(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082587
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】診断システム、電気駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
G01R 31/34 20200101AFI20240613BHJP
H02P 29/024 20160101ALI20240613BHJP
【FI】
G01R31/34 A
H02P29/024
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196540
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】鳥越 圭介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 以久也
【テーマコード(参考)】
2G116
5H501
【Fターム(参考)】
2G116BA03
2G116BB01
2G116BB02
2G116BB07
2G116BC02
2G116BC06
5H501AA22
5H501CC05
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5H501DD04
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5H501HA08
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5H501LL08
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5H501LL45
5H501LL47
5H501LL53
5H501MM04
5H501MM09
(57)【要約】
【課題】電動機の異常に関する診断をより適切に行うことが可能な技術を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態に係る診断システム1は、電動機120と、電動機120と一体化され、電動機120に駆動電力を供給する電力変換装置110と、一体化された電動機120及び電力変換装置110の筐体に内蔵され又は取り付けられ、電動機120の状態に関する第1の物理量を表すデータを取得する診断用センサ140と、筐体100Hに内蔵され又は取り付けられ、第1の物理量を表すデータに基づき、電動機120の異常に関する診断を行う診断装置150と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機と、
前記電動機と一体化され、前記電動機に駆動電力を供給する電力変換装置と、
一体化された前記電動機及び前記電力変換装置の筐体に内蔵され又は取り付けられ、前記電動機の状態に関する第1の物理量を表すデータを取得する第1のセンサと、
前記第1の物理量を表すデータに基づき、前記電動機の異常に関する診断を行う診断装置と、を備える、
診断システム。
【請求項2】
前記第1の物理量と異なる第2の物理量を表すデータを取得する第2のセンサと、
前記第2の物理量を表すデータに基づき、前記電力変換装置を用いて、前記電動機の動作を制御する制御装置と、を備え、
前記診断装置は、前記第1の物理量を表すデータと、前記第2の物理量を表すデータ、及び前記制御装置により生成される制御用のデータの少なくとも一方とを組み合わせて、前記電動機の異常に関する診断を行う、
請求項1に記載の診断システム。
【請求項3】
前記診断装置は、前記第1の物理量に関するデータに基づき、前記電動機の異常に関する第1の特徴量を取得し、前記第2の物理量に関するデータ、及び前記制御用のデータの少なくとも一方に基づき、第2の特徴量を取得し、前記第1の特徴量及び前記第2の特徴量の組み合わせに基づき、前記電動機の異常に関する診断を行う、
請求項2に記載の診断システム。
【請求項4】
前記診断装置は、前記第1の特徴量及び前記第2の特徴量の相関関係に基づき、前記電動機の異常に関する診断を行う、
請求項3に記載の診断システム。
【請求項5】
前記診断装置は、前記第1の物理量に関するデータに基づき、前記電動機の異常に関する第1の分析を行い、前記第2の物理量に関するデータ及び前記制御用のデータの少なくとも一方に基づき、前記電動機の異常に関する第2の分析を行い、前記第1の分析及び前記第2の分析の結果の相関関係に基づき、前記電動機の異常に関する診断を行う、
請求項2に記載の診断システム。
【請求項6】
前記第1の物理量は、前記電動機の温度、前記電動機の音に関する物理量、又は前記電動機の振動に関する物理量であり、
前記第2の物理量は、前記電動機の電流又は電圧である、
請求項2乃至5の何れか一項に記載の診断システム。
【請求項7】
前記電動機と一体化され、前記電動機の回転軸と機械的に連結される変速機を備え、
前記第1の物理量は、前記電動機の振動に関する物理量であり、
前記第1のセンサは、一体化される前記電動機及び前記変速機の筐体に取り付けられる又は内蔵される、
請求項1乃至5の何れか一項に記載の診断システム。
【請求項8】
前記診断装置は、前記第1のセンサにより取得されるデータに基づき、前記変速機の機械的な異常に関する診断を行う、
請求項7に記載の診断システム。
【請求項9】
電動機と、
前記電動機と一体化され、前記電動機に駆動電力を供給する電力変換装置と、
一体化された前記電動機及び前記電力変換装置の筐体に内蔵され又は取り付けられ、前記電動機の状態に関する第1の物理量を表すデータを取得する第1のセンサと、
前記筐体に内蔵され又は取り付けられ、前記第1の物理量を表すデータに基づき、前記電動機の異常に関する診断を行う診断装置と、を備える、
電気駆動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、診断システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動機の状態に関する物理量(例えば、電動機の電流)のデータに基づき、電動機の異常に関する診断(以下、「異常診断」)を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、電動機と電力変換装置との間の配線に電流センサが配置される。そのため、例えば、電動機と電力変換装置との間の3相の配線のインピーダンスにアンバランスがあると、その影響が電流センサの出力に反映される可能性がある。その結果、配線のインピーダンスのアンバランスの影響を電動機の3相のアンバランス(例えば、一部の相の断線やレアショート等)の異常と誤診断する可能性がある。
【0005】
本開示では、電動機の異常診断をより適切に行うことが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
電動機と、
前記電動機と一体化され、前記電動機に駆動電力を供給する電力変換装置と、
一体化された前記電動機及び前記電力変換装置の筐体に内蔵され又は取り付けられ、前記電動機の状態に関する第1の物理量を表すデータを取得する第1のセンサと、
前記第1の物理量を表すデータに基づき、前記電動機の異常に関する診断を行う診断装置と、を備える、
診断システムが提供される。
【0007】
また、本開示の他の実施形態では、
電動機と、
前記電動機と一体化され、前記電動機に駆動電力を供給する電力変換装置と、
一体化された前記電動機及び前記電力変換装置の筐体に内蔵され又は取り付けられ、前記電動機の状態に関する第1の物理量を表すデータを取得する第1のセンサと、
前記筐体に内蔵され又は取り付けられ、前記第1の物理量を表すデータに基づき、前記電動機の異常に関する診断を行う診断装置と、を備える、
電気駆動ユニットが提供される。
【発明の効果】
【0008】
