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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082447
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】乗客コンベアの制御装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 31/00 20060101AFI20240613BHJP
   B66B 23/12 20060101ALI20240613BHJP
   B66B 25/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B66B31/00 D
B66B23/12 Z
B66B25/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196301
(22)【出願日】2022-12-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-26
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 幹
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA02
3F321CB00
3F321EA04
3F321EB07
3F321EC06
(57)【要約】
【課題】どの踏段がよく使用されているかを判別できる乗客コンベアの制御装置を提供する。
【解決手段】それぞれの踏段30を識別するために、それぞれの踏段30に設けられた識別子と、乗降口に設けられ、踏段30のQRコード307を識別するQR読み取り装置54と、乗降口に設けられ、踏段30に乗る乗客を検知する乗客センサ52と、QR読み取り装置54で識別した踏段30のQRコード307と、乗客センサ52で検知した乗客の有無と、検知時刻を関連付けた踏段データを記憶し、所定時間内においてそれぞれの踏段30に乗客が何人乗ったかを示す通算人数を踏段データから算出する制御装置50とを有する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の踏段と、
それぞれの前記踏段を識別するために、それぞれの前記踏段に設けられた識別子と、
乗降口に設けられ、前記踏段の前記識別子を識別する識別装置と、
前記乗降口に設けられ、前記踏段に乗る乗客を検知する乗客センサと、
前記識別装置で識別した前記踏段の前記識別子と、前記乗客センサで検知した前記乗客の有無と、検知時刻を関連付けた踏段データを記憶し、所定時間内においてそれぞれの前記踏段に前記乗客が何人乗ったかを示す通算人数を前記踏段データから算出する制御装置と、
を有することを特徴とする乗客コンベアの制御装置。
【請求項2】
前記所定時間が1日であり、
前記制御装置は、
それぞれの前記踏段の1日の前記通算人数から、それぞれの前記踏段において1ヶ月間に合計何人乗ったかを示す個別合計人数を算出し、
それぞれの前記踏段の前記1ヶ月間の前記個別合計人数から、前記1ヶ月間に前記乗客コンベアに乗った前記乗客の総合計人数である総合計人数を算出し、
前記総合計人数と、それぞれの前記踏段の前記1ヶ月間の個別合計人数に基づいて、前記1ヶ月間のそれぞれの前記踏段の乗車率を算出する、
請求項1に記載の乗客コンベアの制御装置。
【請求項3】
前記識別子はQRコードであり、前記識別装置はQR読み取り装置である、
請求項1に記載の乗客コンベアの制御装置。
【請求項4】
前記乗客センサは光学センサである、
請求項1に記載の乗客コンベアの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベアの制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通勤客や通学客などの乗客は、通勤通学ルートの中にエスカレータがある場合に毎日同じような時刻に同じように利用している。このとき乗客がエスカレータに乗り込む度に、踏段などに負荷が掛かっている。そして乗り込むタイミングは毎日ほぼ同じであるため、特定の踏段に乗り込みが集中することがあり、その踏段のみに負荷が多くかかり、他の踏段よりも早く劣化が進み、破損してしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-12683号公報
【特許文献2】特許第6951473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の乗客コンベアにおいては、どの踏段に負荷が集中しているかは不明であるという問題点があった。
