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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082619
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/02 20210101AFI20240613BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
G03B17/02
H05K5/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196588
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠介
【テーマコード(参考)】
2H100
4E360
【Fターム(参考)】
2H100AA41
2H100BB11
2H100CC04
4E360AA02
4E360AB12
4E360GA07
4E360GB89
4E360GC08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ガタや緩み等の発生が抑制された状態で装着部を閉じることができる蓋を、低い製造コストにて提供する。
【解決手段】撮像装置10は、ハウジングと、記録媒体が着脱可能に装着されるメモリスロットと、第1方向に沿って移動して、メモリスロットを開閉可能に覆う蓋260と、を備える。弾性材によって形成された蓋は、ハウジングとハウジング内に収容された基板17との間の空間Sに挿入される挿入部263を有する。挿入部は、第1挿入領域265と、第1挿入領域に対して傾斜する第2挿入領域266とを有する。第2挿入領域の第1方向の一方側の端部は第1挿入領域の第1方向の他方側の端部と連接する連接部266aであり、第2挿入領域の第1方向の他方側の端部の位置と連接部の位置とは、第1方向と交差する第2方向において異なる。連接部と第2挿入領域の端部との間の第2方向の距離は、空間Sの第2方向の幅よりも大きい。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに収容され、光学部材を介して被写体光を受光する撮像素子と、
前記ハウジング内に収容された基板と、
記録媒体が着脱可能に装着される装着部と、
第1方向に沿って移動して、前記装着部を開閉可能に覆う蓋と、を備え、
前記蓋は、弾性材によって形成され、
前記蓋は、前記ハウジングと前記基板との間の空間に挿入される挿入部を有し、
前記挿入部は、第1挿入領域と、前記第1挿入領域に対して傾斜する第2挿入領域とを有し、
前記第2挿入領域の前記第1方向の一方側の端部は前記第1挿入領域の前記第1方向の他方側の端部と連接する連接部であり、前記第2挿入領域の前記第1方向の他方側の端部の位置と前記連接部の位置とは、前記第1方向と交差する第2方向において異なり、
前記連接部と前記第2挿入領域の前記第1方向の他方側の端部との間の前記第2方向の距離は、前記空間の前記第2方向の幅よりも大きい、撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記挿入部は、前記第1方向に沿って移動すると、前記連接部を支点として変形する、撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記蓋は、前記第1挿入領域の前記第1方向の一方側の端部に設けられ、前記第1方向と交わる面を含む壁面を有し、
前記壁面には、前記第2方向に突出する第1突部が設けられ、
前記第1突部は、前記蓋が前記装着部を閉状態で覆うとき、前記ハウジングに形成された収容部に挿入される、撮像装置。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像装置において、
前記壁面には、凹部が設けられる、撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置において、
前記第2挿入領域には、前記第1方向に沿う長軸を有する長穴が設けられ、
前記ハウジングには、前記第2方向に突出する第2突部が設けられ、
前記第2突部は、前記長穴に挿入される、撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記基板には、前記挿入部と当接する当接部材が設けられる、撮像装置。
【請求項7】
請求項3から6までの何れか一項に記載の撮像装置において、
前記ハウジングは、載置面に固定され、
前記蓋は、前記載置面と対向する第1面の一部と、前記第1面と連接する第2面の一部とに形成された取付機構に取り付けられ、