上述の実施形態によれば、電動機の異常に関する診断をより適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】制御回路及び診断装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図3】電動機の異常に関する特徴量の一例を説明する図である。
【
図4】電動機の異常に関する特徴量の他の例を説明する図である。
【
図5】第1の比較例に係る電気駆動システムを示す図である。
【
図7】第2の比較例に係る電気駆動ユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0011】
[診断システムのハードウェア構成]
図1を参照して、本実施形態に係る診断システム1のハードウェア構成について説明する。
【0012】
【0013】
図1に示すように、診断システム1は、電気駆動ユニット100と、管理装置200と、端末装置300とを含む。
【0014】
電気駆動ユニット100は、電力変換装置110と、電動機120と、変速機130と、診断用センサ140と、診断装置150と、表示部160と、通信部170とを含む。
【0015】
診断システム1は、電気駆動ユニット100(診断装置150)において、電動機120の異常に関する診断(異常診断)を行う。
【0016】
診断システム1の診断対象の電動機120の異常には、一時的な原因により生じる電動機120の異常や電動機120の累積的な原因により生じる異常(劣化異常)が含まれる。また、診断システム1の診断対象の電動機120の異常には、機械的異常や電気的異常が含まれる。診断システム1の診断対象の電動機120の機械的な異常には、例えば、軸受異常、回転子異常、電動機120と負荷との間の接続不良(ミスアライメント)等が含まれる。軸受異常には、例えば、軸受摩耗や軸受損傷等が含まれる。回転子異常には、例えば、電動機120の回転子の偏心や回転子バーの損傷等が含まれる。診断システム1の診断対象の電動機120の電気的異常には、例えば、電動機120の巻線異常が含まれる。電動機120の巻線異常には、断線や部分放電や絶縁劣化(レアショート)等が含まれる。また、診断システム1の診断対象の電動機120の異常には、電動機120に接続される外部機器(負荷)に起因する異常(以下、「負荷異常」)が含まれてもよい。負荷異常には、例えば、負荷に起因する電動機120の過負荷、負荷との間の機械的な切断(例えば、ベルト破断)に起因する電動機120の軽負荷、負荷の異常振動に伴う電動機120の異常振動等が含まれる。
【0017】
電動機120の異常診断には、例えば、電動機120の異常の有無の診断が含まれる。また、電動機120の異常診断には、電動機120の異常の兆候の有無の診断が含まれてもよい。また、電動機120の異常診断には、電動機120の異常の度合いの診断が含まれてもよい。
【0018】
電気駆動ユニット100は、商用電源PSから供給される電力を用いて、電力変換装置110により電動機120を駆動し、変速機130を通じて電動機120の動力を外部機器に出力する。電気駆動ユニット100は、例えば、電動機120の動力によって、工場に設置される生産設備や機械設備を駆動する。
【0019】
電気駆動ユニット100の構成要素は、例えば、電気駆動ユニット100の筐体に内蔵される。また、電気駆動ユニット100の構成要素は、例えば、電気駆動ユニット100の筐体の外側に取り付けられてもよい。
【0020】
電力変換装置110は、商用電源PSから入力される3相交流電力(例えばR相、S相、及びT相)を所定の電圧や所定の周波数を有する3相交流電力(例えば、U相、V相、及びW相)に変換し、電動機120を駆動する。
【0021】
電力変換装置110は、整流回路10と、平滑回路20と、インバータ回路30と、電流センサ40と、電圧センサ50と、ゲート駆動回路60と、回転状態センサ70と、制御回路80と、を含む。
【0022】
整流回路10は、商用電源PSから入力される3相交流電力を整流し、直流電力を出力可能に構成される。整流回路10は、正側及び負側の出力端のそれぞれが正ラインPL及び負ラインNLの一端に接続され、正ラインPL及び負ラインNLを通じて、直流電力を平滑回路20に出力することができる。例えば、
図1に示すように、整流回路10は、6つの半導体ダイオードSDを含み、上下アームを構成する2つの半導体ダイオードSDの直列接続体が3組並列接続されるブリッジ型全波整流回路である。この場合、R相、S相、及びT相の入力線は、それぞれ、3組の上下アームの中間点に接続される。
【0023】
平滑回路20は、整流回路10から出力される直流電力やインバータ回路30から回生される直流電力の脈動を抑制し、平滑化する。
【0024】
例えば、
図1に示すように、平滑回路20は、平滑コンデンサ21を含む。
【0025】
平滑コンデンサ21は、整流回路10やインバータ回路30と並列に、正ラインPL及び負ラインNLを繋ぐ経路に設けられてよい。
【0026】
平滑コンデンサ21は、適宜、充放電を繰り返しながら、整流回路10から出力される直流電力やインバータ回路30から出力(回生)される直流電力を平滑化する。
【0027】
平滑コンデンサ21は、一つであってよい。また、平滑コンデンサ21は、複数配置されてもよく、複数の平滑コンデンサ21が正ラインPL及び負ラインNLの間に並列接続されてもよいし、直列接続されてもよい。また、複数の平滑コンデンサ21は、2以上の平滑コンデンサの直列接続体が正ラインPL及び負ラインNLの間に複数並列接続される形で構成されてもよい。
【0028】
また、平滑回路20は、リアクトルを含んでもよい。
【0029】
リアクトルは、整流回路10と平滑コンデンサ21(具体的には、平滑コンデンサ21が配置される経路との分岐点)との間の正ラインPLに設けられてよい。
【0030】
リアクトルは、適宜、電流の変化を妨げるように電圧を発生させながら、整流回路10から出力される直流電力やインバータ回路30から出力(回生)される直流電力を平滑化する。
【0031】
インバータ回路30は、その正側及び負側の入力端が正ラインPL及び負ラインNLの他端に接続される。インバータ回路30は、平滑回路20から供給される直流電力を半導体スイッチSWのスイッチ動作により、所定の周波数や所定の電圧を有する3相交流電力(U相、V相、及びW相)に変換し電動機120に出力する。半導体スイッチSWは、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)やHEMT(High Electron Mobility Transistor)等である。半導体スイッチSWは、例えば、ケイ素(シリコン:Si)を主材料として構成される。また、半導体スイッチSWは、ワイドバンドギャップ半導体材料を主材料として構成されてもよい。ワイドバンドギャップ半導体材料は、例えば、炭化ケイ素(シリコンカーバイド:SiC)、窒化ガリウム(ガリウムナイトライド:GaN)、酸化ガリウム(ガリウムオキサイド:Ga2O3)、炭素(ダイヤモンド:C)等である。
【0032】
例えば、
図1に示すように、インバータ回路30は、6つの半導体スイッチSWを含む。具体的には、インバータ回路30は、上下アームを構成する2つの半導体スイッチSWの直列接続体(スイッチレグ)が正ラインPL及び負ラインNLの間に3組並列接続されるブリッジ回路を含んでよい。この場合、インバータ回路30は、3組の上下アームの中間点から引き出される3本の出力線を通じて、3相交流電力を出力する。また、6つの半導体スイッチSWには、それぞれ、環流ダイオードが並列接続されてよい。
【0033】
電流センサ40は、電力変換装置110の3相(3本)の出力線のそれぞれの電流、即ち、電動機120の3相のそれぞれの相電流を検出する。電流センサ40は、例えば、ホール素子、シャント抵抗、磁気抵抗素子、フラックスゲート等を用いて電流を検出し、AD(Analog-Digital)コンバータを用いて電流の検出値(デジタル値)を得る。電流センサ40は、電動機120の3相のそれぞれの電流の検出値に相当する信号を出力し、電流センサ40の出力信号は、制御回路80に取り込まれる。
