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特開2024-82525画像撮影装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082525
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】画像撮影装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20240613BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20240613BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20240613BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240613BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240613BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20240613BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20240613BHJP
【FI】
H04N23/60 500
H04N5/222 300
H04N23/56
G06T7/00 300F
G03B15/00 U
G03B15/02
G03B17/56 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196437
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇正 智史
【テーマコード(参考)】
2H105
5C122
5L096
【Fターム(参考)】
2H105CC29
5C122DA28
5C122EA12
5C122FH09
5C122FH11
5C122FH14
5C122FJ11
5C122GD03
5C122GE04
5C122GG08
5C122GG25
5C122HB01
5C122HB06
5L096AA06
5L096CA02
5L096DA02
5L096DA03
5L096FA14
5L096GA51
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】撮影対象媒体の券面から得られる情報の消失を防止すること。
【解決手段】画像撮影装置1において、載置台2には撮影対象媒体が載置され、内部カメラ41は、載置台2に対向して配置され、載置台2に載置された撮影対象媒体を撮影対象媒体の上方から撮影し、左側照明10A及び右側照明10Bは、内部カメラ41の側方に配置され、撮影対象媒体の斜め上方から光を照射し、判定部53は、載置台2に載置された撮影対象媒体が左側照明10Aまたは右側照明10Bの何れか一方が点灯した状態で内部カメラ41によって撮影された画像である撮影画像の所定領域に陰影が存在するか否かに基づいて、撮影画像が、撮影対象媒体の上面の一部分が立体の障害物によって覆い隠された状態で撮影された画像である被遮蔽画像であるか否かを判定する。
【選択図】図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影対象媒体が載置される載置台と、
前記載置台に対向して配置され、前記載置台に載置された前記撮影対象媒体を前記撮影対象媒体の上方から撮影する撮影部と、
前記撮影部の側方に配置され、前記撮影対象媒体の斜め上方から光を照射する照明と、
前記載置台に載置された前記撮影対象媒体が前記照明が点灯した状態で前記撮影部によって撮影された画像である撮影画像の所定領域に陰影が存在するか否かに基づいて、前記撮影画像が、前記撮影対象媒体の上面の一部分が立体の障害物によって覆い隠された状態で撮影された画像である被遮蔽画像であるか否かを判定する判定部と、
を具備する画像撮影装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記所定領域における明暗パターンに基づいて前記所定領域に前記陰影が存在するか否かを判定する、
請求項1に記載の画像撮影装置。
【請求項3】
前記所定領域における前記明暗パターンは、第一閾値以上の階調値である第一階調値と、前記第一閾値より小さい第二閾値未満の階調値である第二階調値と、前記第一閾値未満かつ前記第二閾値以上の階調値である第三階調値とを用いて示され、
前記判定部は、前記所定領域における階調値が、前記第一階調値、前記第三階調値、前記第二階調値の順序である第一順序で並んでいるとき、または、前記第二階調値、前記第三階調値、前記第一階調値の順序である第二順序で並んでいるときに、前記所定領域に前記陰影が存在すると判定する、
請求項2に記載の画像撮影装置。
【請求項4】
前記所定領域は、複数のN個の小領域を含み、
前記判定部は、前記N個より小さいM個の前記小領域のグループを前記所定領域において順次シフトさせながら、前記グループにおいて前記第一順序または前記第二順序の有無を判定する、
請求項3に記載の画像撮影装置。
【請求項5】
前記判定部によって前記撮影画像が前記被遮蔽画像であると判定されたときに、警告を出力する出力部、をさらに具備する、
請求項1に記載の画像撮影装置。
【請求項6】
前記判定部によって前記撮影画像が前記被遮蔽画像であると判定されたときに、ガイダンスを出力する出力部、をさらに具備する、
請求項1に記載の画像撮影装置。
【請求項7】
撮影対象媒体が載置される載置台と、
前記載置台に対向して配置され、前記載置台に載置された前記撮影対象媒体を前記撮影対象媒体の上方から撮影する撮影部と、
前記撮影部の側方に配置され、前記撮影対象媒体の斜め上方から光を照射する照明と、
を具備する画像撮影装置における画像処理方法であって、
前記載置台に載置された前記撮影対象媒体が前記照明が点灯した状態で前記撮影部によって撮影された画像である撮影画像を取得し、
前記撮影画像の所定領域に陰影が存在するか否かに基づいて、前記撮影画像が、前記撮影対象媒体の上面の一部分が立体の障害物によって覆い隠された状態で撮影された画像であるか否かを判定する、
画像処理方法。
【請求項8】
撮影対象媒体が載置される載置台と、
前記載置台に対向して配置され、前記載置台に載置された前記撮影対象媒体を前記撮影対象媒体の上方から撮影する撮影部と、
前記撮影部の側方に配置され、前記撮影対象媒体の斜め上方から光を照射する照明と、
を具備する画像撮影装置に適用可能な画像処理プログラムであって、
前記載置台に載置された前記撮影対象媒体が前記照明が点灯した状態で前記撮影部によって撮影された画像である撮影画像を取得し、
前記撮影画像の所定領域に陰影が存在するか否かに基づいて、前記撮影画像が、前記撮影対象媒体の上面の一部分が立体の障害物によって覆い隠された状態で撮影された画像であるか否かを判定する、
処理をプロセッサに実行させるための画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像撮影装置、画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パスポートや運転免許証等に例示される本人確認書類の券面の画像(以下では「券面画像」と呼ぶことがある)を撮影することにより本人確認を行う画像撮影装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-068690号公報
【特許文献2】特開2004-040712号公報
【特許文献3】特開平06-078133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本人確認書類は人の手によって画像撮影装置にセットされるため、券面画像の撮影時に券面画像の一部の領域が手指によって遮蔽されてしまうことがある。手指によって遮蔽される領域が券面画像に存在すると、券面画像から得られる情報の一部が消失してしまう可能性があるため、本人確認の精度が低下する。
【0005】
そこで、本開示では、撮影対象媒体の券面から得られる情報の消失を防止できる技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の画像撮影装置は、載置台と、撮影部と、照明と、判定部とを有する。前記載置台には、撮影対象媒体が載置される。前記撮影部は、前記載置台に対向して配置され、前記載置台に載置された前記撮影対象媒体を前記撮影対象媒体の上方から撮影する。前記照明は、前記撮影部の側方に配置され、前記撮影対象媒体の斜め上方から光を照射する。前記判定部は、前記載置台に載置された前記撮影対象媒体が前記照明が点灯した状態で前記撮影部によって撮影された画像である撮影画像の所定領域に陰影が存在するか否かに基づいて、前記撮影画像が、前記撮影対象媒体の上面の一部分が立体の障害物によって覆い隠された状態で撮影された画像である被遮蔽画像であるか否かを判定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、撮影対象媒体の券面から得られる情報の消失を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の画像撮影装置の外観の一例を示す図である。
