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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082620
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】リフタ装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/06 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
B66F9/06 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196590
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 修司
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA01
3F333AB07
3F333AD06
3F333BD05
3F333FA15
(57)【要約】
【課題】昇降部材が意図せずに下降することを抑制すること。
【解決手段】リフタ装置は、ポールと、ポールにガイドされる昇降部材と、昇降部材を昇降させる動力を発生するモータと、モータの動力を昇降部材に伝達する伝達機構と、動力の非伝達時に、昇降部材の下降を抑制するラチェット機構と、ラチェット機構の作動を解除するアクチュエータと、を備える。
【選択図】図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポールと、
ポールにガイドされる昇降部材と、
昇降部材を昇降させる動力を発生するモータと、
前記モータの動力を昇降部材に伝達する伝達機構と、
動力の非伝達時に、昇降部材の下降を抑制するラチェット機構と、
前記ラチェット機構の作動を解除するアクチュエータと、を備える、
リフタ装置。
【請求項2】
前記ラチェット機構は、
前記モータのロータシャフトに固定されるラチェットプレートと、
前記ラチェットプレートに係合するロックレバーと、を有する、
請求項1に記載のリフタ装置。
【請求項3】
前記ロックレバーが前記ラチェットプレートに係合するように弾性力を発生するスプリングを備える、
請求項2に記載のリフタ装置。
【請求項4】
前記伝達機構は、
前記モータにより回転する回転体と、
前記昇降部材に回転可能に支持される昇降プーリと、
前記回転体と前記昇降プーリとを繋ぐワイヤと、を有し、
前記回転体が前記ワイヤを巻き取り及び繰り出しすることにより、前記昇降部材が昇降する、
請求項1に記載のリフタ装置。
【請求項5】
前記伝達機構は、複数のギヤを有し、
前記モータの回転数を減速した状態で前記回転体に伝達する、
請求項4に記載のリフタ装置。
【請求項6】
前記昇降部材が上昇するように前記モータを駆動させる操作装置を備え、
前記操作装置が操作されることにより、前記ラチェット機構の作動が解除される、
請求項1に記載のリフタ装置。
【請求項7】
前記操作装置の操作が解除されることにより、前記ラチェット機構が作動する、
請求項6に記載のリフタ装置。
【請求項8】
動力の非伝達時に、昇降部材の下降を抑制するクラッチ機構を備える、
請求項1に記載のリフタ装置。
【請求項9】
ポールと、
ポールにガイドされる昇降部材と、
昇降部材を昇降させる動力を発生するモータと、
前記モータの動力を昇降部材に伝達する伝達機構と、
動力の非伝達時に、昇降部材の下降を抑制する第1抑制機構と、
動力の非伝達時に、昇降部材の下降を抑制する第2抑制機構と、を備える、
リフタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、リフタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リフタ装置に係る技術分野において、特許文献1に開示されているようなリフタ装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-110459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リフタ装置は、搬送対象を支持した状態で昇降する昇降部材を有する。上昇した昇降部材が意図せずに下降すると、搬送対象に影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
本明細書で開示する技術は、昇降部材が意図せずに下降することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、リフタ装置を開示する。リフタ装置は、ポールと、ポールにガイドされる昇降部材と、昇降部材を昇降させる動力を発生するモータと、モータの動力を昇降部材に伝達する伝達機構と、動力の非伝達時に、昇降部材の下降を抑制するラチェット機構と、ラチェット機構の作動を解除するアクチュエータと、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、昇降部材が意図せずに下降することが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るリフタ装置を示す前方からの斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るリフタ装置を示す後方からの斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るリフタ装置を示す正面図である。
図4図4は、実施形態に係るリフタ装置を示す背面図である。
図5図5は、実施形態に係るリフタ装置を示す平面図である。
図6図6は、実施形態に係るリフタ装置を示す底面図である。
図7図7は、実施形態に係るリフタ装置を示す右側面図である。
図8図8は、実施形態に係るリフタ装置を示す左側面図である。
図9図9は、実施形態に係るリフタ装置の一部を示す後方からの斜視図である。
図10図10は、実施形態に係るリフタ装置の一部を示す後方からの斜視図である。
図11図11は、実施形態に係るリフタ装置の一部を示す断面図である。
図12図12は、実施形態に係るブレーキ機構を示す断面図である。
図13図13は、実施形態に係るリフタ装置の一部を示す断面図である。
図14図14は、実施形態に係るスライダを示す後方からの斜視図である。
図15図15は、実施形態に係るポールの上端部を示す上方からの斜視図である。
図16図16は、実施形態に係るリフタ装置の一部を示す断面図である。
図17図17は、実施形態に係る伝達機構を模式的に示す正面図である。
図18図18は、実施形態に係るリフタ装置を示す前方からの斜視図である。
図19図19は、実施形態に係る伝達機構の一部を示す断面図である。
図20図20は、実施形態に係る伝達機構の一部を示す断面図である。
図21図21は、実施形態に係る伝達機構を示す斜視図である。
図22図22は、実施形態に係るラチェット機構を示す図である。
図23図23は、実施形態に係るラチェット機構を示す図である。
