特開 2024-82472 空気入りタイヤ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024082472

(43)【公開日】2024-06-20

(54)【発明の名称】空気入りタイヤ

(51)【国際特許分類】

   B60C 13/00 20060101AFI20240613BHJP

【ＦＩ】

B60C13/00 C

【審査請求】未請求

【請求項の数】5

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022196342

(22)【出願日】2022-12-08

(71)【出願人】

【識別番号】000003148

【氏名又は名称】ＴＯＹＯ ＴＩＲＥ株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110001210

【氏名又は名称】弁理士法人ＹＫＩ国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】佐藤 芳樹

【テーマコード（参考）】

3D131

【Ｆターム（参考）】

3D131BC17

3D131BC35

3D131BC47

3D131BC51

3D131GA01

(57)【要約】

【課題】標章に泥詰まりが生じ難く、標章を際立たせることができるタイヤを提供すること。
【解決手段】タイヤ１のサイドウォール２に１以上の標章４を設ける。標章４の外面が、進行方向に直交する断面における形状が台形である細長い第１突起１８を１以上４以下有する。又は、タイヤのサイドウォールに１以上の標章４を設ける。標章の外面が、進行方向に直交する断面における形状が略台形である細長い第１突起を１以上４以下有する。標章４の全縁に軸方向の外方に突出する環状の第２突起１５,１６を設けて、標章４を環状の第２突起１５,１６で縁取りしてもよい。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

１以上の標章をサイドウォールに設けた空気入りタイヤにおいて、
前記標章の外面が、進行方向に直交する断面における形状が台形である細長い第１突起を１以上４以下有する、空気入りタイヤ。

【請求項2】

１以上の標章をサイドウォールに設けた空気入りタイヤにおいて、
前記標章の外面が、進行方向に直交する断面における形状が略台形である細長い第１突起を１以上４以下有する、空気入りタイヤ。

【請求項3】

前記標章の全縁に軸方向の外方に突出する第２突起が設けられて、前記標章が縁取りされている、請求項１又は２に記載の空気入りタイヤ。

【請求項4】

前記サイドウォールが、基準面と、前記基準面に設けられた窪みと、を有し、
前記標章が、前記窪みの底面に設けられている、請求項１又は２に記載の空気入りタイヤ。

【請求項5】

前記標章の外面が、複数の前記第１突起を有し、
前記複数の第１突起は、径方向に対して１０°以下の角度傾斜する方向に対向する、請求項１又は２に記載の空気入りタイヤ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、空気入りタイヤに関する。

【背景技術】

【0002】

従来、空気入りタイヤとしては、特許文献１に記載されているものがある。この空気入りタイヤは、タイヤのサイドウォールの表面に設けた標章の少なくとも一部に複数のリッジを並列に配置した鋸の歯の形状のセレーションが設けられている。この空気入りタイヤは、ピッチが短くて角度が異なるセレーションを標章に設けることで、光が照射された際、光の反射方向を変更させる事で標章に明暗をつけ、標章を際立たせるようにしている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１９－１４７４９５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

上記空気入りタイヤでは、標章にピッチが短いセレーションが設けられているので、泥濘路を走行した際に、標章に泥詰まりが起き易く、文字視認性が悪化し、更には、汚れが落ちにくいという課題がある。そこで、本発明の目的は、標章に泥詰まりが生じ難く、しかも標章を際立たせることができる空気入りタイヤを提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0005】

上記課題を解決するため、本開示に係る空気入りタイヤは、１以上の標章をサイドウォールに設けた空気入りタイヤにおいて、前記標章の外面が、進行方向に直交する断面における形状が台形である細長い第１突起を１以上４以下有する。

【0006】

又は、本開示に係る空気入りタイヤは、１以上の標章をサイドウォールに設けた空気入りタイヤにおいて、前記標章の外面が、進行方向に直交する断面における形状が略台形である細長い第１突起を１以上４以下有する。

【0007】

ここで、進行方向に直交する断面における形状が略台形である断面形状には、当該断面において、台形における４つの角のうちの少なくとも１以上の角が面取りされて、その角が角の外側に凸の湾曲面で構成される断面形状が含まれる。また、進行方向に直交する断面における形状が略台形である断面形状には、当該断面において、台形を画定する３つの辺（上辺、第１斜辺、第２斜辺）のうちの少なくとも一つの辺が、直線でなくて湾曲線になっている断面形状が含まれる。また、進行方向に直交する断面における形状が略台形である断面形状には、当該断面において、台形における４つの角のうちの少なくとも１以上の角が面取りされて、その角が角の外側に凸の湾曲面で構成されていると共に、台形を画定する３つの辺（上辺、第１斜辺、第２斜辺）のうちの少なくとも一つの辺が、直線でなくて湾曲線になっている断面形状が含まれる。