図2図2は、本開示の載置台、左側ガイド部材及び右側ガイド部材の一例を示す斜視図である。
図3図3は、本開示の左側ガイド部材の一例を示す斜視図である。
図4図4は、本開示の載置台、左側ガイド部材及び右側ガイド部材の一例を示す正面断面図である。
図5図5は、本開示の載置台、左側ガイド部材及び右側ガイド部材の一例を示す正面断面図である。
図6図6は、本開示のパスポートの一例を示す図である。
図7図7は、本開示のICAOパスポートの綴じ部の拡大斜視図である。
図8図8は、本開示のICAOパスポートの券面を示す平面図である。
図9図9は、本開示のドイツパスポートの綴じ部の拡大斜視図である。
図10図10は、本開示の薄手部分の奥側の先端部が左側接続部分に接触したときのICAOパスポートを示す斜視図である。
図11図11は、本開示の薄手部分の先端部が薄手部分対向領域に接近したときのICAOパスポートを示す斜視図である。
図12図12は、本開示の薄手部分が左側押さえ部分と載置台本体との間に配置されたときのICAOパスポートを示す斜視図である。
図13図13は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときのICAOパスポートを示す斜視断面図である。
図14図14は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの厚手部分と右側サイドガイド部分とを示す斜視断面図である。
図15図15は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されたときの薄手部分を示す拡大斜視断面図である。
図16図16は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの薄手部分を示す斜視断面図である。
図17図17は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときに内部カメラにより撮影された画像を示す図である。
図18図18は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されるときのドイツパスポートを示す斜視断面図である。
図19図19は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの厚手部分と右側サイドガイド部分とを示す斜視断面図である。
図20図20は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されたときの薄手部分を示す拡大斜視断面図である。
図21図21は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの薄手部分を示す斜視断面図である。
図22図22は、本開示の画像撮影装置の構成例を示す図である。
図23図23は、本開示の内部カメラの画角及び左側照明の照射角の一例を示す図である。
図24図24は、本開示の載置面に設定される所定領域の一例を示す図である。
図25図25は、本開示の載置面に設定される所定領域の一例を示す図である。
図26図26は、本開示の画像撮影装置における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図27図27は、本開示の画像撮影装置の動作例1の説明に供する図である。
図28図28は、本開示の画像撮影装置の動作例2の説明に供する図である。
図29図29は、本開示の画像撮影装置の動作例3の説明に供する図である。
図30図30は、本開示の画像撮影装置の動作例4の説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施例を図面に基づいて説明する。図面において同一の構成には同一の符号を付す。
【0010】
[実施例]
<画像撮影装置の構造>
図1は、本開示の画像撮影装置の外観の一例を示す図である。図1において、画像撮影装置1は、載置台2と、筐体3と、左側ガイド部材5と、右側ガイド部材6とを有する。筐体3は、光が透過しにくい材料から形成され、箱状に形成されている。筐体3は、載置台2の上に配置され、載置台2に固定されている。筐体3の内部には、載置台2と筐体3とに囲まれる内部空間7が形成されている。筐体3の手前側の部分には、開口部8が形成されている。内部空間7は、開口部8を介して筐体3の外部に接続されている。そして、先端部77を有する撮影対象媒体が先端部77から所定の挿入方向IDで開口部8に挿入される。
【0011】
また、図1において、画像撮影装置1は、外部カメラ91と、タッチスクリーン92と、スピーカ93と、挿入検知センサ55Aとを有する。外部カメラ91は、画像撮影装置1に対面し画像撮影装置1を利用して本人確認を行う者を撮影対象者とし、撮影対象者の顔を含む画像を撮影する。以下では、外部カメラ91によって撮影された画像を「外部カメラ画像」と呼ぶことがある。スピーカ93は、ガイダンスや警告を音声で出力する。挿入検知センサ55Aは、撮影対象媒体が開口部8に挿入されたことを検知する。挿入検知センサ55Aの一例として、反射型光電センサが挙げられる。
【0012】
図2は、本開示の載置台、左側ガイド部材及び右側ガイド部材の一例を示す斜視図である。載置台2は、載置台本体11と、突き当て部分12とを有する。載置台本体11は、板状に形成されている。載置台本体11には、平坦である載置面14が形成されている。載置面14は、薄手部分対向領域15と、厚手部分対向領域16とを含んでいる。薄手部分対向領域15と厚手部分対向領域16とは、載置面14が沿う平面に平行である奥行方向18に並び、厚手部分対向領域16は、薄手部分対向領域15の手前側に配置されている。筐体3は、薄手部分対向領域15が内部空間7に配置されるように、かつ、厚手部分対向領域16の一部が開口部8を介して筐体3の外部に配置されるように、載置台本体11に対して配置されている。
【0013】
突き当て部分12は、帯状に形成されている。突き当て部分12には、平坦である突き当て面17が形成されている。突き当て部分12は、突き当て面17が沿う平面が奥行方向18に垂直であるように、かつ、突き当て面17が手前側を向くように、載置面14の奥側に配置されている。突き当て部分12は、載置台本体11と一体に形成され、載置台本体11に固定されている。
【0014】
左側ガイド部材5は、載置面14の幅方向19の左側の端に配置されている。右側ガイド部材6は、載置面14の幅方向19の右側の端に配置されている。幅方向19は、載置面14が沿う平面に平行であり、かつ、奥行方向18に垂直である。
【0015】
また、図2において、載置面14には突き当て検知センサ55Bが配置される。突き当て検知センサ55Bは、奥行方向18において突き当て部分12の直前に配置され、幅方向19において突き当て部分12の中央付近に配置される。突き当て検知センサ55Bは、開口部8に挿入された撮影対象媒体の先端部77が突き当て面17に突き当てられたことを検知する。突き当て検知センサ55Bの一例として、反射型光電センサが挙げられる。
【0016】
図3は、本開示の左側ガイド部材の一例を示す斜視図である。左側ガイド部材5は、左側サイドガイド部分21と、左側押さえ部分22と、左側上側ガイド部分23と、左側接続部分24とを有する。左側サイドガイド部分21には、平坦である左側サイドガイド面25が形成されている。左側サイドガイド部分21は、左側サイドガイド面25が右側を向くように、かつ、左側サイドガイド面25が沿う平面が幅方向19に垂直であるように、内部空間7の左端の下端に配置されている。左側サイドガイド部分21は、載置台本体11に固定されている。
【0017】
左側押さえ部分22は、板状に形成されている。左側押さえ部分22には、平坦である左側押さえ面26が形成されている。左側押さえ部分22は、左側押さえ面26が薄手部分対向領域15に対向するように、かつ、載置面14が沿う平面に平行である他の平面に左側押さえ面26が沿うように、薄手部分対向領域15の上に配置されている。左側押さえ部分22は、さらに、左側押さえ部分22の奥側の端と突き当て部分12の突き当て面17との間の距離が長さLに等しくなるように突き当て面17から手前側に離れ、載置面14の薄手部分対向領域15の左側に配置されている。左側押さえ部分22は、左側サイドガイド面25から突出するように左側サイドガイド部分21に一体に形成され、左側サイドガイド部分21に固定され、左側サイドガイド部分21を介して載置台本体11に固定されている。
【0018】
