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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082462
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】部品搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/52 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
B65G47/52 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196323
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】林 勝
(72)【発明者】
【氏名】水品 智晴
【テーマコード(参考)】
3F044
【Fターム(参考)】
3F044AB29
3F044AB37
3F044CA01
3F044CA08
3F044CA09
3F044CD09
(57)【要約】
【課題】作業効率の低下を抑制できる部品搬送装置を提供する。
【解決手段】部品搬送装置は、部品を支持するトレイ10と、トレイ10を自重によって搬送する上部コンベヤ50と、作業者によって部品が取り出されたトレイ10を自重によって搬送する下部コンベヤ60とを備える。トレイ10は、部品を支持する一対の支持部材20と、一対の支持部材20を連結するとともに、一対の支持部材20が互いに近接するように折り畳み可能に構成された連結部材30とを備えている。上部コンベヤ50は、部品が取り出された状態のトレイ10を下部コンベヤ60上に落下させる落下口52と、落下口52の直交方向における両側において一対の支持部材20を下方から支持する一対の受け部53とを有している。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を支持するトレイと、
水平方向に対して傾斜するとともに、前記トレイを自重によって搬送する上部コンベヤと、
前記上部コンベヤの下方において前記水平方向に対して前記上部コンベヤと逆向きに傾斜するとともに、作業者によって前記部品が取り出された前記トレイを自重によって搬送する下部コンベヤと、を備える部品搬送装置であって、
前記トレイの搬送方向と上下方向との双方に直交する方向を直交方向とするとき、
前記トレイは、前記直交方向における前記部品の両端部を支持する一対の支持部材と、前記一対の支持部材を連結するとともに、前記一対の支持部材が互いに近接するように折り畳み可能に構成された連結部材と、を備えており、
前記上部コンベヤは、前記トレイの位置が前記作業者によって前記部品が取り出される取出位置であるときの当該トレイの下方に開口するとともに、前記部品が取り出された状態の前記トレイを前記下部コンベヤ上に落下させる落下口と、前記落下口の前記直交方向における両側において前記一対の支持部材を下方から支持する一対の受け部と、を有している、
部品搬送装置。
【請求項2】
前記連結部材は、ゴム製である、
請求項1に記載の部品搬送装置。
【請求項3】
前記一対の支持部材の各々は、前記直交方向において前記部品に対向する側壁を有している、
請求項1に記載の部品搬送装置。
【請求項4】
前記一対の支持部材の各々は、前記搬送方向に並ぶとともに複数の前記部品を個別に保持する複数の保持部を有している、
請求項1に記載の部品搬送装置。
【請求項5】
前記部品が取り出された状態の前記トレイが載置される載置台と、
前記下部コンベヤにより搬送された前記トレイを回収する回収位置、及び前記トレイを前記上部コンベヤに供給する供給位置の間で前記載置台を昇降させる昇降機構と、を備え、
前記昇降機構は、操作レバーと、前記載置台に連結されるとともに滑車に掛け回された紐部材と、を備え、前記操作レバーの操作に連動して前記紐部材が前記載置台を引き上げることによって、前記載置台が前記回収位置から前記供給位置に上昇するように構成されている、
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の部品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、部品を箱詰めする作業者に対して、空箱を自重によって搬入するとともに、部品が詰められた箱(以下、実箱という)を自重によって搬出する箱搬送装置が開示されている。
【0003】
箱搬送装置は、作業者に対して空箱を搬入する下り勾配の搬入コンベアと、搬入された空箱が載置される箱載置台と、実箱を次工程に搬出する下り勾配の搬出コンベアとを備えている。
【0004】
箱載置台は、搬入コンベアから空箱を受け取る上昇位置と、実箱を搬出コンベアに送り出す下降位置との間で昇降可能に設けられている。また、箱載置台は、軸を介して、搬入コンベアに対して同一平面上に並ぶ空箱受取姿勢と、搬出コンベアに対して同一平面上に並ぶ実箱送出姿勢とに傾動可能に設けられている。
【0005】
箱載置台は、一端にウェイトが取り付けられるとともに滑車に掛け回されたワイヤを介して上方に向けて付勢されている。箱載置台に載置された空箱に所定数の部品が詰められることにより、ウェイトの自重に抗して箱載置台が上昇位置から下降位置に移動する。下降位置における箱載置台は、箱載置台の昇降経路上に突出した係合片に係合している。係合片が箱載置台に係合することにより、箱載置台は、空箱受取姿勢から実箱送出姿勢に傾動する。これにより、実箱が搬出コンベアに向けて搬出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9-136715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、工場などの製造現場では、作業者が、実箱から部品を取り出した後、空箱を次工程に搬出させることがある。こうした作業を特許文献1に記載の箱搬送装置によって実現しようとした場合、作業者は、まず、搬入コンベアを通じて箱載置台に載置された実箱から部品を取り出す。その後、ウェイトの自重に抗して、箱載置台を下降位置まで押し下げる。これにより、空箱が搬出コンベアに向けて搬出される。