【0005】
そこで本発明の実施形態は上記問題点に鑑み、どの踏段がよく使用されているかを判別できる乗客コンベアの制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、複数の踏段と、それぞれの前記踏段を識別するために、それぞれの前記踏段に設けられた識別子と、前記踏段の乗降口に設けられ、前記識別子を識別する識別装置と、前記乗降口に設けられ、前記踏段に乗る乗客を検知する乗客センサと、前記識別装置で識別した前記踏段の前記識別子と、前記乗客センサで検知した前記乗客の有無と、検知時刻を関連付けた踏段データを記憶し、所定時間内においてそれぞれの前記踏段に前記乗客が何人乗ったかを示す通算人数を前記踏段データから算出する制御装置と、を有することを特徴とする乗客コンベアの制御装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態を示すエスカレータの側面から見た説明図であり、上階から下階を見た場合に、右側の構造物を省略した図である。
図2】エスカレータの上階の乗降口の側面から見た説明図である。
図3】上階のQR読み取り装置がある位置の縦断面図である。
図4】エスカレータのブロック図である。
図5】各踏段とその乗車率を示すグラフである。
図6】各踏段の乗車率を求めるための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態の乗客コンベアについて、図1図6を参照して説明する。本実施形態では、乗客コンベアとしてエスカレータ10で説明する。このエスカレータ10は、乗客同士の適正な距離を確保するために、エスカレータ10に乗り込む乗客を抑制する制御装置50を有している。
【0009】
(1)エスカレータ10
まず、エスカレータ10の全体の構造について図1図2を参照して説明する。図1図2は、エスカレータ10を右側面から見た説明図である。但し、エスカレータ10の内部構造をわかりやすくするために、エスカレータ10の片側(右側)の部材の図示を省略している。なお、エスカレータ10の前後方向を説明するときは、上階から下階を見下ろし、上階が後側、下階が前側であるものとし、左右方向を説明するときは、上階から下階を見下ろしたときの方向である。
【0010】
エスカレータ10の枠組みであるトラス12が、建屋1の上階と下階に跨がって支持アングル2,3を用いて前後方向に沿って支持されている。
【0011】
トラス12の上端部にある上階の機械室14内部には、踏段30を走行させる駆動装置18、左右一対の踏段スプロケット24,24が設けられている。この駆動装置18は、モータ20と、減速機21と、この減速機21の出力軸に取り付けられた駆動小スプロケット19と、モータ20の回転を停止させ、かつ、停止状態を保持するディスク式の電磁ブレーキ23とを有している。左右一対の踏段スプロケット24,24には、同軸に駆動大スプロケット17が取り付けられ、駆動小スプロケット19との間に無端状の駆動チェーン22が架け渡されている。また、上階の機械室14内部には、モータ20や電磁ブレーキ23などを制御する制御装置50が設けられている。
【0012】
トラス12の下端部にある下階の機械室16内部には、左右一対の従動スプロケット26,26が設けられている。上階の左右一対の踏段スプロケット24,24と下階の左右一対の従動スプロケット26,26との間には、左右一対の無端状の踏段チェーン28,28が架け渡されている。左右一対の踏段チェーン28,28の間には、複数の踏段30の左右一対の第1輪301,301が一定間隔毎に連結されている。モータ20が回転すると踏段30の第1輪301は、トラス12に固定された第1輪専用の案内レール27を走行し(図2参照)、踏段30の第2輪302は、トラス12に固定された第2輪専用の案内レール25を走行する(図1図2参照)。
【0013】
トラス12の上部の左右両側には、左右一対の欄干36,36が立設されている。この欄干36の上部には手摺りレール39が設けられ、この手摺りレール39に沿って無端状の手摺りベルト38が移動する。
【0014】
左右一対の欄干36の上階の正面下部には上階の正面スカートガード40が設けられ、下階の正面下部には下階の正面スカートガード42が設けられている。正面スカートガード40,42から手摺りベルト38の出入口であるインレット部46,48がそれぞれ突出している。左右一対の欄干36の側面下部には、スカートガード(内デッキ)44がそれぞれ設けられ、左右一対のスカートガード44,44の間を踏段30が走行する。上階のスカートガード44の内側面には、乗客センサ52、QR読み取り装置54が設けられ、下階のスカートガード44の内側面には、乗客センサ56、QR読み取り装置58が設けられている。
