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特開2024-82476ケーブル接続部品およびケーブル構造体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082476
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】ケーブル接続部品およびケーブル構造体
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/62 20110101AFI20240613BHJP
【FI】
H01R12/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196348
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(72)【発明者】
【氏名】橋口 徹
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB21
5E223AC19
5E223AC21
5E223BA37
5E223BA38
5E223BB01
5E223CD01
5E223CD02
(57)【要約】
【課題】基板の複数の接続部に対する位置ずれを防止しつつ、複数のケーブルを複数の接続部に接続することができるケーブル接続部品を提供する。
【解決手段】配列方向に延びるロケータ12に配置され且つ複数のケーブル21の伸長方向における先端部の少なくとも配列方向における移動をそれぞれ規制する複数の金属端子13の導体部挿入溝13D(第1規制部)と、ロケータ12に配置され且つ複数のケーブル21の先端部から伸長方向に沿って所定距離だけケーブルの基端側に離れた位置において複数のケーブルの少なくとも配列方向における移動をそれぞれ規制する複数の第2挿入溝12E(第2規制部)とを備え、複数の導体部挿入溝13Dから複数の第2挿入溝12Eの間において複数のケーブル21から露出された複数の導体部21Aが基板31の複数の接続部31Bにはんだ接続される。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の配列方向に配列され且つそれぞれ導体部の外周が絶縁被覆部により覆われている複数のケーブルを基板の複数の接続部にはんだ接続するためのケーブル接続部品であって、
前記配列方向に延びるロケータと、
前記ロケータに配置され且つ前記複数のケーブルの伸長方向における先端部の少なくとも前記配列方向における移動をそれぞれ規制する複数の第1規制部と、
前記ロケータに配置され且つ前記複数のケーブルの前記先端部から前記伸長方向に沿って所定距離だけ前記複数のケーブルの基端側に離れた位置において前記複数のケーブルの少なくとも前記配列方向における移動をそれぞれ規制する複数の第2規制部と
を備え、
前記複数の第1規制部から前記複数の第2規制部の間において前記複数のケーブルから露出された複数の前記導体部が前記基板の前記複数の接続部にはんだ接続されるケーブル接続部品。
【請求項2】
前記ロケータは、前記配列方向の両端に配置される一対の支持部材と、前記配列方向に延びて前記一対の支持部材を互いに連結する第2ビームを有し、
前記複数の第2規制部は、前記第2ビームに配列形成され且つ前記複数のケーブルの前記絶縁被覆部が挿入される複数の第2挿入溝からなる請求項1に記載のケーブル接続部品。
【請求項3】
前記複数のケーブルに対応し且つ前記複数の第2挿入溝から前記伸長方向に延びる複数の金属端子を備え、
前記複数の金属端子は、それぞれ、前記配列方向および前記伸長方向に直交する垂直方向に湾曲する湾曲部と、前記湾曲部に形成され且つ対応する前記ケーブルの前記導体部が挿入される導体部挿入溝を有する請求項2に記載のケーブル接続部品。
【請求項4】
前記複数の第1規制部は、それぞれ、前記導体部挿入溝からなる請求項3に記載のケーブル接続部品。
【請求項5】
前記複数の金属端子は、それぞれ、前記伸長方向における先端部に形成され且つ対応する前記ケーブルの前記導体部が挿入される導体部挿入孔または導体部挿入スリットを有し、
前記複数の第1規制部は、それぞれ、前記導体部挿入孔または前記導体部挿入スリットからなる請求項3に記載のケーブル接続部品。
【請求項6】
前記ロケータは、前記第2ビームから前記伸長方向に間隔を隔てて配置され且つ前記配列方向に延びて前記一対の支持部材を互いに連結する第1ビームを有し、
前記複数の第1規制部は、前記第1ビームに配列形成され且つ前記複数のケーブルの前記先端部における前記絶縁被覆部が挿入される複数の第1挿入溝からなる請求項3に記載のケーブル接続部品。
【請求項7】
前記複数の第1挿入溝は、前記複数の第2挿入溝に対して前記垂直方向に所定の段差を有する請求項6に記載のケーブル接続部品。
【請求項8】
前記複数の金属端子は、それぞれ、前記湾曲部に連結され且つ対応する前記第2挿入溝の底部に固定される固定部を有し、
前記湾曲部は、前記固定部に対して前記垂直方向に前記絶縁被覆部の厚さに相当する高低差を有する請求項3に記載のケーブル接続部品。
【請求項9】
前記複数の金属端子は、それぞれ、前記伸長方向における先端部に形成され且つ対応する前記ケーブルの前記導体部を前記基板にはんだ接続するための加熱装置に接触する被加熱部を有する請求項3に記載のケーブル接続部品。
【請求項10】
前記ロケータは、前記第2ビームから前記伸長方向に間隔を隔てて配置され且つ前記配列方向に延びて前記一対の支持部材を互いに連結する第1ビームを有し、
前記複数の第1規制部は、前記第1ビームに配列形成され且つ前記複数のケーブルの前記先端部における前記絶縁被覆部が挿入される複数の第1挿入溝からなる請求項2に記載のケーブル接続部品。
【請求項11】
前記複数の第1挿入溝は、前記複数の第2挿入溝に対して前記垂直方向に所定の段差を有する請求項10に記載のケーブル接続部品。
【請求項12】
所定の配列方向に配列され且つそれぞれ導体部の外周が絶縁被覆部により覆われている複数のケーブルと、
前記配列方向に配列された複数の接続部を有する基板と、
請求項1~11のいずれか一項に記載の前記ケーブル接続部品と
を備え、
