(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082456
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 13/00 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
B60C13/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196316
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 芳樹
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BC17
3D131BC35
3D131BC47
3D131BC51
3D131GA01
(57)【要約】
【課題】標章に泥詰まりが生じ難く、しかも標章を際立たせることができる空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】タイヤ1は、サイドウォールに設けられる1以上の標章4を有する。標章4の外面が、1以上4以下の突起構造7,8を有する。1以上4以下の突起構造7,8には、第1平面11、第2平面12、第3平面13、及び第4平面14を有する1以上の第1突出構造7が含まれる。第1平面11の垂線が、軸方向の外方に行くにしたがって周方向の一方側領域に向かい、第2平面12の垂線が、軸方向の外方に行くにしたがって周方向の他方側領域に向かう。第3平面13の垂線が、軸方向の外方に行くにしたがって径方向の一方側領域に向かい、第4平面14の垂線が、軸方向の外方に行くにしたがって前記径方向の他方側領域に向かう。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の標章をサイドウォールに設けた空気入りタイヤにおいて、
前記標章の外面が、1以上4以下の突起構造を有し、
前記1以上4以下の突起構造には、第1平面、第2平面、第3平面、及び第4平面を有する1以上の突出構造が含まれ、
前記第1平面の垂線が、軸方向の外方に行くにしたがって周方向の一方側領域に向かう一方、前記第2平面の垂線が、前記軸方向の外方に行くにしたがって前記周方向の他方側領域に向かい、前記第3平面の垂線が、前記軸方向の外方に行くにしたがって径方向の一方側領域に向かう一方、前記第4平面の垂線が、前記軸方向の外方に行くにしたがって前記径方向の他方側領域に向かう、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記標章の全縁に前記軸方向の外方に突出する環状の突起が設けられて、前記標章が縁取りされている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記サイドウォールが、基準面と、前記基準面に設けられた窪みと、を有し、
前記標章が、前記窪みの底面に設けられている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
少なくとも1つの前記突出構造が、直線形の頂を境に対向する台形の前記第1平面及び台形の前記第2平面、前記第1平面と前記第2平面の両方に前記直線形の頂の一方側で密接する三角形の前記第3平面、及び前記第1平面と前記第2平面の両方に前記直線形の頂の他方側で密接する三角形の前記第4平面を有する、請求項1から3のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
少なくとも1つの前記突出構造における、前記第1平面、前記第2平面、前記第3平面、及び前記第4平面が、4角錐の側面を構成する4つの三角形の平面に含まれる、請求項1から3のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
