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特開2024-82581搬送システムおよび搬送システムに用いられるガイド機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082581
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】搬送システムおよび搬送システムに用いられるガイド機構
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20240613BHJP
   B65G 21/20 20060101ALI20240613BHJP
   B65G 47/52 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B65G47/14 N
B65G21/20 A
B65G47/52 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196532
(22)【出願日】2022-12-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-16
(71)【出願人】
【識別番号】506429606
【氏名又は名称】株式会社S&Sエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】大矢 敏弘
【テーマコード(参考)】
3F025
3F044
3F080
【Fターム(参考)】
3F025BA02
3F025BB04
3F025BC01
3F025BC04
3F044AA02
3F044CD01
3F044CF04
3F080AA05
3F080BE12
3F080BF04
3F080CE03
3F080DA01
3F080DA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の種類の円筒状の搬送物を横倒しで搬送する際に、ベルトコンベア間の隙間に搬送物が滞留しない搬送システムを提供する。
【解決手段】搬送システム1は第1搬送面11と一対の第1側壁12とを有する第1ベルトコンベア10と、第2搬送面21と一対の第2側壁22とを有する第2ベルトコンベア20とを含み、第2ベルトコンベアは第1ベルトコンベアとの間に隙間を有する状態で配置される。隙間を通過して円筒状の搬送物を第1搬送面から第2搬送面に搬送させるためのガイド斜壁32が形成され、ガイド斜壁は搬送方向に直交する断面において、ガイド斜壁の搬送方向の上流端の下端の幅方向における位置がガイド斜壁の上流端の上端の幅方向における位置よりも第2搬送面の外側にあり、搬送方向の上流側から下流側に向かうにしたがってガイド斜壁の下端の幅方向における位置がガイド斜壁の上端の幅方向における位置に徐々に近づくように形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の円筒状の搬送物を載せて搬送方向に搬送し、前記搬送方向に延びる第1搬送面と、前記第1搬送面の前記搬送方向と直交する幅方向の外側の両端にそれぞれ設けられて鉛直方向の高さを有する一対の第1側壁と、を有する第1ベルトコンベアと、
前記搬送方向における前記第1ベルトコンベアの下流側に、前記第1ベルトコンベアとの間に前記搬送方向に前記搬送物が落下しない長さだけ隙間を有する状態で隣接して配置された第2ベルトコンベアであって、前記搬送物を載せて前記搬送方向に搬送し、前記搬送方向に延びる第2搬送面と、前記第2搬送面の前記幅方向の両端にそれぞれ設けられて鉛直方向の高さを有する一対の第2側壁と、を有する前記第2ベルトコンベアと、
を備える搬送システムであって、
前記一対の第2側壁のうちの少なくとも一方の前記搬送方向における前記第2ベルトコンベアの上流側の端部には、前記第2側壁と一体または別体で、前記隙間を通過して前記搬送物を前記第1搬送面から前記第2搬送面に搬送させるためのガイド機構が設けられており、
前記ガイド機構は、
前記搬送方向に直交する断面において、前記搬送方向の上流端の下端の前記幅方向における位置が前記搬送方向の上流端の上端の前記幅方向における位置よりも前記第2搬送面の外側にあり、前記搬送方向の上流側から下流側に向かうにしたがって下端の前記幅方向における位置が上端の前記幅方向における位置に徐々に近づくように形成されるガイド斜壁と、少なくとも前記ガイド斜壁の上流端から下流端に至るまで鉛直方向の高さを有するように前記ガイド斜壁に連結されて形成されるガイド側壁と、を有することを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
前記ガイド機構は、前記一対の第2側壁の両方の前記搬送方向において前記一対の第1側壁に対向する上流側の端部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記ガイド斜壁は、前記搬送方向に直交する断面において、上端から下端に至るまで直線または曲線に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記第1搬送面および前記第2搬送面は、前記幅方向の長さが前記搬送物の中心軸線方向に直交する断面における最大直径の2倍以上且つ前記搬送物の前記中心軸線方向の最大長さ以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送システム。