【発明の効果】

【0008】

本開示に係る空気入りタイヤによれば、標章に泥詰まりが生じ難く、しかも標章を際立たせることができる。

【図面の簡単な説明】

【0009】

【図1】本開示の一実施形態に係るタイヤの片側側方を斜め上側から見たときの斜視図である。

【図2】標章表示領域を軸方向外側の斜め下側から見たときの斜視図である

【図3】図２のＡ－Ａ線斜視断面図であり、細長い複数の第１突起の並び方向と軸方向とを含む平面で、第１突起の延在方向における、Ｒを示す標章の左端とその標章の内側縁との間の箇所を切断したときの模式断面図である。

【図4】図２のＢ－Ｂ線斜視断面図であり、上記並び方向と軸方向とを含む平面で、第１突起の延在方向における、Ｒを示す標章の内側縁で囲まれた箇所の中央付近を切断したときに生成される構造を、軸方向に僅かに傾斜する方向から見たときの斜視断面図である。

【図5】第１変形例のタイヤにおける図３に対応する模式断面図である。

【図6】第２変形例のタイヤにおける図２に対応する斜視図である。

【図7】第３変形例のタイヤにおける図３に対応する模式断面図である。

【図8】第４変形例のタイヤにおける図３に対応する模式断面図である。

【図9】第５変形例のタイヤにおける図３に対応する模式断面図である。

【図10】第６変形例のタイヤにおける図３に対応する模式断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0010】

以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施例では、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、複数の図面には、模式図が含まれ、異なる図間において、標章における、縦、横、高さ等の寸法比は、必ずしも一致しない。また、以下で説明される構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素であり、必須の構成要素ではない。また、以下では、空気入りタイヤを単にタイヤと言及する。

【0011】

図１は、本開示の一実施形態に係るタイヤ１の片側側方を斜め上側から見たときの斜視図である。図１に示すように、タイヤ１のなくとも一方のサイドウォール２には、１以上の標章表示領域３が設けられている。サイドウォール２は、タイヤ側面に存在し、タイヤ１が最も撓む箇所を有する。サイドウォール２は、スムーズに屈曲することで、衝撃や遠心力に耐える役割を担う。

【0012】

標章表示領域３は、サイドウォール２の表面２ａに設けられる基準面Ｘと、この基準面Ｘに設けられる１以上の標章４とを具える。標章表示領域３は、サイドウォール２の表面２ａから一定の高さで突出する台座６を有し、台座６の表面が基準面Ｘとなっている。台座６の厚さ方向は、タイヤ１の軸方向に略一致している。

【0013】

台座６は存在しなくても良く、この場合、サイドウォール２の表面２ａが基準面Ｘとなる。標章４は、タイヤのメーカ名、ブランド名、サイズ、偏平率、製造年週等を表すための文字、速度記号等の記号、図形等であり、本実施形態では、基準面Ｘに、複数の標章４からなるブランド名が形成されている。

【0014】

図２は、標章表示領域３を軸方向外側の斜め下側から見たときの斜視図である。図２に示すように、標章４の外面は、進行方向に直交する断面における形状が台形である細長い第１突起１８を１以上４以下有し、より詳しくは、互いに略平行に直線上を延在する断面略等脚台形の第１突起１８を３つ有する。３つの第１突起１８は、周方向に沿った方向に延在し、径方向と１０°以下の角度で傾斜する並び方向に対向する。ここで、上記周方向に沿った方向は、標章４の周方向の一端と周方向の他端との中心位置Ｐにおける周方向の接線９と１０°以下の角度で傾斜する方向と定義してもよい。

