(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082498
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】包装体の供給装置、供給方法
(51)【国際特許分類】
A61J 7/04 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
A61J7/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196388
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】522480193
【氏名又は名称】有限会社トップシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100142701
【弁理士】
【氏名又は名称】吉永 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】川平 信一
(72)【発明者】
【氏名】北御門 達弥
(72)【発明者】
【氏名】川平 宗憲
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA01
4C047AA05
4C047CC03
4C047DD22
4C047DD24
4C047GG23
(57)【要約】
【課題】所定の時間に、準備されている包装体を安定して提供する供給装置等を提供する。
【解決手段】包装体80aの供給装置10であって、包装体80aを吊り下げられ先端21が開放された螺旋状部を備える搬送部20と、搬送部20の後端側に取り付けられ搬送部20を回転させる回転部30と、回転部30を回転させる供給時間を設定するための設定部41と、前記供給時間に回転部30を回転させるための回転制御部42とを有する搬送ユニット1と、回転部30が回転することで搬送部20の先端から落下した包装体80bを取り出すための取出部54と、を有する供給装置10。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬品および/またはサプリメントを収容した包装体の供給装置であって、
包装体を吊り下げられ先端が開放された螺旋状部を備える搬送部と、前記搬送部の後端側に取り付けられ前記搬送部を回転させる回転部と、前記回転部を回転させる供給時間を設定するための設定部と、前記供給時間に前記回転部を回転させるための回転制御部とを有する搬送ユニットと、
前記回転部が回転することで前記搬送部の前記先端から落下した前記包装体を取り出すための取出部と、を有する供給装置。
【請求項2】
前記搬送部が、前記螺旋状部の複数のループにそれぞれ前記包装体を吊り下げるものであり、
前記搬送ユニットを複数有し、それぞれの搬送ユニットが、それぞれ異なる供給時間を設定できるものである請求項1に記載の供給装置。
【請求項3】
前記取出部の下側に、前記包装体を供給してから所定の時間が経過しても前記取出部に前記包装体が置かれているとき、前記包装体を回収する回収部と、
前記回収部に前記包装体があるかを検出する回収センサーと、
前記回収センサーが、前記包装体があることを検出したとき、警告を出す警告部と、を有する請求項1または2に記載の供給装置。
【請求項4】
前記搬送部を覆う透明の蓋部と、
前記蓋部を施錠する施錠部と、
前記取出部に前記包装体があるかを検出する取出センサーと、
前記取出センサーが前記包装体を検出したとき、前記包装体が取出部にあることを通知する通知部と、を有する請求項3に記載の供給装置。
【請求項5】
前記搬送部の螺旋状部が、前記先端側に前記後端側よりも螺旋のピッチが広い部分を有する請求項1に記載の供給装置。
【請求項6】
薬品および/またはサプリメントを収容した包装体を吊り下げられ先端が開放された螺旋状部を備える搬送部と、前記搬送部の後端側に取り付けられ前記搬送部を回転させる回転部と、前記回転部を回転させる供給時間を設定するための設定部と、前記供給時間に前記回転部を回転させるための回転制御部とを有する搬送ユニットと、前記回転部が回転することで前記搬送部から落下した前記包装体を取り出すための取出部と、を有する供給装置を用いる、包装体の供給方法であって、
前記設定部に、前記供給時間を設定する工程と、
前記搬送部に、個包装された前記包装体を吊り下げる工程と、
