(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082604
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】搬送車
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240613BHJP
B65G 49/07 20060101ALI20240613BHJP
B61B 13/06 20060101ALI20240613BHJP
B61B 13/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G49/07 L
B61B13/06 D
B61B13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196564
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】和田 吉成
【テーマコード(参考)】
3D101
5F131
【Fターム(参考)】
3D101BA05
3D101BB05
3D101BB34
3D101BB39
3D101BB49
3D101BB52
3D101BD01
5F131AA02
5F131AA03
5F131CA53
5F131DA05
5F131DA22
5F131DC06
5F131DC26
5F131DD02
5F131DD29
5F131DD33
5F131DD72
5F131DD76
5F131FA14
5F131FA32
5F131GA14
5F131GA22
5F131GA24
5F131GA73
(57)【要約】
【課題】複数の被把持部を備えた容器に対する把持を適切に行うことが可能な搬送車を実現する。
【解決手段】第1案内体33は、一対の第1案内面331fを備え、一対の第1案内面331fの少なくとも一方が把持用下降動作中に第1被把持部811に接触することによって第1被把持部811に対する把持本体部31の第2方向Yの位置を矯正する。第2案内体34は、一対の第2案内面342fを備え、一対の第2案内面342fの少なくとも一方が把持用下降動作中に対象被把持部812に接触することによって対象被把持部812に対する把持本体部31の第2方向Yの位置を矯正する。第1案内体33と第2案内体34とが、第1方向X及び第2方向Yの少なくとも一方に離間して配置されている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行経路に沿って走行して、予め定められた形状の容器を搬送する搬送車であって、
前記容器を把持する把持装置と、
前記把持装置を昇降させる昇降装置と、を備え、
前記容器は、容器本体と、前記容器本体の上面である本体上面から上側に突出するように設けられて前記把持装置により把持される一対の被把持部である第1被把持部及び第2被把持部と、を備え、
前記本体上面に平行な特定の方向を第1方向とし、前記本体上面に平行な方向であって前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
前記第1被把持部及び前記第2被把持部のそれぞれは、前記第1方向に沿って延在するように形成されていると共に、前記第2方向に互いに離間して配置され、
前記把持装置は、前記昇降装置に吊り下げられた把持本体部と、前記把持本体部に支持された一対の把持体と、一対の前記把持体を前記第2方向に互いに接近及び離間させる把持駆動部と、一対の前記把持体とは独立して前記把持本体部に支持されて前記第1被把持部に対する前記把持本体部の案内を行う第1案内体と、一対の前記把持体とは独立して前記把持本体部に支持されて前記第1被把持部及び前記第2被把持部のいずれかを対象被把持部として当該対象被把持部に対する前記把持本体部の案内を行う第2案内体と、を備え、
一対の前記把持体により一対の前記被把持部を把持するために前記昇降装置により前記把持装置を下降させる動作を把持用下降動作として、
前記第1案内体は、前記把持用下降動作の完了後に前記第1被把持部に対して前記第2方向の両側に分かれて配置されることになる一対の第1案内面を備え、一対の前記第1案内面の少なくとも一方が前記把持用下降動作中に前記第1被把持部に接触することによって前記第1被把持部に対する前記把持本体部の前記第2方向の位置を矯正するように構成され、
前記第2案内体は、前記把持用下降動作の完了後に前記対象被把持部に対して前記第2方向の両側に分かれて配置されることになる一対の第2案内面を備え、一対の前記第2案内面の少なくとも一方が前記把持用下降動作中に前記対象被把持部に接触することによって前記対象被把持部に対する前記把持本体部の前記第2方向の位置を矯正するように構成され、
前記第1案内体と前記第2案内体とが、前記第1方向及び前記第2方向の少なくとも一方に離間して配置されている、搬送車。
【請求項2】
前記把持装置は、前記第1案内体を支持する第1支持機構と、前記第2案内体を支持する第2支持機構と、を備え、
前記第1支持機構は、前記把持本体部に対する前記第1案内体の前記第1方向及び前記第2方向の移動を規制しつつ、前記把持本体部に対して前記第1案内体を予め定められた第1範囲内で上下方向に移動自在とするように構成され、
前記第2支持機構は、前記把持本体部に対する前記第2案内体の前記第1方向及び前記第2方向の移動を規制しつつ、前記把持本体部に対して前記第2案内体を予め定められた第2範囲内で上下方向に移動自在とするように構成されている、請求項1に記載の搬送車。
【請求項3】
前記対象被把持部は、前記第2被把持部である、請求項1に記載の搬送車。
【請求項4】
前記第1方向の一方側を第1方向第1側とし、前記第1方向の他方側を第1方向第2側として、
前記第1案内体は、前記把持用下降動作の完了後に前記第1被把持部に対して前記第1方向第1側に配置されることになる第3案内面を備え、
前記第2案内体は、前記把持用下降動作の完了後に前記対象被把持部に対して前記第1方向第2側に配置されることになる第4案内面を備え、
前記第3案内面の前記第1被把持部への接触、及び、前記第4案内面の前記対象被把持部への接触の少なくとも一方によって、前記第1被把持部及び前記対象被把持部に対する前記把持本体部の前記第1方向の位置が矯正される、請求項1に記載の搬送車。
【請求項5】
前記第1被把持部及び前記第2被把持部のそれぞれは、前記本体上面に対して上側に離間して配置されていると共に前記第1方向に沿って延在する帯板状の被把持本体部と、前記被把持本体部と前記本体上面とを連結する連結部と、を備え、
一対の前記第1案内面のそれぞれは、上側に向かうに従って互いに接近する側に向かう方向に傾斜した平面状に形成され、前記把持用下降動作中において前記第1方向に沿うように配置され、
一対の前記第2案内面のそれぞれは、上側に向かうに従って互いに接近する側に向かう方向に傾斜した平面状に形成され、前記把持用下降動作中において前記第1方向に沿うように配置されている、請求項1に記載の搬送車。
【請求項6】
前記第1被把持部及び前記第2被把持部の少なくとも一方の上面には、位置決め用凹部が形成され、
前記把持装置は、前記位置決め用凹部に係合することで前記位置決め用凹部に対する前記把持装置の位置決めを行う位置決め体を備え、
一対の前記第1案内面の少なくとも一方が前記第1被把持部に接触することが可能である、前記第1案内体と前記第1被把持部との前記第2方向のずれの最大値を第1許容ずれ量とし、
一対の前記第2案内面の少なくとも一方が前記対象被把持部に接触することが可能である、前記第2案内体と前記対象被把持部との前記第2方向のずれの最大値を第2許容ずれ量とし、
前記位置決め体が前記位置決め用凹部に係合することが可能である、前記位置決め体と前記位置決め用凹部との前記第2方向のずれの最大値を位置決め許容ずれ量として、
前記第1許容ずれ量及び前記第2許容ずれ量が、前記位置決め許容ずれ量よりも大きくなるように、前記第1案内体及び前記第2案内体が形成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の搬送車。
【請求項7】
一対の前記把持体により前記第1被把持部及び前記第2被把持部を把持可能である、前記容器を基準とした前記把持装置の上下方向の相対位置の範囲を上下方向基準範囲とし、