前記複数の第1規制部から前記複数の第2規制部の間において前記複数のケーブルから露出された複数の前記導体部が前記基板の前記複数の接続部にはんだ接続されているケーブル構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ケーブル接続部品に係り、特に、複数のケーブルを基板に接続するためのケーブル接続部品に関する。
また、この発明は、複数のケーブルが基板に接続されたケーブル構造体にも関している。
【背景技術】
【0002】
複数のケーブルが基板に電気的に接続されたケーブル構造体として、例えば特許文献1には、図39に示されるようなケーブル構造体が開示されている。複数のケーブル1が、基板2の表面に沿って整列されている。それぞれのケーブル1は、導体部3の外周が絶縁被覆部4により覆われた構造を有し、ケーブル1の前端部5の後方において部分的に絶縁被覆部4が剥離されることにより導体部3が露出する露出部6が形成されている。複数のケーブル1は、露出部6に露出する導体部3がはんだ7により基板2の対応する接続パッド8にはんだ付けされることにより、基板2に電気的に接続されている。
【0003】
このようなケーブル構造体は、例えば、複数のケーブル1を整列させた状態で互いに接着剤により接着し、刃物工具またはレーザを使用して部分的に導体部3が露出する露出部6を形成した後、露出部6における導体部3を基板2の対応する接続パッド8にはんだ付けすることにより、製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6513439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のケーブル構造では、複数のケーブル1を整列させた状態で互いに接着剤により接着されているものの、複数のケーブル1の導体部3が露出する露出部6においては、それぞれのケーブル1の導体部3が自由に動き得る状態にあり、また、露出部6の先端部側と根本部側におけるケーブル1の位置を規制する手段を有しないことから、ケーブル1の導体部3を基板2の対応する接続パッド8にはんだ付けする際に、接続パッド8に対して導体部3が位置ずれしやすくなるという問題がある。接続パッド8に対して導体部3が位置ずれを生じると、複数のケーブル1の導体部3と基板2の複数の接続パッド8との電気的接続の信頼性が低下するおそれがある。
【0006】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、基板の複数の接続部に対する位置ずれを防止しつつ、複数のケーブルを複数の接続部に接続することができるケーブル接続部品を提供することを目的とする。
また、この発明は、複数のケーブルが位置ずれを生じることなく基板の複数の接続部に接続されたケーブル構造体を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るケーブル接続部品は、
所定の配列方向に配列され且つそれぞれ導体部の外周が絶縁被覆部により覆われている複数のケーブルを基板の複数の接続部にはんだ接続するためのケーブル接続部品であって、
配列方向に延びるロケータと、
ロケータに配置され且つ複数のケーブルの伸長方向における先端部の少なくとも配列方向における移動をそれぞれ規制する複数の第1規制部と、
ロケータに配置され且つ複数のケーブルの先端部から伸長方向に沿って所定距離だけ複数のケーブルの基端側に離れた位置において複数のケーブルの少なくとも前記配列方向における移動をそれぞれ規制する複数の第2規制部と
を備え、
複数の第1規制部から複数の第2規制部の間において複数のケーブルから露出された複数の導体部が基板の複数の接続部にはんだ接続されることを特徴とする。
【0008】
ロケータは、配列方向の両端に配置される一対の支持部材と、配列方向に延びて一対の支持部材を互いに連結する第2ビームを有し、複数の第2規制部は、第2ビームに配列形成され且つ複数のケーブルの絶縁被覆部が挿入される複数の第2挿入溝からなることが好ましい。
【0009】
複数のケーブルに対応し且つ複数の第2挿入溝から伸長方向に延びる複数の金属端子を備え、複数の金属端子は、それぞれ、配列方向および伸長方向に直交する垂直方向に湾曲する湾曲部と、湾曲部に形成され且つ対応するケーブルの導体部が挿入される導体部挿入溝を有するように構成することができる。
【0010】
複数の第1規制部は、それぞれ、導体部挿入溝から形成されることができる。
あるいは、複数の金属端子は、それぞれ、伸長方向における先端部に形成され且つ対応するケーブルの導体部が挿入される導体部挿入孔または導体部挿入スリットを有し、複数の第1規制部は、それぞれ、導体部挿入孔または導体部挿入スリットから形成されてもよい。
さらに、ロケータは、第2ビームから伸長方向に間隔を隔てて配置され且つ配列方向に延びて一対の支持部材を互いに連結する第1ビームを有し、複数の第1規制部は、第1ビームに配列形成され且つ複数のケーブルの先端部における絶縁被覆部が挿入される複数の第1挿入溝からなるように構成することもできる。
この場合、複数の第1挿入溝は、複数の第2挿入溝に対して垂直方向に所定の段差を有することが好ましい。
【0011】
複数の金属端子は、それぞれ、湾曲部に連結され且つ対応する第2挿入溝の底部に固定される固定部を有し、湾曲部は、固定部に対して垂直方向に絶縁被覆部の厚さに相当する高低差を有することが好ましい。
また、複数の金属端子は、それぞれ、伸長方向における先端部に形成され且つ対応するケーブルの導体部を基板にはんだ接続するための加熱装置に接触する被加熱部を有することが好ましい。
【0012】
ロケータは、第2ビームから伸長方向に間隔を隔てて配置され且つ配列方向に延びて一対の支持部材を互いに連結する第1ビームを有し、複数の第1規制部は、第1ビームに配列形成され且つ複数のケーブルの先端部における絶縁被覆部が挿入される複数の第1挿入溝からなるように構成することもできる。
複数の第1挿入溝は、複数の第2挿入溝に対して垂直方向に所定の段差を有することが好ましい。
【0013】
この発明に係るケーブル構造体は、
所定の配列方向に配列され且つそれぞれ導体部の外周が絶縁被覆部により覆われている複数のケーブルと、
配列方向に配列された複数の接続部を有する基板と、
上記のケーブル接続部品と