少なくとも1つの前記突出構造が、頂に四角形の平面を有する、請求項1から3のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気入りタイヤとしては、特許文献1に記載されているものがある。この空気入りタイヤは、タイヤのサイドウォールの表面に設けた標章の少なくとも一部に複数のリッジを並列に配置した鋸の歯の形状のセレーションが設けられている。この空気入りタイヤは、ピッチが短くて角度が異なるセレーションを標章に設けることで、光が照射された際、光の反射方向を変更させる事で標章に明暗をつけ、標章を際立たせるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記空気入りタイヤでは、標章にピッチが短いセレーションが設けられているので、泥濘路を走行した際に、標章に泥詰まりが起き易く、文字視認性が悪化し、更には、汚れが落ちにくいという課題がある。そこで、本発明の目的は、標章に泥詰まりが生じ難く、しかも標章を際立たせることができる空気入りタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本開示に係る空気入りタイヤは、1以上の標章をサイドウォールに設けた空気入りタイヤにおいて、前記標章の外面が、1以上4以下の突起構造を有し、前記1以上4以下の突起構造には、第1平面、第2平面、第3平面、及び第4平面を有する1以上の突出構造が含まれ、前記第1平面の垂線が、軸方向の外方に行くにしたがって周方向の一方側領域に向かう一方、前記第2平面の垂線が、前記軸方向の外方に行くにしたがって前記周方向の他方側領域に向かい、前記第3平面の垂線が、前記軸方向の外方に行くにしたがって径方向の一方側領域に向かう一方、前記第4平面の垂線が、前記軸方向の外方に行くにしたがって前記径方向の他方側領域に向かう。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る空気入りタイヤによれば、標章に泥詰まりが生じ難く、しかも標章を際立たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の第1実施形態に係るタイヤの片側側方を斜め上側から見たときの斜視図である。
【
図2】標章表示領域を軸方向外側の斜め下側から見たときの斜視図である。
【
図3】
図2のA-A線斜視断面図であり、標章表示領域に設けられた各標章の周方向の一端側(紙面における左側)に位置する直線延在箇所の延在方向の中心周辺を通過すると共に当該直線延在箇所に直交する各平面を含む結合平面で標章表示領域を切断したときに生成される構造を、軸方向に僅かに傾斜する方向から見たときの斜視断面図である。
【
図4】
図2のB-B線模式断面図であり、Eを表す標章の一部を複数の突起構造の並び方向と軸方向とを含む平面で切断したときの模式断面図であり、共に台形の形状を有する第1平面と第2平面を通過する平面で切断したときの模式断面図である。
【
図5】第1実施形態の第1変形例のタイヤにおける
図4に対応する模式断面図である。
【
図6】第1実施形態の第2変形例のタイヤにおける
図4に対応する模式断面図である。
【
図7】第3変形例のタイヤにおける
図2に対応する斜視図である。
【
図8】本開示の第2実施形態に係るタイヤにおける
図1に対応する斜視図である。
【
図9】第2実施形態のタイヤにおける
図2に対応する斜視図である。
【
図10】
図9におけるC-C線斜視断面図であり、Rを表す標章における、周方向の中央と、軸方向と、標章の径方向の外方に位置する直線形状の縁に垂直な方向とを含む平面で標章表示領域を切断した模式断面図である。
【
図11】
図9におけるD-D線斜視断面図であり、Eを表す標章における、周方向の中央と、軸方向と、標章の径方向の外方に位置する直線形状の縁に垂直な方向とを含む平面で標章表示領域を切断した模式断面図である。
【
図12】第2実施形態の変形例のタイヤにおける
図7に対応する斜視図である。
【
図13】本開示の第3実施形態に係るタイヤにおける
図1に対応する斜視図である。
【
図14】第3実施形態のタイヤにおける
図2に対応する斜視図である。
【
図15】
図14におけるE-E線斜視断面図であり、Rを表す標章における径方向の外方側の直線形状の縁に直交する方向と、軸方向とを含む平面で、当該標章における周方向の片側縁と内側縁との間を切断した構造を斜め上側から見たときの線斜視断面図である。
【
図16】
図14におけるF-F線斜視断面図であり、各標章の周方向の片側に位置する直線形状の縁に直交する方向と、軸方向と、当該直線形状の縁の径方向の第2所定位置と、を含む平面で、標章を切断した構造を斜め上側から見たときの各斜視断面図を、周方向に隣り合う標章の周方向の中間位置で繋ぎ合わせて構成した斜視断面図である。
【
図17】
図14におけるG-G線斜視断面図であり、各標章の周方向の片側に位置する直線形状の縁に直交する方向と、軸方向と、当該直線形状の縁の径方向の第2所定位置と、を含む平面で、標章を切断した構造を斜め上側から見たときの各斜視断面図を、周方向に隣り合う標章の周方向の中間位置で繋ぎ合わせて構成した斜視断面図である。
【
図18】第3実施形態の変形例のタイヤにおける
