(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082615
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】テンショナ
(51)【国際特許分類】
F16H 7/08 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
F16H7/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196579
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100138254
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 容子
(72)【発明者】
【氏名】石川 祐一郎
【テーマコード(参考)】
3J049
【Fターム(参考)】
3J049AA01
3J049AA08
3J049BB13
3J049BB26
(57)【要約】
【課題】全体の部品点数が少なく、誤組付けの虞がなく、荷重変更が容易であり、組み立てが容易あり、かつ、圧油室内のオイル圧を良好に安定させるテンショナを提供すること。
【解決手段】プランジャ110とハウジング120のプランジャ収容穴121との間に形成される圧油室内のオイル圧が高まった時にオイルをプランジャ110外にリリーフするリリーフ機構を備えたテンショナ100であって、プランジャ内部空間111内から外周側に貫通するリリーフ孔141と、リリーフ孔141の外周側の開口に押圧される孔閉塞部材142とを有すること。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後方側に開口したプランジャ内部空間を有するプランジャと、前記プランジャを収容する前方側に開口したプランジャ収容穴を有するハウジングと、前記プランジャおよび前記プランジャ収容穴の間に形成される圧油室に伸縮自在に収納されて前記プランジャを前方側に向けて付勢するメイン付勢手段と、前記圧油室内のオイル圧が高まった時に前記圧油室内のオイルを前記プランジャ外にリリーフするリリーフ機構とを備えたテンショナであって、
前記リリーフ機構は、前記プランジャ内部空間内から外周側に貫通するリリーフ孔と、前記リリーフ孔の外周側の開口に押圧される孔閉塞部材とを有することを特徴とするテンショナ。
【請求項2】
前記プランジャは、外周に嵌合凹部を有し、
前記リリーフ孔は、前記嵌合凹部内に開口し、
前記孔閉塞部材は、前記嵌合凹部に弾性的に嵌合されるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のテンショナ。
【請求項3】
前記孔閉塞部材は、一部に切り欠きを有する環状のCリングであることを特徴とする請求項2に記載のテンショナ。
【請求項4】
前記孔閉塞部材の前記嵌合凹部内で周方向の移動を規制する位置固定機構を有することを特徴とする請求項3に記載のテンショナ。
【請求項5】
前記位置固定機構は、前記孔閉塞部材の内周側に設けられた突起部を含むことを特徴とする請求項4に記載のテンショナ。
【請求項6】
前記位置固定機構は、前記嵌合凹部内の前記リリーフ孔と異なる位置に設けられた凹部を含むことを特徴とする請求項5に記載のテンショナ。
【請求項7】
前記プランジャは、前記嵌合凹部内に前記リリーフ孔の開口から前記Cリンクの切り欠き部まで伸びるオイルリーク溝が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のテンショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行するチェーンやベルト等に適正張力を付与するテンショナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チェーン等の張力を適正に保持するためにテンショナを用いることが慣用されており、例えば、エンジンルーム内のクランク軸とカム軸の夫々に設けたスプロケット間に無端懸回したローラチェーン等の伝動チェーンをテンショナレバーによって摺動案内を行なうチェーンガイド機構において、チェーン等の張力を適正に保持するために、テンショナによってテンショナレバーを付勢するものが公知である。
【0003】