図24図24は、実施形態に係るロータ及びラチェットプレートを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施形態において、リフタ装置は、ポールと、ポールにガイドされる昇降部材と、昇降部材を昇降させる動力を発生するモータと、モータの動力を昇降部材に伝達する伝達機構と、動力の非伝達時に、昇降部材の下降を抑制するラチェット機構と、ラチェット機構の作動を解除するアクチュエータと、を備えてもよい。
【0010】
上記の構成では、昇降部材が意図せずに下降することが抑制される。アクチュエータは、ソレノイドでもよいし、電動モータでもよい。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ラチェット機構は、モータのロータシャフトに固定されるラチェットプレートと、ラチェットプレートに係合するロックレバーと、を有してもよい。
【0012】
上記の構成では、ロックレバーがラチェットプレートに係合することにより、ラチェット機構が作動し、ロックレバーがラチェットプレートから外れることにより、ラチェット機構の作動が解除される。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施形態において、リフタ装置は、ロックレバーがラチェットプレートに係合するように弾性力を発生するスプリングを備えてもよい。
【0014】
上記の構成では、アクチュエータが駆動していないとき、スプリングによりロックレバーがラチェットプレートに係合して、ラチェット機構が作動する。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態において、伝達機構は、モータにより回転する回転体と、昇降部材に回転可能に支持される昇降プーリと、回転体と昇降プーリとを繋ぐワイヤと、を有してもよい。回転体がワイヤを巻き取り及び繰り出しすることにより、昇降部材が昇降してもよい。
【0016】
上記の構成では、伝達機構は、モータの動力を昇降部材に適正に伝達することができる。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施形態において、伝達機構は、複数のギヤを有してもよい。伝達機構は、モータの回転数を減速した状態で回転体に伝達してもよい。
【0018】
上記の構成では、ロータシャフトと回転体とのギヤ比が1よりも十分に小さい。例えば、ロータシャフトが30回転したときに回転体が1回転する(ギヤ比1/30)。これにより、昇降部材に大きい負荷が掛かっても、ロータシャフトに掛かる負荷が小さくなる。そのため、ラチェットプレートからロックレバーを外し易くなる。また、ロックレバーをラチェットプレートに係合させるとき、ロックレバーがラチェットプレートの凹部に入り込むタイミングによっては、ラチェットプレートの回転が直ちに停止しない可能性がある。ラチェットプレートの回転が直ちに停止しなくても、ギヤ比が十分に小さいので、昇降部材は、見かけ上、直ちに停止する。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施形態において、リフタ装置は、昇降部材が上昇するようにモータを駆動させる操作装置を備えてもよい。操作装置が操作されることにより、ラチェット機構の作動が解除されてもよい。
【0020】
上記の構成では、モータの起動とともにラチェット機構の作動が解除される。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態において、操作装置の操作が解除されることにより、ラチェット機構が作動してもよい。
【0022】
上記の構成では、モータの停止とともにラチェット機構が作動する。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施形態において、リフタ装置は、動力の非伝達時に、昇降部材の下降を抑制するクラッチ機構を備えてもよい。
【0024】
上記の構成では、昇降部材の下降を抑制する第1抑制機構としてクラッチ機構が設けられ、昇降部材の下降を抑制する第2抑制機構としてラチェット機構が設けられる。これにより、昇降部材の下降が確実に抑制される。例えば、リフタ装置の使用環境に起因して、クラッチ機構が十分に作動しなくても、ラチェット機構の作動により、昇降部材の下降が抑制される。
【0025】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を省略することができる。実施形態においては、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、リフタ装置1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。
【0026】
[リフタ装置の概要]
図1は、実施形態に係るリフタ装置1を示す前方からの斜視図である。図2は、実施形態に係るリフタ装置1を示す後方からの斜視図である。図3は、実施形態に係るリフタ装置1を示す正面図である。図4は、実施形態に係るリフタ装置1を示す背面図である。図5は、実施形態に係るリフタ装置1を示す平面図である。図6は、実施形態に係るリフタ装置1を示す底面図である。図7は、実施形態に係るリフタ装置1を示す右側面図である。図8は、実施形態に係るリフタ装置1を示す左側面図である。図9は、実施形態に係るリフタ装置1の一部を示す後方からの斜視図である。図10は、実施形態に係るリフタ装置の一部を示す後方からの斜視図である。図11は、実施形態に係るリフタ装置1の一部を示す断面図であり、図9のA-A線断面矢視図に相当する。
【0027】
リフタ装置1は、搬送対象Sの運搬及び昇降に使用される。リフタ装置1は、走行フレーム2と、車輪3と、キャスタ4(小車輪)と、ガード5と、ポール6と、ハンドル7と、昇降部材8と、モータ9と、コントローラ10と、伝達機構11と、ケース12と、バッテリ装着部13と、ライトユニット14と、操作装置15と、表示装置16と、停止ブレーキ機構17と、ロック機構18とを備える。
【0028】
走行フレーム2は、ポール6を支持する。走行フレーム2は、メインフレーム19と、サブフレーム20と、一対のメインプレート21と、一対のサブプレート22とを含む。
【0029】
メインフレーム19は、後フレーム19Bと、左フレーム19Lと、右フレーム19Rとを有する。後フレーム19Bは、左右方向に延びる。左フレーム19L及び右フレーム19Rのそれぞれは、前後方向に延びる。後フレーム19Bは、左フレーム19Lの後端部と右フレーム19Rの後端部とを繋ぐように配置される。メインフレーム19は、中空の部材(パイプ)により構成され、メインフレーム19の材質は、鉄系金属である。
【0030】
サブフレーム20は、後フレーム19Bよりも前方に配置される。サブフレーム20は、左フレーム19Lの後部と右フレーム19Rの後部とを繋ぐように配置される。サブフレーム20は、左右方向に延びる。サブフレーム20は、中空の部材(パイプ)により構成され、サブフレーム20の材質は、鉄系金属である。
【0031】
メインプレート21は、後フレーム19B及びサブフレーム20に下方側から支持される。メインプレート21は、一対設けられる。一対のメインプレート21は、左右方向に配置される。メインプレート21は、左側のメインプレート21Lと、右側のメインプレート21Rとを含む。メインプレート21は、ボルト23によりポール6の下部に接続される。