図7に対応する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施例では、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、複数の図面には、模式図が含まれ、異なる図間において、標章等における、縦、横、高さ等の寸法比は、必ずしも一致しない。また、以下で説明される構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素であり、必須の構成要素ではない。また、以下では、空気入りタイヤを単にタイヤと言及する。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態に係るタイヤ1の片側側方を斜め上側から見たときの斜視図である。
図1に示すように、タイヤ1のなくとも一方のサイドウォール2には、1以上の標章表示領域3が設けられている。サイドウォール2は、タイヤ側面に存在し、タイヤ1が最も撓む箇所を有する。サイドウォール2は、スムーズに屈曲することで、衝撃や遠心力に耐える役割を担う。
【0010】
標章表示領域3は、サイドウォール2の表面2aに設けられる基準面X1と、この基準面X1に設けられる1以上の標章4とを具える。標章表示領域3は、サイドウォール2の表面2aから一定の高さで突出する台座6を有し、台座6の表面が基準面X1となっている。台座6の厚さ方向は、タイヤ1の軸方向に略一致している。
【0011】
台座6は存在しなくても良く、この場合、サイドウォール2の表面2aが基準面X1となる。標章4は、タイヤのメーカ名、ブランド名、サイズ、偏平率、製造年週等を表すための文字、速度記号等の記号、図形等であり、本実施形態では、基準面X1に、複数の標章4からなるブランド名が形成されている。
【0012】
図2は、標章表示領域3を軸方向外側の斜め下側から見たときの斜視図である。
図2に示すように、標章4は、寄棟屋根の形状を有する突起構造7,8を1以上4以下有し、本実施形態では、Rを表す標章4aが、寄棟屋根の形状を有する第1突出構造7を2つ有し、Eを表す標章4bが、寄棟屋根の形状を有する第1突出構造7を4つ有する。複数の突起構造7,8は、略周方向に並ぶように配置され、より厳密には、複数の突起構造7,8は、標章4の周方向の一端と周方向の他端との周方向の中心位置Pにおける周方向の接線9と30°以下の角度で傾斜する並び方向に並ぶように配置される。Rを表す標章4aのように、並び方向に並ぶ複数の突起構造7,8が、寄棟屋根の形状を有さない1以上の第2突出構造8を含んでもよい。しかし、この場合でも、並び方向に並ぶように設けられる突起構造7,8の数は、4以下の数である。
【0013】
寄棟屋根の形状を有する第1突出構造7は、4つの平面11~14を有し、各平面11~14は、斜面を構成する。4つの平面11~14は、軸方向の外方側から見たときに、並び方向に対向する台形の形状をした2つの第1平面11及び第2平面12を含む。また、4つの平面11~14は、軸方向の外方側から見たときに、間隔をおいて並び方向に略直交する延在方向に対向する三角形の形状をした2つの第3平面13及び第4平面14を含む。上記延在方向は、径方向に対して30°以下の角度傾斜する方向であり、より好ましくは、径方向に対して15°以下の角度傾斜する方向である。
【0014】
第1平面11の垂線は、軸方向の外方に行くにしたがって周方向の一方側領域に向かい、第2平面12の垂線は、軸方向の外方に行くにしたがって周方向の他方側領域に向かう。また、第3平面13の垂線は、軸方向の外方に行くにしたがって径方向の一方側領域に向かい、第4平面14の垂線は、軸方向の外方に行くにしたがって径方向の他方側領域に向かう。
【0015】
図3は、
図2のA-A線斜視断面図であり、標章表示領域3に設けられた各標章4の周方向の一端側(紙面における左側)に位置する直線延在箇所80の延在方向の中心周辺を通過すると共に当該直線延在箇所80に直交する各平面を含む結合平面で標章表示領域3を切断したときに生成される構造を、軸方向に僅かに傾斜する方向から見たときの斜視断面図である。
【0016】
図2及び
図3に示すように、標章4の全縁には、軸方向の外側に突出して標章4を縁取りする環状の突起15,16が設けられている。Rを示す標章4aは、外側縁15aを全周に亘って縁取る外側環状突起15と、内側縁16aを全周に亘って縁取る内側環状突起16を有する。