このようなチェーンガイド機構に用いられる公知のテンショナとして、後方側に開口したプランジャ内部空間を有するプランジャと、プランジャを収容する前方側に開口したプランジャ収容穴を有するハウジングと、プランジャおよびプランジャ収容穴の間に形成される圧油室に伸縮自在に収納されてプランジャを前方側に向けて付勢するメイン付勢手段と、圧油室内のオイル圧が高まった時に圧油室内のオイルをプランジャ外にリリーフするリリーフ機構とを備えたテンショナが知られている(例えば特許文献1等を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のテンショナは、プランジャの内部に挿入されるリリーフバルブユニットを1つの部品として扱うことができ、テンショナの組み立てが容易であり、かつ、流路抵抗も少なくリーク時の圧力開放を円滑にして圧油室内のオイル圧を良好に安定させることが可能なものである。
しかしながら、リリーフバルブユニット自体が細かな構造を持つ複数の部品からなるため、誤組付けが発生した場合の発見が困難であるという課題があった。
また、開弁圧を調整するためにはボールスプリング荷重を変更する必要があり、品種増加により生産性が悪化するという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、全体の部品点数が少なく、誤組付けの虞がなく、荷重変更が容易であり、組み立てが容易あり、かつ、圧油室内のオイル圧を良好に安定させるテンショナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、後方側に開口したプランジャ内部空間を有するプランジャと、前記プランジャを収容する前方側に開口したプランジャ収容穴を有するハウジングと、前記プランジャおよび前記プランジャ収容穴の間に形成される圧油室に伸縮自在に収納されて前記プランジャを前方側に向けて付勢するメイン付勢手段と、前記圧油室内のオイル圧が高まった時に前記圧油室内のオイルを前記プランジャ外にリリーフするリリーフ機構とを備えたテンショナであって、前記リリーフ機構は、前記プランジャ内部空間内から外周側に貫通するリリーフ孔と、前記リリーフ孔の外周側の開口に押圧される孔閉塞部材とを有することにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0008】
本請求項1に係る発明によれば、リリーフ機構は、前記プランジャ内部空間内から外周側に貫通するリリーフ孔と、前記リリーフ孔の外周側の開口に押圧される孔閉塞部材とを有することで、プランジャ内部にリリーフ機構のための部品を挿入する必要なく、テンショナの組み立てが容易となる。
また、孔閉塞部材によるリリーフ孔の開口の押圧を外周側から行うことで誤組付けの虞がなく、少ない部品点数で構成することが可能となることで荷重変更が容易であり、より、単純な構造とすることができる。
【0009】
本請求項2に記載の構成によれば、嵌合凹部に弾性体からなるOリング等を嵌合させるだけでリリーフ孔の開口を閉塞でき、圧油室内のオイル圧が所定以上に上昇した際に嵌合時の締め付け力に抗してOリング等が変形して開口からオイルがリークするように構成できるため、より単純な構造とすることができる。
本請求項3に記載の構成によれば、孔閉塞部材としてCリングを使用することで、変形するための弾性を正確に設定でき、圧油室内のオイル圧をより良好に安定させることができる。
本請求項4に記載の構成によれば、嵌合凹部内で周方向の移動を規制する位置固定機構を有することで、リリーフ孔の開口とCリングの切り欠き部との周方向の位置関係が変化することなく、圧油室内のオイル圧をさらに良好に安定させることができる。
【0010】
本請求項5に記載の構成によれば、孔閉塞部材の内周側に設けられた突起部を設けることで、リリーフ孔の開口等に突起部が係合して周方向及び軸方向の移動を規制することができる。
本請求項6に記載の構成によれば、リリーフ孔と異なる位置に設けられた凹部に突起部が係合して周方向及び軸方向の移動を規制することができ、リリーフ孔の開口を任意の形状で閉塞できる。
本請求項7に記載の構成によれば、嵌合凹部内にリリーフ孔の開口からCリンクの切り欠き部まで伸びるオイルリーク溝孔を設けることで、所定の圧力以上で開放する前のオイルリークの流量を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るテンショナの斜視図。
【
図2】
図1に示すテンショナのプランジャ及びリリーフ機構の分解図。
【
図4】