【0008】
上記構成では、作業者が載置台を下降位置まで押し下げる作業が必要となるため、作業効率が低下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための部品搬送装置は、部品を支持するトレイと、水平方向に対して傾斜するとともに、前記トレイを自重によって搬送する上部コンベヤと、前記上部コンベヤの下方において前記水平方向に対して前記上部コンベヤと逆向きに傾斜するとともに、作業者によって前記部品が取り出された前記トレイを自重によって搬送する下部コンベヤと、を備える部品搬送装置であって、前記トレイの搬送方向と上下方向との双方に直交する方向を直交方向とするとき、前記トレイは、前記直交方向における前記部品の両端部を支持する一対の支持部材と、前記一対の支持部材を連結するとともに、前記一対の支持部材が互いに近接するように折り畳み可能に構成された連結部材と、を備えており、前記上部コンベヤは、前記トレイの位置が前記作業者によって前記部品が取り出される取出位置であるときの当該トレイの下方に開口するとともに、前記部品が取り出された状態の前記トレイを前記下部コンベヤ上に落下させる落下口と、前記落下口の前記直交方向における両側において前記一対の支持部材を下方から支持する一対の受け部と、を有している。
【0010】
同構成によれば、部品を支持した状態のトレイが上部コンベヤに供給されることによって、当該トレイが自重によって搬送される。その後、取出位置に位置するトレイから作業者によって部品が取り出されることによって、トレイが落下口を通じて下部コンベヤ上に落下する。
【0011】
ここで、トレイの連結部材は、一対の支持部材が互いに近接するように折り畳み可能に構成されている。また、取出位置において部品を支持している状態の一対の支持部材は、一対の受け部によって下方から支持されている。このため、部品が一対の支持部材によって支持されている間は、落下口を通じたトレイの落下が規制されている。一方、トレイから部品が取り出されることによって、トレイは、連結部材が折り畳まれるように変形した状態で落下口を通じて落下する。落下後のトレイでは、変形した連結部材が落下前の形状に戻ろうとするため、トレイ全体が落下前の形状に戻りやすくなる。これにより、トレイが自重によって下部コンベヤ上を円滑に移動しやすくなる。
【0012】
以上のことから、作業者が取出位置に位置するトレイから部品を取り出す作業を行うことにより、部品が取り出された状態のトレイが自動的に下部コンベヤによって搬送される。このため、作業者は、部品が取り出された状態のトレイを搬送させる作業を別途行わなくて済む。したがって、作業効率の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態の部品搬送装置を示す側面図である。
図2図2は、図1のトレイの平面図である。
図3図3は、図2の3-3線に沿った断面図である。
図4図4は、図1のトレイにおける連結部材が変形した状態を示す正面図である。
図5図5は、図1の上部コンベヤにおける供給側の端部を示す平面図である。
図6図6は、図1の載置台及び昇降機構を示す側面図である。
図7図7は、図1の載置台を示す斜視図である。
図8図8は、図1の載置台が回収位置に位置するときの部品搬送装置を示す断面図である。
図9図9は、図1の載置台が供給位置に位置するときの部品搬送装置を示す断面図である。
図10図10は、トレイ及び空トレイの搬送前後における部品搬送装置を示す側面図である。
図11図11は、図1のトレイが取出位置に位置するときの上部コンベヤを示す平面図である。
図12図12は、図1の下部コンベヤ上に落下する空トレイを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1図12を参照して、部品搬送装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、部品搬送装置は、部品Pを支持するトレイ10を図示しない作業者に搬送するとともに、作業者によって部品Pが取り出されたトレイ10を図示しない別の作業者に搬送する装置である。
【0015】
以降において、部品Pが支持された状態のトレイ10を単にトレイ10と称し、部品Pが取り出された状態のトレイ10を空トレイ10A(図11参照)と称することがある。また、部品搬送装置において、部品Pを支持するトレイ10を作業者に供給する側を供給側Sと称し、当該作業者がトレイ10を受け取る側を受取側Rと称する。なお、図1の右側が供給側Sであり、図1の左側が受取側Rである。
【0016】
部品搬送装置は、部品Pを支持するトレイ10と、トレイ10を自重によって搬送する上部コンベヤ50と、空トレイ10Aを自重によって搬送する下部コンベヤ60とを備えている。また、部品搬送装置は、下部コンベヤ60によって搬送された空トレイ10Aが載置される載置台70と、載置台70を昇降させる昇降機構90とを備えている。
【0017】
以降において、トレイ10の搬送方向を単に搬送方向と称する。また、搬送方向と上下方向との双方に直交する方向を直交方向と称する。
(トレイ10)