前記蓋は、前記壁面と連接する底面を有し、
前記底面は、前記取付機構に取り付けられた前記蓋が前記装着部を閉状態で覆うとき、前記載置面と対向する、撮像装置。
【請求項8】
載置面に固定されるハウジングと、
前記ハウジングに収容され、光学部材を介して被写体光を受光する撮像素子と、
前記ハウジング内に収容された基板と、
記録媒体が着脱可能に装着される装着部と、
第1方向に沿って移動して、前記装着部を開閉可能に覆う蓋と、
前記基板に設けられ、前記蓋の一部と当接する当接部材と、を備え、
前記蓋は、弾性材によって形成され、
前記蓋は、前記ハウジングと前記基板との間の空間に挿入される挿入部と、前記挿入部と連接し、前記第1方向と交わる面を含む壁面と、前記壁面と連接する底面とを有し、
前記挿入部は、第1挿入領域と、前記第1挿入領域に対して傾斜する第2挿入領域とを有し、
前記第2挿入領域の前記第1方向の一方側の端部は前記第1挿入領域の前記第1方向の他方側の端部と連接する連接部であり、前記第2挿入領域の前記第1方向の他方側の端部の位置と前記連接部の位置とは、前記第1方向と交差する第2方向において異なり、
前記連接部と前記第2挿入領域の前記第1方向の他方側の端部との間の前記第2方向の距離は、前記空間の前記第2方向の幅よりも大きく、
前記挿入部は、前記第1方向に沿って移動すると、前記連接部を支点として変形し、
前記壁面には、凹部と、前記第2方向に突出し、前記ハウジングが有する収容部に挿入される第1突部とが設けられ、
前記第2挿入領域には、前記第1方向に沿う長軸を有し、前記ハウジングから前記第2方向に突出する第2突部が挿入される長穴が設けられ、
前記蓋は、前記ハウジングのうち前記載置面と対向する第1面の一部と、前記第1面と連接する第2面の一部とに形成された取付機構に着脱可能に取り付けられ、
前記底面は、前記蓋が前記装着部を閉状態で覆うとき、前記載置面と対向する、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
介護施設、病院、工場、店舗等の様々な場所には、防犯や防災等の観点から監視カメラが設置されている。監視カメラとして使用される撮像装置等の電子機器には、記録媒体が着脱可能に装着される装着部が設けられている。
【0003】
特許文献1には、メモリカードが着脱可能に装着されるスロット部を開閉可能に覆う蓋ユニットを備える電子機器であるデジタルビデオカメラが開示されている。蓋ユニットは、閉じた状態では、ロックノブによって保持ユニットの側に保持される。ロックノブが開放されると、蓋ユニットは、ロック機構を構成する爪部が保持ユニットの係合部から外れ、付勢バネの付勢力によって回動軸を中心として開方向に回動して、開いた状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-097014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
壁や天井等に固定される設置型の撮像装置において製造コストを抑制するために、使用頻度の低い蓋ユニットを単一の材料として弾性材を用いて製造することが考えられる。しかしながら、特許文献1の蓋ユニットが弾性材を単一の材料として用いて一体成型された場合には、閉じた状態の蓋ユニットにガタ等が生じる虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様による撮像装置は、ハウジングと、前記ハウジングに収容され、光学部材を介して被写体光を受光する撮像素子と、前記ハウジング内に収容された基板と、記録媒体が着脱可能に装着される装着部と、第1方向に沿って移動して、前記装着部を開閉可能に覆う蓋と、を備える。前記蓋は、弾性材によって形成される。前記蓋は、前記ハウジングと前記基板との間の空間に挿入される挿入部を有する。前記挿入部は、第1挿入領域と、前記第1挿入領域に対して傾斜する第2挿入領域とを有する。前記第2挿入領域の前記第1方向の一方側の端部は前記第1挿入領域の前記第1方向の他方側の端部と連接する連接部であり、前記第2挿入領域の前記第1方向の他方側の端部の位置と前記連接部の位置とは、前記第1方向と交差する第2方向において異なる。前記連接部と前記第2挿入領域の前記第1方向の他方側の端部との間の前記第2方向の距離は、前記空間の前記第2方向の幅よりも大きい。
【0007】