図2を参照して、標章4において最も軸方向外側に位置する台形の形状の第1平面と第2平面が共有する直線状の頂(軸方向外方の直線)18の軸方向位置と、環状の突起15,16において最も軸方向外側に位置する箇所の軸方向位置との差の絶対値は、如何なる値でもよい。しかし、当該絶対値が、5mm以下であれば、美観を優れたものにでき、特に、当該絶対値が、3mm以下であれば、標章4の美観を特に優れたものにでき、スタイリッシュな標章4を実現できる。
【0017】
また、第1突出構造7の高さ、すなわち、直線状の頂18における軸方向位置から4つの平面11~14において最も軸方向内側に位置する箇所の軸方向位置を引いた値は、如何なる高さでもよいが、その値が、1mm以上であれば、標章4の立体性を優れたものにできて、標章4を際立たせることができ、その値が、3mm以下であれば、泥詰まりを効果的に抑制できる。
【0018】
図4は、
図2のB-B線模式断面図であり、Eを表す標章4bの一部を並び方向と軸方向とを含む平面で切断したときの模式断面図であり、共に台形の形状を有する第1平面11と第2平面12を通過する平面で切断したときの模式断面図である。また、
図5は、第1実施形態の第1変形例のタイヤ101における
図4に対応する模式断面図である。
図4に示すように、本実施形態では、台形状の第1平面11と台形状の第2平面12が直線形状の頂(台形の上底)18を共有し、
図4の示す断面において一点で交わる。
【0019】
しかしながら、
図5に示すように、標章104が含む1以上の突出構造107は、寄棟屋根の形状を有する突出構造の上側(軸方向の外方側)を、基準面に略平行な平面で切断した際に生成する構造の突出構造でもよく、当該1以上の突出構造107が、4つの台形の形状の第1乃至第4平面111,112と、1つ四角形の第5平面115とを含んでもよい。そして、第5平面115が、突出構造107の軸方向の外方に位置して基準面に略平行になっており、第1平面111の垂線が、軸方向の外方に行くにしたがって周方向の一方側領域に向かい、第2平面112の垂線が、軸方向の外方に行くにしたがって周方向の他方側領域に向かってもよい。また、第3平面(図示せず)の垂線が、軸方向の外方に行くにしたがって径方向の一方側領域に向かい、第4平面(図示せず)の垂線が、軸方向の外方に行くにしたがって径方向の他方側領域に向かってもよい。
【0020】
図6は、第1実施形態の第2変形例のタイヤ201における
図4に対応する模式断面図である。
図6に示すように、寄棟屋根の形状の突出構造207において、台形形状の第1平面211と、台形形状の第2平面212とを軸方向の外方に位置する軸方向外方に凸の湾曲面221を介して接続してもよい。また、寄棟屋根の構造の台形形状の斜面の麓の角を凹面の湾曲面で213,214構成してもよい。また、並び方向に隣り合う2つの寄棟屋根の形状の突出構造207に関し、各突出構造207の麓に設けられた凹面の湾曲面213,214同士を、平面217を介して接続してもよい。また、図示しないが、並び方向の第1側の端に位置する突出構造の第1側の麓の角を凹面の湾曲面で構成し、その湾曲面の第1側の端に滑らかに繋がる平面が存在してよい。
【0021】
軸方向の外方に位置する角を湾曲面221で構成すると、当該角周辺にクラックが生じることを抑制できる。また、突出構造207の麓周辺に湾曲面213,214を形成すると、麓周辺にクラックが生じることを抑制できると共に、麓周辺の角への泥の付着も抑制できて、排土性も良好なものにできる。また、突出構造の麓周辺に湾曲面213,214に滑らかに繋がる平面217を設けると、麓周辺の角への泥の付着を更に抑制でき、排土性を更に良好なものにできる。
【0022】
図7は、第3変形例のタイヤ301における
図2に対応する斜視図である。
図7に示すように、標章304の径方向外方の縁321及び標章304の径方向内方の縁322は、円弧形状を有し、周方向に平行に延在してもよい。より詳しくは、この標章304では、
図2に示すタイヤ1における標章4において周方向に沿うように延在する直線形状の縁をタイヤ301の周方向に平行に延びる円弧形状の縁に取り換えている。このようにすれば、標章304のデザイン性を高くでき、標章304の美観を優れたものにし易い。
【0023】
以上、タイヤ1には、1以上の標章4,104,304がサイドウォール2に設けられえている。また、標章4,104,304の外面が、1以上4以下の突起構造7,8を有し、その1以上4以下の突起構造7,8には、第1平面11、第2平面12、第3平面13、及び第4平面14を有する1以上の第1突出構造7が含まれる。そして、第1平面11の垂線が、軸方向の外方に行くにしたがって周方向の一方側領域に向かう一方、第2平面12の垂線が、軸方向の外方に行くにしたがって周方向の他方側領域に向かっている。また、第3平面13の垂線が、軸方向の外方に行くにしたがって径方向の一方側領域に向かう一方、第4平面14の垂線が、軸方向の外方に行くにしたがって径方向の他方側領域に向かっている。