【0032】
サブプレート22は、後フレーム19Bに支持される。サブプレート22は、一対設けられる。一対のサブプレート22は、左右方向に配置される。サブプレート22は、左側のサブプレート22Lと、右側のサブプレート22Rとを含む。サブプレート22Lとサブプレート22Rとの間に、メインプレート21Lとメインプレート21Rとが配置される。メインプレート21Lの左側にサブプレート22Lが配置される。メインプレート21Rの右側にサブプレート22Rが配置される。
【0033】
車輪3は、走行フレーム2の後部に支持される。車輪3は、左右方向に一対配置される。車輪3は、左側の車輪3Lと、右側の車輪3Rとを含む。車輪3L及び車輪3Rのそれぞれは、車軸24に連結される。車軸24は、左側の車輪3Lと右側の車輪3Rとを繋ぐ。車軸24は、メインプレート21及びサブプレート22に支持される。車輪3は、車軸24を介して走行フレーム2に支持される。車軸24は、左右方向に延びる。車輪3は、車軸24に回転可能に連結される。車輪3の回転軸は、左右方向に延びる。車輪3の回転軸に平行な軸方向と左右方向とは一致する。車輪3と車軸24との間に軸受が配置される。
【0034】
キャスタ4は、走行フレーム2の前部に支持される。キャスタ4は、左右方向に一対配置される。キャスタ4は、左側のキャスタ4Lと、右側のキャスタ4Rとを含む。左側のキャスタ4Lは、左フレーム19Lの前端部に支持される。右側のキャスタ4Rは、右フレーム19Rの前端部に支持される。キャスタ4は、カップ部25により覆われる。カップ部25は、左側のキャスタ4Lを上方から覆う左側のカップ部25Lと、右側のキャスタ4Rを上方から覆うカップ部25Rとを含む。カップ部25Lは、左フレーム19Lの前端部に設けられる。カップ部25Rは、右フレーム19Rの前端部に設けられる。
【0035】
ガード5は、サブプレート22に固定される。ガード5は、左右方向に一対配置される。ガード5は、左側のガード5Lと、右側のガード5Rとを含む。左側のガード5Lの前部は、左側のサブプレート22Lにボルト26により固定される。左側のガード5Lの後部は、左側の車輪3Lの後方に配置される。右側のガード5Rの前部は、右側のサブプレート22Rにボルト26により固定される。右側のガード5Rの後部は、右側の車輪3Rの後方に配置される。ガード5L及びガード5Rのそれぞれは、L字状に曲げられている。ガード5Lの後部は、左側に曲げられる。ガード5Rの後部は、右側に曲げられる。リフタ装置1が後方に倒れそうになった場合、ガード5の後部が地面に接触する。ガード5の後部が地面に接触することにより、リフタ装置1が後方に倒れることが抑制される。また、ガード5は、リフタ装置1の使用者と車輪3との接触を抑制する。
【0036】
ポール6は、走行フレーム2に支持される。ポール6は、メインプレート21(21L,21R)を介して走行フレーム2に支持される。より詳細には、走行フレーム2がメインプレート21(21L,21R)を支持し、メインプレート21(21L,21R)がポール6を支持している。ポール6は、上下方向に延びる。走行フレーム2は、ポール6の下端部に連結される。ポール6は、走行フレームから上方に延びるように配置される。ポール6は、走行フレーム2に回動可能に連結される。ポール6は、前方に倒れるように回動可能である。ポール6は、アルミニウム製である。ポール6は、中空の部材である。ポール6は、アルミニウム製の引き抜き材により構成され、軽量である。
【0037】
ハンドル7は、リフタ装置1の使用者の手で握られる。ハンドル7は、ポール6の後部に固定される。ハンドル7は、一対のブラケット27を介してポール6の上部に固定される。ブラケット27は、ねじ28によりポール6に固定される。ポール6の後部に、複数のねじ孔29が設けられる。複数のねじ孔29は、上下方向に配置される。ねじ28を挿入するねじ孔29が選択されることにより、ハンドル7の高さが調整される。
【0038】
昇降部材8は、ポール6にガイドされながら昇降する。昇降部材8は、ポール6にガイドされるスライダ30と、スライダ30に連結されるアーム31と、アーム31に支持されるテーブル32と、スライダ30の上部に固定される背板33とを有する。
【0039】
ポール6にガイド溝34が形成される。ガイド溝34は、ポール6の左面に形成されたガイド溝34Lと、ポール6の右面に形成されたガイド溝34Rとを含む。ポール6の前面にガイド開口35が形成される。ガイド溝34及びガイド開口35のそれぞれは、上下方向に延びる。スライダ30の左部30Lは、左側のガイド溝34Lに対向する。スライダ30の右部30Rは、右側のガイド溝34Rに対向する。スライダ30の前部は、ガイド開口35に対向する。スライダ30の少なくとも一部は、ガイド開口35の内側に配置される。スライダ30は、ローラ36を回転可能に支持する。ローラ36は、左側のガイド溝34Lに配置されるローラ36Lと、右側のガイド溝34Rに配置されるローラ36Rとを含む。ローラ36は、ガイド溝34を転がることができる。ローラ36がガイド溝34を転がることにより、スライダ30は、ポール6にガイドされながら上下方向に円滑に移動することができる。ガイド溝34及びガイド開口35は、アルミニウムの引き抜き加工により形成される。
【0040】
アーム31は、スライダ30から前方に延びるように配置される。アーム31は、左右方向に一対配置される。アーム31は、アーム31Lと、右側のアーム31Rとを含む。左側のアーム31Lの後部は、スライダ30の左部30Lにボルト37により連結される。右側のアーム31Rの後部は、スライダ30の右部30Rにボルト37により連結される。アーム31は、スライダ30に回動可能に連結される。
【0041】
テーブル32は、搬送対象Sを下方から支持する。搬送対象Sは、テーブル32に載せられる。テーブル32は、アーム31Lとアーム31Rとに左右方向から支持される。テーブル32は、ポール6よりも前方に配置される。テーブル32は、アーム31を介してスライダ30に連結される。テーブル32は、スライダ30に回動可能に連結される。スライダ30に対してアーム31が回動することにより、テーブル32は、アーム31と一緒に回動する。
【0042】
背板33は、搬送対象Sを後方から支持する。背板33は、スライダ30の前面の上部に固定される。
【0043】
昇降部材8の少なくとも一部は、ポール6の前側において昇降する。少なくともスライダ30の前部、アーム31の前部、テーブル32、及び背板33は、ポール6よりも前方に配置され、ポール6の前側において昇降する。
【0044】
モータ9は、昇降部材8を昇降させる動力を発生する。モータ9は、電動モータである。モータ9は、ブラシレスモータである。
【0045】
コントローラ10は、リフタ装置1に搭載されている電子機器を制御する。コントローラ10は、少なくともモータ9を制御する。
【0046】
伝達機構11は、モータ9の回転力を昇降部材8に伝達する。
【0047】
ケース12は、モータ9及びコントローラ10を収容する。ケース12は、合成樹脂製である。ケース12は、伝達機構11の少なくとも一部を収容する。ケース12は、ポール6の少なくとも一部に固定される。実施形態において、ケース12は、ポール6の後面にねじ38により固定される。上下方向において、ケース12は、ポール6の中央部に固定される。