図2及び図3に示すように、トレイ10は、例えば、2つの部品Pを支持する。部品Pは、例えば、直交方向に延びる長尺状をなす樹脂製の部品である。
【0018】
トレイ10は、一対の支持部材20と、一対の支持部材20を連結する連結部材30と、連結部材30を支持部材20に対して取り付ける一対の取付板40とを備えている。トレイ10は、平面視において長辺及び短辺を有する略長方形状をなしている。搬送時のトレイ10の長辺方向及び短辺方向は、直交方向及び搬送方向にそれぞれ一致している。
【0019】
各支持部材20は、底板21と、一対の対向壁22と、側壁23と、複数の保持部24とを有している。各支持部材20は、例えば、2つの保持部24を有している。
支持部材20の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やアクリル樹脂(PMMA)などの樹脂材料が挙げられる。
【0020】
底板21は、平板状をなしている。底板21は、平面視において搬送方向に長い長方形状をなしている。
図3に示すように、底板21には、皿ねじ11が挿入される複数の挿入孔21aが搬送方向に互いに間隔をおいて設けられている。底板21には、例えば、3つの挿入孔21aが設けられている。
【0021】
図2及び図3に示すように、一対の対向壁22は、底板21の搬送方向の両縁から起立するとともに直交方向に延びている。一対の対向壁22は、搬送方向において対向している。
【0022】
側壁23は、底板21の直交方向における一端縁から起立するとともに搬送方向に延びている。側壁23は、挿入孔21aを挟んで他の支持部材20とは反対側に位置している。
【0023】
各支持部材20における2つの保持部24は、底板21のうち挿入孔21aと側壁23との間の部分から突出するとともに搬送方向に間隔をおいて並んでいる。2つの保持部24は、2つの部品Pを個別に保持する。
【0024】
図2に示すように、各保持部24は、搬送方向に間隔をおいて並ぶ一対の板によって部品Pを挟持することにより、部品Pを保持するように構成されている。一方の支持部材20の保持部24と、他方の支持部材20の保持部24とによって、部品Pの直交方向における両端部が保持される。これにより、部品Pがトレイ10に支持される。
【0025】
連結部材30は、平板状をなしている。連結部材30は、平面視において直交方向に長い長方形状をなしている。
連結部材30は、可撓性を有している。連結部材30の材料としては、例えば、ゴムが挙げられる。
【0026】
図3に示すように、連結部材30の直交方向における両端部には、底板21の挿入孔21aに連通する複数の挿入孔30aが設けられている。連結部材30の直交方向における両端部には、例えば、挿入孔30aが3つずつ設けられている。
【0027】
図2に示すように、取付板40は、平板状をなしている。取付板40は、平面視において搬送方向に長い長方形状をなしている。
取付板40の材料としては、アルミ合金や鉄合金などの金属材料が挙げられる。
【0028】
図3に示すように、取付板40には、底板21の挿入孔21a及び連結部材30の挿入孔30aに連通する複数のねじ孔40aが設けられている。取付板40には、例えば、3つのねじ孔40aが設けられている。
【0029】
連結部材30の直交方向における両端部は、底板21の上面と取付板40の下面との間に挟み込まれている。皿ねじ11が底板21の挿入孔21a及び連結部材30の挿入孔30aに挿入された状態で、取付板40のねじ孔40aにねじ込まれることにより、連結部材30及び取付板40が支持部材20に対して固定されている。これにより、連結部材30を介して一対の支持部材20が連結されている。なお、皿ねじ11の頭部は、底板21の挿入孔21aの内部に収容されているため、底板21の下面から突出していない。これにより、トレイ10の搬送時に、皿ねじ11が上部コンベヤ50及び下部コンベヤ60に干渉することが抑制されている。
【0030】
図4に示すように、連結部材30はゴム製であるため、連結部材30のうち一対の支持部材20の間の部分は、弾性変形可能である。したがって、連結部材30は、一対の支持部材20が互いに近接するように折り畳み可能に構成されている。
【0031】
(上部コンベヤ50)
図1に示すように、上部コンベヤ50は、受取側Rの端部ほど下方に位置するようにフレーム100に取り付けられている。すなわち、上部コンベヤ50は、水平方向に対して傾斜して延びている。上部コンベヤ50は、水平方向に対して、例えば4°の角度で傾斜している。
【0032】
図5に示すように、上部コンベヤ50は、例えば、ローラを有する複数のローラコンベヤ51によって構成されている。上部コンベヤ50は、例えば、直交方向に互いに間隔をおいて並列する4つのローラコンベヤ51を有している。直交方向の一方側において並列する2つのローラコンベヤ51は、トレイ10における1つの支持部材20の直交方向における両端部を支持する。直交方向の他方側において並列する2つのローラコンベヤ51は、トレイ10におけるもう1つの支持部材20の直交方向における両端部を支持する。
【0033】
上部コンベヤ50は、下部コンベヤ60の受取側Rの端部に対向して開口する落下口52と、落下口52の直交方向における両側に設けられた一対の受け部53とを有している。
【0034】
落下口52は、上部コンベヤ50の受取側Rの端部に開口している。落下口52は、平面視において長方形状をなしている。落下口52の搬送方向における長さは、1つのトレイ10の搬送方向における長さよりも大きく、2つのトレイ10の搬送方向における長さの和よりも小さい。落下口52の直交方向における長さは、連結部材30の直交方向における長さよりも大きく、トレイ10の直交方向における長さよりも小さい。
【0035】