前記設定時間になったとき前記回転部を回転させて、前記包装体を前記螺旋状部の前記先端側に前記包装体を前進させて、前記包装体を前記先端から落下させて、前記取出部に供給する工程と、を有する供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬やサプリメントなどを包装した包装体の供給装置に関する。また、包装体の供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬やサプリメントは、食前や食後、食間などに定期的に所定の種類の所定の量を継続して摂取する場合がある。このようなとき、所定の時間に摂取する量を予め分包した包装体としておき、その包装ごとに時間となったら摂取している。一方で、摂取時間になっても、摂取を忘れたりすることもある。特に、認知症の患者などは、摂取する時間を忘れたり、摂取したことを忘れたり、摂取する対象の包装がいずれかを忘れたり、間違えたりする場合もある。このため、所定の時間に摂取するものを管理する手法が求められている。
【0003】
高齢化社会において、認知症等の原因で薬の飲み忘れや過剰摂取は問題となっている。特に、薬が対象の場合、患者は、毎日、適量を定期的に服薬する必要がある。このため、自ら摂取を管理できない場合、家族や介護者は常時把握する必要がある等のその負担が大きいことが懸念される。この服薬状態の把握の負担を軽減や解消するために、薬の飲み忘れ、過剰摂取を防止することが求められている。このため、服薬支援ロボットや、積み上げ式の服用支援機器などもあるが、患者には取出しにくいものや、無理に取り出してしまう場合もある。
【0004】
特許文献1は、包装された薬を保持可能な保持部と、前記保持部の状態及びその変化を検出可能な検出部と、前記検出部が前記保持部の状態の変化を検出した場合に、前記薬が投入あるいは取り出されたと判断する判断部とを備えることを特徴とする服薬管理装置を開示している。
【0005】
特許文献2は、認知症患者用の薬供給装置にあって全体の形状が動物の形状を程し、患者の注意を言葉によって装置に向けさせることが容易にできる認知症対応薬供給装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-113490号公報
【特許文献2】特開2008-168014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一部前述したように、摂取する日付や時間に合わせて、カレンダー状に分包しておく手法が知られている。また、特許文献1もこのようなカレンダー状の手法を応用したものである。しかし、摂取することを忘れているときや、認知症等の影響で自ら把握できないときは、カレンダーのどこから取ればよいのか、そもそも取るタイミングなのかなどを適切に把握できない場合がある。また、薬の投入や取出しを検出して管理できても、そもそも容易に取り出すことができると見間違いの問題は解消しにくい。
【0008】
また、特許文献2のような構造や、市販されている押出式の積み上げられたボックスに薬を分包して、これを押出式で供給するものなども知られている。しかし、薬の数や種類によっては、包装無しの錠剤をそのままトレイに数日等置いておくのが好ましくない場合や、押出式のボックスが取り出されていないと次のボックスが排出されにくい場合などもある。このように、薬やサプリメントによっては相性が良くない供給構造もあるため、より様々な状況に対応できるように供給管理装置等の選択肢は多いことが求められている。
【0009】
かかる状況下、本発明は、所定の時間に、準備されている包装体を安定して提供する供給装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
【0011】
<1> 薬品および/またはサプリメントを収容した包装体の供給装置であって、包装体を吊り下げられ先端が開放された螺旋状部を備える搬送部と、前記搬送部の後端側に取り付けられ前記搬送部を回転させる回転部と、前記回転部を回転させる供給時間を設定するための設定部と、前記供給時間に前記回転部を回転させるための回転制御部とを有する搬送ユニットと、前記回転部が回転することで前記搬送部の前記先端から落下した前記包装体を取り出すための取出部と、を有する供給装置。
<2> 前記搬送部の螺旋状部の複数のループにそれぞれ包装体を吊り下げるものであり、前記搬送ユニットを複数有し、それぞれの搬送ユニットが、それぞれ異なる供給時間を設定できるものである前記<1>に記載の供給装置。
