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特開2024-82485電気集塵装置用電極部材、電気集塵装置の集塵極及び電気集塵装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082485
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】電気集塵装置用電極部材、電気集塵装置の集塵極及び電気集塵装置
(51)【国際特許分類】
   B03C 3/45 20060101AFI20240613BHJP
   B03C 3/40 20060101ALI20240613BHJP
   B03C 3/49 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B03C3/45 Z
B03C3/40 A
B03C3/49
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196365
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】315016723
【氏名又は名称】三菱重工パワー環境ソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅也
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 泰三
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 士朗
(72)【発明者】
【氏名】吉住 理
(72)【発明者】
【氏名】藤川 翔平
【テーマコード(参考)】
4D054
【Fターム(参考)】
4D054AA04
4D054BA01
4D054BC06
4D054BC31
4D054BC40
(57)【要約】
【課題】簡易にゆがみを少なくすることができ、集塵極と放電極の絶縁距離を確実に確保することが可能な電気集塵装置用電極部材、電気集塵装置の集塵極及び電気集塵装置を提供する。
【解決手段】本開示に係る電気集塵装置用電極部材10は、ガス流れ方向に沿って配置される集塵極と、ガス流れ方向に沿って配置され、集塵極に対向して配置される放電極と、を有する電気集塵装置の集塵極に用いられる電気集塵装置用電極部材10であって、中空の柱状であり、長手方向に沿って2本以上配置されるパイプ材6と、長手方向に沿って隣り合うパイプ材6同士を連結する連結部7とを備え、連結部7は、一方向がパイプ材6の長手方向に沿って配置され、一端が一方のパイプ材6の端部とボルト接合され、他端が他方のパイプ材6の端部とボルト接合される取付部11を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流れ方向に沿って配置される集塵極と、前記ガス流れ方向に沿って配置され、前記集塵極に対向して配置される放電極と、を有する電気集塵装置の前記集塵極に用いられる電気集塵装置用電極部材であって、
中空の柱状であり、長手方向に沿って2本以上配置されるパイプ材と、
長手方向に沿って隣り合う前記パイプ材同士を連結する連結部と、
を備え、
前記連結部は、一方向が前記パイプ材の長手方向に沿って配置され、一端が一方の前記パイプ材の端部とボルト接合され、他端が他方の前記パイプ材の端部とボルト接合される取付部を有する電気集塵装置用電極部材。
【請求項2】
前記パイプ材と前記連結部が連結されている状態で、前記取付部は、前記連結部がない同一長さのパイプ材と同等又はそれ以上の剛性を発揮させる部材である請求項1に記載の電気集塵装置用電極部材。
【請求項3】
前記パイプ材は、前記端部の断面形状が第1の方向に比べて前記第1の方向に直交する第2の方向の長さが短い請求項1に記載の電気集塵装置用電極部材。
【請求項4】
請求項1に記載の複数の電気集塵装置用電極部材を有し、前記電極部材がガス流れ方向に沿って所定の間隔をあけて配置された電気集塵装置の集塵極であって、
前記パイプ材は、ガス流れ方向に沿って複数配置され、
前記取付部は、複数の前記パイプ材に対応して、ガス流れ方向に沿って配置され、
前記連結部は、ガス流れ方向に沿って配置された前記取付部を介して複数の前記パイプ材を連結する第1支持部を更に備える電気集塵装置の集塵極。
【請求項5】
前記パイプ材は、ガス流れ方向に対して直交する方向に沿って複数配置され、
前記連結部は、ガス流れ方向に対して直交する方向に沿って間隔をあけて配置された前記第1支持部同士を連結する第2支持部を更に備える請求項4に記載の電気集塵装置の集塵極。
【請求項6】
請求項4に記載の電気集塵装置の集塵極と、
前記集塵極側に突出した複数の放電部を有し、前記ガス流れ方向に沿って配置された放電極と、
を備える電気集塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気集塵装置用電極部材、電気集塵装置の集塵極及び電気集塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電気集塵装置として、ガス流れに沿って平行に配列された平板状の集塵極と、その中央に配列されたコロナ放電部を有する放電極とを備えたものが知られている。放電極のコロナ放電部の形状には、突起形状を持たせて電界の集中を生じさせることでコロナ放電を確保する方式と、放電極本体を一様な電界集中を生じさせる構造、例えば角線や細いピアノ線などがある。以降では、突起状のコロナ放電部を有した構造を前提とする。この構造は、電極が汚れても安定したコロナ放電を確保するため一般産業用の電気集塵装置で主に用いられる。なお、本開示は、角線や細いピアノ線などの一様な電界集中を生じさせる構造を有する放電極本体にも適用できる。