4つのローラコンベヤ51のうち直交方向の両端に位置する2つのローラコンベヤ51は、その他のローラコンベヤ51よりも受取側Rに突出している。一対の受け部53は、上記2つのローラコンベヤ51の突出部分によって構成されている。一対の受け部53は、一対の支持部材20を下方から支持する。各受け部53は、例えば、支持部材20の直交方向における中央部よりも直交方向の外側の部分を支持する。各受け部53は、例えば、支持部材20のうち、支持部材20の重心の位置よりも直交方向の外側の部分を支持する。
【0036】
以上のことから、落下口52の上方に位置するトレイ10における一対の支持部材20は、一対の受け部53のみによって下方から支持されている。このため、一対の支持部材20は、自重によって落下口52から落下しようとする。しかしながら、トレイ10に部品Pが支持されている状態においては、各支持部材20の側壁23が直交方向において部品Pに対向している(図2参照)。各側壁23が直交方向において部品Pに接触することにより、各支持部材20の落下口52に向かう移動が規制されている。すなわち、落下口52を通じたトレイ10の落下が規制されている。
【0037】
落下口52の受取側Rの端部には、上部コンベヤ50によって搬送されるトレイ10の対向壁22に接触することでトレイ10の移動を規制するストッパ54が設けられている。ストッパ54は、直交方向に延びている。
【0038】
図11に示すように、トレイ10がストッパ54に接触することにより、トレイ10の位置が、作業者によって部品Pが取り出される取出位置に位置決めされる。落下口52は、トレイ10の位置が取出位置であるときのトレイ10の下方に開口している。
【0039】
(下部コンベヤ60)
図1に示すように、下部コンベヤ60は、上部コンベヤ50の下方において供給側Sの端部ほど下方に位置するようにフレーム100に取り付けられている。すなわち、下部コンベヤ60は、水平方向に対して上部コンベヤ50とは逆向きに傾斜して延びている。下部コンベヤ60は、水平方向に対して、例えば7°の角度で傾斜している。
【0040】
下部コンベヤ60は、例えば、ローラを有する複数のローラコンベヤ61によって構成されている。下部コンベヤ60は、例えば、直交方向に互いに間隔をおいて並列する4つのローラコンベヤ61を有している。下部コンベヤ60の4つのローラコンベヤ61と、上部コンベヤ50の4つのローラコンベヤ51とは、上下方向においてそれぞれ並ぶ位置に設けられている。
【0041】
(載置台70)
図6及び図8に示すように、載置台70は、部品搬送装置の供給側Sの端部において上下方向に昇降可能に設けられている。
【0042】
載置台70は、略四角枠状をなすベース部71と、ベース部71に対して回転可能に構成されるとともに空トレイ10Aが載置される載置部80とを有している。
図7に示すように、ベース部71は、直交方向に互いに間隔をおいて設けられるとともに上下方向に延びる一対の側部72を有している。
【0043】
図7及び図8に示すように、一対の側部72の上端部同士は、直交方向に延びる第1連結部73によって連結されている。一対の側部72の下端部同士は、直交方向に延びる第2連結部74によって連結されている。
【0044】
ベース部71は、フレーム100に設けられた一対のガイドレール110に対して摺動する一対の摺動部75を有している。一対のガイドレール110は、フレーム100の直交方向に互いに間隔をおいて設けられるとともに上下方向に延びている。摺動部75は、上下方向に延びるとともにガイドレール110が挿入される筒状をなしている。摺動部75は、側部72の下端部を構成している。摺動部75の下端部同士は、第2連結部74によって連結されている。
【0045】
ベース部71は、摺動部75を介してガイドレール110に対して上下方向に摺動可能に構成されている。摺動部75は、各ガイドレール110の下部に取り付けられたストッパ120に上方から接触することによって、ストッパ120を超えた下方への移動が規制されている(図8参照)。
【0046】
ベース部71は、後述する回転軸82を回転可能に支持する一対の軸受76を有している。各軸受76は、各摺動部75の上部から供給側Sに突出している。各軸受76の軸線方向は、直交方向と一致している。
【0047】
載置部80は、平面視において直交方向に長い略長方形状をなしている。載置部80の供給側Sの端部には、上方に突出するとともに空トレイ10Aの落下を防止するストッパ81が設けられている。
【0048】
載置部80の下方には、直交方向に延びる回転軸82が載置部80と一体に設けられている。回転軸82は、ベース部71に設けられた一対の軸受76に回転可能に支持されている。
【0049】
図8に示すように、回転軸82は、載置部80の搬送方向における中央部よりも受取側Rに偏倚した位置に設けられている。載置部80の重心は、回転軸82よりも供給側Sに位置している。これにより、載置部80には、供給側Sの端部が下方に位置するように回転軸82を中心として回転しようとする回転力が常時作用している。
【0050】
回転軸82には、載置部80の回転方向における一方側への回転を規制する規制部83が設けられている。規制部83は、回転軸82の直交方向における中央部から下方に延びている。規制部83は、例えば、柱状をなしている。規制部83は、載置部80の回転に連動して回転軸82を中心に回転する。
【0051】
規制部83は、供給側Sの端部が下方に位置するように載置部80が回転した際に、第2連結部74に供給側Sから接触することで載置部80の回転を規制する。これにより、載置部80は、供給側Sの端部が下方に位置するように水平方向に対して傾斜した第1姿勢となる。なお、第1姿勢における載置部80の水平方向に対する傾斜角度は、下部コンベヤ60における水平方向に対する傾斜角度よりも大きい。
