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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082618
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】透明表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20240613BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20240613BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20240613BHJP
   G09G 5/37 20060101ALI20240613BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
G09G5/00 550C
H04N5/66 102B
G02F1/1334
G09G5/00 510A
G09G5/37 320
G09G5/00 530M
G09G5/37 310
G09F9/00 366G
G09F9/00 336J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196587
(22)【出願日】2022-12-08
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.HDMI
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多胡 恵二
【テーマコード(参考)】
2H189
5C058
5C182
5G435
【Fターム(参考)】
2H189AA03
2H189LA08
2H189LA10
2H189LA20
5C058AA06
5C058AB01
5C058AB03
5C058BA03
5C058BA35
5C058BB25
5C182AA03
5C182AA22
5C182AB11
5C182AC02
5C182AC03
5C182AC43
5C182BA06
5C182BA14
5C182BA27
5C182BA29
5C182BA35
5C182BA54
5C182BA55
5C182BA56
5C182BC01
5C182BC22
5C182CB13
5C182CB14
5C182CB34
5C182CB44
5C182CB45
5C182CB47
5C182CB52
5C182CB54
5C182DA02
5C182DA65
5C182FA61
5G435AA00
5G435BB12
5G435CC09
5G435DD13
5G435EE27
5G435EE49
(57)【要約】
【課題】透明ディスプレイの技術に関して、新しい使い方などを提案し、コミュニケーションや利便性などを向上できる技術を提供する。
【解決手段】透明ディスプレイ1は、第1面s1を有する第1基板11と、第2面s2を有する第2基板12と、背景光を透過する透明状態と画像を表示する表示状態との遷移が可能な画素を有する表示層13と、表示領域(画面20)と、コントローラ2と、第1面s1側にいるユーザU1と表示領域との距離D、および表示領域での位置NPを検出するためのセンサデバイス(カメラ3)とを備える。コントローラ2は、画面20に対するユーザU1との距離Dに応じて、位置NPに対応した一部の領域A2における透明度合いを変えるように制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する第1基板と、
前記第1面の反対側にある第2面を有する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、背景光を透過する透明状態と画像を表示する表示状態との遷移が可能な画素を有する表示層と、
前記第1基板、前記第2基板、および前記表示層が重なる領域に設けられた表示領域と、
前記表示層の前記画素の状態を制御するコントローラと、
を備え、
前記第1面側から前記画像および前記第2面側の背景が視認可能である透明表示装置であって、
前記表示領域の前記第1面側にいるユーザと前記表示領域との距離、および前記距離に対応した前記表示領域での位置を検出するためのセンサデバイスを備え、
前記コントローラは、前記センサデバイスの検出情報を用いて、前記距離に応じて、前記位置に対応した一部の領域における、前記画素の前記透明状態と前記表示状態との遷移を制御することで、透明度合いを変えるように制御する、
透明表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の透明表示装置において、
前記コントローラは、前記距離に応じて、前記一部の領域の前記画素を、前記表示状態から前記透明状態に切り替えるように制御する、
透明表示装置。
【請求項3】
請求項1記載の透明表示装置において、
前記コントローラは、前記距離に応じて、前記一部の領域の前記画素の透明度合いを連続的または段階的に変えるように制御する、
透明表示装置。
【請求項4】
請求項1記載の透明表示装置において、
前記コントローラは、前記距離に応じて、前記一部の領域の面積を変えるように制御する、
透明表示装置。
【請求項5】
第1面を有する第1基板と、
前記第1面の反対側にある第2面を有する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、背景光を透過する透明状態と画像を表示する表示状態との遷移が可能な画素を有する表示層と、
前記第1基板、前記第2基板、および前記表示層が重なる領域に設けられた表示領域と、
前記表示層の前記画素の状態を制御するコントローラと、
を備え、
前記第1面側から前記画像および前記第2面側の背景が視認可能である透明表示装置であって、
前記表示領域の前記第1面側にいるユーザと前記表示領域との距離、および前記距離に対応する前記表示領域での位置を検出するためのセンサデバイスを備え、
前記コントローラは、前記センサデバイスの検出情報を用いて、前記距離に応じて、前記位置に対応した一部の領域に、前記画素の前記透明状態と前記表示状態との遷移を制御することで、画像を追加して表示するように制御する、
透明表示装置。
【請求項6】
請求項5記載の透明表示装置において、
前記コントローラは、前記一部の領域に前記画像を追加して表示する際に、画像を表示していない状態から、前記画像を追加して表示する状態に変えるように制御する、
透明表示装置。
【請求項7】
請求項5記載の透明表示装置において、
前記コントローラは、前記一部の領域に前記画像を追加して表示する際に、前記表示領域での前記位置に対応付けて設定されている画像を表示する、
透明表示装置。
【請求項8】
請求項5記載の透明表示装置において、
前記コントローラは、前記一部の領域に追加して表示された前記画像に対する前記ユーザのインタラクションを検出した場合に、前記表示領域の前記第2面側に向けた画像を追加して表示する、
透明表示装置。
【請求項9】
請求項5記載の透明表示装置において、
前記コントローラは、前記一部の領域に前記画像を追加して表示する際に、前記距離に応じて、段階的に、異なる画像を追加して表示するように制御する、
透明表示装置。
【請求項10】
請求項1または5に記載の透明表示装置において、
前記表示層は、液晶層であり、
前記表示領域に対し重ならない位置に、前記液晶層に光源光を供給する光源を備える、
透明表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、透明表示装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、透明ディスプレイ(言い換えると透明表示装置)が開発・提供されている。透明ディスプレイは、液晶層などによって構成された光透過性を有する表示領域において画像(言い換えると映像等)を表示する。ユーザである人は、透明ディスプレイの表示画像を、背景と重ね合わせた状態で、前面側からも背面側からも視認可能である。
【0003】
特開2022-92511号公報(特許文献1)には、高い透明度、透過率を実現する透明ディスプレイの例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-92511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、透明ディスプレイの技術に関して、新しい使い方などを提案し、コミュニケーションや利便性などを向上できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、第1面を有する第1基板と、前記第1面の反対側にある第2面を有する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、背景光を透過する透明状態と画像を表示する表示状態との遷移が可能な画素を有する表示層と、前記第1基板、前記第2基板、および前記表示層が重なる領域に設けられた表示領域と、前記表示層の前記画素の状態を制御するコントローラと、を備え、前記第1面側から前記画像および前記第2面側の背景が視認可能である透明表示装置であって、前記表示領域の前記第1面側にいるユーザと前記表示領域との距離、および前記距離に対応した前記表示領域での位置を検出するためのセンサデバイスを備え、前記コントローラは、前記センサデバイスの検出情報を用いて、前記距離に応じて、前記位置に対応した一部の領域における、前記画素の前記透明状態と前記表示状態との遷移を制御することで、透明度合いを変えるように制御する、ことを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様は、第1面を有する第1基板と、前記第1面の反対側にある第2面を有する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、背景光を透過する透明状態と画像を表示する表示状態との遷移が可能な画素を有する表示層と、前記第1基板、前記第2基板、および前記表示層が重なる領域に設けられた表示領域と、前記表示層の前記画素の状態を制御するコントローラと、を備え、前記第1面側から前記画像および前記第2面側の背景が視認可能である透明表示装置であって、前記表示領域の前記第1面側にいるユーザと前記表示領域との距離、および前記距離に対応する前記表示領域での位置を検出するためのセンサデバイスを備え、前記コントローラは、前記センサデバイスの検出情報を用いて、前記距離に応じて、前記位置に対応した一部の領域に、前記画素の前記透明状態と前記表示状態との遷移を制御することで、画像を追加して表示するように制御する、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1の透明表示装置を含むシステムの構成を示す図。