【0003】
電気集塵装置では、集塵極と放電極との間に直流高電圧を印加し、放電極のコロナ放電部で安定したコロナ放電を行うことで、ガス流れ中のダストを帯電させる。帯電したダストは放電極と集塵極との間の電界下でダストに作用するクーロン力の働きにより集塵極に捕集されると、従来の集じん理論では説明されている。
【0004】
電極間に負の電圧を印加した際に、放電極でコロナ放電によりマイナスイオンが発生し、その結果、イオン風が生じる。正の電圧の場合にはプラスのイオンにより生じる。以下、本明細書では、産業用の電気集塵装置をベースに考えるため、負の電圧を印加するケースについて記載するが、正であっても同様である。
【0005】
ガス流れに沿って電極群が配置されている電気集塵装置では、放電極で生じたイオン風は、集塵極に向けて、ガス流れを横切るよう流れる。集塵極に達したイオン風は、集塵極で反転して流れ方向を変える。これにより、電極間にらせん状の乱流が生じる。乱流のうち、放電極から集塵極へと向かう流れは、ダストを集塵極近傍まで運ぶ作用がある。集塵極近傍まで運ばれたダストは、最終的にはクーロン力により捕集される。しかしながら、集塵極で反転したイオン風は、収集体である集塵極から離れる方向へとダストを移動させるため、集塵を阻害するような作用もある。
【0006】
そのため、集塵極に開口部を設け、イオン風の反転を防ぐ手段が有効である。例えば、下記の特許文献1では、集塵極は、円形の横断面を有する中空の柱状とされた円形パイプとされており、このパイプ状の電極(以下「パイプ電極」という。)がガス流れ方向に所定の間隔をあけて配列されている。これにより、イオン風を利用してダストを集塵極近傍に近づけつつ、かつ、放電部から集塵極へ向けて流れるイオン風の一部が集塵極の裏側へ抜けることを許容する。その結果、イオン風が集塵極で反転されて離れる流れを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-28876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
火力発電設備等に設置される比較的大型の電極集塵装置に、上述したパイプ電極からなる集塵極を設置しようとすると、各パイプ電極の長さが12m以上となり、かつ、多数のパイプ電極が必要になる。
【0009】
パイプ電極に用いられるパイプの径は、例えば、30mm以上80mm以下であるが、市販品として12m以上の長さのパイプが製造販売されていない。そのため、12m以上の1本のパイプ電極を用意するためには、コストを掛けて特注品としてパイプを製造するか、市販品の短いパイプを長さ方向に複数本接続する必要がある。
【0010】
短いパイプを接続する方法として溶接接合があるが、集塵時におけるクリーニングのためにパイプ電極を槌打することから、槌打による応力によって溶接箇所から割れ等が生じないように品質の高い溶接が要求される。そのため、溶接作業者の技量管理や溶接箇所を検査する完了検査が必要になり、製作コストが増大する。
【0011】
また、放電極と集塵極の絶縁距離が短い場合、火花放電が発生しやすくなり、電気集塵装置において電圧低下が生じ、その結果、捕集効率が低下する。そのため、放電極と集塵極の絶縁距離が所定以上に確保されるように、パイプ電極の直線度の管理が重要である。しかし、溶接接合によると熱ひずみが生じるため、全体として屈曲した形状となり、溶接箇所の近傍で絶縁距離が短くなるおそれがある。
【0012】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、簡易にゆがみを少なくすることができ、集塵極と放電極の絶縁距離を確実に確保することが可能な電気集塵装置用電極部材、電気集塵装置の集塵極及び電気集塵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本開示の電気集塵装置用電極部材、電気集塵装置の集塵極及び電気集塵装置は以下の手段を採用する。
すなわち、本開示に係る電気集塵装置用電極部材は、ガス流れ方向に沿って配置される集塵極と、前記ガス流れ方向に沿って配置され、前記集塵極に対向して配置される放電極と、を有する電気集塵装置の前記集塵極に用いられる電気集塵装置用電極部材であって、中空の柱状であり、長手方向に沿って2本以上配置されるパイプ材と、長手方向に沿って隣り合う前記パイプ材同士を連結する連結部とを備え、前記連結部は、一方向が前記パイプ材の長手方向に沿って配置され、一端が一方の前記パイプ材の端部とボルト接合され、他端が他方の前記パイプ材の端部とボルト接合される取付部を有する。
【0014】
本開示に係る電気集塵装置の集塵極は、上述した複数の電気集塵装置用電極部材を有し、前記電極部材がガス流れ方向に沿って所定の間隔をあけて配置された電気集塵装置の集塵極であって、前記パイプ材は、ガス流れ方向に沿って複数配置され、前記取付部は、複数の前記パイプ材に対応して、ガス流れ方向に沿って配置され、前記連結部は、ガス流れ方向に沿って配置された前記取付部を介して複数の前記パイプ材を連結する第1支持部を更に備える。
【0015】