【0048】
バッテリ装着部13にバッテリパック39が装着される。バッテリパック39は、バッテリ装着部13に装着された状態で、リフタ装置1に搭載されている電子機器に給電する。バッテリパック39は、少なくともモータ9に給電する。バッテリパック39は、バッテリ装着部13に着脱可能である。バッテリパック39は、電動工具用のバッテリパックである。バッテリパック39は、バッテリ装着部13から外された状態で充電される。
【0049】
バッテリ装着部13は、ケース12に設けられる。バッテリ装着部13は、ケース12の外面に設けられる。実施形態において、バッテリ装着部13は、ケース12の右部に設けられる。
【0050】
ライトユニット14は、昇降部材8の前方付近を照明する照明光を射出する。なお、ライトユニット14は、昇降部材8の前方付近とは異なる場所を照明してもよい。ライトユニット14は、ポール6の上端部に配置される。
【0051】
操作装置15は、リフタ装置1の使用者に操作されることにより、モータ9を駆動する操作信号を生成する。操作装置15は、生成した操作信号をコントローラ10に送信する。操作装置15は、ケース12に設けられる。
【0052】
操作装置15は、複数のボタンを含む。ボタンは、ケース12の上面に配置される。操作装置15が設けられるケース12の上面は、後方に向かって下方に傾斜する。これにより、使用者は、操作装置15を操作し易くなる。実施形態において、ボタンは、電源オンオフボタン15Aと、昇降部材8を上昇させる上昇ボタン15Bと、昇降部材8を下降させる下降ボタン15Cと、ライトユニット14を起動又は停止させるライトボタン15Dとを含む。
【0053】
表示装置16は、電源オンの状態で点灯し電源オフの状態で消灯する電源表示部16Aと、バッテリパック39の残容量を表示する残容量表示部16Bとを含む。残容量表示部16Bは、複数の発光部を有するインジケータを含む。残容量が多いほど点灯する発光部の数が多くなり、残容量が少ないほど点灯する発光部の数が少なくなる。
【0054】
停止ブレーキ機構17は、車輪3の回転を抑制する。停止ブレーキ機構17は、車輪3の上方に配置されるブレーキ部材40と、ブレーキ部材40を上下方向に移動させるために操作されるブレーキレバー41と、ブレーキ部材40とブレーキレバー41とを繋ぐブレーキロッド42と、ブレーキレバー41を回動可能に支持するブレーキ支持部材43とを有する。ブレーキ部材40は、車輪3Lの上方に配置されるブレーキ部材40Lと、車輪3Rの上方に配置されるブレーキ部材40Rとを含む。
【0055】
ロック機構18は、ポール6の回動をロックする。ポール6は、走行フレーム2に対して前方に倒れるように回動することができる。ロック機構18は、ポール6が前方に倒れないようにポール6をロックする。
【0056】
[バッテリ装着部]
図10は、実施形態に係るリフタ装置1の一部を示す後方からの斜視図である。図9及び図10に示すように、実施形態において、バッテリ装着部13は、第1バッテリ装着部13Aと、第2バッテリ装着部13Bとを含む。第2バッテリ装着部13Bは、第1バッテリ装着部13Aの隣に配置される。実施形態において、第1バッテリ装着部13Aと第2バッテリ装着部13Bとは、ケース12の右部の外面において前後方向に配置される。第2バッテリ装着部13Bは、第1バッテリ装着部13Aよりも後方に配置される。
【0057】
バッテリパック39は、第1バッテリ装着部13Aに装着される第1バッテリパック39Aと、第2バッテリ装着部13Bに装着される第2バッテリパック39Bとを含む。第1バッテリ装着部13Aに第1定格電圧の第1バッテリパック39Aが装着される。第2バッテリ装着部13Bに第2定格電圧の第2バッテリパック39Bが装着される。一例として、第1バッテリパック39Aの第1定格転圧は、36Vである。第2バッテリパック39Bの第2定格転圧は、18Vである。
【0058】
ケース12は、第1バッテリ装着部13A及び第2バッテリ装着部13Bのいずれか一方を覆うカバー部材44を支持する。カバー部材44は、第1バッテリ装着部13Aに第1バッテリパック39Aが装着されているときに第2バッテリ装着部13Bを覆い、第2バッテリ装着部13Bに第2バッテリパック39Bが装着されているときに第1バッテリ装着部13Aを覆う。カバー部材44は、ケース12にスライド可能に支持される。ケース12の右部に、カバー部材44を前後方向にガイドするガイド溝12Gが形成される。ガイド溝12Gは、前後方向に延びる。カバー部材44は、ガイド溝12Gにガイドされながら前後方向にスライドする。リフタ装置1の使用者は、カバー部材44に設けられている凸部44Aを指でつまんで、カバー部材44を前後方向に移動することができる。
【0059】
図9に示すように、カバー部材44が後方にスライドすることにより、第2バッテリ装着部13Bがカバー部材44に覆われ、第1バッテリ装着部13Aが露出する。第1バッテリパック39Aは、第1バッテリ装着部13Aの上方から第1バッテリ装着部13Aに挿入されることにより、第1バッテリ装着部13Aに装着される。
【0060】
図10に示すように、カバー部材44が前方にスライドすることにより、第1バッテリ装着部13Aがカバー部材44に覆われ、第2バッテリ装着部13Bが露出する。第2バッテリパック39Bは、第2バッテリ装着部13Bの上方から第2バッテリ装着部13Bに挿入されることにより、第2バッテリ装着部13Bに装着される。
【0061】
また、実施形態においては、第1バッテリ装着部13Aに第1バッテリパック39Aが装着されているときに第2バッテリ装着部13Bに第2バッテリパック39Bが装着されず、第2バッテリ装着部13Bに第2バッテリパック39Bが装着されているときに第1バッテリ装着部13Aに第1バッテリパック39Aが装着されないように、第1バッテリ装着部13Aと第2バッテリ装着部13Bとの相対位置が定められている。これにより、例えばカバー部材44が存在しなくても、2つのバッテリパック39が同時に装着されることが抑制される。
【0062】
なお、バッテリ装着部13の前方及び後方のそれぞれにガード45が設けられる。ガード45は、ケース12の右部の外面から右方に突出するように設けられる。ガード45により、リフタ装置1の周囲の物体がバッテリパック39又はバッテリ装着部13に接触することが抑制される。
【0063】
[停止ブレーキ機構]
図12は、実施形態に係る停止ブレーキ機構17を示す断面図である。
【0064】
停止ブレーキ機構17は、車輪3の上方に配置されるブレーキ部材40と、ブレーキ部材40を移動するために操作されるブレーキレバー41と、ブレーキ部材40とブレーキレバー41とを繋ぐブレーキロッド42と、ブレーキレバー41を回動可能に支持するブレーキ支持部材43とを有する。
【0065】
ブレーキレバー41は、シャフト46を介してブレーキ支持部材43に回動可能に支持されるカム部41Aと、ハンドル部41Bとを有する。
【0066】
ブレーキロッド42の上端部は、ピボット47を介してカム部41Aに連結される。
【0067】
ブレーキ支持部材43は、ポール6の後面に固定される。ブレーキ支持部材43は、カム部41Aの左側に配置される左プレート部43Lと、カム部41Aの右側に配置される右プレート部43Rと、左プレート部43Lの上端部と右プレート部43Rの上端部とを繋ぐように配置される上プレート部43Uとを有する。シャフト46の左端部は、左プレート部43Lに支持され、シャフト46の右端部は、右プレート部43Rに支持される。