一対の前記把持体により前記第1被把持部及び前記第2被把持部を把持可能である、前記容器を基準とした前記把持装置の前記第2方向の相対位置の範囲を第2方向基準範囲として、
前記第1案内体は、前記把持装置が前記上下方向基準範囲よりも上側に位置する状態から前記第1被把持部の案内を開始し、前記把持装置が前記上下方向基準範囲内になった状態で前記把持装置が前記第2方向基準範囲内となるように、前記第1被把持部に対して前記把持本体部を前記第2方向に案内するように構成され、
前記第2案内体は、前記把持装置が前記上下方向基準範囲よりも上側に位置する状態から前記対象被把持部の案内を開始し、前記把持装置が前記上下方向基準範囲内になった状態で前記把持装置が前記第2方向基準範囲内となるように、前記対象被把持部に対して前記把持本体部を前記第2方向に案内するように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行経路に沿って走行して、予め定められた形状の容器を搬送する搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体製造工場などでは、半導体ウェハやガラス基板が、専用の容器に収容された状態で搬送車によって搬送される。このような容器の形状は、規格によって予め定められている。搬送車は、容器の形状に合った把持方法により、当該容器を把持するように構成される。このような搬送車の一例が、特開2005-064130号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示される符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示された搬送車(1)は、容器(51)における被把持部(53)を把持装置(32)によって把持することで、容器(51)の移載を行っている。把持装置(32)は、移載対象箇所にある容器(51)に対して上方から接近し、把持のための適切な位置で停止する。把持装置(32)は、この停止位置から把持動作を開始し、容器(51)の被把持部(53)を把持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示された技術において、把持対象とされる容器(51)は、1つの被把持部(53)を備えている。しかし、この種の分野では、複数の被把持部を備えた容器が存在する。このような複数の被把持部を備えた容器を把持するためには、把持動作の開始前の把持装置を、より高い精度で容器に対する適正位置に配置することが要求される場合がある。
【0006】
上記実情に鑑みて、複数の被把持部を備えた容器に対する把持を適切に行うことが可能な搬送車の実現が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
走行経路に沿って走行して、予め定められた形状の容器を搬送する搬送車であって、
前記容器を把持する把持装置と、
前記把持装置を昇降させる昇降装置と、を備え、
前記容器は、容器本体と、前記容器本体の上面である本体上面から上側に突出するように設けられて前記把持装置により把持される一対の被把持部である第1被把持部及び第2被把持部と、を備え、
前記本体上面に平行な特定の方向を第1方向とし、前記本体上面に平行な方向であって前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
前記第1被把持部及び前記第2被把持部のそれぞれは、前記第1方向に沿って延在するように形成されていると共に、前記第2方向に互いに離間して配置され、
前記把持装置は、前記昇降装置に吊り下げられた把持本体部と、前記把持本体部に支持された一対の把持体と、一対の前記把持体を前記第2方向に互いに接近及び離間させる把持駆動部と、一対の前記把持体とは独立して前記把持本体部に支持されて前記第1被把持部に対する前記把持本体部の案内を行う第1案内体と、一対の前記把持体とは独立して前記把持本体部に支持されて前記第1被把持部及び前記第2被把持部のいずれかを対象被把持部として当該対象被把持部に対する前記把持本体部の案内を行う第2案内体と、を備え、
一対の前記把持体により一対の前記被把持部を把持するために前記昇降装置により前記把持装置を下降させる動作を把持用下降動作として、
前記第1案内体は、前記把持用下降動作の完了後に前記第1被把持部に対して前記第2方向の両側に分かれて配置されることになる一対の第1案内面を備え、一対の前記第1案内面の少なくとも一方が前記把持用下降動作中に前記第1被把持部に接触することによって前記第1被把持部に対する前記把持本体部の前記第2方向の位置を矯正するように構成され、
前記第2案内体は、前記把持用下降動作の完了後に前記対象被把持部に対して前記第2方向の両側に分かれて配置されることになる一対の第2案内面を備え、一対の前記第2案内面の少なくとも一方が前記把持用下降動作中に前記対象被把持部に接触することによって前記対象被把持部に対する前記把持本体部の前記第2方向の位置を矯正するように構成され、
前記第1案内体と前記第2案内体とが、前記第1方向及び前記第2方向の少なくとも一方に離間して配置されている。
【0008】
本構成によれば、把持用下降動作中に、第1案内体が第1被把持部に接触すると共に第2案内体が対象被把持部に接触する。第1案内体が第1被把持部に接触することにより、第1被把持部に対する把持本体部の第2方向の位置が矯正される。第2案内体が対象被把持部接触することにより、対象被把持部に対する把持本体部の第2方向の位置が矯正される。ここで、本構成では、第1案内体と第2案内体とが第1方向及び第2方向の少なくとも一方に離間して配置されているため、把持本体部は、互いに離間した2箇所で、容器に対して第2方向に位置決めされることになる。これにより、容器の第1被把持部及び第2被把持部を基準として、把持本体部の第2方向の位置及び上下軸心周りの角度を矯正することができる。よって、把持装置の第2方向の位置及び上下軸心周りの角度が容器に対する適正位置からずれていた場合であっても、そのずれを把持用下降動作によって矯正し、把持装置を容器に対する適正位置に配置することができる。その後、把持装置は、容器に対する把持を開始することができる。従って、本構成によれば、複数の被把持部を備えた容器に対する把持を適切に行うことが可能となる。
【0009】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図6】第1案内体及び第2案内体が配置される位置を示す平面図
【
図9】第1案内体及び第2案内体が被把持部の案内を開始した状態を示す図
【
図10】把持装置が第2方向基準範囲内に配置された状態を示す図
【
図11】把持装置が上下方向基準範囲内に配置された状態を示す図
【
図12】第2実施形態に係る第1案内体及び第2案内体を示す上下方向視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
搬送車は、走行経路に沿って走行して、予め定められた形状の容器を搬送するように構成されている。以下、搬送車が搬送設備に適用される場合を例示して、搬送車の実施形態について説明する。
【0012】
〔第1実施形態〕
まず、搬送車の第1実施形態について説明する。
【0013】
図1及び
図2に示すように、搬送設備100は、規定の走行経路Rと、走行経路Rを走行して容器8を搬送する搬送車1と、走行経路Rに沿って設けられた複数の移載対象箇所9と、を備えている。
【0014】
走行経路Rは、床面から上方に離間した位置に設定されている。本例では、走行経路Rは、天井付近に設けられたレールRaを用いて構成されている。搬送車1は、いわゆる天井搬送車として構成されており、レールRaに沿って走行する。移載対象箇所9は、走行経路Rよりも下方に配置されている。搬送車1は、容器8を昇降させることにより、移載対象箇所9との間で容器8を移載するように構成されている。
【0015】
本実施形態では、搬送設備100は、搬送車1を複数備えている。複数の搬送車1のそれぞれは、設備を統括管理する上位制御装置(不図示)から搬送指令を受けて、当該搬送指令に応じたタスクを実行するように構成されている。例えば搬送指令には、容器8の搬送元と搬送先との情報が含まれる。搬送指令を受けた搬送車1は、搬送元から搬送先まで容器8を搬送する。搬送元や搬送先には、移載対象箇所9が含まれる。
【0016】
