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特開2024-82608腐食性薬液回収システム及び腐食性薬液回収システム用蓋体
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  • 特開-腐食性薬液回収システム及び腐食性薬液回収システム用蓋体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082608
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】腐食性薬液回収システム及び腐食性薬液回収システム用蓋体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240613BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H01L21/304 648K
H01L21/304 622E
H01L21/304 622Q
H01L21/306 R
H01L21/304 643A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196571
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】390004581
【氏名又は名称】三益半導体工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100080230
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 詔二
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 俊一
(72)【発明者】
【氏名】三瓶 一朗
【テーマコード(参考)】
5F043
5F057
5F157
【Fターム(参考)】
5F043DD13
5F043EE07
5F043EE08
5F043EE33
5F043EE40
5F057AA51
5F057BA11
5F057DA28
5F057EC30
5F057FA37
5F057FA43
5F057GB02
5F057GB03
5F057GB11
5F057GB24
5F157AB02
5F157AB33
5F157AB90
5F157CD32
5F157CF22
5F157CF42
5F157DA01
5F157DA41
5F157DC84
(57)【要約】
【課題】 所定量に達した腐食性薬液回収ボトルから空の腐食性薬液回収ボトルに付け替える際に、腐食性薬液の漏洩を防止することができるようにした腐食性薬液回収システム及び腐食性薬液回収システム用蓋体を提供する。
【解決手段】 回収ボトル本体部と、先端に開口部が形成された首部と、を含む少なくとも一つの腐食性薬液回収ボトルと、前記腐食性薬液回収ボトルの首部に取付けられ、前記開口部を閉塞する蓋体と、前記回収ボトル本体部の腐食性薬液が所定の容量になったことを検知する容量検知センサーと、前記所定の容量になったら警報を発する警報センサーと、前記回収ボトル本体部内へと前記腐食性薬液を導入する腐食性薬液回収ノズルと、前記腐食性薬液回収ボトルの首部に前記蓋体が取付けられて前記開口部が封止されたか否かを圧力変化で検知する圧力センサーと、を含む、腐食性薬液回収システムとした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造工程に用いられる腐食性薬液を回収するための腐食性薬液回収システムであって、
前記腐食性薬液が収容される回収ボトル本体部と、前記回収ボトル本体部の上端に形成され、先端に開口部が形成された首部と、を含む少なくとも一つの腐食性薬液回収ボトルと、
前記腐食性薬液回収ボトルの首部に取付けられ、前記開口部を閉塞する蓋体と、
前記回収ボトル本体部の腐食性薬液が所定の容量になったことを検知する容量検知センサーと、
前記所定の容量になったら警報を発する警報センサーと、
前記回収ボトル本体部内へと前記腐食性薬液を導入する腐食性薬液回収ノズルと、
前記腐食性薬液回収ボトルの首部に前記蓋体が取付けられて前記開口部が封止されたか否かを圧力変化で検知する圧力センサーと、