図1に示すテンショナのリリーフ孔を含む平面で切った断面図。
【
図5】本発明の第2実施形態に係るテンショナの斜視図。
【
図6】
図5に示すテンショナのプランジャ及びリリーフ機構の分解図。
【
図8】
図5に示すテンショナのリリーフ孔を含む平面で切った断面図。
【
図9】本発明の第3実施形態に係るテンショナの斜視図。
【
図10】
図9に示すテンショナのプランジャ及びリリーフ機構の分解図。
【
図12】
図9に示すテンショナのリリーフ孔を含む平面で切った断面図。
【
図13】本発明の第4実施形態に係るテンショナの斜視図。
【
図14】
図13に示すテンショナのプランジャ及びリリーフ機構の分解図。
【
図16】
図13に示すテンショナのリリーフ孔を含む平面で切った断面図。
【
図17】本発明の第5実施形態に係るプランジャ斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態のテンショナ100は、
図1~
図4に示すように、後方側に開口したプランジャ内部空間111を有するプランジャ110と、プランジャ110を収容する前方側に開口したプランジャ収容穴121を有するハウジング120と、プランジャ110およびプランジャ収容穴121の間に形成される圧油室に伸縮自在に収納されてプランジャ110を前方側に向けて付勢するメイン付勢手段である押圧ばね130と、圧油室内のオイル圧が高まった時に圧油室内のオイルを前記プランジャ110外にリリーフするリリーフ機構とを備えている。
【0013】
プランジャ110は、突出側の外周に溝状の嵌合凹部112を有し、プランジャ内部空間111内から外周側に貫通して嵌合凹部112内に開口するリリーフ孔141が設けられている。
嵌合凹部112には、孔閉塞部材である弾性体からなるOリング142が弾性的に嵌合されている。
テンショナ100の作動時には、プランジャ収容穴121の底部に配置されたチェックバルブ122を介して圧油室内にオイルが供給される。
圧油室を構成するプランジャ内部空間111のオイル圧が所定以下の場合、Oリング142がリリーフ孔141の開口を閉塞して圧油室内のオイル圧が保たれる。
【0014】
圧油室を構成するプランジャ内部空間111のオイル圧が所定の圧力を超えると、リリーフ孔141を介した圧力によってOリング142が変形してリリーフ孔141の開口が解放され、オイルが外部に流出することで圧油室を構成するプランジャ内部空間111のオイル圧が低下し、リリーフ機構として動作する。
本実施形態では、リリーフ孔141は180°離れた位置に2か所設けられているが、その数や孔径は、リリーフ機構に求められるリリーフ圧に応じて任意に設定できる。
また、Oリング142は、ゴム製、樹脂製等、いかなる材料で形成されていてもよい。
【0015】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態のテンショナ100bは、
図5~
図8に示すように、後方側に開口したプランジャ内部空間111bを有するプランジャ110bと、プランジャ110bを収容する前方側に開口したプランジャ収容穴121を有するハウジング120と、プランジャ110bおよびプランジャ収容穴121の間に形成される圧油室に伸縮自在に収納されてプランジャ110bを前方側に向けて付勢するメイン付勢手段である押圧ばね130と、圧油室内のオイル圧が高まった時に圧油室内のオイルを前記プランジャ110b外にリリーフするリリーフ機構とを備えている。
【0016】
プランジャ110bは、突出側の外周に溝状の嵌合凹部112bを有し、プランジャ内部空間111b内から外周側に貫通して嵌合凹部112b内に開口するリリーフ孔141bが設けられている。
嵌合凹部112bには、孔閉塞部材である一部に切り欠き部144を有する環状のCリング143が弾性的に嵌合されている。
テンショナ100bの作動時には、プランジャ収容穴121の底部に配置されたチェックバルブ122を介して圧油室内にオイルが供給される。
圧油室を構成するプランジャ内部空間111bのオイル圧が所定以下の場合、Cリング143がリリーフ孔141bの開口を閉塞して圧油室内のオイル圧が保たれる。
【0017】
圧油室を構成するプランジャ内部空間111bのオイル圧が所定の圧力を超えると、リリーフ孔141bを介した圧力によってCリング143が変形してリリーフ孔141bの開口が解放され、オイルが外部に流出することで圧油室を構成するプランジャ内部空間111bのオイル圧が低下し、リリーフ機構として動作する。