【0024】
本構成によれば、標章4,104,304に突起構造7,8が、最大4つしか存在せず、従来の標章、すなわち、ピッチが細かくて角度が異なるセレーションを有する標章と比較して、面の数が各段に少ない。したがって、泥詰まりを抑制できる。
【0025】
また、標章4,104,304が、光を4つの異なる方向に反射させる第1突出構造7を有する。したがって、標章4,104,304を光輝くものとでき、標章4,104,304の視認性を良好なものにできる。
【0026】
また、標章4,304の全縁に軸方向の外方に突出する環状の突起15,16が設けられて、標章4,304が縁取りされていてもよい。
【0027】
本構成によれば、標章4,304の全縁が環状の突起15,16で縁取りされているため、環状の突起15,16の標章4,304側の内面で段差を形成することができ、その段差で、標章を際立たせることができる。よって、標章4,104,304の視認性を良好なものにできる。
【0028】
また、少なくとも1つの第1突出構造7が、直線形の頂18を境に対向する台形の第1平面11及び台形の第2平面12、第1平面11と第2平面12の両方に直線形の頂18の一方側で密接する三角形の第3平面13、及び第1平面11と第2平面12の両方に直線形の頂18の他方側で密接する三角形の第4平面14を有してもよい。
【0029】
本構成によれば、標章4,304が、斬新的で独創性に溢れる寄棟屋根の形状を有する。したがって、人が標章4,304をスタイリッシュなデザインと感じ易く、標章4,304を際立たせることができる。
【0030】
なお、上記実施形態では、標章4が寄棟屋根の形状を有する突出構造7を複数有する場合について説明した。しかし、標章は、寄棟屋根の形状を有する突出構造を4以下有していればよく、例えば、少なくとも1つの標章は、寄棟屋根の形状を有する突出構造を1つのみ有してもよい。
【0031】
また、複数の突起構造7,8が、略周方向に並ぶように配置される場合について説明した。しかし、複数の突起構造は、径方向に略平行な方向に並ぶように配置されてもよく、より詳しくは、径方向に対して30°以下の角度傾斜する方向に並ぶように配置されてもよく、より好ましくは、径方向に対して15°以下の角度傾斜する方向に並ぶように配置されてもよい。
【0032】
(第2実施形態)
第1実施形態では、4以下の突起構造7,8が、寄棟屋根の形状を有する1以上4以下の第1突出構造7を有する場合について説明した。また、標章4,304が、標章4,304の全縁に軸方向の外方に突出する環状の突起15,16が設けられて、標章4,304が縁取りされている場合について説明した。しかし、次に
図8~12を用いて説明するように、少なくとも1つの標章404は、1つのみのピラミッドの形状を有する突出構造407を有してもよく、標章404は、基準面X2に設けられた窪み460の底面に設けられてもよい。なお、第2実施形態を含む以下の実施形態では、第1実施形態と同様の作用効果及び変形例についての説明を省略する。
【0033】
図8は、本開示の第2実施形態に係るタイヤ401における
図1に対応する斜視図であり、
図9は、第2実施形態のタイヤ401における
図2に対応する斜視図である。また、
図10は、
図9におけるC-C線斜視断面図であり、Rを表す標章404aにおける、周方向の中央と、軸方向と、標章404aの径方向の外方に位置する直線形状の縁431に垂直な方向とを含む平面で標章表示領域403を切断した模式断面図である。また、
図11は、
図9におけるD-D線斜視断面図であり、Eを表す標章404bにおける、周方向の中央と、軸方向と、標章404bの径方向の外方に位置する直線形状の縁432に垂直な方向とを含む平面で標章表示領域403を切断した模式断面図である。
【0034】
図8及び
図9に示すように、サイドウォール402に設けられた標章表示領域403は、サイドウォール402の表面から一定の高さで突出する台座406を有し、台座406の表面が基準面X2となっている。台座406には、深さが略一定の窪み460が設けられ、窪み460の底面に1以上の標章404が設けられている。
【0035】