【請求項5】
複数の円筒状の搬送物を載せて搬送方向に搬送し、前記搬送方向に延びる第1搬送面と、前記第1搬送面の前記幅方向の外側の両端にそれぞれ設けられて鉛直方向に高さを有する一対の第1側壁と、を有する第1ベルトコンベアと、
前記搬送方向において前記第1ベルトコンベアの下流側に、前記第1ベルトコンベアとの間に前記搬送方向に前記搬送物が落下しない隙間を有する状態で隣接して配置された第2ベルトコンベアであって、前記搬送方向に延びる第2搬送面と、前記第2搬送面の前記幅方向の両端にそれぞれ設けられて鉛直方向に高さを有する一対の第2側壁と、を有する前記第2ベルトコンベアと、
を備える搬送システムに用いられるガイド機構であって、
前記一対の第2側壁のうちの少なくとも一方の前記搬送方向における前記第2ベルトコンベアの上流側の端部に、前記第2側壁と一体または別体で設けられ、
前記搬送方向に直交する断面において、前記搬送方向の上流端の下端の前記幅方向における位置が前記搬送方向の上流端の上端の前記幅方向における位置よりも前記第2搬送面の外側にあり、前記搬送方向の上流側から下流側に向かうにしたがって下端の前記幅方向における位置が上端の前記幅方向における位置に徐々に近づくように形成されるガイド斜壁と、少なくとも前記ガイド斜壁の上流端から下流端に至るまで鉛直方向の高さを有するように前記ガイド斜壁に連結されて形成されるガイド側壁、とを有し、
前記隙間を通過して前記搬送物を前記第1搬送面から前記第2搬送面に搬送させることを特徴とするガイド機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状の搬送物を搬送するベルトコンベアを備えた搬送システムおよび搬送システムに用いられるガイド機構に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、3には、病院等の建築物において、円筒状の搬送物(特許文献1、3の患者から採取した血液や尿等を収容する採血管等の検体管)を搬送するためのベルトコンベアを備える搬送システムが開示されている。円筒状の搬送物はベルトコンベアの搬送面上に横倒しにすると転がる。特許文献1の搬送システムでは、搬送時に円筒状の搬送物が搬送面上を転がらないように、複数の円筒状の搬送物をパレットに入れて、パレットを搬送面上に置いて搬送している。
【0003】
一方、上記のような搬送システムが配置される建築物には、防火設備として防火シャッターが設置される。円筒状の搬送物を搬送するための搬送ラインは、防火シャッターを横切るようにして配置されることがある。例えば、特許文献2には、防火シャッターを境にして搬送ラインの搬送方向に並べて設けられた2つのベルトコンベアが開示されている。2つのベルトコンベアは、火災発生時に防火シャッターを閉めることができるように、搬送方向に離間して設置される。そのため、ベルトコンベア上の搬送物は、2つのベルトコンベア間に形成される隙間を通過して搬送されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-146988号公報
【特許文献2】特許第2668650号
【特許文献3】特開2002-193421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、搬送システムで搬送される円筒状の搬送物は、大きさの異なる様々な種類がある。様々な種類の複数の円筒状の搬送物を容易に搬送するために、円筒状の搬送物をパレット等の容器に入れることなく、ベルトコンベアの搬送面上に円筒状の搬送物を横倒しに置いて搬送する搬送システムが望まれている。搬送面上に円筒状の搬送物を横倒しに置いて搬送する搬送システムでは、搬送面の幅方向の両側に、円筒状の搬送物が脱落しないようにするための側壁を設ける必要がある。このような搬送システムにおいて、防火シャッターを横切るように離間して設置される2つのベルトコンベアの隙間を通過して円筒状の搬送物を搬送するときに、搬送される円筒状の搬送物の中心軸線が搬送方向に対して傾斜していると、その円筒状の搬送物が2つのベルトコンベアの搬送面の隙間に嵌り、隙間から抜け出せず滞留してしまう場合がある。または、円筒状の搬送物が2つのコンベアの搬送面の隙間に嵌った状態で、ベルトコンベアの回転力を受けて、中心軸線を中心に回転する。円筒状の搬送物は隙間に嵌った状態でベルトコンベアの回転に伴って回転し続け、隙間から抜け出せず滞留してしまう場合がある。
【0006】
上記の問題を解消するために、例えば、特許文献3のように、ベルトコンベア上の搬送空間を複数の案内壁で区分して複数の搬送ラインを形成することで、円筒状の搬送物の中心軸線が搬送方向に対して傾斜しにならないようにすることも考えられる。しかし、隣接する案内壁の間の幅によって、様々な大きさの円筒状の搬送物を搬送できる搬送ラインが限られ、搬送システムで一度に搬送可能な円筒状の搬送物の数や種類が限定される。
【0007】