【0015】

図３は、図２のＡ－Ａ線斜視断面図であり、上記並び方向と軸方向とを含む平面で、第１突起１８の延在方向における、Ｒを示す標章４ａの左端と標章４ａの内側縁１６ａ（図２参照）との間の箇所を切断したときの模式断面図である。なお、本実施形態では、軸方向は、台座６の厚さ方向に略一致する。図３に示すように、第１突起１８は、略平行に延びる２つの縁１０ａ,１０ｂで囲まれた帯形状（長尺形状）の先端面１０と、先端面１０の並び方向の一方縁１０ａから並び方向の一方側に離れるにしたがって軸方向の内側に変位する第１斜面１１と、先端面１０の並び方向の他方縁１０ｂから並び方向の他方側に離れるにしたがって軸方向の内側に変位する第２斜面１２とを有する。先端面１０、第１斜面１１、及び第２斜面１２の夫々は、平面で構成される。本実施形態では、第１斜面１１が先端面１０となす角度θは、第２斜面１２が先端面１０となす角度と略同一となっている。

【0016】

図４は、図２のＢ－Ｂ線斜視断面図であり、上記並び方向と軸方向とを含む平面で、第１突起１８の延在方向における、Ｒを示す標章４ａの内側縁１６ａで囲まれた箇所の中央付近を切断したときに生成される構造を、軸方向に僅かに傾斜する方向から見たときの斜視断面図である。

【0017】

図２～図４に示すように、標章４の全縁には、軸方向の外方に突出して標章４を縁取りする環状の第２突起１５,１６が設けられている。Ｒを示す標章４ａは、外側縁１５ａを全周に亘って縁取る外側環状突起１５と、内側縁１６ａを全周に亘って縁取る内側環状突起１６を有する。図３を参照して、標章４において最も軸方向外側に位置する先端面１０の軸方向位置と、環状の第２突起１５,１６において最も軸方向外側に位置する箇所の軸方向位置との差の絶対値は、如何なる値でもよい。しかし、当該絶対値が、３ｍｍ以下であれば、美観を優れたものにでき、特に、当該絶対値が、５ｍｍ以下であれば、標章４の美観を特に優れたものにでき、スタイリッシュな標章４を実現できる。

【0018】

また、標章４において最も軸方向外側に位置する先端面１０の軸方向位置と、隣り合う２つの第１突起１８の間に位置し、隣り合う２つの第１斜面１１の麓と第２斜面１２の麓とが接続する交線の位置である谷位置１７の軸方向位置との軸方向距離は、如何なる距離でもよい。しかし、先端面１０の軸方向位置と、谷位置１７の軸方向位置との軸方向距離が、３ｍｍ以上であれば、標章４の立体性を優れたものにできて、標章４を際立たせることができる。また、先端面１０の軸方向位置と、谷位置１７の軸方向位置との軸方向距離が、１ｍｍ以下であれば、泥詰まりを効果的に抑制できる。

【0019】

図５は、第１変形例のタイヤ１０１における図３に対応する模式断面図である。図５に示すように、サイドウォールに設けられた標章表示領域１０３は、サイドウォールの表面から一定の高さで突出する台座１０６を有し、台座１０６の表面が基準面Ｙとなっている。

【0020】

台座１０６には、深さが略一定の窪み１３８が設けられ、窪み１３８の底面に１以上の標章４が設けられている。なお、この場合、Ｒを表す標章４ａのように環状の内側縁１６ａが存在する場合、その内側縁１６ａで囲まれた領域の外面の軸方向位置は、谷位置１７の軸方向位置よりも軸方向外側に位置すればよい。しかし、Ｒを表す標章４ａのように環状の内側縁１６ａが存在する場合、その内側縁１６ａで囲まれた領域の外面の軸方向位置は、基準面Ｙの軸方向位置と略同一にすると好ましい。また、台座１０６は存在しなくても良く、この場合、サイドウォールの表面が基準面となり、サイドウォールの表面に深さが略一定の窪みが設けられ、その窪みの底面に１以上の標章４が設けられる。

【0021】

図５を参照して、基準面Ｙの軸方向位置と、標章４において最も軸方向外側に位置する先端面１０の軸方向位置との差の絶対値は、如何なる値でもよい。しかし、当該絶対値が、３ｍｍ以下であれば、美観を優れたものにでき、特に、当該絶対値が、５ｍｍ以下であれば、標章４の美観を特に美観を優れたものにできスタイリッシュな標章４を実現できる。

【0022】

なお、先端面１０の軸方向位置と谷位置１７の軸方向位置との軸方向距離は、如何なる距離でもよい。しかし、本変形例においても、当該軸方向距離が、３ｍｍ以上であれば、標章４の立体性を優れたものにできて、標章４を際立たせることができる。また、当該軸方向距離が、１ｍｍ以下であれば、泥詰まりを効果的に抑制できる。