本開示に係る電気集塵装置は、上述した電気集塵装置の集塵極と、前記集塵極側に突出した複数の放電部を有し、前記ガス流れ方向に沿って配置された放電極とを備える。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、簡易にゆがみを少なくすることができ、集塵極と放電極の絶縁距離を確実に確保することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置を示す斜視図である。
図2図1の電気集塵装置を上方から見た平面図である。
図3図1の電気集塵装置をガス流れ方向から見た正面図である。
図4】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の集塵極を示す横断面図であり、図5のA-A線で切断した図である。
図5】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の集塵極を示す側面図である。
図6】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の集塵極を示す正面図である。
図7】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の集塵極の連結部を示す斜視図である。
図8】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の集塵極の第1変形例を示す横断面図であり、図9のB-B線で切断した図である。
図9】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の集塵極の第1変形例を示す側面図である。
図10】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の集塵極の第1変形例を示す正面図である。
図11】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の集塵極の第2変形例を示す横断面図であり、図12のC-C線で切断した図である。
図12】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の集塵極の第2変形例を示す側面図である。
図13】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の集塵極の第2変形例を示す正面図である。
図14】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の集塵極の第3変形例を示す横断面図であり、図15のD-D線で切断した図である。
図15】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の集塵極の第3変形例を示す側面図である。
図16】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の集塵極の第3変形例を示す正面図である。
図17】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の集塵極の第4変形例を示す横断面図であり、図18のE-E線で切断した図である。
図18】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の集塵極の第4変形例を示す側面図である。
図19】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の集塵極の第4変形例を示す正面図である。
図20】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の集塵極の第4変形例の連結部を示す斜視図である。
図21】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の集塵極の第5変形例を示す横断面図であり、図22のF-F線で切断した図である。
図22】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の集塵極の第5変形例を示す側面図である。
図23】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の集塵極の第5変形例を示す正面図である。
図24】本開示の一実施形態に係る電気集塵装置の集塵極を示す模式図である。
図25】計測された加速度と槌打位置からの総距離との関係を示すグラフである。
図26】電極の種類ごとの変位を示すグラフである。
図27】電極の種類ごとの応力を示すグラフである。
図28】分割型電極の位置ごとの応力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本開示に係る電気集塵装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
電気集塵装置1は、例えば石炭等を燃料とする火力発電プラントに用いられ、ボイラから導かれた燃焼排ガス中のダスト(粒子状物質)を回収する。
【0019】
電気集塵装置1は、例えば金属製等の導電性とされた集塵極4を備えている。集塵極4は、複数の電極部材10を有し、それぞれの電極部材10は、ガス流れG方向に沿って配置される。すなわち、集塵極4は、ガス流れG方向に沿って配置された複数の電極部材10によって構成される。ガス流れG方向で隣り合う電極部材10は互いに離間しており、電極部材10間には、開口が形成される。