【0068】
リフタ装置1の使用者は、ハンドル部41Bを手で握って、カム部41Aを回動させることができる。図12に示すように、ハンドル部41Bが上方に移動するようにカム部41Aが回動されると、ブレーキロッド42が下降する。ブレーキロッド42が下降すると、ブレーキ部材40が下降して、ブレーキ部材40Lが車輪3Lに接触して車輪3Lを上方から押し付け、ブレーキ部材40Rが車輪3Rに接触して車輪3Rを上方から押し付ける。これにより、車輪3の回転が抑制され、停車ブレーキが効いた状態になる。また、停車ブレーキが効いた状態で、カム部41Aのカム面41Cがブレーキ支持部材43の上プレート部43Uに接触するので、停車ブレーキが効いた状態で、カム部41Aが意図せずに回動することが抑制される。
【0069】
図2に示すように、ハンドル部41Bが下方に移動するようにカム部41Aが回動されると、ブレーキロッド42が上昇する。ブレーキロッド42が上昇すると、ブレーキ部材40が上昇して、車輪3から離れる。これにより、ブレーキが解除される。また、図12に示すように、シャフト46の周囲にトーションスプリング60が配置される。トーションスプリング60は、ハンドル部41Bが下方に移動するように弾性力を発生する。ブレーキが解除された状態で、ハンドル部41Bが下方に移動するようにトーションスプリング60が弾性力を発生するため、ブレーキが解除された状態で、カム部41Aが意図せずに回動することが抑制される。
【0070】
図12に示すように、ブレーキロッド42の下部にねじ部42Aが設けられる。ねじ部42Aの周囲にナット42B及びナット42Cが配置される。ブレーキ部材40は、ナット42B及びナット42Cを介してブレーキロッド42に固定される。ナット42B及びナット42Cを回転させることにより、ブレーキ部材40は、ブレーキロッド42に対して上下方向に相対的に移動可能である。これにより、ブレーキ部材40の初期位置が調整される。ブレーキ部材40の初期位置が調整されることにより、停止ブレーキ機構17のブレーキの効き具合が調整される。
【0071】
なお、上下方向において、ブレーキ部材40とブレーキ支持部材43との間にガード48が配置される。ガード48は、ポール6の後面に固定される。ガード48の左プレート部及び右プレート部のそれぞれに、凹部48Aが形成される。ブレーキが解除された状態で、ブレーキ部材40の少なくとも一部は、凹部48Aの内側に配置される。また、ガード48の上プレート部に、ブレーキロッド42のすくなとも一部が配置される開口48Bが形成される。
【0072】
[伝達機構]
図13は、実施形態に係るリフタ装置1の一部を示す断面図であり、図2のB-B線断面矢視図に相当する。図14は、実施形態に係るスライダ30を示す後方からの斜視図である。図15は、実施形態に係るポール6の上端部を示す上方からの斜視図である。図16は、実施形態に係るリフタ装置1の一部を示す断面図であり、図15のC-C線断面矢視図に相当する。図17は、実施形態に係る伝達機構11を模式的に示す正面図である。
【0073】
伝達機構11は、モータ9により回転される回転体49と、昇降部材8に回転可能に支持される昇降プーリ50と、ポール6の上端部に回転可能に固定されるポールプーリ51と、昇降プーリ50及びポールプーリ51に掛けられるワイヤ52と、を有する。ワイヤ52は、上下方向に移動可能である。ワイヤ52の一端部は、ポール6の上端部に設けられた固定部材に固定される。ワイヤ52の他端部は、回転体49に固定される。
【0074】
図11等に示すように、回転体49は、ポール6の内部空間に配置される。回転体49は、ポール6に回転可能に支持される。
【0075】
昇降プーリ50は、スライダ30に固定されたシャフト部材53に支持される。シャフト部材53は、スライダ30の前部から後方に突出するように配置される。シャフト部材53の少なくとも一部は、ポール6のガイド開口35に配置される。シャフト部材53の後端部は、ポール6の内部空間に配置される。昇降プーリ50は、シャフト部材53を介してスライダ30に支持される。シャフト部材53の周囲にベアリング54が配置される。昇降プーリ50は、ベアリング54を介してシャフト部材53に回転可能に支持される。昇降プーリ50は、ポール6の内部空間に配置される。昇降プーリ50は、ポール6の内部空間において回転する。また、昇降プーリ50は、ポール6の内部空間において昇降する。
【0076】
ポールプーリ51は、ポール6の上端部に配置されたシャフト部材55に支持される。シャフト部材55は、ブラケット56に支持される。ブラケット56は、ポール6の上端部に固定された支持プレート57に固定される。ポールプーリ51は、シャフト部材55、ブラケット56、及び支持プレート57を介してポール6の上端部に支持される。シャフト部材55の周囲にベアリング58が配置される。ポールプーリ51は、ベアリング58を介してシャフト部材55に回転可能に支持される。
【0077】
図1等に示すように、ポール6の上端部にカバー59が配置される。カバー59は、ポールプーリ51を覆うように、ポール6の上端部に装着される。図15は、カバー59が外された状態のポール6の上端部を示す。
【0078】
図17に示すように、ワイヤ52の一端部は、ポール6の上端部に設けられた固定部材に固定される。ワイヤ52の他端部は、回転体49に固定される。ワイヤ52の一端部に近いワイヤ52の第1中間部は、昇降プーリ50に掛けられる。ワイヤ52の第1中間部と他端部との間のワイヤ52の第2中間部は、ポールプーリ51に掛けられる。実施形態において、回転体49がワイヤ52を巻き取り及び繰り出しすることにより、昇降部材8が昇降する。
【0079】
図18は、実施形態に係るリフタ装置1を示す前方からの斜視図である。モータ9が一方向に回転して、回転体49が一方向に回転すると、回転体49は、ワイヤ52を巻き取る。回転体49がワイヤ52を巻き取るように回転することにより、昇降プーリ50が上昇する。昇降プーリ50が上昇することにより、図18に示すように、昇降プーリ50に連結されている昇降部材8が上昇する。
【0080】
モータ9が他方向に回転して、回転体49が他方向に回転すると、回転体49は、ワイヤ52を繰り出す。回転体49がワイヤ52を繰り出すように回転することにより、昇降プーリ50が下降する。昇降プーリ50が下降することにより、図1等に示すように、昇降プーリ50に連結されている昇降部材8が下降する。
【0081】
[減速機構]
図19は、実施形態に係る伝達機構11の一部を示す断面図であり、図9のD-D線断面矢視図に相当する。図20は、実施形態に係る伝達機構11の一部を示す断面図であり、図19のE-E線断面矢視図に相当する。図21は、実施形態に係る伝達機構11を示す斜視図である。
【0082】
図19図20、及び図21に示すように、ケース12は、モータ9及び伝達機構11の一部を収容する。伝達機構11は、回転体49と、回転体49に連結されるスピンドル64と、モータ9の回転をスピンドル64に伝達する減速機構65とを有する。
【0083】