搬送設備100で取り扱われる容器8としては、様々なものがある。本例では、搬送設備100は、半導体製造工場に用いられる。そのため、基板(ウェハやパネル等)を収容する基板収容容器(いわゆるFOUP:Front Opening Unified Pod)や、レチクルを収容するレチクル収容容器(いわゆるレチクルポッド)などが、容器8とされる。この場合、搬送車1は、基板収容容器やレチクル収容容器などの容器8を、走行経路Rに沿って各工程間に亘って搬送する。
【0017】
本実施形態では、移載対象箇所9は、容器8に対する処理を行う処理装置90と、処理装置90に隣接して配置された載置台91と、を備えている。本明細書において「容器8に対する処理」とは、容器8に収容された被収容物(基板やレチクル)に対する処理を意味する。搬送車1は、処理装置90による処理を終えた容器8を載置台91から受け取り、又は、処理装置90による処理が済んでいない容器8を載置台91に引き渡す。なお、処理装置90は、例えば、薄膜形成、フォトリソグラフィー、エッチングなどの種々の処理を行う。
【0018】
図2に示すように、搬送車1は、レールRaを走行する走行装置20と、容器8を収容する収容部10と、を備えている。また、搬送車1は、容器8を把持する把持装置30と、把持装置30を昇降させる昇降装置40と、を備えている。
【0019】
走行装置20は、レールRaを走行することで、搬送車1の全体を走行経路Rに沿って移動させるように構成されている。本実施形態では、走行装置20は、レールRaを転動する複数の走行輪21と、複数の走行輪21のうち少なくとも一部を駆動する走行駆動部20mと、を備えている。例えば、走行駆動部20mは、電動モータを用いて構成されている。
【0020】
収容部10は、搬送対象の容器8を収容可能に構成されている。本実施形態では、収容部10は、走行装置20に吊下げ支持されており、レールRaよりも下方に配置されている。収容部10は、把持装置30に把持された容器8を収容可能に構成されている。搬送車1が走行経路Rに沿って容器8を搬送する場合には、容器8は収容部10に収容される。
【0021】
昇降装置40は、把持装置30を収容部10と走行経路Rよりも下方に配置された移載対象箇所9との間で昇降させるように構成されている。本実施形態では、昇降装置40は、把持装置30に連結された昇降ベルト41と、昇降ベルト41を駆動する昇降駆動部40mと、を備えている。昇降駆動部40mは、昇降ベルト41が巻回される回転体と、当該回転体を回転させる駆動源と、を備えている。回転体が正転方向または逆転方向に回転することで、昇降ベルト41が巻き取られ、又は繰り出される。これにより、昇降ベルト41に連結された把持装置30が昇降する。
【0022】
把持装置30は、容器8を把持可能に構成されている。把持装置30は、昇降装置40に吊り下げられた把持本体部31と、把持本体部31に支持された一対の把持体32と、一対の把持体32を駆動する把持駆動部30m(
図5参照)と、を備えている。把持装置30の詳細構成については後述する。
【0023】
次に、容器8について説明する。上述したように、容器8は、被収容物を収容するための収容容器である。
【0024】
図3に示すように、容器8は、容器本体80と、容器本体80の上面である本体上面80fから上側に突出するように設けられた一対の被把持部81と、を備えている。一対の被把持部81は、把持装置30により把持されるように構成されている。一対の被把持部81のうち一方は第1被把持部811であり、他方は第2被把持部812である。容器本体80は、被収容物が収容される部分であり、箱状に形成されている。
【0025】
本明細書では、本体上面80fに平行な特定の方向を「第1方向X」とし、本体上面80fに平行な方向であって第1方向Xに直交する方向を「第2方向Y」とする。本実施形態では、容器8は、第2方向Yが搬送車1の走行方向に沿う向きで、把持装置30に把持される。
【0026】
第1被把持部811及び第2被把持部812のそれぞれは、第1方向Xに沿って延在するように形成されていると共に、第2方向Yに互いに離間して配置されている。本実施形態では、第1被把持部811及び第2被把持部812のそれぞれは、本体上面80fに対して上側に離間して配置されていると共に第1方向Xに沿って延在する帯板状の被把持本体部81aと、被把持本体部81aと本体上面80fとを連結する連結部81bと、を備えている。
【0027】
第1被把持部811及び第2被把持部812の少なくとも一方の上面には、位置決め用凹部81cが形成されている。位置決め用凹部81cには、把持装置30が被把持部81を把持する場合に、把持装置30の位置決め体37(後述)が係合される。すなわち、位置決め用凹部81cは、容器8に対する把持装置30の位置決めとしての機能を有する。本実施形態では、第1被把持部811及び第2被把持部812のそれぞれに、位置決め用凹部81cが形成されている。図示の例では、第1被把持部811の被把持本体部81aに、2つの位置決め用凹部81cが形成されている。第2被把持部812の被把持本体部81aに、2つの位置決め用凹部81cが形成されている。
【0028】
1つの被把持部81を構成する複数の連結部81bは、互いに第1方向Xに間隔を空けて配置されている。図示の例では、3つの連結部81bが等間隔に配置されている。詳細は後述するが、複数の連結部81b同士の間隔は、把持装置30の把持体32が通ることが可能な間隔となっている。
【0029】
次に、把持装置30の構造について詳細に説明する。
図2に示すように、把持装置30は、容器8における一対の被把持部81を把持可能に構成されている。把持装置30は、一対の被把持部81を把持する前の動作として、移載対象箇所9に配置された容器8に対して上方から接近する必要がある。上述したように、把持装置30の下降は、昇降装置40によって実現される。ここでは、一対の把持体32により一対の被把持部81を把持するために昇降装置40により把持装置30を下降させる動作を、把持用下降動作と定義する。
【0030】
図4及び
図5に示すように、把持装置30は、把持本体部31と、一対の把持体32と、一対の把持体32を第2方向Yに互いに接近及び離間させる把持駆動部30mと、を備えている。例えば、把持駆動部30mは、一対の把持体32を直動させる直動機構や、駆動源としての電動モータ等を含む。
【0031】
図4に示すように、本実施形態では、一対の把持体32のそれぞれは、複数の把持爪320を備えている。換言すれば、1つの把持体32は、複数の把持爪320を用いて構成されている。
図4に示す例では、2つの把持爪320が、1つの把持体32を構成している。1つの把持体32を構成する複数(本例では2つ)の把持爪320は、第1方向Xに沿って並ぶように配置されており、第1方向Xに延在する1つの被把持部81を把持するように構成されている。
【0032】
図5に示すように、各把持爪320は、把持本体部31に支持された被支持部320aと、被支持部320aから下方に延在する基部320bと、基部320bから第2方向Yに延在する延出部320cと、を備えている。本例では、把持爪320の全体が、被支持部320a、基部320b、及び延出部320cによって、第1方向X視でL字状を成すように形成されている。
【0033】
本実施形態では、一対の把持体32は、第2方向Yにおける第1被把持部811と第2被把持部812との間に配置された状態から、把持駆動部30mによって駆動されることで第2方向Yに沿って互いに離間する離間動作(以下、単に「離間動作」と称する。)を行う。換言すれば、把持装置30は、第2方向Yにおける第1被把持部811と第2被把持部812との間に一対の把持体32を配置し、これら一対の把持体32に離間動作を行わせる。把持装置30は、一対の把持体32に離間動作を行わせることによって、容器8を把持する。このように本実施形態では、把持装置30は、一対の把持体32によって、第1被把持部811と第2被把持部812とを第2方向Yの内側から把持するように構成されている。
【0034】
図5において仮想線で示すように、離間動作では、一対の把持体32のそれぞれが規定の移動量Mの分、第2方向Yに移動する。把持爪320の延出部320cは、離間動作により、被把持部81の被把持本体部81aに対して下方から対向する位置に配置される。この状態から、把持装置30の全体が昇降装置40によって上昇することにより、第1被把持部811が、一対の把持体32のうち一方の把持体32における延出部320cに載置されると共に、第2被把持部812が、一対の把持体32のうち他方の把持体32における延出部320cに載置される。このようにして、把持装置30は容器8を把持する。