<3> 前記取出部の下側に、前記包装体を供給してから所定の時間が経過しても前記取出部に前記包装体が置かれているとき、前記包装体を回収する回収部と、前記回収部に前記包装体があるかを検出する回収センサーと、前記回収センサーが、前記包装体があることを検出したとき、警告を出す警告部と、を有する前記<1>または<2>に記載の供給装置。
<4> 前記搬送部を覆う透明の蓋部と、前記蓋部を施錠する施錠部と、前記取出部に前記包装体があるかを検出する取出センサーと、前記取出センサーが前記包装体を検出したとき、前記包装体が取出部にあることを通知する通知部と、を有する前記<1>~<3>のいずれかに記載の供給装置。
<5> 前記搬送部の螺旋状部が、前記先端側に前記後端側よりも螺旋のピッチが広い部分を有する前記<1>~<4>のいずれかに記載の供給装置。
<6> 薬品および/またはサプリメントを収容した包装体を吊り下げられ先端が開放された螺旋状部を備える搬送部と、前記搬送部の後端側に取り付けられ前記搬送部を回転させる回転部と、前記回転部を回転させる供給時間を設定するための設定部と、前記供給時間に前記回転部を回転させるための回転制御部とを有する搬送ユニットと、前記回転部が回転することで前記搬送部から落下した前記包装体を取り出すための取出部と、を有する供給装置を用いる、包装体の供給方法であって、
前記設定部に、前記供給時間を設定する工程と、前記搬送部に、個包装された前記包装体を吊り下げる工程と、前記設定時間になったとき前記回転部を回転させて、前記包装体を前記螺旋状部の前記先端側に前記包装体を前進させて、前記包装体を前記先端から落下させて、前記取出部に供給する工程と、を有する供給方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の供給装置は、所定の時間に、準備されている包装体を安定して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の供給装置の第一の実施形態に係る側面視した概要図である。
【
図2】本発明に用いる搬送ユニットの動きを説明するための概要図である。
【
図3】本発明に用いる搬送ユニットの動きを説明するための概要図である。
【
図4】本発明に用いる搬送ユニットの動きを説明するための概要図である。
【
図5】本発明の供給装置の設計例に係る斜視した概要図である。
【
図7】本発明の供給装置の他の設計例に係る概要図である。
【
図8】本発明に用いる搬送部の螺旋状部の他の形状例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。
【0015】
[本発明の供給装置]
本発明の供給装置は、薬品および/またはサプリメントを収容した包装体の供給装置であって、包装体を吊り下げられ先端が開放された螺旋状部を備える搬送部と、前記搬送部の後端側に取り付けられ前記搬送部を回転させる回転部と、前記回転部を回転させる供給時間を設定するための設定部と、前記供給時間に前記回転部を回転させるための回転制御部とを有する搬送ユニットと、前記回転部が回転することで前記搬送部の前記先端から落下した前記包装体を取り出すための取出部と、を有する。
【0016】
[本発明の供給方法]
本発明の供給方法は、薬品および/またはサプリメントを収容した包装体を吊り下げられ先端が開放された螺旋状部を備える搬送部と、前記搬送部の後端側に取り付けられ前記搬送部を回転させる回転部と、前記回転部を回転させる供給時間を設定するための設定部と、前記供給時間に前記回転部を回転させるための回転制御部とを有する搬送ユニットと、前記回転部が回転することで前記搬送部から落下した前記包装体を取り出すための取出部と、を有する供給装置を用いる、包装体の供給方法であって、前記設定部に、前記供給時間を設定する工程と、前記搬送部に、個包装された前記包装体を吊り下げる工程と、前記設定時間になったとき前記回転部を回転させて、前記包装体を前記螺旋状部の前記先端側に前記包装体を前進させて、前記包装体を前記先端から落下させて、前記取出部に供給する工程と、を有する。
【0017】
本発明の供給装置や供給装置によれば、所定の時間に、準備されている包装体を安定して提供することができる。なお、本願において本発明の供給方法は、本発明の供給装置により行うこともでき、本願においてそれぞれに対応する構成は相互に利用することができる。
【0018】
[供給装置10]