本発明の態様による撮像装置は、載置面に固定されるハウジングと、前記ハウジングに収容され、光学部材を介して被写体光を受光する撮像素子と、前記ハウジング内に収容された基板と、記録媒体が着脱可能に装着される装着部と、第1方向に沿って移動して、前記装着部を開閉可能に覆う蓋と、前記基板に設けられ、前記蓋の一部と当接する当接部材と、を備える。前記蓋は、弾性材によって形成される。前記蓋は、前記ハウジングと前記基板との間の空間に挿入される挿入部と、前記挿入部と連接し、前記第1方向と交わる面を含む壁面と、前記壁面と連接する底面とを有する。前記挿入部は、第1挿入領域と、前記第1挿入領域に対して傾斜する第2挿入領域とを有する。前記第2挿入領域の前記第1方向の一方側の端部は前記第1挿入領域の前記第1方向の他方側の端部と連接する連接部であり、前記第2挿入領域の前記第1方向の他方側の端部の位置と前記連接部の位置とは、前記第1方向と交差する第2方向において異なる。前記連接部と前記第2挿入領域の前記第1方向の他方側の端部との間の前記第2方向の距離は、前記空間の前記第2方向の幅よりも大きい。前記挿入部は、前記第1方向に沿って移動すると、前記連接部を支点として変形する。前記壁面には、凹部と、前記第2方向に突出し、前記ハウジングが有する収容部に挿入される第1突部とが設けられる。前記第2挿入領域には、前記第1方向に沿う長軸を有し、前記ハウジングから前記第2方向に突出する第2突部が挿入される長穴が設けられる。前記蓋は、前記ハウジングのうち前記載置面と対向する第1面の一部と、前記第1面と連接する第2面の一部とに形成された取付機構に着脱可能に取り付けられる。前記底面は、前記蓋が前記装着部を閉状態で覆うとき、前記載置面と対向する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ガタや緩み等の発生が抑制された状態で装着部を閉じることができる蓋を、低い製造コストにて提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、実施の形態の閉状態の撮像装置の外観斜視図である。
図1B図1Bは、開状態の撮像装置の外観斜視図である。
図2A図2Aは、リアケースを上方から見た外観斜視図である。
図2B図2Bは、リアケースを下方から見た外観斜視図である。
図3図3は、図1Aに示されるA-A線での撮像装置の断面図である。
図4図4は、蓋の外観斜視図である。
図5A図5Aは、図1Aに示されるB-B線での撮像装置の断面図である。
図5B図5Bは、図1Bに示されるC-C線での撮像装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態の撮像装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
撮像装置の用途は特に限定されないが、病院,介護施設,工場,店舗等に、監視カメラや見守りカメラとして設置するのに適している。また、撮像装置は、周囲の外部環境の明るさに応じて、通常撮影モードによる撮影と暗視モードによる撮影とを切替可能である。通常撮影モードでは外部環境が明るいときに結像光学系(光学部材)に入射した光により撮影が行われる。暗視モードでは外部環境が暗いときに照明光が出射され、照明光に照射された被写体の撮影が行われる。また、撮像装置には、記録媒体が着脱可能に装着されるメモリスロットを覆う蓋が開閉可能に設けられている。撮像装置は、蓋が開放されメモリスロットにアクセス可能な開状態と、蓋が閉鎖されメモリスロットにアクセス不可能な閉状態と、に切り替え可能である。また、撮像装置は、壁や天井等の載置面に固定される設置型の撮像装置である。
【0012】
<撮像装置10の全体構成>
図1A及び図1Bは、撮像装置10の外観図斜視図である。図1Aには閉状態の撮像装置が示され、図1Bには開状態の撮像装置が示される。
【0013】
撮像装置10は、閉状態(図1A)から開状態(図1B)に切り替えられる。また、撮像装置10は、開状態(図1B)から閉状態(図1A)に切り替えられる。図1Aに示されるように、撮像装置10は、壁や天井等の載置面P上にねじ等によって固定された状態で使用される設置型の撮像装置である。撮像装置10は、図1A及び図1Bに示されるように、カメラモジュール11と、ハウジング(外装ケース)12と、照明部16と、メモリスロット26と、蓋260と、を有する。
【0014】
<ハウジング12>
ハウジング12は、フロントケース120及びリアケース121から構成される。フロントケース120は、長方形又は略長方形の天井板122と、天井板122から各辺に連接する側壁板123a,123b,123c,123dとを備えている。天井板122及び側壁板123a,123b,123c,123dは、合成樹脂によって一体成形されており、側壁板123aは天井板122の一方の長辺に連接し、側壁板123bは天井板122の他方の長辺に連接している。また、側壁板123cは天井板122の一方の短辺に連接しており、側壁板123dは天井板122の他方の短辺に連接している。