減速機構65は、ギヤケース67に収容される。モータ9、減速機構65、及びギヤケース67は、ケース12に収容される。モータ9とベアリングボックス66とギヤケース67とは、ねじ68により固定される。ギヤケース67は、ポール6の後部に固定される。
【0084】
スピンドル64の少なくとも一部は、ケース12に収容される。スピンドル64とケース12との間にギヤケース67が配置される。回転体49は、ポール6の内部空間に収容される。ポール6の後部に開口69が形成される。開口69は、ポール6の内部空間と外部空間とを繋ぐ。スピンドル64は、開口69を介して回転体49に連結される。
【0085】
モータ9は、インナロータ型のブラシレスモータである。モータ9は、ステータ70と、ロータ71とを有する。ロータ71は、ステータ70の内側に配置される。
【0086】
ロータ71は、ロータコア72と、ロータシャフト73とを有する。ロータコア72は、ロータシャフト73の周囲に配置される。ロータシャフト73は、ロータコア72に固定される。ロータシャフト73の後部は、ベアリング74に回転可能に支持される。ロータシャフト73の前部は、ベアリング75に回転可能に支持される。ベアリング74は、ベアリングボックス66に支持される。ベアリング75は、ギヤケース67に支持される。
【0087】
ロータシャフト73の後端部にファン76が固定される。ファン76は、ロータシャフト73と一緒に回転する。ファン76が回転することにより、モータ9を冷却するための気流が生成される。ファン76の上部は、ファンカバー77で覆われる。ケース12の下部に吸気口12A及び排気口12Bが設けられる。吸気口12Aは、排気口12Bよりも前方に設けられる。ファン76が回転すると、ケース12の周囲の空気が吸気口12Aを介してケース12の内部空間に流入する。ケース12の内部空間に流入した空気は、モータ9のステータ70及びロータ71のそれぞれに接触して、ステータ70及びロータ71を冷却し、ファン76を通過した後、排気口12Bを介してケース12の内部空間から外部空間に排出される。
【0088】
ロータシャフト73の前端部に入力ギヤ78が設けられる。減速機構65は、モータ9のロータシャフト73に連結される。減速機構65は、ロータシャフト73の回転を減速し、ロータシャフト73よりも低い回転速度でスピンドル64を回転させる。スピンドル64が回転することにより、回転体49が回転する。
【0089】
スピンドル64は、ベアリング79A及びベアリング79Bにより回転可能に支持される。ベアリング79A及びベアリング79Bは、ギヤケース67に支持される。回転体49は、ベアリング80及びベアリング81に回転可能に支持される。ベアリング80は、ブッシュ82を介してポール6に支持される。ブッシュ82は、開口69に配置される。ベアリング81は、ポール6に支持される。
【0090】
実施形態において、減速機構65は、入力ギヤ78に噛み合う第1中間ギヤ83と、第1中間ギヤ83と一緒に回転する第2中間ギヤ84と、第2中間ギヤ84に噛み合う出力ギヤ85とを有する。第2中間ギヤ84は、不図示のベアリングを介してギヤケース67に回転可能に支持される。
【0091】
入力ギヤ78の歯数は、第1中間ギヤ83の歯数よりも少ない。第2中間ギヤ84の歯数は、出力ギヤ85の歯数よりも少ない。
【0092】
モータ9が起動して、ロータシャフト73が回転すると、入力ギヤ78が回転する。入力ギヤ78が回転すると、第1中間ギヤ83が回転する。第1中間ギヤ83が回転すると、第2中間ギヤ84が回転する。第2中間ギヤ84が回転すると、出力ギヤ85が回転する。
【0093】
出力ギヤ85は、スピンドル64の周囲に配置される。出力ギヤ85は、入力ギヤ78、第1中間ギヤ83、及び第2中間ギヤ84を介してモータ9により回転する。
【0094】
出力ギヤ85とスピンドル64とは、固定される。モータ9により出力ギヤ85が回転すると、スピンドル64は、出力ギヤ85と一緒に回転する。
【0095】
スピンドル64の前端部と回転体49の後端部とは、固定される。スピンドル64が回転すると、回転体49は、スピンドル64と一緒に回転する。
【0096】
このように、ロータシャフト73の回転力が減速機構65を介してスピンドル64に伝達され、スピンドル64が回転すると、スピンドル64と一緒に回転体49が回転する。
【0097】
減速機構65は、モータ9から昇降部材8への動力の非伝達時に、昇降部材8の下降を抑制する第1抑制機構101と、第2抑制機構102とを有する。第1抑制機構101は、クラッチ機構を含む。第2抑制機構102は、ラチェット機構を含む。
【0098】
実施形態において、第1抑制機構101は、ワンウェイベアリング87と、ナット88と、スリーブ89とを有する。ワンウェイベアリング87は、動力の非伝達時にロックされる。
【0099】
ナット88は、スピンドル64の周囲に配置される。ナット88は、出力ギヤ85よりも後方に配置される。ナット88は、筒部88Aとフランジ部88Bとを有する。スピンドル64の外周部にねじ山64Aが設けられる。ナット88は、スピンドル64のねじ山64Aに結合されるねじ溝88Cを有する。
【0100】
出力ギヤ85とナット88とは、ピン107を介して連結されている。ナット88は、出力ギヤ85に設けられたピン107にスピンドル64の軸方向である前後方向に移動可能に支持される。ピン107は、出力ギヤ85の一部に固定される。ナット88のフランジ部88Bにピン107が配置される開口が設けられる。ピン107により、ナット88は、前後方向にガイドされる。また、ピン107により、出力ギヤ85とナット88とが連結されるので、ナット88は、出力ギヤ85と一緒に回転する。
【0101】
スリーブ89は、スピンドル64の軸方向である前後方向においてナット88よりも出力ギヤ85から離れた位置に配置される。すなわち、スリーブ89は、ナット88よりも後方に配置される。スリーブ89は、ワンウェイベアリング87を介してギヤケース67に支持される。スリーブ89は、前後方向には移動しない。
【0102】
スリーブ89は、ナット88の筒部88Aの周囲に配置される筒部89Aと、筒部89Aの後端部に接続される円環部89Bとを有する。
【0103】
スリーブ89は、ワンウェイベアリング87に支持される。ワンウェイベアリング87は、スリーブ89の筒部89Aの周囲に配置される。ワンウェイベアリング87は、ギヤケース67に支持される。
【0104】
昇降部材8が上昇するようにモータ9の動力が昇降部材8に伝達されている状態について説明する。出力ギヤ85が一方向に回転すると、ナット88も、出力ギヤ85と一緒に一方向に回転する。出力ギヤ85及びナット88が一方向に回転すると、ナット88が出力ギヤ85から離れ且つスリーブ89に接触するように軸方向に移動する。すなわち、ナット88は、スピンドル64の周囲を回転することにより、ねじ山64A及びねじ溝88Cの作用により、後方に移動する。ナット88が後方に移動して、スリーブ89に接触することにより、スピンドル64と出力ギヤ85とナット88とスリーブ89とは、一体化する。実施形態において、ナット88のフランジ部88Bの後面とスリーブ89の筒部89Aの前端面とが接触する。また、昇降部材8が上昇する方向にスリーブ89が回転する場合、ワンウェイベアリング87は、空転する。すなわち、昇降部材8が上昇するようにモータ9が回転すると、ナット88が出力ギヤ85から離れ且つスリーブ89に接触するように後方に移動して、ワンウェイベアリング87が空転した状態で、スピンドル64と出力ギヤ85とナット88とスリーブ89とが一体で回転する。スピンドル64の回転により、昇降部材8が上昇するように回転体49が回転する。