【0035】
本実施形態では、把持装置30は、位置決め用凹部81cに係合することで位置決め用凹部81cに対する把持装置30の位置決めを行う位置決め体37を備えている。位置決め体37は、把持本体部31の底部31aから下方に突出するように設けられている。位置決め体37の先端部は、位置決め用凹部81cに対応した形状となっている。
【0036】
上述のように、位置決め体37は、把持装置30が被把持部81を把持する場合に、位置決め用凹部81cに係合される。本実施形態では、一対の被把持部81のそれぞれに2つの位置決め用凹部81cが設けられているため、合計で4つの位置決め用凹部81cが容器8に設けられている。把持装置30は、これら4つの位置決め用凹部81cのうち少なくとも1つに係合される位置決め体37を備えていればよい。本例では、把持装置30は、位置決め体37を1つのみ備えている(
図4参照)。しかし、これに限定されることなく、把持装置30は、容器8に設けられた位置決め用凹部81cの数を限度として、2つ以上の位置決め体37を備えていてもよい。
【0037】
図4~
図6に示すように、把持装置30は、一対の把持体32とは独立して把持本体部31に支持されて第1被把持部811に対する把持本体部31の案内を行う第1案内体33と、一対の把持体32とは独立して把持本体部31に支持されて第1被把持部811及び第2被把持部812のいずれかを対象被把持部として当該対象被把持部に対する把持本体部31の案内を行う第2案内体34と、を備えている。なお本例では、対象被把持部は、第2被把持部812である。第2案内体34は、第2被把持部812を対象被把持部として、第2被把持部812に対する把持本体部31の案内を行うように構成されている。
【0038】
第1案内体33は、把持装置30が容器8の把持を行う前に、第1被把持部811に対する把持本体部31の案内を行うように構成されている。第2案内体34は、把持装置30が容器8の把持を行う前に、対象被把持部(第2被把持部812)に対する把持本体部31の案内を行うように構成されている。第1案内体33及び第2案内体34によって、第1被把持部811及び対象被把持部(第2被把持部812)に対する把持本体部31の案内を行うことにより、把持装置30を容器8に対する適正位置に配置することができる。その後、適正位置に配置された把持装置30は、容器8に対して適切な把持動作を行うことができる。
【0039】
第1案内体33と第2案内体34とが、第1方向X及び第2方向Yの少なくとも一方に離間して配置されている。本実施形態では、第1案内体33と第2案内体34とが、第1方向Xに離間して配置されていると共に、第2方向Yに離間して配置されている。換言すれば、第1案内体33と第2案内体34とは、上下方向視において対角の位置に配置されている(
図6参照)。上記構成により、第1案内体33と第2案内体34とをなるべく離間して配置することができる。把持本体部31は、第1案内体33及び第2案内体34によって位置決めされることから、なるべく離間した2箇所で、容器8に対して位置決めされることになる。これにより、容器8に対する適正位置に把持装置30を配置することが容易となる。
【0040】
第1案内体33は、把持用下降動作の完了後に第1被把持部811に対して第2方向Yの両側に分かれて配置されることになる一対の第1案内面331fを備えている。第1案内体33は、一対の第1案内面331fの少なくとも一方が把持用下降動作中に第1被把持部811に接触することによって、第1被把持部811に対する把持本体部31の第2方向Yの位置を矯正するように構成されている。すなわち、第1案内体33は、把持用下降動作中に一対の第1案内面331fの少なくとも一方を第1被把持部811に接触させることで、第1被把持部811に対する把持本体部31の案内を行う。この案内によって、把持用下降動作の完了後には、第1被把持部811が、一対の第1案内面331fに対して第2方向Yの間に配置される。これにより、第1被把持部811に対する把持本体部31の第2方向Yの位置が矯正される。
【0041】
第2案内体34は、把持用下降動作の完了後に対象被把持部(第2被把持部812)に対して第2方向Yの両側に分かれて配置されることになる一対の第2案内面342fを備えている。第2案内体34は、一対の第2案内面342fの少なくとも一方が把持用下降動作中に対象被把持部(第2被把持部812)に接触することによって対象被把持部(第2被把持部812)に対する把持本体部31の第2方向Yの位置を矯正するように構成されている。すなわち、第2案内体34は、把持用下降動作中に一対の第2案内面342fの少なくとも一方を対象被把持部(第2被把持部812)に接触させることで、対象被把持部(第2被把持部812)に対する把持本体部31の案内を行う。この案内によって、把持用下降動作の完了後には、対象被把持部(第2被把持部812)が、一対の第2案内面342fに対して第2方向Yの間に配置される。これにより、対象被把持部(第2被把持部812)に対する把持本体部31の第2方向Yの位置が矯正される。
【0042】
図7は、第1案内体33及び第2案内体34を拡大して示している。第1案内体33と第2案内体34とは、同等の構造を有している。そのため
図7では、第1案内体33と第2案内体34とを1つのものとして示している。
【0043】
本実施形態では、第1案内体33は、把持用下降動作の完了後に第1被把持部811に対して上下方向に対向する第1対向面330fを備えている。一対の第1案内面331fは、第1対向面330fに連続している。第1対向面330fにおける第2方向Yの両端部のそれぞれから、第1案内面331fが第2方向Yに延在している。一対の第1案内面331fは、把持用下降動作中において、第1被把持部811(詳細には被把持本体部81a)に接触しながら、当該第1被把持部811を第1対向面330fに案内する。
【0044】
本実施形態では、一対の第1案内面331fのそれぞれは、上側に向かうに従って互いに接近する側に向かう方向に傾斜した平面状に形成されている。本例では、一対の第1案内面331fのそれぞれの上端部は、第1対向面330fに連続している。上記構成により、一対の第1案内面331fの何れかが被把持本体部81aに接触した状態で把持用下降動作が継続されると、被把持本体部81aが、第2方向Yにおける一対の第1案内面331fの中間位置(ここでは第1対向面330f)に向かって、一対の第1案内面331fに対して相対的に移動する。従って、第1案内体33の第2方向Yの位置が矯正され、ひいては、把持本体部31の第2方向Yの位置が矯正される。
【0045】
本実施形態では、一対の第1案内面331fのそれぞれは、把持用下降動作中において第1方向Xに沿うように配置される。
図4及び
図6にも示すように、一対の第1案内面331fのそれぞれは、これらが互いに並ぶ方向とは直交する方向に延在する延在部分を有する。一対の第1案内面331fのそれぞれにおけるこれらの延在部分が、把持装置30の把持用下降動作中の姿勢で、第1方向Xに沿うように配置される。これにより、容器8に対する把持本体部31の上下軸心周りの角度を適切に矯正し易くなる。
【0046】
第2案内体34についても、第1案内体33と同様の構成となっている。すなわち
図7に示すように、本実施形態では、第2案内体34は、把持用下降動作の完了後に対象被把持部(第2被把持部812)に対して上下方向に対向する第2対向面340fを備えている。一対の第2案内面342fは、第2対向面340fに連続している。第2対向面340fにおける第2方向Yの両端部のそれぞれから、第2案内面342fが第2方向Yに延在している。一対の第2案内面342fは、把持用下降動作中において、対象被把持部(詳細には第2被把持部812の被把持本体部81a)に接触しながら、当該対象被把持部(第2被把持部812)を第2対向面340fに案内する。
【0047】