図2】実施の形態1の透明表示装置の基本的な特性についての説明図。
図3】実施の形態1の透明表示装置のハードウェア構成例の斜視図。
図4】実施の形態1の透明表示装置の断面図。
図5】実施の形態1の透明表示装置の回路の構成例を示す図。
図6】実施の形態1の透明表示装置で、コントローラの構成例を示す図。
図7】実施の形態1の透明表示装置で、透明化制御の画面表示例を示す図。
図8】実施の形態1の透明表示装置で、距離等の説明図として、横から見た図、および上から見た図。
図9】実施の形態1の透明表示装置で、処理フローを示す図。
図10】実施の形態1の透明表示装置で、透明度の制御についての説明図。
図11】実施の形態1の透明表示装置で、透明面積の制御についての説明図。
図12】実施の形態1の透明表示装置で、透明度かつ透明面積の制御、および動きに追随する制御についての説明図。
図13】実施の形態1の透明表示装置で、視線を用いた制御についての説明図。
図14】実施の形態2の透明表示装置を含むシステムの構成を示す図。
図15】実施の形態2の透明表示装置で、追加画像表示の制御についての説明図。
図16】実施の形態2の透明表示装置で、通知の制御についての説明図。
図17】実施の形態2の変形例の透明表示装置で、多段階文字サイズ制御についての説明図。
図18】実施の形態3の透明表示装置を含むシステムの構成を示す図。
図19】実施の形態4の透明表示装置を含むシステムの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本開示の実施の形態を詳細に説明する。図面において、同一部には原則として同一符号を付し、繰り返しの説明を省略する。図面において、構成要素の表現は、発明の理解を容易にするために、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0010】
説明上、プログラムによる処理について説明する場合に、プログラムや機能や処理部等を主体として説明する場合があるが、それらについてのハードウェアとしての主体は、プロセッサ、あるいはそのプロセッサ等で構成されるコントローラ、装置、計算機、システム等である。計算機は、プロセッサによって、適宜にメモリや通信インタフェース等の資源を用いながら、メモリ上に読み出されたプログラムに従った処理を実行する。これにより、所定の機能や処理部等が実現される。プロセッサは、例えばCPU/MPUやGPU等の半導体デバイス等で構成される。処理は、ソフトウェアプログラム処理に限らず、専用回路でも実装可能である。専用回路は、FPGA、ASIC、CPLD等が適用可能である。
【0011】
プログラムは、対象計算機に予めデータとしてインストールされていてもよいし、プログラムソースから対象計算機にデータとして配布されてもよい。プログラムソースは、通信網上のプログラム配布サーバでもよいし、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体、例えばメモリカードやディスクでもよい。プログラムは、複数のモジュールから構成されてもよい。コンピュータシステムは、複数台の装置によって構成されてもよい。コンピュータシステムは、クライアント・サーバシステム、クラウドコンピューティングシステム、IoTシステム等で構成されてもよい。各種のデータや情報は、例えばテーブルやリスト等の構造で構成されるが、これに限定されない。識別情報、識別子、ID、名前、番号等の表現は互いに置換可能である。
【0012】
<実施の形態1>
図1図13を用いて、実施の形態1の透明表示装置について説明する。実施の形態1の透明表示装置は、図1等に示す透明ディスプレイ1である。この透明ディスプレイ1は、光透過性を有する画面20(それに対応する表示領域)に画像を表示する。この透明ディスプレイ1は、ユーザU1が画面20に近付いた際に、近付いた距離Dおよび近付いた箇所A1に応じて、その箇所A1に対応する一部の領域A2を透明化させる。すなわち、透明ディスプレイ1は、その領域A2を、画像を表示する表示状態から、背景を透過する透明状態に変更する。これにより、ユーザU1は、その近付いた箇所A1を介して背景の物体B1等が視認しやすくなる。
【0013】
透明ディスプレイ1は、画面20の画素ごとに、少なくとも、上記表示状態と透明状態とを切り替えることができる。言い換えると、透明ディスプレイ1は、透明化の制御として、透明化のオフ状態である表示状態と、透明化のオン状態である透明状態とを切り替えることができる。上記表示状態は、背景よりも、画面20に表示される画像を視認しやすくする状態であり、上記透明状態は、画面20に表示される画像よりも、背景を視認しやすくする状態である。
【0014】
また、透明ディスプレイ1は、画面20の画素ごとに、表示状態と透明状態との間での透明度合い(透明度と記載する場合がある)を、オン/オフの二値に限らずに、多値で変更することもできる。また、透明ディスプレイ1は、透明化のオン/オフまたは透明度を制御する際の画素の領域A2の面積などを変更することもできる。透明ディスプレイ1は、例えば、ユーザU1が画面20に近付いた際の距離Dが近くなるほど、近付いた位置NPに対応した領域A2の透明度を高くし、面積を大きくするように制御する。
【0015】
実施の形態1では、透明ディスプレイ1の表示層13として液晶層を有する液晶表示装置の場合を説明する。実施の形態1では、透明ディスプレイ1を構成する本体10である透明表示パネルは、画面20の表示領域の透明度合いを表す透過率として、窓ガラス程度である透過率84%を実現するものを使用した場合を説明する。
【0016】
実施の形態1の透明ディスプレイ1は、任意の位置に設置して利用可能である。実施の形態1の透明ディスプレイ1は、例えば人と人とが対面するカウンターや窓口、人と人との間のパーティション、店舗等のショーウィンドウガラス等において、設置が可能である。
【0017】
[透明ディスプレイ]
図1は、実施の形態1の透明表示装置である透明ディスプレイ1を含むシステムの構成を示す。図1のシステムは、透明ディスプレイ1を有する。透明ディスプレイ1は、本体10である透明表示パネルと、本体10に接続または内蔵されるコントローラ2と、本体10に設置されているカメラ3とを備える。図1では、透明ディスプレイ1の画面20を前面である第1面s1側から視認するユーザU1と、背面である第2面s2側に配置されている物体B1(言い換えると背景物)とを有する場合を示す。図1では、透明ディスプレイ1の本体10の画面20などを模式で斜視図として示している。
【0018】
透明ディスプレイ1は、画面20を構成する、第1基板11、第2基板12、および表示層13を有する本体10(言い換えると透明表示パネル)を有する。コントローラ2は、本体10に電気的に接続されている。実施の形態1では、表示層13は液晶層である。表示層13は、画面20に対応する表示領域を構成する複数の画素を有する(後述の図3等)。
【0019】
本体10および画面20は、第1基板11側の第1面s1と、第2基板12側の第2面s2とを有する。説明上、第1面s1を前面(言い換えると表面)とし、第2面s2を背面(言い換えると裏面)とする。透明ディスプレイ1は、表示層13を制御することで、第1面s1側の人に向けて映像を表示することもできるし、第2面s2側の人に向けて映像を表示することもできる。透明ディスプレイ1で、表示層13の制御に対応して画面20に画像・映像が表示された場合、その表示画像は、第1面s1側にいる人からも、第2面s2側にいる人からも視認できる(後述の図2)。
【0020】
図1の例では、透明ディスプレイ1の画面20の前面である第1面s1側にユーザU1が近付いた状態であり、第1面s1に対し前にいるユーザU1は、画面20の表示画像を視認できるとともに、第2面s2側の背景も視認できる。図1では、画面20の表示画像をドットパターンとして模式で図示している。また、図1の例では、第2面s2側に背景の物体B1の例としてリンゴが設置されており、破線として模式で図示している。第2面s2側に人がいる場合、その人は、画面20の表示画像を視認できるとともに、第1面s1側の背景も視認できる。
【0021】
コントローラ2は、表示層13である液晶層の画素の表示の状態を制御することにより、画面20に画像・映像を表示する。コントローラ2は、各画素の状態として、表示状態と透明状態との間で、階調および透過度合いを制御する。コントローラ2は、本体10に内蔵されてもよいし、本体10の外部に接続されてもよい。例えば、第1基板11や第2基板12の一部に、駆動回路などの他に、コントローラ2を構成する制御回路が実装されてもよい。コントローラ2は、本体10に対し外部のPC等の装置であってもよい。その他、図示しないが、本体10には、マイクやスピーカ、ランプ等が設置・接続されてもよい。