【0034】
尚、電流センサ40は、電力変換装置110の3相の出力線のうちの任意の二相の電流のみを検出してもよい。この場合、制御回路80は、二相の電流の検出値から残りの一相の電流値を取得(演算)してよい。また、制御回路80は、例えば、直流リンク(正ラインPLや負ラインNL)の電流値と、半導体スイッチSWのスイッチングパターンとに基づき、電力変換装置110の3相の出力線の電流値を取得(演算)してもよい。この場合、制御回路80は、電圧センサ50の出力に基づき、直流リンクの電流値を取得(演算)してよい。
【0035】
電圧センサ50は、電力変換装置110の正ラインPL及び負ラインNLの間の電圧(直流リンク電圧)を検出する。電圧センサ50は、正ラインPL及び負ラインNLの間の電圧値に相当する信号を出力し、電圧センサ50の出力信号は、制御回路80に取り込まれる。
【0036】
ゲート駆動回路60は、制御回路80の制御下で、インバータ回路30の6つの半導体スイッチSWをスイッチング(ON/OFF)するための駆動信号を6つの半導体スイッチSWのそれぞれのゲート端子に出力する。
【0037】
回転状態センサ70は、電動機120の回転状態に関する物理量(例えば、回転位置や回転速度)を表すデータを取得する。例えば、回転状態センサ70は、光学式や磁気式のエンコーダである。回転状態センサ70は、電動機120の回転速度の検出値に相当する信号を出力し、回転状態センサ70の出力信号は、電力変換装置110の制御回路80に取り込まれる。これにより、制御回路80は、回転状態センサ70の検出信号に基づき、電動機120の回転子の磁極位置や回転速度を把握することができる。
【0038】
尚、回転状態センサ70は、電動機120のセンサレス制御が行われる場合、省略されてもよい。
【0039】
以下、電流センサ40、電圧センサ50、及び回転状態センサ70を包括的に「制御用センサ」と称する場合がある。また、制御用センサとして、更に、電動機120の電圧を検出する電圧センサが設けられてもよい。
【0040】
制御回路80は、電力変換装置110を用いて、電動機120の制御を行う。
【0041】
制御回路80の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。制御回路80は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ装置、補助記憶装置、及びインタフェース装置を含むコンピュータや半導体スイッチのゲート端子を駆動する駆動回路等によって構成される。メモリ装置は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)である。補助記憶装置は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリである。インタフェース装置は、例えば、外部の記録媒体と接続する外部インタフェースや他の機器と通信を行うための通信インタフェース等を含む。制御回路80は、補助記憶装置にインストールされるプログラムをメモリ装置にロードしCPU上で実行することにより各種機能を実現することができる。また、制御回路80は、外部インタフェースを通じて、記録媒体からプログラムを取り込みインストールしたり、通信インタフェースを通じて、他の機器からプログラムを取り込みインストールしたりすることができる。
【0042】
制御回路80は、例えば、電動機120が所定の運転条件で動作するように、インバータ回路30を制御し、電動機120を所定の運転条件下で駆動させる。
【0043】
尚、制御回路80の機能は、電力変換装置110に搭載される複数の制御回路によって分散して実現されてもよい。
【0044】
電動機120は、例えば、上述の如く、工場に設置される生産設備や機械設備等の外部機器を駆動する。電動機120は、例えば、誘導電動機や同期電動機等の交流電動機である。
【0045】
電力変換装置110及び電動機120は、一体化される。これにより、電力変換装置110と電動機120との間を電気的に接続する3相の電力線の長さを比較的短くすることができる。例えば、電力変換装置110及び電動機120は、双方の筐体同士が機械的に連結されることにより一体化される。また、電力変換装置110及び電動機120は、1つの筐体の中の同じ空間に内蔵される形で一体化されてもよい。
【0046】
変速機130は、電動機120の出力軸と回転可能な態様で機械的に連結され、電動機120の出力を変速(増速或いは減速)して外部機器に出力する。
【0047】
電動機120及び変速機130は、一体化される。これにより、電動機120の出力軸と変速機130の入力軸との間の距離を非常に短くすることができ、電動機120の出力軸と変速機130の入力軸との間を直接接続することができる。例えば、電動機120及び変速機130は、双方の筐体同士が機械的に連結されることにより一体化される。また、電動機120及び変速機130は、1つの筐体の中の同じ空間に内蔵される形で一体化されてもよい。
【0048】
診断用センサ140は、電動機120の異常診断のために用いられる。診断用センサ140は、電動機120の状態に関する物理量を表すデータを取得する。診断用センサ140は、1つであってもよいし、複数であってもよい。後者の場合、複数の診断用センサ140は、互いに異なる種類の物理量を表すデータを取得する。電動機120の診断用センサ140の出力は、診断装置150に取り込まれる。
【0049】
診断用センサは、例えば、電動機120の振動状態に関する物理量を表すデータを取得する振動センサである。振動センサは、例えば、加速度センサである。振動センサの出力には、例えば、電動機120の軸受異常、ミスアライメント、負荷異常(負荷の異常振動)、回転子異常によって生じる、電動機120の振動状態が反映される。そのため、診断装置150は、振動センサの出力に基づき、これらの異常に関する診断を行うことができる。
【0050】
また、診断用センサ140は、音センサ(マイクロフォン)であってもよい。音センサには、電動機120の振動によって生じる音が反映されることから、診断装置150は、音センサの出力に基づき、振動センサと同様の種類の異常に関する診断を行うことができる。
【0051】
また、診断用センサ140は、電動機120の漏れ電流を表すデータを取得するZCT(Zero-phase Current Transformer:零相変流器)であってもよい。これにより、診断装置150は、ZCTの出力に基づき、電動機120の巻線異常(例えば、部分放電やレアショート等)に関する診断を行うことができる。
【0052】
また、診断用センサ140は、電動機120の電圧を表すデータを取得する電圧センサであってもよい。電圧センサの出力には、例えば、電動機120の巻線異常、ミスアライメント、負荷異常、回転子異常等によって生じる、電動機120の電圧状態が反映される。そのため、診断装置150は、電圧センサの出力に基づき、これらの異常に関する診断を行うことができる。
【0053】
また、診断用センサ140は、電動機120のトルクを表すデータを取得するトルクセンサであってもよい。トルクセンサの出力には、例えば、電動機120の巻線異常、ミスアライメント、負荷異常、回転子異常等によって生じる、電動機120のトルク状態が反映される。そのため、診断装置150は、トルクセンサの出力に基づき、これらの異常に関する診断を行うことができる。
【0054】
また、診断用センサ140は、電動機120の温度を表すデータを取得する温度センサであってもよい。温度センサの出力には、例えば、電動機120の巻線異常(巻線の断線)、負荷異常(過負荷)、軸受異常(軸受摩耗)等によって生じる、電動機120の温度状態が反映される。そのため、診断装置150は、温度センサの出力に基づき、これらの異常に関する診断を行うことができる。