【0015】
尚、以下の説明では、ハウジング12のフロントケース120の方向を上方、リアケース121の方向を下方、側壁板123aの方向を前方、側壁板123bの方向を後方、側壁板123cの方向を右方、側壁板123dの方向を左方と呼ぶことがある。また、前後方向を第1方向、上下方向を第2方向と呼ぶことがある。第1方向は、後述するカメラモジュール11が有するレンズ111の光軸Lと交差する方向であり、第2方向は第1方向と交差し、光軸Lと平行な方向である。
【0016】
図1A図1Bに示されるように、ハウジング12の天井板122は、カメラモジュール11が有するレンズ111の光軸Lと交わる外装板である。天井板122には、開口部125と4個の照明開口部126が形成される。開口部125は、レンズ111の光軸Lが通過する位置を中心とする円形又は略円形に形成されている。この開口部125に後述するレンズ111が挿入される。本実施の形態においては、レンズ111の光軸Lが天井板122の中心部を通過するものとして説明を行う。
【0017】
尚、レンズ111の光軸Lが天井板122の中心部を通るものに限定されない。レンズ111の光軸Lが天井板122の中心部から右側または左側にずれた位置を通ってもよいし、天井板122の中心部から前側または後側にずれた位置を通ってもよい。
【0018】
照明開口部126は、天井板122の四隅に形成される。照明開口部126は、ハウジング12の内部に配置された後述する照明部16から出射される照明光を撮像装置10の外部に通過させるために形成される。尚、図1A図1Bに示されるように、天井板122の右側に2個(一方は前側、他方は後側)と、天井板122の左側に2個(一方は前側、他方は側壁板後側)の合計4個の照明開口部126が設けられている。しかし、照明開口部126の位置は図示された位置に限定されるものではなく、照明部16の配置位置に応じて適宜決定される。また、照明開口部126の個数は4個に限定されず、3個以下でも5個以上でもよく、撮像装置10が備える照明部16の個数に応じて決定される。
【0019】
図2A及び図2Bは、リアケース121の外観斜視図である。図2Aはリアケース121を上方から見た場合を示し、図2Bはリアケース121を下方から見た場合を示す。リアケース121はフロントケース120に固定されて、フロントケース120の底部(下方)を閉塞している。リアケース121は、例えばねじ結合によってフロントケース120に固定されている。リアケース121は、フロントケース120の天井板122と同様の長方形又は略長方形の底面121aと、底面121aから各辺に接する側壁板121b,121c,121d,121eとを備えている。底面121a及び側壁板121b,121c,121d,121eは、合成樹脂によって一体成形されている。側壁板121bは底面121aの前方の辺(長辺)に連接し、側壁板121cは底面121aの後方の辺(長辺)に連接する。側壁板121dは底面121aの右方の辺(短辺)に連接し、側壁板121eは底面121aの左方の辺(短辺)に連接する。底面121aは、上述した載置面Pにねじ等によって固定される。
【0020】
また、リアケース121には、メモリカード等の記録媒体を着脱可能に装着可能なメモリスロット26を外部からアクセス可能に開閉する蓋260が設けられている。蓋260については詳細を後述する。リアケース121のうちメモリスロット26及び蓋260が配置される位置の近傍には、蓋260を取り付けるための取付機構128が形成される。
【0021】
図2Bに示されるように、取付機構128は、リアケース121の第1面である底面121a及び底面121aと連接する第2面である側壁板121bの一部が切り欠かれて形成された切り欠き部である。蓋260が閉状態のときには、蓋260の一部は、切り欠き部として形成された取付機構128に収容される。取付機構128の上方側に形成され、下方を向く壁面128aには凹部である収容部128bが形成される。収容部128bには、後述する蓋260の一部が収容される。取付機構128の後方側に形成された壁面128cのうち下方側には開口部128dが形成される。また、図2Aに示されるように、底面121aには、第2方向の上方に向けて延びる突部127が形成される。突部127は、開口部128dの後方側に形成される。
【0022】
<撮像装置10の内部構成>
図3は、図1Aにおける撮像装置10のA-A線での断面図である。撮像装置10は、上述した構成に加えて、基板17と、制御部31とを備える。
【0023】
<カメラモジュール11>