本発明は、防火シャッターを横切るように離間して設置され、搬送物を搬送する2つのベルトコンベアを有する搬送システムであって、様々な種類の複数の円筒状の搬送物をベルトコンベア上に横倒しに置いて搬送する際に、簡易な構造で、2つのベルトコンベア間の隙間に搬送物が滞留することを防止することができる搬送システムまたは搬送システムに用いられるガイド機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の搬送システムは、複数の円筒状の搬送物を載せて搬送方向に搬送し、前記搬送方向に延びる第1搬送面と、前記第1搬送面の前記搬送方向と直交する幅方向の外側の両端にそれぞれ設けられて鉛直方向の高さを有する一対の第1側壁と、を有する第1ベルトコンベアと、前記搬送方向における前記第1ベルトコンベアの下流側に、前記第1ベルトコンベアとの間に前記搬送方向に前記搬送物が落下しない長さだけ隙間を有する状態で隣接して配置された第2ベルトコンベアであって、前記搬送物を載せて前記搬送方向に搬送し、前記搬送方向に延びる第2搬送面と、前記第2搬送面の前記幅方向の両端にそれぞれ設けられて鉛直方向の高さを有する一対の第2側壁と、を有する前記第2ベルトコンベアと、を備える搬送システムであって、前記一対の第2側壁のうちの少なくとも一方の前記搬送方向における前記第2ベルトコンベアの上流側の端部には、前記第2側壁と一体または別体で、前記隙間を通過して前記搬送物を前記第1搬送面から前記第2搬送面に搬送させるためのガイド機構が設けられており、前記ガイド機構は、前記搬送方向に直交する断面において、前記搬送方向の上流端の下端の前記幅方向における位置が前記搬送方向の上流端の上端の前記幅方向における位置よりも前記第2搬送面の外側にあり、前記搬送方向の上流側から下流側に向かうにしたがって下端の前記幅方向における位置が上端の前記幅方向における位置に徐々に近づくように形成されるガイド斜壁と、少なくとも前記ガイド斜壁の上流端から下流端に至るまで鉛直方向の高さを有するように前記ガイド斜壁に連結されて形成されるガイド側壁と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、第2側壁の上流側の端部に第2側壁と一体または別体で設けられたガイド機構は、幅方向において、上流端の下端が第2搬送面の外側に広がり且つ下流側の下端まで徐々に狭くなるようにガイド斜壁が形成される。このため、搬送方向に対して傾斜した状態で搬送される円筒状の搬送物が隙間に嵌ったとしても、その中心軸線方向における両端部のいずれか一方が幅方向に広がったガイド斜壁の上流端付近に接触する。そうすると、ベルトコンベアの回転力が、円筒状の搬送物を中心軸線を中心に回転させるように作用したとしても、ガイド斜壁と接触する搬送物の端部が、上流側から下流側に向かって内側に狭まるように形成されたガイド斜壁に沿って下端から上端に向かって回転して下流側へと移動して、ガイド側壁に達する。そして、搬送物は隙間から抜け出し、第2搬送面上に載って搬送方向の下流側に向かって搬送される。これにより、ガイド機構は、隙間を通過して搬送物を第1搬送面から第2搬送面に搬送させる。したがって、防火シャッターを横切るように離間して設置され、搬送物を搬送する2つのベルトコンベアを有する搬送システムにおいて、様々な種類の複数の円筒状の搬送物をベルトコンベア上に横倒しに置いて搬送する際に、簡易な構造であるガイド機構を用いて、2つのベルトコンベア間の隙間に搬送物が滞留することを防止することができる。
【0010】
また、本発明の搬送システムでは、前記ガイド機構は、前記一対の第2側壁の両方の前記搬送方向において前記一対の第1側壁に対向する上流側の端部に形成されていることが好ましい。
【0011】
本発明によれば、搬送方向に対して傾斜した状態で搬送される搬送物が隙間に嵌ったとしても、その中心軸線方向における両端部のうちのいずれか一方が、ガイド機構に接触しやすくなる。このため、2つのベルトコンベア間の隙間に搬送物が滞留することをより一層防止することができる。
【0012】
また、本発明の搬送システムでは、前記ガイド斜壁は、前記搬送方向に直交する断面において、上端から下端に至るまで直線または曲線に形成されることが好ましい。
【0013】
搬送方向に直交する断面において、ガイド斜壁が上端から下端に至るまで直線または曲線に形成されると、構造がより簡易になる。ここで、曲線とは、第2搬送面に対して凸状の曲線であっても良いし、第2搬送面に対して凹状の曲線であっても良い。なお、搬送方向に直交する断面において、ガイド斜壁が上端から下端に至るまで直線に形成される場合は、曲線に形成される場合と比較して、構造がさらに簡易になる。
【0014】
また、本発明の搬送システムでは、記第1搬送面および前記第2搬送面は、前記幅方向の長さが前記搬送物の中心軸線方向に直交する断面における最大直径の2倍以上且つ前記搬送物の前記中心軸線方向の最大長さ以下であることが好ましい。
【0015】
本発明によれば、第1搬送面および第2搬送面の幅方向の長さが、搬送物の中心軸線方向に直交する断面における最大直径の2倍以上であるため、幅方向に複数の搬送物を並べた状態でまとめて搬送することができる。また、第1搬送面および第2搬送面の幅方向の長さが、搬送物の中心軸線方向の最大長さ以下であるため、搬送方向に対して傾斜した状態で搬送される搬送物が隙間に嵌ったとしても、その中心軸線方向における両端部のうちのいずれか一方が、ガイド機構に接触しやすくなる。なお、搬送物が複数種類ある場合、搬送物の中心軸線方向に直交する断面における最大直径は、複数種類ある搬送物の中で最も大きい搬送物の中心軸線方向に直交する断面における最大直径となる。また、搬送物の中心軸線方向の最大長さは、複数種類ある搬送物の中で最も小さい搬送物の中心軸線方向の最大長さとなる。
【0016】
