(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082557
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】排気用テールパイプ構造
(51)【国際特許分類】
F01N 13/20 20100101AFI20240613BHJP
【FI】
F01N13/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196491
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鷹村 優太
(72)【発明者】
【氏名】清水 幸一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 裕一
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004BA07
3G004BA08
3G004DA23
(57)【要約】
【課題】テールパイプの見栄えを出来る限り向上させるとともに、凝縮水の排出性を出来る限り高くする。
【解決手段】テールパイプ本体10の後端部は、その下部が、テールパイプ本体10を円筒と仮定したときの左右方向の幅よりも狭くかつ下側に向かって左右方向の幅が狭くなる絞り部125を有し、車両後側から見たときに、絞り部125の少なくとも一部は、パイプガーニッシュ20のカーリング部21と重複する一方で、テールパイプ本体10の後端部の上部は、パイプガーニッシュ20のカーリング部21の内側端部21aよりも内側に位置する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後端部に配置されるテールパイプ本体と、該テールパイプ本体の外周側に配置された筒状のパイプガーニッシュであって該パイプガーニッシュの後端部に、全周に亘って該パイプガーニッシュの内側に湾曲状に折り返されたカーリング部が形成されたパイプガーニッシュとを備えた排気用テールパイプ構造であって、
前記テールパイプ本体の後端部は、その下部が、該テールパイプ本体を円筒と仮定したときの左右方向の幅よりも狭くかつ下側に向かって左右方向の幅が狭くなる絞り部を有し、
前記絞り部の底部の外周面と前記パイプガーニッシュの底部の内周面とが接する一方で、前記絞り部の底部以外の部分の外周面と前記パイプガーニッシュの内周面との間には隙間が形成されており、
車両後側から見たときに、前記絞り部の少なくとも一部は、前記パイプガーニッシュの前記カーリング部と重複する一方で、前記テールパイプ本体の後端部の上部は、前記パイプガーニッシュの前記カーリング部の内側端部よりも内側に位置することを特徴とする排気用テールパイプ構造。
【請求項2】
請求項1に記載の排気用テールパイプ構造において、
前記テールパイプ本体の底部及び前記パイプガーニッシュの底部は、車両側方から見て、水平に延びていることを特徴とする排気用テールパイプ構造。
【請求項3】
請求項2に記載の排気用テールパイプ構造において、
前記テールパイプ本体の上部には、車両後側に向かって拡径する拡大部が設けられていることを特徴とする排気用テールパイプ構造。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の排気用テールパイプ構造において、
前記パイプガーニッシュにおける前記絞り部に対応する部分の底部には、前記絞り部と前記パイプガーニッシュとの間の前記隙間に連通する孔部が形成されていることを特徴とする排気用テールパイプ構造。
【請求項5】
請求項4に記載の排気用テールパイプ構造において、
前記テールパイプ本体の下部は、前記絞り部よりも上流側の部分に、該絞り部よりも底部の幅が広くかつ前記パイプガーニッシュに接合される接合部と、該接合部から前記絞り部に向かって左右方向の幅が徐々に狭くなる漸次変形部とを有することを特徴とする排気用テールパイプ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、排気用テールパイプ構造に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
SUV(Sports Utility Vehicle)等の車高の高い車両では、デザイン性から、テールパイプ後端の地上高を高くするニーズがある。
