(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082449
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】車載テーブル装置
(51)【国際特許分類】
B60N 3/00 20060101AFI20240613BHJP
B62D 1/04 20060101ALI20240613BHJP
B60N 2/02 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B60N3/00 A
B62D1/04
B60N2/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196305
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(74)【代理人】
【識別番号】100137316
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】河西 純
(72)【発明者】
【氏名】志小田 雄宇
【テーマコード(参考)】
3B087
3B088
3D030
【Fターム(参考)】
3B087BD03
3B087BD17
3B088AA06
3D030DB09
(57)【要約】
【課題】ステアリングホイールへの車載テーブルの設置に伴う煩雑な操作をなくすことができる車載テーブル装置を提供する。
【解決手段】車載テーブル装置は、ステアリングホイールに設置されて使用される車載テーブルと車載テーブルを使用する乗員との位置関係を調整する装置である。車載テーブル装置は、車載テーブルを格納位置で支持する支持部材から車載テーブルが取り外されたことを検出する検知装置と、検知装置によって車載テーブルが支持部材から取り外されたことを検出した際に、ステアリングホイール及び乗員が着座するシートのうちの少なくとも1つの位置及び角度のうちの少なくとも1つを制御する制御装置と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールに設置されて使用される車載テーブルと前記車載テーブルを使用する乗員との位置関係を調整する車載テーブル装置であって、
前記車載テーブルを格納位置で支持する支持部材から前記車載テーブルが取り外されたことを検出する検知装置と、
前記検知装置によって前記車載テーブルが前記支持部材から取り外されたことを検出した際に、前記ステアリングホイール及び前記乗員が着座するシートのうちの少なくとも1つの位置及び角度のうちの少なくとも1つを制御する制御装置と、を備えた
ことを特徴とする車載テーブル装置。
【請求項2】
前記検知装置が、前記支持部材に取り付けられたセンサ及び車室内に取り付けられたカメラのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の車載テーブル装置。
【請求項3】
前記制御装置が、前記乗員の体格情報に基づいて、前記ステアリングホイール及び前記シートのうちの少なくとも1つの位置及び角度のうちの少なくとも1つを制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の車載テーブル装置。
【請求項4】
前記乗員の体格情報が、前記制御装置に予めユーザ情報として登録された身長、座高及び体重からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む身体情報、及び、車室内に取り付けられたセンサによって測定ないし推定される身体情報のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項3に記載の車載テーブル装置。
【請求項5】
前記制御装置が、前記ステアリングホイール及び前記シートのうちの少なくとも1つの位置及び角度のうちの少なくとも1つを制御する際に、その制御直前の前記ステアリングホイール及び前記シートの位置及び角度に基づいて、それらの制御順序を決定することを特徴とする請求項1に記載の車載テーブル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載テーブル装置に係り、さらに詳細には、ステアリングホイールへの車載テーブルの設置に伴う煩雑な操作をなくすことができる車載テーブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1は、サンバイザを日よけとして使用しないときに、より有効に利用できる車両用サンバイザを開示している。この車両用サンバイザは、本体と支軸とを有し、本体は、支軸を介して、車室上部に着脱可能に取り付けられるとともに、車室天井面に沿う格納位置と下方の使用位置との間を、支軸回りに回転可能とされる。本体は、保持手段を備え、保持手段は、車室内部の所定箇所に係合することにより本体を保持できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のような車両用サンバイザをテーブルとして使用する際、車両走行時とテーブル使用時とで乗員の姿勢が異なる場合が多く、乗員は車両用サンバイザを所定箇所に取り付けるだけでなく、ステアリングホイールやシートの位置や角度を調整する必要があるという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであって、ステアリングホイールへの車載テーブルの設置に伴う煩雑な操作をなくすことができる車載テーブル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、所定の検知装置と制御装置を備えたことにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の車載テーブル装置は、ステアリングホイールに設置されて使用される車載テーブルと車載テーブルを使用する乗員との位置関係を調整する装置である。