本発明のガイド機構は、複数の円筒状の搬送物を載せて搬送方向に搬送し、前記搬送方向に延びる第1搬送面と、前記第1搬送面の前記幅方向の外側の両端にそれぞれ設けられて鉛直方向に高さを有する一対の第1側壁と、を有する第1ベルトコンベアと、前記搬送方向において前記第1ベルトコンベアの下流側に、前記第1ベルトコンベアとの間に前記搬送方向に前記搬送物が落下しない長さだけ隙間を有する状態で隣接して配置された第2ベルトコンベアであって、前記搬送方向に延びる第2搬送面と、前記第2搬送面の前記幅方向の両端にそれぞれ設けられて鉛直方向に高さを有する一対の第2側壁と、を有する前記第2ベルトコンベアと、を備える搬送システムに用いられるガイド機構であって、前記一対の第2側壁のうちの少なくとも一方の前記搬送方向における前記第2ベルトコンベアの上流側の端部に、前記第2側壁と一体または別体で設けられ、前記搬送方向に直交する断面において、前記搬送方向の上流端の下端の前記幅方向における位置が前記搬送方向の上流端の上端の前記幅方向における位置よりも前記第2搬送面の外側にあり、前記搬送方向の上流側から下流側に向かうにしたがって下端の前記幅方向における位置が上端の前記幅方向における位置に徐々に近づくように形成されるガイド斜壁と、少なくとも前記ガイド斜壁の上流端から下流端に至るまで鉛直方向の高さを有するように前記ガイド斜壁に連結されて形成されるガイド側壁、とを有し、前記隙間を通過して前記搬送物を前記第1搬送面から前記第2搬送面に搬送させることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、第2側壁の上流側の端部に第2側壁と一体または別体で設けられたガイド機構は、幅方向において、上流端の下端が第2搬送面の外側に広がり且つ下流側の下端まで徐々に狭くなるようにガイド斜壁が形成される。このため、搬送方向に対して傾斜した状態で搬送される円筒状の搬送物が隙間に嵌ったとしても、その中心軸線方向における両端部のいずれか一方が幅方向に広がったガイド斜壁の上流端付近に接触する。そうすると、ベルトコンベアの回転力が、円筒状の搬送物を中心軸線を中心に回転させるように作用したとしても、ガイド機構と接触する搬送物の端部が、上流側から下流側に向かって内側に狭まるように形成されたガイド斜壁に沿って下端から上端に向かって回転して下流側へと移動して、ガイド側壁に達する。そして、搬送物は隙間から抜け出し、第2搬送面上に載って搬送方向の下流側に向かって搬送される。これにより、ガイド機構は、隙間を通過して搬送物を第1搬送面から第2搬送面に搬送させる。したがって、防火シャッターを横切るように離間して設置され、搬送物を搬送する2つのベルトコンベアを有する搬送システムにおいて、様々な種類の複数の円筒状の搬送物をベルトコンベア上に横倒しに置いて搬送する際に、簡易な構造であるガイド機構を用いて、2つのベルトコンベア間の隙間に搬送物が滞留することを防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、防火シャッターを横切るように離間して設置され、搬送物を搬送する2つのベルトコンベアを有する搬送システムであって、様々な種類の複数の円筒状の搬送物をベルトコンベア上に横倒しに置いて搬送する際に、簡易な構造で、2つのベルトコンベア間の隙間に搬送物が滞留することを防止することができる搬送システムまたは搬送システムに用いられるガイド機構を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態の搬送システムの構成を示す平面図である。
図2】本実施形態の搬送システムの構成を示す斜視図である。
図3】円筒状の搬送物の斜視図である。
図4】第2ベルトコンベアを搬送方向の上流側から見た図である。
図5】第2ベルトコンベアを上から見た図である。
図6】円筒状の搬送物の中心軸線方向における一方の端部がガイド機構の上流端付近に接触する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1図6を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る搬送システム1の構成を示す平面図である。図2は、搬送システム1の構成を示す斜視図である。以下、図1の紙面左右方向を搬送方向とし、紙面上下方向を幅方向とし、紙面垂直方向を重力の作用する鉛直方向とする。また、図1の紙面手前側が鉛直方向の上である。以下、上記の方向を適宜使用して説明する。
【0022】
本実施形態にかかる搬送システム1は、施設内に設置される。本実施形態の搬送システム1は、筒状の搬送物60を搬送するためのものである。図3に示すように、円筒状の搬送物60は、中心軸線Cの延びる方向(以下、中心軸線方向とも言う)の一方側の端部に取り付けられた着脱可能なキャップ61を有する。円筒状の搬送物60は、中心軸線方向の他方側の端部に行くほど中心軸線方向に直交する断面の直径が小さくなる形状を有する。なお、図3の搬送物60の例では、キャップ61を有しているが、搬送部60はキャップを有さなくてよい。また、図3の円筒状の搬送物60は、中心軸線方向の他方側の端部に行くほど中心軸線方向に直交する断面の直径が小さくなる形状であるが、中心軸線方向の両側の端部に行くほど中心軸線方向に直交する断面の直径が小さくなる形状であっても良いし、中心軸線方向の他方側の端部に行くほど中心軸線方向に直交する断面の直径が大きくなる形状であっても良いし、中心軸線方向の両側の端部の先に行くほど中心軸線方向に直交する断面の直径が大きくなる形状であっても良いし、中心軸線方向に直交する断面の直径が同じまたはほぼ同じ円柱状の形状であってもよい。
【0023】