【0105】
モータ9が停止し、モータ9により出力ギヤ85が回転されない場合、スピンドル64、ナット88、及びスリーブ89が他方向に回転する力が働くため、ワンウェイベアリング87がロックされ、スピンドル64の回転が規制される。これにより、モータ9から昇降部材8への動力の非伝達時に、昇降部材8の下降(落下)が抑制される。
【0106】
昇降部材8が下降するようにモータ9の動力が昇降部材8に伝達されている状態について説明する。出力ギヤ85及びナット88が他方向に回転すると、ナット88がスリーブ89から離れ且つ出力ギヤ85に接触するように軸方向に移動する。すなわち、ナット88は、前方に移動する。ナット88が前方に移動して、出力ギヤ85に接触することにより、スピンドル64と出力ギヤ85とナット88とは、一体化する。また、スピンドル64、出力ギヤ85、及びナット88と、スリーブ89とは、別体化する。スピンドル64、出力ギヤ85、及びナット88と、スリーブ89とが、別体化するので、ワンウェイベアリング87のロック機能は、出力ギヤ85及びスピンドル64の回転に影響を及ぼさない。すなわち、昇降部材8が下降するようにモータ9が回転すると、ナット88がスリーブ89から離れ且つ出力ギヤ85に接触するように前方に移動して、ワンウェイベアリング87の影響を受けない状態で、スピンドル64と出力ギヤ85とナット88とが一体で回転する。スピンドル64の回転により、昇降部材8が下降するように回転体49が回転する。
【0107】
図22及び図23のそれぞれは、実施形態に係る第2抑制機構102を示す図である。図22は、第2抑制機構102が昇降部材8をロックしていない状態(解除状態、フリー状態)を示す図である。図23は、第2抑制機構102が昇降部材8をロックしている状態(作動状態、ロック状態)を示す図である。
【0108】
第2抑制機構102は、ラチェットプレート90と、ロックレバー91と、アクチュエータ92とを有する。ラチェットプレート90は、ロータ71に固定される。
【0109】
図24は、実施形態に係るロータ71及びラチェットプレート90を示す分解斜視図である。ラチェットプレート90は、プレート部90Aと、プレート部90Aの周囲に設けられる複数の凸部90Bと、隣り合う凸部90Bの間に設けられる凹部90Cとを有する。プレート部90Aの中央部に開口90Dが設けられる。開口90Dの内周面は、一対の円弧部90Eと、一対のストレート部90Fとを含む。
【0110】
ラチェットプレート90は、ロータシャフト73に固定される。ロータシャフト73は、ラチェットプレート90が挿入される支持部73Aと、ナット93が結合されるねじ部73Bとを有する。支持部73Aは、円弧部90Eが接触する円弧部73Eと、ストレート部90Fが接触するストレート部73Fとを有する。支持部73Aが開口90Dに挿入されることにより、ラチェットプレート90とロータシャフト73との相対回転が抑制される。ラチェットプレート90が支持部73Aの周囲に配置された状態で、ねじ部73Bにナット93が結合される。これにより、ラチェットプレート90がロータ71に固定される。ラチェットプレート90は、ロータ71と一緒に回転することができる。
【0111】
ロックレバー91は、ラチェットプレート90に係合する。第2抑制機構102が作動することは、ロックレバー91がラチェットプレート90に係合することを意味する。第2抑制機構102が作動することは、ロックレバー91がラチェットプレート90の凹部90Cに挿入されることを意味する。第2抑制機構102の作動が解除されることは、ロックレバー91とラチェットプレート90との係合が解除されることを意味する。第2抑制機構102の作動が解除されることは、ロックレバー91がラチェットプレート90の凹部90Cから抜去されることを意味する。
【0112】
ロックレバー91は、回動ピン94を介してギヤケース67に回動可能に支持される。ロックレバー91は、ギヤケース67の外側に配置される。ラチェットプレート90は、ギヤケース67の内側に配置される。ギヤケース67の一部に開口67Aが形成される。ロックレバー91の先端部は、開口67Aを介してギヤケース67の内側に挿入される。
【0113】
アクチュエータ92は、第2抑制機構102の作動を解除するように作動する。アクチュエータ92は、ロックレバー91とラチェットプレート90との係合が解除するように作動する。アクチュエータ92は、ロックレバー91がラチェットプレート90の凹部90Cから抜去されるように作動する。
【0114】
アクチュエータ92は、ソレノイドを含む。アクチュエータ92は、本体92Cと、本体92Cを収容するケース92Dと、本体92Cに対して移動するロッド92Aとを有する。ロッド92Aの下端部は、ケース92Dの外側に配置される。ロッド92Aは、回動ピン92Bを介してロックレバー91に連結される。
【0115】
スプリング95は、第2抑制機構102を作動するように弾性力を発生する。スプリング95は、ロックレバー91がラチェットプレート90に係合するように弾性力を発生する。スプリング95は、ロックレバー91がラチェットプレート90の凹部90Cに挿入されるように弾性力を発生する。スプリング95の上端部は、ケース92Dの外面に接続される。スプリング95の下端部は、ロッド92Aに設けられたフランジ部92Fに接続される。
【0116】
アクチュエータ92が駆動していない状態においては、図23に示すように、スプリング95の弾性力により、ロッド92Aが下方に移動し、ロックレバー91がラチェットプレート90の凹部90Cに挿入される。これにより、ラチェットプレート90がロックレバー91によりロックされ、第2抑制機構102が作動状態になる。
【0117】
昇降部材8を上昇させるとき、操作装置である上昇ボタン15Bが操作され、昇降部材8が上昇するようにモータ9が駆動する。上昇ボタン15Bが操作されると、アクチュエータ92が駆動して、図22に示すように、ロッド92Aがスプリング95の弾性力に抗して上方に移動し、ラチェットプレート90がフリー状態になる。すなわち、上昇ボタン15Bが操作されることにより、第2抑制機構102の作動が解除される。ラチェットプレート90がフリー状態になることにより、モータ9の回転力が昇降部材8に伝達され、昇降部材8が上昇する。
【0118】
上昇ボタン15Bの操作が解除されることにより、アクチュエータ92が停止し、ラチェットプレート90がロック状態になる。すなわち、第2抑制機構102が作動する。
【0119】
[効果]
以上説明したように、実施形態において、リフタ装置1は、ポール6と、ポール6にガイドされる昇降部材8と、昇降部材8を昇降させる動力を発生するモータ9と、モータ9の動力を昇降部材8に伝達する伝達機構11と、動力の非伝達時に、昇降部材8の下降を抑制するラチェット機構である第2抑制機構102と、第2抑制機構102の作動を解除するアクチュエータ92と、を備える。
【0120】
上記の構成では、昇降部材8が意図せずに下降することが抑制される。