カメラモジュール11は、CMOSやCCD等の撮像素子(イメージセンサ)110及びレンズ111を備えている。撮像素子110は、基板112に搭載され、ハウジング12内に収容されている。レンズ111は、撮像素子110の上方に配置され、レンズホルダ113によって保持されている。レンズホルダ113によって保持されたレンズ111は、上述したハウジング12の天井板122に形成された開口部125を介して、天井板122に対して上側に突出する位置に配置される。レンズホルダ113の下方には、上記の撮像素子110が搭載された基板112が、例えばねじ結合により固定されている。
【0024】
撮像装置10の外部から到達した被写体光は、レンズ111によって撮像素子110の受光面に導かれ、集光される。すなわち、レンズ111は、撮像素子110の受光面上に撮像対象物の像をつくる光学部材(結像光学系)であるか、少なくとも光学部材の一部である。撮像素子110は、レンズ111によって結像された像の光の明暗を電荷量に変換し、変換された電荷量に応じた信号(画像信号)を出力する。
【0025】
<照明部16>
図1A及び図1Bに示される照明部16は、周囲の環境が暗い場合の撮像時(すなわち暗視モードでの撮像時)に、撮像対象物を照明する照明光を出射する。照明部16は、例えばLED等の照明光源を有し、後述する制御部31により制御されて、赤外域の波長を有する光(赤外線、赤外光)を発する。尚、照明部16が赤外光を照明光として出射するものに限定されず、赤外光以外の可視光を照明光として出射してもよい。
【0026】
撮像装置10は4個の照明部16を備えている。4個のうちの一対の照明部16は、天井板122の右側において、1個の照明部16が前側、他の1個の照明部16が後側に設けられる。他の一対の照明部16は、天井板122の左側において、1個の照明部16が前側、他の1個の照明部16が後側に設けられる。
【0027】
尚、撮像装置10が備える照明部16は4個であるものに限られない。撮像装置10は、3個以下の照明部16を備えてもよいし、5個以上の照明部16を備えてもよい。
【0028】
<基板17>
基板17は、図3に示されるように、ハウジング12の内部の下方側に設けられ、底面121aに、例えばねじ固定により取り付けられる。基板17には、例えば、無線LAN(Wi-Fi)によって他の機器と相互接続する不図示のアンテナ等が実装される。これにより、撮像装置10は、撮像素子110から出力される信号(画像信号)をスマートフォンやタブレット端末等の他の機器に無線送信することができる。また、スマートフォン等の他の機器によって撮像装置10を遠隔操作することもできる。
【0029】
基板17の下面には板状のシールド部材17aが設けられる。シールド部材17aと底面121aとの間に、上下方向に所定の間隔を有する空間Sが形成される。この空間Sは、後述する蓋260の挿入部263(図4参照)が挿入可能な空間である。
【0030】
<制御部31>
制御部31は、基板310上に搭載されている。制御部31は、例えばCPUやメモリ等によって構成され、撮像素子110が搭載された基板112と電気的に接続されている。制御部31は、例えばフラッシュメモリ等の記録媒体に予め記録されている制御プログラムを読み込んで実行することにより、撮像装置10の各部を制御するプロセッサーである。例えば、制御部31は、電源部による撮像素子110等の各部への電力供給を制御する。
【0031】
<メモリスロット26>
メモリスロット26は、所定の記録媒体が着脱可能に装着される装着部である。より特定的には、撮像装置10は、SDメモリカードを挿抜可能なスロットを備えている。リアケース121に設けられている蓋260を開けると、メモリスロット26にSDメモリカードを抜き差しすることができる。
【0032】
<蓋260>
図4は、蓋260の外観斜視図である。図5A図1AのB-B線における撮像装置10の断面図であり、図5B図1BのC-C線における撮像装置10の断面図である。すなわち、図5Aは閉状態の撮像装置10の断面図であり、図5Bは開状態の撮像装置10の断面図である。蓋260は、壁面261と、底面部262と、挿入部263とを有している。壁面261と、底面部262と、挿入部263とは、エラストマー等の弾性材により一体成型される。
【0033】
壁面261は、閉状態のときにリアケース121の側壁板121bと平行又は略平行な面、すなわち前後方向と交わる面である。壁面261には、蓋260が閉状態のときにリアケース121の取付機構128に形成された収容部128bに収容されて係合する係合部264が形成される。係合部264は、壁面261の上方側面に設けられ、第2方向の上方に向けて突出する突部である。また、壁面261の上端近傍には、凹部261aが形成される。閉状態の蓋260の凹部261aに対してユーザが爪等を引っ掛けて操作することにより、蓋260を開状態にさせることができる。