【0023】

図６は、第２変形例のタイヤ２０１における図２に対応する斜視図である。図６に示すように、標章２０４の外面は、進行方向に直交する断面における形状が台形であると共に周方向に略平行に延在する１以上４以下の細長い第１突起２１８を備えてもよい。そして、図２に示すタイヤ１における標章４において周方向に沿うように延在する直線形状の縁をタイヤ２０１の周方向に平行に延びる円弧状の縁２１５に取り換えてもよい。

【0024】

図７は、第３変形例のタイヤ３０１における図３に対応する模式断面図であり、図８は、第４変形例のタイヤ４０１における図３に対応する模式断面図である。また、図９は、第５変形例のタイヤ５０１における図３に対応する模式断面図であり、図１０は、第６変形例のタイヤ６０１における図３に対応する模式断面図である。

【0025】

上記実施形態では、第１突起１８,２１８における進行方向に直交する断面における形状が台形である場合について説明した。しかし、第１突起における進行方向に直交する断面における形状は、略台形でもよい。詳しくは、図７に示すように、第１突起３１８における進行方向に直交する断面における断面形状は、台形における４つの角のうちで平面で構成される細長い先端面３１０の幅方向の両側に位置する２つの角が面取りされて、その角が角の外側に凸の湾曲面３７１,３７２で構成される断面形状でもよい。

【0026】

また、図８に示すように、第１突起４１８における進行方向に直交する断面における断面形状は、平面で構成される先端面４１０の幅方向の両側に位置する２つの角に加えて、台形の麓に位置する２つの角も面取りされて、４つの角の夫々が角の外側に凸の湾曲面４７１,４７２,４７３,４７４で構成される断面形状でもよい。また、図９に示すように、第１突起５１８における進行方向に直交する断面における断面形状は、台形における４つの角のうち台形の麓に位置する２つの角が面取りされて、その角が角の外側に凸の湾曲面５７３,５７４で構成される断面形状でもよい。

【0027】

また、図１０に示すように、第１突起６１８における進行方向に直交する断面における断面形状は、台形における４つの角のうち台形の麓に位置する２つの角が面取りされて、その角が角の外側に凸の湾曲面６７３,６７４で構成される断面形状でもよい。また、標章６０４の外面は、複数の第１突起６１８の並び方向に隣り合う２つの第１突起６１８の直線形状の麓の間に帯状（長尺状）の平面６５１を有してもよい。

【0028】

また、標章６０４の外面は、複数の第１突起６１８の並び方向の一端に位置する第１突起６１８における並び方向の一端側の直線形状の麓に繋がる帯状（長尺状）の平面６５２を有してもよい。また、標章６０４の外面は、複数の第１突起６１８の並び方向の他端に位置する第１突起６１８における並び方向の他端側の直線形状の麓に繋がる帯状（長尺状）の平面６５３を有してもよい。

【0029】

なお、標章の外面は、進行方向に直交する断面における形状が台形である細長い第１突起を１つのみ有してもよい。また、標章の外面は、進行方向に直交する断面における形状が台形である細長い第１突起を２以上４以下有してもよいが、この場合、２以上４以下の第１突起は、断面形状が全て略同一であると共に断面の面積が全て略同一であると好ましい。また、標章の外面が、進行方向に直交する断面における形状が台形である細長い第１突起を３以上有すると共に、帯状（長尺状）の平面が並び方向に隣り合う２つの第１突起の直線形状の麓の間に存在する場合、当該帯状の平面の幅は全て同一であると好ましい。

【0030】

しかし、２以上４以下の第１突起は、断面形状が全て略同一でなくてもよく、断面の面積も、全てが略同一でなくてもよい。また、標章の外面が、進行方向に直交する断面における形状が台形である細長い第１突起を３以上有すると共に、帯状（長尺状）の平面が並び方向に隣り合う２つの第１突起の直線形状の麓の間に存在する場合、当該帯状の平面の幅は全て同一でなくてもよい。

【0031】

＜本開示の必須の構成と、その作用効果＞
以上、説明したように、タイヤ１,１０１,２０１のサイドウォール２に１以上の標章４,２０４を設ける。標章４,２０４の外面が、進行方向に直交する断面における形状が台形である細長い第１突起１８を１以上４以下有する。