【0055】
また、診断用センサ140は、電流センサ40とは別に設けられる、電動機120の電流に関するデータを取得可能な電流センサであってもよい。電流センサの出力には、例えば、電動機120の巻線異常、ミスアライメント、負荷異常、回転子異常等によって生じる、電動機120の電流状態が反映される。そのため、診断装置150は、電流センサの出力に基づき、これらの異常に関する診断を行うことができる。
【0056】
また、診断用センサ140は、回転状態センサ70とは別に設けられる、電動機120の回転状態(回転位置や回転速度)に関するデータを取得可能な回転状態センサであってもよい。回転状態センサの出力には、例えば、電動機120の軸受異常、ミスアライメント、回転子異常(回転子の偏心)によって生じる、電動機120の回転速度や回転位置の状態が反映される。そのため、診断装置150は、回転状態センサの出力に基づき、これらの異常に関する診断を行うことができる。
【0057】
尚、トルクセンサの出力や温度センサの出力は、電動機120の制御に利用されてもよい。
【0058】
診断装置150は、電動機120の異常診断を行う。
【0059】
診断装置150の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。診断装置150は、CPU、メモリ装置、補助記憶装置、及びインタフェース装置を含むコンピュータ等によって構成される。メモリ装置は、例えば、SRAMである。補助記憶装置は、例えば、EEPROMやフラッシュメモリである。インタフェース装置は、例えば、外部の記録媒体と接続する外部インタフェースや他の機器と通信を行うための通信インタフェース等を含む。診断装置150は、補助記憶装置にインストールされるプログラムをメモリ装置にロードしCPU上で実行することにより各種機能を実現することができる。また、診断装置150は、外部インタフェースを通じて、記録媒体からプログラムを取り込みインストールしたり、通信インタフェースを通じて、他の機器からプログラムを取り込みインストールしたりすることができる。
【0060】
尚、診断装置150の機能は、電気駆動ユニット100に搭載される複数の診断装置によって分散して実現されてもよい。また、診断装置150の機能の一部又は全部は、制御回路80に統合されてもよい。
【0061】
表示部160は、制御回路80や診断装置150の制御下で、ユーザ(例えば、電動機120で駆動される生産設備や機械設備が設置される工場の作業者等)に向けて電力変換装置110に関する情報を表示する。表示部160は、例えば、警告灯、電光掲示板、液晶ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等を含む。
【0062】
通信部170は、所定の通信回線を通じて、電力変換装置110の外部装置と通信を行う。
【0063】
所定の通信回線は、例えば、一対一の通信線であってよい。また、所定の通信回線には、例えば、電動機120により駆動される生産設備や機械設備等が設置される施設(工場)内に構築されるフィールドネットワーク等のローカルネットワーク(LAN:Local Area Network)が含まれてよい。ローカルネットワークは、有線で構築されていてもよいし、無線で構築されていてもよいし、その双方を含んでいてもよい。また、所定の通信回線には、例えば、電動機120により駆動される生産設備や機械設備等が設置される施設(工場)の外部の広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network)が含まれてもよい。広域ネットワークには、例えば、基地局を末端とする移動体通信網、通信衛星を利用する衛星通信網、インターネット網等が含まれてよい。また、所定の通信回線には、例えば、ブルートゥース(登録商標)やWiFi等の所定の無線通信規格による近距離通信回線が含まれてもよい。
【0064】
尚、通信部170の機能は、インタフェース装置の一機能として、制御回路80や診断装置150に内蔵されてもよい。
【0065】
管理装置200は、電力変換装置110の外部に設けられる。管理装置200は、電力変換装置110の上位装置として、電力変換装置110と通信可能に接続され、電力変換装置110及び電動機120に関する管理を行う。
【0066】
管理装置200は、例えば、電力変換装置110から電力変換装置110や電動機120の状態に関するデータを取得し、電力変換装置110や電動機120の状態の監視機能に関する処理を行う。また、管理装置200は、例えば、電力変換装置110及び電動機120が設置される工場の作業者や管理者等のユーザと、電力変換装置110との間のやり取りに関するインタフェース機能に関する処理を行う。具体的には、管理装置200は、電動機120や電力変換装置110に関する情報を提供したり、ユーザからの入力を受け付け電力変換装置110に送信したりするための処理を行ってよい。
【0067】
管理装置200は、例えば、電動機120で駆動される機械設備や生産設備が設置される工場等において、電力変換装置110を含むフィールドデバイスを管理するPLC(Programmable Logic Controller)等のエッジコントローラである。また、管理装置200は、例えば、工場の機械設備や生産設備等の管理用の端末装置である。管理用の端末装置は、例えば、工場等の事務所に設置されるデスクトップ型のPC(Personal Computer)等の定置型のコンピュータ端末であってよい。また、管理用の端末装置は、例えば、タブレット端末、スマートフォン、ラップトップ型のPC等の工場の管理者や作業者等が携帯可能な可搬型の端末装置(携帯端末)であってもよい。また、管理装置200は、例えば、サーバ装置である。サーバ装置は、例えば、電動機120で駆動される生産設備や機械設備が設置される工場等の遠隔に設置されるオンプレミスサーバやクラウドサーバであってよい。また、サーバ装置は、電動機120で電気駆動される生産設備や機械設備が設置される工場等の敷地内やその近隣の施設に設置されるエッジサーバであってもよい。
【0068】
管理装置200の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにより実現される。例えば、管理装置200は、CPU、メモリ装置、補助記憶装置、高速演算装置、インタフェース装置を含むコンピュータを中心に構成される。また、管理装置200は、入力装置及び表示装置等のユーザインタフェース機器を有してもよい。メモリ装置は、例えば、SRAMやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等を含む。補助記憶装置は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)やSSD(Solid State Drive)やEEPROMやフラッシュメモリ等を含む。高速演算装置は、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含む。インタフェース装置は、例えば、外部の記録媒体と接続する外部インタフェースや他の機器と通信を行うための通信インタフェース等を含む。管理装置200は、補助記憶装置にインストールされるプログラムをメモリ装置にロードしCPU上で実行することにより各種機能を実現することができる。また、管理装置200は、外部インタフェースを通じて、記録媒体からプログラムを取り込みインストールしたり、通信インタフェースを通じて、他の機器からプログラムを取り込みインストールしたりすることができる。入力装置は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等を含む。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等を含む。
