(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008249
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】地盤凍結システム
(51)【国際特許分類】
E02D 3/115 20060101AFI20240112BHJP
E21D 9/04 20060101ALI20240112BHJP
E21D 1/12 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
E02D3/115
E21D9/04 C
E21D1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109961
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】390002233
【氏名又は名称】ケミカルグラウト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有泉 毅
【テーマコード(参考)】
2D043
2D054
【Fターム(参考)】
2D043CA14
2D054EA07
2D054FA04
(57)【要約】
【課題】地盤凍結システムの冷却能力を高める。
【解決手段】地盤を凍結させる地盤凍結システムは、地盤に埋設される凍結管101と、
凍結管101内に対向配置された少なくとも1対の扁平形状の冷却循環用の冷媒配管201と、冷媒配管201における、互いに対向する面に接触または近接する冷媒配管側面301a、および凍結管101の内面に接触または近接する凍結管側面301bを有する熱伝導部材301と、
凍結管101内に充填される熱伝導流体とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤を凍結させる地盤凍結システムであって、
地盤に埋設される凍結管と、
上記凍結管内に対向配置された少なくとも1対の扁平形状の冷却循環用の冷媒配管と、 上記冷媒配管における、互いに対向する面に接触または近接する冷媒配管側面、および上記凍結管の内面に接触または近接する凍結管側面を有する熱伝導部材と、
上記凍結管内に充填される熱伝導流体と、
を備えたことを特徴とする地盤凍結システム。
【請求項2】
請求項1の地盤凍結システムであって、
上記熱伝導部材は、上記冷媒配管側面と上記凍結管側面とで囲まれた矩形の外形を有する断面形状を有していることを特徴とする地盤凍結システム。
【請求項3】
請求項1の地盤凍結システムであって、
上記熱伝導部材は、上記冷媒配管側面と、上記凍結管側面とが、熱伝導部を介して接続された断面形状を有していることを特徴とする地盤凍結システム。
【請求項4】
請求項3の地盤凍結システムであって、
上記熱伝導部材は、上記熱伝導部の内部に空洞部を有する断面形状を有していることを特徴とする地盤凍結システム。
【請求項5】
請求項1の地盤凍結システムであって、
上記熱伝導部材の上記凍結管側面は、上記凍結管の内面に対応する円弧状面を有することを特徴とする地盤凍結システム。
【請求項6】
請求項1の地盤凍結システムであって、
上記熱伝導部材の上記冷媒配管側面には、上記冷媒配管が嵌まり込む凹部が形成された断面形状を有していることを特徴とする地盤凍結システム。
【請求項7】
請求項1の地盤凍結システムであって、
上記冷媒配管は、複数の微小冷媒流路が形成されたマイクロチャネル構造を有し、
上記微小冷媒流路を流通する冷媒は液化二酸化炭素であることを特徴とする地盤凍結システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤を掘削する際などに地盤を凍結させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シールド掘進機の発進部や到達部、トンネル間の連絡横坑、トンネルや立坑における地中接続、トンネルの地中拡幅などの用途には、地盤を凍結させる地盤凍結工法が用いられることがある。このような用途で用いられる地盤凍結工法は、地中構造物の大規模構造化、大深度化により凍結規模も非常に大きく、凍結開始からの凍結期間は数か月から数年に及ぶ長期間凍土を維持する必要がある。