本実施形態では、リリーフ孔141bは1か所設けられているが、その数や孔径は、リリーフ機構に求められるリリーフ圧に応じて任意に設定できる。
また、Cリング143は、金属製、樹脂製等、いかなる材料で形成されていてもよい。
【0018】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態のテンショナ100cは、
図9~
図12に示すように、後方側に開口したプランジャ内部空間111cを有するプランジャ110cと、プランジャ110cを収容する前方側に開口したプランジャ収容穴121を有するハウジング120と、プランジャ110cおよびプランジャ収容穴121の間に形成される圧油室に伸縮自在に収納されてプランジャ110cを前方側に向けて付勢するメイン付勢手段である押圧ばね130と、圧油室内のオイル圧が高まった時に圧油室内のオイルを前記プランジャ110c外にリリーフするリリーフ機構とを備えている。
【0019】
プランジャ110cは、突出側の外周に先端側から小径部として形成された嵌合凹部112cを有し、プランジャ内部空間111c内から外周側に貫通して嵌合凹部112c内に開口するリリーフ孔141cが設けられている。
嵌合凹部112cには、孔閉塞部材である一部に切り欠き部144cを有する環状のCリング143cが弾性的に嵌合されている。
また、Cリング143cは、嵌合凹部112c内での円周方向及び軸方向の移動を規制する位置固定機構として内周側に設けられた突起部145cを有している。
テンショナ100cの作動時には、プランジャ収容穴121の底部に配置されたチェックバルブ122を介して圧油室内にオイルが供給される。
圧油室を構成するプランジャ内部空間111cのオイル圧が所定以下の場合、Cリング143cがリリーフ孔141cの開口を閉塞して圧油室内のオイル圧が保たれる。
【0020】
圧油室を構成するプランジャ内部空間111cのオイル圧が所定の圧力を超えると、リリーフ孔141cを介した圧力によってCリング143cが変形してリリーフ孔141cの開口が解放され、オイルが外部に流出することで圧油室を構成するプランジャ内部空間111cのオイル圧が低下し、リリーフ機構として動作する。
Cリング143cの突起部145cが、リリーフ孔141cの開口に係合することで円周方向への移動が規制されるため、切り欠き部144cとリリーフ孔141cの開口が重なってリリーフ機構に障害が発生することが防止されるとともに、Cリング143cの同一位置が常にリリーフ孔141cの開口に対向することで閉塞力が一定に保たれ、リリーフ機構の動作圧力が安定する。
【0021】
また、Cリング143cの突起部145cが、リリーフ孔141cの開口に係合することで軸方向への移動が規制されるため、嵌合凹部112cを溝状とせずに先端側から小径部として形成することが可能となり、プランジャ110cの加工が容易となるとともに、組み立て時のCリング143cの嵌合が容易となる。
本実施形態では、リリーフ孔141cは1か所設けられているが、その数や孔径は、リリーフ機構に求められるリリーフ圧に応じて任意に設定できる。
また、Cリング143cは、金属製、樹脂製等、いかなる材料で形成されていてもよい。
【0022】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態のテンショナ100dは、
図13~
図16に示すように、後方側に開口したプランジャ内部空間111dを有するプランジャ110dと、プランジャ110dを収容する前方側に開口したプランジャ収容穴121を有するハウジング120と、プランジャ110dおよびプランジャ収容穴121の間に形成される圧油室に伸縮自在に収納されてプランジャ110dを前方側に向けて付勢するメイン付勢手段である押圧ばね130と、圧油室内のオイル圧が高まった時に圧油室内のオイルを前記プランジャ110d外にリリーフするリリーフ機構とを備えている。
【0023】
プランジャ110dは、突出側の外周に先端側から小径部として形成された嵌合凹部112dを有し、プランジャ内部空間111d内から外周側に貫通して嵌合凹部112d内に開口するリリーフ孔141dが設けられている。
嵌合凹部112dには、孔閉塞部材である一部に切り欠き部144dを有する環状のCリング143dが弾性的に嵌合されている。
また、Cリング143dは、嵌合凹部112d内での円周方向及び軸方向の移動を規制する位置固定機構として内周側に設けられた突起部145dを有している。