【0022】
カメラ3は、本体10に設置されたセンサデバイスの一種である。カメラ3は、画面20の前面である第1面s1に対し、前方を撮影し、人が近付いたことを検出する。カメラ3は、本例ではCCDカメラ等を用いるが、これに限定されず、人が近付いたことや、その人との距離や位置等を検出可能なセンサデバイスであればよい。カメラ3は、ステレオカメラ、測距センサ、赤外線センサ、LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)等であってもよい。また、本例では、カメラ3は、撮影した画像をコントローラ2に送信し、コントローラ2は、その撮影画像(言い換えるとカメラ画像)に基づいて、画像処理を行うことで、画面20にユーザU1が近付いたこと、および、画面20とその近付いたユーザU1との距離Dなどを検出する。これに限定されず、カメラ3は、そのような検出処理を行うプロセッサや回路等を備えるモジュールとしてもよい。
【0023】
また、後述する視線検出を用いる場合、カメラ3は、アイトラッキングデバイスとしてもよい。
【0024】
図1では、ユーザU1と画面20との距離をDで示す。特に、ユーザU1の顔UF(または頭)と、画面20内の位置NP(言い換えると点、画素)との距離がDである。また、後述するが、ユーザU1の視線を検出して利用してもよい。その場合、ユーザU1の目UEからの視線をELで示し、視線ELの先の、画面20内の注視点をEPで示す。
【0025】
図1では、画面20に対しユーザU1が近付いた場合に、近付いた箇所を、おおまかに破線円のような箇所A1で示す。箇所A1は、距離Dの位置NPを中心とした円である。また、近付いた箇所A1に対応させて、制御上の画素領域、一部の領域を、矩形のような領域A2で示す。領域A2は、距離Dの位置NPを中心とした矩形である。領域A2は、後述の透明化の制御がされる領域となる。領域A2は、正方形とする場合を図示しているが、これに限定されず、任意の図形とすることが可能である。
【0026】
説明上、座標系や方向として、図示の(X,Y,Z)や(x,y)を用いる場合がある。図1でのX軸・X方向およびY軸・Y方向は、直交する2つの水平方向であり、Z軸・Z方向は、鉛直方向である。X方向は、ユーザU1から見て左右方向であり、Z方向は、ユーザU1から見て上下方向であり、Y方向はユーザU1から見て前後方向である。また、図1でのx方向は、画面20を構成する横方向(画面内水平方向)であり、y方向は、画面20を構成する縦方向(画面内垂直方向)である。
【0027】
図1の透明ディスプレイ1、特にコントローラ2は、所定の通信インタフェース、例えばHDMIインタフェースを通じて、外部の機器と接続されてもよい。透明ディスプレイ1は、外部の機器として例えば映像ソース機器からの映像信号を受信・入力し、画面20に表示するようにしてもよい。その場合の透明ディスプレイ1は、モニタディスプレイとして機能する。
【0028】
[透明ディスプレイの基本的な特性]
図2を用いて、実施の形態1の透明ディスプレイ1の基本的な特性について説明する。透明ディスプレイ1は、図1での画面20に表示された映像、図2での表示画像DGを、人が前面である第1面s1側から視認できるとともに、背面である第2面s2側からも視認できるディスプレイである。
【0029】
透明ディスプレイ1は、第1面s1側にいる人から、画面20の表示画像および第2面s2側の背景を視認可能であり、第2面s2側にいる人から、画面20の表示画像および第1面s1側の背景を視認可能な特性を有する。画面20である表示領域には、第1面s1側の人に向けて画像を表示した場合に、その画像は、第2面s2側にいる人からも視認できる。ただし、その際の画像は、背面側から見た内容・状態となり、前面側から見た内容・状態とは異なる。
【0030】
図2は、透明ディスプレイ1を横から見た模式説明図である。(A)は、透明ディスプレイ1の第1面s1である前面に対し前側(方向Y2)に人がいて、その人の視点UE1から画面20の表示画像DGを視認する場合を示す。(B)は、逆に、透明ディスプレイ1の第1面s1に対し反対側の第2面s2である背面に対し前側(方向Y1)に人がいて、その人の視点UE2から画面20の表示画像DGを視認する場合を示す。
【0031】
(A)では、第1の観察者である人が、視点UE1から、透明ディスプレイ1の本体10の画面20を、一方の第1面s1側から他方の第2面s2側への方向(方向Y1)で見る。この場合、第1の観察者は、画面20の表示画像DG、例えば文字「ABC」像、それに対応する画像光DGL1が視認できるとともに、第2面s2側にある背景の物体BG1、それに対応する背景光BGL1が第1面s1側に透過して視認される。
【0032】
(B)では、第2の観察者である人が、視点UE2から、透明ディスプレイ1の本体10の画面20を、第2面s2側から第1面s1側への方向(方向Y2)で見る。この場合、第2の観察者は、表示画像DG、それに対応する画像光DGL2が視認できるとともに、第1面s1側の背景の物体BG2、それに対応する背景光BGL2が第2面s2側に透過して視認される。
【0033】
本体10の第1面s1および第2面s2、少なくとも画面20が構成されている表示領域については、上記のような特性、言い換えると背景透過性などを有する。本体10の第1面s1および第2面s2のうち、表示領域以外の周辺領域(後述の図3等)については、上記特性を同様に有する構成としてもよいし、背景を透過しない遮光性を有する構成としてもよい。
【0034】
なお、図2の例のように、画面20に表示される表示画像DGは、前面側または背面側の一方に向けた状態の像として表示される。例えば、(A)のように第1面s1側にいる人(第1の観察者)に向けた文字画像「ABC」が表示される。この場合、(B)のように第2面s2側にいる人(第2の観察者)からその同じ文字画像を視認する場合、文字「ABC」が左右方向で反転した像として見える。
【0035】
[透明ディスプレイのハードウェア構成例]
図3図5を用いて、実施の形態1の透明ディスプレイ1のハードウェア構成例を説明する。図3は、透明ディスプレイ1の本体10の構成例の概要を示す斜視図である。図4は、図3のA-A線に沿った断面図であり、透明ディスプレイ1の光源部50から出射された光の経路等についても模式的に示している。図5は、本体10に形成される回路の構成例を示している。
【0036】
図3では、本体10である透明表示パネルについて、主に第1面s1を見た斜視図を示している。本体10である透明表示パネルは、第1基板11、第2基板12、表示層13、光源部50、および駆動回路70を有する。前後方向であるY方向において、前面である第1面s1側から、第1基板11、表示層13、および第2基板12が配置されている。
【0037】
この本体10である透明表示パネルは、液晶表示パネルである。第1基板11は対向基板であり、第2基板12はアレイ基板であり、表示層13は液晶層である。画面20の表示層13の画素PIXは、全方向にわたって発光する。
【0038】
図3では、図1の座標系に合わせて、本体10である透明表示パネルの厚さ方向に沿った方向をY方向とし、Y方向に直交するX-Z平面において、透明表示パネルの一辺の延在方向をX方向とし、X方向に交差する方向をZ方向としている。また、画面20内の座標系(x,y)として、X方向に対応したx方向が横方向(画面内水平方向)であり、Z方向に対応したy方向が縦方向(画面内垂直方向)である。本例では、画面20は、X方向(x方向)のサイズの方がZ方向(y方向)のサイズよりも大きい横長の画面としているが、これに限定されない。
【0039】
第1面s1において、画面20に対応した表示領域DAと周辺領域PFAとを有する。なお、本例では周辺領域PFAも画面20の一部としている。画面20を構成する表示領域DAは、第1基板11、第2基板12、および表示層13をY方向で平面視した場合に重なる領域にある。表示領域DAの外側に周辺領域PFAがある。表示領域DAと周辺領域PFAの境界を二点鎖線で示している。
【0040】
表示領域DAは、外部から供給される入力信号に応じて画像・映像が形成される領域である。表示領域DAは、平面視、例えばY方向で第1面s1を見た場合や第2面s2を見た場合に画像・映像が表示される有効領域である。表示領域DAに対応する表示層13には、複数の画素PIXがマトリクス状に形成されている。
【0041】
周辺領域PFAは、表示領域DAの周囲にある四辺を含む領域、言い換えると額縁領域であり、画像・映像は表示されない。
【0042】
図3のように、本例では、第2基板12は、第1基板11よりも、X方向での幅が大きい。第2基板12は、第1面s1側で、X方向での一方側に延長された領域30、本例では右辺領域を有する。その領域30に、光源部50および駆動回路70が搭載されている。
【0043】
光源部50(言い換えると光源装置)は、画面20に対し右辺の周辺領域PFAに沿って配置されている。光源部50は、表示層13での液晶表示のための光源光を発生し、表示層13に供給する。
【0044】
駆動回路70は、第1基板11、第2基板12、表示層13、および光源部50の駆動のための電気信号を発生し、それらの各部に供給する。図3では、透明表示パネルが備える回路のうち、画素PIXに対応した液晶を駆動するための信号を伝送する信号配線の一部、詳しくは後述のゲート線GLおよびソース線SLを、一点鎖線で模式的に示している。
【0045】
この透明表示パネルは、図3に示す構成要素の他に、例えば、制御回路、フレキシブルプリント回路基板、筐体などを有する場合もある。駆動回路の一部が周辺領域PFAに実装されてもよい。筐体は、例えば第1基板11、表示層13、および第2基板12を固定するものが挙げられる。図3ではそれらの要素については省略している。また、本例では表示領域DAは四角形であるが、これに限定されず、多角形や円形などの他の形状でもよい。また、本例では領域30に光源部50および駆動回路70が搭載されているが、これに限定されない。変形例としては、第1基板11や第2基板12とは別に、図示しない光源用基板や駆動回路基板が周辺領域PFAに取り付けられ、光源用基板に光源部50が搭載されている構成や駆動回路基板に駆動回路70が搭載されている構成なども可能である。