図1および図2に示すように、搬送システム1は、第1ベルトコンベア10と、第2ベルトコンベア20とを含む。図1および図2では、第1ベルトコンベア10および第2ベルトコンベア20の一部のみを図示している。第2ベルトコンベア20は、搬送方向における第1ベルトコンベア10の下流側に隣接して配置されている。第1ベルトコンベア10および第2ベルトコンベア20の搬送方向は同じ方向またはほぼ同じ方向である。
【0024】
本実施形態において、搬送システム1は、病院内に設けられる防火設備としての防火シャッター(不図示)を横切るようにして配置される。具体的には、図1に示すように、第1ベルトコンベア10と第2ベルトコンベア20とは、火災発生時に防火シャッター(不図示)を閉めることができるように、搬送方向に隙間50ができるように離間して配置される。別の言い方をすれば、図1に示すように、第2ベルトコンベア20は、第1ベルトコンベア10との間に、防火シャッターを閉めることができる程度の隙間50を有する状態で、第1ベルトコンベア10と搬送方向に隣接して配置されている。隙間50の搬送方向の長さは、円筒状の搬送物60が落下しない長さである。具体的には、隙間50の搬送方向の長さは、円筒状の搬送物60の直径D1(図3参照)よりも短い長さである。ここで、円筒状の搬送物60の直径D1とは、円筒状の搬送物60の中心軸線方向に直交する断面における最も直径が大きくなる箇所の直径のことである。搬送システム1によって大きさの異なる様々な種類の円筒状の搬送物60が搬送される場合、隙間50の搬送方向の長さは、複数の種類の円筒状の搬送物60のうちの最も直径D1の小さい円筒状の搬送物60の直径D1よりも短い長さとなる。これにより、搬送される複数の円筒状の搬送物60が隙間50から落下することを防止できる。
【0025】
第1ベルトコンベア10は、第1搬送面11と、一対の第1側壁12と、を有する。第1搬送面11は、搬送方向に延びる。第1搬送面11は、複数の円筒状の搬送物60を載せて搬送方向の上流側から下流側に向かって搬送するものである。第1搬送面11は、例えば、第1ベルトコンベア10の搬送方向における両端にそれぞれ配置された2つのローラ(不図示)に巻き掛けられる環状ベルトの外周面である。2つのローラ(不図示)は幅方向に沿った回転軸を中心に回転可能であり、不図示のモータによって回転駆動されることで環状ベルトを回転させる。環状ベルトが回転することにより、第1搬送面11に載せられた円筒状の搬送物60は搬送方向の上流側から下流側に搬送される。
【0026】
第1搬送面11の搬送方向と直交する幅方向の長さは、円筒状の搬送物60の中心軸線方向に直交する断面における最大直径D1の2倍以上、且つ、円筒状の搬送物60の中心軸線方向の最大長さD2以下である。より詳細には、第1搬送面11の幅方向の長さは、複数の円筒状の搬送物60のうちの最も直径D1が大きい円筒状の搬送物60の直径D1である最大直径の2倍以上、且つ、複数の円筒状の搬送物60のうちの最も長さD2が小さい円筒状の搬送物60の中心軸線方向の最大長さD2である最大長さ以下である。これにより、第1搬送面11上に横倒しにされた円筒状の搬送物60が搬送方向に対して傾斜して搬送される場合がある。
【0027】
一対の第1側壁12は、第1搬送面11の幅方向の外側の両端にそれぞれ設けられている。各第1側壁12は、鉛直方向の高さを有する。各第1側壁12の第1搬送面11からの高さは、円筒状の搬送物60の直径D1よりも高い。これにより、円筒状の搬送物60が第1搬送面11から脱落することを防止できる。各第1側壁12は、搬送方向に平行な方向に設けられる。各第1側壁12は、第1搬送面11の搬送方向における上流端から下流端にわたって設けられている。
【0028】
第2ベルトコンベア20は、第2搬送面21と、一対の第2側壁22と、を有する。第2搬送面21は、搬送方向に延びる。第2搬送面21は、複数の円筒状の搬送物60を載せて搬送方向の上流側から下流側に向かって搬送するものである。第2搬送面21は、例えば、第2ベルトコンベア20の搬送方向における両端に配置された不図示のローラに巻き掛けられる環状ベルトの外周面である。不図示のローラは幅方向に沿った回転軸を中心に回転可能であり、不図示のモータによって回転駆動されることで環状ベルトを回転させる。環状ベルトが回転することにより、第2搬送面21に載せられた円筒状の搬送物60は搬送方向の上流側から下流側に搬送される。
【0029】
第2搬送面21の搬送方向と直交する幅方向の長さは、円筒状の搬送物60の中心軸線方向に直交する断面における最大直径D1の2倍以上、且つ、円筒状の搬送物60の中心軸線方向の最大長さD2以下である。より詳細には、第2搬送面21の幅方向の長さは、複数の円筒状の搬送物60のうちの最も直径D1が大きい円筒状の搬送物60の直径D1である最大直径の2倍以上、且つ、複数の円筒状の搬送物60のうちの最も長さD2が小さい円筒状の搬送物60の長さD2である最大長さ以下である。本実施形態において、第2搬送面21の幅方向の長さは、第1搬送面11の幅方向の長さと同じである。これにより、第2搬送面21上に横倒しにされた円筒状の搬送物60が搬送方向に対して傾斜して搬送される場合がある。
【0030】