【0015】
手摺りベルト38は、不図示のベルトスプロケットが踏段スプロケット24と共に回転することにより踏段30と同期して移動する。
【0016】
上階の左右一対のスカートガード44,44の間の乗降口である、機械室14の天井面には、上階の乗降板32が水平に設けられている。下階の左右一対のスカートガード44,44の間の乗降口である、機械室16の天井面には、下階の乗降板34が水平に設けられている。上階の乗降板32の先端には櫛歯状のコム60が設けられ、このコム60に踏段30が進入したり、引き出されたりする。また、下階の乗降板34の先端にも櫛歯状のコム62が設けられている。
【0017】
(2)踏段30と乗降口の構造
次に、踏段30と乗降口の構造について図1図3を参照して説明する。
【0018】
まず、踏段30は、三角形に形成された左右一対の踏段フレーム303,303、左右一対の踏段フレーム303,303の上面に設けられたクリート面304、左右一対の踏段フレーム303,303の前面に設けられたライザ面305、左右一対の踏段フレーム303,303の後部に設けられた左右一対の第1輪301,301、左右一対の踏段フレーム303,303の前面下部、すなわちライザ面305の下部に設けられた左右一対の第2輪302,302を有している。踏段30の左右一対の第1輪301は、踏段チェーン28と一体に構成されている。図2図3に示すように、三角形の踏段フレーム303は、その中央部分に開口部306が設けられ、踏段フレーム303の強度を維持しながら、アルミダイキャストで製造することにより軽量化している。
【0019】
踏段30の第1輪301は、トラス12に固定された第1輪専用の案内レール27を走行し(図2参照)、踏段30の第2輪302は、トラス12に固定された第2輪専用の案内レール25を走行する(図1図2参照)。
【0020】
図2に示すように、それぞれの踏段30の踏段フレーム303の上側面、具体的には中央部分の開口部306の上縁部には、QRコード307が鉛直面に沿って設けられ、このQRコード307は、踏段チェーン28、第1輪専用の案内レール27、第2輪専用の案内レール25より上方に位置している。なお、「QRコード」は、マトリックス型二次元コードであって、登録商標である。このQRコード307は、踏段30を識別するための識別子であり、合成樹脂製のプレートなどに印字され、そのプレートが踏段フレーム303に取り付けられている。
【0021】
次に、乗降口の構造について説明する。図3に示すように、トラス12の上部には、欄干支持部材64が設けられ、その上部には欄干36が鉛直方向に立設されている。また、欄干支持部材64には、スカートガード44も取り付けられている。
【0022】
エスカレータ10の上階の乗降口、具体的には乗降板32の先端にあるコム60より少し先のスカートガードの下部には、識別装置であるQR読み取り装置54が設けられている。QR読み取り装置54は、図3に示すように欄干支持部材64の下部に固定され、側面に読み取り部分がある。そして、図2図3に示すように、移動する踏段30の上側面にあるQRコード307が、QR読み取り装置54の読み取り部分の真横に来たとき、左右方向に相対向して両者の距離が最も近くなって(例えば、2~5cm)、QR読み取り装置54がQRコード307を読み取ることができる。
【0023】
このQR読み取り装置54の上方にあるスカートガードには、図2図3に示すように、乗客の有無を検知するための乗客センサ52が設けられている。乗客センサ52としては、光学センサであり、例えば、スカートガード44の左右両側の一方に光を照射する照射センサを設け、他方にその光を常に受光する受光センサを設け、その間を乗客(例えば、足)が通過して受光センサが光を検知しなくなれば乗客を検知したとする透過型タイプ、又は、左右両側の一方に光を照射するセンサを設け、その位置を乗客が通過して光が反射して当該センサに戻ったことを検知したときに乗客を検知したとする反射型タイプなどが挙げられる。
【0024】
下階の乗降口においても、乗降板34の先端にあるコム62の後方のスカートガードの下方には、上階と同様のQR読み取り装置58が設けられ、その上方のスカートガードには上階と同様の乗客センサ56が設けられている。
【0025】
(3)エスカレータ10の電気的構成
エスカレータ10の電気的構成について図4のブロック図に基づいて説明する。
【0026】
制御装置50には、踏段30を移動させるモータ20、電磁ブレーキ23が接続され、上階の乗客センサ52、QR読み取り装置54と、下階の乗客センサ56とQR読み取り装置58が接続されている。
【0027】