【0069】
端末装置300は、電力変換装置110の外部に設けられ、診断システム1のユーザに利用されるユーザ端末である。診断システム1のユーザは、例えば、電動機120で駆動される生産設備や機械設備が設置される工場の管理者や作業者等である。端末装置300は、例えば、ユーザに電力変換装置110や電動機120に関する各種情報を提供したり、ユーザから各種入力を受け付け、電力変換装置110に送信したりする。端末装置300は、管理装置200経由で電動機120や電力変換装置110に関する情報を取得してもよいし、電力変換装置110から電動機120や電力変換装置110に関する情報を直接取得してもよい。同様に、端末装置300は、管理装置200経由で電力変換装置110にユーザからの各種入力を送信してもよいし、電力変換装置110にユーザからの入力を直接送信してもよい。
【0070】
端末装置300は、例えば、デスクトップ型のPC等の定置型の端末装置であってもよいし、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップ型のPC等の可搬型の端末装置(携帯端末)であってもよい。
【0071】
端末装置300の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにより実現される。例えば、端末装置300は、CPU、メモリ装置、補助記憶装置、インタフェース装置を含むコンピュータや入力装置及び表示装置等のユーザインタフェース機器を中心に構成される。メモリ装置は、例えば、SRAMやDRAM等を含む。補助記憶装置は、例えば、HDDやSSDやEEPROMやフラッシュメモリ等を含む。インタフェース装置は、例えば、外部の記録媒体と接続する外部インタフェースや他の機器と通信を行うための通信インタフェース等を含む。端末装置300は、補助記憶装置にインストールされるプログラムをメモリ装置にロードしCPU上で実行することにより各種機能を実現することができる。また、端末装置300は、外部インタフェースを通じて、記録媒体からプログラムを取り込みインストールしたり、通信インタフェースを通じて、他の機器からプログラムを取り込みインストールしたりすることができる。入力装置は、例えば、ボタンスイッチ、キーボード、マウス、タッチパネル等を含む。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等を含む。
【0072】
[制御回路及び診断装置の機能構成]
次に、
図2~
図4を参照して、制御回路80及び診断装置150の機能構成について説明する。
【0073】
図2は、制御回路80及び診断装置150の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0074】
図2に示すように、制御回路80は、センサデータ処理部801と、制御演算部802と、制御指令値生成部803と、電動機制御部804とを含む。
【0075】
センサデータ処理部801は、制御用センサから取り込まれるデータ(以下、「制御用センサデータ」)を取得し、電動機120の制御に関する所定の処理を行う。例えば、センサデータ処理部801は、電動機120がベクトル制御される場合、電流センサ40の出力(3相の電流の検出値)に基づき、α軸及びβ軸の電流の検出値を演算し、α軸及びβ軸の電流の検出値に基づき、d軸及びq軸の電流の検出値を演算する。
【0076】
制御演算部802は、センサデータ処理部801の出力に基づき、電動機120の制御に関する演算を行う。例えば、電動機120の速度フィードバック制御が行われる場合、制御演算部802は、電動機120の速度の検出値(或いは推定値)と速度指令値と偏差に基づき、電動機120の電流指令値を演算する。
【0077】
制御指令値生成部803は、制御演算部802の出力に基づき、電力変換装置110による、直接の制御対象の物理量(例えば、電動機120の電圧)に関する制御指令値を生成する。例えば、制御指令値生成部803は、制御演算部802により演算される、電動機120の電流指令値に基づき、電動機120のU相、V相、及びW相の電圧に関する指令値(電圧指令値)等を生成する。
【0078】
電動機制御部804は、制御指令値生成部803により生成される制御指令値に基づき、電力変換装置110を用いて、電動機120を制御する。例えば、電動機制御部804は、電動機120の電圧が電圧指令値に近づくように、インバータ回路30の制御に関する指令の信号(ゲート信号)をゲート駆動回路60に出力する。
【0079】
センサデータ処理部1501は、診断用センサ140から取り込まれるデータ(以下、「診断用センサデータ」)を取得し、電動機120の異常診断に関する所定の処理を行う。例えば、センサデータ処理部1501は、診断用センサデータに対応する、電動機120の状態を表す物理量の検出値の時系列データ(波形データ)に基づき、周波数解析を行う。また、センサデータ処理部1501は、診断用センサデータに対応する、電動機120の状態を表す物理量の検出値の時系列データ(波形データ)に基づき、波形分析を行ってもよい。診断用センサデータに対応する、電動機120の状態を表す物理量は、振動センサ(加速度センサ)に対応する加速度、音センサ(マイクロフォン)に対応する音圧、温度センサに対応する温度等である。
【0080】
波形分析では、対象の波形データに含まれる特定周波数の成分の波形の振幅に関する分析が行われる。特定周波数は、電動機120の異常と相関を有する特定の周波数であり、例えば、電動機120の回転周波数の高調波成分(逓倍成分)である。対象の波形データに含まれる特定周波数の成分は、例えば、所定のフィルタによって抽出される。この際、電動機120の回転周波数が頻繁に変動する場合、所定のフィルタは、電動機120の回転周波数の変動に追従して特定周波数の成分を抽出可能なトラッキングフィルタであってもよい。また、d軸及びq軸の電流や電圧の検出値を用いる場合、d軸及びq軸の電流や電圧の検出値の波形データをそのまま用いて、波形分析が行われてもよい。d軸及びq軸の電流や電圧では、電動機120の回転周波数の成分が直流成分となり、その波形データの振幅に回転周波数の高調波成分が現れるからである。例えば、センサデータ処理部1501は、対象の波形データについて、波形データに含まれる複数の波形ごとの振幅の度数分布を演算する。複数の波形とは、1周期分或いは半周期分に相当する複数の波形を意味する。対象の波形データに含まれる複数の波形ごとの振幅の度数分布は、例えば、振幅の大きさについての予め規定される全範囲が複数の小範囲に区分され、その小範囲ごとに対象の波形データの振幅の大きさの度数が集計されることにより得られる。対象の波形データに含まれる複数の波形ごとの振幅の大きさは、例えば、既知の波形計数法を用いて、対象の波形データから取得される。波形計数法は、例えば、極大極小法である。また、波形計数法は、最大値最小値法や振幅法やレベルクロッシング法やレンジベア法であってもよい。また、波形計数法は、レインフロー法であってもよい。
【0081】
特徴量取得部1502は、センサデータ処理部1501の出力に基づき、診断用センサデータに対応する、電動機120の状態を表す物理量について、電動機120の異常に関する特徴量を取得する。特徴量取得部1504により取得される特徴量は、1つであってもよいし複数であってもよい。
【0082】
例えば、
図3に示すように、特徴量取得部1502は、センサデータ処理部1501の周波数解析の結果に基づき、電動機120の異常に関する特徴量を取得する。本例では、特徴量取得部1502は、電動機120の異常と相関を有する特定周波数f1,f2の成分のスペクトル値Sを特徴量として取得する。
【0083】
また、例えば、
