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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082629
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】インテークマニホールド
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/104 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
F02M35/104 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196604
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】393025921
【氏名又は名称】デュポン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】眞木 晴季
(57)【要約】
【課題】 容易にリサイクルすることができるインテークマニホールドを提供する。
【解決手段】 インテークマニホールドは、内燃機関の吸気及び排気を混合して前記内燃機関に導入するインテークマニホールドにおいて、前記排気に混合される前記吸気が流れる第1領域、及び、前記吸気に混合される前記排気と前記吸気及び前記排気の混合気とが流れる第2領域の境界に沿った凸部、凹部、またはマーカーが外表面に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の吸気及び排気を混合して前記内燃機関に導入するインテークマニホールドにおいて、
前記排気に混合される前記吸気が流れる第1領域、及び、前記吸気に混合される前記排気と前記吸気及び前記排気の混合気とが流れる第2領域の境界に沿った凸部、凹部、またはマーカーが外表面に設けられている、
インテークマニホールド。
【請求項2】
内燃機関の吸気及び排気を混合して前記内燃機関に導入するインテークマニホールドにおいて、
前記排気に混合される前記吸気が流れる第1領域の外表面、及び、前記吸気に混合される前記排気と前記吸気及び前記排気の混合気とが流れる第2領域の外表面の色または触感が相違する、
インテークマニホールド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インテークマニホールドに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、インテークマニホールドのリサイクル性を改善するため、インテークマニホールドのフレームアレスタを樹脂で構成する点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-285154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、インテークマニホールドの内部は、例えば燃料、エンジンオイル、及びEGRガスなどの各種の物質に曝されることにより汚染される。使用済みのインテークマニホールドのリサイクル時、内部の汚染物質を除去するには、簡易洗浄では難しく、例えば特殊な洗浄剤を用いる必要があるため、コストやCO排出量が増加するおそれがある。また、汚染部位のみを洗浄する場合でも、インテークマニホールドは複雑な筒形状を有しているため、汚染部位の確認が困難である。
【0005】
これに対し、洗浄を行わなければ、コストやCO排出量の増加は抑えることができるが、インテークマニホールド内部の残った汚染物質によりリサイクル機器や再生材の品質が劣化するおそれがある。このため、樹脂製のインテークマニホールドであっても、リサイクルは困難である。
【0006】
そこで本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、容易にリサイクルすることができるインテークマニホールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のインテークマニホールドは、内燃機関の吸気及び排気を混合して前記内燃機関に導入するインテークマニホールドにおいて、前記排気に混合される前記吸気が流れる第1領域、及び、前記吸気に混合される前記排気と前記吸気及び前記排気の混合気とが流れる第2領域の境界に沿った凸部、凹部、またはマーカーが外表面に設けられている。
【0008】