一対の第2側壁22は、第2搬送面21の幅方向の外側の両端にそれぞれ設けられている。各第2側壁22は、鉛直方向の高さを有する。各第2側壁22の第2搬送面21からの高さは、円筒状の搬送物60の直径D1よりも高い。これにより、円筒状の搬送物60が第2搬送面21から脱落することを防止できる。本実施形態において、各第2側壁22の第2搬送面21からの高さは、各第1側壁12の第1搬送面11からの高さと同じである。各第2側壁22は、搬送方向に平行な方向に設けられる。図1および図2の例では、各第2側壁22は、第2搬送面21の搬送方向における上流端から下流側に向かって所定の長さに至るまでは設けられていない。所定の長さとは、後述のガイド機構30の搬送方向における長さよりも僅かに長い。各第2側壁22は、第2搬送面21の搬送方向における上流端よりも所定の長さだけ下流側の位置から下流端にわたって設けられている。
【0031】
本実施形態において、第1ベルトコンベア10の搬送速度は、第2ベルトコンベア20の搬送速度と同じである。なお、第1ベルトコンベア10の搬送速度は、第2ベルトコンベア20の搬送速度以下であってよい。
【0032】
ここで、本実施形態のような搬送システム1において、防火シャッターを横切るように離間して設置される第1ベルトコンベア10と第2ベルトコンベア20との間の隙間50を通過して円筒状の搬送物60を搬送するときに、搬送される円筒状の搬送物の中心軸線Cが搬送方向に対して傾斜していると次のような問題が生じる。すなわち、円筒状の搬送物60が第1ベルトコンベア10と第2ベルトコンベア20との間の隙間50に嵌り、隙間50から抜け出せず滞留してしまう場合がある。または、円筒状の搬送物60が第1ベルトコンベア10と第2ベルトコンベア20との間の隙間50に嵌った状態で、各ベルトコンベアの回転力を受けて、中心軸線Cを中心に回転する。円筒状の搬送物60は隙間50に嵌った状態で各ベルトコンベアの回転に伴って回転し続け、隙間50から抜け出せず滞留してしまう場合がある。
【0033】
そこで、図1および図2に示すように、本実施形態の搬送システム1は、円筒状の搬送物60を、隙間50を通過させて第1ベルトコンベア10から第2ベルトコンベア20に案内するための一対のガイド機構30を有する。各ガイド機構30は、各第2側壁22よりも搬送方向における第2ベルトコンベア20の上流側の端部に、第2側壁22と別体で設けられている。一対のガイド機構30は、第2搬送面21の幅方向の外側の両端にそれぞれ配置されている。なお、ガイド機構30は、第2側壁22と、隙間を有する状態で接続されていているが、搬送方向に隙間を有さない状態で接続されていてもよい。図1および図2では、ガイド機構30は、第2側壁22と別体で設けられるが、第2側壁22と一体で設けられてもよい。
【0034】
図1および図2に示すように、各ガイド機構30は、ガイド側壁31と、ガイド斜壁32とを有する。各ガイド側壁31は、鉛直方向の高さを有する。各ガイド側壁31の第2搬送面21からの高さは、円筒状の搬送物60の直径D1よりも高いことが好ましい。各ガイド側壁31は、少なくともガイド斜壁32の上流端から下流端に至るまでガイド斜壁32に連結されて形成される。図1および図2では、各ガイド側壁31の搬送方向の長さは、ガイド斜壁32の搬送方向の長さよりも長い。一対のガイド機構30のガイド側壁31の間の間隔は、一対の第2側壁22の間の間隔と略同じである。また、図1に示すように、幅方向の左側のガイド側壁31の幅方向における位置と、幅方向の左側の第2側壁22の幅方向における位置とは略同じである。同様に、幅方向の右側のガイド側壁31の幅方向における位置と、幅方向の右側の第2側壁22の幅方向における位置とは略同じである。
【0035】
各ガイド斜壁32は、隙間50を通過して円筒状の搬送物60を第1搬送面11から第2搬送面21に搬送させるためのものである。ガイド斜壁32は、ガイド機構30の上流側の端部に形成されている。一対のガイド斜壁32は、一対の第2側壁22の両方の搬送方向において一対の第1側壁12に対向する上流側の端部に形成されている。ガイド斜壁32について、図4および図5を参照しつつ、詳しく説明する。図4は、第2ベルトコンベア20を搬送方向の上流側から見た図である。図5は、第2ベルトコンベア20を上から見た図である。
【0036】
図4に示すように、ガイド斜壁32は、搬送方向に直交する断面において、ガイド斜壁32の搬送方向の上流端の下端32aの幅方向における位置がガイド斜壁32の搬送方向の上流端の上端32bの幅方向における位置よりも第2搬送面21の外側にある。より具体的には、搬送方向に直交する幅方向において、搬送方向の上流から下流を見た第2搬送面21の中央より左方向を幅方向の左側、左方向を幅方向の右側とすると、一対のガイド機構30のうちの幅方向の左側にあるガイド斜壁32(以下、左ガイド斜壁32とも言う)は、搬送方向の上流端の下端32aは、搬送方向の上流端の上端32bよりも幅方向の左側にある。また、一対のガイド機構30のうちの幅方向の右側にあるガイド斜壁32(以下、右ガイド斜壁32とも言う)は、搬送方向の上流端の下端32aは、搬送方向の上流端の上端32bよりも幅方向の右側にある。
【0037】
また、図5に示すように、ガイド斜壁32は、搬送方向の上流側から下流側に向かうにしたがってガイド斜壁32の下端32aの幅方向における位置がガイド斜壁32の上端32bの幅方向における位置に徐々に近づくように形成されている。より具体的には、図5に示すように、鉛直方向から見たとき、左ガイド斜壁32の下端32aは、搬送方向の上流端が下流端よりも幅方向の左側となるように傾いている。左ガイド斜壁32の上端32bは、搬送方向に沿って延びている。そして、左ガイド斜壁32の下流端の下端32aと上端32bとは、幅方向における位置が同じである。また、図5に示すように、鉛直方向から見たとき、右ガイド斜壁32の下端32aは、搬送方向の上流端が下流端よりも幅方向の右側となるように傾いている。右ガイド斜壁32の上端32bは、搬送方向に沿って延びている。そして、右ガイド斜壁32の下流端の下端32aと上端32bとは、幅方向における位置が同じである。
