特開 2024-82466 空気入りタイヤ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024082466

(43)【公開日】2024-06-20

(54)【発明の名称】空気入りタイヤ

(51)【国際特許分類】

   B60C 13/00 20060101AFI20240613BHJP

【ＦＩ】

B60C13/00 C

【審査請求】未請求

【請求項の数】5

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022196327

(22)【出願日】2022-12-08

(71)【出願人】

【識別番号】000003148

【氏名又は名称】ＴＯＹＯ ＴＩＲＥ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110001210

【氏名又は名称】弁理士法人ＹＫＩ国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】佐藤 芳樹

【テーマコード（参考）】

3D131

【Ｆターム（参考）】

3D131BC17

3D131BC22

3D131BC35

3D131BC47

3D131BC51

3D131GA01

(57)【要約】

【課題】標章に泥詰まりが生じ難く、しかも標章を際立たせることができる空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】タイヤ１が、サイドウォールに設けられた１以上の標章４を有する。標章４の外面が、直線形状を有するか又は略周方向に延びる溝８、片側端が溝８の一方側の縁に繋がると共に一方側の縁から離れるにしたがって軸方向の内側に変位する第１傾斜面１１、及び片側端が溝８の他方側の縁に繋がると共に他方側の縁から離れるにしたがって軸方向の内側に変位する第２傾斜面１２で構成される突構造７を、１以上４以下備える。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

１以上の標章をサイドウォールに設けた空気入りタイヤにおいて、
前記標章の外面が、直線形状の溝を有するか又は周方向に略平行に延びる溝、片側端が前記溝の一方側の縁に繋がると共に前記一方側の縁から離れるにしたがって軸方向の内側に変位する第１傾斜面、及び片側端が前記溝の他方側の縁に繋がると共に前記他方側の縁から離れるにしたがって前記軸方向の内側に変位する第２傾斜面で構成される突構造を、１以上４以下備える、空気入りタイヤ。

【請求項2】

前記標章の全縁に前記軸方向の外方に突出する環状の突起が設けられて、前記標章が前記環状の突起で縁取りされている、請求項１に記載の空気入りタイヤ。

【請求項3】

前記サイドウォールが、基準面と、前記基準面に設けられた窪みと、を有し、
前記標章が、前記窪みの底面に設けられている、請求項１に記載の空気入りタイヤ。

【請求項4】

少なくとも１つの前記標章の外面が、１つの前記突構造のみを有し、
前記第１傾斜面と前記第２傾斜面が、前記溝を介して径方向３０°以下の角度傾斜する方向に対向する、請求項１から３のいずれか１つに記載の空気入りタイヤ。

【請求項5】

前記溝の底側の角が湾曲面で構成されている、請求項１から３のいずれか１つに記載の空気入りタイヤ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、空気入りタイヤに関する。

【背景技術】

【0002】

従来、空気入りタイヤとしては、特許文献１に記載されているものがある。この空気入りタイヤは、タイヤのサイドウォールの表面に設けた標章の少なくとも一部に複数のリッジを並列に配置した鋸の歯形状のセレーションが設けられている。この空気入りタイヤは、ピッチが短くて角度が異なるセレーションを標章に設けることで、光が照射された際、光の反射方向を変更させる事で標章に明暗をつけ、標章を際立たせるようにしている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１９－１４７４９５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

上記空気入りタイヤでは、標章にピッチが短いセレーションが設けられているので、泥濘路を走行した際に、標章に泥詰まりが起き易く、文字視認性が悪化し、更には、汚れが落ちにくいという課題がある。そこで、本開示の目的は、標章に泥詰まりが生じ難く、しかも標章を際立たせることができる空気入りタイヤを提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0005】

上記課題を解決するため、本開示に係る空気入りタイヤは、１以上の標章をサイドウォールに設けた空気入りタイヤにおいて、前記標章の外面が、直線形状の溝を有するか又は周方向に略平行に延びる溝、片側端が前記溝の一方側の縁に繋がると共に前記一方側の縁から離れるにしたがって軸方向の内側に変位する第１傾斜面、及び片側端が前記溝の他方側の縁に繋がると共に前記他方側の縁から離れるにしたがって前記軸方向の内側に変位する第２傾斜面で構成される突構造を、１以上４以下備える。