左側上側ガイド部分23は、平坦である帯状に形成されている。左側上側ガイド部分23には、平坦である左側上側ガイド面27が形成されている。左側上側ガイド部分23は、左側上側ガイド面27が薄手部分対向領域15に対向するように、かつ、載置面14が沿う平面に平行である他の平面に左側上側ガイド面27が沿うように、左側押さえ部分22の手前側に配置されている。左側上側ガイド部分23は、さらに、左側上側ガイド面27と薄手部分対向領域15との間の距離が、左側押さえ面26と薄手部分対向領域15との間の距離より長くなるように、左側押さえ部分22より上側に配置されている。左側上側ガイド部分23の手前側の端は、開口部8の近傍に配置されている。左側上側ガイド部分23は、左側サイドガイド面25から突出するように左側サイドガイド部分21に一体に形成され、左側サイドガイド部分21に固定され、左側サイドガイド部分21を介して載置台本体11に固定されている。
【0019】
左側接続部分24は、屈曲している帯状に形成されている。左側接続部分24は、左側接続部分24の奥側の端が左側押さえ部分22の手前側の端に繋がるように、かつ、左側接続部分24の手前側の端が左側上側ガイド部分23の奥側の端に繋がるように、左側押さえ部分22と左側上側ガイド部分23との間に配置されている。左側接続部分24には、左側曲面28が形成されている。左側曲面28の一端は、左側押さえ面26に隣接し、左側曲面28の他端は、左側上側ガイド面27に隣接している。左側曲面28は、さらに、左側押さえ部分22から離れるにつれて左側曲面28と載置面14との間の距離が単調に長くなるように形成されている。左側曲面28は、さらに、左側曲面28と左側押さえ面26との境界で角張らないように、かつ、左側曲面28と左側上側ガイド面27との境界で角張らないように、緩やかな曲面に形成されている。左側接続部分24は、左側サイドガイド面25から突出するように左側サイドガイド部分21に一体に形成され、左側サイドガイド部分21に固定され、左側サイドガイド部分21を介して載置台本体11に固定されている。
【0020】
左側ガイド部材5の左側サイドガイド部分21の下端は、載置面14から離れ、左側サイドガイド部分21の載置面14に近い側の端には、左側表紙用スリット29がさらに形成されている。左側表紙用スリット29は、左側サイドガイド面25から窪むように形成されている。
【0021】
図4及び図5は、本開示の載置台、左側ガイド部材及び右側ガイド部材の一例を示す正面断面図である。
【0022】
図4において、右側ガイド部材6は、左側ガイド部材5と鏡像対称に形成されている。すなわち、右側ガイド部材6は、右側サイドガイド部分31と、右側押さえ部分32と、右側上側ガイド部分33と、右側接続部分34とを有する。右側サイドガイド部分31には、右側サイドガイド面35が形成されている。右側押さえ部分32には、右側押さえ面36が形成されている。右側上側ガイド部分33には、右側上側ガイド面37が形成されている。右側接続部分34には、右側曲面38が形成されている。
【0023】
右側ガイド部材6は、右側サイドガイド面35が左側サイドガイド面25と向かい合うように、すなわち、幅方向19に垂直である鏡映面40に対して左側ガイド部材5と対称になるように配置され、載置台2の載置台本体11に固定されている。鏡映面40は、幅方向19に垂直である。右側ガイド部材6の右側サイドガイド部分31の載置面14に近い側の端には、右側表紙用スリット39が形成されている。右側表紙用スリット39は、右側サイドガイド面35から窪むように形成されている。
【0024】
つまり、左側押さえ部分22及び右側押さえ部分32は、載置台2と内部カメラ41との間に配置され、載置台2に載置される撮影対象媒体は、左側押さえ部分22及び右側押さえ部分32によって載置台2の方へ押さえつけられる。また、左側サイドガイド部分21及び右側サイドガイド部分31は、載置台2に対して直立して設置される。
【0025】
画像撮影装置1は、内部カメラ41と、左側照明10Aと、右側照明10Bとをさらに有する。左側照明10A及び右側照明10Bの一例としてLED(Light Emitting Diode)照明が挙げられる。内部カメラ41は、内部空間7のうちの薄手部分対向領域15の上に配置され、鏡映面40に交差している。すなわち、内部カメラ41は、載置台2に対向して配置され、載置台2に載置された撮影対象媒体の画像を撮影対象媒体の上方から撮影する。左側照明10A及び右側照明10Bは、内部空間7のうちの薄手部分対向領域15の上に配置され、鏡映面40に対して互いに対称になるように、内部カメラ41の両側方に配置されている。左側照明10Aは、内部カメラ41の左側方に配置され、載置台2に載置された撮影対象媒体の左斜め上方から光を照射する。右側照明10Bは、内部カメラ41の右側方に配置され、載置台2に載置された撮影対象媒体の右斜め上方から光を照射する。内部カメラ41、左側照明10A及び右側照明10Bは、筐体3に固定され、筐体3を介して載置台2に固定されている。内部カメラ41は、さらに、載置台本体11に載置されて薄手部分対向領域15の近傍に配置される撮影対象媒体の画像が撮影されるように、薄手部分対向領域15に向けられている。内部カメラ41は、左側照明10Aまたは右側照明10Bの何れか一方が点灯した状態で、撮影対象媒体の画像を撮影する。以下では、内部カメラ41によって撮影された画像を「内部カメラ画像」と呼ぶことがある。
【0026】
図5において、薄手部分対向領域15は、左側非撮影領域42と右側非撮影領域43とを含んでいる。
【0027】
画像撮影装置1は、例えば、パスポートのうちの予め定められたページの画像を撮影するために利用される。パスポートは、画像撮影装置1の撮影対象となる本人確認書類の一例である。図6は、本開示のパスポートの一例を示す図である。図6には、パスポートの一例としてICAOパスポートを示す。ICAOパスポート61は、国際民間航空機関(ICAO:International Civil Aviation Organization)により定められた仕様で製本された冊子から形成されている。ICAOパスポート61は、複数のシート62が綴じ部63により綴じられている。綴じ部63は、直線状に形成されている。ICAOパスポート61には、券面64が形成されている。ICAOパスポート61は、ICAOパスポート61が閉じられたときに、券面64が露出しないように形成されている。複数のシート62は、券面64が露出するようにICAOパスポート61が開かれたときに、薄手部分65と厚手部分66とに区別される。薄手部分65は、複数のシート62のうちの1つのシートから形成され、先端部77を有する。厚手部分66は、複数のシート62のうちの薄手部分65を除く複数のシートから形成されている。厚手部分66は、綴じ部63を介して薄手部分65に接合されている。券面64は、薄手部分65に形成されている。ICAOパスポート61の幅は、綴じ部63が沿う直線に垂直である2つの平面にICAOパスポート61が挟まれたときに、その2つの平面の距離に等しく、幅Wに等しい。そして、ICAOパスポート61は、先端部77から挿入方向IDで開口部8に挿入される。
【0028】
図7は、本開示のICAOパスポートの綴じ部の拡大斜視図である。図7において、厚手部分66の厚さは、薄手部分65の厚さより厚い。厚手部分66には、右側端面67が形成されている。右側端面67は、綴じ部63が沿う直線に垂直である平面に沿うように形成されている。厚手部分66の右側端面67が形成されている側の反対側には、左側端面が形成されている。左側端面は、右側端面67が向いている方向の反対方向を向いている。左側端面が沿う平面は、右側端面67が沿う平面に平行である。
【0029】
図8は、本開示のICAOパスポートの券面を示す平面図である。券面64は、VIZ(Visual Inspection Zone)68とMRZ(Machine Readable Zone)69とを有する。VIZ68には、ICAOパスポート61が身分証明する人物に関する情報を示す文字列が記載され、ICAOパスポート61が身分証明する人物の写真がさらに記載されている。MRZ69には、文字列が記載されている。MRZ69は、VIZ68の綴じ部63から遠い側に配置されている。VIZ68の長さは、MRZ69とVIZ68とが隣接する境界線75から綴じ部63までの距離に等しく、VIZ68の長さL1Aに等しい。MRZ69の長さは、薄手部分65のうちの綴じ部63と反対側の先端部77から境界線75までの距離に等しく、MRZ69の長さL2Aに等しい。MRZ69の長さL2Aは、VIZ68の長さL1Aより短い。
【0030】
パスポートには、ICAOパスポートの他に、2017年以前にドイツで発行されたドイツパスポートがある。図9は、本開示のドイツパスポートの綴じ部の拡大斜視図である。図9において、ドイツパスポート71は、上記のICAOパスポート61に表紙72が追加されたものであり、表紙72以外の部分は、上記のICAOパスポート61と同じである。すなわち、券面64が露出するようにドイツパスポート71が開かれたときに、ICAOパスポート61と同様に、ドイツパスポート71には、薄手部分65と厚手部分66とが形成される。
【0031】