を備え、
複数の第1規制部から複数の第2規制部の間において複数のケーブルから露出された複数の導体部が基板の複数の接続部にはんだ接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、ケーブル接続部品が、配列方向に延びるロケータに配置され且つ複数のケーブルの伸長方向における先端部の少なくとも配列方向における移動をそれぞれ規制する複数の第1規制部と、ロケータに配置され且つ複数のケーブルの先端部から伸長方向に沿って所定距離だけ複数のケーブルの基端側に離れた位置において複数のケーブルの少なくとも配列方向における移動をそれぞれ規制する複数の第2規制部とを備え、複数の第1規制部から複数の第2規制部の間において複数のケーブルから露出された複数の導体部が基板の複数の接続部にはんだ接続されるので、基板の複数の接続部に対する位置ずれを防止しつつ、複数のケーブルを複数の接続部に接続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態1に係るケーブル構造体を示す斜視図である。
図2】実施の形態1で用いられるケーブル接続部品を示す斜視図である。
図3】実施の形態1で用いられるケーブル接続部品の金属端子を示す斜視図である。
図4】実施の形態1で用いられるケーブル接続部品を示す断面図である。
図5】実施の形態1で用いられるケーブルを示す斜視図である。
図6】実施の形態1で用いられる基板を斜め下方から見た斜視図である。
図7】実施の形態1において複数のケーブルが配置されたケーブル接続部品を示す斜視図である。
図8】実施の形態1において複数のケーブルが配置されたケーブル接続部品に基板が位置合わせされた状態を示す斜視図である。
図9】実施の形態1において複数のケーブルが配置されたケーブル接続部品に基板が配置された状態を示す斜視図である。
図10】実施の形態1において複数のケーブルおよび基板が配置されたケーブル接続部品に対して加熱装置が配置された状態を示す斜視図である。
図11】実施の形態1において複数のケーブルの導体部が基板にはんだ接続された状態を示す斜視図である。
図12図11の要部拡大図である。
図13】実施の形態1に係るケーブル構造体を示す断面図である。
図14】実施の形態1の変形例で用いられるケーブル接続部品の金属端子を示す斜視図である。
図15】実施の形態1の変形例に係るケーブル構造体を示す断面図である。
図16】実施の形態1の他の変形例で用いられるケーブル接続部品の金属端子を示す斜視図である。
図17】実施の形態2に係るケーブル構造体を示す斜視図である。
図18】実施の形態2で用いられるケーブル接続部品を示す斜視図である。
図19】実施の形態2で用いられるケーブル接続部品の金属端子を示す斜視図である。
図20】実施の形態2で用いられるケーブル接続部品を示す断面図である。
図21】実施の形態2で用いられるケーブルを示す斜視図である。
図22】実施の形態2において複数のケーブルが配置されたケーブル接続部品を示す斜視図である。
図23】実施の形態2において複数のケーブルが配置されたケーブル接続部品に基板が位置合わせされた状態を示す斜視図である。
図24】実施の形態2において複数のケーブルおよび基板が配置されたケーブル接続部品に対して加熱装置が配置された状態を示す斜視図である。
図25】実施の形態2において複数のケーブルの導体部が基板にはんだ接続された状態を示す斜視図である。
図26図25の要部拡大図である。
図27】実施の形態2に係るケーブル構造体を示す断面図である。
図28】実施の形態3に係るケーブル構造体を示す斜視図である。
図29】実施の形態3で用いられるケーブル接続部品を示す斜視図である。
図30】実施の形態3で用いられるケーブル接続部品を示す断面図である。
図31】実施の形態3において複数のケーブルが配置されたケーブル接続部品を示す斜視図である。
図32】実施の形態3においてケーブル接続部品の複数の第1規制部と複数の第2規制部の間における複数のケーブルの絶縁被覆部が除去された状態を示す斜視図である。
図33】実施の形態3において複数のケーブルが配置されたケーブル接続部品に基板が位置合わせされた状態を示す斜視図である。
図34】実施の形態3において複数のケーブルが配置されたケーブル接続部品に基板が配置された状態を示す斜視図である。
図35】実施の形態3において複数のケーブルおよび基板が配置されたケーブル接続部品に対して加熱装置が配置された状態を示す斜視図である。
図36】実施の形態3において複数のケーブルの導体部が基板にはんだ接続された状態を示す斜視図である。
図37図36の要部拡大図である。
図38】実施の形態3に係るケーブル構造体を示す断面図である。
図39】従来のケーブル構造体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に実施の形態1に係るケーブル構造体を示す。ケーブル構造体は、ケーブル接続部品11を用いて複数のケーブル21をシート状の基板31に接続したものである。
【0017】
複数のケーブル21は、所定の配列方向に配列され、それぞれ、基板31の表面と平行に、配列方向に対して直交する方向に延びている。それぞれのケーブル21は、導体部21Aの外周が絶縁被覆部21Bにより覆われた構造を有している。ケーブル接続部品11により、複数のケーブル21の導体部21Aが、基板31の後述する複数の接続部に電気的に接続される。なお、ケーブル21の導体部21Aは、1本の導体により構成される、いわゆる単線、および、複数本の導体を撚り合わせて構成される、いわゆる撚り線のいずれであってもよい。
ケーブル接続部品11は、複数のケーブル21の配列方向に沿って延びている。
【0018】
ここで、便宜上、基板31がXY面に沿って延び、複数のケーブル21の配列方向をX方向、それぞれのケーブル21がケーブル接続部品11に向かって延びる方向を+Y方向、XY面に直交する方向をZ方向と呼ぶことにする。
【0019】
図2に示されるように、ケーブル接続部品11は、X方向に延び且つ絶縁性樹脂からなるロケータ12と、ロケータ12に取り付けられた複数の金属端子13を備えている。
ロケータ12は、X方向の両端に配置される一対の支持部材12Aと、X方向に延び且つ一対の支持部材12Aを互いに連結する第2ビーム12Bを有している。