を含む、
腐食性薬液回収システム。
【請求項2】
前記蓋体が、
前記開口部を封止する封止材と、
前記封止材に形成され、封止検知用ガスが供給される流路と、
を有し、
前記蓋体を、前記腐食性薬液回収ボトルの首部に取付けると、前記流路に供給される前記封止検知用ガスが前記首部によって遮断されることにより圧力変化が生じ、前記圧力変化を前記圧力センサーで検知するようにした、請求項1記載の腐食性薬液回収システム。
【請求項3】
前記封止検知用ガスが不活性ガス又はエアーである、請求項2記載の腐食性薬液回収システム。
【請求項4】
前記蓋体の内側面に形成された被螺合部と、
前記腐食性薬液回収ボトルの首部の外側面に形成された螺合部と、
前記開口部を形成する円形突端部と、
を有し、
前記蓋体が、前記腐食性薬液回収ボトルの首部に螺合せしめられると、前記円形突端部によって前記封止検知用ガスの流路が閉塞されて、前記封止検知用ガスが前記首部によって遮断される、請求項2記載の腐食性薬液回収システム。
【請求項5】
前記回収ボトル本体部内のエアーを抜くエアー抜きノズルをさらに含む、請求項1記載の腐食性薬液回収システム。
【請求項6】
前記腐食性薬液回収ボトルが複数あり、前記回収ボトル本体部の腐食性薬液が所定の容量になったら前記蓋体を外すことで、前記圧力センサーがOFF状態となり、新しい腐食性薬液回収ボトルに前記蓋体を付け替えると、前記圧力センサーがON状態となる、請求項1記載の腐食性薬液回収システム。
【請求項7】
前記容量検知センサーが、光学式又は静電容量式のレベルセンサーである、請求項1記載の腐食性薬液回収システム。
【請求項8】
前記容量検知センサーが、質量計である、請求項1記載の腐食性薬液回収システム。
【請求項9】
前記光学式又は静電容量式のレベルセンサーが前記蓋体下面よりも前記回収ボトル本体部側に少なくとも延出せしめられてなり、少なくとも前記回収ボトル本体部側に延出せしめられた部分の表面が耐腐食性樹脂からなる、請求項7記載の腐食性薬液回収システム。
【請求項10】
前記封止材のうち、少なくとも前記回収ボトル本体部側の部分の表面が耐腐食性樹脂からなる、請求項2記載の腐食性薬液回収システム。
【請求項11】
請求項1~10いずれか1項記載の腐食性薬液回収システムに用いられる蓋体であり、
前記蓋体が、
前記開口部を封止する封止材と、
前記封止材に形成され、封止検知用ガスが供給される流路と、
を有し、
前記蓋体を、前記腐食性薬液回収ボトルの首部に取付けると、前記流路に供給される前記封止検知用ガスが前記首部によって遮断されるようにした、腐食性薬液回収システム用蓋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工程に用いられる腐食性薬液を回収するための腐食性薬液回収システム及びそれに用いられる腐食性薬液回収ボトルに使用される腐食性薬液回収システム用蓋体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程では、それぞれの工程に合わせて、洗浄装置、エッチング装置塗布コーティング装置、フォトレジスト装置などといった種々の半導体製造装置が用いられるが、それぞれの工程で様々な薬液が使用される。
【0003】
例えば、半導体製造装置の一つである半導体洗浄設備の場合、半導体洗浄設備において薬液処理を行う場合、それが大規模な設備で、大量に使用薬液が発生する場合は工場に排液設備を設けて、使用済み薬液の排液処理を行う。中規模の設備の場合には、使用済み薬液のための数トン単位の排液備蓄タンクを設けて定期的に産廃処理を行っている。
【0004】
上記のような大中規模の半導体製造設備の場合、各々の半導体製造装置、例えば半導体洗浄装置には専用の排液配管が設置されており、前記半導体洗浄装置からの排液の処理量の管理がなされている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
一方、小規模の半導体製造設備の場合、使用済み薬液が発生する場合は、各々の半導体製造装置、例えば半導体洗浄装置の装置内に薬液回収ボトルが設置されており、回収した使用済み薬液は産業廃棄物として処理される。その場合、半導体製造装置内には2個以上の薬液回収ボトルを設置して使用済み薬液の管理を行う。
【0006】