【0003】
ここで凍土の強度は、温度依存性が知られており、温度を低下させれば強度は上がる。前記用途の凍結地盤においても止水性能と同様に耐圧性能も期待されるので、設計強度を確保するために、設計上の大きさ(厚み×幅×高さ)で通常-10℃以下となるように長期間維持することが要求される。
【0004】
地盤凍結工法は、基本的に、地盤中に凍結管を埋設し、凍結管に低温の冷媒を流すことなどにより管の周辺地盤を冷却し地盤を凍結させる。
【0005】
凍結管を冷却する方法には、ブライン方式と低温液化ガス方式の二種類の方式が存在する。ここでブライン方式は、一つは塩化カルシウム水溶液などの不凍液(ブライン)を地上の冷凍機で-30℃程度に冷却し、凍結管で循環することにより地盤を冷却する方式である。一方、低温液化ガス方式は、タンクローリー車で運ばれてきた液体窒素を直接、凍結管に流し込みその気化熱で地盤を冷却し、気化した窒素ガスは大気中に放散される方式である。低温液化ガス方式は、通常、凍土量200m3以下の小規模で短期間の工事または、土質調査における土壌サンプリングなどに適用される。
【0006】
トンネル工事などで行われる地盤凍結工法ではブラインを用いる方式が主流であり、地盤に埋設させた凍結管内を循環する際に、周辺地盤を凍結させて昇温した二次冷媒(ブライン)は、凍結機の蒸発器で冷却される。
【0007】
このようなシステムでは、凍結機の一次冷媒(冷媒R404aなど)が、二次冷媒と熱交換して気化し、気化した一次冷媒は、凝縮器で水と熱交換して液化される。そして、凝縮器で一次冷媒から水に供給された熱量は、冷却塔で放熱される。
【0008】
上記従来のブライン方式では、地上の冷凍機(凍結器)でブラインを-30℃程度に低温冷却する。シールド掘進機の発進部や到達部、トンネル間の連絡横坑、トンネルや立坑における地中接続などの用途で地盤凍結工法を施工する際に、凍結規模が非常に大きいと、大量のブラインを低温冷却するための大きなエネルギーが必要であるという問題を有している。
【0009】
また、ブラインは水の粘性係数の10倍程度の高い粘性を有する流体であるので、ブラインにより効率良く地中の熱を吸収するためには、凍結管径を大きくして、凍結管内のブラインを大流量で循環させなければならない。そのため、口径の大きな管材が必要であるため、ボーリング費用、管材材料費が高騰化する。それと共に高出力のブライン循環ポンプが必要であり、ブライン循環ポンプ損料やポンプ駆動エネルギーが大きくなり過ぎるため、経済性で問題となる。
【0010】
ここで、従来のブライン方式で使用される凍結管は、冷凍機からの送り側ブラインが流れる外管と地中の熱を吸収して戻る内管の二重管構造になっていることが多い。その様な凍結管の管材は地中に数mから100m程度まで埋設する必要があり、例えばガス管などの鋼管が用いられる。その様な鋼管の製造工場から地盤凍結工法の施工現場までは、鋼管は定尺の5.5m長でトラック輸送され、現場でボーリング孔の直上で溶接接合しながら、地中に埋設される。
【0011】
凍結管径が大きいと、トラック輸送費、管材吊りクレーン損料が高騰化し、溶接接合の労力が多大になるので、経済性で問題となる。また、凍結管が大きいと、ボーリング工ならびに凍結管埋設工の工程が長期化して、施工コストが高騰する。
【0012】
さらに、凍結管の溶接接合に不良な箇所があり、ブラインが地中に漏出すると、当該漏出部分における地盤が凍結しなくなり、当該漏出部分における漏水や凍土の強度不足が発生し、工事遂行が困難になる恐れが存在する。
【0013】
一方、従来の低温液化ガス方式では、液化炭酸ガスを地中に噴射し、その気化熱によってパイプ材周辺土を凍結させようとした場合、シールド掘進機の発進部や到達部、トンネル間の連絡横坑、トンネルや立坑における地中接続などの用途では、長期間凍土を維持するには大量の液化炭酸ガスが必要となる。
【0014】