また、切り欠き部144dには、リリーフ孔141dの開口と異なる位置に、突起部145dと係合可能な凹部113dが設けられている。
【0024】
テンショナ100dの作動時には、プランジャ収容穴121の底部に配置されたチェックバルブ122を介して圧油室内にオイルが供給される。
圧油室を構成するプランジャ内部空間111dのオイル圧が所定以下の場合、Cリング143dがリリーフ孔141dの開口を閉塞して圧油室内のオイル圧が保たれる。
圧油室を構成するプランジャ内部空間111dのオイル圧が所定の圧力を超えると、リリーフ孔141dを介した圧力によってCリング143dが変形してリリーフ孔141dの開口が解放され、オイルが外部に流出することで圧油室を構成するプランジャ内部空間111dのオイル圧が低下し、リリーフ機構として動作する。
Cリング143dの突起部145dが、凹部113dに係合することで円周方向への移動が規制されるため、切り欠き部144dとリリーフ孔141dの開口が重なってリリーフ機構に障害が発生することが防止されるとともに、Cリング143dの同一位置が常にリリーフ孔141dの開口に対向することで閉塞力が一定に保たれ、リリーフ機構の動作圧力が安定する。
【0025】
また、Cリング143dの突起部145dが、凹部113dに係合することで軸方向への移動が規制されるため、嵌合凹部112dを溝状とせずに先端側から小径部として形成することが可能となり、プランジャ110dの加工が容易となるとともに、組み立て時のCリング143dの嵌合が容易となる。
さらに、突起部145dと凹部113dを任意の箇所、任意の形状で設けることができ、設計の自由度が向上する。
本実施形態では、リリーフ孔141dは1か所設けられているが、その数や孔径は、リリーフ機構に求められるリリーフ圧に応じて任意に設定できる。
また、Cリング143dは、金属製、樹脂製等、いかなる材料で形成されていてもよい。
さらに、突起部145dと凹部113dは凹凸が逆の組み合わせであってもよく、組み立て後にピンや溶接等でCリング143dの位置を固定するものであってもよい。
また、嵌合凹部112d内に切り欠き部144dと係合可能な突起を設けてCリング143dの円周方向の移動を規制してもよく、嵌合凹部112dの先端側の一部にCリング143dの抜け止め突起を設けて軸方向の移動を規制してもよい。
【0026】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態のテンショナは、
図17に示すプランジャ110eを除き、第5実施形態と同じである。
プランジャ110eは、突出側の外周に先端側から小径部として形成された嵌合凹部112eを有し、プランジャ内部空間111e内から外周側に貫通して嵌合凹部112e内に開口するリリーフ孔141eが設けられているとともに、リリーフ孔141eの開口を横断する位置の円周方向にオイルリーク溝114eが設けられている。
このことで、Cリングがリリーフ孔の開口を閉塞している状態でも、オイルリーク溝114eを通じて切り欠き部まで延びて外部に開放されるオイル流路が形成される。
この、オイル流路がいわゆるオリフィスタイプのリリーフ機構として動作することで、通常はオリフィスタイプで作動し、所定圧以上でCリングが変形してリリーフ孔の開口からオイル圧を開放する、ハイブリッドタイプのリリーフ機構とすることが可能となる。
なお、断面形状は、任意のオリフィス効果を得るため、オイルリリーフ溝114eの断面形状は任意に設定すればよく、また、蛇行して延びるように形成して流路長を任意に設定してもよい。
さらに、リリーフ孔の開口からプランジャの先端側で外部に開放するようにオイルリリーフ溝114eを設けることで、流路長を短く設定してもよい。
【0027】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【符号の説明】
【0028】
100 ・・・ テンショナ
110 ・・・ プランジャ
111 ・・・ プランジャ内部空間
112 ・・・ 嵌合凹部
113 ・・・ 凹部
114 ・・・ オイルリーク溝
120 ・・・ ハウジング
121 ・・・ プランジャ収容穴
122 ・・・ チェックバルブ
130 ・・・ 押圧ばね(メイン付勢手段)
140 ・・・ リリーフ機構
141 ・・・ リリーフ孔
142 ・・・ Oリング(孔閉塞部材)
143 ・・・ Cリング(孔閉塞部材)
144 ・・・ 切り欠き部
145 ・・・ 突起部