本発明の他のインテークマニホールドは、内燃機関の吸気及び排気を混合して前記内燃機関に導入するインテークマニホールドにおいて、前記排気に混合される前記吸気が流れる第1領域の外表面、及び、前記吸気に混合される前記排気と前記吸気及び前記排気の混合気とが流れる第2領域の外表面の色または触感が相違する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容易にリサイクルすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】インテークマニホールドの一例を示す正面図である。
図2】インテークマニホールドの一例を示す背面図である。
図3】インテークマニホールドの一例を示す上面図である。
図4】インテークマニホールドの一例を示す右側面図である。
図5】インテークマニホールドの一例を示す左側面図である。
図6】第1実施例におけるインテークマニホールドの境界線の一部の近傍の外表面を示す平面図である。
図7】第2実施例におけるインテークマニホールドの境界線の一部の近傍の外表面を示す平面図である。
図8】第3実施例におけるインテークマニホールドの境界線の一部の近傍の外表面を示す平面図である。
図9】第4実施例におけるインテークマニホールドの境界線の一部の近傍の外表面を示す平面図である。
図10】第5実施例におけるインテークマニホールドの境界線の一部の近傍の外表面を示す平面図である。
図11】第6実施例におけるインテークマニホールドの境界線の一部の近傍の外表面を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(インテークマニホールドの外形形状)
図1図5は、インテークマニホールド1の一例を示す。図1は、インテークマニホールド1の一例を示す正面図であり、図2は、インテークマニホールド1の一例を示す背面図であり、図3は、インテークマニホールド1の一例を示す上面図である。また、図4は、インテークマニホールド1の一例を示す右側面図であり、図5は、インテークマニホールド1の一例を示す左側面図である。なお、図1図5には、X軸、Y軸、及びZ軸と、模式的にエンジン5が示されている。
【0012】
インテークマニホールド1は、例えばリサイクルが容易なナイロン部材などの樹脂により形成されている。インテークマニホールド1は、エンジン5の吸気及び排気を混合してエンジン5に導入する。ここで排気とは、例えばエンジン5から再循環されるEGR(Exhaust Gas Recirculation)ガスである。また、吸気は、例えばエアクリーナ及びスロットルを経由して取り込まれる外気である。なお、エンジン5は内燃機関の一例である。
【0013】
吸気は、一方の側面側に開口した吸気口20から取り込まれる。矢印A1~A5は吸気の流れを示す。吸気は、吸気口20から4つの吸気流路21a~21dに分流される。各吸気流路21a~21dは、正面視において上面側(Z軸正方向)に延び、側面視において円を描くように曲がって背面側(Y軸正方向)に延びている。
【0014】
排気は、正面側に開口した排気導入口30から取り込まれる。矢印B1~B5は排気の流れを示す。排気は、排気導入口30から排気流路31に流れ込む。排気流路31は左右の側面側に延びるように設けられている。排気流路31には、背面側の隔壁に4つの流出口31a~31dが設けられている。排気は排気流路31から各流出口31a~31dに分かれて排出される。
【0015】
吸気流路21a~21dの上面側(Z軸正方向)、及び排気流路31の背面側(Y軸正方向)には、4つの混合気流路40a~40dが設けられている。混合気流路40a~40dは、インテークマニホールド1の上面において、背面側(Y軸正方向)に向かって略平行に延びる。
【0016】
混合気流路40a~40dは、正面側(Y軸負方向)において吸気流路21a~21dとそれぞれ連通している。吸気は吸気流路21a~21dから混合気流路40a~40dにそれぞれ流れ込む。
【0017】
また、混合気流路40a~40dは、正面側(Y軸負方向)において流出口31a~31dをそれぞれ介して排気流路31と連通している。排気は流出口31a~31dを介して混合気流路40a~40dにそれぞれ流れ込む。
【0018】
吸気及び排気は混合気流路40a~40d内でそれぞれ混合されて混合気となる。矢印C1~C4は混合気の流れを示す。混合気は各混合気流路40a~40dの最下流の混合気排出口41a~41dから排出される。各混合気排出口41a~41dはエンジン5のシリンダヘッドに接続される。このため、混合気は各混合気排出口41a~41dからエンジン5の燃焼室に導入される。
【0019】