【0020】
電極部材10は、円形の横断面を有する中空の柱状とされた円形パイプとされており、長手方向であるz方向に直交するx方向(ガス流れG方向)に所定の間隔をあけて配列されている。x方向に配列された集塵極4の電極部材10の列は、z方向及びx方向に直交するy方向に所定間隔をあけて平行に複数列設けられている。集塵極4の各列の間に、x-z面内に放電極5が配置されている。図1では、放電極5の取付枠5cの位置が示されている。放電極5は、図1から分かるように、ガス流れG方向に直交するy方向に並ぶ集塵極4の電極部材10間の中央位置CLから一方の集塵極4側(図1ではy方向の右側)にオフセットされている。
【0021】
集塵極4は接地されている。放電極5は、図示しない負の極性を有する電源に接続されている。なお、放電極5に接続する電源は正の極性を有していてもよい。なお、集塵極4は、金属製に限定されず、例えばCFRP(炭素繊維強化プラスチック)、CFRTP(炭素繊維強化熱可塑性プラスチック)などの導電性の材料で構成されてもよい。
【0022】
図2に示すように、放電極5は、取付枠5cに固定された本体部5bと、本体部5bから突出するトゲ状とされた複数の突起部(コロナ放電部)5aとを備えている。突起部5aは、一方の集塵極4側のみに先端を向けて突出するように設けられている。突起部5aは、ガス流れG方向であるx方向において、集塵極4の間に位置するように配置されている。突起部5aにおいてコロナ放電が発生し、突起部5aの先端から対向する集塵極4側に向けてイオン風が発生する。
【0023】
図2に示されているように、放電極5の本体部5bの中心C1は、集塵極4間の中央位置CLからオフセットされている。具体的には、放電極5の本体部5bの中心C1は、突起部5aが対向する集塵極4(以下、この集塵極4を「放電側集塵極4a」という。)から遠ざかる方向に、かつ、突起部5aの反対側の集塵極4(以下、この集塵極4を「反対側集塵極4b」という。)に近づくように中央位置CLから位置がずらされている。したがって、本体部5bの中心C1と放電側集塵極4aの中心C2を通る配列位置との間のy方向に見た距離D1は、本体部5bの中心C1と反対側集塵極4bの中心C3を通る配列位置との間のy方向に見た距離D2よりも大きい(D1>D2)。なお、放電極5と集塵極4とがy方向に交互に配置されているので、1つの集塵極4のうち、突起部5a側が放電側集塵極4aとなり、突起部5aの反対側が反対側集塵極4bとなる。
【0024】
距離D1は、放電極5の本体部5bの中心C1と放電側集塵極4aの中心C2を通る配列位置との間の距離である。すなわち、D1は、放電側集塵極4aの配列方向に対して垂直方向(y方向)において放電極5の本体部5bの中心C1と放電側集塵極4aの配列位置(中心軸線)との間の距離である。
【0025】
距離D2は、放電極5の本体部5bの中心C1と反対側集塵極4bの中心C3を通る配列位置との間の距離である。すなわち、D2は、反対側集塵極4bの配列方向に対して垂直方向(y方向)において放電極5の本体部5bの中心C1と反対側集塵極4bの配列位置(中心軸線)との間の距離である。
【0026】
上記のように、突起部5aを一方向に向け、かつx方向において集塵極4の間に配置することで、突起部5aから放電側集塵極4aに向かうイオン風がほぼ同じ方向を向かい、イオン風の干渉を避けることができるようになっている。
【0027】
図3には、図1をガス流れG方向から見た正面図が示されている。同図に示されているように、突起部5aは、高さ方向において、所定間隔を空けて設けられている。
【0028】
本実施形態において、放電極5のオフセット位置、すなわち、放電極5の本体部5bの中心が中央位置CLからy方向にずれる位置は、距離D1及び距離D2の比が、1.1 ≦ D1/D2 ≦ 2.0の範囲に設定されることが望ましい。D1/D2の下限は、1.2とされると更によい。
【0029】
なお、本開示に係る集塵極及び放電極の配置は、上述した例に限定されず、例えば、放電極は、ガス流れG方向に直交する方向に並ぶ集塵極間の中央位置に配置されてもよい。また、放電極の突起部の突出方向も、上述した例に限定されず、突起部は、放電極の両側に位置する集塵極のそれぞれに向けて両方に突出されてもよい。さらに、ガス流れG方向に沿って突起部が1個ずつ又は複数個ずつを1単位として、突起部の突出方向が変更されてもよい。
【0030】
また、図2では突起部5aの突出方向がガス流れG方向に直交する方向(y方向)に隣り合う列同士で同じ方向を向いているが、本開示はこの例に限定されない。すなわち、突起部は、隣り合う列で互いに反対方向を向いていてもよい。また、放電極をオフセットする場合は、オフセット位置(放電極の本体部の中心が中央位置CLからy方向にずれる位置)が突起部の突出方向に応じて列ごとに変わってもよい。なお、突起部の突出方向が隣り合う列で互いに反対方向を向いている場合においても、放電極をオフセットしないで中央位置に配置する構成を取り得る。
【0031】
電極部材10は、図4から図7に示すように、パイプ材6と、連結部7を備える。電極部材10は、連結部7を介して複数のパイプ材6が長手方向に沿って連結される。電極部材10の全長は、例えば12m以上である。
【0032】
パイプ材6は、中空の柱状であり、それぞれの電極部材10において、長手方向に沿って2本以上配置される。長手方向に沿って配置されたパイプ材6は、連結部7を介して互いに連結される。また、電極部材10がガス流れG方向に沿って複数配置されることから、パイプ材6もガス流れG方向に沿って複数配置される。