【0032】

本開示によれば、標章４,２０４の外面が、進行方向に直交する断面における形状が台形である細長い第１突起１８を最大４つしか有さず、特許文献１の標章、すなわち、ピッチが短くて角度が異なるセレーションを有する標章と比較して、面の数が極端に少ない。よって、標章４,２０４への泥詰まりを効果的に抑制できる。

【0033】

更には、標章４,２０４の外面に設けられる第１突起１８の進行方向に直交する断面における形状が台形になっているので、標章４,２０４の外面に到達した光の反射を複雑なものにできる。よって、標章４,２０４を、際立たせることができる。

【0034】

また、タイヤ３０１,４０１,５０１,６０１のサイドウォールに設けられる１以上の標章６０４の外面が、進行方向に直交する断面における形状が台形でなくて略台形になっている細長い第１突起３１８,４１８,５１８,６１８を１以上４以下有してもよい。

【0035】

ここで、進行方向に直交する断面における形状が略台形である断面形状には、当該断面において、台形における４つの角のうちの少なくとも１以上の角が面取りされて、その角が角の外側に凸の湾曲面で構成される断面形状が含まれる。

【0036】

例えば、図７に示すように、第１突起３１８における進行方向に直交する断面における断面形状は、台形における４つの角のうちで平面で構成される細長い先端面３１０の幅方向の両側に位置する２つの角が面取りされて、その角が角の外側に凸の湾曲面３７１,３７２で構成される断面形状でもよい。

【0037】

また、図８に示すように、第１突起４１８における進行方向に直交する断面における断面形状は、平面で構成される先端面４１０の幅方向の両側に位置する２つの角に加えて、台形の麓に位置する２つの角も面取りされて、４つの角の夫々が角の外側に凸の湾曲面４７１,４７２,４７３,４７４で構成される断面形状でもよい。

【0038】

また、図９及び図１０に示すように、第１突起５１８における進行方向に直交する断面における断面形状は、台形における４つの角のうち台形の麓に位置する２つの角が面取りされて、その角が角の外側に凸の湾曲面５７３,５７４,６７３,６７４で構成される断面形状でもよい。

【0039】

図７～図１０に示すタイヤ３０１,４０１,５０１,６０１においても、上述のタイヤ１,１０１,２０１と同様に、面の数が極端に少なく、標章４,２０４への泥詰まりを効果的に抑制できる。また、標章４,２０４の外面に設けられる第１突起１８の進行方向に直交する断面における形状が略台形になっているので、標章４,２０４の外面に到達した光の反射を複雑なものにでき、標章４,２０４を、際立たせることができる。

【0040】

それに加えて、タイヤ３０１,４０１によれば、細長い先端面３１０,４１０の幅方向の両側に位置する２つの角が面取りされて、その角に角の外側に凸の湾曲面３７１,３７２が設けられるので、細長い先端面３１０,４１０の幅方向の両側に位置する２つの角が損傷しにくくて、その２つの角にクラックや微小欠損が生じにくく、耐チッピング性能を向上できる。

【0041】

また、第１突起の麓の角に湾曲面を設けない場合、溝の底側の角に泥が付着し易く、当該角に応力が集中し易い。これに対し、タイヤ４０１,５０１,６０１によれば、第１突起４１８,５１８,６１８の麓の角が湾曲面４７３,４７４,５７３,５７４,６７３,６７４で構成される。よって、泥が第１突起４１８,５１８,６１８の麓の角に付着することを抑制できるだけでなく、当該麓の角に生じる応力も低減でき、耐クラック性も向上できる。

【0042】

＜本開示において採用してもよい構成と、その作用効果＞
図１～４、６に示すように、標章４,４０４の全縁に軸方向の外方に突出する環状の第２突起１５,１６が設けられて、標章４,４０４が環状の第２突起１５,１６で縁取りされてもよい。

【0043】

本構成によれば、標章４,４０４の全縁が環状の第２突起１５,１６で縁取りされているため、環状の第２突起１５,１６の標章側の内面で段差を形成することができ、その段差で、標章４,４０４を際立たせることができる。よって、標章４,４０４の視認性を良好なものにできる。