薬液回収ボトルは、作業員による入替作業を行う事から容量が20kgのボトルに、使用済み薬液約15kgを収納した状態で産業廃棄物として処理される。前記薬液回収ボトルのキャップには薬液回収配管、満杯センサー(H)、警報センサー(HH)、及びエアー抜き配管(排気)が設置されていることが一般的である。
【0007】
このような薬液回収システムの運用としては、複数の薬液回収ボトルで回収が行われる。第一の薬液回収ボトルに薬液が回収され満杯になると、自動的に薬液回収の流れが切り替わり第二の薬液回収ボトルで薬液が回収されることになる。満杯の薬液回収ボトルから空の薬液回収ボトルに入れ替えるにあたっては、セットされている方の薬液回収ボトルが満杯になると作業員に警告を発する事で作業員は、薬液回収ボトルに螺合されている薬液の回収用ノズルキャップ(薬液回収配管、満杯センサー(H)、警報センサー(HH)及びエアー抜き配管(排気)が設けられているノズルキャップ)を、前記薬液回収ボトルを密閉するための密封キャップに付替えて、満杯になった薬液回収ボトルを取外す。そして、空の薬液回収ボトルをセットして、前記薬液の回収用ノズルキャップの取り付けを行いセットが完了する。この状態で、スイッチを押すことで薬液回収のスタンバイが完了する。すると、一方の薬液回収ボトルが満杯になると自動的に他方の薬液回収ボトルに切り替り、薬液が回収される。
【0008】
以上のことを繰返すことにより、半導体製造装置を停止することなく、使用済み薬液回収を行うことができる。
【0009】
しかしながら、満杯となった薬液回収ボトルの薬液の回収用ノズルキャップを外し、密封キャップに付替えて前記満杯の薬液回収ボトルを回収した後に、薬液の回収用ノズルキャップを空の薬液回収ボトルに付けて、装置にセットするのは作業員の手作業である。そのため、前記空の薬液回収ボトルをセットする際に、前記薬液の回収用ノズルキャップを付け忘れたり、又は前記薬液の回収用ノズルキャップが前記空の薬液回収ボトルにしっかりと螺合されていなかったりすると、薬液回収が正常に行われず薬液漏洩が発生してしまう。
【0010】
半導体製造装置に用いられる薬液は、腐食性の薬液ばかりであり、薬液の漏洩が生じると、作業環境の安全性が損なわれるのみならず、漏洩した薬液の洗浄作業などの必要性も生じてくる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2018-56187
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、所定量に達した腐食性薬液回収ボトルから空の腐食性薬液回収ボトルに付け替える際に、腐食性薬液の漏洩を防止することができるようにした腐食性薬液回収システム及び腐食性薬液回収システム用蓋体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の腐食性薬液回収システムは、半導体製造工程に用いられる腐食性薬液を回収するための腐食性薬液回収システムであって、前記腐食性薬液が収容される回収ボトル本体部と、前記回収ボトル本体部の上端に形成され、先端に開口部が形成された首部と、を含む少なくとも一つの腐食性薬液回収ボトルと、前記腐食性薬液回収ボトルの首部に取付けられ、前記開口部を閉塞する蓋体と、前記回収ボトル本体部の腐食性薬液が所定の容量になったことを検知する容量検知センサーと、前記所定の容量になったら警報を発する警報センサーと、前記回収ボトル本体部内へと前記腐食性薬液を導入する腐食性薬液回収ノズルと、前記腐食性薬液回収ボトルの首部に前記蓋体が取付けられて前記開口部が封止されたか否かを圧力変化で検知する圧力センサーと、を含む、腐食性薬液回収システムである。
【0014】
前記蓋体が、前記開口部を封止する封止材と、前記封止材に形成され、封止検知用ガスが供給される流路と、を有し、前記蓋体を、前記腐食性薬液回収ボトルの首部に取付けると、前記流路に供給される前記封止検知用ガスが前記首部によって遮断されることにより圧力変化が生じ、前記圧力変化を前記圧力センサーで検知するようにするのが好適である。
【0015】
前記封止検知用ガスが不活性ガス又はエアーであるのが好適である。
【0016】