【0033】
パイプ材6の直径は、例えば30mm以上80mm以下である。パイプ材6の長さは、例えば、全長12mの電極部材10を2本のパイプ材6で構成する場合、それぞれ約6mである。なお、電極部材10やパイプ材6の長さや、パイプ材6の組合わせは、上述した例に限定されない。
【0034】
連結部7は、例えば、取付部11と、第1支持部12と、第2支持部13(図7参照)などを有する。連結部7によって、長手方向に沿って配置された隣り合うパイプ材6同士が連結される。
【0035】
取付部11は、例えば一方向に長い板状部材であり、図4から図7に示す例の場合、取付部11の長さ方向は、電極部材10のパイプ材6の長手方向に対して平行である。すなわち、取付部11の長さ方向がパイプ材6の長手方向に沿って配置される。取付部11の一端は、一方(例えば上方)のパイプ材6の端部とボルト接合され、取付部11の他端は、他方(例えば下方)のパイプ材6の端部とボルト接合される。これにより、取付部11によって、長手方向に沿って配置された隣り合うパイプ材6同士が連結される。
【0036】
取付部11は、中空のパイプ材6の内部に配置され、ボルト接合によるボルトは、パイプ材6と取付部11に設けられた貫通孔に設置される。ボルトとナットが締結されることによってパイプ材6と取付部11が一体化される。ボルト接合は、例えば高力ボルトを用いた摩擦接合であり、所定のトルクでボルト及びナット、座金を締め付けることによって、要求される軸力で被締結材を押し付け、部材間に摩擦力を生じさせる。高力ボルトは、高力六角ボルト(ハイテンションボルト)でもよいし、トルシア形高力ボルトでもよい。
【0037】
パイプ材6と連結部7が連結されている状態で、取付部11は、曲げに強く、連結部7がない同一長さのパイプ材6と同等又はそれ以上の剛性を発揮させる部材である。これにより、電極部材10は、パイプ材6と連結部7が連結されている状態で、取付部11によって、連結部7がない同一長さのパイプ材6と同等又はそれ以上の剛性を発揮する。
【0038】
パイプ材6は、例えば、パイプ材6の長手方向の中間部分の断面形状が円形であるとき、端部の断面形状が長円形状を有する。すなわち、パイプ材6の端部の断面形状が第1の方向に比べて第2の方向の長さが短い。第2の方向は、第1の方向に直交する方向である。これにより、板状の取付部11の板面がパイプ材6の内部の平面部分に密着して配置される。
【0039】
板状の取付部11の厚さは、例えば、4.5mm以上、望ましくは、9mm以上である。長円形状に変形されたパイプ材6の端部において、短手方向の長さが10mmの場合、パイプ材6の内部に配置される取付部11の板厚は、例えば9mmである。
【0040】
取付部11は、ガス流れG方向に沿って配置された複数のパイプ材6に対応して、ガス流れG方向に沿って複数配置される。
【0041】
第1支持部12は、ガス流れG方向に沿って配置された複数の取付部11と接続されることによって、取付部11を介して複数のパイプ材6を連結する。第1支持部12は、例えば板状部材であり、板面が電気集塵装置1の水平方向に対して平行になるように設置される。第1支持部12には、取付部11が挿通可能な貫通孔12A(図7参照)が形成されている。板状の第1支持部12の厚さは、例えば、4.5mm以上、望ましくは、9mm以上である。第1支持部12は、板状部材に限られず、例えば軽量型鋼(アングル鋼、チャンネル鋼など)でもよい。
【0042】
第1支持部12の貫通孔12Aには取付部11が挿入される。取付部11は、図7に示すように、第1支持部12と溶接によって連結される。溶接箇所は、例えば、板状の取付部11の板面と第1支持部12の貫通孔12Aの縁部が接する部分である。なお、強度の観点では取付部11と第1支持部12との溶接接合は不要であるため、取付け工事をしにくい等の問題がない場合は溶接接合を省略してもよい。すなわち、第1支持部12は強度部材ではなく、位置決め部材としての機能を果たせればよい。
【0043】
第1支持部12が設置されることによって、複数の取付部11が一体化されて、かつ、ガス流れG方向に沿って配置された複数の電極部材10が連結部7の位置でガス流れG方向に対して直交する方向に位置決めされることから、ガス流れG方向に対する平行度において、電極部材10の据付精度が向上する。また、ガス流れG方向の電極部材10同士の間隔の据付精度が向上する。
【0044】
第2支持部13は、図7に示すように、ガス流れG方向に対して直交する方向に沿って間隔をあけて配置された隣り合う第1支持部12同士を連結する。第2支持部13は、例えば、棒状部材や板状部材、軽量型鋼(アングル鋼、チャンネル鋼など)である。第1支持部12と第2支持部13は、例えば、ボルト接合によって連結される。なお、第1支持部12と第2支持部13を連結するためのボルト接合は、通常のボルト、ナット及び座金を用いることができる。また、図7では第1支持部12の片側端部のみに第2支持部13が連結されている図となっているが、第1支持部12のもう一方の片側端部にも別の第2支持部13が連結されていてもよい。
【0045】
第2支持部13が設置されることによって、複数の第1支持部12同士の間隔が一定となるように位置決めされることから、ガス流れG方向に対して直交する方向において、複数の集塵極4同士の間隔の据付精度が向上する。
【0046】
