッチパネル機能を有する場合、フレキシブル基板50は、液晶パネル10のセンサ電極によって検出されたセンサ信号をコントロール基板16に伝送する。フレキシブル基板50は、折り曲げ可能なシート状の配線基板であって、液晶表示装置100には折り曲げた状態で搭載される。ただし本願明細書の各図では、フレキシブル基板50は展開状態で図示されている。
【0024】
フレキシブル基板50は、図1から図3に示すように、液晶パネル10とコントロール基板16との間を跨いで接続するように設けられている。フレキシブル基板50は、一端側が液晶パネル10(より詳しくは後述するアレイ基板30)の非表示領域NAAに、他端側がコントロール基板16にそれぞれ接続されている。本実施形態に係るフレキシブル基板50は、平面視で横長の方形状をなし、コントロール基板16との接続部分が延出する形状をなしているが、一例に過ぎず、形状はこれに限定されない。
【0025】
液晶パネル10は、図3に示すように、対向する2つの基板20、30と、液晶層18と、シール部19と、を有する。液晶層18は、両基板20、30間に挟持されており、電界印加に伴って光学特性が変化する液晶分子を含んでいる。シール部19は、液晶層18を取り囲むように非表示領域NAAに形成され、液晶層18を封止している。シール部19は、例えば光または熱によって硬化する樹脂製とされる。
【0026】
2つの基板20、30のうち表側が対向基板20(CF基板)とされ、裏側がアレイ基板(アクティブマトリクス基板、TFT基板、画素基板、第2基板の一例)30とされる。対向基板20及びアレイ基板30はそれぞれ、各種の膜が内面側(液晶層18側)に積層形成されたガラス基板である。アレイ基板30には、画素電極、スイッチング素子、スイッチング素子に接続するソース配線及びゲート配線等が形成されている。対向基板20には、カラーフィルタ等が形成されている。
【0027】
またアレイ基板30には、液晶層18と反対側(フレキシブル基板50と反対側)の主面30A上に透明電極膜31(第2電極の一例)が設けられている。透明電極膜31は、液晶層18と反対側の主面30Aのほぼ全域にわたってベタ状に形成されている。透明電極膜31は、透明電極材料(ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)等)からなる。透明電極膜31は、液晶パネル10をノイズから遮蔽するために設けられている。
【0028】
アレイ基板30は、図2及び図3に示すように、短辺寸法が対向基板20の短辺寸法と略同一で、長辺寸法が対向基板20の長辺寸法よりも長い。このため、アレイ基板30と対向基板20とを一方の長辺が揃う形でシール部19により貼り合わせると、アレイ基板30には対向基板20との非重畳部30Cが生じる。アレイ基板30の非重畳部30Cは非表示領域NAAに含まれる。アレイ基板30の非重畳部30Cには、ドライバ12がCOG(Chip On Glass)実装され、フレキシブル基板50が接続されている。換言すると、アレイ基板30は、フレキシブル基板50の裏側の主面51Cに対向配置されている。なお、ドライバ12はフレキシブル基板50上にCOF(Chip On Film)実装されていてもよい。その場合、ドライバ12からの駆動信号は、フレキシブル基板50の配線を通じてアレイ基板30に供給される。ドライバ12をフレキシブル基板50上に実装すると、アレイ基板30の非重畳部30C、ひいては非表示領域NAAを狭額縁化しやすくなる。
【0029】
フレキシブル基板50は、図3及び図6に示すように、薄いシート状の本体部51と、本体部51から裏側に突出する突出部58と、を有する。本体部51は、基材52と、複数の配線53と、複数の第1電極54と、配線53及び第1電極54の上に積層されるカバー膜55と、を備える。基材52は、絶縁性及び可撓性を有するフィルムであり、例えば合成樹脂(ポリイミド樹脂等)からなる。配線53及び第1電極54は、基材52上に積層される導電材料(銅箔等)の配線パターンであり、第1電極54は配線53の端子である。
【0030】
配線53は、図6に示すように、アレイ基板30側の端部が第1電極54に接続されている。配線53の他端部は、コントロール基板16に接続されている。複数ずつの配線53及び第1電極54には、コントロール基板16から所定の基準電位(例えばグランド電位)が供給されたり、コントロール基板16に実装されたICから信号が供給されたりする。なお、図4においては、1つの配線53のみが示されており、その他の配線53の図示は省略されている。カバー膜55は、配線53及び第1電極54を被覆して保護するフィルムであり、例えば合成樹脂(ポリイミド樹脂等)からなる。カバー膜55は、第1電極54を露出させる必要がある部分(例えば、後述する突出部58のコンタクト部58Cとの接続部分)には設けられていない。
【0031】
フレキシブル基板50の本体部51は、図3及び図6に示すように、平面に視てアレイ基板30との重畳部51Aと、非重畳部51Bと、を有する。本体部51の重畳部51Aと非重畳部51Bとの境界は、アレイ基板30の一方の短辺側面30Dと重なっている。本体部51の裏側の主面51Cにおける重畳部51Aには、アレイ基板30の表側の主面30Bと電気的に接続するための端子(電極)が設けられているものとされる。
【0032】