【0003】
このニーズに対応するために、テールパイプを後側に向って上側へ傾斜した形状が検討されている。しかし、この形状では、排気ガス及び凝縮水の排出性が悪くなって、排気抵抗の悪化、異音、閉塞の懸念があった。
【0004】
これに対応するために、例えば、特許文献1では、テールパイプに、下流側に向けて上方に湾曲する湾曲部と、湾曲部から終端までの底部に下方に膨出し、テールパイプの幅より幅が小さく、軸方向に伸びる溝とが設けられた構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の構造では、溝により凝縮水の排出性を向上させることは期待される。しかしながら、特許文献1の構造では、テールパイプの後端がリアバンパーよりも車両前側に位置し、車両後側からテールパイプを見たときに、溝がバンパーワッフルと重複するような配置になっている。このような構造では、テールパイプを上方に湾曲させていたとしても、テールパイプが低い位置にあるように見えてしまい、見栄えが悪くなってしまう。
【0007】
ここに開示された技術は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両用エンジンのテールパイプを、テールパイプ本体と、カーリング部が設けられたパイプガーニッシュとで構成する場合に、そのテールパイプの見栄えを出来る限り向上させるとともに、凝縮水の排出性を出来る限り高くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、ここに開示された技術の第1の態様では、車両の後端部に配置されるテールパイプ本体と、該テールパイプ本体の外周側に配置された筒状のパイプガーニッシュであって該パイプガーニッシュの後端部に、全周に亘って該パイプガーニッシュの内側に湾曲状に折り返されたカーリング部が形成されたパイプガーニッシュとを備えた排気用テールパイプ構造を対象として、前記テールパイプ本体の後端部は、その下部が、該テールパイプ本体を円筒と仮定したときの左右方向の幅よりも狭くかつ下側に向かって左右方向の幅が狭くなる絞り部を有し、前記絞り部の底部の外周面と前記パイプガーニッシュの底部の内周面とが接する一方で、前記絞り部の底部以外の部分の外周面と前記パイプガーニッシュの内周面との間には隙間が形成されており、車両後側から見たときに、前記絞り部の少なくとも一部は、前記パイプガーニッシュの前記カーリング部と重複する一方で、前記テールパイプ本体の後端部の上部は、前記パイプガーニッシュの前記カーリング部の内側端部よりも内側に位置する、という構成とした。
【0009】
この構成によると、テールパイプ本体の後端部の上部が、パイプガーニッシュのカーリング部の内側端部よりも内側に位置することで、パイプガーニッシュがテールパイプ本体よりも上側に位置しているような見た目にすることができる。これにより、テールパイプ本体を上側に傾斜させなくても、車両後側からテールパイプを見たときに、排気口が高い位置にあるような見た目にすることができる。
【0010】
また、絞り部とパイプガーニッシュとの間には隙間が形成されているため、凝縮水はこの隙間に流れ込むことができ、テールパイプ本体からは排出されやすい。
【0011】
また、排気口において、テールパイプ本体とパイプガーニッシュとの重複部分は、絞り部のみであるため、排気がパイプガーニッシュと干渉する領域については小さくすることができる。これにより、気流音を出来る限り抑えることもできる。
【0012】
ここに開示された技術の第2の態様では、第1の態様において、前記テールパイプ本体の底部及び前記パイプガーニッシュの底部は、車両側方から見て、水平に延びている、という構成でもよい。
【0013】
この構成によると、凝縮水がテールパイプ本体内に溜まりにくくなり、凝縮水の排水性をより向上させることができる。
【0014】
ここに開示された技術の第3の態様では、第2の態様において、前記テールパイプ本体の上部には、車両後側に向かって拡径する拡大部が設けられている、という構成でもよい。
【0015】
この構成によると、車両後側から見たときに、テールパイプ本体の上部の内周部分を視認することができる。これにより、テールパイプ本体自体は水平にした状態でも、テールパイプ本体が上側に向かって延びているような見た目にすることができる。この結果、テールパイプの見栄えをより向上させることができる。