本実施形態では、一対の第2案内面342fのそれぞれは、上側に向かうに従って互いに接近する側に向かう方向に傾斜した平面状に形成されている。本例では、一対の第2案内面342fのそれぞれの上端部は、第2対向面340fに連続している。上記構成により、一対の第2案内面342fの何れかが被把持本体部81aに接触した状態で把持用下降動作が継続されると、被把持本体部81aが、第2方向Yにおける一対の第2案内面342fの中間位置(ここでは第2対向面340f)に向かって、一対の第2案内面342fに対して相対的に移動する。従って、第2案内体34の第2方向Yの位置が矯正され、ひいては、把持本体部31の第2方向Yの位置が矯正される。
【0048】
本実施形態では、一対の第2案内面342fのそれぞれは、把持用下降動作中において第1方向Xに沿うように配置される。
図4及び
図6にも示すように、一対の第2案内面342fのそれぞれは、これらが互いに並ぶ方向とは直交する方向に延在する延在部分を有する。一対の第2案内面342fのそれぞれにおけるこれらの延在部分が、把持装置30の把持用下降動作中の姿勢で、第1方向Xに沿うように配置される。これにより、容器8に対する把持本体部31の上下軸心周りの角度を適切に矯正し易くなる。
【0049】
次に、
図7及び
図8を参照して、第1案内体33及び第2案内体34と、位置決め体37との関係について説明する。第1案内体33、第2案内体34、及び位置決め体37のそれぞれは、把持本体部31(
図4も参照)に設けられており、把持対象である容器8に対して把持本体部31を適正位置に位置決めするために機能する。把持本体部31が適正位置に位置決めされた状態で、把持装置30は容器8に対する把持動作を開始する。
【0050】
ここでは、一対の第1案内面331fの少なくとも一方が第1被把持部811に接触することが可能である、第1案内体33と第1被把持部811との第2方向Yのずれの最大値を第1許容ずれ量L1とする(
図7参照)。また、一対の第2案内面342fの少なくとも一方が対象被把持部(第2被把持部812)に接触することが可能である、第2案内体34と対象被把持部(第2被把持部812)との第2方向Yのずれの最大値を第2許容ずれ量L2とする(
図7参照)。また、位置決め体37が位置決め用凹部81cに係合することが可能である、位置決め体37と位置決め用凹部81cとの第2方向Yのずれの最大値を位置決め許容ずれ量L37とする(
図8参照)。
【0051】
図7に示すように、本実施形態では、第1案内体33と第1被把持部811とが第2方向Yにずれていない状態で、第1案内体33の第1対向面330fと第1被把持部811とが上下方向Zに対向する。第1案内体33と第1被把持部811とが第2方向Yにずれていない状態では、第1被把持部811は、一対の第1案内面331fの何れとも接触しない(或いは部分的に接触してもよい)。
【0052】
本実施形態では、一対の第1案内面331fのそれぞれにおける第2方向Yの長さが、第1許容ずれ量L1である。第1案内体33と第1被把持部811との第2方向Yのずれ量が、第1許容ずれ量L1以下である場合には、把持用下降動作に伴い、一対の第1案内面331fのうち何れかと第1被把持部811とが接触する。そして、把持用下降動作が継続されると、第1被把持部811は、接触している第1案内面331fによって第1対向面330fに案内される。これにより、第1案内体33と第1被把持部811とが相対的に移動し、把持本体部31が容器8に対して適正位置に位置決めされる。
【0053】
本実施形態では、第2案内体34と対象被把持部(第2被把持部812)とが第2方向Yにずれていない状態で、第2案内体34の第2対向面340fと対象被把持部(第2被把持部812)とが上下方向Zに対向する。第2案内体34と対象被把持部(第2被把持部812)とが第2方向Yにずれていない状態では、対象被把持部(第2被把持部812)は、一対の第2案内面342fの何れとも接触しない(或いは部分的に接触してもよい)。
【0054】
本実施形態では、一対の第2案内面342fのそれぞれにおける第2方向Yの長さが、第2許容ずれ量L2である。第2案内体34と対象被把持部(第2被把持部812)との第2方向Yのずれ量が、第2許容ずれ量L2以下である場合には、把持用下降動作に伴い、一対の第2案内面342fのうち何れかと対象被把持部(第2被把持部812)とが接触する。そして、把持用下降動作が継続されると、対象被把持部(第2被把持部812)は、接触している第2案内面342fによって第2対向面340fに案内される。これにより、第2案内体34と対象被把持部(第2被把持部812)とが相対的に移動し、把持本体部31が容器8に対して適正位置に位置決めされる。
【0055】
図8に示すように、位置決め体37(詳細には位置決め体37の先端部)と位置決め用凹部81cとは、互いに係合する凹凸形状となっており、いずれも下方へ向けて収縮するテーパ状あるいは半球体状に形成されている。本実施形態では、位置決め体37と位置決め用凹部81cとが第2方向Yにずれていない状態で、位置決め体37の中心C3と位置決め用凹部81cの中心C8とが一致する。
【0056】
本実施形態では、第2方向Yにおける位置決め用凹部81cの半分の長さが、位置決め許容ずれ量L37である。位置決め体37と位置決め用凹部81cとの第2方向Yのずれ量が、位置決め許容ずれ量L37以下である場合には、把持用下降動作に伴い、位置決め体37と位置決め用凹部81cとが接触する。そして、把持用下降動作が継続されると、位置決め体37の中心C3と位置決め用凹部81cの中心C8とが一致するように、位置決め体37と位置決め用凹部81cとが相対移動する。これにより、把持本体部31が容器8に対して適正位置に位置決めされる。
【0057】
本実施形態では、第1許容ずれ量L1及び第2許容ずれ量L2(
図7参照)が、位置決め許容ずれ量L37(
図8参照)よりも大きくなるように、第1案内体33及び第2案内体34が形成されている。換言すれば、第1案内面331f及び第2案内面342fそれぞれの第2方向Yの長さが、位置決め許容ずれ量L37よりも大きくなっている。これにより、位置決め体37が位置決め用凹部81cに係合することができない程度に、把持本体部31が第1被把持部811及び対象被把持部(第2被把持部812)に対して第2方向Yにずれていた場合であっても、第1案内体33及び第2案内体34により、第1被把持部811及び対象被把持部(第2被把持部812)を適切に案内することができる。従って、位置決め体37と位置決め用凹部81cとのずれを、位置決め体37が位置決め用凹部81cに係合することができる範囲内(すなわち位置決め許容ずれ量L37以下)に収めることが可能となる。
【0058】
図9に示すように、本実施形態では、把持装置30は、第1案内体33を支持する第1支持機構35と、第2案内体34を支持する第2支持機構36と、を備えている。
【0059】
第1支持機構35は、把持本体部31に設けられており、把持本体部31に対して第1案内体33を支持するように構成されている。
【0060】
本実施形態では、第1支持機構35は、把持本体部31に対する第1案内体33の第1方向X及び第2方向Yの移動を規制しつつ、把持本体部31に対して第1案内体33を予め定められた第1範囲35S内で上下方向Zに移動自在とするように構成されている。
【0061】
本実施形態では、第1案内体33は、把持本体部31の底部31aを上下方向Zに貫通する第1軸部33aと、第1軸部33aの下端に連結された第1案内部33bと、を備えている。そして、第1支持機構35は、第1案内体33における第1軸部33aを上下方向Zに移動自在に支持する第1軸受35aを備えている。第1軸受35aの上端は、第1軸部33aの一部に対して下方から当接するように構成されている。本例では、第1軸部33aの一部には、水平方向に広がる拡径部33a1が設けられている。この拡径部33a1が、第1軸受35aの上端に当接することによって、第1軸部33aが把持本体部31から抜け落ちないようになっている。なお、第1案内体33における第1案内部33bには、上述の第1対向面330f及び一対の第1案内面331fが形成されている。
【0062】
図示の例では、第1案内体33が上下方向Zに移動自在な第1範囲35Sは、第1軸受35aの上端から把持本体部31の上端までの範囲に設定されている。但し、これはあくまで例示的なものに過ぎず、第1範囲35Sは、他の部分を基準として設定されていてもよい。例えば、第1範囲35Sは、第1案内体33が突出限度まで突出した状態での第1案内部33bから把持本体部31の底部31aまでの範囲に設定されていてもよい。