表紙72は、薄手部分側表紙73と厚手部分側表紙74とを有する。薄手部分側表紙73は、券面64が露出するようにドイツパスポート71が開かれたときに、薄手部分65に沿っている。薄手部分側表紙73は、薄手部分65より大きく、薄手部分側表紙73の辺縁は、薄手部分65の辺縁から外側に突出している。厚手部分側表紙74は、券面64が露出するようにドイツパスポート71が開かれたときに、厚手部分66に沿っている。厚手部分側表紙74は、厚手部分66より大きく、厚手部分側表紙74の辺縁は、薄手部分65の辺縁から外側に突出している。すなわち、厚手部分側表紙74の1つの辺縁は、右側端面67が沿う平面から外側に突出し、厚手部分側表紙74の他の1つの辺縁は、同様に、左側端面が沿う平面から外側に突出している。
【0032】
これに対し、画像撮影装置1の左側ガイド部材5は、左側押さえ部分22の奥側の端と突き当て部分12の突き当て面17との間の長さLがMRZ69の長さL2Aと等しくなるように、または、長さLが長さL2Aより若干長くなるように配置されている。右側ガイド部材6は、右側押さえ部分32の奥側の端と突き当て部分12の突き当て面17との間の距離が長さL2Aと等しくなるように、または、右側押さえ部分32と突き当て面17との間の距離が長さL2Aより若干長くなるように配置されている。画像撮影装置1は、左側サイドガイド面25と右側サイドガイド面35との間の距離がパスポートの幅Wと等しくなるように、または、左側サイドガイド面25と右側サイドガイド面35との間の距離が幅Wより若干長くなるように形成されている。画像撮影装置1は、左側表紙用スリット29の幅が表紙72の厚さより大きくなるように、かつ、左側表紙用スリット29の幅が厚手部分66の厚さより小さくなるように形成されている。画像撮影装置1は、さらに、左側表紙用スリット29の深さが、表紙72が左側端面から突出する長さより長くなるように形成されている。画像撮影装置1は、右側表紙用スリット39の幅が表紙72の厚さより大きくなるように、かつ、右側表紙用スリット39の幅が厚手部分66の厚さより小さくなるように形成されている。画像撮影装置1は、さらに、右側表紙用スリット39の深さが、表紙72が右側端面67から突出する長さより長くなるように形成されている。
【0033】
<画像撮影装置へのパスポートの配置>
撮影対象者は、ICAOパスポート61の券面64の画像を画像撮影装置1に撮影させたいときに、券面64が上を向くようにICAOパスポート61を開く。撮影対象者は、さらに、薄手部分65が厚手部分66の奥側に配置されるように薄手部分65を画像撮影装置1の奥側に向け、開口部8を介して薄手部分65を画像撮影装置1に挿入する。撮影対象者は、さらに、薄手部分65が左側上側ガイド部分23と載置台本体11との間に配置されるように、かつ、薄手部分65が右側上側ガイド部分33と載置台本体11との間に配置されるように、薄手部分65を配置する。撮影対象者は、薄手部分65が左側上側ガイド部分23と載置台本体11との間に配置され、かつ、薄手部分65が右側上側ガイド部分33と載置台本体11との間に配置された後に、ICAOパスポート61を奥側に移動させる。
【0034】
薄手部分65の奥側の先端部77の左側の部分は、薄手部分65が左側上側ガイド部分23と載置台本体11との間に配置された後で、ICAOパスポート61が奥側に移動したときに、図10に示されているように、左側接続部分24に接触することがある。図10は、本開示の薄手部分の奥側の先端部が左側接続部分に接触したときのICAOパスポートを示す斜視図である。薄手部分65の先端部77は、先端部77が左側接続部分24に接触した後にICAOパスポート61が奥側にさらに移動することにより、左側曲面28に沿って移動し、図11に示されているように、載置面14の薄手部分対向領域15に接近する。図11は、本開示の薄手部分の先端部が薄手部分対向領域に接近したときのICAOパスポートを示す斜視図である。薄手部分65は、先端部77が薄手部分対向領域15に接近した後にICAOパスポート61が奥側にさらに移動することにより、図12に示されているように、左側押さえ部分22と載置台本体11との間にスムーズに配置される。図12は、本開示の薄手部分が左側押さえ部分と載置台本体との間に配置されたときのICAOパスポートを示す斜視図である。
【0035】
薄手部分65の奥側の先端部77の右側の部分は、ICAOパスポート61が奥側に移動したときに、薄手部分65の奥側の先端部77の左側の部分と同様に、右側押さえ部分32と載置台本体11との間に配置される。すなわち、画像撮影装置1は、薄手部分65が反っていたときでも、薄手部分65を左側押さえ部分22と右側押さえ部分32との下に誘導することができ、薄手部分65を左側押さえ部分22と右側押さえ部分32との下に配置させる撮影対象者の操作を容易化することができる。
【0036】
撮影対象者は、図13に示されているように、ICAOパスポート61の先端部77が突き当て部分12の突き当て面17に突き当たるまで、ICAOパスポート61を奥側にさらに移動させる。図13は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときのICAOパスポートを示す斜視断面図である。ICAOパスポート61は、先端部77が突き当て部分12の突き当て面17に突き当たることにより、載置台本体11に適切に載置される。ICAOパスポート61は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、薄手部分65が薄手部分対向領域15に対向するように、かつ、厚手部分66が厚手部分対向領域16に対向するように配置される。薄手部分65は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、予め定められた撮影位置に配置される。
【0037】
薄手部分65は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とにより上から押さえつけられている。すなわち、画像撮影装置1は、薄手部分65が反っていた場合でも、薄手部分65が左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに押さえられることにより、薄手部分65が載置面14から大きく離れることを防止することができる。
【0038】
ICAOパスポート61の厚手部分66の右側端面67は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、図14に示されているように、右側サイドガイド部分31の右側サイドガイド面35に対向している。図14は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの厚手部分と右側サイドガイド部分とを示す斜視断面図である。ICAOパスポート61は、厚手部分66が右側にずれるときに、右側端面67が右側サイドガイド面35に接触することにより、適切な位置から右側にずれないように制限される。ICAOパスポート61の厚手部分66の左側端面は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、左側サイドガイド部分21の左側サイドガイド面25に対向している。ICAOパスポート61は、厚手部分66が適切な位置から左側にずれるときに、左側端面が左側サイドガイド面25に接触することにより、適切な位置から左側にずれないように制限される。すなわち、画像撮影装置1は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、ICAOパスポート61が幅方向19に移動しないように厚手部分66を支持することができる。
【0039】
薄手部分65の左側の端面は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、図15に示されているように、何にも接触しない。図15は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されたときの薄手部分を示す拡大斜視断面図である。薄手部分65の右側の端面は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、薄手部分65の左側の端面と同様に、何にも接触しない。薄手部分65は、薄手部分65の左側の端面と右側の端面とに接触する部材が存在しない場合でも、ICAOパスポート61が幅方向19に移動しないように厚手部分66が支持されていることにより、撮影位置から幅方向19に移動しないように支持されている。すなわち、画像撮影装置1は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、薄手部分65が撮影位置から幅方向19に移動しないようにICAOパスポート61を支持することができる。
【0040】