【0020】
一対の支持部材12Aは、それぞれ、XY面に沿って延び且つ+Z方向を向いた基板搭載面12Cを有し、基板搭載面12Cの中央部に+Z方向に向かって突出するボス12Dが形成されている。
【0021】
第2ビーム12Bには、X方向に配列され且つそれぞれ+Z方向に向かって開いている複数の第2挿入溝12Eが形成されている。複数の第2挿入溝12Eは、複数のケーブル21に対応しており、それぞれ、ケーブル21の絶縁被覆部21Bが挿入可能な溝幅および溝深さを有し、第2挿入溝12Eに挿入されたケーブル21の少なくともX方向における移動をそれぞれ規制することができるように構成されている。
【0022】
複数の金属端子13は、複数のケーブル21および複数の第2挿入溝12Eに対応しており、図3に示されるように、金属端子13の-Y方向端部には、平板状の固定部13Aが形成されている。固定部13Aの+Y方向端部には、+Z方向に向かって凸となるように湾曲する湾曲部13Bが連結され、さらに、金属端子13の+Y方向端部には、湾曲部13Bに連結された平板状の被加熱部13Cが形成されている。
【0023】
固定部13Aは、圧入またはインサート成形により、ロケータ12の第2ビーム12Bの対応する第2挿入溝12Eの底部に保持されることで、金属端子13を第2ビーム12Bに固定するものである。
【0024】
湾曲部13Bの頂部の+Z方向側の表面には、Y方向に沿って導体部挿入溝13Dが形成されている。この導体部挿入溝13Dは、ケーブル21の導体部21Aが挿入可能な溝幅を有しており、対応するケーブル21から引き出されて露出された導体部21Aが導体部挿入溝13Dに挿入されることで、X方向における導体部21Aの移動が規制されることとなる。
【0025】
図4に示されるように、金属端子13は、第2ビーム12Bの対応する第2挿入溝12Eから+Y方向に延びる、いわゆる片持ち梁の形状を有しており、湾曲部13Bは、固定部13Aに対してZ方向に所定の高低差を有している。具体的には、第2ビーム12Bの第2挿入溝12Eの底部に固定された固定部13Aの+Z方向側の表面と、湾曲部13Bの頂部に形成された導体部挿入溝13Dの底面との間に、ケーブル21の絶縁被覆部21Bの厚さに相当する高低差H1が形成されている。
【0026】
また、金属端子13の湾曲部13Bの+Y方向側に配置されている被加熱部13Cは、固定部13Aよりも+Z方向側に偏位しており、ケーブル構造体を組み立てる際に、図示しない加熱装置の加熱部に接触して加熱されることで、導体部挿入溝13Dに挿入されているケーブル21の導体部21Aを基板31の接続部にはんだ接続するためのものである。
【0027】
図5に示されるように、ケーブル21の+Y方向端部には、所定長さの絶縁被覆部21Bが除去されることにより導体部21Aが露出された導体露出部P1が形成されている。
【0028】
図4に示されるケーブル接続部品11において、複数の金属端子13の導体部挿入溝13Dにより、複数のケーブル21の+Y方向の先端部に露出する導体部21Aの少なくともX方向における移動をそれぞれ規制する複数の第1規制部が形成され、ロケータ12の第2ビーム12Bの複数の第2挿入溝12Eにより、複数のケーブル21の先端部から所定距離だけ複数のケーブル21の基端側である-Y方向に離れた位置において複数のケーブル21の絶縁被覆部21Bの少なくともX方向における移動をそれぞれ規制する複数の第2規制部が形成されている。
【0029】
図6に示されるように、基板31は、例えば、いわゆるFPC(フレキシブルプリント回路基板)からなり、絶縁性材料からなるシート本体31Aを有し、シート本体31Aの-Z方向を向いた表面上に、基板31の-Y方向の縁部に沿ってX方向に配列され且つそれぞれフレキシブル導体から形成された複数の接続部31Bが露出している。複数の接続部31Bは、複数のケーブル21および複数の金属端子13に対応している。
【0030】
なお、基板31は、FPCに限るものではなく、いわゆるプリント基板等の可撓性を有しないリジッド(硬質)基板であってもよい。
また、基板31のX方向の両端部には、ロケータ12の一対のボス12Dに対応する一対の貫通孔31Cが形成されている。
【0031】
ケーブル構造体を組み立てる際には、まず、図7に示されるように、ケーブル接続部品11のロケータ12に複数のケーブル21が配置される。このとき、それぞれのケーブル21の絶縁被覆部21Bが、ロケータ12の対応する第2挿入溝12Eに挿入され、ケーブル21の+Y方向端部における導体露出部P1の導体部21Aが、対応する金属端子13の湾曲部13Bの+Z方向側に位置し、導体部21Aの一部が、湾曲部13Bの導体部挿入溝13Dに挿入される。
【0032】
すなわち、複数のケーブル21の+Y方向の先端部に露出する導体部21Aが、それぞれ、対応する金属端子13の導体部挿入溝13D(第1規制部)に挿入され、複数のケーブル21の+Y方向の先端部から所定距離だけ-Y方向に離れた位置における絶縁被覆部21Bが、それぞれ、第2ビーム12Bの対応する第2挿入溝12E(第2規制部)に挿入される。
【0033】
次に、図8に示されるように、複数のケーブル21が配置されたケーブル接続部品11の+Z方向側に基板31が配置される。これにより、複数の接続部31Bが露出している基板31の-Z方向を向いた表面に、ロケータ12の一対の支持部材12Aの基板搭載面12Cが対向する。
なお、基板31の-Z方向を向いた表面に露出している複数の接続部31Bには、予めクリームはんだ31Dが印刷されている。
【0034】
さらに、基板31およびケーブル接続部品11を相対的にZ方向に移動させることにより、図9に示されるように、ロケータ12の一対の支持部材12Aの基板搭載面12Cに基板31が搭載される。このとき、基板31の一対の貫通孔31Cが、図2に示されるロケータ12の一対のボス12Dにそれぞれ嵌め合わされることで、基板31は、ケーブル接続部品11に対して位置合わせされる。これにより、ケーブル接続部品11の複数の金属端子13の湾曲部13Bの+Z方向側に配置されている複数のケーブル21の導体部21Aが、基板31の複数の接続部31Bの-Z方向側に位置する状態となる。
【0035】