なお、Rを表す標章404aのように環状の内側縁416が存在する標章404aを窪み460の底面に設ける場合、その内側縁で囲まれた領域435の外面の軸方向位置は、窪み460の底面における軸方向の最も内側の箇所よりも軸方向の外側に位置していればよい。しかし、Rを表す標章404aのように環状の内側縁416が存在する場合、その内側縁416で囲まれた領域435の外面の軸方向位置は、基準面X2の軸方向位置と略同一にすると好ましい。また、台座は存在しなくても良く、この場合、サイドウォールの表面が基準面となり、サイドウォールの表面に深さが略一定の窪みが設けられ、その窪みの底面に1以上の標章4が設けられる。
【0036】
図9~
図11に示すように、各標章404は、1つのみの突出構造407を有し、その1つのみの突出構造407は、ピラミッドの形状を有する。ここで、Eを表す標章404bのように、1つのみの突出構造407が、1つの頂点を共有する4つの三角形の平面411~414を有してもよい。換言すれば、Rを表す標章404aのように、環状の内側縁416等を有して、1つの頂点を共有する4つの三角形の平面が存在しない場合もある。
【0037】
しかし、この場合においても、第2実施形態の各標章404では、一つのみの突出構造407における、第1平面411、第2平面412、第3平面413、及び第4平面414が、4角錐の側面を構成する4つの三角形の平面に含まれる。ここで、第1平面411の垂線は、軸方向の外方に行くにしたがって周方向の一方側領域に向かい、第2平面412の垂線は、軸方向の外方に行くにしたがって周方向の他方側領域に向かう。また、第3平面413の垂線は、軸方向の外方に行くにしたがって径方向の一方側領域に向かい、第4平面414の垂線は、軸方向の外方に行くにしたがって径方向の他方側領域に向かう。
【0038】
第2実施形態によれば、サイドウォール402が、基準面X2と、基準面X2に設けられた窪み460と、を有し、標章404が、窪み460の底面に設けられる。したがって、標章404が窪み460の底面に設けられるので、タイヤ401の加硫成形時に生じる虞がある空気溜りの生成位置を標章404の美観にあまり関係がない窪み460の側面の底側に制限することができ、空気抜きを行うためのベントホールも標章404の美観にあまり関係がない窪み460の側縁の底側に形成すればよい。更には、標章404を窪み460の底面に形成することで、ゴム流れの不良を抑制でき、空気溜り自体も低減できる。よって、綺麗な標章404を形成でき、人が標章404を視認し易い。
【0039】
また、第2実施形態によれば、標章404に存在する1つのみの突出構造407における、第1平面411、第2平面412、第3平面413、及び第4平面414が、4角錐の側面を構成する4つの三角形の平面に含まれる。
【0040】
したがって、
図2に示すように、標章404を、ピラミッド形状が際立ち、独創的でスタイリッシュで、斬新なものにできる。よって、標章を顕著に際立たせることができる。
【0041】
なお、標章に存在する1つのみの突出構造が、4角錐の側面を構成する4つの三角形の平面に含まれる第1乃至第4平面に加えて、当該4角錐の先端側を平面で切断したときに生じる4角形の平面を有してもよい。ここで、先端面を構成する4角形の平面は、基準面に略平行であると、標章を際立たせることができで好ましい。
【0042】
また、第2実施形態においても、標章において周方向に沿うように延在する直線形状の縁は、周方向に平行に延びる円弧形状の線でもよい。詳しくは、
図12、すなわち、第2実施形態の変形例のタイヤ501における
図7に対応する斜視図に示すように、
図9に示すタイヤ401における標章404において周方向に沿うように延在する直線形状の縁をタイヤ501の周方向に平行に延びる円弧形状の縁522に取り換えてもよい。このようにすれば、標章504のデザイン性を高くでき、標章の美観を優れたものにし易い。
【0043】
(第3実施形態)
第2実施形態では、標章404,504が、ピラミッドの形状を有する突出構造407を1つのみ有する場合について説明した。しかし、次に
図13~
図18を用いて説明するように、少なくとも1つの標章604,704は、ピラミッドの形状を有する複数の突出構造607を有してもよい。
【0044】
図13は、本開示の第3実施形態に係るタイヤ601における
図1に対応する斜視図であり、
図14は、第3実施形態のタイヤ601における
図7に対応する斜視図である。また、
図15は、
図14におけるE-E線斜視断面図であり、Rを表す標章604aにおける径方向の外方側の直線形状の縁632に直交する方向と、軸方向とを含む平面で、標章604aにおける直線形状の周方向の片側縁635と内側縁616との間を切断した構造を斜め上側から見たときの線斜視断面図である。