【0044】

また、図５に示すように、サイドウォールが、基準面Ｙと、基準面Ｙに設けられた窪み１３８と、を有し、標章４が、窪み１３８の底面に設けられてもよい。

【0045】

本構成によれば、標章４が窪み１３８の底面に設けられるので、タイヤ１０１の加硫成形時に生じる虞がある空気溜りの生成位置を標章４の美観にあまり関係がない窪み１３８の側面の底側に制限することができ、空気抜きを行うためのベントホールも標章４の美観にあまり関係がない窪み１３８の側縁の底側に形成すればよい。更には、標章４を窪み１３８の底面に形成することで、ゴム流れの不良を抑制でき、空気溜り自体も低減できる。よって、綺麗な標章４を形成でき、人が標章４を視認し易い。

【0046】

また、標章４,４ａ,２０４,６０４の外面が、複数の第１突起１８,３１８,４１８,５１８,６１８を有してよい。そして、複数の第１突起１８,３１８,４１８,５１８,６１８が、径方向に対して１０°以下の角度傾斜する方向に対向してもよい。

【0047】

本構成によれば、第１突起１８,３１８,４１８,５１８,６１８が、周方向に平行な方向か又は周方向に略平行な方向に延在することになる。よって、第１突起１８,３１８,４１８,５１８,６１８の延在方向長さを長くし易いので、第１突起１８,３１８,４１８,５１８,６１８を際立たせ易い。

【0048】

また、図６に示すように、第１突起２１８がタイヤ２０１の周方向に略平行に延在するようにすると共に、標章２０４の縁２１５がタイヤ２０１の周方向に平行に延びるようにすると、標章２０４のデザイン性を高きでき、標章２０４の美観を優れたものにし易い。

【0049】

また、図１０に示すように、帯状（長尺状）の平面６５１を、複数の第１突起６１８の並び方向に隣り合う２つの第１突起６１８の直線形状の麓の間に設けると、泥が第１突起６１８の麓に更に付着しにくいようにできる。

【0050】

また、帯状（長尺状）の平面６５２を、複数の第１突起６１８の並び方向の一端に位置する第１突起６１８における並び方向の一端側の直線形状の麓に繋がるように設けても、その一端側の麓の周辺に泥が付着しにくいようにできる

【0051】

また、帯状（長尺状）の平面６５３を、複数の第１突起６１８の並び方向の他端に位置する第１突起６１８における並び方向の他端側の直線形状の麓に繋がるように設けても、その他端側の麓の周辺に泥が付着しにくいようにできる。

【0052】

＜他の変形例＞
本開示は、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。

【0053】

例えば、細長い第１突起１８,３１８,４１８,５１８,６１８が、周方向に沿った方向に延在する場合について説明した。しかし、細長い第１突起は、如何なる方向に延在してもよく、例えば、径方向に１０°以下の角度傾斜する方向に延在してもよい。

【0054】

また、図１～図４に示す実施形態では、第１突起１８における、先端面１０、第１斜面１１、及び第２斜面１２が全て平面である場合について説明した。しかし、第１突起における、先端面、第１斜面、及び第２斜面のうちの１つの面が、湾曲面でもよく、例えば、先端面が、湾曲面で、２つの斜面が平面でもよく、又は、先端面が平面で、２つの斜面が湾曲面でもよい。

【符号の説明】

【0055】

１,１０１,２０１,３０１,４０１,５０１,６０１ タイヤ、 ２ サイドウォール、 ２ａ 表面、 ３,１０３ 標章表示領域、 ４,４ａ,２０４,６０４ 標章、 ６,１０６ 台座、 ９ 接線、 １０,３１０,４１０ 先端面、 １０ａ 一方縁、 １０ｂ 他方縁、 １１ 第１斜面、 １２ 第２斜面、 １５ 外側環状突起（第２突起）、 １５ａ 外側縁、 １６ 内側環状突起（第２突起）、 １６ａ 内側縁、 １７ 谷位置、 １８,３１８,４１８,５１８,６１８ 第１突起、 １３８ 窪み、 ２１５ 円弧状の縁、 ２１８ 第１突起、 ３７１,３７２,４７１,４７２,４７３,４７４,５７３,５７４,６７３,６７４ 湾曲面、 ６５１ 隣り合う第１突起の間に位置する平面、 ６５２ 並び方向の一端に位置する第１突起における並び方向の一端に繋がる平面、 ６５３ 並び方向の他端に位置する第１突起における並び方向の他端に繋がる平面、 Ｐ 中心位置、 Ｘ,Ｙ 基準面。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】