フレキシブル基板50の突出部58は、本体部51の裏側の主面51Cにおける非重畳部51Bに設けられている。突出部58は、図4に示すように、本体部51の裏側の主面51Cにおいて、アレイ基板30の一方の短辺側面30Dに沿う方向(X軸方向)の全長に亘って延在し、短辺側面30Dと隣接している。ただし突出部58は、本体部51の裏側の主面51CにおいてX軸方向の全長ではなく、後述する導電部材70の配設位置に局所的に形成されていても構わない。また、図示において突出部58は断面矩形状をなしているが、これ以外の形状であっても構わない。
【0033】
突出部58は、図6に示すように、絶縁部58Aと、補助電極58Bと、コンタクト部58Cと、を有する。絶縁部58Aは、突出部58のほぼ大部分を占める母材である。絶縁部58Aは例えば、本体部51の基材52又はカバー膜55を構成する絶縁材料を部分的に厚く形成することで、本体部51に一体的に設けられる。補助電極58Bは例えば、銅等の金属箔からなる。補助電極58Bの表面は突出部58の突出面58B1の一部を構成している。なお補助電極58Bは、図4に示すように、絶縁部58Aの突出面の一部に設けられているが、絶縁部58Aの突出面の全体に亘って設けられていても構わない。コンタクト部58Cは、絶縁部58A内を突出方向(Z軸方向)に貫通する導電部である。コンタクト部58Cは、突出部58の補助電極58Bと、本体部51の第1電極54とを導通するために設けられている。コンタクト部58Cは、例えばコンタクトホールの側面を金属メッキ(銅メッキ等)することで形成される。
【0034】
突出部58の突出長は、アレイ基板30の厚さと実質的に同一であることが好ましい。より詳しくは、フレキシブル基板50の本体部51の裏側の主面51C(アレイ基板30側の主面)から突出部58の突出面58B1までの長さは、主面51Cからアレイ基板30の透明電極膜31の表面31Aまでの長さと実質的に同一であることが好ましい。ただし突出部58の突出長は、フレキシブル基板50の本体部51とアレイ基板30との段差を十分に緩和できればよく、これ以外の寸法であっても構わない。
【0035】
突出部58の補助電極58Bは、図3から図6に示すように、導電部材70によってアレイ基板30の透明電極膜31と導通している。従って補助電極58Bの表面である突出面58B1は、コンタクト部58Cを通じてフレキシブル基板50の第1電極54と導通すると共に、導電部材70を介してアレイ基板30の透明電極膜31と導通している。これにより、フレキシブル基板50の第1電極54とアレイ基板30の透明電極膜31とが電気的に接続されている。本実施形態では、コンタクト部58Cと導通する第1電極54は、グランド電位が供給される配線53(グランド線)に接続されているものとされる。これによりアレイ基板30の透明電極膜31には、導電部材70を通じてグランド電位が供給される。その結果、グランド電位となる透明電極膜31は、バックライト装置80内の光源が駆動されるのに伴って生じるノイズ等から液晶パネル10を遮蔽することができる。
【0036】
導電部材70は、導電ペーストであり、例えば粘度が100dPa・sから1000dPa・sの範囲の銀ペーストを用いることができる。導電ペーストは、形成時における形状自由度が高く、少ない塗布量で細い配線間を接続できる。導電ペーストは、バインダと、バインダに分散配合される導電性粒子と、を含む。バインダとしては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂材料等が用いられる。導電性粒子としては、例えば銀粒子等の金属粒子等が用いられる。
【0037】
導電部材70は、図6に示すように、補助電極58Bの表面である突出面58B1と、透明電極膜31の表面31Aとを覆うように塗布される。塗布には、例えば吐出ノズルが用いられる。なお突出部58とアレイ基板30の短辺側面30Dとの間には、僅かに隙間G1が生じており、導電部材70の一部はこの隙間G1にも流入する。当該隙間G1は、導電部材70の塗布量を削減するために、封止材(樹脂等)を充填して塞がれていてもよい。
【0038】
次に上記したフレキシブル基板50の第1電極54と、アレイ基板30の透明電極膜31との電気的接続構造75の作用効果について比較例1と比較しつつ説明する。比較例1に係るフレキシブル基板150は、図7に示すように、突出部58を有しない。導電部材70は、フレキシブル基板150とアレイ基板30との段差を覆うように塗布される。このため、導電部材70のうち塗布量が少ない部分や、フレキシブル基板150が折り曲げられる際に曲げ応力がかかる部分(例えば図7の矢印部分)には、段差に起因してクラックが生じたり、途切れたりして、断線してしまうことがある(図8参照)。特に、導電ペーストの塗布に吐出ノズルが用いられる場合、塗布量や塗布位置には一定のバラつきが含まれるため、塗布量が少ない部分が生じざるを得ない。これに対処するため、導電部材70の塗布量を全体的に増大すると、導電部材70が必要とされない配線にまで広がり、不具合を引き起こす懸念がある。
【0039】