【0016】
ここに開示された技術の第4の態様では、第1~3の態様のいずれか1つにおいて、前記パイプガーニッシュにおける前記絞り部に対応する部分の底部には、前記絞り部と前記パイプガーニッシュとの間の前記隙間に連通する孔部が形成されている、という構成でもよい。
【0017】
この構成によると、絞り部とパイプガーニッシュとの間の隙間に流れた凝縮水を、孔部を介してテールパイプ外に排出することができる。これにより、凝縮水の排水性をより向上させることができる。
【0018】
ここに開示された技術の第5の態様では、第4の態様において、前記テールパイプ本体の下部は、前記絞り部よりも上流側の部分に、該絞り部よりも底部の幅が広くかつ前記パイプガーニッシュに接合される接合部と、該接合部から前記絞り部に向かって左右方向の幅が徐々に狭くなる漸次変形部とを有する、という構成でもよい。
【0019】
この構成によると、凝縮水がパイプガーニッシュの内周面に沿って前側に移動するのを、漸次変形部と接合部とで抑制して、孔部からの排水を促すことができるため、凝縮水の排水性をより向上させることができる。また、車両接合部を出来る限り幅広にすることができるため、テールパイプ本体とパイプガーニッシュとの十分な広さの接合面積を得ることができ、テールパイプ本体とパイプガーニッシュとの位置関係を安定させることができる。また、漸次変形部により排気の剥離を出来る限り抑制できるため、気流音の発生をより効果的に抑えることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、ここに開示された技術によると、テールパイプの見栄えを出来る限り向上させるとともに、凝縮水の排出性を出来る限り高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態に係るテールパイプ構造を有するテールパイプの側面図である。
【
図2】
図2は、テールパイプを車両後側から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2のIII-III線相当の平面で切断した断面図である。
【
図4】
図4は、
図3のIV-IV線相当の平面で切断した断面図である。
【
図5】
図5は、テールパイプ本体を、
図3のV-V線相当の平面で切断した断面図である。
【
図6】
図6は、テールパイプ本体を、
図3のVI-VI線相当の平面で切断した断面図である。
【
図7】
図7は、テールパイプの下流部分を下側から見た底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係るテールパイプ構造を有するテールパイプ1を示す。このテールパイプ1は、SUV(Sports Utility Vehicle)等の車高の高い車両に採用されるテールパイプである。
図1に示すテールパイプ1は、車両の後端部の下部に設けられた、排気音量を抑制するためのサイレンサ2の車両左側の側面に接続された左側のテールパイプである。サイレンサ2は、車幅方向(車両の左右方向)に長い、平面視で略矩形状をなしている。サイレンサ2の車両右側の側面には、左側のテールパイプ1とは左右対称形状をなす右側のテールパイプが設けられている。右側のテールパイプについては、
図1では左側のテールパイプ1と重なって見えていない。
【0024】
サイレンサ2の車両前側の面における車幅方向の中間部には、上記車両の前部に位置するエンジンルームに配設されたエンジンから延びる排気管(図示省略)が接続されている。前記エンジンからの排気ガスは、前記排気管及びサイレンサ2を通った後に、左側のテールパイプ1、及び右側のテールパイプから大気中に放出される。
【0025】
右側のテールパイプは、左側のテールパイプ1と同じ構成(左右対称形状である点のみが異なる)であるので、以下の説明では、左側のテールパイプ1(単に、テールパイプ1という)についてのみ詳細に説明する。また、以下に説明するテールパイプ1についての前、後、左、右、上及び下は、それぞれ、テールパイプ1が前記車両に搭載された状態での前、後、左、右、上及び下のことであり、前記車両についての前、後、左、右、上及び下と同じである。
【0026】