前記蓋体の内側面に形成された被螺合部と、前記腐食性薬液回収ボトルの首部の外側面に形成された螺合部と、前記開口部を形成する円形突端部と、を有し、前記蓋体が、前記腐食性薬液回収ボトルの首部に螺合せしめられると、前記円形突端部によって前記封止検知用ガスの流路が閉塞されて、前記封止検知用ガスが前記首部によって遮断されるのが好適である。
【0017】
前記回収ボトル本体部内のエアーを抜くエアー抜きノズルをさらに含むのが好適である。
【0018】
前記腐食性薬液回収ボトルが複数あり、前記回収ボトル本体部の腐食性薬液が所定の容量になったら前記蓋体を外すことで、前記圧力センサーがOFF状態となり、新しい腐食性薬液回収ボトルに前記蓋体を付け替えると、前記圧力センサーがON状態となるのが好適である。
【0019】
前記容量検知センサーが、光学式又は静電容量式のレベルセンサーであるのが好適である。
【0020】
前記容量検知センサーが、質量計であるのが好適である。
【0021】
前記光学式又は静電容量式のレベルセンサーが前記蓋体下面よりも前記回収ボトル本体部側に少なくとも延出せしめられてなり、少なくとも前記回収ボトル本体部側に延出せしめられた部分の表面が耐腐食性樹脂からなるのが好適である。
【0022】
前記封止材のうち、少なくとも前記回収ボトル本体部側の部分の表面が耐腐食性樹脂からなるのが好適である。
【0023】
本発明の腐食性薬液回収システム用蓋体は、前記腐食性薬液回収システムに用いられる蓋体であり、前記蓋体が、前記開口部を封止する封止材と、前記封止材に形成され、封止検知用ガスが供給される流路と、を有し、前記蓋体を、前記腐食性薬液回収ボトルの首部に取付けると、前記流路に供給される前記封止検知用ガスが前記首部によって遮断されるようにした、腐食性薬液回収システム用蓋体である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、所定量に達した腐食性薬液回収ボトルから空の腐食性薬液回収ボトルに付け替える際に、腐食性薬液の漏洩を防止することができるようにした腐食性薬液回収システム及び腐食性薬液回収システム用蓋体を提供することができるという著大な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の腐食性薬液回収システムを備えた半導体製造設備を示す概略図である。
図2】本発明の腐食性薬液回収システムを示す断面図であり、蓋体を螺合する前の状態を示す。
図3図2の状態から蓋体を少し螺合せしめた状態を示す断面図である。
図4図3の状態から蓋体をしっかりと螺合せしめた状態を示す断面図である。
図5】蓋体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これら実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。図示において、同一部材は同一符号であらわされる。
【0027】
図1において、符号10は、本発明の腐食性薬液回収システム12を備えた半導体製造設備である。符号14は、半導体製造装置を示す。半導体製造装置14としては、ウェーハのスピン処理装置の例を示した。
【0028】
前記半導体製造装置14であるスピン処理装置は、エッチングと洗浄を行うことができ、循環タンク24内には、腐食性薬液であるエッチング液が入っている。半導体製造装置14としては、図示例ではスピン処理装置の例を示したが、スピン処理装置以外の半導体製造装置であってもよいことは勿論である。半導体製造装置14としては、図示例以外にも、洗浄装置、エッチング装置塗布コーティング装置、フォトレジスト装置などといった種々の半導体製造装置であってもよい。
【0029】
循環タンク24には、キャニスター缶64が配管62を介して接続されており、循環タンク24内の腐食性薬液が少なくなるとキャニスター缶64内の腐食性薬液が配管62を介して補充される。循環タンク24には、液面センサー60が設けられており、腐食性薬液の量が管理されている。
【0030】
循環タンク24は配管52を介して半導体製造装置14に接続されており、工程に応じて半導体製造装置14に腐食性薬液を供給する。符号26はポンプである。符号22は、工程に応じて半導体製造装置14に腐食性薬液を供給するための弁である。符号50は配管である。
【0031】
配管13は純水を半導体製造装置14に供給するための配管であり、弁20が取り付けられていて、工程に応じて半導体製造装置14にリンス液である純水が供給される。純水は半導体製造装置14のリンス液回収部16で回収されて配管18からリンス液として排水される。