【0038】
さらに、図2および図4に示すように、ガイド斜壁32は、搬送方向と直交する断面において、上端32bから下端32aに至るまで直線に形成される。なお、ガイド斜壁32は、搬送方向と直交する断面において、上端32bから下端32aに至るまで曲線に形成されてもよい。
【0039】
以上のように本実施形態の搬送システム1は、第1ベルトコンベア10と、第2ベルトコンベア20とを有する。第1ベルトコンベア10は、複数の円筒状の円筒状の搬送物60を載せて搬送方向に搬送し、搬送方向に延びる第1搬送面11と、第1搬送面11の幅方向の外側の両端にそれぞれ設けられて鉛直方向の高さを有する一対の第1側壁12と、を有する。第2ベルトコンベア20は、搬送方向における第1ベルトコンベア10の下流側に、第1ベルトコンベア10との間に搬送方向に円筒状の搬送物60の中心軸線方向に直交する断面における直径D1よりも短い長さだけ隙間50を有する状態で隣接して配置される。第2ベルトコンベア20は、円筒状の搬送物60を載せて搬送方向に搬送し、搬送方向に延びる第2搬送面21と、第2搬送面21の幅方向の両端にそれぞれ設けられて鉛直方向の高さを有する一対の第2側壁22と、を有する。さらに、本実施形態の搬送システム1では、一対の第2側壁22の搬送方向における第2ベルトコンベア20の上流側の端部にガイド機構30が一対の第2側壁22と別体で設けられる。ガイド機構30は、隙間50を通過して円筒状の搬送物60を第1搬送面11から第2搬送面21に搬送させるためのガイド側壁31およびガイド斜壁32が形成されている。ガイド斜壁32は、搬送方向に直交する断面において、ガイド斜壁32の搬送方向の上流端の下端32aの幅方向における位置がガイド斜壁32の搬送方向の上流端の上端32bの幅方向における位置よりも第2搬送面21の外側にある。また、ガイド斜壁32は、搬送方向の上流側から下流側に向かうにしたがってガイド斜壁32の下端32aの幅方向における位置がガイド斜壁32の上端32bの幅方向における位置に徐々に近づくように形成される。
【0040】
本実施形態によれば、一対の第2側壁22の上流側の端部に第2側壁22と別体で設けられたガイド斜壁32は、幅方向において、上流端の下端32aが第2搬送面21の外側に広がり且つ下流側の下端32aまで徐々に狭くなるように形成される。このため、搬送方向に対して傾斜した状態で搬送される円筒状の円筒状の搬送物60が隙間50に嵌ったとしても、その中心軸線方向における両端部のいずれか一方が幅方向に広がったガイド斜壁32の上流端付近に接触する。円筒状の搬送物60の中心軸線方向における両端部のいずれか一方が幅方向に広がったガイド斜壁32の上流端付近に接触する様子は図6を参照されたい。図6では、円筒状の搬送物60の中心軸線方向における一方の端部が左ガイド斜壁32の上流端付近に接触する様子を示す。そうすると、第1ベルトコンベア10および第2ベルトコンベア20の回転力が、円筒状の円筒状の搬送物60を中心軸線を中心に回転させるように作用したとしても(図6の実線矢印参照)、ガイド斜壁32と接触する円筒状の搬送物60の端部が、上流側から下流側に向かって内側に狭まるように形成されたガイド斜壁32に沿って下端32aから上端32bに向かって回転して下流側へと移動して、ガイド側壁31に達する。そして、円筒状の搬送物60は隙間50から抜け出し、第2搬送面21上に載って搬送方向の下流側に向かって搬送される。これにより、ガイド斜壁32は、隙間50を通過して円筒状の搬送物60を第1搬送面11から第2搬送面21に搬送させる。したがって、防火シャッターを横切るように離間して設置され、円筒状の搬送物60を搬送する第1ベルトコンベア10および第2ベルトコンベア20を有する搬送システム1において、様々な種類の複数の円筒状の円筒状の搬送物60をベルトコンベア上に横倒しに置いて搬送する際に、簡易な構造であるガイド斜壁32を用いて、第1ベルトコンベア10と第2ベルトコンベア20との間の隙間50に円筒状の搬送物60が滞留することを防止することができる。
【0041】
また、本実施形態の搬送システム1では、ガイド斜壁32は、一対の第2側壁22の両方の搬送方向において一対の第1側壁12に対向する上流側の端部に形成されている。これによれば、搬送方向に対して傾斜した状態で搬送される円筒状の搬送物60が隙間50に嵌ったとしても、その中心軸線方向における両端部のうちのいずれか一方が、ガイド斜壁32に接触しやすくなる。このため、第1ベルトコンベア10と第2ベルトコンベア20との間の隙間50に円筒状の搬送物60が滞留することをより一層防止することができる。
【0042】
また、本実施形態の搬送システム1では、ガイド斜壁32は、搬送方向に直交する断面において、上端から下端に至るまで直線または曲線に形成される。搬送方向に直交する断面において、ガイド斜壁32が上端から下端に至るまで直線または曲線に形成されると、構造がより簡易になる。ここで、曲線とは、第2搬送面21に対して凸状の曲線であっても良いし、第2搬送面21に対して凹状の曲線であっても良い。なお、搬送方向に直交する断面において、ガイド斜壁32が上端から下端に至るまで直線に形成される場合は、曲線に形成される場合と比較して、構造がさらに簡易になる。