図1は、本発明の供給装置の第一の実施形態に係る側面視した概要図である。供給装置10は、包装体80a(80b、80c)を供給するための装置である。供給装置10は、搬送ユニット1を有する。搬送ユニット1は、搬送部20と、回転部30と、設定部41と回転制御部42とを有する。包装体80aは、把持部92で把持されて吊下部91に取り付けられて、吊下部91は搬送部20に吊下げられている。また、供給装置10は、包装体80bの取出部54を有する。なお、各図において、X方向は、供給装置10の幅方向であり、Y方向は供給装置10の奥行方向であり、Z方向は供給装置10の高さ方向である。
【0019】
また、供給装置10は、底部50、搬送板51、蓋部52、開口部53、取出センサー55、通知部56を有する。また、供給装置10は回収部60を有し、回収するために、回収制御部61と、支持部62、回収センサー63を有する。また、供給装置10は、端末71と通信して、端末71から供給装置10を使用するための各種設定等を行ったり、供給装置10の各種状態を端末71に表示したりすることができる。
【0020】
供給装置10は、包装体80a(80b、80c)に任意のものを収容して、設定部41で設定した時間に、定期的に包装体80aを落下させて供給する。この供給装置10は、継続して摂取する薬の供給の管理などに利用することができる。特に、認知症患者などの単独での自己管理のみでは、飲み忘れや、過剰摂取が生じる恐れがあるときに利用すると有用である。
【0021】
[搬送ユニット1]
図2~4は、本発明に用いる搬送ユニットの動きを説明するための概要図である。搬送ユニット1は、包装体801~805を搬送するための構造である。搬送ユニット1を用いれば、
図2の状態に示すように螺旋状部を有する搬送部20の各ピッチに一つずつ順に包装体801~805を吊り下げて設置し、所定の設定時間になったとき回転体30が1周回転して、
図3のように先端21側の包装体801から順に落下し、
図4のように包装体802が次の先端21側の最先端に吊下げられた状態になっていく。
【0022】
[包装体801~805]
包装体801~805は、供給装置10(
図1等)で供給を管理する対象のものを収容した包装体である。包装は、袋や箱などを用いることができる。収容するものとしては、例えば、薬品および/またはサプリメントなど(以下、「薬品等」と記載する場合がある)を対象とすることができる。これらの薬品等は、治療や健康のために、食前や、食後、食間など、1日に複数回、特定の時間などに摂取する必要がある。一方、日常生活の中でこれらの摂取を常に記憶しておくことが難しい場合や、組み合わせが複雑になり多忙な時間帯だと組み合わせを間違える場合もある。すなわち、いわゆる飲み忘れが生じたり、摂取する組み合わせを間違えたり、摂取したことを忘れて繰り返して摂取してしまう場合がある。このような摂取時間の管理などを適切に行うために、予め包装体に薬品等を小分けに分包したものを準備しておく。そして、所定の時間に合わせて対象の包装体に収容されているものを摂取することで、効率よく内容物を摂取できる。
【0023】
包装体801~805の準備は、供給装置10の利用者が自ら、時間に余裕があるときや、薬品等を処方や購入したときなどに準備してもよい。また、介助者や保護者等の補助者が利用者を補助するために準備してもよい。特に、利用者が認知症などで自ら判断することに問題がありそうな場合、補助者が準備することが有効な場合がある。
【0024】
吊下げる包装体の数は、供給を管理したい期間や、供給装置10に設置する搬送ユニット1の数、使用する供給装置10の数、搬送部20の螺旋状部のループの数、供給装置10の奥行などに応じて適宜設定でき、1つ以上で任意の数とできる。数回分や、数日分などを設置する場合、当然ながら、2以上や、3以上としていくことができる。また、その上限も吊下げできる範囲で特に制限を設けなくてもよいが、通常、継続摂取する薬品等であれば、数日~1週程度で、使用者の体調なども見ながら確認を行ったほうが良いし、数が増えると搬送部20にかかる重さが重くなるため、1つの搬送部20毎に、吊下げる包装体は、20以下や、10以下程度を上限の目安とすることができる。
【0025】
[吊下部91、把持部92]
包装体80a~80c(801~805)は、吊下部91と把持部92を有する吊下げ構造で吊下げる。把持部92で包装体を把持し、吊下げ部91を搬送部20に吊下げる。
【0026】
[搬送部20]