図16は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの薄手部分を示す斜視断面図である。図16に示すように、薄手部分65が撮影位置に配置されているときに、先端部77が突き当て面17に突き当たることにより、ICAOパスポート61は傾斜した状態から傾斜していない状態に矯正され、ICAOパスポート61が傾斜しないようにICAOパスポート61の移動が制限される。
【0041】
薄手部分65のうちのVIZ68が配置されている部分は、薄手部分65が撮影位置に配置されているときに、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに押さえられている。MRZ69は、薄手部分65が撮影位置に配置されているときに、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とが突き当て部分12から長さLだけ離れていることにより、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに押さえられていない。すなわち、画像撮影装置1は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されるときに、MRZ69の一部が左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに隠されないように、MRZ69の全部を露出させることができる。
【0042】
内部カメラ41は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されたときに、左側照明10Aまたは右側照明10Bの何れか一方が点灯した状態で、券面64の券面画像を撮影する。図17に示されているように、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されたときに撮影された内部カメラ画像81には、MRZ像82と、VIZ像83と、左側押さえ部分22、左側上側ガイド部分23及び左側接続部分24の画像84と、右側押さえ部分32、右側上側ガイド部分33及び右側接続部分34の画像85とが写し出される。図17は、本開示のICAOパスポートが載置台本体に適切に載置されるときに内部カメラにより撮影された画像を示す図である。MRZ像82には、券面64のMRZ69の全部が写し出される。すなわち、画像撮影装置1は、ICAOパスポート61が載置台本体11に適切に載置されたときに、MRZ69が左側ガイド部材5と右側ガイド部材6とで隠されないことにより、MRZ69の全部の画像を撮影することができる。また、VIZ像83には、券面64のVIZ68うちの左側ガイド部材5と右側ガイド部材6とに覆われていない部分が写し出される。
【0043】
一方で、撮影対象者は、ドイツパスポート71の券面64の券面画像を画像撮影装置1に撮影させたいときに、ICAOパスポート61のときと同様に、ドイツパスポート71を載置台本体11に適切に載置する。すなわち、撮影対象者は、券面64が上を向くようにドイツパスポート71を開き、薄手部分65の綴じ部63と反対側の先端部77が突き当て部分12の突き当て面17に突き当たるまで、開口部8を介してドイツパスポート71を画像撮影装置1に挿入する。ドイツパスポート71は、ドイツパスポート71の先端部が突き当て部分12の突き当て面17に突き当たることにより、載置台本体11に適切に載置される。
【0044】
図18は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されるときのドイツパスポートを示す斜視断面図である。ドイツパスポート71は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、ICAOパスポート61と同様に、薄手部分65が薄手部分対向領域15に対向するように、かつ、厚手部分66が厚手部分対向領域16に対向するように配置される。薄手部分65は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに撮影位置に配置される。
【0045】
薄手部分65は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とにより上から押さえつけられている。すなわち、画像撮影装置1は、薄手部分65が反っていた場合でも、薄手部分65が左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに押さえられることにより、薄手部分65が載置面14から大きく離れることを防止することができる。
【0046】
ドイツパスポート71の厚手部分側表紙74の右側端面67から突出した部分は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、図19に示されているように、右側表紙用スリット39に配置される。図19は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの厚手部分と右側サイドガイド部分とを示す斜視断面図である。厚手部分側表紙74の左側端面から突出した部分は、右側端面67から突出した部分と同様に、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、左側表紙用スリット29に配置される。
【0047】
ドイツパスポート71の厚手部分66の右側端面67は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、右側サイドガイド部分31の右側サイドガイド面35に対向している。ドイツパスポート71の厚手部分66の左側端面は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、厚手部分66の右側端面67と同様に、左側サイドガイド部分21の左側サイドガイド面25に対向している。すなわち、厚手部分側表紙74は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に配置されるときに、厚手部分66の左側端面が左側サイドガイド面25に沿うことを邪魔しない。このため、画像撮影装置1は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に配置されるときに、ドイツパスポート71が幅方向19に移動しないように厚手部分66を支持することができる。
【0048】
ドイツパスポート71の薄手部分側表紙73の薄手部分65から左側に突出した部分は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、図20に示されているように、左側表紙用スリット29に配置される。図20は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されたときの薄手部分を示す拡大斜視断面図である。ドイツパスポート71の薄手部分側表紙73の薄手部分65から右側に突出した部分は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、薄手部分側表紙73の薄手部分65から左側に突出した部分と同様に、右側表紙用スリット39に配置される。すなわち、画像撮影装置1は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、薄手部分側表紙73が干渉することなく、薄手部分65を撮影位置に適切に配置させることができる。
【0049】
図21は、本開示のドイツパスポートが載置台本体に適切に載置されるときの薄手部分を示す斜視断面図である。図21に示すように、薄手部分65が撮影位置に配置されているときに、先端部77が突き当て面17に突き当たることにより、ドイツパスポート71は傾斜した状態から傾斜していない状態に矯正され、ドイツパスポート71が傾斜しないようにドイツパスポート71の移動が制限される。
【0050】
薄手部分65のうちのVIZ68が配置されている部分は、薄手部分65が撮影位置に配置されているときに、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに押さえられている。MRZ69は、薄手部分65が撮影位置に配置されているときに、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とが突き当て部分12から長さLだけ離れていることにより、左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに押さえられていない。すなわち、画像撮影装置1は、ドイツパスポート71が載置台本体11に適切に載置されるときに、MRZ69の一部が左側押さえ部分22と右側押さえ部分32とに隠されないように、MRZ69の全部を露出させることができる。
【0051】
すなわち、画像撮影装置1では、ドイツパスポート71が開口部8を介して挿入された場合でも、薄手部分65が撮影位置に適切に配置される。画像撮影装置1は、ドイツパスポート71の薄手部分65が撮影位置に適切に配置されることにより、ドイツパスポート71の券面64の券面画像を適切に撮影することができる。