【0034】
底面部262は、壁面261の下方の端部と連接する。底面部262は、閉状態のときにリアケース121の底面121aと平行又は略平行な面である。換言すると、閉状態のときには、底面部262の下面は撮像装置10が固定された載置面Pと対向する。底面部262の後方側、すなわち壁面261と連接していない側の端部には、挿入部263が設けられる。
【0035】
挿入部263は、前後方向に沿って延びる板状に形成される。すなわち、挿入部263は、後述するように蓋260が移動する際の移動方向である第1方向に沿って延びる。挿入部263は、リアケース121に形成された取付機構128の開口部128d(図2B参照)を通ってリアケース121の内部に挿入される。挿入された挿入部263は、閉状態のときにリアケース121の底面121aと基板17との間の上下方向の空間Sに位置する。
【0036】
挿入部263は、前方側(すなわち底面部262に近い側)に形成される第1挿入領域265と、第1挿入領域265に対して後方側に形成される第2挿入領域266とを有する。第2挿入領域266の前後方向の一方側(前方側)の端部と、第1挿入領域265の前後方向の他方側(後方側)の端部とが連接し、連接部266aを形成している。第1挿入領域265は、連接部266aとは異なる前後方向の一方側(前方側)の端部にて底面部262と連接している。このため、第1挿入領域265は、底面部262を介して壁面261と接続されている、と言うことができる。換言すると、上述した蓋260の壁面部261は、第1挿入領域265の前後方向の一方側の端部に設けられ、前後方向と交わる面である。第1挿入領域265は、底面部262と平行である。
【0037】
第2挿入領域266は、第1挿入領域265に対して傾斜している。すなわち、第2挿入領域266の他方側(後方側)の端部266bの位置と、第1挿入領域265との連接部266aの位置とは、光軸Lと平行な第2方向において異なる。具体的には、第2挿入領域266の端部266bは、第1挿入領域265との連接部266aに対して、第2方向において上方に位置する。連接部266aと端部266bとの間の第2方向の(上下方向)の距離(高さ)は、リアケース121の底面121aと基板17のシールド部材17aとの間の上下方向(すなわち、空間Sの上下方向)の幅よりも大きい。
【0038】
第2挿入領域266には、第2挿入領域266が延びる方向、すなわち蓋260の移動方向である第1方向(前後方向)に沿う長軸を有する長穴267が形成されている。この長穴267には、リアケース121の底面121aに形成された第2方向の上方へ向かって延びる突部127が挿入される。
【0039】
<蓋260の動作>
図5A及び図5Bに示されるように、蓋260が前後方向にスライドすることにより開閉状態が切り替わる。図5Aに示される閉状態の場合には、蓋260に対してユーザが爪等を凹部261aに引っ掛けて、蓋260を下方側に移動させる。これにより、壁面261の上端に形成された突部(第1突部)である係合部264と取付機構128の収容部128bとの係合が外れる。これにより、蓋260は、第1方向に沿って前方側に移動(スライド)して、開状態となる。ただし、蓋260の底面部262は、撮像装置10が固定された載置面Pと対向している。そのため、蓋260を閉状態から開状態とするためには、撮像装置10が載置面Pから取り外された状態で上記の操作が行われる。
【0040】
また、上述したように、第2挿入領域266に形成された長穴267にリアケース121の底面121aに形成された突部(第2突部)127が挿入されている。このため、図5Bに示される開状態となると、長穴267の後方側の端部壁面267aが突部127と当接し、蓋260の前方への移動が規制されている。換言すると、長穴267と突部127とは、蓋260がハウジング12から脱落することを抑制する抜け止めとして機能する。
【0041】
図5Bに示される状態にて、壁面261に後方側へ向かう力が作用されると、蓋260は、突部127に対して、長穴267が延びる第1方向に沿って後方側へスライドする。すなわち、長穴267と突部127とは、蓋260の移動を案内する案内部として機能する。
【0042】
蓋260が後方へスライドすると、挿入部263の第2挿入領域266が、リアケース121の底面121aと基板17との間の空間Sに進入する。そして、図5Aに示されるように、壁面261の上部に形成された係合部264は、リアケース121に形成された取付機構128の収容部128bに挿入され、収容される。