【0046】
図4のX-Y断面図において、本体10である透明表示パネルにおける、光源部50から出射された光の光路や、液晶の状態などについて説明する。本体10である透明表示パネルは、表示層13として液晶層LQLを介して対向するように貼り合わせられた第1基板11および第2基板12を有している。第1基板11と第2基板12は、液晶層LQLを介して、透明表示パネルの厚さ方向であるY方向に配列されている。言い換えれば、第1基板11と第2基板12は、透明表示パネルの厚さ方向であるY方向において互いに対向する。
【0047】
第2基板12であるアレイ基板は、液晶層LQLおよび第1基板11と対向する前面12fを有する。第1基板11である対向基板は、第2基板12の前面12fおよび液晶層LQLと対向する背面11bを有する。液晶を含む液晶層LQLは、第2基板12の前面12fと第1基板11の背面11bとの間にある。液晶層LQLは、言い換えると光学変調素子である。
【0048】
第2基板12は、後述のスイッチング素子(言い換えると能動素子)としての複数のトランジスタ(言い換えるとトランジスタ素子)がアレイ状に配置されたアレイ基板である。第1基板11は、第2基板12であるアレイ基板に対向配置された基板という意味で、対向基板と言い換えることができる。
【0049】
本体10である透明表示パネルは、上記スイッチング素子を介して液晶層LQLの周辺に形成される電界の状態を制御することにより、その液晶層LQLの液晶を通過する光を変調する機能を備えている。表示領域DAは、液晶層LQLと重畳する領域に設けられている。
【0050】
第1基板11と第2基板12は、シール部(言い換えるとシール材)SLMを介して接着されている。シール部SLMは、表示領域DAの周囲を囲むように配置されている。シール部SLMの内側に液晶層LQLがある。シール部SLMは、第1基板11と第2基板12との間に液晶を封入する役割、および、第1基板11と第2基板12とを接着する接着材としての役割を果たす。
【0051】
光源部50は、第1基板11の一方の側面11s1と対向する位置に配置されている。光源部50から出射された光である光源光L1を、二点鎖線で模式的に示す。光源部50からX方向で出射された光源光L1は、図示のように、第2基板12の背面12bである第2面s2および第1基板11の前面11fである第1面s1で反射しながら、側面11s1から遠ざかる方向、本例では方向X2に伝搬する。光源光L1の伝搬経路において、第2基板12の背面12bおよび第1基板11の前面11fは、屈折率の大きな媒質と、屈折率の小さな媒質との界面である。このため、光源光L1が前面11fおよび背面12bに入射する入射角が臨界角よりも大きい場合、光源光L1は、前面11fおよび背面12bにおいて全反射する。
【0052】
液晶層LQLの液晶は、高分子分散型液晶であり、液晶性ポリマーと液晶分子を含んでいる。液晶性ポリマーは、筋状に形成され、液晶分子は、液晶性ポリマーの隙間に分散されている。液晶性ポリマーおよび液晶分子の各々は、光学異方性あるいは屈折率異方性を有している。液晶性ポリマーの電界に対する応答性は、液晶分子の電界に対する応答性より低い。液晶性ポリマーの配向方向は、電界の有無にかかわらず殆ど変化しない。
【0053】
一方、液晶分子の配向方向は、液晶に閾値以上の高い電圧が印加された状態では、電界に応じて変化する。液晶に電圧が印加されていない状態では、液晶性ポリマーおよび液晶分子のそれぞれの光軸は互いに平行であり、液晶層LQLに入射した光源光L1は、液晶層LQL内で殆ど散乱されることなく透過する。このような状態を透明状態と記載する場合がある。
【0054】
液晶に電圧が印加された状態では、液晶性ポリマーおよび液晶分子のそれぞれの光軸は互いに交差し、液晶に入射した光源光L1は、液晶層LQL内で散乱される。このような状態を散乱状態(言い換えると表示状態)と記載する場合がある。
【0055】
本体10である透明表示パネル、詳しくは制御回路や駆動回路70は、光源光L1の伝搬経路における液晶の配向を制御することにより、上記透明状態と散乱状態(言い換えると表示状態)とを制御する。散乱状態において、光源光L1は、液晶により放出光L2として、前面11fである第1面s1側および背面12bである第2面s2側から透明表示パネルの外部に出射される。この放出光L2は、表示画像光に相当する。
【0056】
また、背面12bである第2面s2側から入射した背景光L3は、第2基板12、液晶層LQL、および第1基板11を透過して、前面11fである第1面s1から外部に出射される。
【0057】
これらの放出光L2および背景光L3は、前述の図2の(A)のように、前面である第1面s1側にいる第1の観察者の視点UE1から視認される。放出光L2は画像光DGL1と対応し、背景光L3は背景光BGL1と対応する。第1の観察者は、放出光L2と背景光L3とを組み合わせて認識することができる。言い換えると、第1の観察者は、背景光L3に放出光L2が重畳した状態を認識することができる。このように、この透明表示パネルは、観察者が表示画像と背景とを重ね合わせて認識することが可能な特性を有する表示パネルである。
【0058】
図4の透明表示パネルの場合には、前面である第1面s1および背面である第2面s2の可視光透過性を確保するために、平面視で表示領域DAと重ならない位置に光源部50が配置された構造を備える。また、この透明表示パネルは、導光部材として機能する第1基板11および第2基板12と、周囲の空気層との屈折率差を利用して、光源光L1を反射させる。これにより、この透明表示パネルは、光源部50と対向する反対側の側面11s2まで光を届ける機構を備える。
【0059】
図5で、本体10である透明表示パネルに備える回路の構成例について説明する。図5では、駆動回路70、光源部50、および表示領域DAの画素PIX(図3)の構成例を示している。駆動回路70には、画像の表示を制御する制御回路を備える制御部90が接続されている。この制御部90は、図1でのコントローラ2に相当する。これに限らず、制御部90は、駆動回路70とともに透明表示パネルに搭載されてもよい。
【0060】
駆動回路70は、信号処理回路71、画素制御回路72、ゲート駆動回路73、ソース駆動回路74、コモン電位駆動回路75、および光源制御部52を備える。また、光源部50は、例えば発光ダイオード素子51r(例えば赤色)、発光ダイオード素子51g(例えば緑色)、および発光ダイオード素子51b(例えば青色)を備える。
【0061】
信号処理回路71は、入力信号解析部711、記憶部712、および信号調整部713を備える。信号処理回路71の入力信号解析部711には、制御部90から、図示しないフレキシブルプリント回路基板などの配線経路を介して、入力信号VSが入力される。入力信号解析部711は、入力された入力信号VSに基づいて解析処理を行い、入力信号VCSを生成する。入力信号VCSは、例えば、入力信号VSに基づいて、各画素PIX(図3)にどのような階調値を与えるかを定める信号である。
【0062】
信号調整部713は、入力信号解析部711から入力された入力信号VCSから入力信号VCSAを生成する。信号調整部713は、入力信号VCSAを画素制御回路72へ送出し、光源制御信号LCSAを光源制御部52へ送出する。光源制御信号LCSAは、例えば、画素PIXへの入力階調値に応じて設定される光源部50の光量の情報を含む信号である。
【0063】
画素制御回路72は、入力信号VCSAに基づいて、水平駆動信号HDSと垂直駆動信号VDSを生成する。例えば、本実施例では、複数の画素PIXは、フィールドシーケンシャル方式で駆動される。そのため、画素制御回路72では、水平駆動信号HDSと垂直駆動信号VDSが、光源部50が発光可能な色毎に生成される。
【0064】
ゲート駆動回路73は、水平駆動信号HDSに基づいて、1垂直走査期間内に透明表示パネルのゲート線GL(言い換えると信号配線)を順次選択する。ゲート線GLの選択の順番は任意である。図3に示すように、複数のゲート線GLは、X方向(x方向)に延び、かつ、Z方向(y方向)に沿って複数本が配列されている。
【0065】
ソース駆動回路74は、垂直駆動信号VDSに基づいて、1水平走査期間内に透明表示パネルの各ソース線SL(言い換えると信号配線)に各画素PIXの出力階調値に応じた階調信号を供給する。図3に示すように、複数のソース線SLは、Z方向(y方向)に延び、かつ、X方向(x方向)に沿って複数本が配列されている。ゲート線GLとソース線SLとの交差毎に、一つの画素PIXが形成されている。
【0066】
ゲート線GLとソース線SLとが交差する部分のそれぞれには、スイッチング素子Trが形成されている。複数のゲート線GLおよび複数のソース線SLは、図4の液晶層LQLの液晶を駆動するための駆動信号を伝送する複数の信号配線に相当する。
【0067】
スイッチング素子Trとしては例えば薄膜トランジスタが用いられる。薄膜トランジスタの種類は特に限定されない。スイッチング素子Trのソース電極およびドレイン電極のうち一方はソース線SLに接続され、ゲート電極はゲート線GLに接続され、ソース電極およびドレイン電極のうち他方は、高分子分散型液晶LC(図4の液晶層LQLの液晶に相当する)の容量の一端に接続されている。高分子分散型液晶LCの容量は、一端がスイッチング素子Trに画素電極PEを介して接続され、他端がコモン電極CEを介してコモン電位配線CMLに接続されている。また、画素電極PEと、コモン電位配線CMLに電気的に接続されている保持容量電極との間には、保持容量HCが生じる。コモン電位配線CMLは、コモン電位駆動回路75より供給される。図5のコモン電極CEに接続される配線経路は、例えば図3の第1基板11に形成されている。図5では、第1基板11に形成された配線を点線で図示している。