搬送部20は、包装体801~805を搬送する手段である。搬送部20は、包装体801~805を吊り下げることができる構造を有している。また、搬送部20は、先端21が開放された螺旋状部を備える。搬送部20は、ヘリカルやスパイラルとも呼ばれるような、螺旋状部を有し、この螺旋状部に包装体801~805を吊り下げることで、螺旋状部が回転することに合わせて包装体801~805が隣のピッチに移動する。螺旋状部の巻方向はS巻・Z巻(右巻き・左巻き)のいずれでもよく、その巻方向に合わせて回転体30が回転する方向を設計して、回転体30が回転することで、吊下げられた包装体801~805が、先端21側に移動する組み合わせとすればよい。
【0027】
搬送部20は螺旋状部の軸が、略水平方向(
図1~5におけるY方向に沿う方向)となるように設けることが好ましい。完全に水平とせずとも、設置時に概ね水平±10度程度から、±5程度となるように設計することが好ましい。これにより、回転体30が停止している保管時は、ループに包装体801~805が安定して吊下げられたままとなり、異なるループに吊下げられている包装体間でも互いに接触しにくいままとできる。また、搬送部20が回転したときに最先端に吊下げられている包装体801は円滑に落下する。
【0028】
搬送部20は、螺旋状部の複数のピッチに複数の包装体を吊り下げるものとして利用できる。
図2においては、先端21側から順に、始めのループの下端に包装体801が吊り下げられ、その隣のピッチのループに包装体802が吊され下られ、その隣のピッチのループに包装体803が吊り下げられ、その隣のピッチのループに包装体804が吊り下げられ、その隣のループに包装体805が吊下げられている。ここでは、1ループに1つずつ吊下げているが、吊下げ位置は2ループ置きや3ループ置きなどとしてもよく、そのループに合わせて回転させる設定時間と、回転体30の回転数を設定して用いればよい。
【0029】
搬送部20は、先端21が開放された形状である。搬送部20が回転体30の回転により回転することで、
図2の状態から、
図3の状態に示すように包装体801~805が吊り下げられる位置は、先端21側に相対的に前進した状態となる。そして、この先端21のところに移動した包装体801は、先端21からすり抜けるように落下する。
【0030】
搬送部20に用いる螺旋状部は、
図2~4等に示すように、ピッチ間が十分に保たれている巻ばね状やコイル状のものでもよいし、
図8に示すような軸芯部の周囲に螺旋スロープ状となる突起や溝を有するものとしてもよい。コイル状のものの場合、包装体を複数吊下げたときに重力で撓む可能性があるため、螺旋状部を上側から吊り上げるように支持する支持部(
図9(c)など参照)で支えてもよく、コイル状であれば軸が中空状のためこのような吊り上げる支持を行いやすい。
【0031】
搬送部20の螺旋状部は、先端側21に回転体30側となる後端側よりも螺旋のピッチが広い部分を有するものとすることが好ましい。すなわち、
図2において、先端21に最も近い包装体801と包装体802が吊下げられているループ間のピッチ間距離P1は、他のピッチ間距離P2~P4よりも距離が広いものとなっている。先端21側から包装体801~805は落下するため、より落下しやすいように、他のものと接触しにくく、螺旋に安定して吊下げられにくく滑り落ちやすい形状となるように、このような先端21側のピッチが広い部分を設けることが有効となる。P1~P4は、回転に伴う移動や落下ができれば特に制限はないが、概ね3mm~20mmや、5~15mm程度のものとすることができる。P1は他のP2~P4よりも、1~5mm程度広いものとすることが好ましい。なお、これらの測定を行う場合、P1の先端21側の起点は、例えば、先端21から半周ループしたところを起点とすることができる。
【0032】
[回転部30]
回転部30は、搬送部20の螺旋状部の軸に沿って回転させるための部分である。回転部30は、搬送部20の後端側に取り付けられ、回転部30は供給装置10の背面側のフレームに固定されている。回転部30が回転することで、前述したように搬送部20における包装体801~805の移動を行うことができる。
【0033】
[設定部41]
設定部41は、回転部30を回転させる供給時間を設定する部分である。供給時間は、供給装置の使用目的に応じて、包装体801~805、80a~80c等に収容している内容物に合わせて、使用者が任意の時間を設定できる。供給時間は、毎日や数日おきなど任意の時間で設定してよいが、通常、薬品等であれば毎日の所定の時間などで設定する。1日に、1つの設定部41に、1つの供給時間を設定してもよいし、複数の供給時間を設定してもよい。