その点、本実施形態では、フレキシブル基板50に突出部58を設けることでアレイ基板30との段差を緩和でき、段差に起因する導電部材70のクラックや途切れを抑制できる。導電部材70は、高さが実質的に同一である突出部58の突出面58B1と、アレイ基板30の透明電極膜31との間を覆うように塗布され、段差部分には塗布されない。また突出部58によれば、フレキシブル基板50の剛性を向上することができ、フレキシブル基板50が折り曲げられる際に、導電部材70にかかる曲げ応力を低減できる。これにより、導電部材70の断線を確実に抑制できる。さらに突出部58は、フレキシブル基板50を部分的に厚くすることで簡便に設けることができ、アレイ基板30の加工は必要とされない。従って、本実施形態に係る電気的接続構造75によれば、段差のあるフレキシブル基板50とアレイ基板30との間の導通不良を簡便かつ確実に抑制できる。
【0040】
<実施形態2>
実施形態2に係る基板間の電気的接続構造175について図9を参照して説明する。実施形態2では、突出部158が実施形態1と異なる。実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0041】
本実施形態に係るフレキシブル基板150は、既述した比較例1と同様に突出部が設けられておらず、シート状の本体部51からなる。突出部158は、全体が導電性を有するテープ状部材(導電テープ)からなる。突出部158は、フレキシブル基板150の本体部51の第1電極54上に配設されると、第1電極54と導通する。また、突出面158B1に導電部材70が塗布されると、導電部材70と導通する。突出部158によれば、フレキシブル基板150に突出部を一体形成することなく、一般的なフレキシブル基板を利用しつつ、段差に起因する基板間の導通不良をより簡便に抑制できる。なお、突出部158は必ずしも全体が導通性を有している必要はなく、絶縁性を有する母材に導電材料が適宜配設された構成であっても構わない。
【0042】
<実施形態3>
実施形態3に係る基板間の電気的接続構造275について図10を参照して説明する。実施形態3では、アレイ基板130(第1基板の別の一例)と対向基板120(第2基板の別の一例)との間の電気的接続構造275に対して突出部158が用いられる点が実施形態2と異なる。実施形態1及び実施形態2と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0043】
アレイ基板130は、表側(液晶層18側)の主面30B上に表側電極32(第1電極の別の一例)を備える。対向基板120は、表側(液晶層18と反対側)の主面に第2電極(端子)21を備える。第2電極21は、例えばタッチ検出電極に接続される配線の端子である。第2電極21は、例えばタッチ検出電極によって検出されたセンサ信号を、表側電極32からアレイ基板130の表側の主面30Bに配索される配線を通って、フレキシブル基板50、さらにはコントロール基板16に伝送するために用いられる。
【0044】
突出部158は、実施形態2と同様に導電性のテープ状部材である導電テープからなる。突出部158は、アレイ基板130の表側の主面30Bにおいて対向基板120との非重畳部30Cに設けられる。突出部158は、対向基板120の一方の短辺側面20Dに沿うX軸方向に沿って延在し、短辺側面20Dと隣接している。突出部158は、アレイ基板30の表側電極32上に配設され、突出部158の底面と表側電極32は、いわゆるACF(Anisotropic Conductive Film、異方性導電材)によって電気的、かつ機械的に接続されているものとされる。また突出部158は、突出面158B1に塗布される導電部材70によって、対向基板120の第2電極21と電気的に接続されている。
【0045】
アレイ基板130はガラス基板であるため、実施形態1に係るフレキシブル基板50のように、対向基板120との段差を緩和するために、突出部を一体形成することが難しい。そのような場合であっても、導電テープである突出部158を用いることで、段差に起因する基板間の導通不良を簡便かつ確実に抑制できる。
【0046】
<他の実施形態>
本願明細書に記載の技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0047】
(1)本願明細書に記載の電気的接続構造75、175、275は、フレキシブル基板50、150の第1電極54、アレイ基板30の透明電極膜31、アレイ基板130の表側電極32、及び対向基板120の第2電極21だけでなく、これら以外の各種の電極の接続に対しても適用可能である。
【0048】
(2)本願明細書に記載の電気的接続構造75、175、275は、表示パネル以外の電子機器に備えられる段差のある基板間に対しても適用可能である。
【0049】
(3)各実施形態に係る構成は、適宜組み合わせることができ、併用も可能である。
【符号の説明】
【0050】
10…液晶パネル(表示パネル)、120…対向基板(第2基板)、20D…短辺側面(側面)、21…第2電極、30、130…アレイ基板(第2基板、第1基板)、30A…主面、31…透明電極膜(第2電極)、32…表側電極(第1電極)、50、150…フレキシブル基板(第1基板)、51A…重畳部、51B…非重畳部、54…第1電極、58、158…突出部、58B1、158B1…突出面、50C…コンタクト部、70…導電部材、75、175、275…電気的接続構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10