ここで、液化炭酸ガスを噴射した領域の周辺地盤が凍結し始めると、当該凍結した地盤から離隔した領域には液化炭酸ガスが到達し難くなり、-10℃以下の凍土を形成できなくなる、という問題が存在する。
【0015】
また、液体窒素の非常に低い沸点を利用し、二重管構造で地盤を凍結する方法では、窒素ガスを大気放出させるため、液体窒素は所謂「使い捨て」となっており、凍結規模が大きな場合には大量の液体窒素が(使い捨てとして)消費されるので、経済性の点で問題がある。それに加えて、大量の窒素が地中または空中に放散されると、施工現場における酸素濃度が低下してしまう恐れがある。
【0016】
そこで、冷媒の熱効率が良好であり、気相冷媒が地中や空中に放出されることなく地盤を凍結させて掘削等するための地盤凍結システムとしては、例えば、地盤に埋設された凍結管内に扁平形状の冷媒循環用の冷媒配管を配置し、上記凍結管と冷媒配管との間の空間に水道水などの熱伝導流体を充填するとともに、冷媒配管内の微小流路に液化二酸化炭素などの冷媒を循環させるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0017】
上記の扁平形状の冷媒循環用の冷媒配管内の微小流路に液化二酸化炭素などの冷媒を循環させる技術は、それまでの塩化カルシウム水溶液(ブライン)を冷媒として循環させる顕熱を用いた地盤凍結技術に比べ、気化潜熱を利用するため循環流量を小さくすることができ、なおかつ冷媒温度もブラインの-30℃程度に対し-45℃程度と低温化できるという特性を持っている。
【0018】
微小流路を内在する扁平形状の冷媒循環用の冷媒配管は、液化二酸化炭素などの冷媒を循環させるため高圧となる内圧に耐え、数十mにも及ぶ凍結管長に対し均一な断面を有するため、アルミニウムなどの押出し成形技術で製作されている。
【0019】
この冷媒配管は、管軸方向の曲げ剛性などが極小さいので、直接地盤にボアホールを形成し挿入することが難しいため、ボアホールに鋼管凍結管を挿入し、その内部に冷媒配管を複数挿入する構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
上記のような地盤凍結システムにおいて冷却能力を高めるためには、例えば凍結管内に配置する冷媒配管の数を増やすことが考えられるが、限られた凍結管の内径で冷媒配管を大幅に増やすことは容易ではない上、冷媒配管の数を増やしても冷却能力を大幅に高めることは必ずしも容易ではなかった。
【0022】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、地盤凍結システムの冷却能力を容易に高められるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記の目的を達成するために、
本発明は、
地盤を凍結させる地盤凍結システムであって、
地盤に埋設される凍結管と、
上記凍結管内に対向配置された少なくとも1対の扁平形状の冷却循環用の冷媒配管と、 上記冷媒配管における、互いに対向する面に接触または近接する冷媒配管側面、および上記凍結管の内面に接触または近接する凍結管側面を有する熱伝導部材と、
上記凍結管内に充填される熱伝導流体と、
を備えたことを特徴とする。
【0024】
これにより、冷媒配管の内側面と、凍結管の内面における冷媒配管が位置していない領域とが、間に例えば銅やアルミニウムなどの高い熱伝導性を持つ素材で製作された熱伝導部材が介在するように設けられて接続されることにより、冷媒配管の内側面による冷却効果への寄与を大きくして、冷却能力を高めることが容易にできる。
【発明の効果】
【0025】
本発明では、地盤凍結システムの冷却能力を容易に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】地盤凍結システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】凍結管内に冷媒配管が設けられた状態を示す横断面図である。
【
図4】冷媒配管を凍結管内に挿入する工程を示す説明図である。
【
図5】地盤凍結システムの冷却能力の例を示すグラフである。