なお、本例のインテークマニホールド1は、適用対象の内燃機関の一例として4気筒のエンジンを仮定したため、4つの吸気流路21a~21d及び混合気流路40a~40dを備えているが、これに限定されない。吸気流路21a~21d及び混合気流路40a~40dの数は、適用対象のエンジン5に応じて適宜に決定される。
【0020】
インテークマニホールド1は、リサイクル対象となるリサイクル領域1A、及び、リサイクル対象とならない非リサイクル領域1Bを有する。インテークマニホールド1は、リサイクル時、境界線Lを挟んでリサイクル領域1A及び非リサイクル領域1Bに区切られる。
【0021】
リサイクル領域1Aは、排気に混合される吸気が流れる第1領域の一例である。リサイクル領域1Aは、境界線Lより下方(Z軸負方向)の吸気流路21a~21dを含む。
【0022】
非リサイクル領域1Bは、吸気に混合される排気と吸気及び排気の混合気とが流れる第2領域の一例である。非リサイクル領域1Bは、境界線Lより上方(Z軸正方向)の排気流路31及び混合気流路40a~40dを含む。
【0023】
排気は、内燃機関による使用済みの燃料やオイルなどが含まれている。このため、排気流路31及び混合気流路40a~40dの汚染の度合いは吸気流路21a~21dの汚染の度合いより大きい。つまり、非リサイクル領域1Bの汚染の度合いは、リサイクル領域1Aの汚染の度合いより大きい。排気流路31及び混合気流路40a~40dの各内壁には、排気及び排気中のオイルによる粘着性の付着物(デポジット)が付着する。
【0024】
このため、インテークマニホールド1は、リサイクル時、例えばハンドソーなどにより、境界線Lに沿ってリサイクル領域1A及び非リサイクル領域1Bに切断される。非リサイクル領域1Bの汚染を除去するには、簡易洗浄では難しく、例えば特殊な洗浄剤を用いる必要がある。このため、非リサイクル領域1Bはサーマルリサイクルにより熱エネルギーのみを回収して廃棄される。なお、例えば非リサイクル領域1Bの洗浄によるコストやCO排出量が低ければ、非リサイクル領域1Bを特殊な洗浄剤を用いて洗浄して通常通りリサイクルしてもよい。
【0025】
一方、リサイクル領域1Aは、汚染の度合いが非リサイクル領域1Bより低いため、一般的な洗浄剤を用いた簡易洗浄により汚染の除去が可能である。リサイクル領域1Aは、粉砕機により粉砕されて洗浄された後、周知の手法によりリサイクルされる。
【0026】
しかし、インテークマニホールド1は、排気流路31、混合気流路40a~40d、及び吸気流路21a~21dなどの多数の筒状部を備えているため、全体形状が複雑である。このため、インテークマニホールド1をリサイクル領域1A及び非リサイクル領域1Bに切断するとき、リサイクル領域1A及び非リサイクル領域1Bの区別が困難である。
【0027】
そこで、以下に例示するように、インテークマニホールド1には、境界線Lに沿った凸部、凹部、またはマーカーが外表面に設けられている。このため、リサイクルの作業者は、上記のリサイクル方法を用いる際、凸部、凹部、またはマーカーを目印としてインテークマニホールド1を境界線Lに沿って切断することにより、インテークマニホールド1をリサイクル領域1A及び非リサイクル領域1Bに分断することができる。
【0028】
(第1実施例)
図6は、第1実施例におけるインテークマニホールド1の境界線Lの一部の近傍の外表面を示す平面図である。インテークマニホールド1の外表面には、境界線Lに沿って凸部90が延びるように設けられている。凸部90はインテークマニホールド1の外表面の全体にわたって途切れることなく連続して設けられている。
【0029】
凸部90としては、外部に向かって突出するリブ、及び接着剤などで形成された突起物などが挙げられるが、これに限定されない。リサイクルの作業者は、凸部90を視認または触知することで境界線Lを認識することができる。
【0030】
(第2実施例)
図7は、第2実施例におけるインテークマニホールド1の境界線Lの一部の近傍の外表面を示す平面図である。インテークマニホールド1の外表面には、境界線Lに沿って複数の凸部91が延びるように設けられている。複数の凸部91はインテークマニホールド1の外表面の全体にわたって間隔をおいて断続的に設けられている。なお、各凸部91の形状は、一例として矩形状を挙げているが、これに限定されない。
【0031】
凸部91としては、外部に向かって突出するリブ、及び接着剤などで形成された突起物などが挙げられるが、これに限定されない。リサイクルの作業者は、凸部91を視認または触知することで境界線Lを認識することができる。
【0032】
(第3実施例)