テールパイプ1は、サイレンサ2との接続位置から後側かつ左側に斜めに延びた後、後側に向かって真っ直ぐに延びている。テールパイプ1は、前記車両の後端部に配置されるテールパイプ本体10と、該テールパイプ本体10の外周側に配置された円筒状のパイプガーニッシュ20とを備えている。このパイプガーニッシュ20の後端部には、全周に亘って該パイプガーニッシュ20の内側に湾曲状に折り返されたカーリング部21が形成されている(
図3参照)。本実施形態では、カーリング部21は、パイプガーニッシュ20の中心軸を含む平面に沿った断面(
図3)において、略1周するように略円弧状に曲げられており、カーリング部21において、パイプガーニッシュ20の径方向内側に最も突出した部分(前側部分と後側部分との境界部分)が、内側端部21aである。
【0027】
図1に示すように、テールパイプ本体10の底部及びパイプガーニッシュ20の底部は、左右方向から見て、水平に延びている。詳しくは後述するが、テールパイプ本体10とパイプガーニッシュ20とは、その底部同士が接合されており、上下方向におけるそれぞれの底部の位置が一致している(厳密には板厚の分だけ異なる)。
【0028】
テールパイプ本体10は、サイレンサ2に接続された本体前部11と、本体前部11の後端部に接続された本体後部12と、に2分されている。本体前部11は、断面円形である。本体後部12は、詳しくは後述するが、種々の断面形状を有している。本体後部12の前端部は、本体前部11の後端部の外周側に位置していて、本体前部11の後端部に溶接により接合されている。
【0029】
図2に示すように、テールパイプ1を後側から見たときには、本体後部12の下部の一部(後述する絞り部125)は、パイプガーニッシュ20のカーリング部21と重複する一方で、本体後部12の上部は、パイプガーニッシュ20のカーリング部21の内側端部21aよりも内側に位置する。
【0030】
図3に示すように、本体後部12の上部は、後側に向かって徐々に拡径する第1拡径部121と、第1拡径部121の後側に位置しかつ一定の径で延びる第1水平部122と、第1水平部122の後側に位置しかつ後側に向かって徐々に拡径する第2拡径部123と、第1拡径部123の後側に位置しかつパイプガーニッシュ20のカーリング部21の位置まで一定の径で延びる第2水平部124と、を有する。
図2及び
図4に示すように、第1拡径部121及び第2拡径部123があることにより、テールパイプ1を後側から見たときには、本体後部12の上部の内周部分を視認することができる。第1拡径部121及び第2拡径部123は、拡大部に相当する。
【0031】
第1水平部122、第2拡径部123、及び第2水平部124は、パイプガーニッシュ20によって覆われたガーニッシュ被覆部となっている。第1水平部122とパイプガーニッシュ20との間には、第1水平部122とパイプガーニッシュ20とを接続するブラケット30が設けられている。ブラケット30は、前側突出部31と、後側突出部32と、前側突出部31の後側端と後側突出部32の前側端とを連結する連結部33とを有する。
図4に示すように、前側突出部31、後側突出部32、及び連結部33は、本体後部12の軸方向における第1水平部122に対応する位置において、第1水平部122の外周面及び本体後部12の下部における下端部を除く部分に沿って円弧状に延びている。前側突出部31は、第1水平部122の外周面に溶接により接合されている。後側突出部32は、パイプガーニッシュの内周面の前端部に溶接により接合されている。
【0032】
ブラケット30が設けられていることにより、本体後部12とパイプガーニッシュ20との位置関係を安定させることができる。また、連結部33が壁になることで、本体後部12とパイプガーニッシュ20との間の隙間に、前側から異物が入りにくくなっている。本体後部12の下端部とパイプガーニッシュ20との間については、本体後部12の底部とパイプガーニッシュ20の底部とが接合されることで、隙間が小さくなっているため、ブラケット30がなくとも異物が入りにくくなっている。
【0033】
図3~