【0032】
腐食性薬液は半導体製造装置14の腐食性薬液回収部15で回収されて、第一の腐食性薬液回収ボトル42又は第二の腐食性薬液回収ボトル44へと送られる。符号17はポンプである。
【0033】
第一の腐食性薬液回収ボトル42及び第二の腐食性薬液回収ボトル44には、容量検知センサー36,37及び警報センサー38,40がそれぞれ設けられている。腐食性薬液回収部15で回収された腐食性薬液は、配管39を介して第一の腐食性薬液回収ボトル42又は第二の腐食性薬液回収ボトル44へと送られる。符号32,34はエアー抜きノズルである。符号28,30は弁であり、第一の腐食性薬液回収ボトル42又は第二の腐食性薬液回収ボトル44のいずれかに切り替えて腐食性薬液を第一の腐食性薬液回収ボトル42又は第二の腐食性薬液回収ボトル44に送る。符号41は、第二の腐食性薬液回収ボトル44に腐食性薬液を送るための配管である。
【0034】
符号46,48は、リンス液排水のための配管であり、腐食性薬液を使わないリンス工程のみの場合には、第一の腐食性薬液回収ボトル42及び第二の腐食性薬液回収ボトル44は置かずに、リンス液排水のための配管46,48から排水される。なお、符号58はリミッタースイッチである。
【0035】
図2~4に、本発明の腐食性薬液回収システム12をより具体的に示す。図2~4に示すように、本発明の腐食性薬液回収システム12は、腐食性薬液が収容される回収ボトル本体部66と、前記回収ボトル本体部66の上端に形成され、先端に開口部51が形成された首部53と、を含む少なくとも一つの腐食性薬液回収ボトルと、前記腐食性薬液回収ボトル42の首部53に取付けられ、前記開口部を閉塞する蓋体69と、前記回収ボトル本体部66の腐食性薬液が所定の容量になったことを検知する容量検知センサー36と、前記所定の容量になったら警報を発する警報センサー38と、前記回収ボトル本体部66内へと前記腐食性薬液を導入する腐食性薬液回収ノズル80と、前記腐食性薬液回収ボトル42の首部53に前記蓋体69が取付けられて前記開口部51が封止されたか否かを圧力変化で検知する圧力センサー86と、を含む、腐食性薬液回収システムである。前記回収ボトル本体部66内のエアーを抜くエアー抜きノズル32がさらに設けられている。
【0036】
そして、前記蓋体69が、前記開口部51を封止する封止材74と、前記封止材74に形成され、封止検知用ガスが供給される流路88と、を有し、前記蓋体69を、前記腐食性薬液回収ボトル42の首部53に取付けると、前記流路88に供給される前記封止検知用ガスが前記首部53によって遮断されることにより圧力変化が生じ、前記圧力変化を前記圧力センサー86で検知する構成とされている。符号84は、窒素などの不活性ガス又はエアーを微少量供給するための封止検知用ガス供給ノズルである。前記封止検知用ガスは不活性ガス又はエアーが好ましい。
【0037】
また、前記蓋体69には前記蓋体69の端部70の内側面に被螺合部72が形成されており、前記腐食性薬液回収ボトル42の首部53の外側面には螺合部68が形成されており、そして、前記腐食性薬液回収ボトル42の首部53には前記開口部51を形成する円形突端部90が存在する。
【0038】
これにより、前記蓋体69が、図2の状態から、図3の状態のように、前記腐食性薬液回収ボトル42の首部53に螺合せしめられ、さらに図4の状態のように前記腐食性薬液回収ボトル42の首部53にしっかりと螺合せしめられると、前記円形突端部90によって前記封止検知用ガスの流路88が閉塞されて、前記封止検知用ガスが前記首部53によって遮断される。
【0039】
図3の状態では、前記蓋体69は、前記腐食性薬液回収ボトル42の首部53に螺合せしめられてはいるが、前記封止検知用ガスが矢印で示すように漏れており、前記封止検知用ガスの流路88が閉塞されていない。
【0040】
図4の状態では、前記腐食性薬液回収ボトル42の首部53にしっかりと螺合せしめられており、前記円形突端部90によって前記封止検知用ガスの流路88が閉塞されて、前記封止検知用ガスが前記首部53によって遮断される。これにより、前記封止検知用ガスの流路88における圧力変化が生じることとなり、この圧力変化を圧力センサー86で検知することで、前記腐食性薬液回収ボトル42のキャップ、即ち前記蓋体69がしっかりと閉まっているかが確認できる。これにより、腐食性薬液の漏洩を防止することができる。