電気集塵装置1では、集塵極4や放電極5に付着したダストを払い落とすため、槌打装置によって、集塵極4や放電極5を槌打する。槌打装置による槌打は、間欠的に行われる。
【0047】
槌打によるダストの払い落としについて、パイプ材6同士が連結部7によって連結された上述した集塵極4の電極部材10(分割型電極)と、1本のパイプ材で構成される電極部材(一体型電極)との比較を行った。また、分割型電極の方は、連結部7に第1支持部12も設置する条件とした。
【0048】
槌打によってパイプ材に生じる加速度は、ダストの払い落としに影響することから、槌打によってパイプ材に生じる加速度に関して比較を行った。図25に、集塵極4の電極部材10での各計測位置における加速度の測定結果を示す。各計測位置は、槌打装置20による槌打位置からの総距離(=集塵極4の水平方向の距離H+高さ方向の距離L)で表した。図24は、集塵極4を示す模式図であり、槌打装置20による槌打位置から計測位置(星印で例示した。)までの総距離の例を示している。その結果、槌打方向の加速度、及び、集塵極4の面外方向の加速度ともに、複数のパイプ材6が連結部7によって連結された電極部材10(分割型電極)と、1本のパイプ材で構成される電極部材(一体型電極)とを比較して、大きな差がなかった。したがって、分割型電極においても一体型電極と同様にダストを払い落とすための必要加速度が確保されることが確認された。
【0049】
また、槌打によって集塵極4の槌打位置付近において、槌打によって生じる変位に関して比較を行った。図26に示すように、槌打時の変位は、電極部材10(分割型電極)と、1本のパイプ材で構成される電極部材(一体型電極)とを比較して、分割型電極では、一体型電極よりも変位が小さくなることが確認された。
【0050】
さらに、槌打によって、電極部材10のパイプ材6、連結部7の取付部11及び第1支持部12において生じる応力を確認し、強度が確保されているかどうかを確かめた。一つ目として、電極部材10(分割型電極)と、1本のパイプ材で構成される電極部材(一体型電極)に対して、槌打時の応力を試験確認した。その結果、図27に示すように、分割型電極のパイプ材6本体に生じる応力と、一体型電極のパイプ材本体に生じる応力は、ほぼ同等となった。この試験では、電極部材10の長さを8mとした。応力の測定位置は、いずれもパイプ材の下端から2mの位置である。
【0051】
また、二つ目として、電極部材10(分割型電極)と、1本のパイプ材で構成される電極部材(一体型電極)に対して、槌打時の応力を解析で確認した。その結果、図28に示すように、分割型電極の複数の電極部材10において、連結部7の取付部11及び第1支持部12に生じる応力は、いずれにおいても疲労強度を大きく下回ることが確認された。この解析では、電極部材10の長さを15.7mとした。
【0052】
以上より、パイプ材6同士が連結部7によって連結された電極部材10においても、槌打時において、1本のパイプ材で構成される電極部材と同様の加速度が生じることが分かり、ダストの払い落とし性能に影響がないことが確認された。また、槌打時において、パイプ材6同士が連結部7によって連結された電極部材10は、槌打時に変位が大きくならないこと、また、応力が抑えられていることが確認された。したがって、本実施形態に係る電極部材10は、1本のパイプ材で構成される電極部材と同様に、集塵極4の電極部材として適用可能である。
【0053】
上述した実施形態では、集塵極4において電極部材10の連結部7が、取付部11と、第1支持部12と、第2支持部13を有する場合について説明したが、本開示はこの例に限定されない。以下、集塵極4の変形例について説明する。
【0054】
<第1変形例>
図8から図10に示すように、連結部7は、第1支持部12と第2支持部13が設けられなくてもよい。この場合、連結部7は、取付部11のみを有する。取付部11によって、長手方向に沿って配置された隣り合うパイプ材6同士が連結される。他方、ガス流れG方向に配置された複数の電極部材10と、ガス流れG方向に対して直交する方向に配置された複数の電極部材10は、互いに連結されていない状態となる。
【0055】
<第2変形例>
図11から図13に示すように、連結部7は、支持部材14から構成されてもよい。支持部材14は、断面が長方形状の板状部材であって、長手方向がガス流れG方向に対して平行に設けられる。支持部材14の板面は、集塵極4のパイプ材6の長手方向に対して平行である。ガス流れG方向に沿って配置された1列の電極部材10において、2枚の支持部材14が電極部材10を間に挟み込むように設置される。
【0056】
支持部材14は、取付部と第1支持部を兼ねる機能を果たす。すなわち、支持部材14は、上端側が一方(例えば上方)のパイプ材6の端部とボルト接合され、下端側が他方(例えば下方)のパイプ材6の端部とボルト接合される。これにより、支持部材14によって、長手方向に沿って配置された隣り合うパイプ材6同士が連結される。ボルトを締め付ける際にパイプ材6の端部が必要以上につぶれてしまわないように、パイプ材6の内側にスペーサが設置されてもよい。また、支持部材14は、ガス流れG方向に沿って配置された複数のパイプ材6を連結する。これにより、ガス流れG方向に沿って配置された複数の電極部材10が連結部7の位置でガス流れG方向に対して直交する方向に位置決めされることから、ガス流れG方向に対する平行度において、電極部材10の据付精度が向上する。また、ガス流れG方向の電極部材10同士の間隔の据付精度が向上する。
【0057】