図6に示すように、本体後部12の下部は、本体後部12の後端部に設けられかつ下側に向かって徐々に幅が狭くなる絞り部125と、絞り部125よりも上流側に設けられかつパイプガーニッシュ20の底部の内周面に接合される接合部126と、接合部126と絞り部125との間に位置しかつ接合部126から絞り部125に向かって幅が徐々に狭くなる漸次変形部127と、を有する。本体後部12の軸方向において、絞り部125の位置は、第2水平部124の位置に相当し、接合部126の位置は、第1水平部122の位置に相当し、漸次変形部127の位置は、第2拡径部123の位置に相当する。
【0034】
図4に示すように、絞り部125は、その左右方向の幅が、本体後部12を円筒と仮定したときの左右方向の幅よりも狭くなるように絞られている。具体的には、絞り部125は、断面がV字状になるように絞られている。絞り部125は、下側に向かって斜めに傾斜して延びる左右一対の第1傾斜部125aと、下側に向かって湾曲しかつ第1傾斜部125aの下端部同士を連結する第1湾曲連結部125bとを有する。各第1傾斜部125aは、本体後部12の上部(特に第2水平部124)に沿った仮想円C1の接線方向に、それぞれ延びている。第1湾曲連結部125bは、絞り部125の底部に相当していて、パイプガーニッシュ20の底部の内周面に接触している。一方で、絞り部125の第1湾曲連結部125b以外の部分の、すなわち第1傾斜部125aの外周面とパイプガーニッシュ20の内周面との間には隙間が形成されている。
【0035】
図5に示すように、接合部126は、本体後部12の第1水平部122に連結する左右一対の第1連結壁部126aと、第1連結壁部126aの下端部同士を連結する第2湾曲連結部126bとを有する。第1連結壁部126aの上部は、本体後部12の上部(特に第1水平部122)に沿った仮想円C2の接線方向に、それぞれ延びている。第1連結壁部126aの下部は、下側に向かって互いに近づくようにそれぞれ湾曲している。第1連結壁部126aの外周面とパイプガーニッシュ20の内周面との間には隙間が形成されている。第2湾曲連結部126bは、左右方向の幅が絞り部125の第1湾曲連結部125bよりも幅広に形成されている。第2湾曲連結部126bは、パイプガーニッシュ20の内周面に沿うように湾曲している。これにより、本体後部12の軸方向における接合部126の位置では、第2湾曲連結部126bの外周面とパイプガーニッシュ20の内周面との間には隙間が形成されないようになっている。
【0036】
図6に示すように、漸次変形部127は、下側に向かって斜めに傾斜して延びる左右一対の第2傾斜部127aと、下側に向かって湾曲しかつ第2傾斜部127aの下端部同士を連結する第3湾曲連結部127bと、第2傾斜部127aの上端と本体後部12の第2拡径部123とを連結する左右一対の第2連結壁部127cと、を有する。各第2傾斜部127aは、後側に向かって、水平面に対する傾斜角度を一定にしたまま徐々に長くなっていて、漸次変形部127の後端位置では、絞り部125の第1傾斜部125aと同じ長さとなっている。第3湾曲連結部127bは、後側に向かって幅が狭くなるようになっており、漸次変形部127の後端位置では、絞り部125の第1湾曲連結部125bと同じ幅となっている。第3湾曲連結部127bは、パイプガーニッシュ20の内周面に沿うように湾曲している。第2連結壁部127cの上部は、本体後部12の上部(特に第2拡径部123)に沿った仮想円C3の接線方向にそれぞれ延びている。第2拡径部123は、後側に向かって拡径しているため、第2連結壁部127cの上端の位置も後側に向かって変化している。
【0037】
図7に示すように、パイプガーニッシュ20の底部には、該パイプガーニッシュ20の径方向に貫通する孔部22が設けられている。孔部22は、パイプガーニッシュ20の軸方向の中央よりも後側の位置、より詳しくは、本体後部12の絞り部125の位置に位置している。孔部22は、絞り部125とパイプガーニッシュとの間の隙間に連通している。この孔部22は、隙間に入り込んだ凝縮水を排出する機能を有している。
【0038】
ここで、車高の高い車両では、デザイン性から、テールパイプ後端の地上高を高くするニーズがある。このニーズに対して、テールパイプを後側に向って上側へ傾斜した形状が検討されている。しかしながら、テールパイプを上側に傾斜させると、排気ガス及び凝縮水の排出性が悪くなって、排気抵抗の悪化、異音、閉塞の懸念があった。
【0039】