車載テーブル装置は、車載テーブルを格納位置で支持する支持部材から車載テーブルが取り外されたことを検出する検知装置と、検知装置によって車載テーブルが支持部材から取り外されたことを検出した際に、ステアリングホイール及び乗員が着座するシートのうちの少なくとも1つの位置及び角度のうちの少なくとも1つを制御する制御装置と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上述の検知装置と制御装置を備えたことにより、ステアリングホイールへの車載テーブルの設置に伴う煩雑な操作をなくすことができる車載テーブル装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の車載テーブル装置の一実施形態を示す説明図である。
【
図2】
図1に示した車載テーブル装置に適用されるサンバイザ型車載テーブルを示す説明図である。
【
図3】
図1に示した車載テーブル装置における制御フローの一例を示すフロー図である。
【
図4】車載テーブル種及び体格情報とステアリングホイール及びシートの位置及び角度の制御量との関係を示す表である。
【
図5】
図1に示した車載テーブル装置におけるシートの位置及び角度の制御順序を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の車載テーブル装置について図面を用いて詳細に説明する。
【0011】
図1の左側図は車両走行時におけるステアリングホイール及びシートの位置及び角度を示しており、
図1の右側図はテーブル使用時におけるステアリングホイール及びシートの位置及び角度を示している。
図1に示すように、本実施形態の車載テーブル装置1は、ステアリングホイール31に設置されて使用される車載テーブル33と車載テーブル33を使用する乗員(図示せず)との位置関係を調整する装置である。この車載テーブル装置1は、検知装置10と、制御装置20とを備えている。
【0012】
検知装置10は、支持部材35に取り付けられた接触式のセンサ11で構成されており、車載テーブル33を格納位置33aで支持する支持部材35から乗員によって車載テーブル33が取り外されたことを検知する。なお、本発明においては、検知装置10は、支持部材35に取り付けられた接触式のセンサ11で構成されたものに限定されない。例えば、検知装置10は、車室内に取り付けられた画像認識機能を有するカメラで構成することも可能である。
【0013】
また、制御装置20は、検知装置10によって車載テーブル33が支持部材35から取り外されたことを検出した際に、その検知装置10からの信号等に基づいて、ステアリングホイール31の角度(図中矢印X及びYで示す方向における位置で規定することもできる。)を自動で制御する。さらに、制御装置20は、乗員が着座するシート37におけるシートクッション37Aの位置(図中矢印Xで示す方向の位置)及びシートバック37Bの角度θを左側図中のθ1から右側図中のθ2に自動で制御する。なお、本発明においては、制御装置20は上述のような制御をするものに限定されない。例えば、制御装置20は、検知装置10によって車載テーブル33が支持部材35から取り外されたことを検出した際に、ステアリングホイール31及びシート37(シートクッション37A,シートバック37B)のうちの少なくとも1つの位置及び角度のうちの少なくとも1つを制御するものを用いることができる。
【0014】
ここで、本発明においては、シートバック37Bの角度を、例えば、鉛直方向に沿った二点鎖線と図示しないシートフレームに沿った二点鎖線とがなす角θ(θ1,θ2)で設定することができる。その角度は実際の角度(°)で設定してもよく、傾斜角(%)で設定してもよい。
【0015】
そして、ステアリングホイール31における車載テーブル33の使用位置33bに乗員が車載テーブル33を設置することにより、車載テーブル33が使用できる状態となる。
【0016】
図2の上側図は
図1に示した車載テーブル装置に適用されるサンバイザ型車載テーブルが格納位置(
図1参照)で支持される状態を模式的に示す斜視図である。なお、実際には支持部材35が車載テーブル33を支持している。さらに、
図2の中央図はサンバイザ型車載テーブルが展開された状態を模式的に示す斜視図である。さらに、
図2の下側図は展開されたサンバイザ型車載テーブルが使用位置でステアリングホイールに設置された状態を模式的に示す斜視図である。
図2に示すように、車載テーブル33は、折りたたみ可能な本体部33Aと、支持部材35と係合する取り付け部33Bと、ステアリングホイール31の下側から嵌め込むことによりステアリングホイール31と係合する切欠き部33Cを有している。また、車載テーブル33は、格納位置(
図1参照)においては、サンバイザとして機能できる。
【0017】
ここで、車載テーブル装置の制御フローについて、より詳細に説明する。
図3に示すように、ステップ1(S1)において、車載テーブル33を使用するか否かを判定する。この判定は、例えば、上述のように、支持部材35から車載テーブル33が取り外されたことを検知装置10によって検出することにより行われる。判定がYESの場合には、S2に進み、判定がNOの場合にはフローを終了する。
【0018】