【
図7】地盤凍結システムの利用例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
(地盤凍結システムの概略構成)
地盤凍結システムでは、
図1に示すように、地盤Gを凍結させるために凍結管101(ケーシング)が埋設されている。上記凍結管101には、冷媒循環用の扁平形状の冷媒配管201が配置されている。冷媒配管201内を循環する二次冷媒は液化二酸化炭素であり、地上から供給された液化二酸化炭素が地盤Gと熱交換を行ない、液化二酸化炭素の気化潜熱及び顕熱により地盤Gを凍結させるようになっている。
【0029】
上記地盤凍結システムは、液化二酸化炭素を冷却して凍結管101に供給する冷却装置110、および冷媒循環ポンプ114を有している。上記冷却装置110は、液化器111、凝縮器112、および冷却塔113を備えている。冷媒配管201内を循環する際に地盤Gと熱交換を行なった一部ガス化した液化二酸化炭素は、液化器111で一次冷媒と熱交換を行ない、低温の液化二酸化炭素になり、再び冷媒配管201内に供給されて、循環する。冷却装置110の一次冷媒は、例えば冷媒R717(アンモニア)などであり、二次冷媒である液化二酸化炭素が地盤Gから供給された熱により蒸発、気化し、凝縮器112で水と熱交換して降温し、液化する。そして凝縮器112で、一次冷媒(冷媒R717など)の気化熱が投入されて昇温した水は、冷却塔113で冷却される。
【0030】
(凍結管101内の構成)
凍結管101内には、
図2に示すように、1対の冷媒配管201が横断面において互いに平行に対向配置されて設けられている。上記冷媒配管201は、例えばアルミニウムから成り、
図3に示すように複数の微小冷媒流路202が設けられたマイクロチャネル構造を有し、冷媒が流通するようになっている。上記1対の冷媒配管201の間には、熱伝導部材301が設けられている。より詳しくは、熱伝導部材301は、冷媒配管201の内側面201aに接触または近接する冷媒配管側面301aと、凍結管101の内面に接触または近接する凍結管側面301bとで囲まれた矩形の外形を有する断面形状を有している。上記熱伝導部材301は、例えばアルミニウムから成るが、これに限らず、銅、ジュラルミン、タングステン、鋼、金、銀など熱伝導に優れた材料が用いられてもよい。凍結管101の内部空間には、例えば水などの熱伝導流体が充填されている。この充填水は、冷媒配管201に冷媒が循環することにより、すなわち凍結が開始されると、液体の水から熱を伝導し易い固体の氷に変化し、冷媒配管201の冷熱を伝える。
【0031】
ちなみに、銅、アルミに対する氷の比熱はそれぞれ4.8倍程度(対銅)、2.3倍程度(対アルミ)となり、氷の熱伝導率はそれぞれ1/170程度(対銅)、1/100程度(対アルミ)となり、凍結管101内で氷の熱特性が熱伝導部材301の高い熱伝導性の熱特性に置き換わることになる。
【0032】
(冷媒配管201および熱伝導部材301の建て込み)
凍結管101内への冷媒配管201および熱伝導部材301の建て込みは、例えば次のようにして行うことができる。
【0033】
上記のように形状が扁平で材質がアルミニウムである場合などには、曲げ、伸ばし加工が比較的容易であるため、例えば
図4に示すように、凍土を造成する鉛直深度(例えば100mなど)に相当する長さの冷媒配管201を工場などでロール巻きして、現場に搬入し、これを直線状に伸ばしながら熱伝導部材301を挟み込み、必要に応じて結束部材で束ねるなどして、ボーリング孔に埋め込まれた凍結管101内に挿入することができる。
【0034】
冷媒配管201は、液体である冷媒が流れるので連続体でなければならないが、熱伝導部材301は、冷媒配管201に密着して挟み込まれていればよいので、連続体である必要がなく、可搬性や凍結管101への挿入しやすい長さで分割されて、冷媒配管201の長さに対し、不連続につながっていればよい。
【0035】
(地盤凍結システムによる冷却効果)
上記のように1対の冷媒配管201の間に熱伝導部材301が挟み込まれて設けられる場合には、例えば