【0052】
図8及び図9に示すように、載置台70は、載置台70が上昇した際に、載置部80の姿勢を第1姿勢から第2姿勢に案内する案内部84を有している。第2姿勢は、載置部80における受取側Rの端部が下方に位置するように水平方向に対して傾斜した姿勢である。なお、第2姿勢における載置部80の水平方向に対する傾斜角度は、上部コンベヤ50における水平方向に対する傾斜角度よりも大きい。
【0053】
図7に示すように、案内部84は、回転軸82の直交方向における一端部から受取側Rに向かって延びている。案内部84は、例えば、柱状をなしている。案内部84は、載置部80の回転に連動して回転軸82を中心に回転する。
【0054】
図9に示すように、第1姿勢の載置部80が上昇することにより、フレーム100のうち上部コンベヤ50よりも上方の部分に設けられたプーリ130に対して、案内部84が下方から接触する。案内部84がプーリ130に接触した状態で載置部80が上昇するにつれて、載置部80は、受取側Rの端部が供給側Sの端部よりも下方に位置するように回転する。これにより、載置部80の姿勢が第1姿勢から第2姿勢に切り替えられる。
【0055】
上述したように、載置部80には、供給側Sの端部が下方に位置するように回転しようとする回転力が常時作用している。このため、載置台70が降下するにつれて案内部84がプーリ130から離れることにより、載置部80の姿勢が第2姿勢から第1姿勢に切り替えられる。
【0056】
以上のことから、載置部80の姿勢は、載置台70の昇降に伴って、第1姿勢と第2姿勢との間で切り替えられるように構成されている。
(昇降機構90)
図8及び図9に示すように、昇降機構90は、下部コンベヤ60により搬送された空トレイ10Aを回収する回収位置と、空トレイ10Aを上部コンベヤ50に供給する供給位置との間で載置台70を昇降させるように構成されている。回収位置における載置部80の姿勢は、第1姿勢であり、供給位置における載置部80の姿勢は、第2姿勢である。したがって、昇降機構90によって載置台70が回収位置と供給位置との間で昇降することにより、載置部80の姿勢が第1姿勢と第2姿勢との間で切り替わる。
【0057】
図1に示すように、昇降機構90は、操作レバー91と、スライド部材94と、紐部材96とを備えている。
操作レバー91は、直交方向に延びる回転軸92を中心に回転可能に設けられている。回転軸92は、フレーム100の下部において供給側Sと受取側Rとの間で直線状に延びる第1部分101に設けられている。回転軸92は、第1部分101における受取側Rの部分に設けられている。操作レバー91は、回転軸92から下部コンベヤ60の供給側Sの端部付近まで片持ち状に延びている。
【0058】
操作レバー91の先端部には、作業者によって踏み込まれるフットペダル93が設けられている。操作レバー91は、フットペダル93が踏み込まれていない状態においては、供給側Sの部分ほど上方に位置するように水平方向に対して傾斜している。以降において、このときの操作レバー91の位置を初期位置と称する。
【0059】
スライド部材94は、フレーム100の第2部分102及び第3部分103に対して、供給側Sと受取側Rとの間でスライド可能に設けられている。第2部分102及び第3部分103は、フレーム100のうち第1部分101よりも上方において供給側Sと受取側Rとの間で平行に延びる部分である。第3部分103は、第2部分102よりも上方に位置している。
【0060】
図6に示すように、スライド部材94は、例えば、上下方向に互いに間隔をおいて固定された3つの動滑車95A,95B,95Cを有している。動滑車95A,95B,95Cは、下方から上方に向かってこの順で並んでいる。
【0061】
スライド部材94には、一端部が第2部分102に固定されたコイルばね140と、一端部が第3部分103に固定されたコイルばね141とが接続されている。コイルばね140,141は、例えば、引張コイルばねである。スライド部材94は、2つのコイルばね140,141によって受取側Rに向けて付勢されている。
【0062】
紐部材96は、第1紐部材97と第2紐部材98とを含んでいる。
第1紐部材97の一端部は、操作レバー91のうちフットペダル93よりも受取側Rの部分に連結されている。
【0063】
第1紐部材97の一端部とは反対側の他端部は、スライド部材94のうち動滑車95Bと動滑車95Cとの間の部分に連結されている。
第1紐部材97は、第2部分102に固定された定滑車150に掛け回されている。
【0064】
第2紐部材98の一端部は、フレーム100の第4部分104のうち第1部分101と第2部分102との間の部分に連結されている。第4部分104は、フレーム100の供給側Sの端部において上下方向に延びるとともに、第1部分101~第3部分103のそれぞれの供給側Sの端部が連結された部分である。
【0065】
第2紐部材98の一端部とは反対側の他端部は、載置台70の第1連結部73の直交方向における中央部に連結されている。
第2紐部材98は、スライド部材94に設けられた動滑車95A,95B,95C、及び第4部分104に設けられた複数の定滑車151に掛け回されている。複数の定滑車151は、上下方向に互いに間隔をおいて第4部分104に固定された3つの定滑車151A,151B,151Cを含む。3つの定滑車151A,151B,151Cは、3つの動滑車95A,95B,95Cよりも供給側Sに位置している。定滑車151A,151B,151Cは、下方から上方に向かってこの順で並んでいる。
【0066】