【0043】
上述したように、挿入部263の第2挿入領域266は第1挿入領域265に対して傾斜し、第2挿入領域266の端部266bは連接部266aよりも第2方向の上方に位置している。そして、端部266bと連接部266aとの上下方向の距離は、空間Sの上下方向の幅よりも大きい。そのため、挿入部263が空間S内に挿入されると、第2挿入領域266と基板17のシールド部材17aとが当接し、第2挿入領域266には、シールド部材17aにより下方に向けて押し付けられる力が作用する。この力により、挿入部263は、第1挿入領域265と第2挿入領域266との連接部266aを支点として、変形する。このとき、蓋260の壁面261には、図5Aの矢印ARに示されるように、ハウジング12の外側へ向かう力が作用する。このため、壁面261の上部に形成された係合部264は、リアケース121の収容部128bを形成する前方側の壁面128eに当接し、収容部128bと係合する。この結果、閉状態となる。
【0044】
閉状態となった後も、矢印ARの方向に向かう力が係合部264に作用する。このため、係合部264が壁面128eに当接される状態が維持されるので、閉状態となった蓋260がガタついたり緩んだりすることが抑制される。
【0045】
また、基板17の下面、すなわちシールド部材17aの下面のうち、リアケース121に形成された取付機構128の開口部128dに近接する位置には、弾性を有する材料から形成される当接部材17bが設けられる。具体的には、当接部材17bは、シールド部材17aの下面と蓋260の挿入部263の上面とに生じる空間に設けられる。このため、当接部材17bの下面と挿入部263の上面とが当接し、閉状態となった蓋260の挿入部263には当接部材17bによって下方へ向かう力が作用する。このため、空間S内で挿入部263がガタついたりすることが抑制される。
【0046】
上述した実施の形態によれば以下の作用効果のうちの少なくとも一つが得られる。
【0047】
(1)撮像装置10は、第1方向(前後方向)に沿って移動して、装着部であるメモリスロット26を開閉可能に覆う蓋260を備える。蓋260は、弾性材によって形成され、ハウジング12と基板17との間の空間Sに挿入される挿入部263を有する。挿入部263は、第1挿入領域265と、第1挿入領域265に対して傾斜する第2挿入領域266を有する。第2挿入領域266の第1方向(前後方向)の一方側(前方側)の端部は第1挿入領域265の第1方向(前後方向)の他方側(後方側)の端部と連接する連接部266aであり、第2挿入領域266の他方側(後方側)の端部266bの位置と連接部266aの位置とは、第1方向(前後方向)と交差する第2方向(上下方向)において異なる。連接部266aと第2挿入領域266の端部266bとの間の第2方向(上下方向)の距離は、空間Sの第2方向(上下方向)の幅よりも大きい。これにより、弾性材により製造された蓋260には、閉状態のときに連接部266aを支点として矢印AR方向の力が作用する。この結果、リアケース121の取付機構128に嵌め込まれた蓋260がガタついたり緩んだりすることが抑制され、確実にメモリスロット26を閉めることができる。また、設置型の撮像装置10のようにメモリスロット26へのアクセス頻度が低い場合に、蓋260が単一の弾性材により製造されるため、ガタ等の発生を抑制するための特別な機構や部材等を必要とせず、製造コストを低減することができる。
【0048】
(2)挿入部263は、第1方向(前後方向)に沿って移動すると、連接部266aを支点として変形する。これにより、ガタ等の発生を抑制するための特別な機構や部材等を用いることなく、弾性材により製造された蓋260に作用する力によって、取付機構128に嵌め込まれた蓋260にガタが発生することを抑制できる。
【0049】
(3)蓋260の壁面261には、第2方向の上方側に向けて突出する第1突部である係合部264が設けられ、係合部264は、蓋260が閉状態のとき、ハウジング12が有する収容部128bに収容される。これにより、蓋260が取付機構128に嵌め込まれる状態となるので、閉状態の蓋260にガタや緩み等が発生することが抑制される。
【0050】
(4)蓋260の壁面261の表面には、凹部261aが設けられる。これにより、閉状態の蓋260を操作する際に、爪等を引っ掛けやすくなるので、操作性が向上する。
【0051】