【発明の効果】

【0006】

本開示に係る空気入りタイヤによれば、標章の表面に、１以上４以下の山折り傾斜面を設け、山の頂点に溝を設けている。したがって、面の数が各段に少ないので、泥詰まりを抑制することができ、しかも、山の頂に影を形成することができるので、標章を際立たせることができる。

【図面の簡単な説明】

【0007】

【図1】本開示の一実施形態に係る空気入りタイヤの片側側方を斜め上側から見たときの斜視図である。

【図2】標章表示領域を軸方向外側の斜め下側から見たときの斜視図である。

【図3】図２のＡ－Ａ線斜視断面図であり、標章表示領域に設けられたＲを示す標章の左側を通過すると共に当該標章において最も径方向外方に位置する直線延在箇所に直交する平面で標章表示領域を切断したときに生成される構造を、軸方向に僅かに傾斜する方向から見たときの斜視断面図である。

【図4】第１変形例の空気入りタイヤにおける図２に対応する斜視図である。

【図5】第１変形例の空気入りタイヤにおけるＢ－Ｂ線断面図であり、標章表示領域に設けられたＲを示す標章の左側を通過すると共に当該標章において最も径方向外方に位置する直線延在箇所に直交する平面で標章表示領域を切断したときの断面図である。

【図6】第２の変形例のタイヤにおける図３に対応する斜視断面図である。

【図7】第３の変形例のタイヤにおける図３に対応する斜視断面図である。

【図8】第４の変形例のタイヤにおける図２に対応する斜視図である。

【発明を実施するための形態】

【0008】

以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施例では、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、複数の図面には、模式図が含まれ、異なる図間において、標章における、縦、横、高さ等の寸法比は、必ずしも一致しない。また、以下で説明される構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素であり、必須の構成要素ではない。また、以下では、空気入りタイヤを単にタイヤと言及する。

【0009】

図１は、本開示の一実施形態に係るタイヤ１の片側側方を斜め上側から見たときの斜視図である。図１に示すように、タイヤ１のなくとも一方のサイドウォール２には、１以上の標章表示領域３が設けられている。サイドウォール２は、タイヤ側面に存在し、タイヤ１が最も撓む箇所を有する。サイドウォール２は、スムーズに屈曲することで、衝撃や遠心力に耐える役割を担う。

【0010】

標章表示領域３は、サイドウォール２の表面２ａに設けられる基準面Ｘと、この基準面Ｘに設けられる１以上の標章４とを具える。標章表示領域３は、サイドウォール２の表面２ａから一定の高さで突出する台座６を有し、台座６の表面が基準面Ｘとなっている。

【0011】

台座６は存在しなくても良く、この場合、サイドウォール２の表面２ａが基準面Ｘとなる。標章４は、タイヤのメーカ名、ブランド名、サイズ、偏平率、製造年週等を表すための文字、速度記号等の記号、図形等であり、本実施形態では、基準面Ｘに、複数の標章４からなるブランド名が形成されている。

【0012】

図２は、標章表示領域３を軸方向外側の斜め下側から見たときの斜視図である。また、図３は、図２のＡ－Ａ線斜視断面図であり、標章表示領域３に設けられたＲを示す標章４ａの左側を通過すると共に標章４ａにおいて最も径方向外方に位置する直線延在箇所５ａに直交する平面で標章表示領域３を切断したときに生成される構造を、軸方向に僅かに傾斜する方向から見たときの斜視断面図である。

【0013】

図２及び図３に示すように、各標章４の外面は、直線形状を有する溝８、第１傾斜面１１、及び第２傾斜面１２で構成される突構造７を一つのみ備える。突構造７は、二つの傾斜面を交線で接続してなる山構造に当該交線に沿って延びる直線形状の溝を形成した構造を有する。より詳しくは、溝８は、標章４の周方向の一端と周方向の他端との周方向の中心位置Ｐ（図２参照）における周方向の接線９と、９０°以下の角度で傾斜する方向に延在する。