また、制御装置50とモータ20の間には、モータ20の回転方向、速度の調整、及び電磁ブレーキ23の制御をするための駆動回路29が設けられている。
【0028】
(4)踏段30の乗車率の算出方法
次に、エスカレータ10のそれぞれの踏段30の乗客の乗車率を算出する方法について図2図3図5を参照して説明する。なお、踏段30は、上階から下階に移動するものとする。まず、エスカレータ10において踏段30が例えば26個あるとするとし、その識別子としてA~Zまでを付け、各QRコード307は、A~Zを表している。そしてこの識別子A~Zにより踏段30を個々に識別できる。
【0029】
図2図3に示すように、制御装置50は、エスカレータ10が運転を開始し、踏段30が、上階にある乗降板32のコム60から進出し、その上に乗客が乗った場合には、QR読み取り装置54が、移動する踏段30のQRコード307を読み取り、乗客センサ52が、乗客が有りであると検知して、その踏段30のQRコードに対応した識別子と、乗客の有りのデータと、検知時刻とを関連付けたデータ(以下、「踏段データ」という)を記憶する。また、乗客が乗っていない場合には、QR読み取り装置54が、移動する踏段30のQRコード307を読み取り、乗客センサ52が、乗客が無しであると検知して、その踏段30のQRコードに対応した識別子と、乗客の無しのデータと、検知時刻とを関連付けた踏段データを記憶する。
【0030】
制御装置50は、次の踏段30についても同様に読み取ったQRコード307に対応した識別子と、乗客の有無と、検知時刻とを関連付けた踏段データを記憶する。
【0031】
このようにして制御装置50は、それぞれの踏段30の識別子と、乗客の有無と、検知時刻を関連付けた踏段データを、エスカレータ10の運転開始から運転終了までを1日分(例えば、1日分としては午前0時から24時間、又は建屋1の営業時間)として順番に記憶する。
【0032】
制御装置50は、1日が終了すると1日分の各踏段30に乗った乗客の通算人数をそれぞれの踏段データから算出して記憶する。その算出方法は、踏段30毎に1日における乗客有りの踏段データの数をカウントして算出する。
【0033】
次の日になると、前日と同様にその日における各踏段30の乗客の通算人数をそれぞれの踏段データから算出して記憶する。
【0034】
制御装置50は、踏段データを収集するために設定した初日から1ヶ月が経過した場合に、それぞれの踏段30において、それぞれの日の通算人数を合計して1ヶ月間に乗った乗客の通算人数である個別合計人数を算出する。
【0035】
また、制御装置50は、全ての踏段30の個別合計人数を合計して、エスカレータ10を利用した1ヶ月間の乗客の総合計人数を算出する。
【0036】
最後に、制御装置50は、下記の式を用いて総合計人数と個別合計人数から、それぞれの踏段30の乗車率を計算する。

乗車率=個別合計人数/総合計人数

である。そのようにして求めたデータをわかりやすく示したものが図5のグラフである。図6のグラフにおいて、縦軸はA~Zの踏段30の種類であり、横軸は9月1日から30日までのそれぞれの日の通算人数を順番に棒グラフで表し、その横に乗車率を記載している。
【0037】
このようにして求めたそれぞれの踏段30の乗車率において、閾値以上(例えば40%以上)であれば、エスカレータ10の定期点検のときに、その閾値を超えた踏段30を細かく検査するか、踏段30の部品を優先して交換する。検査としては、例えば、踏段30における汚れ、摩耗具合、踏段30の前部と左右両側部にそれぞれ設けられた黄色のデマケーションラインの検査、第1輪301と第2輪302の摩耗状態などを点検する。
【0038】
次に、図6のフローチャートに基づいて、それぞれの踏段30の乗車率の算出方法を説明する。
【0039】
ステップS1において、制御装置50は、エスカレータ10の運転を開始し、ステップS2に進む。
【0040】
ステップS2において、移動している踏段30がQR読み取り装置54を横切ると、QR読み取り装置54がその踏段30のQRコード307で示した識別子を読み取り、ステップS3に進む。
【0041】
ステップS3において、QR読み取り装置54の上方にある乗客センサ52が踏段30上に乗客を検知した場合にはステップS4に進み(yの場合)、検知しない場合にはステップS5に進む(nの場合)。
【0042】
踏段30に乗客が乗っている場合に進むステップS4において、、QR読み取り装置54で読み取った踏段30の識別子と、乗客有りのデータと、QRコード307の検知時刻を関連付けた踏段データを記憶し、ステップS6に進む。
【0043】
一方、踏段30に乗客が乗っていない場合に進むステップS5においては、踏段30の識別子と、乗客無しのデータと、QRコード307の検知時刻を関連付けた踏段データを記憶し、ステップS6に進む。