図4に示すように、特徴量取得部1502は、センサデータ処理部1501の波形分析の結果に基づき、電動機120の異常に関する特徴量を取得してもよい。本例では、特徴量取得部1502は、波形分析の結果の度数分布について、振幅値が所定の閾値Athを超える範囲の度数の合計値を特徴量として取得する。電動機120が正常な場合(
図4A参照)、比較的大きい閾値Athを超える振幅値が出現することはほとんどないものの、電動機120が異常な場合(
図4B参照)、閾値Athを超える振幅値が出現する頻度が相対的に高くなるからである。
【0084】
センサデータ処理部1503は、制御回路80から制御用センサデータを取得し、電動機120の異常診断に関する所定の処理を行う。例えば、センサデータ処理部1503は、制御用センサデータに対応する、電動機120の状態を表す物理量の検出値の時系列データ(波形データ)に基づき、周波数解析を行う。また、センサデータ処理部1501は、診断用センサデータに対応する、電動機120の状態を表す物理量の検出値の時系列データ(波形データ)に基づき、波形分析を行ってもよい。
【0085】
特徴量取得部1504は、センサデータ処理部1503の出力に基づき、診断用センサデータに対応する、電動機120の状態を表す物理量について、電動機120の異常に関する特徴量を取得する。特徴量取得部1504により取得される特徴量は、1つであってもよいし複数であってもよい。
【0086】
例えば、特徴量取得部1504は、特徴量取得部1502の場合と同様、センサデータ処理部1503の周波数解析の結果に基づき、電動機120の異常に関する特徴量を取得する。
【0087】
また、特徴量取得部1504は、特徴量取得部1502の場合と同様、センサデータ処理部1503の波形分析の結果に基づき、電動機120の異常に関する特徴量を取得してもよい。
【0088】
また、特徴量取得部1504は、センサデータ処理部1503の出力に代えて、制御回路80で使用される、電動機120の制御用のデータ(以下、「制御用データ」)に基づき、電動機120の異常に関する特徴量を取得してもよい。電動機120の制御用のデータには、電動機120の状態が反映されているからである。制御用データには、例えば、電動機120の状態を表す物理量の指令値(速度指令値、トルク指令値、電流指令値、電圧指令値)やPI(Proportional Integral)制御等で生成される制御用の可変されるパラメータ等が含まれる。
【0089】
例えば、特徴量取得部1504は、上記と同様、制御用データについての周波数解析の結果に基づき、電動機120の異常に関する特徴量を取得する。
【0090】
また、特徴量取得部1504は、上記と同様、制御用データの波形分析の結果に基づき、電動機120の異常に関する特徴量を取得してもよい。
【0091】
また、特徴量取得部1504は、センサデータ処理部1503の出力、及び制御用データの双方を組み合わせて、電動機120の異常に関する特徴量を抽出してもよい。
【0092】
例えば、特徴量取得部1504は、センサデータ処理部1503の出力に基づく特徴量と、制御用データに基づく特徴量とを組み合わせて、電動機120の異常に関する特徴量を抽出する。具体的には、特徴量取得部1504は、センサデータ処理部1503の出力、及び制御用データのそれぞれに基づく特徴量についての所定の演算を行うことにより、電動機120の異常に関する特徴量を抽出してよい。
【0093】
異常診断部1505は、特徴量取得部1502により取得される特徴量と、特徴量取得部1504により取得される特徴量とに基づき、電動機120の異常診断を行う。
【0094】
例えば、異常診断部1505は、特徴量取得部1502により取得される特徴量に基づき、電動機120の異常診断を行う。また、異常診断部1505は、特徴量取得部1504により取得される特徴量に基づき、電動機120の異常診断を行う。そして、異常診断部1505は、双方の診断結果の何れか一方で異常があると診断されている場合、電動機120に異常があるとの最終的な診断を行う。また、異常診断部1505は、双方の診断結果のうちの異常度合いが高い方の診断結果を、電動機120の異常度合いの最終的な診断結果として採用する。これにより、例えば、診断装置150は、何れか一方の特徴量からは異常の兆候を発見できない場合であっても、他方の特徴量から異常の発生や異常の兆候を発見することができる場合がある。そのため、診断装置150は、電動機120の異常に関する診断をより適切に行うことができる。
【0095】
また、異常診断部1505は、特徴量取得部1502により取得される特徴量と特徴量取得部1504により取得される特徴量との相関関係に基づき、電動機120の異常診断を行ってもよい。
【0096】
例えば、制御用センサ(電流センサ40)の出力や制御用データには電動機120の軽負荷時の制御状態が現れているにも関わらず、診断用センサ(温度センサ)には、電動機120の想定外の温度上昇が現れる場合がある。その結果、特徴量取得部1504により取得される特徴量には軽負荷時の正常な制御状態が反映される一方、特徴量取得部1502により取得される特徴量には電動機120の異常な温度上昇が反映される。この場合、異常診断部1505は、特徴量取得部1502により取得される特徴量と、特徴量取得部1504により取得される特徴量との相関関係に対する背反から、電動機120に異常があると診断することができる。
【0097】
また、制御用センサ(電流センサ40)の出力や制御用データには電動機120の重負荷時の制御状態が現れているにも関わらず、診断用センサ(温度センサ)には、電動機120の温度が変化しない或いは低下する状態が現れる場合がある。その結果、特徴量取得部1504により取得される特徴量には重負荷時の正常な制御状態が反映される一方、特徴量取得部1502により取得される特徴量には想定外の温度の維持や低下が反映される。この場合、異常診断部1505は、特徴量取得部1502により取得される特徴量と、特徴量取得部1504により取得される特徴量との相関関係に対する背反から、電動機120に異常があると診断することができる。
【0098】
また、異常診断部1505は、特徴量取得部1502により取得される特徴量に基づき、電動機120の異常に関する分析を行う。また、異常診断部1505は、特徴量取得部1504により取得される特徴量に基づき、電動機120の異常に関する分析を行う。それぞれの分析は、例えば、診断対象の異常の種類ごとに行われる、異常の有無に関する分析である。診断対象の異常は、例えば、制御用センサや制御用データや診断用センサの種類によって予め規定される。そして、異常診断部1505は、双方の分析結果に基づき、電動機120の異常に関する診断を行う。これにより、異常診断部1505は、一方の分析結果と、他方の分析結果との間の相関関係に基づき、電動機120に異常がある場合の電動機120の異常の原因を推定することができる。
【0099】
例えば、制御用センサ(電流センサ40)の出力や制御用データには電動機120の異常が反映されていない一方で、診断用センサ140(振動センサ)には、電動機120の異常が反映される場合がある。その結果、特徴量取得部1504により取得される特徴量には異常の兆候が現れない一方、特徴量取得部1502により取得される特徴量には異常の発生や異常の兆候が現れる。この場合、異常診断部1505は、電動機120の異常の発生や異常の兆候が機械的な原因によるものであると推定することができる。
【0100】
また、診断用センサ140(振動センサ)には電動機120の異常が反映されていない一方で、制御用センサ(電流センサ40)の出力や制御用データには電動機120の異常が反映される場合もある。その結果、特徴量取得部1502により取得される特徴量には異常の兆候が現れない一方、特徴量取得部1504により取得される特徴量には異常の発生や異常の兆候が現れる。この場合、異常診断部1505は、電動機120の異常の発生や異常の兆候が電気的な原因によるものであると推定することができる。
【0101】