【0121】
実施形態において、ラチェット機構である第2抑制機構102は、モータ9のロータシャフト73に固定されるラチェットプレート90と、ラチェットプレート90に係合するロックレバー91と、を有する。
【0122】
上記の構成では、ロックレバー91がラチェットプレート90に係合することにより、第2抑制機構102が作動し、ロックレバー91がラチェットプレート90から外れることにより、第2抑制機構102の作動が解除される。
【0123】
実施形態において、リフタ装置1は、ロックレバー91がラチェットプレート90に係合するように弾性力を発生するスプリング95を備える。
【0124】
上記の構成では、アクチュエータ92が駆動していないとき、スプリング95によりロックレバー91がラチェットプレート90に係合して、第2抑制機構102が作動する。
【0125】
実施形態において、伝達機構11は、モータ9により回転する回転体49と、昇降部材8に回転可能に支持される昇降プーリ50と、回転体49と昇降プーリ50とを繋ぐワイヤ52と、を有する。回転体49がワイヤ52を巻き取り及び繰り出しすることにより、昇降部材8が昇降する。
【0126】
上記の構成では、伝達機構11は、モータ9の動力を昇降部材8に適正に伝達することができる。
【0127】
実施形態において、伝達機構11は、複数のギヤを有する。伝達機構11は、モータ9の回転数を減速した状態で回転体に伝達してもよい。
【0128】
上記の構成では、ロータシャフト73と回転体49とのギヤ比が1よりも十分に小さい。例えば、ロータシャフト73が30回転したときに回転体49が1回転する(ギヤ比1/30)。これにより、昇降部材8に大きい負荷が掛かっても、ロータシャフト73に掛かる負荷が小さくなる。そのため、ラチェットプレート90からロックレバー91を外し易くなる。また、ロックレバー91をラチェットプレート90に係合させるとき、ロックレバー91がラチェットプレート90の凹部90Cに入り込むタイミングによっては、ラチェットプレート90の回転が直ちに停止しない可能性がある。実施形態においては、凹部90Cが12個あるので、ロックレバー91がラチェットプレート90の凹部90Cに入り込むタイミングによっては、ロックレバー91がラチェットプレート90に接触してからラチェットプレート90が30度程度回転してから停止する可能性がある。ラチェットプレート90の回転が直ちに停止しなくても、ギヤ比が十分に小さいので、昇降部材8の変位量は小さい。昇降部材8は、見かけ上、直ちに停止する。
【0129】
実施形態において、リフタ装置1は、昇降部材8が上昇するようにモータ9を駆動させる操作装置である上昇ボタン15Bを備える。上昇ボタン15Bが操作されることにより、第2抑制機構102の作動が解除される。
【0130】
上記の構成では、モータ9の起動とともに第2抑制機構102の作動が解除される。
【0131】
実施形態において、上昇ボタン15Bの操作が解除されることにより、第2抑制機構102が作動する。
【0132】
上記の構成では、モータ9の停止とともに第2抑制機構102が作動する。
【0133】
実施形態において、リフタ装置1は、動力の非伝達時に、昇降部材8の下降を抑制するクラッチ機構である第1抑制機構101を備える。
【0134】
上記の構成では、昇降部材8の下降を抑制する第1抑制機構101としてクラッチ機構が設けられ、昇降部材8の下降を抑制する第2抑制機構102としてラチェット機構が設けられる。これにより、昇降部材8の下降が確実に抑制される。例えば、リフタ装置1の使用環境に起因して、クラッチ機構が十分に作動しなくても、ラチェット機構の作動により、昇降部材8の下降が抑制される。
【符号の説明】
【0135】
1…リフタ装置、2…走行フレーム、3…車輪、3L…車輪、3R…車輪、4…キャスタ、4L…キャスタ、4R…キャスタ、5…ガード、5L…ガード、5R…ガード、6…ポール、7…ハンドル、8…昇降部材、9…モータ、10…コントローラ、11…伝達機構、12…ケース、12A…吸気口、12B…排気口、12G…ガイド溝、13…バッテリ装着部、13A…第1バッテリ装着部、13B…第2バッテリ装着部、14…ライトユニット、15…操作装置、15A…電源オンオフボタン、15B…上昇ボタン、15C…下降ボタン、15D…ライトボタン、16…表示装置、16A…電源表示部、16B…残容量表示部、17…停止ブレーキ機構、18…ロック機構、19…メインフレーム、19B…後フレーム、19L…左フレーム、19R…右フレーム、20…サブフレーム、21…メインプレート(支持プレート)、21L…メインプレート、21R…メインプレート、22…サブプレート(支持プレート)、22L…サブプレート、22R…サブプレート、23…ボルト、24…車軸、25…カップ部、25L…カップ部、25R…カップ部、26…ボルト、27…ブラケット、28…ねじ、29…ねじ孔、30…スライダ、30L…左部、30R…右部、31…アーム、31L…アーム、31R…アーム、32…テーブル、33…背板、34…ガイド溝、34L…ガイド溝、34R…ガイド溝、35…ガイド開口、36…ローラ、36L…ローラ、36R…ローラ、37…ボルト、38…ねじ、39…バッテリパック、39A…第1バッテリパック、39B…第2バッテリパック、40…ブレーキ部材、40L…ブレーキ部材、40R…ブレーキ部材、41…ブレーキレバー、41A…カム部、41B…ハンドル部、41C…カム面、42…ブレーキロッド、42A…ねじ部、42B…ナット、42C…ナット、43…ブレーキ支持部材、43L…左プレート部、43R…右プレート部、43U…上プレート部、44…カバー部材、44A…凸部、45…ガード、46…シャフト、47…ピボット、48…ガード、48A…凹部、48B…開口、49…回転体、50…昇降プーリ、51…ポールプーリ、52…ワイヤ、53…シャフト部材、54…ベアリング、55…シャフト部材、56…ブラケット、57…支持プレート、58…ベアリング、59…カバー、60…トーションスプリング、64…スピンドル、64A…ねじ山、65…減速機構、66…ベアリングボックス、67…ギヤケース、67A…開口、68…ねじ、69…開口、70…ステータ、71…ロータ、72…ロータコア、73…ロータシャフト、73A…支持部、73B…ねじ部、73E…円弧部、73F…ストレート部、74…ベアリング、75…ベアリング、76…ファン、77…ファンカバー、78…入力ギヤ、79A…ベアリング、79B…ベアリング、80…ベアリング、81…ベアリング、82…ブッシュ、83…第1中間ギヤ、84…第2中間ギヤ、85…出力ギヤ、87…ワンウェイベアリング(抑制部材)、88…ナット、88A…筒部、88B…フランジ部、88C…ねじ溝、89…スリーブ、89A…筒部、89B…円環部、90…ラチェットプレート、90A…プレート部、90B…凸部、90C…凹部、90D…開口、90E…円弧部、90F…ストレート部、91…ロックレバー、92…アクチュエータ、92A…ロッド、92B…回動ピン、92C…本体、92D…ケース、92F…フランジ部、93…ナット、94…回動ピン、95…スプリング、101…第1抑制機構(クラッチ機構)、102…第2抑制機構(ラチェット機構)、107…ピン、S…搬送対象。
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