なお、複数の金属端子13が基板31の複数の接続部31Bに対して相対的に-Z方向に移動しないように、図示しない治具により、ロケータ12を基板31に対して固定することが望ましい。また、基板31の一対の貫通孔31Cに嵌め合わされたロケータ12の一対のボス12Dにより、ロケータ12が基板31に対してZ方向に固定されるように構成することもできる。
この状態で、図10に示されるように、-Z方向側から複数の金属端子13の上に加熱装置41が配置される。加熱装置41としては、例えば、いわゆるパルスヒート方式の加熱装置を用いることができ、加熱装置41の+Z方向端部に形成され且つX方向に延びる図示しない加熱部が、複数の金属端子13に接触するように配置される。なお、加熱装置41の加熱部は、図4に示される金属端子13の被加熱部13Cに接触する。
【0036】
加熱装置41に接続された図示しない電源装置から加熱装置41に電流が流されることにより、加熱部に接触している複数の金属端子13が加熱され、基板31の複数の接続部31Bに印刷されているクリームはんだ31Dが溶融し、図11に示されるように、複数の金属端子13が基板31の複数の接続部31Bにそれぞれはんだ付けされる。
このとき、図12に示されるように、それぞれの金属端子13の湾曲部13Bと基板31の対応する接続部31Bとの間に位置しているケーブル21の導体部21Aは、金属端子13と共にはんだ31Eにより接続部31Bにはんだ付けされ、接続部31Bに電気的に接続されることとなる。
これにより、ケーブル構造体の組み立てが完了する。
【0037】
組み立てられたケーブル構造体の断面図を図13に示す。ケーブル21の+Y方向の先端部における導体露出部P1に露出する導体部21Aが、金属端子13の導体部挿入溝13Dに挿入され、ケーブル21の+Y方向の先端部から所定距離だけ-Y方向に離れた位置における絶縁被覆部21Bが、第2ビーム12Bの第2挿入溝12Eに挿入された状態で、導体部挿入溝13Dに挿入されている導体部21Aは、はんだ31Eにより基板31の接続部31Bに電気的に接続される。
【0038】
ケーブル21の導体露出部P1の導体部21Aが金属端子13の湾曲部13Bの導体部挿入溝13Dに挿入されることで、導体部21AのX方向への移動が規制され、また、導体部挿入溝13Dが存在しない場合に比べて、湾曲部13Bの頂部と基板31の接続部31Bとの間のZ方向の間隔が狭まり、金属端子13が接続部31Bにはんだ付けされやすくなる。このため、ケーブル21の導体部21Aと基板31の接続部31Bを、信頼性よく電気的に接続することが可能となる。
【0039】
このように、第1規制部を構成する金属端子13の導体部挿入溝13Dと第2規制部を構成する第2ビーム12Bの第2挿入溝12Eにより、互いにY方向に離間した2か所の位置でケーブル21の少なくともX方向における移動をそれぞれ規制しつつ、ケーブル21の導体部21Aが基板31の接続部31Bに電気的に接続されているため、基板31の複数の接続部31Bに対する位置ずれを防止しつつ、複数のケーブル21を複数の接続部31Bに接続することが可能となる。
また、金属端子13を用いてケーブル21の導体部21Aを基板31の接続部31Bに接続するため、複数のケーブル21を優れた保持強度で基板31に接続することが可能となる。
【0040】
なお、金属端子13の代わりに、図14に示される金属端子43を用いることもできる。金属端子43は、図3に示される金属端子13において、平板状の被加熱部13Cの代わりに、-Z方向に向かって凸となるように湾曲する被加熱部43Cが湾曲部13Bの+Y方向端部に連結され、さらに、被加熱部43Cから+Y方向および+Z方向に向かって斜めに傾斜部43Eが延び、傾斜部43Eに金属端子43を貫通する導体部挿入孔43Fが形成されたものである。
導体部挿入孔43Fは、ケーブル21の導体部21Aが通されることで、ケーブル21の+Y方向の先端のX方向における移動を規制する第1規制部として機能する。
【0041】
図15に示されるように、金属端子43は、図3に示される金属端子13と同様に、ロケータ12の第2ビーム12Bの第2挿入溝12Eの底部に固定される。ケーブル21の絶縁被覆部21Bが、ロケータ12の第2挿入溝12Eに挿入され、ケーブル21の導体露出部P1における導体部21Aが、金属端子43の湾曲部13Bの導体部挿入溝13Dに挿入され、導体部21Aの先端が、金属端子43の傾斜部43Eの導体部挿入孔43Fを貫通した状態で、金属端子43と導体部21Aが基板31の接続部31Bにはんだ付けされる。
なお、はんだ付けの際には、図10に示される加熱装置41の加熱部が、金属端子43の被加熱部43Cに接触することで、金属端子43が加熱される。
【0042】
金属端子13を用いたケーブル構造体では、金属端子13の湾曲部13Bの導体部挿入溝13Dが、ケーブル21の+Y方向の先端部に露出する導体部21Aの少なくともX方向における移動を規制する第1規制部を形成しているが、金属端子43においては、傾斜部43Eの導体部挿入孔43Fが第1規制部を形成している。ただし、湾曲部13Bの導体部挿入溝13Dの存在により、導体部21Aは基板31の接続部31Bに対して適正な位置に接触し、さらに、湾曲部13Bの頂部と基板31の接続部31Bとの間のZ方向の間隔が狭まって金属端子13が接続部31Bにはんだ付けされやすくなり、ケーブル21の導体部21Aと基板31の接続部31Bの電気的接続の信頼性が向上する。
このような金属端子43を用いても、同様にして、基板31の複数の接続部31Bに対する位置ずれを防止しつつ、複数のケーブル21を複数の接続部31Bに接続することが可能となり、また、複数のケーブル21を優れた保持強度で基板31に接続することが可能となる。
【0043】
また、図16に示される金属端子44を用いることもできる。金属端子44は、金属端子43と同様に、-Z方向に向かって凸となるように湾曲する被加熱部44Cが湾曲部13Bの+Y方向端部に連結され、被加熱部44Cから+Y方向および+Z方向に向かって斜めに傾斜部44Eが延び、傾斜部44Eに導体部挿入スリット44Fが形成されたものである。
導体部挿入スリット44Fは、ケーブル21の導体部21Aが挿入されることで、ケーブル21の+Y方向の先端のX方向における移動を規制する第1規制部として機能する。