【0045】
また、
図16は、
図14におけるF-F線斜視断面図であり、各標章604の片側縁635に直交する方向と、軸方向と、片側縁635の径方向の第1所定位置と、を含む平面で、標章604を切断した構造を斜め上側から見たときの各斜視断面図を、周方向に隣り合う標章604の周方向の中間位置で繋ぎ合わせて構成した斜視断面図である。
【0046】
また、
図17は、
図14におけるG-G線斜視断面図であり、各標章604の片側縁635に直交する方向と、軸方向と、片側縁635の径方向の第2所定位置と、を含む平面で、標章604を切断した構造を斜め上側から見たときの各斜視断面図を、周方向に隣り合う標章604の周方向の中間位置で繋ぎ合わせて構成した斜視断面図である。
【0047】
図14に示すように、F-F線斜視断面図は、Rを表す標章604aの内側縁616で囲まれた領域655を通過し、G-G線斜視断面図は、Rを表す標章の内側縁616で囲まれた領域655の径方向内側を通過する。また、G-G線斜視断面図は、Eを表す標章604bの標章高さ方向の中心を通過する。
【0048】
図14~
図17に示すように、各標章604は、マトリクス状に配置された複数のピラミッド形状の突出構造607を有し、本実施形態では、2行2列に配置された4つのピラミッド形状の突出構造607を有する。
【0049】
第3実施形態によれば、各標章604において、4つのピラミッド形状の突出構造607が規則的かつ整然的に2行2列に配置される。したがって、16個の斜面が規則的かつ整然的に配置されるため、標章604で反射される光が規則的でユニークなものとなり、標章604を顕著に光輝かせることができ、煌めかせることができる。したがって、標章604を人の注意を引く美しいものにでき、標章の視認性を顕著なものとできる。
【0050】
なお、第3実施形態においても、標章において周方向に沿うように延在する直線形状の縁は、周方向に平行に延びる円弧形状の線でもよい。詳しくは、
図18、すなわち、第3実施形態の変形例のタイヤ701における
図7に対応する斜視図に示すように、
図14に示すタイヤ601における標章604において周方向に沿うように延在する直線形状の縁をタイヤ701の周方向に平行に延びる円弧形状の縁722に取り換えてもよい。このようにすれば、標章704のデザイン性を高くでき、標章704の美観を優れたものにし易い。
【0051】
また、タイヤ601,701が、4つのピラミッド形状の突出構造607,707が規則的かつ整然的に2行2列に配置される標章604,704を含む場合について説明した。しかし、タイヤは、3つのピラミッド形状の突出構造が1行3列に配置される標章を含んでもよく、3つのピラミッド形状の突出構造が3行1列に配置される標章を含んでもよい。また、タイヤは、2つのピラミッド形状の突出構造が1行2列に配置される標章を含んでもよく、2つのピラミッド形状の突出構造が2行1列に配置される標章を含んでもよい。
【0052】
なお、本開示は、下記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。例えば、少なくとも1つの標章は、以下で説明する第1実施形態及びその変形例に含まれる構成と、以下で説明する第2実施形態及びその変形例に含まれる構成とを組み合わせた特徴を有してもよい。又は、少なくとも1つの標章は、以下で説明する第1実施形態及びその変形例に含まれる構成と、第3実施形態及びその変形例で含まれる構成とを組み合わせた特徴を有してもよい。また、標章は、環状の突起で縁取られていなくて、しかも、基準面に設けた窪みに形成されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1,101,201,301,401,501,601,701 タイヤ、 2,402 サイドウォール、 2a 表面、 3,403 標章表示領域、 4,4a,4b,104,304,404,404a,404b,504,604,604a,604b,704 標章、6,406 台座、 7,407 第1突出構造(突起構造)、 8 第2突出構造(突起構造、 9 接線、 11,111,211,411 第1平面、 12,112,212,412 第2平面、 13,413 第3平面、 14,414 第4平面、 15 外側環状突起、 15a 外側縁、 16 内側環状突起、 16a,416,616 内側縁、 18 直線状の頂、 107,207,607 突出構造、 115 第5平面、 213,214,221 湾曲面、 217 平面、 460 窪み、 522,722 円弧形状の縁、 X1,X2 基準面。