なお、本変形例では、連結部7は、支持部材14が第1支持部の機能を果たす場合について説明したが、本開示はこの例に限定されない。すなわち、支持部材は、ガス流れG方向に対して長い板状部材ではなく、取付部の機能のみを果たすように、1本ずつの電極部材10に対して2枚の支持部材が両側から挟み込まれるものでもよい。この場合、ガス流れG方向に沿って配置された複数の電極部材10は、互いに連結されていない状態となる。
【0058】
<第3変形例>
図11から図13に示す例では、支持部材14は、断面が長方形状である場合について説明したが、本開示はこの例に限定されない。例えば、図14から図16に示すように、支持部材14は、高さ方向中央において、外側方向に突出した突起部15が設けられてもよい。支持部材14は、断面がT字形状を有する。支持部材14は、例えば、H型鋼を長さ方向に沿って切断することで形成される。これにより、集塵極4の面外方向の変形に対する剛性を高めることができる。
【0059】
<第4変形例>
上述した実施形態では、パイプ材6の端部の断面形状が例えば長円形状である場合について説明したが、本開示はこの例に限定されない。例えば、図17から図20に示すように、パイプ材6の段部の断面形状は、パイプ材6の中間部分と同様に、円形でもよい。この場合、取付部16は、断面が円形であり、パイプ材6の内部に配置される。取付部16の一端は、一方(例えば上方)のパイプ材6の端部とボルト接合され、取付部16の他端は、他方(例えば下方)のパイプ材6の端部とボルト接合される。これにより、取付部16によって、長手方向に沿って配置された隣り合うパイプ材6同士が連結される。
【0060】
取付部16は、中空のパイプ材6の内部に配置され、ボルト接合によるボルトは、パイプ材6と取付部16に設けられた貫通孔に設置される。鞍型座金を介してボルトとナットが締結されることによってパイプ材6と取付部16が一体化される。また、図17から図20に示す例では、ガス流れG方向に沿って配置された複数の取付部16と接続される第1支持部17が設けられる。これにより、取付部16を介して、ガス流れG方向に沿って配置された複数のパイプ材6が連結される。
【0061】
なお、本開示において第1支持部17が設けられなくてもよく、この場合、ガス流れG方向に配置された複数の電極部材10は、互いに連結されていない状態となる。
【0062】
<第5変形例>
図21から図23に示すように、パイプ材6の端部の断面形状は、断面円形のパイプ材6が潰されて、ほぼ平板状に閉じた形状とされてもよい。この場合、連結部7は、支持部材18から構成される。支持部材18は、断面が例えば長方形状の板状部材であって、長手方向がガス流れG方向に対して平行に設けられる。支持部材18の板面は、集塵極4のパイプ材6の長手方向に対して平行である。ガス流れG方向に沿って配置された1列の電極部材10において、2枚の支持部材18が電極部材10を間に挟み込むように設置される。
【0063】
支持部材18は、取付部と第1支持部を兼ねる機能を果たす。すなわち、パイプ材6の端部は、ほぼ平板状であり、2枚の支持部材18の間で、一方(例えば上方)のパイプ材6の端部と他方(例えば下方)のパイプ材6の端部が重ね合わされる。支持部材18は、上端側と下端側の両方で、一方(例えば上方)のパイプ材6の端部と他方(例えば下方)のパイプ材6の端部が、ボルト接合される。これにより、支持部材18によって、長手方向に沿って配置された隣り合うパイプ材6同士が連結される。また、支持部材18は、ガス流れG方向に沿って配置された複数のパイプ材6を連結する。これにより、ガス流れG方向に沿って配置された複数の電極部材10が連結部7の位置でガス流れG方向に対して直交する方向に位置決めされることから、ガス流れG方向に対する平行度において、電極部材10の据付精度が向上する。また、ガス流れG方向の電極部材10同士の間隔の据付精度が向上する。
【0064】
本変形例の場合においても、支持部材は、ガス流れG方向に対して長い板状部材ではなく、取付部の機能のみを果たすように、1本ずつの電極部材10に対して2枚の支持部材が両側から挟み込まれるものでもよい。また、支持部材は、図16に示した突起部15を有する支持部材14のように、断面がT字形状を有するものでもよい。
【0065】
以上、本実施形態及び変形例によれば、複数のパイプ材を溶接によって長さ方向に沿って連結する場合と異なり、溶接接合による熱ひずみが生じないため、全体として屈曲した形状とならずに、簡易にゆがみを少なくすることができ、直線度を維持できる。その結果、ガス流れG方向の電極部材10間の間隔をほぼ一定とすることができ、かつ、集塵極4と放電極5の絶縁距離を確実に確保できる。したがって、集塵極4と放電極5の絶縁距離が短いことによる、火花放電の発生や捕集効率の低下を抑制できる。また、溶接作業が不要となるため、溶接作業者の技量管理や溶接箇所を検査する完了検査が不要になり、製作コストの増大を回避できる。
【0066】
さらに、ガス流れG方向に沿って配置された電極部材10同士や、ガス流れG方向に対して直交する方向に配置された電極部材10同士が連結されることによって、集塵極4全体の寸法精度を向上させることができ、火花放電の発生や捕集効率の低下を抑制できる。また、複数の電極部材10同士が連結されるため、個々の電極部材10が自由な場合と異なり、管群振動が低減したり、槌打時の変位量が低減されたりする。管群振動とは、ガス流れによってある電極部材10が振動することによって、他の電極部材10の振動が増幅される現象である。
【0067】