このような金属端子44を用いても、同様にして、基板31の複数の接続部31Bに対する位置ずれを防止しつつ、複数のケーブル21を複数の接続部31Bに接続することが可能となり、また、複数のケーブル21を優れた保持強度で基板31に接続することが可能となる。
【0044】
実施の形態2
図17に実施の形態2に係るケーブル構造体を示す。このケーブル構造体は、実施の形態1のケーブル構造体において、ケーブル接続部品11の代わりにケーブル接続部品51を用いて、複数のケーブル21をシート状の基板31に接続したものである。ケーブル21は、導体部21Aの外周が絶縁被覆部21Bにより覆われた構造を有し、基板31は、実施の形態1において用いられたものと同一である。
【0045】
図18に示されるように、ケーブル接続部品51は、X方向に延び且つ絶縁性樹脂からなるロケータ52と、ロケータ52に取り付けられた複数の金属端子53を備えている。
ロケータ52は、X方向の両端に配置される一対の支持部材52Aと、X方向に延び且つ一対の支持部材52Aを互いに連結する第2ビーム12Bと、第2ビーム12Bから+Y方向に間隔を隔てて配置され且つX方向に延び且つ一対の支持部材52Aを互いに連結する第1ビーム52Bを有している。
【0046】
ロケータ52の一対の支持部材52Aは、それぞれ、実施の形態1におけるロケータ12の支持部材12Aよりも長いY方向長さを有しているが、支持部材12Aと同様に、XY面に沿って延び且つ+Z方向を向いた基板搭載面12Cを有し、基板搭載面12Cの中央部に+Z方向に向かって突出するボス12Dが形成されている。
ロケータ52の第2ビーム12Bは、実施の形態1におけるロケータ12の第2ビーム12Bと同一のものであり、X方向に配列された複数の第2挿入溝12Eを有している。
【0047】
また、ロケータ52の第1ビーム52Bは、第2ビーム12Bに対して平行にX方向に延びており、第2ビーム12BよりもY方向の長さは短いものの、第2ビーム12Bと同様に、X方向に配列された複数の第1挿入溝52Eを有している。複数の第1挿入溝52Eは、複数のケーブル21および複数の第2挿入溝12Eに対応しており、それぞれの第1挿入溝52Eは、ケーブル21の絶縁被覆部21Bの外周面に対応する円筒形状の底面を有している。また、第1挿入溝52Eは、第2挿入溝12Eと同様に、ケーブル21の絶縁被覆部21Bが挿入可能な溝幅および溝深さを有し、第1挿入溝52Eに挿入されたケーブル21の少なくともX方向における移動を規制することができるように構成されている。
【0048】
複数の金属端子53は、複数のケーブル21、複数の第2挿入溝12Eおよび複数の第1挿入溝52Eに対応している。それぞれの金属端子53は、図19に示されるように、平板状の固定部13Aと、固定部13Aの+Y方向側に連結された湾曲部53Bと、湾曲部53Bの+Y方向側に連結された平板状の被加熱部13Cを有している。すなわち、金属端子53は、実施の形態1で用いられた金属端子13において、湾曲部13Bの代わりに湾曲部53Bが固定部13Aと被加熱部13Cの間に配置されたものであり、湾曲部13Bの頂部の+Z方向側の表面には、実施の形態1における金属端子13と同様に、導体部挿入溝13Dが形成されている。
【0049】
図20に示されるように、金属端子53は、第2ビーム12Bの対応する第2挿入溝12Eから+Y方向に延びる、いわゆる片持ち梁の形状を有しており、湾曲部53Bは、固定部13Aに対してケーブル21の絶縁被覆部21Bの厚さに相当する高低差H1を有している。湾曲部53Bの+Y方向側に連結された被加熱部13Cは、固定部13Aと同じZ方向位置に配置されている。
また、金属端子53の+Y方向側にロケータ52の第1ビーム52Bに形成された第1挿入溝52Eが位置しており、第1挿入溝52Eは、第2ビーム12Bに形成された第2挿入溝12Eに対して-Y方向に偏位する所定の段差H2を有している。
【0050】
図21に示されるように、実施の形態2で用いられるケーブル21は、+Y方向端部から所定の距離だけ-Y方向に隔てた位置において、絶縁被覆部21Bが除去されることにより導体部21Aが所定のY方向長さにわたって露出された導体露出部P1が形成されたものである。すなわち、ケーブル21の+Y方向端部の手前の導体露出部P1における導体部21Aが露出し、導体露出部P1よりも+Y方向側および-Y方向側においては、絶縁被覆部21Bが除去されることなく残留した状態にある。
【0051】
図20に示されるケーブル接続部品51において、ロケータ52の第1ビーム52Bに形成された第1挿入溝52Eにより、複数のケーブル21の+Y方向の先端部における絶縁被覆部21Bの少なくともX方向における移動をそれぞれ規制する複数の第1規制部が形成され、ロケータ52の第2ビーム12Bの複数の第2挿入溝12Eにより、複数のケーブル21の先端部から所定距離だけ複数のケーブル21の基端側である-Y方向に離れた位置において複数のケーブル21の絶縁被覆部21Bの少なくともX方向における移動をそれぞれ規制する複数の第2規制部が形成されている。
【0052】
ケーブル構造体を組み立てる際には、まず、図22に示されるように、ケーブル接続部品51のロケータ52に複数のケーブル21が配置される。このとき、それぞれのケーブル21の+Y方向の先端部における絶縁被覆部21Bが、ロケータ52の対応する第1挿入溝52E(第1規制部)に挿入され、ケーブル21の導体露出部P1に露出している導体部21Aが、対応する金属端子53の湾曲部53Bの+Z方向側に位置して湾曲部53Bの導体部挿入溝13Dに挿入され、導体露出部P1よりも-Y方向側における絶縁被覆部21Bが、ロケータ52の対応する第2挿入溝12E(第2規制部)に挿入される。
【0053】
次に、図23に示されるように、複数のケーブル21が配置されたケーブル接続部品51の+Z方向側に基板31が配置される。これにより、複数の接続部31Bが露出している基板31の-Z方向を向いた表面に、ロケータ52の一対の支持部材52Aの基板搭載面12Cが対向する。
なお、基板31の-Z方向を向いた表面に露出している複数の接続部31Bには、予めクリームはんだ31Dが印刷されている。
【0054】