(5)ハウジング12に形成された第2方向の上方側へ向けて突出する第2突部である突部127は、挿入部263の第2挿入領域266に設けられた、第1方向(前後方向)に沿う長軸を有する長穴267に挿入される。これにより、突部127に対して、長穴267が延びる第1方向に沿って前後方向へスライドできるので、蓋260の移動を案内する案内部として機能する。また、蓋260が開状態となると、長穴267の後方側の端部壁面267aが突部127と当接するので、蓋260が前方へ移動することを規制し、蓋260がハウジング12から脱落することが抑制される。
【0052】
(6)基板17の下面には、挿入部263と当接する当接部材17bが設けられる。これにより、閉状態となった蓋260の挿入部263には当接部材17bによって下方へ向かう力が作用する。この結果、空間S内で挿入部263がガタついたりすることが抑制され、蓋260がガタついたり緩んだりすることが抑制される。
【0053】
(7)蓋260の底面部262は、閉状態のときに、ハウジング12が固定される載置面Pと対向する。これにより、記録媒体の着脱の頻度が低い設置型の撮像装置10において、蓋260を単一の材料を用いて製造コストを低減するとともに、蓋260の閉状態のときにガタつき等を抑制することができる。また、閉状態のときに蓋260の底面部262は載置面Pと対向することにより、撮像装置10を載置面P上に設置した後には、蓋260が容易に取り外されることが抑制される。
【0054】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0055】
尚、本技術は以下のような構成をとることが可能である。
【0056】
(1)撮像装置は、ハウジングと、前記ハウジングに収容され、光学部材を介して被写体光を受光する撮像素子と、前記ハウジング内に収容された基板と、記録媒体が着脱可能に装着される装着部と、第1方向に沿って移動して、前記装着部を開閉可能に覆う蓋と、を備え、前記蓋は、弾性材によって形成され、前記蓋は、前記ハウジングと前記基板との間の空間に挿入される挿入部を有し、前記挿入部は、第1挿入領域と、前記第1挿入領域に対して傾斜する第2挿入領域とを有し、前記第2挿入領域の前記第1方向の一方側の端部は前記第1挿入領域の前記第1方向の他方側の端部と連接する連接部であり、前記第2挿入領域の前記第1方向の他方側の端部の位置と前記連接部の位置とは、前記第1方向と交差する第2方向において異なり、前記連接部と前記第2挿入領域の前記第1方向の他方側の端部との間の前記第2方向の距離は、前記空間の前記第2方向の幅よりも大きい。
【0057】
(2)前記挿入部は、前記第1方向に沿って移動すると、前記連接部を支点として変形する、(1)に記載の撮像装置。
【0058】
(3)前記蓋は、前記第1挿入領域の前記第1方向の一方側の端部に設けられ、前記第1方向と交わる面を含む壁面を有し、前記壁面には、前記第2方向に突出する第1突部が設けられ、前記第1突部は、前記蓋が前記装着部を閉状態で覆うとき、前記ハウジングに形成された収容部に挿入される、(1)又は(2)に記載の撮像装置。
【0059】
(4)前記壁面には、凹部が設けられる、(1)から(3)までの何れかに記載の撮像装置。
【0060】
(5)前記第2挿入領域には、前記第1方向に沿う長軸を有する長穴が設けられ、前記ハウジングには、前記第2方向に突出する第2突部が設けられ、前記第2突部は、前記長穴に挿入される、(1)から(4)までの何れかに記載の撮像装置。
【0061】
(6)前記基板には、前記挿入部と当接する当接部材が設けられる、(1)から(5)までの何れかに記載の撮像装置。
【0062】
(7)前記ハウジングは、載置面に固定され、前記蓋は、前記載置面と対向する第1面の一部と、前記第1面と連接する第2面の一部とに形成された取付機構に取り付けられ、前記蓋は、前記壁面と連接する底面を有し、前記底面は、前記取付機構に取り付けられた前記蓋が前記装着部を閉状態で覆うとき、前記載置面と対向する、(1)から(6)までの何れかに記載の撮像装置。
【符号の説明】
【0063】
10 撮像装置、11 カメラモジュール、12 ハウジング、17 基板、17a シールド部材、17b 当接部材、26 メモリスロット、110 撮像素子、111 レンズ、120 フロントケース、121 リアケース、121a 底面、121b,121c,121d,121e 側壁板、127 突部、128 取付機構、128a,128c,128e 壁面、128b 収容部、128d 開口部、260 蓋、261 壁面、261a 凹部、262 底面部、263 挿入部、264 係合部、265 第1挿入領域、266 第2挿入領域、266a 連接部、266b 端部、267 長穴、267a 端部壁面、S 空間
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B