【0014】

また、図３に示すように、第１傾斜面１１は、平面であり、その片側縁１１ａが溝８の一方側の縁８ａに繋がり、一方側の縁８ａから離れるにしたがって、軸方向の内側に変位する。また、第２傾斜面１２は、平面であり、その片側縁１２ａが溝８の他方側の縁８ｂに繋がり、他方側の縁８ｂから離れるにしたがって、軸方向の内側に変位する。図２に示すように、第１傾斜面１１と第２傾斜面１２は、溝８を介して径方向に対して３０°以下の角度傾斜する方向に対向し、好ましくは、径方向に対して１５°以下の角度傾斜する方向に対向する。

【0015】

第１傾斜面１１と第２傾斜面１２との傾斜角θ（図３参照）は、０°よりも大きくて１８０°より小さい如何なる角度でもよい。しかし、傾斜角θが、８°以上であれば、溝８の形成によって山構造の頂に生じる影１９（図２参照）と、２つの傾斜面１１,１２で反射する光のコントラストを際立たせることができ、ひいては、標章４を際立たせることができる。また、傾斜角θが、１５°以下であれば、標章４に微小欠損が生じにくくでき、耐チッピング性能を向上できる。

【0016】

図２及び図３に示すように、標章４の全縁には、軸方向の外方に突出して標章４を縁取りする環状の突起１５,１６が設けられている。Ｒを示す標章４ａは、外側縁１５ａを全周に亘って縁取る外側環状突起１５と、内側縁１６ａを全周に亘って縁取る外側環状突起１６を有する。図３を参照して、標章４において最も軸方向外側に位置する溝８の縁８ａ,８ｂの軸方向位置と、環状の突起１５,１６において最も軸方向外側に位置する箇所の軸方向位置との差の絶対値は、如何なる値でもよい。しかし、当該絶対値が、５ｍｍ以下であれば、標章４の美観を優れたものにでき、特に、当該絶対値が、３ｍｍ以下であれば、標章４の美観を特に優れたものにでき、スタイリッシュな標章４を実現できる。また、突構造７の高さは、如何なる高さでもよいが、突構造７の高さが、０.４ｍｍ以上であれば、標章４の立体性を優れたものにできて、標章４を際立たせることができ、突構造７の高さが、３ｍｍ以下であれば、泥詰まりを効果的に抑制できる。

【0017】

図４は、第１変形例のタイヤ１０１における図２に対応する斜視図である。また、図５は、タイヤ１０１におけるＢ－Ｂ線断面図であり、標章表示領域１０３に設けられたＲを示す標章４ａの左側を通過すると共に標章４ａにおいて最も径方向外方に位置する直線延在箇所に直交する平面で標章表示領域を切断したときの断面図である。図４及び図５に示すように、サイドウォールに設けられた標章表示領域１０３は、サイドウォールの表面から一定の高さで突出する台座１０６を有し、台座１０６の表面が基準面Ｙとなっている。

【0018】

台座１０６には、深さが略一定の窪み１１７が設けられ、窪み１１７の底面に１以上の標章４が設けられている。なお、この場合、Ｒを表す標章４ａのように環状の内側縁が存在する場合、その内側縁で囲まれた領域１２８の外面の軸方向位置は、標章４において最も深さが深い箇所の軸方向位置よりも軸方向外方にあればよい。しかし、内側縁で囲まれた領域１２８の外面の軸方向位置は、基準面Ｙの軸方向位置と略同一にすると好ましい。また、台座１０６は存在しなくても良く、この場合、サイドウォールの表面が基準面となり、サイドウォールの表面に深さが略一定の窪みが設けられ、その窪みの底面に１以上の標章４が設けられる。

【0019】

図５を参照して、基準面Ｙの軸方向位置と、標章４において最も軸方向外側に位置する溝８の縁８ａ,８ｂの軸方向位置との差の絶対値が、５ｍｍ以下であれば、標章４の美観を優れたものにでき、特に、当該絶対値が、３ｍｍ以下であれば、標章４の美観を特に美観を優れたものにできスタイリッシュな標章４を実現できる。なお、本変形例においても、突構造７の高さは、如何なる高さでもよいが、突構造７の高さが、１ｍｍ以上であれば、標章４の立体性を優れたものにできて、標章４を際立たせることができ、突構造７の高さが、３ｍｍ以下であれば、泥詰まりを効果的に抑制できる。