【0034】
例えば、一つの設定部に、朝8:30、昼12:00、夕18:00などの食事時に合わせて、3つの供給時間を設定してもよい。この場合、いずれの時間も同じ薬品等を供給する場合、包装体801~805は、同じものを収容すればよいし、時間帯によって供給する薬品等が異なる場合、供給するタイミングに合わせて収容した順で準備して吊下げればよい。
【0035】
[回転制御部42]
回転制御部42は、設定部41に設定した供給時間に回転部を回転させるための制御を行う部分である。
【0036】
このように搬送ユニット1は、
図2に示すように、包装体801~805を吊り下げた状態で準備する。設定部41に設定した時間になったら、回転制御部42で回転部30を回転させることで螺旋状部の搬送部20を回転させて、吊下げた包装体801~805を先端側に相対的に移動させる。
図3に示すように、搬送部20を回転させると、最先に配置している包装体801は、回転中に先端21から滑り落ちるように落下する。そして、
図4に示すように、搬送部20が1周すると、包装体802~805は、一つ先端側のループに移動した状態となる。この状態で、さらに次の設定部41に設定した時間になり回転制御部42回転部30を回転させて搬送部20を回転させると、次に包装体802が落下する。このように順に包装体801~805が、落下するように供給されていく。
【0037】
[蓋部52]
供給装置10は、使用中、取出部54にある包装体80b以外は取り出すことができないように蓋部52で覆ったものとすることができる。蓋部52は、包装体80aを設置するときは、開けることができるように開閉可能なものとして設ける。蓋部52は、透明なものでも、不透明なものでもよい。設置されている包装体の残量を容易に把握できた方が、利用者や補助者も状態を確認しやすい。このため、少なくとも吊下げられた包装体80aを視認できる位置が透明なものを蓋部52に用いることが好ましい。特に、包装体80aは正面から見ることができるため、正面が透明なものであることが好ましい。すなわち、透明ケース内に分包したものを吊り下げているため、飲んだ薬や、次に飲む薬を認識できる。また、家族や、介護者なども、その残数などを把握しやすく、追加する必要があるときも把握しやすい。蓋部52は、管理者以外が、自在に開けることができないように施錠する施錠部を設けてもよい。
【0038】
[取出部54]
図1に示すように、供給装置10は、取出部54を有する。取出部54は、回転部30が回転することで搬送部20の先端21から落下した包装体80bを取り出すための部分である。
搬送ユニット1の下には、底部50と、搬送板51が設けられている。先端21の直下は、搬送板51となっており、搬送板51は、供給装置10の手前側(
図1の左側)に向かって下がるように傾斜している。搬送部20に吊下げられていた包装体80aは、先端21から落下したとき、この搬送板51を滑り落ちて、蓋部52の下側の開口部53を通り抜けて、取出し部54の包装体80bの位置に移動する。これにより、供給装置10から、設定された時間に、準備されていた包装体(80a、80b)を安定して供給することができる。取出部54は、トレーなどを配置したものとすることができる。
【0039】
[取出センサー55、通知部56]
供給装置10は、取出センサー55を有するものとすることができる。取出センサー55は、取出部54に包装体80bがあるかを検出するためのセンサーである。また、供給装置10は、通知部56を有するものとすることができる。通知部56は、取出センサー55が、取出部54に包装体80bがあることを検出したとき、包装体80bを取り出しできることを利用者に通知する。この通知は、視覚的なものや聴覚的なものなどで認識できるものであればよく、例えば、音声でアナウンスしたり、信号ランプを点灯や点滅したりするものとすることができる。このように、服用時間を音声で通知し、取出しが確認されるまで、継続的や断続的に通知して、飲み忘れを防止できる。
【0040】
[回収部60]
供給装置10は、回収部60を有するものとすることができる。回収部60は、取出部54の下側に、所定の時間が経過しても取出部54に包装体が置かれているとき、包装体を回収する部分である。
【0041】