また、異常診断部1505は、特徴量取得部1502により取得される特徴量と特徴量取得部1504により取得される特徴量とを組み合わせて、電動機120の異常診断を行ってもよい。
【0102】
例えば、異常診断部1505は、特徴量取得部1502により取得される特徴量と、特徴量取得部1504により取得される特徴量とを組み合わせた特徴量ベクトルに基づき、既知の多変量解析の手法を用いて、電動機120の異常診断を行う。これにより、例えば、異常診断部1505は、異常の種類ごとに規定される異常空間と特徴量ベクトルとの距離(例えば、マハラノビス距離)等によって、異常の度合いや異常の有無を診断することができる。
【0103】
また、異常診断部1505は、特徴量ベクトルに基づき、例えば、サポートベクターマシーン(SVM:Support Vector Machine)等の既知の識別器を用いて、電動機120の異常診断を行ってもよい。これにより、例えば、異常診断部1505は、異常の種類ごとに規定される、特徴ベクトル空間上での超平面との関係に基づき、電動機の異常の度合いや異常の有無を診断することができる。
【0104】
通知部1506は、異常診断部1505による診断結果をユーザに通知する。
【0105】
例えば、通知部1506は、表示部160に診断結果に関する情報を表示する。また、通知部1506は、通信部170を通じて、診断結果に関する情報を含む信号を管理装置200や端末装置300に送信してもよい。これにより、通知部1506は、管理装置200や端末装置300を通じて、ユーザに診断結果を通知することができる。
【0106】
[電気駆動ユニットの構造]
次に、
図1に加えて、
図5~
図8を参照して、電気駆動ユニット100の構造について説明する。
【0107】
以下、第1の比較例及び第2の比較例の電気駆動システムについて、本実施形態に係る電気駆動ユニット100と同じ構成には同じ符号を付して説明を行う。
【0108】
<電力変換装置及び電動機の構造>
図5は、第1の比較例に係る電気駆動システムを示す図である。
図6は、電気駆動ユニット100の一例を示す図である。
【0109】
図5に示すように、第1の比較例に係る電気駆動システムは、電力変換装置110と電動機120とが別体で構成され、その間は、3相(U相、V相、及びW相)の電力線に対応するケーブル等で電気的に接続される。
【0110】
電力変換装置110と電動機120との間の3相の電力線には、配線インピーダンスIMPがあるため、電力変換装置110と電動機120との間の電力線の電流を検出する電流センサ40の出力には、配線インピーダンスIMPの影響が反映される可能性がある。また、電流センサ40に加えて、電動機120の電圧を検出する電圧センサが設けられる場合についても同様である。特に、第1の比較例では、電力変換装置110と電動機120とが別体で構成されることから、電力変換装置110と電動機120との間の3相の電力線の長さが相対的に長くなる可能性がある。その結果、3相の取り回しの差異等によって、3相の電力線の間で配線インピーダンスIMPのアンバランスが顕著になる可能性がある。よって、診断装置150は、3相の配線インピーダンスIMPのアンバランスの影響が反映された電流センサ40や電圧センサの出力に基づき、巻線異常による電動機120の3相の電流や電圧のアンバランスが生じていると誤った診断を行ってしまう可能性がある。
【0111】
これに対して、
図6に示すように、本実施形態では、電力変換装置110及び電動機120は、一体化され筐体100Hに内蔵される。これにより、電力変換装置110と電動機120との間を接続する3相の電力線の長さを非常に短くすることができる。そのため、3相の配線インピーダンスIMPを非常に小さくすることができ、その結果、配線インピーダンスIMPの電流センサ40や電圧センサの出力への影響を抑制することができる。よって、診断装置150は、より適切に電動機120の異常に関する診断を行うことができる。
【0112】
<電動機及び変速機の構造>
図7は、第2の比較例に係る電気駆動システムを示す図である。
図8は、電気駆動ユニット100の他の例を示す図である。
【0113】
図7に示すように、第2の比較例に係る電気駆動システムでは、電動機120と変速機130とが別体に構成され、電動機120の出力軸から延びるシャフトSFT1と変速機130の入力軸から延びるシャフトSFT2とがカップリングCPにより連結される。そのため、シャフトSFT1及びシャフトSFT2の連結体がカップリングCPにおいてたわみが生じたり、カップリングCPにミスアライメント(接続不良)が生じたりする可能性がある。その結果、電動機120に取り付けられる診断用センサ140(振動センサや温度センサ)にカップリングCPでのたわみの影響やカップリングCPでのミスアライメントの影響が反映される可能性がある。よって、診断装置150は、診断用センサ140の出力に基づき、電動機120の機械的異常(軸受異常)と変速機130の機械的な異常とを区別することができず、誤った診断を行ってしまう可能性がある。
【0114】
また、電動機120と変速機130との間の距離が特に長くなると、カップリングCPの長さも長くなり、その結果、カップリングCPでの非常に小さいミスアライメントであっても、大きな振動の原因になってしまう可能性がある。
【0115】
また、電動機120と変速機130とが別体に設けられることから、変速機130の機械的な異常を診断するための診断用センサ(振動センサや温度センサ)を診断用センサ140とは別に変速機130に設ける必要がある。
【0116】
これに対して、
図8に示すように、本実施形態では、電動機120及び変速機130が一体化され筐体100Hに内蔵される。これにより、電動機120の出力軸と変速機130の入力軸との間の距離を非常に小さくし、電動機120の出力軸と変速機130の入力軸とを直接接続することができる。そのため、カップリングCPによるたわみやカップリングCPでのミスアライメントの影響を抑制し、診断装置150は、電動機120及び変速機130の機械的異常を区別し、電動機120の異常診断をより適切に行うことができる。また、カップリングCPでのミスアライメントに起因するような大きな振動を抑制することができる。
【0117】
また、本実施形態では、診断用センサ140が筐体100Hに取り付けられ、電動機120及び変速機130の振動状態や温度状態を測定することができる。そのため、診断装置150は、1つの診断用センサ140を用いて、電動機120の機械的な異常に関する診断に加え、変速機130の機械的な異常に関する診断を行うことができる。
【0118】
尚、例えば、電動機120と変速機130とでは、固有振動数や熱容量等が異なる。そのため、診断装置150は、これらを考慮することで、1つの診断用センサ140の出力に基づき、電動機120の機械的な異常と変速機130の機械的な異常とを区別することができる。また、診断用センサ140は、筐体100Hの内側に取り付けられてもよい。
【0119】
[他の実施形態]
次に、他の実施形態について説明する。
【0120】
上述の実施形態には、適宜変形や変更が加えられてもよい。
【0121】
例えば、上述の実施形態では、電力変換装置110は、商用電源PSから入力される3相交流電力に代えて、直流電源から入力される電力を用いて、電動機120の駆動電力を生成し出力してもよい。この場合、例えば、直流電源から入力される直流電圧は、正ラインPL及び負ラインNLの間に印加される。また、この場合、整流回路10は省略されてもよい。
【0122】
また、上述の実施形態では、電力変換装置110は、R相、S相、及びT相の3相交流の電力を、直接、U相、V相、及びW相の3相交流の電力に変換可能なマトリクスコンバータであってもよい。
【0123】