【0068】
図5に示す構成例では、駆動回路70に光源制御部52が含まれている。変形例としては、駆動回路70とは別に光源部50および光源制御部52が設けられている場合がある。前述のように、光源部50が第2基板12とは別の光源用基板に搭載されている場合、光源制御部52は、その光源用基板に形成されていてもよいし、その光源用基板に搭載された電子部品に形成されていてもよい。
【0069】
[透明ディスプレイの利用]
上記のような透明ディスプレイ1を用いて、例えば、店舗等の空間では、前面である第1面s1側にいる人(図1でのユーザU1)と背面である第2面s2側にいる人との間での対面で、画面20の表示領域DAの表示画像を介したコミュニケーション等が可能である。あるいは、例えば第1面s1側にのみ人(図1でのユーザU1)がいる場合に、その人は、画面20の表示画像を背景と重ね合わせて見ることや、所定のユーザインタフェースでの透明ディスプレイ1の利用が可能である。
【0070】
上記透明ディスプレイ1には、マイク、音声認識システム、言語翻訳システム等が接続または内蔵されてもよい。その場合、透明ディスプレイ1は、例えば背面側にいるユーザの音声を入力して、文字情報に変換し、その文字情報に対応した文字映像を画面20に表示できる。前面側にいる人は、画面20を透過して背面側の人を見ながら、画面20に表示された文字映像を視認できる。透明ディスプレイ1には、上記のような文字起こし機能を備えてもよい。
【0071】
また、透明ディスプレイ1は、上記音声認識システム等を用いて、ユーザが入力した音声を所定のコマンド等に変換し、そのコマンド等によって透明ディスプレイ1の機能を実行・制御させてもよい。
【0072】
また、透明ディスプレイ1には、スピーカ、音声合成システム等が接続または内蔵されてもよい。その場合、透明ディスプレイ1は、例えば画面20に表示される文字映像に対応した文字情報を音声に変換してスピーカから出力できる。これにより、ユーザは、画面20の文字映像とともに音声を聞きながら、コミュニケーション等が可能である。
【0073】
[コントローラ]
図6は、制御装置であるコントローラ2の構成例を示す機能ブロック図である。図6のコントローラ2は、プロセッサ1001、メモリ1002、通信インタフェース装置1003、入出力インタフェース装置1004等を備え、これらはバス等を介して相互に接続されている。プロセッサ1001は、制御プログラム1011に従った処理を実行する。これにより、所定の機能や処理部などが実現される。プロセッサ1001により実現される機能や処理部としては、顔検知処理、画像生成処理、表示処理などがある。これらの詳細については後述の図9等で示される。メモリ1002には、制御プログラム1011、設定情報1012、画像データ1013、その他、処理に関するデータ・情報が格納されている。制御プログラム1011は、機能などを実現するコンピュータプログラムである。設定情報1012は、システム設定情報やユーザ設定情報である。画像データ1013は、画面20に画像・映像を表示させるためのデータである。通信インタフェース装置1003は、カメラ3や本体10の駆動回路70、外部の機器などと接続され、所定の通信インタフェースで通信処理を行う。入出力インタフェース装置1004には入力デバイスや出力デバイスが接続可能である。
【0074】
[透明化制御]
次に、図1等に示す実施の形態1の透明ディスプレイ1における特徴の1つとして、透明化制御について説明する。図1の透明ディスプレイ1は、コントローラ2による制御に基づいて、画面20に画像(図1ではドットパターン領域)を表示している際に、ユーザU1が近付いた箇所A1に対応する領域A2を透明化する機能を有する。
【0075】
透明ディスプレイ1において、このような透明化制御機能を実現するために必要な、画面20の表示領域DAの画像の透明度合いを変化させる仕組み、すなわち、表示層13である液晶層LQLにおける各画素の透明度合いを変化させる仕組みは、図3図5に示した通り、公知技術を適用できる。
【0076】
図7は、透明化制御についての説明図として、第1面s1側にいるユーザU1からY方向で画面20を平面視した場合のX-Z面(x-y面)での模式構成図を示す。図1のように、画面20の第1面s1側に対し、ユーザU1の身体、例えば顔UFが近付いた場合に、透明ディスプレイ1の特にコントローラ2は、カメラ3を用いて、その近付いたことを検出する。また、透明ディスプレイ1の特にコントローラ2は、カメラ3の画像に基づいて、ユーザU1と画面20との距離Dを検出する。図1では、距離Dは、顔UFと位置NPとの距離である。
【0077】
透明ディスプレイ1のコントローラ2は、図1および図7のように、ユーザU1が近付いた箇所A1および位置NPに対応させて選択・設定した領域A2について、画素の状態を制御することで、透明化を制御する。具体的には、コントローラ2は、その領域A2についての画素の状態を、通常の画像表示の表示状態(図7での状態SA)から、画像を透明にして背景を透過させる透明状態(図7での状態SB)へ変更する。図7では、領域A2は、状態SB(白領域で図示している)であり、領域A2以外の領域は、状態SA(斜線パターンで図示している)である。状態SAは、言い換えると透明化オフ状態であり、図4の液晶層LQLの液晶としては散乱状態、すなわち主に放出光L2を放出する状態に相当する。状態SBは、言い換えると透明化オン状態であり、図4の液晶層LQLの液晶としては透明状態、すなわち主に背景光L3を透過する状態に相当する。状態SAを第1透明度、状態SBを第2透明度とすると、状態SBは状態SAよりも透明度が高い状態である(第2透明度>第1透明度)。
【0078】
図7の例では、距離Dがある距離以下になった場合に、領域A2が透明化の状態SBにされている。これにより、ユーザU1の視点から、領域A2を介して、背景にある物体B1がよく視認できる。また、透明化制御の一例は、状態SA(透明化のオフ状態)と状態SB(透明化のオン状態)との二値で透明化のオン/オフを制御するものである。この制御の場合、領域A2の透明化の状態SBは、例えばハードウェアに基づいて可能な最大の透明度とされる。これに限定されず、領域A2の状態SBの透明度は、可能な範囲内で設定された所定の透明度とされてもよい。また、後述するが、透明化制御の他の例として、領域A2の状態SBの透明度は、距離Dの大きさに応じて連続的に可変される多値の透明度として制御されてもよい。
【0079】
[距離について]
図8は、図7に対応した、距離D等についての説明図である。図8の(A)は、透明ディスプレイ1を横から見たY-Z面での模式説明図である。図8の(B)は、透明ディスプレイ1を上から見たX-Y面での模式説明図である。図7図8の例では、Y方向で、本体10の画面20に対し、前面である第1面s1側にいるユーザU1の視点(目UE)から、領域A2を介して、表示画像および背景の物体B1を見る場合を示している。図8の(A)の例では、ユーザU1の顔UF、領域A2、および物体B1の高さは概略同じであるとする。図8の(B)の例では、本体10の画面20に対し、第1面s1側から近付いたユーザU1は、画面20に対し顔UFがやや斜めであり、視線ELは物体B1の方を向いていて画面20に対しやや斜めである。
【0080】
カメラ3は、本体10または本体10の近傍の所定の位置、本例では上辺の中央の位置に設置されている。カメラ3は、第1面s1から前方(方向Y2)を撮影している。コントローラ2は、カメラ3の画像に基づいて、例えば人の顔、例えばユーザU1の顔UFを検出し、その顔UFが画面20に対しある程度以上に近付いたことを検出する。コントローラ2は、例えば、カメラ画像内から顔UFを認識・抽出した場合に、ユーザU1が画面20に近付いたと判断してもよい。あるいは、コントローラ2は、例えば、顔UFと画面20(例えば位置NP)との距離Dを算出し、その距離Dが、所定の距離閾値(例えば図8の(A)でのD0)以下になった場合に、ユーザU1が画面20に近付いたと判断してもよい。
【0081】
図7図8では、距離Dは、画面20に対する垂線を用いて算出される場合を示している。顔UFまたは目UEから画面20に垂線をひいた場合の交点が位置NPである。一例では、コントローラ2は、この位置NPを用いて領域A2を設定する。
【0082】
コントローラ2は、ユーザU1が画面20に近付いたと判断した場合、近付いた位置NPに対応させた領域A2を設定する。例えば図7図8のように、位置NPを中心として、所定のサイズ、または距離Dに応じたサイズで、領域A2が設定される。そして、コントローラ2は、その領域A2を、図7のように、表示状態/透明化オフ状態である状態SAから、透明化オン状態である状態SBに変化させるように制御する。ユーザU1の目UEから領域A2を見た場合、その領域A2では、透明化によって元の表示画像が見えない、もしくは見えにくい状態になっている。なおかつ、この場合、領域A2を介して、第2面s2側からの背景光BGLが前方に透過するので、背景にある物体B1が見えやすい状態となっている。
【0083】
また、後述するが、ユーザU1の視線ELを用いて透明化制御する場合には、透明ディスプレイ1は、カメラ3(あるいはアイトラッキングデバイス)を用いて、画面20に近付いたユーザU1の視線ELを検出し、その視線ELが画面20に交わる位置である注視点EPを検出する。そして、コントローラ2は、距離Dおよび注視点EPを用いて、注視点EPに対応させた領域A2を設定して、透明化を制御する。例えば注視点EPを中心として領域A2が設定される。
【0084】