【0052】
<画像撮影装置の構成>
図22は、本開示の画像撮影装置の構成例を示す図である。図22において、画像撮影装置1は、左側照明10Aと、右側照明10Bと、内部カメラ41と、制御部51と、メモリ52と、判定部53と、合成部54と、挿入検知センサ55Aと、突き当て検知センサ55Bと、本人確認部59と、外部カメラ91と、タッチスクリーン92と、スピーカ93とを有する。左側照明10A、右側照明10B、内部カメラ41、メモリ52、判定部53、合成部54、挿入検知センサ55A、突き当て検知センサ55B、本人確認部59、外部カメラ91、タッチスクリーン92、及び、スピーカ93は、制御部51からの制御の下で動作する。制御部51、判定部53、合成部54、及び、本人確認部59を実現するハードウェアの一例としてプロセッサが挙げられる。また、制御部51、判定部53、合成部54、及び、本人確認部59を実現するプロセッサの一例として、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、PLD(Programmable Logic Device)が挙げられる。メモリ52の一例として、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等が挙げられる。
【0053】
以下では、画像撮影装置1の撮影対象媒体がICAOパスポート61である場合を一例に挙げて説明する。
【0054】
<内部カメラの画角と左側照明の照射角>
図23は、本開示の内部カメラの画角及び左側照明の照射角の一例を示す図である。図23に示すように、内部カメラ41は画角PRを有し、載置台2に載置されたICAOパスポート61の真上からICAOパスポート61の券面画像を撮影する。撮影対象者の手によって載置台2にセットされるICAOパスポート61の券面画像を内部カメラ41が撮影する際には、券面画像の一部の領域が手指によって遮蔽されてしまうことがある。一方で、左側照明10Aは、内部カメラ41の左側方に配置され、載置台2に載置されたICAOパスポート61の左斜め上方から照射角IRで光を照射する。よって、左側照明10A及び右側照明10Bのうち左側照明10Aだけが点灯した状態で内部カメラ41が券面画像を撮影するときには、ICAOパスポート61を押さえる手指の右側に陰影が出現する。図23には、載置台2にセットされる際のICAOパスポート61が、第一指F1、第二指F2及び第三指F3の3本の指で押さえられている場合を一例として示す。よって、図23では、第一指F1の右側に第一陰影SH1が出現し、第二指F2の右側に第二陰影SH2が出現し、第三指F3の右側に第三陰影SH3が出現する。第一指F1、第二指F2及び第三指F3は、ICAOパスポート61の上面の一部分を覆い隠す立体の障害物の一例である。手指以外の立体の障害物によってICAOパスポート61の上面の一部分が覆い隠されている場合にも、手指と同様に、立体の障害物の右側に陰影が出現する。
【0055】
<所定領域の設定>
図24及び図25は、本開示の載置面に設定される所定領域の一例を示す図である。図24に示すように、載置面14の手前側の一部に、左右両側に渡って、第一所定領域GRAが予め設定される。また、第一所定領域GRAは、図25に示すように、載置面14の全域のうち、撮影対象者の手によってICAOパスポート61が載置面14にセットされるときにICAOパスポート61を押さえる手指Fによって覆い隠される可能性がある領域として予め設定される。
【0056】
<画像撮影装置における処理手順>
図26は、本開示の画像撮影装置における処理手順の一例を示すフローチャートである。図26に示すフローチャートは、タッチスクリーン92へのタッチが制御部51によって検出されたときに開始される。図26に示すフォローチャートが開始される時点では、左側照明10A及び右側照明10Bの双方が消灯した状態にある。
【0057】
図26において、ステップS100では、制御部51は、「パスポートを挿入してください。」という文字の第一メッセージをタッチスクリーン92に出力させる。なお、制御部51は、「パスポートを挿入してください。」という音声の第一メッセージをスピーカ93に出力させても良い。
【0058】
次いで、ステップS105では、制御部51は、開口部8にICAOパスポート61が挿入されたことが挿入検知センサ55Aによって検知されるまで待機する(ステップS105:No)。開口部8にICAOパスポート61が挿入されたことが挿入検知センサ55Aによって検知されると(ステップS105:Yes)、処理はステップS110へ進む。
【0059】
ステップS110では、制御部51は、ICAOパスポート61の先端部77が突き当て面17に突き当てられたことが突き当て検知センサ55Bによって検知されたか否かを判定する。制御部51は、ICAOパスポート61の先端部77が突き当て面17に突き当てられたことが突き当て検知センサ55Bによって検知されるまで待機する(ステップS110:No)。そして、先端部77が突き当て面17に突き当てられたことが検知されると(ステップS110;Yes)、処理はステップS115へ進む。
【0060】
ステップS115では、制御部51は、消灯している左側照明10A及び右側照明10Bのうち左側照明10Aだけを点灯させる。
【0061】
次いで、ステップS120では、制御部51は、外部カメラ91による撮影対象者の撮影を行うとともに、左側照明10A及び右側照明10Bのうち左側照明10Aだけが点灯した状態で内部カメラ41によるICAOパスポート61の撮影を行う。以下では、左側照明10Aだけが点灯した状態で撮影された内部カメラ画像を「左側画像」と呼ぶことがある。ステップS120で撮影された外部カメラ画像及び左側画像はメモリ52に記憶される。
【0062】
次いで、ステップS125では、判定部53は、メモリ52に記憶されている左側画像に設定される第二所定領域GRBの階調値を判定する。第二所定領域GRBは、左側画像において、第一所定領域GRAに対応する領域である。
【0063】
次いで、ステップS130では、判定部53は、ステップS125で判定した階調値に基づいて、第二所定領域GRBの明暗パターンを判定する。
【0064】
次いで、ステップS135では、判定部53は、ステップS130で判定した明暗パターンに基づいて、左側画像が、ICAOパスポート61の上面の一部分が立体の障害物によって覆い隠された状態で撮影された画像(以下では「被遮蔽画像」と呼ぶことがある)であるか否かを判定する。ICAOパスポート61の上面の一部分を覆い隠す立体の障害物の一例として、撮影対象者(つまり、ICAOパスポート61の所持者)の手指が挙げられる。左側画像が被遮蔽画像であると判定されるときは(ステップS135:Yes)、処理はステップS140へ進み、左側画像が被遮蔽画像でないと判定されるときは(ステップS135:No)、処理はステップS145へ進む。
【0065】
ステップS140では、制御部51は、「パスポートから手を離してください。」という文字の第一警告をタッチスクリーン92に出力させる。なお、制御部51は、「パスポートから手を離してください。」という音声の第一警告をスピーカ93に出力させても良い。ステップS140の処理後、処理はステップS120に戻り、内部カメラ41によってICAOパスポート61の左側画像の再撮影が行われる。
【0066】
一方で、ステップS145では、制御部51は、点灯している左側照明10Aを消灯させ、消灯している右側照明10Bを点灯させる。
【0067】
次いで、ステップS150では、制御部51は、左側照明10A及び右側照明10Bのうち右側照明10Bだけが点灯した状態で内部カメラ41によるICAOパスポート61の撮影を行う。以下では、右側照明10Bだけが点灯した状態で撮影された内部カメラ画像を「右側画像」と呼ぶことがある。ステップS120で撮影された右側画像はメモリ52に記憶される。
【0068】
次いで、ステップS155では、合成部54は、メモリ52に記憶されている左側画像と右側画像とを合成することにより、ICAOパスポート61の券面全体の券面画像を生成する。以下では、左側画像と右側画像とが合成されることにより生成された券面画像を「合成済画像」と呼ぶことがある。
【0069】
次いで、ステップS160では、制御部51は、撮影対象者の本人確認を本人確認部59に行わせる。本人確認部59は、メモリ52に記憶されている外部カメラ画像に含まれる撮影対象者の顔の画像と、合成済画像に含まれる顔の画像とを比較することにより、撮影対象者の本人確認を行う。撮影対象者が本人であると確認できなかったときは(ステップS160:No)、処理はステップS165へ進み、撮影対象者が本人であると確認できたときは(ステップS160:Yes)、処理はステップS170へ進む。
【0070】
ステップS165では、制御部51は、撮影対象者の本人確認ができなかった旨の文字の第二警告をタッチスクリーン92に出力させる。なお、制御部51は、撮影対象者の本人確認ができなかった旨の音声の第二警告をスピーカ93に出力させても良い。ステップS165の処理後、処理はステップS175へ進む。