【0043】
さらに、本実施形態の搬送システム1では、第1搬送面11および第2搬送面21は、幅方向の長さが円筒状の搬送物60の中心軸線方向に直交する断面における最大直径D1の2倍以上且つ円筒状の搬送物60の中心軸線方向の最大長さD2以下である。これによれば、第1搬送面11および第2搬送面21の幅方向の長さが、円筒状の搬送物60の中心軸線方向に直交する断面における最大直径D1の2倍以上であるため、幅方向に複数の円筒状の搬送物60を並べた状態でまとめて搬送することができる。また、第1搬送面11および第2搬送面21の幅方向の長さが、円筒状の搬送物60の中心軸線方向の最大長さD2以下であるため、搬送方向に対して傾斜した状態で搬送される円筒状の搬送物60が隙間50に嵌ったとしても、その中心軸線方向における両端部のうちのいずれか一方が、ガイド斜壁32に接触しやすくなる。
【0044】
また、本実施形態にかかる搬送システム1は、例えば、病院内に設置される。本実施形態の搬送システム1で搬送する円筒状の搬送物60は、患者から採取した血液や尿等を収容する円筒状の検体管(採血管、採尿管など)である。検体管60は、衝撃が加わると検体管60内の成分が変化してしまう可能性がある。また、検体管60が隙間50に嵌り込むことによって、検体管60の中心軸線方向の端部に大きな力がかかると、搬送中の検体管60からキャップ61が外れてしまう可能性がある。この点、本実施形態の搬送システム1は、第1ベルトコンベア10と第2ベルトコンベア20との間の隙間50に検体管60が滞留することを防止することができ、検体管60をスムーズに搬送することができる。このため、検体管60に衝撃が加わることを抑制できるため、検体管60内の成分が変化してしまうことを抑制できるとともに、搬送中の検体管60からキャップ61が外れることを抑制できる。
【0045】
以下に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0046】
上記実施形態では、一対のガイド機構30が、一対の第2搬送面21の幅方向の外側の両端にそれぞれ配置されている。そして、一対のガイド斜壁32が、一対の第2側壁22の両方の搬送方向において一対の第1側壁12に対向する上流側の端部に形成されている。しかしながら、一対の第2搬送面21の幅方向の左側又は右側のいずれか一方にのみ1つのガイド機構30が配置されていてもよい。この場合、1つのガイド斜壁32は、幅方向の左側又は右側のいずれか一方の第2側壁22の搬送方向において、1つの第1側壁12に対向する上流側の端部に形成されている。また、この場合、幅方向の右側の第2側壁22は、第2搬送面21の上流端から下流端にわたって形成されている。
【0047】
上記実施形態では、第1搬送面11の幅方向の長さは、複数の円筒状の搬送物60のうちの最も直径D1が大きい円筒状の搬送物60の直径D1である最大直径の2倍以上、且つ、複数の円筒状の搬送物60のうちの最も長さD2が小さい円筒状の搬送物60の長さD2である最大長さ以下である。しかしながら、第1搬送面11の幅方向の長さは、複数の円筒状の搬送物60のうちの最も直径D1が大きい円筒状の搬送物60の直径D1である最大直径の2倍未満でもよく、複数の円筒状の搬送物60のうちの最も長さD2が小さい円筒状の搬送物60の長さD2である最大長さより大きくてもよい。第2搬送面21の幅方向の長さも同様である。
【0048】
上記実施形態では、各第1側壁12の第1搬送面11からの高さは、円筒状の搬送物60の直径D1よりも高い。しかしながら、各第1側壁12の第1搬送面11からの高さは、円筒状の搬送物60の直径D1よりも低くてもよい。各第2側壁22の第2搬送面21からの高さについても同様である。
【0049】
上記実施形態では、第1搬送面11の幅方向の長さと、第2搬送面21の幅方向の長さとは同じである。しかしながら、第1搬送面11の幅方向の長さと、第2搬送面21の幅方向の長さとは同じでなくてもよい。
【0050】
上記実施形態では、各第1側壁12の第1搬送面11からの高さと、各第2側壁22の第2搬送面21からの高さとは同じである。しかしながら、各第1側壁12の第1搬送面11からの高さと、各第2側壁22の第2搬送面21からの高さとは、同じでなくてもよい。
【0051】
上記実施形態では、ガイド斜壁32の搬送方向における下流端の下端32aと上端32bとは、幅方向における位置が同じである。しかしながら、ガイド斜壁32の搬送方向における下流端の下端32aと上端32bとは、幅方向における位置が同じでなくてもよい。
【0052】
上記実施形態では、ガイド斜壁32は、搬送方向と直交する断面において、上端32bから下端32aに至るまで直線又は曲線に形成される。しかしながら、ガイド斜壁32は、搬送方向と直交する断面において、上端32bから下端32aに至るまで直線及び曲線に形成されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 搬送システム、10 第1ベルトコンベア、11 第1搬送面、12 第1側壁、20 第2ベルトコンベア、21 第2搬送面、22 第2側壁、30 ガイド機構、31 ガイド側壁、32 ガイド斜壁、32a 下端、32b 上端、50 隙間、60 円筒状の搬送物、C 円筒状の搬送物の中心軸線、D1 円筒状の搬送物の中心軸線方向に直交する断面における直径、D2 円筒状の搬送物の中心軸線方向の長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6