取出部54に包装体80bが供給された状態のまま、利用者が失念したり、勘違いしたり、急に対応できない状況になっていたりなど何らかの事情で取り出せない場合がある。このようなとき、包装体80bがそのまま放置されて、次の供給時間になったときは、供給されたことに気づいた場合は、誤って、複数の包装体の内容物を使用してしまい、薬品等の場合は過剰摂取の原因となる恐れがある。このため、取出部54に包装体80bがあるにもかかわらず、一定の時間、取り出されなかった場合、利用者が取り出せないように回収できる構造を追加したものとしてもよい。回収までの所定の時間は、利用状況や、管理の厳格さなどを考慮して適宜設定でき、例えば、30分以上や、1時間以上、2時間以上などを設定できる。
【0042】
回収制御部61は、この回収を行うための制御を行う部分である。支持部62は、搬送板51を指示する部分であり、上下することで、搬送板51の傾斜を調整できる。通常、支持部62は上昇した位置で搬送板51が取出部54側に向けて下がるように傾斜させて支えている。回収制御部61は、適宜、取出センサー55と通信して、包装体80bが所定の時間、取り出されていないと判定されたとき、支持部62を下降させて、搬送板51を供給装置10の奥側(
図1右側)に向けて下がるように傾斜させる。この傾斜に沿って、包装体80bは移動し、底部50の下の包装体80cの位置に収容される。これにより、利用者が適切ではないタイミングにまで置かれたままとなっている包装体80bを取り出すおそれがなくなる。
【0043】
[警告部72]
包装体80bが回収される状態は、使用者に何らかの問題が発生している恐れがある。このため、取出しがされずに回収されていることを警告できる構成とすることがより好ましい。
回収センサー63は、回収部60に包装体80cがあるかを検出するセンサーである。警告部72は、回収センサー63が、包装体80cが回収部60にあることを検出したとき、警告を出す部分である。この警告は、通知部56に準じるものとしてもよいし、使用者本人よりもその補助者に警告を連絡したほうが良い場合もあるため、通信可能な端末71などに警告部72を設けて連絡するものとしてもよい。
【0044】
このように、回収部60や警告部72を設けることで、使用者が、飲み忘れたときは、包装体を回収することで、過剰摂取を防止できる。また、飲み忘れに伴う問題が生じているおそれあがるため、飲み忘れが発生していることを警告できる。
【0045】
[端末71]
供給装置10は、適宜、各種設定や制御、状況の把握などを行うための端末71と通信できるものとしてもよい。端末71は、有線や無線で、供給装置10と通信できるものとする。例えば、端末71は、スマートフォンや、タブレット端末、パーソナルコンピュータにアプリケーションソフトとして導入してもよいし、専用の端末としてもよい。この端末71で、供給時間の設定や確認を行ったり、供給状況の確認を行ったり、回収が発生して警告が生じていないかなどを確認することができる。
【0046】
このような構造で達成できる本発明の供給装置は、複雑な機構を必要とせずに設計できるため、故障が生じにくい。また、比較的安価に作製することができることも期待される。
【0047】
[供給装置の設計例]
図5は、本発明の供給装置の設計例に係る斜視した概要図である。これは、上述してきた供給装置10の構成に準じるものである。搬送ユニットとして用いるための螺旋状部の搬送部を4本設けている。それぞれの搬送部は、必要に応じて、それぞれ別々の設定時間を設定するなどして、使い分けることができる。また、フレームやパネルなどに設定部や、時間を表示する表示部などを設けることができる。また、下部の開口部から、包装体を取り出すことができる。
【0048】
このように本発明の供給装置は、搬送ユニットを複数有し、それぞれの搬送ユニットが、それぞれ異なる供給時間を設定できるものとすることができる。
【0049】
[供給方法のフロー図]
図6は、本発明の供給方法の一例のフロー図である。
ステップS11は、設定部に供給時間を設定する工程である。
ステップS21は、搬送部に、個包装された包装体を吊り下げる工程である。なお、ステップS11とステップS21は、その双方を行ったあと、供給時間が設定されて、包装体が吊下げられた状態であればよく、順序はいずれを先としてもよい。
次に、ステップ31は、設定時間になったとき回転部を回転させて、包装体を螺旋状部の先端側に前進させて、包装体を先端から落下させて、取出部に供給する工程である。
次に、ステップS41は、取出部に供給された包装体を取り出す工程である。使用者は包装体に収容されている内容物を取り出して利用する。これにより、予め準備した包装体を、決まった時間に安定して供給して、利用することができる。
【0050】