【0071】
一方で、ステップS170では、制御部51は、撮影対象者の本人確認に成功した旨の文字の第二メッセージをタッチスクリーン92に出力させる。なお、制御部51は、撮影対象者の本人確認に成功した旨の音声の第二メッセージをスピーカ93に出力させても良い。ステップS170の処理後、処理はステップS175へ進む。
【0072】
ステップS175では、制御部51は、点灯している右側照明10Bを消灯させる。これにより、左側照明10A及び右側照明10Bの双方が消灯した状態となる。ステップS175の処理後、図26に示すフローチャートは終了する。
【0073】
<画像撮影装置の動作>
図27図30は、本開示の画像撮影装置の動作例の説明に供する図である。以下では、図27を用いて動作例1について説明し、図28を用いて動作例2について説明し、図29を用いて動作例3について説明し、図30を用いて動作例4について説明する。
【0074】
<動作例1(図27)>
動作例1では、ICAOパスポート61が載置面14にセットされたときに第一所定領域GRAが手指Fによって覆い隠されていない場合について説明する。
【0075】
図27において、判定部53は、メモリ52に記憶されている第一左側画像81Aに設定する第二所定領域GRBの階調値を判定する(ステップS125)。第二所定領域GRBは、例えば、第1小領域~第12小領域の12個の小領域を含む。また、第1小領域~第12小領域の各々は、複数の画素を含む。判定部53は、第1小領域~第12小領域の各小領域毎に、各小領域に含まれる複数の画素の階調値の平均値(以下では「階調平均値」と呼ぶことがある)を算出する。以下では、第1小領域の階調平均値を第1階調平均値、第2小領域の階調平均値を第2階調平均値、第3小領域の階調平均値を第3階調平均値、第4小領域の階調平均値を第4階調平均値、第5小領域の階調平均値を第5階調平均値、第6小領域の階調平均値を第6階調平均値、第7小領域の階調平均値を第7階調平均値、第8小領域の階調平均値を第8階調平均値、第9小領域の階調平均値を第9階調平均値、第10小領域の階調平均値を第10階調平均値、第11小領域の階調平均値を第11階調平均値、第12小領域の階調平均値を第12階調平均値と呼ぶことがある。また、判定部53は、第1小領域~第12小領域の各小領域毎に、階調平均値が、第一閾値TH1以上の階調値(以下では「第一階調値」と呼ぶことがある)、第一閾値TH1より小さい第二閾値TH2未満の階調値(以下では「第二階調値」と呼ぶことがある)、または、第一閾値TH1未満かつ第二閾値TH2以上の階調値(以下では「第三階調値」と呼ぶことがある)の何れに該当するかを判定する。以下では、第一階調値を「+」として図示し、第二階調値を「-」として図示し、第三階調値を「*」として図示する。よって、図27には、判定部53によって、第1階調平均値が第二階調値(-)に該当し、第2階調平均値~第12階調平均値が第一階調値(+)に該当すると判定された場合が示されている。
【0076】
次いで、判定部53は、第二所定領域GRBにおける明暗パターンを判定する(ステップS130)。第二所定領域における明暗パターンは、第一階調値と第二階調値と第三階調値との並び順によって示される。よって例えば、判定部53によって、図27における明暗パターンは“-,+,+,+,+,+,+,+,+,+,+,+”と判定される。
【0077】
次いで、判定部53は、第二所定領域GRBにおける明暗パターンに基づいて、第二所定領域GRBに陰影が存在するか否かを判定する。例えば、判定部53は、第二所定領域GRBに含まれる全小領域の個数N(例えば、N=12)より小さいM個(例えば、M=3)の小領域で形成されるグループ(以下では「小領域グループ」と呼ぶことがある)を用いて第二所定領域GRBに陰影が存在するか否かを判定する。また、判定部53は、第二所定領域GRBにおいて小領域グループを1小領域ずつ右側に順次シフトさせながら、第二所定領域GRBに陰影が存在するか否かを判定する。例えば、小領域グループが3個の小領域(M=3)で形成される場合、判定部53は、右側に順次シフトする小領域グループにおける階調平均値の並び順が、“第一階調値(+)→第三階調値(*)→第二階調値(-)”の順序(以下では「第一順序」と呼ぶことがある)で並んでいるとき、または、“第二階調値(-)→第三階調値(*)→第一階調値(+)”の順序(以下では「第二順序」と呼ぶことがある)で並んでいるときに、第二所定領域GRBに陰影が存在すると判定する。つまり、判定部53は、第二所定領域での明暗パターンにおいて第一順序または第二順序が存在するときに、第二所定領域GRBに陰影が存在すると判定する一方で、第二所定領域での明暗パターンにおいて第一順序及び第二順序が存在しないときに、第二所定領域GRBに陰影が存在しないと判定する。
【0078】
例えば、図27に示す例では、第1小領域グループG1、第2小領域グループG2、第3小領域グループG3、第4小領域グループG4、第5小領域グループG5、第6小領域グループG6、第7小領域グループG7、第8小領域グループG8、第9小領域グループG9,及び、第10小領域グループG10の何れにも第一順序及び第二順序が存在しないため、判定部53は、第二所定領域GRBに陰影が存在しないと判定する。
【0079】
そして、判定部53は、第二所定領域GRBに陰影が存在しないため、第一左側画像81Aが被遮蔽画像でないと判定する(ステップS135:No)。
【0080】
以上、動作例1について説明した。
【0081】
以下の動作例2、動作例3及び動作例4では、動作例1と異なる点について説明する。
【0082】
<動作例2(図28)>
動作例2では、ICAOパスポート61が載置面14にセットされたときに第一所定領域GRAが第一指F1の1本の指で押さえられ、第一指F1の右側に第一陰影SH1が出現する場合について説明する。この場合、図28に示すように、第一指F1の画像である第一指画像F1Iと、第一陰影SH1の画像である第一陰影画像S1Iとが第二左側画像81Bに写り込む。
【0083】
図28において、判定部53は、メモリ52に記憶されている第二左側画像81Bに設定する第二所定領域GRBの階調値を判定する(ステップS125)。
【0084】
次いで、判定部53は、第二所定領域GRBにおける明暗パターンを判定する(ステップS130)。図28には、判定部53によって、第1階調平均値及び第7階調平均値が第二階調値(-)に該当し、第2階調平均値、第3階調平均値、第4階調平均値、第5階調平均値、第8階調平均値、第9階調平均値、第10階調平均値、第11階調平均値及び第12階調平均値が第一階調値(+)に該当し、第6階調平均値が第三階調値(*)に該当すると判定された場合が示されている。よって、図28における明暗パターンは、判定部53によって“-,+,+,+,+,*,-,+,+,+,+,+”と判定される。
【0085】
次いで、判定部53は、第二所定領域GRBにおける明暗パターンに基づいて、第二所定領域GRBに陰影が存在するか否かを判定する。例えば、図28に示す例では、第5小領域グループG5に第一順序が存在するため、判定部53は、第二所定領域GRBに陰影が存在すると判定する。
【0086】
そして、判定部53は、第二所定領域GRBに陰影が存在するため、第二左側画像81Bが被遮蔽画像であると判定する(ステップS135:Yes)。
【0087】
以上、動作例2について説明した。
【0088】
<動作例3(図29)>
動作例3では、ICAOパスポート61が載置面14にセットされたときに第一所定領域GRAが第一指F1及び第二指F2の2本の指で押さえられ、第一指F1の右側に第一陰影SH1が出現し、第二指F2の右側に第二陰影SH2が出現する場合について説明する。この場合、図29に示すように、第一指F1の画像である第一指画像F1Iと、第一陰影SH1の画像である第一陰影画像S1Iと、第二指F2の画像である第二指画像F2Iと、第二陰影SH2の画像である第二陰影画像S2Iとが第三左側画像81Cに写り込む。
【0089】
図29において、判定部53は、メモリ52に記憶されている第三左側画像81Cに設定する第二所定領域GRBの階調値を判定する(ステップS125)。
【0090】
次いで、判定部53は、第二所定領域GRBにおける明暗パターンを判定する(ステップS130)。図29には、判定部53によって、第1階調平均値、第6階調平均値及び第10階調平均値が第二階調値(-)に該当し、第2階調平均値、第3階調平均値、第4階調平均値、第7階調平均値、第8階調平均値、第11階調平均値及び第12階調平均値が第一階調値(+)に該当し、第5階調平均値及び第9階調平均値が第三階調値(*)に該当すると判定された場合が示されている。よって、図29における明暗パターンは、判定部53によって“-,+,+,+,*,-,+,+,*,-,+,+”と判定される。
【0091】