【0063】
本実施形態では、第2支持機構36は、把持本体部31に対する第2案内体34の第1方向X及び第2方向Yの移動を規制しつつ、把持本体部31に対して第2案内体34を予め定められた第2範囲36S内で上下方向Zに移動自在とするように構成されている。
【0064】
本実施形態では、第2案内体34は、把持本体部31の底部31aを上下方向Zに貫通する第2軸部34aと、第2軸部34aの下端に連結された第2案内部34bと、を備えている。そして、第2支持機構36は、第2案内体34における第2軸部34aを上下方向Zに移動自在に支持する第2軸受36aを備えている。第2軸受36aの上端は、第2軸部34aの一部に対して下方から当接するように構成されている。本例では、第2軸部34aの一部には、水平方向に広がる拡径部34a1が設けられている。この拡径部34a1が、第2軸受36aの上端に当接することによって、第2軸部34aが把持本体部31から抜け落ちないようになっている。なお、第2案内体34における第2案内部34bには、上述の第2対向面340f及び一対の第2案内面342fが形成されている。
【0065】
図示の例では、第2案内体34が上下方向Zに移動自在な第2範囲36Sは、第2軸受36aの上端から把持本体部31の上端までの範囲に設定されている。但し、これはあくまで例示的なものに過ぎず、第2範囲36Sは、他の部分を基準として設定されていてもよい。例えば、第2範囲36Sは、第2案内体34が突出限度まで突出した状態での第2案内部34bから把持本体部31の底部31aまでの範囲に設定されていてもよい。
【0066】
次に、
図9~
図11を参照して、把持用下降動作に伴って、第1案内体33及び第2案内体34が第1被把持部811及び対象被把持部(第2被把持部812)を案内する場合について説明する。なお、
図9~
図11では、説明に不要な部材、例えば位置決め体37を省略している。
【0067】
以下では、一対の把持体32により第1被把持部811及び第2被把持部812を把持可能である、容器8を基準とした把持装置30の上下方向Zの相対位置の範囲を上下方向基準範囲とする。本実施形態では、一対の把持体32のそれぞれが、容器本体80と被把持本体部81aとの上下方向Zの間に設定された把持用上下方向範囲Szに配置された状態で、把持装置30が上下方向基準範囲に配置される。換言すれば、一対の把持体32のそれぞれが把持用上下方向範囲Szに配置されるような把持装置30の上下方向Zの範囲が、上記の上下方向基準範囲である。
【0068】
また、以下では、一対の把持体32により第1被把持部811及び第2被把持部812を把持可能である、容器8を基準とした把持装置30の第2方向Yの相対位置の範囲を第2方向基準範囲とする。本実施形態では、一対の把持体32のそれぞれが、被把持部81の位置に基づいて設定される把持用第2方向範囲Syに配置された状態で、把持装置30が第2方向基準範囲に設定される。換言すれば、一対の把持体32のそれぞれが把持用第2方向範囲Syに配置されるような把持装置30の第2方向Yの範囲が、上記の第2方向基準範囲である。なお本例では、把持用第2方向範囲Syは、把持体32が把持動作のために第2方向Yに移動する移動量M(
図5参照)に基づいた距離分、被把持部81(具体的には、被把持部81の第2方向Yの外側の端部)から第2方向Yの内側に離れた範囲に設定される。
【0069】
図9に示すように、第1案内体33は、把持装置30が上下方向基準範囲よりも上側に位置する状態から第1被把持部811の案内を開始する。すなわち、把持用下降動作中に、第1案内体33は、把持体32が把持用上下方向範囲Szよりも上側に位置する状態から第1被把持部811に接触し、当該第1被把持部811の案内を開始する。第1被把持部811は、一対の第1案内面331fのうち一方に接触し、第1案内面331fに沿って当該第1案内面331fと相対的に第2方向Yに移動する。
【0070】
同様に、第2案内体34は、把持装置30が上下方向基準範囲よりも上側に位置する状態から対象被把持部(第2被把持部812)の案内を開始する。すなわち、把持用下降動作中に、第2案内体34は、把持体32が把持用上下方向範囲Szよりも上側に位置する状態から対象被把持部(第2被把持部812)に接触し、当該対象被把持部(第2被把持部812)の案内を開始する。対象被把持部(第2被把持部812)は、一対の第2案内面342fのうち一方に接触し、第2案内面342fに沿って当該第2案内面342fと相対的に第2方向Yに移動する。
【0071】
図10に示すように、第1案内体33は、第1被把持部811を第1案内面331fから第1対向面330fへ案内する。これにより、第1被把持部811が第1対向面330fと上下方向Zに対向した状態となる。同様に、第2案内体34は、対象被把持部(第2被把持部812)を第2案内面342fから第2対向面340fへ案内する。これにより、対象被把持部(第2被把持部812)が第2対向面340fと上下方向Zに対向した状態となる。
【0072】
図11に示すように、第1対向面330fと第1被把持部811とが対向して配置された後も把持用下降動作が継続されることによって、第1案内体33は、第1被把持部811により上側に押され、第1範囲35Sを限度として把持本体部31に対して上側に移動する。すなわち、第1案内体33は、把持本体部31の内部に引っ込む。これにより、把持体32を、把持用上下方向範囲Sz内に適切に配置することができる。
【0073】
同様に、第2対向面340fと対象被把持部(第2被把持部812)とが対向して配置された後も把持用下降動作が継続されることによって、第2案内体34は、対象被把持部(第2被把持部812)により上側に押され、第2範囲36Sを限度として把持本体部31に対して上側に移動する。すなわち、第2案内体34は、把持本体部31の内部に引っ込む。これにより、把持体32を、把持用上下方向範囲Sz内に適切に配置することができる。
【0074】
把持装置30は、
図11に示される状態で、上下方向基準範囲内、且つ、第2方向基準範囲内に配置されている。その後、把持装置30は、一対の把持体32のそれぞれを第2方向Yに沿って互いに離間するように移動させることで、一対の被把持部81を把持する。
【0075】
以上、
図9~
図11を参照して説明したように、本実施形態では、第1案内体33は、把持装置30が上下方向基準範囲内になった状態で把持装置30が第2方向基準範囲内となるように、第1被把持部811に対して把持本体部31を第2方向Yに案内するように構成されている。すなわち、第1案内体33は、一対の把持体32が把持用上下方向範囲Sz内および把持用第2方向範囲Sy内に配置されるように、第1被把持部811に対して把持本体部31を案内するように構成されている。
【0076】
同様に、第2案内体34は、把持装置30が上下方向基準範囲内になった状態で把持装置30が第2方向基準範囲内となるように、対象被把持部(第2被把持部812)に対して把持本体部31を第2方向Yに案内するように構成されている。すなわち、第2案内体34は、一対の把持体32が把持用上下方向範囲Sz内および把持用第2方向範囲Sy内に配置されるように、対象被把持部(第2被把持部812)に対して把持本体部31を案内するように構成されている。
【0077】
〔第2実施形態〕
次に、搬送車の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1案内体33及び第2案内体34の構成が、上記第1実施形態とは異なる。以下、第2実施形態について、上記第1実施形態とは異なる部分を中心に説明する。特に説明しない点については、上記第1実施形態と同様である。
【0078】
ここでは、第1方向Xの一方側を「第1方向第1側X1」とし、第1方向Xの他方側を「第1方向第2側X2」とする。
【0079】
図12は、第1被把持部811と第1案内体33との係合状態、及び、対象被把持部(第2被把持部812)と第2案内体34との係合状態を、下から見た図である。
図12では、本実施形態の主要構成のみを示し、説明が不要なその他の構成は省略している。
【0080】