【0044】
ステップS6において、エスカレータ10が運転し続けている間、それぞれの踏段30の踏段データを記憶し続け、1日が終了し運転が停止するとステップS7に進み(yの場合)、1日が終了していない場合にはステップS2に戻る(nの場合)。
【0045】
ステップS7において、それぞれの踏段30の踏段データから1日分の各踏段30に乗った乗客の通算人数を算出し、ステップS8に進む。
【0046】
ステップS8において、踏段データを収集するために設定した初日から1ヶ月が経過している場合にはステップS9に進み(yの場合)、経過していない場合にはステップS10に進み(nの場合)、ステップS10において日付を1日進め、ステップS1に戻る。
【0047】
ステップS9において、制御装置50は、それぞれの踏段30の1ヶ月間の個別合計人数と、1ヶ月間の乗客の総合計人数と、それぞれの踏段30の乗車率を算出し、図5に示すようなグラフを作成する。そして、制御装置50は、それぞれの踏段30の乗車率を記憶すると共に、必要があれば遠隔地にある管理装置に送信する。そしてステップS10に進む。そして、ステップS10において日付を1日進め、ステップS1に戻る。
【0048】
(5)効果
本実施形態によれば、1日のそれぞれの踏段30の通算人数がわかるので、どの踏段30がよく使用されているか判別でき、また、これからそれぞれの踏段30の1ヶ月間の乗車率がわかる。したがって、エスカレータ10の定期検査において、乗車率が閾値以上の乗車率がある踏段30をより細かく検査できる共に、必要があれば踏段30を取り替えたり、部品を取り替えたりできる。
【0049】
また、QR読み取り装置54が、踏段30のQRコード307を読み取るときに、踏段フレーム303の開口部306の上縁部にQRコード307が設けられているので、踏段チェーン28、第1輪専用の案内レール27、第2輪専用の案内レール25によって読み取りが遮られない。
【変更例】
【0050】
上記実施形態では、踏段30を下降させたが、上昇させる場合には下階にある乗客センサ56とQR読み取り装置58を用いてそれぞれの踏段30のQRコード307を読み取り、乗車率を算出する。
【0051】
また、乗客センサ52、乗客センサ56は、踏段30の乗車率を算出するために新たに設けなくてもよく、従来から設けられている乗客が踏段30に乗り込んだか否かを検知する乗降センサを用いてもよい。
【0052】
また、QR読み取り装置54、58は、カメラであってもよい。
【0053】
また、踏段30の識別子としては、QRコードに限らず、文字(例えば、A~Z)を記載したプレートを踏段30に貼り付け、これをカメラなどで読み取り認識してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、エスカレータ10に適用して説明したが、これに代えて動く歩道に適用してもよい。
【0055】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
10・・・エスカレータ、30・・・踏段、50・・・制御装置、52・・・乗客センサ、54・・・QR読み取り装置、56・・・乗客センサ、58・・・QR読み取り装置、307・・・QRコード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の踏段と、
それぞれの前記踏段を識別するために、それぞれの前記踏段に設けられた識別子と、
乗降口に設けられ、前記踏段の前記識別子を識別する識別装置と、
前記乗降口に設けられ、前記踏段に乗る乗客を検知する乗客センサと、
前記識別装置で識別した前記踏段の前記識別子と、前記乗客センサで検知した前記乗客の有無と、検知時刻を関連付けた踏段データを記憶し、所定時間内においてそれぞれの前記踏段に前記乗客が何人乗ったかを示す通算人数を前記踏段データから算出する制御装置と、
を有することを特徴とする乗客コンベアの制御装置。
【請求項2】
前記所定時間が1日であり、
前記制御装置は、
それぞれの前記踏段の1日の前記通算人数から、それぞれの前記踏段において1ヶ月間に合計何人乗ったかを示す個別合計人数を算出し、
それぞれの前記踏段の前記1ヶ月間の前記個別合計人数から、前記1ヶ月間に前記乗客コンベアに乗った前記乗客の総合計人数である総合計人数を算出し、
前記総合計人数と、それぞれの前記踏段の前記1ヶ月間の個別合計人数に基づいて、前記1ヶ月間のそれぞれの前記踏段の乗車率を算出する、
請求項1に記載の乗客コンベアの制御装置。
【請求項3】
前記識別子はQRコード(登録商標)であり、前記識別装置はQR読み取り装置である、
請求項1に記載の乗客コンベアの制御装置。
【請求項4】
前記乗客センサは光学センサである、
請求項1に記載の乗客コンベアの制御装置。