これに対して、本実施形態では、本体後部12の後端部における上部を、パイプガーニッシュ20のカーリング部21の内側端部21aよりも内側に位置させることで、パイプガーニッシュ20がテールパイプ本体10よりも上側に位置しているような見た目にすることができる。これにより、テールパイプ本体10を上側に傾斜させた形状としなくても、後側からテールパイプ1を見たときに、排気口が高い位置にあるような見た目にすることができる。
【0040】
また、絞り部125とパイプガーニッシュ20との間には隙間が形成されているため、凝縮水はこの隙間に流れ込むことができ、テールパイプ本体10からは排出されやすい。
【0041】
したがって、テールパイプ1の見栄えを出来る限り向上させるとともに、凝縮水の排出性を出来る限り高くすることができる。
【0042】
また、排気口において、テールパイプ本体10とパイプガーニッシュ20との重複部分は、絞り部125のみであるため、排気がパイプガーニッシュ20と干渉する領域については小さくすることができる。これにより、気流音を出来る限り抑えることもできる。
【0043】
また、本実施形態では、テールパイプ本体10の底部及びパイプガーニッシュ20の底部は、車両側方から見て、水平に延びている。これにより、凝縮水がテールパイプ本体10内に溜まりにくくなり、凝縮水の排水性をより向上させることができる。
【0044】
また、本実施形態では、テールパイプ本体10の本体後部12には、車両後側に向かって拡径する第1拡径部121及び第2拡径部123が設けられている。これにより、車両後側から見たときに、テールパイプ本体10の上部の内周部分を視認することができるため、テールパイプ本体10自体は水平にした状態でも、テールパイプ本体10が上側に向かって延びているような見た目にすることができる。この結果、テールパイプ1の見栄えをより向上させることができる。
【0045】
また、本実施形態では、パイプガーニッシュ20における絞り部125に対応する部分の底部には、絞り部125とパイプガーニッシュ20との間の隙間に連通する孔部22が形成されている。これにより、絞り部125とパイプガーニッシュ20との間の隙間に流れた凝縮水を、孔部22を介してテールパイプ1外に排出することができる。この結果、凝縮水の排水性をより向上させることができる。
【0046】
また本実施形態では、本体後部12の下部は、絞り部125よりも上流側の部分に、絞り部125よりも底部の幅が広くかつパイプガーニッシュ20に接合される接合部126と、接合部126から絞り部125に向かって左右方向の幅が徐々に狭くなる漸次変形部127とを有する。これにより、凝縮水がパイプガーニッシュ20の内周面に沿って前側に移動するのを、漸次変形部127と接合部126とで抑制して、孔部22からの排水を促すことができるため、凝縮水の排水性をより向上させることができる。また、車両接合部を出来る限り幅広にすることができるため、本体後部12とパイプガーニッシュ20との十分な広さの接合面積を得ることができ、本体後部12とパイプガーニッシュ20との位置関係を安定させることができる。また、漸次変形部127により排気の剥離を出来る限り抑制できるため、気流音の発生をより効果的に抑えることができる。
【0047】
ここに開示された技術は、前述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0048】
例えば、前述の実施形態では、絞り部125はV字状をなしていたが、下側に向かって左右方向の幅が狭くなる形状であれば、V字状に限定されない。パイプガーニッシュ20のカーリング部21との重複部分を出来る限り小さくするという観点からは、V字状が好ましい。
【0049】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0050】
ここに開示された技術は、車両の後端部に配置されるテールパイプ本体と、該テールパイプ本体の外周側に配置された筒状のパイプガーニッシュであって該パイプガーニッシュの後端部に、全周に亘って該パイプガーニッシュの内側に湾曲状に折り返されたカーリング部が形成されたパイプガーニッシュとを備えた排気用テールパイプ構造として有用である。
【符号の説明】
【0051】
1 テールパイプ
10 テールパイプ本体
20 パイプガーニッシュ
21 カーリング部
21a 内側端部
22 孔部
121 第1拡径部(拡大部)
123 第2拡径部(拡大部)
125 絞り部
126 接合部
127 漸次変形部