【0020】

また、本変形例の場合でも、上記実施形態で図３を用いて説明したように、第１傾斜面１１と第２傾斜面１２との傾斜角θは、０°よりも大きくて１８０°より小さい如何なる角度でもよい。しかし、傾斜角θが８°以上であれば、溝８の形成によって山構造の頂に生じる影１９と、２つの傾斜面１１,１２で反射する光のコントラストを際立たせることができ、ひいては、標章４を際立たせることができる。また、傾斜角θが、１５°以下であれば、標章４に微小欠損が生じにくくでき、耐チッピング性能を向上できる。

【0021】

図６は、第２の変形例のタイヤ２０１における図３に対応する断面図であり、図７は、第３の変形例のタイヤ３０１における図３に対応する断面図である。図６に示すように、タイヤ２０１は、溝２０８の底側の角２３８が面取りされて溝２０８の底側の角２３８に外側に凸の湾曲面が設けられてもよい。また、図７に示すように、タイヤ３０１は、溝３０８の底側の角３３８が面取りされていることに加えて、溝３０８の開口側の角３４８も面取りされて溝３０８の開口側の角３４８に溝側に凸の湾曲面が設けられてもよい。

【0022】

また、図８、すなわち、第４の変形例のタイヤ４０１における図２に対応する斜視図に示すように、標章４０４の外面は、周方向に平行に延在する溝４０８、第１傾斜面４１１、及び第２傾斜面４１２で構成される突構造４０７を一つのみ備えてもよい。また、第１傾斜面４１１は、平面であり、その片側縁が溝４０８の一方側の縁に繋がり、一方側の縁から離れるにしたがって、軸方向の内側に変位してもよい。また、第２傾斜面４１２も、平面であり、その片側縁が溝４０８の他方側の縁に繋がり、他方側の縁から離れるにしたがって、軸方向の内側に変位してもよい。そして、標章４０４の径方向外方の縁４２１及び標章４０４の径方向内方の縁４２２が、周方向に平行に延在してもよい。より詳しくは、図８に示す標章４０４のように、図２に示すタイヤ１における標章４において周方向に沿うように延在する直線形状の縁をタイヤ４０１の周方向に平行に延びる円弧状の縁に取り換えてもよい。

【0023】

なお、標章４,４０４の外面が、直線形状を有するか、又は周方向に略延在する溝８,２０８,３０８,４０８の一方側の縁に繋がる第１傾斜面１１,４１１及び溝８の他方側の縁に繋がる第２傾斜面１２,４１２で構成される突構造７,４０７を一つのみ備える場合について説明した。しかし、標章の外面は、直線形状を有するか、又は周方向に略延在する溝、溝の一方側の縁に繋がると共に溝から離れるにしたがって軸方向の内側に変位する第１傾斜面、及び溝の他方側の縁に繋がると共に溝から離れるにしたがって軸方向の内側に変位する第２傾斜面で構成される突構造を２以上４以下有してもよい。

【0024】

この場合において、２以上４以下の溝は、例えば、径方向に対して３０°以下の角度で傾斜する方向に間隔をおいて配置されてもよく、より好ましくは、径方向に対して１５°以下の角度で傾斜する方向に間隔をおいて配置されてもよい。また、溝の幅と溝の深さは、全ての溝で同じであると好ましく、溝が３以上存在する場合、隣り合う溝間の距離も同じであると好ましい。しかし、溝の幅と溝の深さは、全ての溝で同じでなくてもよく、溝が３以上存在する場合、隣り合う溝間の距離は、全て同じでなくてもよい。

【0025】

また、溝の深さは、如何なる深さでもよいが、溝の深さが、０.５ｍｍよりも深いと、溝の生成によって生じる影の色が濃くできて、標章を顕著に際立たせ易く、溝の深さが、２ｍｍよりも浅いと、溝からの泥の排出性を良好なものにできる。