図12に示すように、本実施形態では、第1案内体33は、把持用下降動作の完了後に第1被把持部811に対して第1方向第1側X1に配置されることになる第3案内面333fを備えている。第3案内面333fは、上側に向かうに従って第1方向第2側X2に向かう方向に傾斜した平面状に形成されている。本例では、第3案内面333fは、一対の第1案内面331fのそれぞれと連続するように形成されている。このような構成により、第1案内体33は、把持用下降動作の完了後において、第1被把持部811の第1方向第1側X1の端部を、第1方向第1側X1と第2方向Yの両側とから囲むように配置される。
【0081】
本実施形態では、第2案内体34は、把持用下降動作の完了後に対象被把持部(第2被把持部812)に対して第1方向第2側X2に配置されることになる第4案内面344fを備えている。第4案内面344fは、上側に向かうに従って第1方向第1側X1に向かう方向に傾斜した平面状に形成されている。本例では、第4案内面344fは、一対の第2案内面342fのそれぞれと連続するように形成されている。このような構成により、第2案内体34は、把持用下降動作の完了後において、対象被把持部(第2被把持部812)の第1方向第2側X2の端部を、第1方向第2側X2と第2方向Yの両側とから囲むように配置される。
【0082】
そして、第3案内面333fの第1被把持部811への接触、及び、第4案内面344fの対象被把持部(第2被把持部812)への接触の少なくとも一方によって、第1被把持部811及び対象被把持部(第2被把持部812)に対する把持本体部31(図示省略)の第1方向Xの位置が矯正される。本実施形態では、把持本体部31の第1方向Xの位置の矯正が、第3案内面333fの第1被把持部811への接触、及び、第4案内面344fの対象被把持部(第2被把持部812)への接触の双方によって実現される。
【0083】
なお、把持用下降動作によって、第3案内面333fだけでなく一対の第1案内面331fの何れかも第1被把持部811に接触し、第4案内面344fだけでなく一対の第2案内面342fの何れかも対象被把持部(第2被把持部812)に接触する。従って、本実施形態では、把持本体部31の第1方向Xの位置だけでなく、把持本体部31の第2方向Yの位置も矯正される。その結果、
図12において仮想線で示される第1被把持部811及び対象被把持部(第2被把持部812)が、把持用下降動作に伴って、実線で示されるように第1方向X及び第2方向Yに沿って第1被把持部811及び対象被把持部(第2被把持部812)に対して相対移動する。
【0084】
〔その他の実施形態〕
次に、搬送車のその他の実施形態について説明する。
【0085】
(1)上記の実施形態では、把持装置30が、第1案内体33を上下方向Zに移動自在に支持する第1支持機構35と、第2案内体34を上下方向Zに移動自在に支持する第2支持機構36と、を備えている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1案内体33及び第2案内体34は、把持本体部31に対して上下方向Zに移動しないように固定されていてもよい。
【0086】
(2)上記の実施形態では、対象被把持部が第2被把持部812であり、第2案内体34は、第2被把持部812に対する把持本体部31の第2方向Yの位置を矯正するように構成される例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、対象被把持部が第1被把持部811であり、第2案内体34は、第1被把持部811に対する把持本体部31の第2方向Yの位置を矯正するように構成されていてもよい。この場合、第1被把持部811に対する把持本体部31の第2方向Yの位置は、第1案内体33及び第2案内体34の双方によって矯正されることになる。
【0087】
(3)上記の実施形態では、第1案内体33と第2案内体34とが、第1方向Xに離間して配置されていると共に、第2方向Yに離間して配置されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1案内体33と第2案内体34とは、第1方向X及び第2方向Yのうち一方向にのみ離間していてもよい。この場合において、第1案内体33と第2案内体34とが、同一部材で一体的に形成されていてもよい。例えば、第1案内部33bの上側部分(第1対向面330fよりも上側の部分)と第2案内部34bの上側部分(第2対向面340fよりも上側の部分)とが、第1案内部33b及び第2案内部34bと一体的に形成された連結部により連結された構成とすることができる。
【0088】
(4)上記の実施形態では、把持装置30は、一対の把持体32に離間動作を行わせることによって、第1被把持部811と第2被把持部812とを第2方向Yの内側から把持するように構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、把持装置30は、一対の把持体32に接近動作を行わせることによって、第1被把持部811と第2被把持部812とを第2方向Yの外側から把持するように構成されていてもよい。
【0089】
(5)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0090】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した搬送車について説明する。
【0091】
走行経路に沿って走行して、予め定められた形状の容器を搬送する搬送車であって、
前記容器を把持する把持装置と、
前記把持装置を昇降させる昇降装置と、を備え、
前記容器は、容器本体と、前記容器本体の上面である本体上面から上側に突出するように設けられて前記把持装置により把持される一対の被把持部である第1被把持部及び第2被把持部と、を備え、
前記本体上面に平行な特定の方向を第1方向とし、前記本体上面に平行な方向であって前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
前記第1被把持部及び前記第2被把持部のそれぞれは、前記第1方向に沿って延在するように形成されていると共に、前記第2方向に互いに離間して配置され、
前記把持装置は、前記昇降装置に吊り下げられた把持本体部と、前記把持本体部に支持された一対の把持体と、一対の前記把持体を前記第2方向に互いに接近及び離間させる把持駆動部と、一対の前記把持体とは独立して前記把持本体部に支持されて前記第1被把持部に対する前記把持本体部の案内を行う第1案内体と、一対の前記把持体とは独立して前記把持本体部に支持されて前記第1被把持部及び前記第2被把持部のいずれかを対象被把持部として当該対象被把持部に対する前記把持本体部の案内を行う第2案内体と、を備え、
一対の前記把持体により一対の前記被把持部を把持するために前記昇降装置により前記把持装置を下降させる動作を把持用下降動作として、
前記第1案内体は、前記把持用下降動作の完了後に前記第1被把持部に対して前記第2方向の両側に分かれて配置されることになる一対の第1案内面を備え、一対の前記第1案内面の少なくとも一方が前記把持用下降動作中に前記第1被把持部に接触することによって前記第1被把持部に対する前記把持本体部の前記第2方向の位置を矯正するように構成され、
前記第2案内体は、前記把持用下降動作の完了後に前記対象被把持部に対して前記第2方向の両側に分かれて配置されることになる一対の第2案内面を備え、一対の前記第2案内面の少なくとも一方が前記把持用下降動作中に前記対象被把持部に接触することによって前記対象被把持部に対する前記把持本体部の前記第2方向の位置を矯正するように構成され、
前記第1案内体と前記第2案内体とが、前記第1方向及び前記第2方向の少なくとも一方に離間して配置されている。
【0092】
本構成によれば、把持用下降動作中に、第1案内体が第1被把持部に接触すると共に第2案内体が対象被把持部に接触する。第1案内体が第1被把持部に接触することにより、第1被把持部に対する把持本体部の第2方向の位置が矯正される。第2案内体が対象被把持部接触することにより、対象被把持部に対する把持本体部の第2方向の位置が矯正される。ここで、本構成では、第1案内体と第2案内体とが第1方向及び第2方向の少なくとも一方に離間して配置されているため、把持本体部は、互いに離間した2箇所で、容器に対して第2方向に位置決めされることになる。これにより、容器の第1被把持部及び第2被把持部を基準として、把持本体部の第2方向の位置及び上下軸心周りの角度を矯正することができる。よって、把持装置の第2方向の位置及び上下軸心周りの角度が容器に対する適正位置からずれていた場合であっても、そのずれを把持用下降動作によって矯正し、把持装置を容器に対する適正位置に配置することができる。その後、把持装置は、容器に対する把持を開始することができる。従って、本構成によれば、複数の被把持部を備えた容器に対する把持を適切に行うことが可能となる。