図7は、本発明の供給装置の他の設計例に係る概要図である。
図7(a)、(b)は斜視図であり、
図7(c)は側面図である。また、
図7(d)~(f)は、回収部の他の例を示すものである。この供給装置は、3つの搬送ユニットを取り付けており、それぞれに供給時間の設定ができる。また、手前側の取出部の下に回収部を設けているため、取出しが行われなかったときは、供給された包装体を回収して、複数を同時に摂取するような過剰摂取を防止できる。
【0051】
図7(b)に示すように、包装体を吊り下げるときは、蓋部をスライドさせることができる。包装体を設置した後は、
図7(a)等に示すようにこの蓋部を閉じて、適宜、施錠する。
【0052】
図7(c)は、包装体が供給された後、一定の時間経っても取り出されなかったときに、回収するための構造が、
図1等に示すように取出部の板を下向きに傾斜させることで回収させる構造である。
【0053】
図7(d)~(f)は、回収部の他の構造例であり、回収部を中心に斜視した概要図である。この回収するための構造は、図の左下側となる供給装置の手前側の取出部の板が、奥行方向にスライドすることで回収する構造である。通常、図(d)に示すように、取出部の板が手前側に出た状態で、包装体が供給されているとき取り出すことができる。一方、回収するときは、図(e)に示すように、奥行方向に取出部の板がスライドするように水平移動して、取出部の板の直下が開放されて、ここに包装体が落下できる。そして、包装体が落下したまま、取出部の板を供給装置の手前側に押し出すことで包装体が回収される。なお、これらの板の前後のスライドは、例えば、図(f)に示すように板に取り付けたスライド機構により行うことができる。
【0054】
図8は、本発明に用いる搬送部の螺旋状部の他の形状例である。一部前述したように、搬送部は、螺旋形状を利用したこのような軸心体を有する構造のヘリカル形状の棒などを用いてもよい。
【0055】
図9は、本発明の供給装置の製造例に係る像である。
図9(a)は手前側からの斜視方向の像であり、
図9(b)は平面視方向の像である。
図9(c)は、包装体を複数吊下げた搬送ユニット部分の拡大図である。ここでは、朝、昼、夕、就寝前などの使い分けを行うことを想定して4つの搬送ユニットを設けた供給装置の試作例である。右手前に時計が設けられており、現在時刻の表示や設定時間の確認などを行うことができる。透明カバーで蓋をしており、セットされている包装体を保管時も確認しやすい。また、このカバーは中央手前の施錠部でロックすることができるため、その鍵の管理者が設置する包装体の管理を行うことができる。手前側の開口部から所定の供給時間になると包装体が排出されるため、使用者はこれを取り出して使用することができる。また、取り出すときも、搬送ユニットが複数あっても、落下させて共通の1つの取り出し口に供給する構造に容易に設計できるため、使用者が悩まずに出てきたものを取り出すことができる。
【0056】
図9(c)に示すように、包装体は、包装の正面に、任意の文字や記号などを表記しておくこともできる。本発明の供給装置は、包装体が、吊下げられた状態で保管されるため、少なくとも正面が透明な蓋部を用いることで、搬送部に吊下げた最も手前の包装体などを中心に、その表記を確認しやすい形状である。この蓋部は、構造上、正面側には1枚あればよく視認性に優れていて、供給するための搬出部等の機構に影響もない。薬品等は、特に間違えにくいように、包装に、その内容物を摂取する日時等や時間帯(例えば、「月曜・朝」)のような情報を書き込みや貼付等して表記している。この包装に表記されている情報を保管時も確認しやすいことは、使用者やその補助者がすぐに視認して準備されている包装体を把握できることであり、薬品等があることを理解しやすく、安心しやすいという利点もある。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、薬品等を収容した包装体を供給する装置に利用することができ、また、予め診断や処方された後に、分包された薬品等を単に供給する方法に関するものであり、産業上有用である。
【符号の説明】
【0058】
10 供給装置
1 搬送ユニット
20 搬送部
21 先端
30 回転部
41 設定部
42 回転制御部
50 底部
51 搬送板
52 蓋部
53 開口部
54 取出部
55 取出センサー
60 回収部
61 回収制御部
62 支持部
63 回収センサー
71 端末
72 警告部
80a~80c、801~805 包装体
91 吊下部
92 把持部