またさらに、電気集塵装置1の据付現場でのパイプ材6の連結作業が可能であるため、パイプ材6は、輸送制限を超えない長さに抑えられる。そのため、輸送制限(例えば、長さ12m)を超える場合の特殊輸送が不要となる。また、12m以上の完成品を輸送する場合と異なり、変形防止のために要求される輸送用治具も不要若しくは物量の低減化が可能となる。
【0068】
以上説明した各実施形態に記載の電気集塵装置用電極部材、電気集塵装置の集塵極及び電気集塵装置は例えば以下のように把握される。
本開示に係る電気集塵装置用電極部材(10)は、ガス流れ(G)方向に沿って配置される集塵極(4)と、前記ガス流れ方向に沿って配置され、前記集塵極に対向して配置される放電極(5)と、を有する電気集塵装置(1)の前記集塵極に用いられる電気集塵装置用電極部材であって、中空の柱状であり、長手方向に沿って2本以上配置されるパイプ材(6)と、長手方向に沿って隣り合う前記パイプ材同士を連結する連結部(7)とを備え、前記連結部は、一方向が前記パイプ材の長手方向に沿って配置され、一端が一方の前記パイプ材の端部とボルト接合され、他端が他方の前記パイプ材の端部とボルト接合される取付部(11,16)を有する。
【0069】
この構成によれば、電気集塵装置は、それぞれガス流れ方向に沿って互いに対向して配置される集塵極と放電極とを有し、電気集塵装置用電極部材は、電気集塵装置の集塵極に用いられる。電極部材は、パイプ材と連結部とを備え、中空の柱状であるパイプ材は、長手方向に沿って2本以上配置され、連結部は、長手方向に沿って隣り合うパイプ材同士を連結する。連結部は、一方向がパイプ材の長手方向に沿って配置される取付部を有し、取付部は、一端が一方のパイプ材の端部とボルト接合され、他端が他方のパイプ材の端部とボルト接合される。これにより、長手方向に沿って隣り合うパイプ材は、連結部の取付部を介して連結され、一体化される。
【0070】
本開示に係る電気集塵装置用電極部材において、前記パイプ材と前記連結部が連結されている状態で、前記取付部は、前記連結部がない同一長さのパイプ材と同等又はそれ以上の剛性を発揮させる部材であることが望ましい。
【0071】
この構成によれば、電極部材は、パイプ材と連結部が連結されている状態で、取付部によって、連結部がない同一長さのパイプ材と同等又はそれ以上の剛性を発揮する。
【0072】
本開示に係る電気集塵装置用電極部材において、前前記パイプ材は、前記端部の断面形状が第1の方向に比べて前記第1の方向に直交する第2の方向の長さが短くてもよい。
【0073】
この構成によれば、パイプ材の端部において、断面形状が第1の方向に比べて第1の方向に直交する第2の方向の長さが短く、例えば、中間部分が円形であるとき、端部が楕円形状又は長円形状を有する。
【0074】
本開示に係る電気集塵装置の集塵極は、上述した複数の電気集塵装置用電極部材を有し、前記電極部材がガス流れ方向に沿って所定の間隔をあけて配置された電気集塵装置の集塵極であって、前記パイプ材は、ガス流れ方向に沿って複数配置され、前記取付部は、複数の前記パイプ材に対応して、ガス流れ方向に沿って配置され、前記連結部は、ガス流れ方向に沿って配置された前記取付部を介して複数の前記パイプ材を連結する第1支持部(12)を更に備える。
【0075】
この構成によれば、集塵極が複数の上述した電気集塵装置用電極部材を有し、電極部材がガス流れ方向に沿って所定の間隔をあけて配置されており、パイプ材は、ガス流れ方向に沿って複数配置される。取付部は、複数のパイプ材に対応して、ガス流れ方向に沿って配置され、連結部は、取付部に加えて、第1支持部を更に備える。第1支持部は、ガス流れ方向に沿って配置された取付部を介して複数のパイプ材を連結する。これにより、複数の取付部が一体化される。
【0076】
本開示に係る電気集塵装置の集塵極において、前記パイプ材は、ガス流れ方向に対して直交する方向に沿って複数配置され、前記連結部は、ガス流れ方向に対して直交する方向に沿って間隔をあけて配置された前記第1支持部同士を連結する第2支持部(13)を更に備えてもよい。
【0077】
この構成によれば、パイプ材は、ガス流れ方向に対して直交する方向に沿って複数配置される。連結部は、取付部及び第1支持部に加えて、第2支持部を更に備える。第2支持部は、ガス流れ方向に対して直交する方向に沿って間隔をあけて配置された第1支持部同士を連結する。
【0078】
本開示に係る電気集塵装置は、上述した電気集塵装置の集塵極と、前記集塵極側に突出した複数の放電部を有し、前記ガス流れ方向に沿って配置された放電極とを備える。
【0079】
この構成によれば、電気集塵装置は、上述した集塵極と放電極とを有し、集塵極には、上述した電気集塵装置用電極部材が用いられており、長手方向に沿って隣り合うパイプ材が、連結部の取付部を介して連結され、一体化されている。
【符号の説明】
【0080】
1 :電気集塵装置
4 :集塵極
4a :放電側集塵極
4b :反対側集塵極
5 :放電極
5a :突起部
5b :本体部
5c :取付枠
6 :パイプ材
7 :連結部
10 :電極部材(電気集塵装置用電極部材)
11 :取付部
12 :第1支持部
12A:貫通孔
13 :第2支持部
14 :支持部材(取付部及び第1支持部)
15 :突起部
16 :取付部
17 :第1支持部
18 :支持部材(取付部及び第1支持部)
20 :槌打装置
図1
図2
図3
図4
図5
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