図5に示すように、4本の冷媒配管201を四辺形状に設けた場合と略同程度の冷却効果を得ることができた。すなわち、1対の冷媒配管201の間に熱伝導部材301を設けない場合に比べて、冷却速度が速くなることにより、地盤が凍結して所定の温度まで下がるのに要する日数を短縮できることになる。ここで、
図5は、Φ100mmの凍結管を砂質土に800mmピッチに管列配置した場合の凍結管間中央点における温度変化を非定常熱伝導解析により求めたものである。
【0036】
上記のように、冷媒配管201の内側面201aと、凍結管101の内面における冷媒配管201(の外面側)が位置していない領域とが、間に熱伝導部材301が介在するように設けられて接続されることにより、冷媒配管201の内側面201aによる冷却効果への寄与を大きくすることが容易にできる。ここで、上記のような冷却効果の増大のためには、冷媒配管201と熱伝導部材301や、これらと凍結管101の内面とは、必ずしも密着していなくても、熱伝導部材301自体の熱伝導効果が大きければ、冷却効果を増大させることは容易にできる。
【0037】
(変形例)
熱伝導部材301の断面形状は、上記のように中実の矩形状に限らず、例えば
図6に示すような種々の断面形状に形成することによって軽量化や材料の削減を図ることができる。すなわち、例えば
図6(a)に示すように、熱伝導部材301の冷媒配管側面301aと凍結管側面301bとが、ある程度細い熱伝導部301cを介して接続された断面形状を有するようにしてもよい。また、
図6(b)に示すように、空洞部301dを有する四角形状の熱伝導部301cを介して、熱伝導部材301の冷媒配管側面301aと凍結管側面301bとが接続されるようにしてもよい。このような空洞部301dが設けられる場合には、解凍用の熱線を収容する空間を確保することなどが容易にできる。また、
図6(c)に示すように、冷媒配管側面301aと凍結管側面301bとが角部で直接接続されて空洞部301dが形成されるような断面形状を有するようにしてもよい。また、これらの断面形状において、
図6(d)に示すように、凍結管側面301bの対面が円弧状面301eに形成されるようにしてもよい。また、これらの断面形状において、
図6(e)に示すように、冷媒配管側面301aに、冷媒配管201が嵌まり込む凹部301fが形成された断面形状を有するようにしてもよい。この場合には、組み立て作業性を向上させることが容易にできる。
【0038】
また、熱伝導部材301としては、上記のようにアルミニウムなどのいわゆる型材などを用いるのに限らず、例えばパンチングメタルの製造時に生じる小径の丸チップや、アルミニウム材料の切り屑やそれを固めたリサイクル材などを充填し、その隙間に水などを充填するようにしてもよい。そのような熱伝導部材301は、凍結工事が完了した後に、凍結管101を地盤から撤去する必要がない場合などで、従来の充填剤に水だけを使用する条件にならない場合などに有効である。
【0039】
(地盤凍結システムの利用例)
上記のような地盤凍結システムは、凍結管101を縦穴に埋め込んで地盤を凍結させるのに限らず、例えば
図7に示すように、シールド工法によるトンネルの掘削に利用することなどもできる。すなわち、既に掘削された部分からシールド機401の周囲に円錐状に凍結管101を張り出させることによって、掘削先端部を凍結させながら掘削を進めることなどが容易にできる。
【0040】
すなわち、鉛直凍結管に限らず、
図7の放射凍結管や図示していない水平凍結管など、本地盤凍結システムを持つ凍結管であれば、その設置方向に限定されるものでなく、凍結管も直線だけでなく曲線の場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0041】
101 凍結管
110 冷却装置
111 液化器
112 凝縮器
113 冷却塔
114 冷媒循環ポンプ
201 冷媒配管
201a 内側面
202 微小冷媒流路
301 熱伝導部材
301a 冷媒配管側面
301b 凍結管側面
301c 熱伝導部
301d 空洞部
301e 円弧状面
301f 凹部
401 シールド機