図7図8の例では、ユーザU1の顔UFと画面20内の位置NPとの距離Dを用いたが、これに限定されず、ユーザU1の身体の一部と画面20との距離を用いればよい。変形例では、カメラ3の位置からユーザU1の顔UF等の部位までの距離を用いてもよいし、画面20内の所定の位置、例えば中央点から、ユーザU1の顔UF等の部位までの距離を用いてもよい。
【0085】
[処理フロー]
図9は、実施の形態1でのコントローラ2による基本的な処理フロー例を示す。図9のフローは、ステップS1~S6を有する。
【0086】
ステップS1では、透明ディスプレイ1の装置のオン状態で、コントローラ2は、画面20の表示領域DAに、画像を表示する。この画像は、用途に応じた任意の映像である。一例では、この画像は、環境映像でもよいし、店舗での広告の映像でもよいし、役所での手続き案内の映像でもよい。
【0087】
ステップS2で、カメラ3は、第1面s1に対し前方を撮影した画像をコントローラ2へ送信する。コントローラ2は、カメラ3の画像の処理に基づいて、画面20の第1面s1に対しユーザU1が近付いたことを検出する。この近付きの検出は、カメラ3の画像内での顔UFの検出でもよいし、画面20から所定の距離範囲内に入ったことの検出でもよい。
【0088】
ステップS3で、コントローラ2は、画面20に近付いたユーザU1について、前述のような、ユーザU1の身体(例えば顔UF)と画面20との距離D、および近付いた箇所の位置NPを算出する。
【0089】
ステップS4で、コントローラ2は、距離Dが、所定の距離閾値D1以下になったかどうかを判断する。D≦D1の場合(YES)には、ステップS5へ進み、D>D1の場合(NO)には、ステップS6へ進む。
【0090】
なお、ステップS2での近付きの検出の際に、距離Dを用いた判断をしてもよく、例えば、距離Dが所定の距離閾値D0(D0>D1)以下になった場合に、近付いたと判断してもよい。図8の(A)には、距離閾値D0,D1,D2の例を示している(D0>D1>D2)。
【0091】
ステップS5では、コントローラ2は、画面20の位置NPに、その時点の距離Dに応じた領域A2を設定し、その領域A2を、図7のような透明化オンの状態SBに変化させるように、表示層13(液晶層LQL)の画素の状態を散乱状態から透明状態に制御する。ステップS5のあと、ステップS3に戻り、同様の繰り返しである。
【0092】
ステップS6では、コントローラ2は、距離Dが距離閾値D1以下になっていない場合では、状態SAを維持したままとする。コントローラ2は、距離Dが距離閾値D1以下になってから再び距離閾値D1よりも大きい状態に戻った場合では、領域A2の状態SBを状態SAに変化させることで、透明化をオフに戻す。ステップS6のあと、本フローが終了であり、最初から同様に繰り返しである。
【0093】
[透明度の制御]
図10は、実施の形態1での透明化制御の一例として、ユーザU1が画面20に近付いた箇所の透明度を距離Dに応じて連続的にまたは段階的に可変制御する場合についての説明図である。図10では、画面20を前面である第1面s1側からY方向で平面視した場合を示す。図10では、ユーザU1が近付いた箇所の位置NPに領域A2を設定して、さらに距離Dに応じて透明度を段階的に制御する場合について示す。
【0094】
(A)は、距離Dが距離閾値D0よりも大きい状態を示す(D>D0)。この状態は、まだユーザU1が画面20に近付いていない状態であり、画面20の全領域は、通常画像表示状態である状態SAであり、領域A2は設定されていない。状態SAでの透明度は、第1透明度とし、画像表示が優先される相対的に低い透明度である。この状態SAでは、背景にある物体B1は見えにくい。
【0095】
(B)は、ユーザU1が画面20により近づき、距離Dが距離閾値D0以下で第1距離閾値D1よりも大きい状態を示す(D0≧D>D1)。この状態では、コントローラ2は、距離Dおよび位置NPに応じて領域A2を設定し、領域A2の状態を、状態SAから状態SBに変える。また、コントローラ2は、状態SBでの透明度を、第2透明度にする。第2透明度は、第1透明度よりも高い所定の透明度である。この状態では、ユーザU1の視点から領域A2を介して背景の物体B1がある程度見えやすくなる。なお、図10での第2透明度は、図7での第2透明度とは異なる。
【0096】
(C)は、ユーザU1が画面20により近づき、距離Dが第1距離閾値D1以下で第2距離閾値D2よりも大きい状態を示す(D1≧D>D2)。この状態では、コントローラ2は、領域A2の状態SBでの透明度を、さらに第3透明度に変える。第3透明度は、第2透明度よりも高い所定の透明度である。この状態では、ユーザU1の視点から領域A2を介して背景の物体B1がさらに見えやすくなる。
【0097】
(D)は、ユーザU1が画面20により近づき、距離Dが第2距離閾値D2以下になった状態を示す(D2≧D>0)。この状態では、コントローラ2は、領域A2の状態SBでの透明度を、さらに第4透明度に変える。第4透明度は、第3透明度よりも高い最大の透明度であり、背景の視認を優先する透明度である。この状態では、ユーザU1の視点から領域A2を介して背景の物体B1がはっきりと見える。
【0098】
上記透明化制御の例は、距離Dに応じて、領域A2の透明度を、第1透明度から第4透明度までの間の4値で段階的に可変させる制御の場合である。これに限らず、距離Dの大きさに応じて、領域A2の透明度を多値で連続的に可変させる制御が可能である。
【0099】
上記例では、位置NPが一定である場合、および領域A2のサイズ・面積が一定である場合を示したが、これに限定されない。
【0100】
[透明面積の制御]
図11は、実施の形態1での透明化制御の一例として、ユーザU1が画面20に近付いた箇所の領域A2の透明面積を距離Dに応じて連続的にまたは段階的に可変制御する場合についての説明図である。図11では、画面20を前面である第1面s1側からY方向で平面視した場合を示す。図11では、ユーザU1が近付いた箇所の位置NPに領域A2を設定して、さらに距離Dに応じて透明化の面積を段階的に制御する場合について示す。
【0101】
(A)は、図10の(A)と同様であり、距離Dが距離閾値D0よりも大きい状態を示す(D>D0)。画面20の全領域は、状態SAであり、所定の第1透明度を有する。
【0102】
(B)は、ユーザU1が画面20により近づき、距離Dが距離閾値D0以下で第1距離閾値D1よりも大きい状態を示す(D0≧D>D1)。この状態では、コントローラ2は、距離Dおよび位置NPに応じて領域A2を設定し、領域A2の状態を、状態SAから状態SBに変える。状態SBは、第1透明度よりも高い所定の第2透明度(例えば最大の透明度)を有する。さらに、コントローラ2は、領域A2のサイズとして第1サイズを設定し、領域A2の面積として第1面積を設定する。本例では、領域A2は矩形であり、領域A2のサイズとして幅W1を有する。この状態では、ユーザU1の視点から、透明化された領域A2を介して、背景の物体B1がある程度見えやすくなる。
【0103】
(C)は、ユーザU1が画面20により近づき、距離Dが第1距離閾値D1以下で第2距離閾値D2よりも大きい状態を示す(D1≧D>D2)。この状態では、コントローラ2は、領域A2のサイズを第2サイズに変え、面積を第2面積に変える。領域A2のサイズとして幅W2を有する。本例では、幅W2は幅W1よりも大きく、第2面積は第1面積よりも大きい。この状態では、ユーザU1の視点から、拡大された領域A2を介して、背景の物体B1がより見えやすくなる。
【0104】
(D)は、ユーザU1が画面20により近づき、距離Dが第2距離閾値D2以下となった状態を示す(D2≧D>0)。この状態では、コントローラ2は、領域A2のサイズを第3サイズに変え、面積を第3面積に変える。領域A2のサイズとして幅W3を有する。本例では、幅W3は幅W2よりも大きく、第3面積は第2面積よりも大きい。この状態では、ユーザU1の視点から、拡大された領域A2を介して、背景の物体B1がはっきりと見える。
【0105】
上記透明化制御の例は、距離Dに応じて、領域A2のサイズ・面積を段階的に可変させる制御の場合である。これに限らず、距離Dの大きさに応じて、領域A2のサイズ・面積を連続的に可変させる制御が可能である。
【0106】
上記例では、位置NPが一定である場合、および領域A2の状態SBでの透明度が一定である場合を示したが、これに限定されない。図10の透明度の制御と図11の透明面積の制御とを組み合わせた制御も同様に可能である。例えば、距離Dが小さくなるほど、領域A2の透明度を高くして面積を大きくする制御などが可能である。また、変形例としては、透明ディスプレイ1は、例えば距離Dが近くなるほど、領域A2の透明面積を小さくするように制御してもよい。
【0107】
[動き追随]
図12は、図10の透明度制御および図11の透明面積制御を同時に行う場合で、かつ、ユーザU1の動きに合わせた位置NPの変動に応じて当該制御が行われる場合の例を示す。(A)は、画面20の第1面s1に対し、ユーザU1が近付いて、距離Dが距離閾値D0以下になった場合の、第1時点に対応した位置NP1に、領域A2が設定された状態を示す。領域A2は、状態SAの第1透明度から状態SBの第2透明度に変化し、幅W1による第1サイズ、第1面積が設定されている。
【0108】
(B)は、(A)の状態から、ユーザU1が動いて、距離Dが距離閾値D1以下になった場合の、第2時点に対応した位置NP2に、領域A2が設定された状態を示す。領域A2は、状態SBでの第3透明度に変化し、幅W2による第2サイズ、第2面積が設定されている。位置NP2は、例えば位置NP1から右側に移動している。この状態では、ユーザU1の視点から、透明度が上がって拡大された領域A2を介して、背景の物体B1がより見えやすくなっている。
【0109】
[視線検出]