さらに、基板31およびケーブル接続部品51を相対的にZ方向に移動させることにより、ロケータ52の一対の支持部材52Aの基板搭載面12Cに基板31が搭載された状態で、図24に示されるように、-Z方向側から複数の金属端子53の上に加熱装置41が配置される。加熱装置41の加熱部は、図20に示される金属端子13の被加熱部13Cに接触する。
なお、ロケータ52の一対の支持部材52Aの基板搭載面12Cに基板31が搭載されたときには、複数の金属端子53が基板31の複数の接続部31Bに対して相対的に-Z方向に移動しないように、図示しない治具により、ロケータ52を基板31に対して固定することが望ましい。
【0055】
加熱装置41に接続された図示しない電源装置から加熱装置41に電流が流されることにより、加熱部に接触している複数の金属端子53が加熱され、基板31の複数の接続部31Bに印刷されているクリームはんだ31Dが溶融し、図25に示されるように、複数の金属端子53が基板31の複数の接続部31Bにそれぞれはんだ付けされる。
このとき、図26に示されるように、それぞれの金属端子53の湾曲部53Bと基板31の対応する接続部31Bとの間に位置しているケーブル21の導体部21Aは、金属端子53と共にはんだ31Eにより接続部31Bにはんだ付けされ、接続部31Bに電気的に接続されることとなる。
これにより、ケーブル構造体の組み立てが完了する。
【0056】
組み立てられたケーブル構造体の断面図を図27に示す。ケーブル21の+Y方向の先端部における絶縁被覆部21Bが、ロケータ52の第1ビーム52Bの第1挿入溝52Eに挿入され、導体露出部P1よりも-Y方向側における絶縁被覆部21Bが、第2ビーム12Bの第2挿入溝12Eに挿入された状態で、金属端子53の導体部挿入溝13Dに挿入されている導体露出部P1の導体部21Aは、はんだ31Eにより基板31の接続部31Bに電気的に接続される。
【0057】
ケーブル21の導体部21Aが金属端子53の湾曲部53Bの導体部挿入溝13Dに挿入されることで、導体露出部P1における導体部21AのX方向への移動が規制され、また、導体部挿入溝13Dが存在しない場合に比べて、湾曲部53Bの頂部と基板31の接続部31Bとの間のZ方向の間隔が狭まり、金属端子53が接続部31Bにはんだ付けされやすくなる。このため、ケーブル21の導体部21Aと基板31の接続部31Bを、信頼性よく電気的に接続することが可能となる。
【0058】
このように、第1規制部を構成する第1ビーム52Bの第1挿入溝52Eと第2規制部を構成する第2ビーム12Bの第2挿入溝12Eにより、互いにY方向に離間した2か所の位置でケーブル21の少なくともX方向における移動をそれぞれ規制しつつ、ケーブル21の導体部21Aが基板31の接続部31Bに電気的に接続されているため、実施の形態2においても、基板31の複数の接続部31Bに対する位置ずれを防止しつつ、複数のケーブル21を複数の接続部31Bに接続することが可能となる。また、金属端子53を用いてケーブル21の導体部21Aを基板31の接続部31Bに接続するため、複数のケーブル21を優れた保持強度で基板31に接続することが可能となる。
【0059】
実施の形態3
図28に実施の形態3に係るケーブル構造体を示す。このケーブル構造体は、実施の形態2のケーブル構造体において、ケーブル接続部品51の代わりにケーブル接続部品61を用いて、複数のケーブル21をシート状の基板31に接続したものである。ケーブル21は、導体部21Aの外周が絶縁被覆部21Bにより覆われた構造を有し、基板31は、実施の形態1および2において用いられたものと同一である。
【0060】
図29に示されるように、ケーブル接続部品61は、X方向に延び且つ絶縁性樹脂からなるロケータ62を備えている。
ロケータ62は、X方向の両端に配置される一対の支持部材52Aと、X方向に延び且つ一対の支持部材52Aを互いに連結する第2ビーム62Bと、第2ビーム62Bから+Y方向に間隔を隔てて配置され且つX方向に延び且つ一対の支持部材52Aを互いに連結する第1ビーム52Bを有している。
【0061】
ロケータ62の一対の支持部材52Aは、実施の形態2におけるロケータ52の一対の支持部材52Aと同一のものであり、それぞれ、XY面に沿って延び且つ+Z方向を向いた基板搭載面12Cと、基板搭載面12Cの中央部に形成され且つ+Z方向に向かって突出するボス12Dを有している。
ロケータ62の第1ビーム52Bは、実施の形態2におけるロケータ52の第1ビーム52Bと同一のものであり、X方向に配列された複数の第1挿入溝52Eを有している。
【0062】
ロケータ62の第2ビーム62Bは、実施の形態2におけるロケータ52の第2ビーム12Bと同様に、X方向に配列された複数の第2挿入溝62Eを有しているが、それぞれの第2挿入溝62Eは、ケーブル21の絶縁被覆部21Bの外周面に対応する円筒形状の底面を有している。
【0063】
図30に示されるように、第1ビーム52Bの第1挿入溝52Eは、第2ビーム62Bに形成された第2挿入溝62Eに対して-Y方向に偏位する所定の段差H2を有している。
なお、実施の形態3におけるケーブル接続部品61は、実施の形態1および2で用いられるような金属端子を有していない。
【0064】
図30に示されるケーブル接続部品61において、ロケータ62の第1ビーム52Bに形成された第1挿入溝52Eにより、複数のケーブル21の+Y方向の先端部における絶縁被覆部21Bの少なくともX方向における移動をそれぞれ規制する複数の第1規制部が形成され、ロケータ62の第2ビーム62Bの複数の第2挿入溝62Eにより、複数のケーブル21の先端部から所定距離だけ複数のケーブル21の基端側である-Y方向に離れた位置において複数のケーブル21の絶縁被覆部21Bの少なくともX方向における移動をそれぞれ規制する複数の第2規制部が形成されている。
【0065】
ケーブル構造体を組み立てる際には、まず、図31に示されるように、ケーブル接続部品61のロケータ62に複数のケーブル21が配置される。このとき、複数のケーブル21は、絶縁被覆部21Bが除去されることにより導体部21Aが露出する導体露出部を有していない。
それぞれのケーブル21の+Y方向の先端部における絶縁被覆部21Bが、ロケータ62の対応する第1挿入溝52E(第1規制部)に挿入され、ケーブル21の+Y方向の先端部から所定距離だけ-Y方向側に離れた位置における絶縁被覆部21Bが、ロケータ62の対応する第2挿入溝62E(第2規制部)に挿入される。