図8は、第3実施例におけるインテークマニホールド1の境界線Lの一部の近傍の外表面を示す平面図である。インテークマニホールド1の外表面には、境界線Lに沿って複数の凹部92が延びるように設けられている。複数の凹部92はインテークマニホールド1の外表面の全体にわたって間隔をおいて断続的に設けられている。なお、各凹部92の形状は、一例として矩形状を挙げているが、これに限定されない。また、凹部92の個数は1つでもよく、この場合、インテークマニホールド1の外表面の全体にわたって途切れることなく連続して設けられる。
【0033】
凸部91としては、内部に向かって陥没した穴及び溝などが挙げられるが、これに限定されない。リサイクルの作業者は、凹部92を視認または触知することで境界線Lを認識することができる。
【0034】
(第4実施例)
図9は、第4実施例におけるインテークマニホールド1の境界線Lの一部の近傍の外表面を示す平面図である。インテークマニホールド1の外表面には、境界線Lに沿って複数のマーカー93が延びるように設けられている。複数のマーカー93はインテークマニホールド1の外表面の全体にわたって間隔をおいて断続的に設けられている。なお、各マーカー93の形状は、一例として矢印形状を挙げているが、これに限定されない。また、マーカー93の個数は1つでもよく、この場合、インテークマニホールド1の外表面の全体にわたって途切れることなく連続して設けられる。
【0035】
マーカー93としては、シール及びレーザーマーキングなどが挙げられるが、これに限定されない。リサイクルの作業者は、マーカー93を視認することにより境界線Lを認識することができる。
【0036】
また、インテークマニホールド1は、上記の各例のように目印を境界線Lに沿って設けた形態に限定されず、以下の例のようにリサイクル領域1A及び非リサイクル領域1Bがそれぞれ識別されるように外表面の色や触感を相違させてもよい。
【0037】
(第5実施例)
図10は、第5実施例におけるインテークマニホールド1の境界線Lの一部の近傍の外表面を示す平面図である。リサイクル領域1Aの外表面、及び非リサイクル領域1Bの外表面の色は相違する。
【0038】
一例として、リサイクル領域1Aの外表面、及び非リサイクル領域1Bの外表面は、赤と白などの異なる色でそれぞれ塗装されている。また、塗装に代えて、リサイクル領域1Aを形成する樹脂と、非リサイクル領域1Bを形成する樹脂の色が相違してもよい。この場合、インテークマニホールド1の製造工程において塗装の手間を省くことが可能である。リサイクルの作業者は、リサイクル領域1Aの外表面、及び非リサイクル領域1Bの外表面の色の違いを視認することにより境界線Lを認識することができる。
【0039】
(第6実施例)
図11は、第6実施例におけるインテークマニホールド1の境界線Lの一部の近傍の外表面を示す平面図である。リサイクル領域1Aの外表面、及び非リサイクル領域1Bの外表面の触感は相違する。
【0040】
リサイクル領域1Aの外表面には、例えば全体にわたって微小な突起94が形成されている。一方、非リサイクル領域1Bの外表面には、突起94が形成されていない。このため、リサイクル領域1Aの外表面の触感は突起94によりゴツゴツした感じであるのに対し、及び非リサイクル領域1Bの外表面の触感は比較的に滑らかとなる。また、リサイクル領域1A及び非リサイクル領域1Bはシボ加工などの表面加工手段により外表面の粗さが異なるように形成されてもよい。リサイクルの作業者は、リサイクル領域1Aの外表面、及び非リサイクル領域1Bの外表面の触感の違いを視認することにより境界線Lを認識することができる。
【0041】
このように、各例の構成によると、リサイクル領域1A及び非リサイクル領域1Bの境界線Lの識別が容易となるため、インテークマニホールド1のリサイクル時、インテークマニホールド1を境界線Lに沿ってリサイクル領域1A及び非リサイクル領域1Bに分断することができる。したがって、上述したように、リサイクル領域1A及び非リサイクル領域1Bを個別に適切な手段でそれぞれリサイクル処理することが可能となる。よって、本例のインテークマニホールド1は容易にリサイクルすることができる。
【0042】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 インテークマニホールド
1A リサイクル領域(第1領域)
1B 非リサイクル領域(第2領域)
5 エンジン(内燃機関)
90,91 凸部
92 凹部
93 マーカー
94 突起
L 境界線(境界)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11