定滑車151Aは、上下方向における動滑車95Aと動滑車95Bとの間に位置している。定滑車151Bは、上下方向における動滑車95Bと動滑車95Cとの間に位置している。定滑車151Cは、動滑車95Cよりも上方に位置している。
【0067】
第2紐部材98は、動滑車95A,95B,95C及び定滑車151A,151B,151Cに交互に掛け回されている。第2紐部材98は、載置台70を引き上げ可能となるように、第4部分104の上端部に固定された複数の定滑車151に掛け回されている。
【0068】
以上のことから、操作レバー91と載置台70とは、紐部材96を介して連結されている。より詳しくは、操作レバー91と載置台70とは、第1紐部材97、スライド部材94、及び第2紐部材98を介して連結されている。このため、操作レバー91の操作に連動して紐部材96を介して載置台70が引き上げられる。これにより、載置台70が回収位置から供給位置に上昇する。
【0069】
スライド部材94には、2つのコイルばね140,141による受取側Rへの付勢力が作用している。スライド部材94に作用する付勢力は、載置台70の自重によって第2紐部材98を介してスライド部材94に作用する供給側Sへの力よりも小さい。したがって、スライド部材94は、操作レバー91が操作されていない自然状態においては、受取側Rにスライドしない。
【0070】
図6図8及び図9に示すように、作業者によってフットペダル93が踏み込まれると、操作レバー91が回転軸92を中心に回転する。これにより、定滑車150に掛け回された第1紐部材97を介して、スライド部材94に受取側Rへの力が作用する。これにより、スライド部材94が受取側Rにスライドする。このとき、スライド部材94には、2つのコイルばね140,141による受取側Rへの付勢力が作用しているため、当該付勢力によって、作業者がフットペダル93を踏み込むために必要な力が低減される。なお、操作レバー91の踏み込み量と、スライド部材94の踏み込み量とは略同一である。
【0071】
スライド部材94が受取側Rにスライドすることにより、動滑車95A,95B,95C、及び複数の定滑車151に掛け回された第2紐部材98を介して、載置台70に上方への力が作用する。これにより、載置台70が上昇する。スライド部材94のスライドに伴って、第2紐部材98は、3つの動滑車95A,95B,95Cによって受取側Rに向けて引っ張られる。第2紐部材98は、3つの動滑車95A,95B,95C及び3つの定滑車151A,151B,151Cに交互に掛け回されているため、載置台70の上昇量は、スライド部材94のスライド量よりも大きくなる。本実施形態における載置台70の上昇量は、スライド部材94のスライド量の略3倍となる。
【0072】
供給位置まで上昇した載置台70は、作業者によるフットペダル93の踏み込みが解除されることで、自重によって降下する。より詳しくは、載置台70は、ストッパ120に接触するまで、すなわち、回収位置に位置するまで降下する。このとき、載置台70の降下に伴って第2紐部材98が引っ張られるため、スライド部材94には、3つの動滑車95A,95B,95Cを介して供給側Sへの力が作用する。これにより、スライド部材94が2つのコイルばね140,141の付勢力に抗して供給側Sにスライドする。スライド部材94の供給側Sへのスライドによって、第1紐部材97が引っ張られるため、操作レバー91は、初期位置に復帰する。
【0073】
本実施形態の作用について説明する。
図10に示すように、部品搬送装置の供給側Sに位置する図示しない作業者(以下、供給者という)が、部品Pを支持した状態のトレイ10を上部コンベヤ50に供給する。トレイ10は、自重によって上部コンベヤ50上を供給側Sから受取側Rに向かって搬送される。
【0074】
図11に示すように、トレイ10は、上部コンベヤ50の受取側Rの端部においてストッパ54に接触することによって、取出位置にて停止する。
その後、部品搬送装置の受取側Rに位置する図示しない作業者(以下、受取者という)によって、取出位置に位置するトレイ10から2つの部品Pが順次取り出される。
【0075】
図12に示すように、トレイ10から全ての部品Pが取り出されることにより、空トレイ10Aが、落下口52を通じて下部コンベヤ60上に落下する。
ここで、空トレイ10Aの連結部材30は、一対の支持部材20が互いに近接するように折り畳み可能に構成されている。また、取出位置において部品Pを支持している状態の一対の支持部材20は、一対の受け部53によって下方から支持されている。このため、部品Pが一対の支持部材20によって支持されている間は、落下口52を通じたトレイ10の落下が規制されている。一方、トレイ10から部品Pが取り出されることによって、空トレイ10Aは、連結部材30が折り畳まれるように変形した状態で落下口52を通じて落下する。落下後の空トレイ10Aでは、変形した連結部材30が落下前の形状に戻ろうとするため、空トレイ10A全体が落下前の形状に戻りやすくなる。これにより、空トレイ10Aが自重によって下部コンベヤ60上を円滑に移動しやすくなる。
【0076】
図10に示すように、下部コンベヤ60上に落下した空トレイ10Aは、自重によって下部コンベヤ60上を受取側Rから供給側Sに向かって搬送される。空トレイ10Aは、下部コンベヤ60の供給側Sの端部を通過して、回収位置に位置する載置台70の載置部80に載置される。
【0077】
図9に示すように、供給者は、載置部80に空トレイ10Aが載置されたことを確認すると、操作レバー91のフットペダル93を踏み込む。これにより、載置台70が回収位置から供給位置まで上昇する。このとき、案内部84がプーリ130に接触しつつ載置台70が上昇することにより、載置部80の姿勢が第1姿勢から第2姿勢に切り替わる。
【0078】