【0026】

＜本開示の必須の構成と、その作用効果＞
以上説明したように、タイヤ１は、サイドウォール２に設けられた１以上の標章４,４０４を有する。また、標章４,４０４の外面が、直線形状を有するか又は略周方向に延びる溝８,２０８,３０８,４０８、片側端が溝８,２０８,３０８,４０８の一方側の縁８ａに繋がると共に一方側の縁８ａから離れるにしたがって軸方向の内側に変位する第１傾斜面１１,４１１、及び片側端が溝８,２０８,３０８,４０８の他方側の縁８ｂに繋がると共に他方側の縁８ｂから離れるにしたがって軸方向の内側に変位する第２傾斜面１２,４１２で構成される突構造７,４０７を、１以上４以下備える。

【0027】

本開示によれば、標章４,４０４に突構造７,４０７が、最大４つしか存在せず、従来の標章、すなわち、ピッチが細かくて角度が異なるセレーションを有する標章と比較して、面の数が各段に少ない。したがって、泥詰まりを抑制できる。

【0028】

更には、突構造７,４０７の頂に、直線形状を有するか、又は周方向に略平行に延在する１つの溝８,２０８,３０８,４０８が存在する。したがって、標章４,４０４における突構造７,４０７の山の頂に溝８,２０８,３０８,４０８に起因する細長い筋形状の影１９を生成することができる。よって、溝８,２０８,３０８,４０８の形成によって突構造７,４０７の頂に生じる影１９と、２つの傾斜面１１,１２,４１１,４１２で反射する光の明暗のコントラストが際立ち、標章４,４０４において変わった珍しい視認性を実現でき、その結果、標章４,４０４を際立たせることができる。

【0029】

したがって、本開示のタイヤによれば、標章４,４０４に泥詰まりが生じ難く、しかも標章４,４０４も際立たせることができる。

【0030】

＜本開示において採用してもよい構成と、その作用効果＞
図１乃至３に示すように、標章４,４０４の全縁に軸方向の外方に突出する環状の突起１５,１６が設けられて、標章４,４０４が環状の突起１５,１６で縁取りされてもよい。

【0031】

本構成によれば、標章４,４０４の全縁が環状の突起１５,１６で縁取りされているため、環状の突起１５,１６の標章側の内面で段差を形成することができ、その段差で、標章４,４０４を際立たせることができる。よって、標章４,４０４の視認性を良好なものにできる。

【0032】

また、図４に示すように、サイドウォールが、基準面Ｙと、基準面Ｙに設けられた窪み１１７と、を有し、標章４が、窪み１７７の底面に設けられてもよい。

【0033】

本構成によれば、標章４が窪み１１７の底面に設けられるので、タイヤ１０１の加硫成形時に生じる虞がある空気溜りの生成位置を標章４の美観にあまり関係がない窪み１１７の側面の底側に制限することができ、空気抜きを行うためのベントホールも標章４の美観にあまり関係がない窪み１１７の側縁の底側に形成すればよい。更には、標章４を窪み１１７の底面に形成することで、ゴム流れの不良を抑制でき、空気溜り自体も低減できる。よって、綺麗な標章４を形成でき、人が標章４を視認し易い。

【0034】

また、図１乃至図８に示すように、少なくとも１つの標章４,４０４の外面が、１つの突構造７,４０７のみを有し、第１傾斜面１１,４１１と第２傾斜面１２,４１２が、溝８,２０８,３０８,４０８を介して径方向に３０°以下の角度で傾斜する方向に間隔をおいて配置されてもよく、より好ましくは、径方向に対して１５°以下の角度で傾斜する方向に間隔をおいて配置されてもよい。

【0035】

本構成によれば、標章４,４０４に突構造７,４０７が１つのみ存在し、突構造７,４０７の溝８,２０８,３０８,４０８が周方向に沿った方向に延在することになる。したがって、傾斜面１１,１２,４１１,４１２を２つのみとでき、傾斜面１１,１２,４１１,４１２の数を極端に少なくできる。したがって、泥詰まりを効果的に抑制できる。また、標章４,４０４において、二つのみの傾斜面１１,１２,４１１,４１２の頂の交線付近に細長い筋形状の影１９を形成するというオリジナル性に溢れる独創的な表示を行うことができて、標章を顕著に際立たせることができる。