次いで、判定部53は、第二所定領域GRBにおける明暗パターンに基づいて、第二所定領域GRBに陰影が存在するか否かを判定する。例えば、図29に示す例では、第4小領域グループG4及び第8小領域グループG8に第一順序が存在するため、判定部53は、第二所定領域GRBに陰影が存在すると判定する。
【0092】
そして、判定部53は、第二所定領域GRBに陰影が存在するため、第三左側画像81Cが被遮蔽画像であると判定する(ステップS135:Yes)。
【0093】
以上、動作例3について説明した。
【0094】
<動作例4(図30)>
動作例4では、ICAOパスポート61が載置面14にセットされたときに第一所定領域GRAが第一指F1、第二指F2及び第三指F3の3本の指で押さえられ、第一指F1の右側に第一陰影SH1が出現し、第二指F2の右側に第二陰影SH2が出現し、第三指F3の右側に第三陰影SH3が出現する場合について説明する。この場合、図30に示すように、第一指F1の画像である第一指画像F1Iと、第一陰影SH1の画像である第一陰影画像S1Iと、第二指F2の画像である第二指画像F2Iと、第二陰影SH2の画像である第二陰影画像S2Iと、第三指F3の画像である第三指画像F3Iと、第三陰影SH3の画像である第三陰影画像S3Iとが第四左側画像81Dに写り込む。
【0095】
図30において、判定部53は、メモリ52に記憶されている第四左側画像81Dに設定する第二所定領域GRBの階調値を判定する(ステップS125)。
【0096】
次いで、判定部53は、第二所定領域GRBにおける明暗パターンを判定する(ステップS130)。図30には、判定部53によって、第1階調平均値、第4階調平均値、第8階調平均値及び第12階調平均値が第二階調値(-)に該当し、第2階調平均値、第3階調平均値、第6階調平均値、第7階調平均値及び第10階調平均値が第一階調値(+)に該当し、第5階調平均値、第9階調平均値及び第11階調平均値が第三階調値(*)に該当すると判定された場合が示されている。よって、図30における明暗パターンは、判定部53によって“-,+,+,-,*,+,+,-,*,+,*,-”と判定される。
【0097】
次いで、判定部53は、第二所定領域GRBにおける明暗パターンに基づいて、第二所定領域GRBに陰影が存在するか否かを判定する。例えば、図30に示す例では、第4小領域グループG4及び第8小領域グループG8に第二順序が存在し、第10小領域グループG10に第一順序が存在するため、判定部53は、第二所定領域GRBに陰影が存在すると判定する。
【0098】
そして、判定部53は、第二所定領域GRBに陰影が存在するため、第四左側画像81Dが被遮蔽画像であると判定する(ステップS135:Yes)。
【0099】
以上、動作例4について説明した。
【0100】
なお、上記説明では、左側画像の明暗パターンを用いて陰影の有無を判定した。しかし、左側画像に替えて右側画像の明暗パターンを用いて陰影の有無を判定しても良い。
【0101】
また、上記説明では、階調平均値に基づいて明暗パターンを判定した。しかし、階調平均値に替えて、各小領域に含まれる複数の画素の階調値の中央値に基づいて明暗パターンを判定しても良い。
【0102】
また、上記説明におけるステップS105において開口部8にICAOパスポート61が挿入されたことが挿入検知センサ55Aによって検知されたときに(ステップS105:Yes)、制御部51は、所定の時間間隔での写真の連写、または、所定のフレームレートでの動画撮影として内部カメラ41による撮影を開始しても良い。内部カメラ41による撮影の開始後、先端部77が突き当て面17に突き当てられたことがステップS110において検知されるまでの間に、ステップS115~S135の処理がさらに行われても良い。そして、ステップS135の処理において左側画像が被遮蔽画像であると判定されるときに(ステップS135:Yes)、制御部51は、「パスポートをさらに奥まで挿入してください。」という文字のガイダンスをタッチスクリーン92に出力させても良く、または、パスポートをさらに奥まで挿入してください。」という音声のガイダンスをスピーカ93に出力させても良い。このように、内部カメラ41による撮影が、所定の時間間隔での写真の連写、または、所定のフレームレートでの動画撮影として行われる場合、ステップS120及びステップS150では、制御部51は、内部カメラ41による撮影に替えて、連写された複数の写真の中からの所望の写真の選択、または、所定のフレームレートで撮影された動画の中からの所望のフレームの選択を行う。連写された複数の写真の中から選択される所望の写真は、先端部77が突き当て面17に突き当てられた時点で撮影された写真であり、また、所定のフレームレートで撮影された動画の中から選択される所望のフレームは、先端部77が突き当て面17に突き当てられた時点で撮影されたフレームである。
【0103】
<画像処理プログラム>
画像撮影装置1での各処理の全部または一部は、各処理に対応するプログラムを画像撮影装置1が有するプロセッサに実行させることによって実現しても良い。例えば、画像撮影装置1での各処理に対応するプログラムがメモリ52に記憶されていても良い。また例えば、画像撮影装置1での各処理に対応するプログラムが、任意のネットワークを介して画像撮影装置1に接続されたプログラムサーバに記憶され、そのプログラムサーバから画像撮影装置1にダウンロードされて実行されても良い。また例えば、画像撮影装置1での各処理に対応するプログラムが、画像撮影装置1が読み取り可能な記録媒体に記憶され、その記録媒体から読み出されて実行されても良い。
【0104】
以上、本開示の実施例について説明した。
【0105】
以上のように、本開示の画像撮影装置(実施例の画像撮影装置1)は、載置台(実施例の載置台2)と、撮影部(実施例の内部カメラ41)と、照明(実施例の左側照明10Aまたは右側照明10Bの何れか一方)と、判定部(実施例の判定部53)とを有する。載置台には、撮影対象媒体(実施例のICAOパスポート61)が載置される。撮影部は、載置台に対向して配置され、載置台に載置された撮影対象媒体を撮影対象媒体の上方から撮影する。照明は、撮影部の側方に配置され、撮影対象媒体の斜め上方から光を照射する。判定部は、載置台に載置された撮影対象媒体が照明が点灯した状態で撮影部によって撮影された画像である撮影画像(実施例の左側画像)の所定領域(実施例の第二所定領域GRB)に陰影が存在するか否かに基づいて、撮影画像が、撮影対象媒体の上面の一部分が立体の障害物(実施例の手指)によって覆い隠された状態で撮影された画像である被遮蔽画像であるか否かを判定する。
【0106】
こうすることで、撮影画像が被遮蔽画像であると判定されたときに、撮影画像が被遮蔽画像でないと判定されるまで、撮影対象媒体の画像の再撮影が可能になるため、撮影対象媒体の券面から得られる情報の消失を防止できる。その結果、撮影画像を用いた本人確認の失敗の発生頻度を低減することができる。
【0107】
また、判定部は、所定領域における明暗パターンに基づいて所定領域に陰影が存在するか否かを判定する。
【0108】
例えば、所定領域における明暗パターンは、第一閾値以上の階調値である第一階調値と、第一閾値より小さい第二閾値未満の階調値である第二階調値と、第一閾値未満かつ第二閾値以上の階調値である第三階調値とを用いて示される。判定部は、所定領域における階調値が、第一階調値、第三階調値、第二階調値の順序である第一順序で並んでいるとき、または、第二階調値、第三階調値、第一階調値の順序である第二順序で並んでいるときに、所定領域に陰影が存在すると判定する。
【0109】
こうすることで、所定領域に陰影が存在するか否かを正確に判定することができる。
【0110】
また、所定の領域は、複数のN個の小領域を含む。判定部は、N個より小さいM個の小領域のグループを所定の領域において順次シフトさせながら、各グループにおいて第一順序または第二順序の有無を判定する。
【0111】
こうすることで、所定領域に陰影が存在するか否かの判定を効率良く行うことができる。
【0112】
また、本開示の画像撮影装置は、出力部(実施例のタッチスクリーン92,スピーカ93)を有する。出力部は、判定部によって撮影画像が被遮蔽画像であると判定されたときに警告を出力する。
【0113】
こうすることで、撮影対象媒体の画像の再撮影が行われたときの撮影画像が被遮蔽画像となる可能性を低下させることができる。
【0114】
また、出力部は、判定部によって撮影画像が被遮蔽画像であると判定されたときにガイダンスを出力する。
【0115】
こうすることで、撮影対象媒体を手指で押さえて載置台にセットする撮影対象者に対し、券面画像の撮影に適切な位置まで撮影対象媒体を移動させることを促すことが可能になる。
【符号の説明】
【0116】
1 画像撮影装置
2 載置台
41 内部カメラ
10A 左側照明
10B 右側照明
53 判定部
92 タッチスクリーン
93 スピーカ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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