図13は、ユーザU1の視線ELおよび注視点EPを用いて、上記と同様の透明化制御を行う例を示す。本例では前述の位置NPは用いない。透明ディスプレイ1には、アイトラッキングデバイス3bが設置されている。ユーザU1が画面20に近付いた場合に、コントローラ3は、アイトラッキングデバイス3bを用いて、ユーザU1の視線ELを検出し、視線ELが画面20に交わる注視点EPを検出する。また、コントローラ2は、視線ELに対応した距離DE、例えば目UEと注視点EPとの距離を計算する。コントローラ2は、注視点EPおよび距離DEを用いて、領域A2を設定する。例えば、注視点EPを中心として領域A2が設定され、領域A2の透明度や面積が設定される。コントローラ2は、距離DEの変化に応じて、前述と同様に、領域A2の透明度や面積を可変に制御する。
【0110】
図13の制御例では、視線検出が必要となるが、ユーザU1の視線ELおよび注視点EPに合わせて透明化の領域A2が設定でき、視線ELの先の背景の物体B1等が見えやすくなる効果が得られる。また、実施の形態1では、ユーザU1(言い換えると動体)が移動し、ユーザU1が画面20に近付くことを検出する場合を説明したが、これに限らず、変形例として、例えば装置の電源オン時にユーザU1が静止した状態で画面20の前にいる場合でも、距離D等に応じて、同様に制御が可能である。
【0111】
[効果等(1)]
上記のように、実施の形態1によれば、透明ディスプレイ1の新しい使い方が可能であり、コミュニケーションや利便性などを向上できる。実施の形態1では、通常時には画面20に所定の画像を表示しておき、ユーザU1が画面20に近付いた場合には、透明化制御によって、背景を視認しやすくすることができる。例えば店舗のショーウィンドウガラス等の場合に、通常時には画面20に広告などを表示しておき、顧客が画面20に近付いた場合には、透明化によって、商品等を視認しやすくなる。例えば役所の窓口等の場合に、通常時には画面20に手続き案内などを表示しておき、顧客が画面20に近付いた場合には、透明化によって、スタッフ等の人を視認しやすくなる。なお、上述したいくつかの透明化制御例について、どの制御を適用するかについては、予め透明ディスプレイ1のシステムに固定的に設定しておいてもよいし、ユーザ設定で選択できるようにしてもよい。
【0112】
<実施の形態2>
図14以降を用いて、実施の形態2の透明表示装置について説明する。実施の形態2等の基本的な構成は実施の形態1と同様・共通であり、以下では、実施の形態2等における実施の形態1とは異なる構成部分について主に説明する。実施の形態2の透明表示装置は、図14等に示される透明ディスプレイ1である。
【0113】
実施の形態2では、透明ディスプレイ1は、ユーザU1が画面20に近付いた箇所に応じて、その箇所に画像を追加して表示する。特に、透明ディスプレイ1は、ユーザU1が近付いた位置NPに応じて対応付けられた画像を追加して表示する。実施の形態2では、実施の形態1と同様に距離Dおよび位置NPを用いて制御する場合を説明するが、これに限定されない。
【0114】
図14は、実施の形態2での透明ディスプレイ1による制御を示す模式説明図である。本例では、透明ディスプレイ1は、店舗や役所などの窓口に設置されており、第1面s1側には顧客や住民などのユーザU1がいる。第2面s2側には、店舗や役所の販売員やスタッフなどの人U2がいる。例えば、店舗で、販売員が、商品などの物体B1をユーザU1に対し案内や販売するものとする。
【0115】
透明ディスプレイ1には、第1面s1側に向けてカメラ3が設置されているとともに、第2面s2側に向けてカメラ3cが設置されている。カメラ3は第1面s1側の空間を撮影し、カメラ3cは第2面s2側の空間を撮影する。カメラ3およびカメラ3cは前述と同様のセンサデバイスであり、アイトラッキングデバイスを適用してもよい。
【0116】
透明ディスプレイ1は、コントローラ2の制御に基づいて、画面20に所定の画像を表示する。図14の状態では、最初、画面20に何も画像が表示されていないもの(言い換えると最大の透明度の状態)とするが、これに限定されず、最初から所定の画像が表示されていてもよい。
【0117】
透明ディスプレイ1は、実施の形態1と同様に、画面20の第1面s1に対しユーザU1が近付いたことを検出した場合、ユーザU1との距離D、および近付いた箇所A1の位置NPに応じて、制御用の領域A2を設定する。実施の形態2での領域A2の制御は、実施の形態1での領域A2の制御とは異なる。コントローラ2は、画面20内の位置NPに応じて、領域A2に、画像を追加して表示する。領域A2が設定される前に当該領域に何も画像が表示されていない場合、追加される画像のみが表示される。領域A2が設定される前に当該領域にすでに画像が表示されていた場合、その画像に重ね合わせて、追加された画像が表示される。
【0118】
図15は、図14に続いて、画面20の領域A2に画像が追加して表示される例を示す。(A)の例では、ユーザU1が、背景にある物体B1を見ており、位置NPは、物体B1の近くにある。コントローラ2は、例えば距離Dが所定の閾値以下になった時に、位置NPを中心として領域A2を設定し、領域A2の状態を所定の状態SCにする。本例では、状態SCは、液晶層LQL(図4)での液晶および画素PIXの状態として、画像を表示する表示状態(散乱状態)に対応する。状態SCでの透明度は、所定の透明度、図15の例では背景の物体B1等がある程度視認可能な透明度とされる。
【0119】
そして、コントローラ2は、領域A2に、位置NPに応じて対応付けられた画像を追加して表示する。図14の下部に示すように、予め、表などのデータにおいて、位置NPの位置座標(x,y)に応じた表示画像が設定されていてもよい。例えば、位置NPの位置座標が(x1,y1)~(x2,y2)の範囲内である場合には表示画像G1が表示されることが設定されている。
【0120】
図15の(A)の例では、コントローラ2は、領域A2に、追加表示する画像として、文字画像CG1を表示するように制御している。文字画像CG1は、例えば位置NPに対応して有する物体B1を説明する文字画像「~~~のリンゴ」である。その説明は、例えば商品の名称、産地/メーカなどが挙げられる。ユーザU1は、興味のある商品などの物体B1について、その文字画像CG1を見ることで、情報を得ることができる。
【0121】
図15の(B)は、別の例である。ユーザU1は、販売員などの人U2の方を見ており、位置NPは、人U2の近くにある。コントローラ2は、例えば距離Dが所定の閾値以下になった時に、位置NPに領域A2を設定し、領域A2を状態SCにする。例えば、位置NPに対し下側の位置に領域A2が設定されている。コントローラ2は、領域A2に、追加表示する画像として、文字画像CG2を表示するように制御している。文字画像CG2は、例えば人U2に対応付けられた文字画像「御用がある方はお声かけください」である。本例では、この文字画像は、販売員などの人U2から顧客へのメッセージ等である。ユーザU1は、この文字画像CG2を見ることで、販売員などの人U2とのコミュニケーションをより円滑に行うことができ、例えば商品についての相談などが可能である。
【0122】
実施の形態2では、ユーザU1が近付いた位置NPに対し領域A2を設定する際に、領域A2の追加画像のみならず詳細な位置や形状や面積などについても制御するようにしてもよい。画面20内の位置NP毎に、対応付けられる制御内容が異なってもよい。また、実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、視線ELを用いた制御など、各種の変形例が可能である。
【0123】
上記制御例は、追加表示画像を文字画像とした場合であるが、これに限定されない。追加表示画像は、任意の画像、例えばアイコン、アニメーションなどとしてもよい。
【0124】
また、上記制御例は、画面20内の位置NPの位置座標に応じて、追加表示画像を規定する場合であるが、これに限定されない。例えば、第2面s2側にいる人や物体が移動する場合に、その移動する人や物体の位置に合わせて、追加表示画像を規定してもよい。例えば図14図15で、人U2が移動する場合、コントローラ2は、背面側のカメラ3cを用いて、その人U2の位置を検出する。コントローラ2は、前面側のユーザU1が近付いた位置NPが、その人U2の位置に近い場合には、領域A2に、その人U2に対応付けて設定されている画像を追加して表示する。
【0125】
[効果等(2)]
上記のように、実施の形態2によれば、透明ディスプレイ1の新しい使い方が可能であり、コミュニケーションや利便性などを向上できる。実施の形態2では、ユーザU1が画面20に近付いた場合には、近付いた位置に応じた画像を追加して表示できる。ユーザU1は、その追加表示画像を見ることで、前面側から背面側にある物体や人についての情報を得ることができる。
【0126】
[実施の形態2の変形例1]
図16は、実施の形態2についての変形例1を示す。この変形例1は、図14および図15のような制御に加え、さらに、前面側の追加表示画像から、背面側への追加表示画像へと連携するものである。
【0127】
図16の(A)は、画面20を第1面s1側から見た模式図であり、例えば図15の(B)と同様に、人U2に対応付けられた文字画像CG2が表示された後、ユーザU1がその文字画像CG2にインタラクションする場合を示す。文字画像CG2へのインタラクションは、例えば、ユーザU1がその文字画像CG2に対応した位置NPの付近に一定時間以上居続けた場合や、その文字画像CG2を一定時間以上注視した場合などが挙げられる。コントローラ2は、カメラ3等を用いて、そのようなインタラクションを検出する。
【0128】
コントローラ2は、文字画像CG2へのインタラクションを検出した場合、その文字画像CG2に対応付けられた、背面である第2面s2側へ向けた別の画像、言い換えると第2段階の追加表示画像を、追加して表示するように制御する。図16の(B)は、画面20を第2面s2側の人U2から見た場合の模式図である。文字画像CG2は、文字が反転した状態となっている。コントローラ2は、文字画像CG2に対し、人U2へ向けて通知するための画像CG2bを追加して表示する。本例では、画像CG2bは、感嘆符のアイコンであり、前面側のユーザU1からのインタラクションがあることを背面側の人U2に伝えるための通知の画像情報である。