次いで、S2において、乗員情報として、例えば、乗員の体格情報などを取得する。この乗員の体格情報としては、制御装置20に予めユーザ情報として登録された身長、座高及び体重からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む身体情報、及び、車室内に設けられたカメラなどのセンサ39(
図1参照)によって測定ないし推定される身体情報のうちの少なくとも1つを利用することができる。なお、制御装置20にユーザ情報を予め登録する際には、例えばカーナビゲーションやスマートフォンなどを利用することができる。
【0019】
次いで、S3において、制御パラメータを決定する。この制御パラメータは、例えば、
図4に示すような制御装置20に格納されたテーブル種(テーブルA,B)及び体格情報(ユーザ体格S,M,L)とシート37の角度(シートバック37B傾斜)、シート37の位置(シート(クッション)37A座面座標)及びステアリングホイール31の位置(ステアリング座標)の制御量との関係を示す表に基づいて決定することができる。なお、
図4中の種類の異なるテーブルA、テーブルBとは、例えば、車両の運転席側と助手席側とでサンバイザ型車載テーブルの形状が異なる場合にも本発明が適用できることを意図している。
【0020】
次いで、S4において、ステアリングホイール31やシート37を制御する。この制御は、例えば、上述のように、決定された制御パラメータに基づいて制御する。このとき、制御装置20は、例えば、シート37の位置及び角度を制御する際に、その制御直前のシート37の位置及び角度に基づいて、それらの制御順序を決定することができる。
【0021】
ここで、車載テーブルの制御順序について、より詳細に説明する。
図5に示すように、
図5の左側図は車両走行時のシート37の位置・角度(状態A)を示しており、
図5右側図はテーブル使用時のシート37の位置・角度(状態C)を示している。状態Aから状態D(
図5中央上側図)、状態Dから状態Cのように、シートバックの角度を制御せずに、シートクッションの位置を図中矢印X及びYで示す方向のみに制御する場合、シート37に着座している乗員(図示せず)と天井とがかなり近づいてしまう。一方、状態Aから状態B(
図5中央下側図)、状態Bから状態Cのように、シートバックの角度を制御した上で、シートクッションの位置を図中矢印X及びYで示す方向に制御する場合、シート37に着座している乗員(図示せず)と天井とが殆ど近づかない。
【0022】
次に、本実施形態の利点について説明する。本実施形態によれば、検知装置10によって車載テーブル33が支持部材35から取り外されたことを検出した際に、制御装置20がステアリングホイール31やシート37の位置や角度を適切な位置に自動で制御するので、ステアリングホイールへの車載テーブルの設置に伴う煩雑な操作をなくすことができる。また、ステアリングホイールへの車載テーブルの設置自体も切欠き部を利用して容易に行うことができる。
【0023】
また、本実施形態によれば、検知装置10が支持部材35に取り付けられたセンサ11であるので、どの車載テーブルを乗員が使用しようとしているのか認識することができるという利点がある。
【0024】
さらに、本実施形態によれば、制御装置20が、乗員の体格情報に基づいて、ステアリングホイール31及びシート37のうちの少なくとも1つの位置及び角度のうちの少なくとも1つを制御するので、乗員の体格の違いに応じて設置された車載テーブルを使用することができるという利点がある。
【0025】
さらに、本実施形態によれば、乗員の体格情報が、制御装置20に予めユーザ情報として登録された身長、座高及び体重からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む身体情報、及び、車室内に取り付けられたセンサ39によって測定ないし推定される身体情報のうちの少なくとも1つであるので、乗員であるユーザはその体格に合わせて設置された車載テーブルを使用することができるという利点がある。
【0026】
さらに、本実施形態によれば、制御装置20が、ステアリングホイール31及びシート37のうちの少なくとも1つの位置及び角度のうちの少なくとも1つを制御する際に、その制御直前のステアリングホイール31及びシート37の位置及び角度に基づいて、それらの制御順序を決定するので、シートの位置等を変更する際に、乗員が窮屈に感じないなどといった適切な制御をすることができるという利点がある。
【0027】
以上、本発明を若干の実施形態によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0028】
本発明においては、ステアリングホイールへの車載テーブルの設置に伴う煩雑な操作をなくすべく、検知装置によって車載テーブルが支持部材から取り外されたことを検出した際に、制御装置がステアリングホイールやシートを制御する構成としたことを骨子とする。
【0029】
従って、本発明の構成要素は、上述した実施形態に示した構成要素に限定されるものではなく、検知装置、制御装置、ステアリングホイール、車載テーブル、支持部材、シートの仕様の細部を適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 車載テーブル装置
10 検知装置
11 センサ
20 制御装置
31 ステアリングホイール
33 車載テーブル
33A 本体部
33B 取り付け部
33C 切欠き部
33a 格納位置
33b 使用位置
35 支持部材
37 シート
37A シートクッション
37B シートバック
39 センサ