供給位置において載置台70の姿勢が第2姿勢となることにより、空トレイ10Aが自重によって載置部80から上部コンベヤ50上に移動する。供給者は、上部コンベヤ50に移動した空トレイ10Aに対して新たな部品Pを支持させる。その後、供給者は、部品Pを支持した状態のトレイ10を上部コンベヤ50に供給する。
【0079】
以上説明した一連の動作が繰り返されることによって、供給者及び受取者は、それぞれの定位置から移動することなく、各自の作業を行うことができる。
本実施形態の効果について説明する。
【0080】
(1)部品搬送装置は、部品Pを支持するトレイ10と、トレイ10を自重によって搬送する上部コンベヤ50と、空トレイ10Aを自重によって搬送する下部コンベヤ60とを備える。トレイ10は、一対の支持部材20と、一対の支持部材20を連結するとともに、一対の支持部材20が互いに近接するように折り畳み可能に構成された連結部材30とを備えている。上部コンベヤ50は、空トレイ10Aを下部コンベヤ60上に落下させる落下口52と、落下口52の直交方向における両側において一対の支持部材20を下方から支持する一対の受け部53とを有している。
【0081】
こうした構成によれば、部品Pを支持した状態のトレイ10が供給者によって上部コンベヤ50に供給されることによって、トレイ10が自重によって受取側Rに向けて搬送される。その後、取出位置に位置するトレイ10から受取者によって部品Pが取り出されることによって、空トレイ10Aが落下口52を通じて下部コンベヤ60上に落下する。
【0082】
このため、受取者が取出位置に位置するトレイ10から部品Pを取り出す作業を行うことにより、空トレイ10Aが自動的に下部コンベヤ60によって供給側Sに向けて搬送される。このため、受取者は、空トレイ10Aを搬送させる作業を別途行わなくて済む。したがって、作業効率の低下を抑制できる。
【0083】
(2)連結部材30は、ゴム製である。
こうした構成によれば、連結部材30が折り畳まれるように変形した状態で落下した空トレイ10Aにおいて、連結部材30がゴム弾性による復元力によって元の形状に戻りやすくなる。したがって、空トレイ10Aが自重によって下部コンベヤ60上を円滑に移動しやすくなる。
【0084】
(3)一対の支持部材20の各々は、直交方向において部品Pに対向する側壁23を有している。
取出位置に位置するトレイ10では、連結部材30が折り畳まれようとすることで、一対の支持部材20が直交方向において互いに近接しようとする。上記構成によれば、連結部材30が折り畳まれようとする際に、直交方向において部品Pに対向する側壁23が部品Pに接触することで、支持部材20同士の近接が規制される。これにより、部品Pがトレイ10に支持されている間は、連結部材30の折り畳みが規制される。したがって、部品Pがトレイ10から取り出される前に、トレイ10が落下口52から落下することを抑制できる。
【0085】
(4)一対の支持部材20の各々は、搬送方向に並ぶとともに複数の部品Pを個別に保持する複数の保持部24を有している。
こうした構成によれば、部品Pが単にトレイ10に載置される場合と比較して、保持部24によって部品Pがトレイ10に対して位置決めされる。これにより、受取者は、トレイ10毎に異なる位置から部品Pを取り出さなくて済む。したがって、トレイ10から部品Pを取り出す際の作業効率の低下を抑制できる。
【0086】
また、各支持部材20が複数の保持部24を有しているため、トレイ10によって複数の部品Pを一度に搬送することができる。このため、部品Pの搬送効率を高めることができる。
【0087】
ところで、例えば、各支持部材20が1つの保持部24を有する場合には、部品Pの搬送効率が低下するおそれがある。一方、各支持部材20が3つ以上の保持部24を有する場合には、部品Pの搬送効率が高まるものの、受取者が自身から遠い位置の部品Pを取り出す際に、手を伸ばしたり移動したりする必要が生じるといった背反がある。こうした作業は、受取者の負担になるばかりか、作業効率を低下させるおそれがある。上記構成によれば、各支持部材20が2つの保持部24を有しているため、搬送効率の低下の抑制と作業効率の低下の抑制との両立を図ることができる。
【0088】
(5)部品搬送装置は、空トレイ10Aが載置される載置台70と、回収位置及び供給位置の間で載置台70を昇降させる昇降機構90とを備えている。昇降機構90は、操作レバー91と、操作レバー91及び載置台70を連結するとともに定滑車150,151及び動滑車95A,95B,95Cに掛け回された紐部材96とを備えている。操作レバー91の操作に連動して紐部材96が載置台70を引き上げることによって、載置台70が回収位置から供給位置に上昇するように構成されている、
こうした構成によれば、供給者が操作レバー91を操作することによって、載置台70が回収位置から供給位置に上昇する。これにより、供給者は、下部コンベヤ60により搬送された空トレイ10Aを上部コンベヤ50に再度供給する上で、当該空トレイ10Aを回収するために屈む必要がなくなる。したがって、供給者の負担を低減しつつも、作業効率の低下を抑制できる。
【0089】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0090】
・載置部80には、搬送方向に延びる複数のローラコンベヤが設けられていてもよい。この場合、空トレイ10Aが、供給位置における載置部80から上部コンベヤ50に向かって自重によって移動しやすくなる。
【0091】
・フレーム100には、操作レバー91の回転範囲を所定の範囲内に規制する一対の回転規制部が設けられていてもよい。一対の回転規制部は、操作レバー91のうちフットペダル93よりも受取側Rに位置する部分の回転軌跡上における上方及び下方にそれぞれ設けられていることが好ましい。この構成では、操作レバー91が回転した際に回転規制部に接触することにより、当該回転規制部を超えた操作レバー91の移動が規制される。