【0066】
この状態で、ロケータ62の第1ビーム52Bと第2ビーム62Bの間に位置する複数のケーブル21の外周面に対してレーザ光を照射することにより、複数のケーブル21の絶縁被覆部21Bが除去される。これにより、図32に示されるように、それぞれのケーブル21の、第1ビーム52Bの第1挿入溝52Eに挿入されている部分と第2ビーム62Bの第2挿入溝62Eに挿入されている部分との間に、導体部21Aが露出された導体露出部P1が形成される。
【0067】
次に、図33に示されるように、複数のケーブル21が配置されたケーブル接続部品61の+Z方向側に基板31が配置される。これにより、複数の接続部31Bが露出している基板31の-Z方向を向いた表面に、ロケータ62の一対の支持部材52Aの基板搭載面12Cが対向する。
なお、基板31の-Z方向を向いた表面に露出している複数の接続部31Bには、予めクリームはんだ31Dが印刷されている。
【0068】
さらに、基板31およびケーブル接続部品61を相対的にZ方向に移動させることにより、図34に示されるように、ロケータ62の一対の支持部材52Aの基板搭載面12Cに基板31が搭載される。これにより、ケーブル接続部品61に保持されている複数のケーブル21の導体露出部P1に露出している導体部21Aが、基板31の複数の接続部31Bの-Z方向側に位置する状態となる。
【0069】
なお、複数のケーブル21の導体露出部P1に露出している導体部21Aが基板31の複数の接続部31Bに対して相対的に-Z方向に移動しないように、図示しない治具により、ロケータ62を基板31に対して固定することが望ましい。
この状態で、図35に示されるように、ケーブル接続部品61に対して-Z方向側から加熱装置41が配置される。図35には示されていないが、加熱装置41は、複数のケーブル21の導体露出部P1の上に配置され、加熱装置41の加熱部は、複数のケーブル21の導体露出部P1に露出している導体部21Aに接触する。
【0070】
加熱装置41を+Z方向に押し付けながら、加熱装置41に接続された図示しない電源装置から加熱装置41に電流が流されることにより、加熱部に接触している複数のケーブル21の導体部21Aが加熱され、基板31の複数の接続部31Bに印刷されているクリームはんだ31Dが溶融し、図36に示されるように、複数のケーブル21の導体部21Aが基板31の複数の接続部31Bにそれぞれはんだ付けされる。
このとき、図37に示されるように、それぞれのケーブル21の導体露出部P1に露出している導体部21Aは、はんだ31Eにより接続部31Bにはんだ付けされ、接続部31Bに電気的に接続されることとなる。
これにより、ケーブル構造体の組み立てが完了する。
【0071】
組み立てられたケーブル構造体の断面図を図38に示す。ケーブル21の+Y方向の先端部における絶縁被覆部21Bが、ロケータ62の第1ビーム52Bの第1挿入溝52Eに挿入され、ケーブル21の+Y方向の先端部から所定距離だけ-Y方向側に離れた位置における絶縁被覆部21Bが、第2ビーム62Bの第2挿入溝62Eに挿入された状態で、加熱装置41により+Z方向に押し付けられながらはんだ付けされたケーブル21の導体露出部P1の導体部21Aが、はんだ31Eにより基板31の接続部31Bに電気的に接続される。
【0072】
このように、第1規制部を構成する第1ビーム52Bの第1挿入溝52Eと第2規制部を構成する第2ビーム62Bの第2挿入溝62Eにより、互いにY方向に離間した2か所の位置でケーブル21の少なくともX方向における移動をそれぞれ規制しつつ、ケーブル21の導体部21Aが基板31の接続部31Bに電気的に接続されているため、実施の形態3においても、基板31の複数の接続部31Bに対する位置ずれを防止しつつ、複数のケーブル21を複数の接続部31Bに接続することが可能となる。
また、実施の形態3では、複数の金属端子を使用しないため、部品点数が削減された簡単な構造のケーブル構造体を実現することができる。
【0073】
なお、上記の実施の形態3では、ロケータ62の第1ビーム52Bと第2ビーム62Bの間に位置する複数のケーブル21の外周面に対してレーザ光を照射することにより、複数のケーブル21に導体露出部P1を形成したが、これに限るものではない。例えば、切削工具等を用いて、それぞれのケーブル21の絶縁被覆部21Bに切り込みを形成し、絶縁被覆部21Bをケーブル21の先端方向にスライドさせることにより、導体部21Aが露出された導体露出部P1を形成することもできる。
【符号の説明】
【0074】
1 ケーブル、2 基板、3 導体部、4 絶縁被覆部、5 前端部、6 露出部、7 はんだ、8 接続パッド、11,51,61 ケーブル接続部品、12,52,62 ロケータ、12A,52A 支持部材、12B,62B 第2ビーム、12C 基板搭載面、12D ボス、12E,62E 第2挿入溝、13,43,44,53 金属端子、13A 固定部、13B,53B 湾曲部、13C,43C,44C 被加熱部、13D 導体部挿入溝、21 ケーブル、21A 導体部、21B 絶縁被覆部、31 基板、31A シート本体、31B 接続部、31C 貫通孔、31D クリームはんだ、41 加熱装置、43E,44E 傾斜部、43F 導体部挿入孔、44F 導体部挿入スリット、52B 第1ビーム、52E 第1挿入溝、H1 高低差、H2 段差、P1 導体露出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
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図21
図22
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図24
図25
図26
図27
図28
図29
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図32
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図34
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