【0129】
(B)の例では、位置NPにおいて、文字画像CG2の裏側に、画像CG2bを重ね合わせて表示しているが、これに限定されない。他の例では、位置NPにおいて、文字画像CG2を消去した後に、画像CG2bのみを表示してもよい。
【0130】
(C)は、(B)とは別の例を示す。コントローラ2は、文字画像CG2へのインタラクションを検出した場合、文字画像CG2の位置NPに対し、別の所定の位置に、人U2へ通知するための画像CG2cを追加して表示する。本例では、画像CG2cは、人U2への通知の文字画像「ご対応ください」である。この画像CG2cは、背面側にいる人U2から認識しやすいような像として表示される。販売員などの人U2は、この画像CG2cを見ることで、前面側にいる顧客への対応へとつなげることができる。
【0131】
[実施の形態2の変形例2]
図17は、実施の形態2についての変形例2を示す。この変形例2は、図14および図15のような制御に加え、さらに、追加表示画像の制御を多段階で行うものである。図17の(A)は、画面20の第1面s1の平面視において、背景に物体B1がある場合を示す。コントローラ2は、画面20にユーザU1が近付いた場合に、距離Dおよび位置NPに応じて領域A2を設定する。本例では、コントローラ2は、まず、距離Dが距離閾値D1以下になった場合(D1≧D>D2)に、位置NPに第1サイズ(例えば幅W1)での領域A2-1を設定し、その領域A2-1に、文字画像CG1-1(例えば文字画像「~~~のリンゴ」)を追加して表示する。
【0132】
次に、(B)は、(A)の状態から、ユーザU1が画面20により近付いた状態であり、距離Dが距離閾値D2以下になった場合(D2≧D>0)である。コントローラ2は、この場合に、位置NPに第2サイズ(例えば幅W2)での領域A2-2を設定し、その領域A2-2に、文字画像CG1-1ではなく、文字画像CG1-2を追加して表示する。言い換えると、コントローラ2は、領域A2のサイズを変更して、2段階目の画像に変化させる。本例では、領域A2-2の幅W2は、領域A2-1の幅W1よりも拡大されており、1段階目の領域A2-1の画像CG1-1は簡易的な情報であるのに対し、2段階目の領域A2-2の画像CG1-2はより詳細な情報となっている。画像CG1-2は、例えば、物体B1に対応する商品についての詳細な情報の文字画像であり、商品名、メーカ/産地、金額、詳細などの情報を有する。
【0133】
上記例のように、位置NPに応じた画像を追加表示する際に、距離Dに応じて多段階で画像の内容を変化させてもよい。上記例は、追加表示画像の領域A2についてのサイズ・面積を拡大する例であるが、これに限定されない。他の例では、距離Dが小さくなるほど、領域A2のサイズを縮小してもよい。他の例では、距離Dによらずに領域A2のサイズを一定としつつ、距離Dが小さくなるほど、表示する文字画像のフォントのサイズを縮小する等して、詳細な情報を詰め込んで表示させてもよい。ユーザU1と画面20との距離Dが近くなると、その分、ユーザU1は、文字画像も読みやすくなるため、距離Dに応じて文字画像を縮小することも、制御の1つとして可能である。
【0134】
<実施の形態3>
図18を用いて、実施の形態3の透明表示装置について説明する。実施の形態3は、実施の形態1と実施の形態2とを1つに統合した形態である。図18に示すように、実施の形態3の透明ディスプレイ1は、ユーザU1が画面20に近付いた場合に、距離Dに応じて、位置NPに透明化の領域A2を設定する。そして、透明ディスプレイ1は、その領域A2を透明化オン状態にする、または透明度を可変するとともに、その領域A2の透明面積を大小に可変する。
【0135】
図18は、実施の形態3での制御例を示し、画面20の第1面s1を見た平面視を示す。画面20にユーザU1が近付いた場合に、コントローラ2は、距離Dおよび位置NPに応じて、近付いた箇所A1に領域A2を設定する。コントローラ2は、距離Dの変化に応じて、領域A2の透明化の状態を変化させる。図18の(A)の状態は、ユーザU1が画面20にあまり近付いていない状態であり、距離Dは、ある閾値DTよりも大きいとする。この状態では、コントローラ2は、まだ領域A2を設定せず、透明化などの制御をしない。画面20の全領域は、通常の画像表示の表示状態(状態SA)である。
【0136】
(B)の状態は、画面20にユーザU1がより近づいた場合であり、例えば距離Dが閾値DT以下になった場合である。コントローラ2は、この場合に、距離Dおよび位置NPに応じた領域A2を設定し、領域A2を、通常の画像表示の状態SA(第1の透明度)から、透明化オンの状態SB(第2の透明度)に変更する。それとともに、コントローラ2は、領域A2に、位置NPに応じた画像を追加して表示する。例えば、領域A2に、文字画像CG1が追加表示されている。これにより、領域A2は透明度が高くなるので、ユーザU1は、領域A2を介して背景側の物体B1などが見えやすくなる。それとともに、ユーザU1は、領域A2で背景の物体B1に重ね合わせて表示された文字画像CG1を視認できる。
【0137】
上記例のように、実施の形態3では、ユーザU1は、画面20のうち、興味がある箇所(領域A2)のみで透明化によって背景側を見ることができるとともに、追加表示による関連情報を得ることができる。ユーザU1は、他の箇所では通常の画像表示となっているため、背景側の物体や人をあまり気にせずに済む。
【0138】
<実施の形態4>
図19を用いて、実施の形態4の透明表示装置について説明する。実施の形態4では、実施の形態1と同様の機能を有する透明ディスプレイを、冷蔵庫に適用した場合を示す。
【0139】
図19は、実施の形態4の透明ディスプレイ1を含んで構成される冷蔵庫190を示す。冷蔵庫190のドア191に、透明ディスプレイ1の本体10が搭載されている。ドア191は、例えば冷蔵庫190の筐体の前面に搭載されたスライドドアである。本体10にはコントローラ2が接続されている。本体10にはカメラ3も含まれている。コントローラ2は、冷蔵庫190の制御装置に一体で実装されていてもよい。通常時、コントローラ2は、ドア191の画面20に所定の画像・映像を表示する。
【0140】
コントローラ2は、カメラ3を用いて、ユーザU1がドア191の前面側に近付いたかどうかを検出する。ユーザU1がドア191に近付いた場合、コントローラ2は、実施の形態1と同様に、ユーザU1の身体と画面20との距離D、および近付いた箇所の位置NPを検出する。そして、コントローラ2は、位置NPに領域A2を設定し、領域A2を透明化オンの状態に変えるように制御する。領域A2の制御の詳細は、実施の形態1で説明した各種の方法を同様に適用可能である。視線ELの利用等も同様に可能である。
【0141】
領域A2が透明化された場合、ユーザU1から冷蔵庫190内にある物体B1が見える。これにより、ユーザU1は、ドア191を閉じたままでも、冷蔵庫190の中身を確認できる。
【0142】
上記例に限らずに、冷蔵庫190に、実施の形態2や実施の形態3の透明ディスプレイ1を同様に適用可能である。
【0143】
実施の形態4や他の実施の形態の変形例として以下も可能である。透明ディスプレイ1の画面20(それに対応する表示領域DA)に、さらに、タッチセンサが設けられてもよい。特に、冷蔵庫190のように、特定のユーザU1のみが透明ディスプレイ1を使用する場合、すなわち不特定多数の人による物理的な接触を気にしなくてもよい場合に、タッチセンサを利用してもよい。
【0144】
図19の冷蔵庫190にタッチセンサを追加して適用した変形例の場合では、ユーザU1が画面20に近付いた場合に、領域A2が透明状態になる。そして、ユーザU1が手指で領域A2をタッチ操作する。コントローラ2は、タッチセンサを用いたタッチ操作の検出に応じて、領域A2の画像表示を制御する。例えば、コントローラ2は、タッチ操作に応じて、透明化のオン/オフを切り替えるように制御してもよい。あるいは、コントローラ2は、タッチ操作に応じて、実施の形態2のように、追加の画像を表示するように制御してもよい。
【0145】
以上、本開示の実施の形態について具体的に説明したが、前述の実施の形態に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。各実施の形態は、必須構成要素を除き、構成要素の追加・削除・置換などが可能である。特に限定しない場合、各構成要素は、単数でも複数でもよい。各実施の形態や変形例を組み合わせた形態も可能である。
【0146】
本実施の形態では、液晶表示装置を用いる場合を説明したが、他の適用例として、有機EL装置などの、他の自発光型表示装置を適用してもよい。実施の形態で説明した機能は、透明状態と表示状態との間での遷移が可能な表示層(画素)を備える表示装置であれば、同様に適用可能である。また、表示装置の画面のサイズは、小型から大型まで、特に限定せずに適用可能である。
【0147】
本実施の形態では、透明表示装置のコントローラ2によって特徴的な制御を行う場合を説明したが、これに限らず、透明表示装置のコントローラ2に対して外部に接続されるコンピュータシステムが、同様の特徴的な制御を行う形態も可能である。
【符号の説明】
【0148】
1…透明表示装置(透明ディスプレイ)、2…コントローラ、3…カメラ、10…本体(透明表示パネル)、11…第1基板、12…第2基板、13…表示層、20…画面、s1…第1面、s2…第2面、U1…ユーザ、UF…顔、UE…目、D…距離、NP…位置、A1…箇所、A2…領域、B1…物体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19