【0092】
・複数のトレイ10が上部コンベヤ50に一度に供給されてもよい。この場合、上部コンベヤ50の受取側Rの端部において、複数のトレイ10が互いに隣接した状態で滞留することとなるが、取出位置における空トレイ10Aが下部コンベヤ60に落下することにより、次のトレイ10が取出位置に順次移動する。また、この場合、操作レバー91の操作に連動して下部コンベヤ60の供給側Sの端部から出没するとともに空トレイ10Aの載置部80への移動を規制するストッパが設けられていてもよい。このストッパは、操作レバー91が操作されることにより、下部コンベヤ60の空トレイ10Aの搬送経路上において出没可能に構成されていることが好ましい。これにより、空トレイ10Aが載置された載置台70が回収位置から供給位置に上昇して、再び回収位置に降下するまでの間に、次の空トレイ10Aが下部コンベヤ60から落下することを抑制できる。
【0093】
・昇降機構90からスライド部材94が省略されてもよい。この場合、単一の紐部材96によって、操作レバー91と載置台70とが、定滑車150及び複数の定滑車151を介して直接連結されていてもよい。
【0094】
・操作レバー91は、供給者の手によって操作されるものであってもよい。この場合、操作レバー91は、供給者の手の高さ付近に配置されることが好ましい。
・部品搬送装置から、載置台70と昇降機構90とが省略されてもよい。この場合、供給者は、下部コンベヤ60から直接回収した空トレイ10Aに部品Pを支持させた後、部品Pを支持した状態のトレイ10を上部コンベヤ50に供給すればよい。
【0095】
・各支持部材20は、1つの保持部24を有するものであってもよいし、3つ以上の保持部24を有するものであってもよい。すなわち、トレイ10は、1つの部品Pのみを保持するものであってもよいし、3つ以上の部品Pを保持するものであってもよい。
【0096】
・各支持部材20から保持部24が省略されてもよい。この場合、部品Pは、各支持部材20に載置されることにより支持される。
・各支持部材20から側壁23が省略されてもよい。
【0097】
・連結部材30は、ゴム製であるものに限定されず、可撓性を有する樹脂材料などであってもよい。
・連結部材30は、一対の支持部材20の各々に連結される一対の板材と、一対の板材を連結するとともに搬送方向に延びる軸線を中心に回転するヒンジとを有するものであってもよい。この場合、板材は、金属製であってもよいし、樹脂製であってもよい。こうした構成であっても、連結部材30は、一対の支持部材20が互いに近接するように折り畳まれるため、上述した効果(1)を奏することができる。
【0098】
上記実施形態は、以下の付記に記載する構成を含む。
[付記1]部品を支持するトレイと、水平方向に対して傾斜するとともに、前記トレイを自重によって搬送する上部コンベヤと、前記上部コンベヤの下方において前記水平方向に対して前記上部コンベヤと逆向きに傾斜するとともに、作業者によって前記部品が取り出された前記トレイを自重によって搬送する下部コンベヤと、を備える部品搬送装置であって、前記トレイの搬送方向と上下方向との双方に直交する方向を直交方向とするとき、前記トレイは、前記直交方向における前記部品の両端部を支持する一対の支持部材と、前記一対の支持部材を連結するとともに、前記一対の支持部材が互いに近接するように折り畳み可能に構成された連結部材と、を備えており、前記上部コンベヤは、前記トレイの位置が前記作業者によって前記部品が取り出される取出位置であるときの当該トレイの下方に開口するとともに、前記部品が取り出された状態の前記トレイを前記下部コンベヤ上に落下させる落下口と、前記落下口の前記直交方向における両側において前記一対の支持部材を下方から支持する一対の受け部と、を有している、部品搬送装置。
【0099】
[付記2]前記連結部材は、ゴム製である、[付記1]に記載の部品搬送装置。
[付記3]前記一対の支持部材の各々は、前記直交方向において前記部品に対向する側壁を有している、[付記1]または[付記2]に記載の部品搬送装置。
【0100】
[付記4]前記一対の支持部材の各々は、前記搬送方向に並ぶとともに複数の前記部品を個別に保持する複数の保持部を有している、[付記1]~[付記3]のいずれか一つに記載の部品搬送装置。
【0101】
[付記5]前記部品が取り出された状態の前記トレイが載置される載置台と、前記下部コンベヤにより搬送された前記トレイを回収する回収位置、及び前記トレイを前記上部コンベヤに供給する供給位置の間で前記載置台を昇降させる昇降機構と、を備え、前記昇降機構は、操作レバーと、前記載置台に連結されるとともに滑車に掛け回された紐部材と、を備え、前記操作レバーの操作に連動して前記紐部材が前記載置台を引き上げることによって、前記載置台が前記回収位置から前記供給位置に上昇するように構成されている、[付記1]~[付記4]のいずれか一つに記載の部品搬送装置。
【符号の説明】
【0102】
P…部品
R…受取側
S…供給側
10…トレイ
10A…空トレイ
20…支持部材
23…側壁
24…保持部
30…連結部材
50…上部コンベヤ
52…落下口
53…受け部
60…下部コンベヤ
70…載置台
90…昇降機構
91…操作レバー
95A,95B,95C…動滑車(滑車)
96…紐部材
97…第1紐部材
98…第2紐部材
150…定滑車(滑車)
151,151A,151B,151C…定滑車(滑車)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12