【0093】
前記把持装置は、前記第1案内体を支持する第1支持機構と、前記第2案内体を支持する第2支持機構と、を備え、
前記第1支持機構は、前記把持本体部に対する前記第1案内体の前記第1方向及び前記第2方向の移動を規制しつつ、前記把持本体部に対して前記第1案内体を予め定められた第1範囲内で上下方向に移動自在とするように構成され、
前記第2支持機構は、前記把持本体部に対する前記第2案内体の前記第1方向及び前記第2方向の移動を規制しつつ、前記把持本体部に対して前記第2案内体を予め定められた第2範囲内で上下方向に移動自在とするように構成されている、と好適である。
【0094】
本構成によれば、把持下降動作中の把持装置の下降量に誤差がある場合でも、第1案内体を第1被把持部に適切に接触させ、且つ、第2案内体を対象被把持部に適切に接触させることができる。従って、容器に対する把持本体部の位置及び角度の矯正を適切に行い易い。
【0095】
前記対象被把持部は、前記第2被把持部である、と好適である。
【0096】
本構成によれば、第1被把持部に接触するように構成される第1案内体と、対象被把持部(第2被把持部)に接触するように構成される第2案内体とが、第2方向に互いに離間して配置されることになる。そのため、第1案内体と第2案内体との距離を大きく確保し易い。従って、本構成によれば、容器に対する把持本体部の上下軸心周りの角度の矯正を適切に行い易い。
【0097】
前記第1方向の一方側を第1方向第1側とし、前記第1方向の他方側を第1方向第2側として、
前記第1案内体は、前記把持用下降動作の完了後に前記第1被把持部に対して前記第1方向第1側に配置されることになる第3案内面を備え、
前記第2案内体は、前記把持用下降動作の完了後に前記対象被把持部に対して前記第1方向第2側に配置されることになる第4案内面を備え、
前記第3案内面の前記第1被把持部への接触、及び、前記第4案内面の前記対象被把持部への接触の少なくとも一方によって、前記第1被把持部及び前記対象被把持部に対する前記把持本体部の前記第1方向の位置が矯正される、と好適である。
【0098】
本構成によれば、把持用下降動作中に、容器に対する把持本体部の第1方向の位置の矯正も行うことができる。
【0099】
前記第1被把持部及び前記第2被把持部のそれぞれは、前記本体上面に対して上側に離間して配置されていると共に前記第1方向に沿って延在する帯板状の被把持本体部と、前記被把持本体部と前記本体上面とを連結する連結部と、を備え、
一対の前記第1案内面のそれぞれは、上側に向かうに従って互いに接近する側に向かう方向に傾斜した平面状に形成され、前記把持用下降動作中において前記第1方向に沿うように配置され、
一対の前記第2案内面のそれぞれは、上側に向かうに従って互いに接近する側に向かう方向に傾斜した平面状に形成され、前記把持用下降動作中において前記第1方向に沿うように配置されている、と好適である。
【0100】
本構成によれば、一対の第1案内面の何れかが被把持本体部に接触した状態で把持用下降動作が継続されると、被把持本体部が、第2方向における一対の第1案内面の中間位置に向かって、一対の第1案内面に対して相対的に移動する。被把持本体部が、第2方向における一対の第1案内面の中間位置に配置された状態では、第1案内体の第2方向の位置が矯正される。一対の第2案内面と被把持本体部との相対移動も上記と同様に行われる。そのため、被把持本体部が、第2方向における一対の第2案内面の中間に配置された状態では、第2案内体の第2方向の位置が矯正される。従って、本構成によれば、把持用下降動作が実行されることにより、第1案内体及び第2案内体の双方について、第2方向の位置及び上下軸心周りの角度を適切に矯正することができる。
【0101】
前記第1被把持部及び前記第2被把持部の少なくとも一方の上面には、位置決め用凹部が形成され、
前記把持装置は、前記位置決め用凹部に係合することで前記位置決め用凹部に対する前記把持装置の位置決めを行う位置決め体を備え、
一対の前記第1案内面の少なくとも一方が前記第1被把持部に接触することが可能である、前記第1案内体と前記第1被把持部との前記第2方向のずれの最大値を第1許容ずれ量とし、
一対の前記第2案内面の少なくとも一方が前記対象被把持部に接触することが可能である、前記第2案内体と前記対象被把持部との前記第2方向のずれの最大値を第2許容ずれ量とし、
前記位置決め体が前記位置決め用凹部に係合することが可能である、前記位置決め体と前記位置決め用凹部との前記第2方向のずれの最大値を位置決め許容ずれ量として、
前記第1許容ずれ量及び前記第2許容ずれ量が、前記位置決め許容ずれ量よりも大きくなるように、前記第1案内体及び前記第2案内体が形成されている、と好適である。
【0102】
本構成によれば、位置決め体が位置決め用凹部に係合することができない程度に把持本体部と被把持部との位置がずれていた場合であっても、第1案内体及び第2案内体により、第1被把持部及び対象被把持部を適切に案内することができる。そのため、上記のような場合であっても、把持本体部の第2方向の位置及び上下軸心周りの角度を矯正することができる。これにより、位置決め体と位置決め用凹部とのずれを、位置決め体が位置決め用凹部に係合することができる範囲内に収めることが可能となる。従って、本構成によれば、容器に対する把持装置の位置決めを適切に行うことができると共に、把持装置による第1被把持部及び第2被把持部の把持を適切に行うことが可能となる。
【0103】
一対の前記把持体により前記第1被把持部及び前記第2被把持部を把持可能である、前記容器を基準とした前記把持装置の上下方向の相対位置の範囲を上下方向基準範囲とし、
一対の前記把持体により前記第1被把持部及び前記第2被把持部を把持可能である、前記容器を基準とした前記把持装置の前記第2方向の相対位置の範囲を第2方向基準範囲として、
前記第1案内体は、前記把持装置が前記上下方向基準範囲よりも上側に位置する状態から前記第1被把持部の案内を開始し、前記把持装置が前記上下方向基準範囲内になった状態で前記把持装置が前記第2方向基準範囲内となるように、前記第1被把持部に対して前記把持本体部を前記第2方向に案内するように構成され、
前記第2案内体は、前記把持装置が前記上下方向基準範囲よりも上側に位置する状態から前記対象被把持部の案内を開始し、前記把持装置が前記上下方向基準範囲内になった状態で前記把持装置が前記第2方向基準範囲内となるように、前記対象被把持部に対して前記把持本体部を前記第2方向に案内するように構成されている、と好適である。
【0104】
本構成によれば、把持用下降動作中に第1被把持部及び対象被把持部が案内されるため、把持用下降動作によって把持装置が上下方向基準範囲内に配置された場合に、当該把持装置を第2方向基準範囲内に配置することができる。従って、本構成によれば、把持用下降動作の実行だけで、把持本体部の第2方向の位置及び上下軸心周りの角度を適切に矯正することができる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本開示に係る技術は、走行経路に沿って走行して、予め定められた形状の容器を搬送する搬送車に利用することができる。
【符号の説明】
【0106】
1 :搬送車
8 :容器
30 :把持装置
30m :把持駆動部
31 :把持本体部
32 :把持体
33 :第1案内体
331f :第1案内面
333f :第3案内面
34 :第2案内体
342f :第2案内面
344f :第4案内面
35 :第1支持機構
35S :第1範囲
36 :第2支持機構
36S :第2範囲
37 :位置決め体
40 :昇降装置
80 :容器本体
80f :本体上面
81 :被把持部
81a :被把持本体部
81b :連結部
81c :位置決め用凹部
811 :第1被把持部
812 :第2被把持部
L1 :第1許容ずれ量
L2 :第2許容ずれ量
L37 :位置決め許容ずれ量
R :走行経路
X :第1方向
X1 :第1方向第1側
X2 :第1方向第2側
Y :第2方向
Z :上下方向