【0041】
図示例では、腐食性薬液回収ボトルは前記腐食性薬液回収ボトル42及び前記腐食性薬液回収ボトル44の2個設置されている。前記回収ボトル本体部66の腐食性薬液が所定の容量(例えば満杯)になったら前記蓋体69を外すことで、前記圧力センサー86がOFF状態となり、新しい腐食性薬液回収ボトルに前記蓋体69を付け替えると、前記圧力センサー86がON状態となる。このようにして、前記腐食性薬液回収ボトル42及び前記腐食性薬液回収ボトル44のいずれか一方が満杯になると空の腐食性薬液回収ボトルに付け替えることで、連続して腐食性薬液を回収することできる。腐食性薬液回収ボトルとしては、図示例では20L容量の例を示した。腐食性薬液回収ボトルとしては、複数個設けるのが好ましく、2個以上設けても良い。
【0042】
なお、前記容量検知センサー36,37としては、市販の光学式又は静電容量式のレベルセンサーを好適に使用できる。或いは、前記容量検知センサー36,37として、市販の質量計を使用することも可能である。
【0043】
また、前記容量検知センサー36,37が光学センサー又は静電容量センサーの場合、図2~4によく示されるように、前記光学センサー又は静電容量センサーが前記蓋体69下面よりも前記回収ボトル本体部66側に少なくとも延出せしめられてなり、少なくとも前記回収ボトル本体部66側に延出せしめられた部分の表面が耐腐食性樹脂からなるのが好適である。耐腐食性樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン樹脂による被覆が好適である。
【0044】
また、前記封止材74のうち、少なくとも前記回収ボトル本体部66側の部分の表面が耐腐食性樹脂からなるのが好適である。腐食性薬液が前記回収ボトル本体部66に回収されるからである。耐腐食性樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン樹脂による被覆が好適である。このように、前記蓋体69は繰り返し使用するから耐腐食性があるのが好適である。前記回収ボトル本体部66は、ポリプロピレン樹脂製のものなどを使用できる。
【0045】
前記蓋体69は、前記開口部51を封止する封止材71と、前記封止材71に形成され、封止検知用ガスが供給される流路88と、を有しており、前記蓋体69を、前記回収ボトル本体部66の首部53に取付けると、前記流路88に供給される前記封止検知用ガスが前記首部53によって遮断されるようにされている。
【0046】
前記蓋体69の平面図を図5に示す。前記蓋体69には、容量検知センサー36(又は容量検知センサー37)が挿入される穴92、警報センサー38(又は警報センサー40)が挿入される穴94、エアー抜きノズル32(又はエアー抜きノズル34)が挿入される穴96、腐食性薬液回収ノズル80が挿入される穴98、封止検知用ガスが供給される流路88がそれぞれ形成されている。
【0047】
上述したように前記蓋体69で前記腐食性薬液回収ボトル42又は前記腐食性薬液回収ボトル44の開口部を封止するようにすれば、満杯の薬液回収ボトルから空の薬液回収ボトルに付け替える際に、薬液の漏洩を防止することができる。
【符号の説明】
【0048】
10:半導体製造設備、12:腐食性薬液回収システム、13,18,39,41,46,48,50,52,62:配管、14:半導体製造装置、15:腐食性薬液回収部、16:リンス液回収部、17,26:ポンプ、20,22,28,30:弁、24:循環タンク、32,34:エアー抜きノズル、36,37:容量検知センサー、38,40:警報センサー、42:第一の腐食性薬液回収ボトル、44:第二の腐食性薬液回収ボトル、51:開口部、53:首部、58:リミッタースイッチ、60:液面センサー、64:キャニスター缶、66:回収ボトル本体部、68:螺合部、69:蓋体、70:端部、71:封止材、72:被螺合部、74:封止材、80:腐食性薬液回収ノズル、84:封止検知用ガス供給ノズル、86:圧力センサー、88:封止検知用ガスが供給される流路、90:円形突端部、92,94,96,98:穴。
図1
図2
図3
図4
図5