また、例えば、上述の実施形態や変形例では、診断装置150の機能の一部又は全部は、電気駆動ユニット100の外部に移管されてもよい。例えば、診断装置150の機能の一部又は全部は、管理装置200や端末装置300に移管されてもよい。この場合、電動機120の異常に関する診断のために必要なデータは、通信部170を通じて、管理装置200や端末装置300等の外部装置に送信(アップロード)される。
【0124】
[作用]
次に、本実施形態に係る診断システム及び電気駆動ユニットの作用について説明する。
【0125】
本実施形態では、診断システムは、電動機と、電力変換装置と、第1のセンサと、診断装置と、を備える。診断システムは、上述の診断システム1である。電動機は、上述の電動機120である。電力変換装置は、上述の電力変換装置110である。第1のセンサは、診断用センサ140である。診断装置は、例えば、診断装置150である。具体的には、電力変換装置は、電動機と一体化され、電動機に駆動電力を供給する。また、第1のセンサは、一体化された電動機及び電力変換装置の筐体に内蔵され又は取り付けられ、電動機の状態に関する第1の物理量を表すデータを取得する。筐体は、例えば、上述の筐体100Hである。第1の物理量は、例えば、上述の振動に関する物理量、音に関する物理量、電流、電圧、トルク、回転状態に関する物理量等である。そして、診断装置は、第1の物理量を表すデータに基づき、電動機の異常に関する診断を行う。
【0126】
また、本実施形態では、電気駆動ユニットは、電動機と、電力変換装置と、第1のセンサと、診断装置と、を備えてもよい。電気駆動ユニットは、例えば、上述の電気駆動ユニット100である。
【0127】
これにより、電動機と電力変換装置と間の距離を非常に短くすることができる。そのため、例えば、電力変換装置と電動機との間の3相の電力線のインピーダンスのアンバランスを抑制し、そのアンバランスによる第1のセンサの出力への影響を抑制することができる。よって、診断システムは、電動機の異常に関する診断をより適切に行うことができる。また、電動機と電力変換装置の一体化に伴う第1のセンサの筐体への内蔵或いは取付によって、第1のセンサから第1のセンサの出力が取り込まれるインタフェース(例えば、制御回路)までの配線を短くすることができる。そのため、第1のセンサの出力へのノイズ等の影響を抑制し、その結果、電動機の異常に関する診断をより適切に行うことができると共に、電動機の異常に関する診断に用いられる構成の省スペース化及びコンパクト化を図ることができる。
【0128】
また、本実施形態では、診断システムは、第2のセンサと、制御装置と、を備えてもよい。第2のセンサは、例えば、上述の電流センサ40や回転状態センサ70である。制御装置は、例えば、上述の制御回路80である。具体的には、第2のセンサは、第1の物理量と異なる第2の物理量を表すデータを取得してもよい。第2の物理量は、例えば、上述の電流、電圧、トルク、回転状態に関する物理量等である。また、制御装置は、第2の物理量を表すデータに基づき、電力変換装置を用いて、電動機の動作を制御してもよい。そして、診断装置は、第1の物理量を表すデータと、第2の物理量を表すデータ、及び制御装置により生成される制御用のデータの少なくとも一方とを組み合わせて、電動機の異常に関する診断を行ってもよい。
【0129】
これにより、診断システム等は、データの組み合わせによって、電動機の電気的な異常や機械的な異常の別を問わず、多種に亘る電動機の異常に関する診断を行うことができる。
【0130】
また、本実施形態では、診断装置は、第1の物理量に関するデータに基づき、電動機の異常に関する第1の特徴量を取得し、第2の物理量に関するデータ、及び制御用のデータの少なくとも一方に基づき、第2の特徴量を取得し、第1の特徴量及び第2の特徴量の組み合わせに基づき、電動機の異常に関する診断を行ってもよい。第1の特徴量は、例えば、上述の特徴量取得部1502により取得される特徴量である。第2の特徴量は、例えば、上述の特徴量取得部1504により取得される特徴量である。
【0131】
これにより、診断システム等は、異なる種類の第1の特徴量及び第2の特徴量を組み合わせることによって、多種に亘る電動機の異常に関する診断を行うことができる。
【0132】
また、本実施形態では、診断装置は、第1の特徴量及び第2の特徴量の相関関係に基づき、電動機の異常に関する診断を行ってもよい。
【0133】
これにより、診断システム等は、異なる種類の第1の特徴量と第2の特徴量との相関関係に基づき、異常の発生や異常の兆候を見出すことができる。
【0134】
また、本実施形態では、診断装置は、第1の物理量に関するデータに基づき、電動機の異常に関する第1の分析を行い、第2の物理量に関するデータ及び制御用のデータの少なくとも一方に基づき、電動機の異常に関する第2の分析を行い、第1の分析及び第2の分析の結果の相関関係に基づき、電動機の異常に関する診断を行ってもよい。
【0135】
これにより、診断システム等は、例えば、異なる種類の第1の特徴量及び第2の特徴量のそれぞれに基づく分析結果同士の相関関係を用いて、異常の原因(種類)を推定することができる。
【0136】
また、本実施形態では、第1の物理量は、電動機の温度、電動機の音に関する物理量、又は電動機の振動に関する物理量であってもよい。そして、第2の物理量は、電動機の電流又は電圧であってもよい。
【0137】
これにより、診断システム等は、第1の物理量を表すデータと、第2の物理量を表すデータとを組み合わせて、電動機の電気的な異常や機械的な異常の別を問わず、多種に亘る電動機の異常に関する診断を行うことができる。
【0138】
また、本実施形態では、診断システムは、変速機を備えてもよい。変速機は、例えば、上述の変速機130である。具体的には、変速機は、電動機と一体化され、電動機の回転軸と機械的に連結されてもよい。また、第1の物理量は、電動機の振動に関する物理量であってもよい。そして、第1のセンサは、一体化される電動機及び変速機の筐体に取り付けられる又は内蔵されてもよい。
【0139】
これにより、例えば、電動機と変速機との間の距離を非常に短く設定することができ、電動機の出力軸と変速機の入力軸との間を直接連結することができる。そのため、電動機の出力軸から延びるシャフトと変速機の入力軸から延びるシャフトとをカップリングで連結する場合のように、カップリングでのたわみやカップリングでのミスアライメントを抑制することができる。その結果、カップリングでのたわみやカップリングでのミスアライメントの影響が第1のセンサの出力に反映され、電動機の機械的な異常と変速機の機械的な異常を区別できないような事態を抑制することができる。よって、診断システムは、電動機の異常に関する診断をより適切に行うことができる。
【0140】
また、本実施形態では、診断装置は、第1のセンサにより取得されるデータに基づき、変速機の機械的な異常に関する診断を行ってもよい。
【0141】
これにより、第1のセンサの出力によって、電動機及び変速機の双方の機械的な異常に関する診断を行うことができる。
【0142】
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0143】
1 診断システム
10 整流回路
20 平滑回路
21 平滑コンデンサ
30 インバータ回路
40 電流センサ
50 電圧センサ
60 ゲート駆動回路
70 回転状態センサ
80 制御回路
100 電気駆動ユニット
100H 筐体
110 電力変換装置
120 電動機
130 変速機
140 診断用センサ
150 診断装置
160 表示部
170 通信部
200 管理装置
300 端末装置
801 センサデータ処理部
802 制御演算部
803 制御指令値生成部
804 電動機制御部
1501 センサデータ処理部
1502 特徴量取得部
1503 センサデータ処理部
1504 特徴量取得部
1505 異常診断部
1506 通知部
IMP 配線インピーダンス
NL 負ライン
PL 正ライン
PS 商用電源
SD 半導体ダイオード
SFT1,SFT2 シャフト
SW 半導体スイッチ