【0036】

なお、溝８,２０８,３０８,４０８の形成によって生じる影１９の幅は、大きすぎても小さすぎても標章を顕著に際立たせることができない。標章４,４０４に突構造７,４０７が１つのみ存在して、溝８,２０８,３０８,４０８が１つのみしか存在しない場合、溝８,２０８,３０８,４０８の溝幅は、標章の高さに対して如何なる比率の値をとってもよい。しかし、標章４,４０４に突構造７,４０７が１つのみ存在して、溝８,２０８,３０８,４０８が１つのみしか存在しない場合、溝８,２０８,３０８,４０８の溝幅を標章の高さ寸法の１％以上２０％以下にすると、標章４,４０４を顕著に際立たせることができる。

【0037】

また、図６及び図７に示すように、溝２０８,３０８の底側の角２３８,３３８が湾曲面で構成されてもよい。溝の底側の角に湾曲面を設けない場合、溝の底側の角に泥が付着し易く、当該角に応力が集中し易い。

【0038】

本構成によれば、泥が溝２０８,３０８の底側の角２３８,３３８に付着することを抑制できる。また、溝２０８,３０８の底側の角２３８,３３８に生じる応力も低減でき、耐クラック性を向上できる。

【0039】

また、図８に示すように、標章４０４の外面が、周方向に略平行に延在する溝４０８を有し、標章４０４の径方向外方の縁４２１及び標章４０４の径方向内方の縁４２２が、周方向に延在するようにすると、標章４０４のデザイン性を高くでき、標章４０４の美観を優れたものにし易い。

【0040】

＜他の変形例＞
本開示は、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。

【0041】

例えば、第１傾斜面及び第２傾斜面の麓側の端（軸方向内側の端）に繋がる平面を設けてもよく、例えば、第１及び第２傾斜面と、縁取りを行う環状の突起や窪みの側面との間に平面を設けてもよい。このようにすると、泥が標章へ更に付着しにくいようにできる。

【0042】

また、突構造７,４０７の溝８,２０８,３０８,４０８が、周方向に沿うように延在する場合について説明したが、突構造の溝は、如何なる方向に延在してもよい。突構造の溝は、例えば、径方向に対して３０°以下の角度で傾斜する方向に延在してもよく、径方向に対して１５°以下の角度で傾斜する方向に延在してもよく、径方向に延在してもよい。また、標章４,４０４を、環状の突起１５,１６で縁取る場合について説明したが、標章は、環状の突起で縁取られていなくてもよい。また、標章４を基準面Ｙに設けた窪み１１７の底面に形成する場合について説明したが、標章は、基準面Ｙに設けた窪みに形成されなくてもよい。標章は、環状の突起で縁取られていなくて、しかも、基準面Ｙに設けた窪みに形成されなくてもよい。

【符号の説明】

【0043】

１,１０１,２０１,３０１,４０１ タイヤ、 ２ サイドウォール、 ２ａ サイドウォールの表面、 ３,１０３ 標章表示領域、４,４ａ,４０４ 標章、 ５ａ 直線延在箇所、 ６,１０６ 台座、 ７,４０７ 突構造、 ８,２０８,３０８,４０８ 溝、 ８ａ 溝の一方側の縁、 ８ｂ 溝の他方側の縁、 ９ 接線、 １１,４１１ 第１傾斜面、 １１ａ 第１傾斜面の片側縁、 １２,４１２ 第２傾斜面、 １２ａ 第２傾斜面の片側縁、 １５ 外側環状突起、 １５ａ Ｒを示す標章の外側縁、 １６ 外側環状突起、 １６ａ Ｒを示す標章の内側縁、 １９ 影、 １１７ 窪み、 １２８ 標章の環状の内側縁で囲まれた領域、 ２３８,３３８ 溝の底側の角、 ３４８ 溝の開口側の角、 ４２１ 標章の径方向外方の縁、 ４２２ 標章の径方向内方の縁、 Ｐ 中心位置、 Ｘ,Ｙ 基準面、 θ 傾斜角。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】