(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082671
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】磁気治療器
(51)【国際特許分類】
A61N 2/08 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
A61N2/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196676
(22)【出願日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000112299
【氏名又は名称】ピップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 健太
(72)【発明者】
【氏名】五林 達雄
(72)【発明者】
【氏名】北村 等
【テーマコード(参考)】
4C106
【Fターム(参考)】
4C106AA01
4C106BB12
4C106CC02
(57)【要約】
【課題】高い強度の磁場を広範囲に及ぼすことが可能な磁気治療器を提供することを目的とする。
【解決手段】磁気治療器Mは、人体の皮膚に取り付けられて使用される。磁気治療器Mは、磁石1と、磁石1を支持して皮膚に取り付けるシート2とを備える。磁石1は、第1の方向D1に沿って延びる第1の形状を有し、シート2は、第2の方向D2に沿って延びる第2の形状を有する。第2の形状は、第1の形状より大きく、第2の方向D2は、第1の方向D1と略一致する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の皮膚に取り付けられて使用される磁気治療器であって、
前記磁気治療器は、
磁石と、
前記磁石を支持して前記皮膚に取り付けるシートと
を備え、
前記磁石は、第1の方向に沿って延びる第1の形状を有し、
前記シートは、第2の方向に沿って延びる第2の形状を有し、
平面視において、前記第2の形状は、前記第1の形状より大きく、前記第2の方向は、前記第1の方向と略一致する、磁気治療器。
【請求項2】
前記シートは、前記第2の方向の一端および他端の少なくとも一方に、第1の切欠部を有する、
請求項1記載の磁気治療器。
【請求項3】
前記シートは、前記第2の方向の一端および他端の両方に、第1の切欠部を有する、
請求項2記載の磁気治療器。
【請求項4】
前記シートは、前記第2の方向に交差する方向の一端および他端の少なくとも一方に、第2の切欠部を有する、
請求項3記載の磁気治療器。
【請求項5】
前記シートは、前記第2の方向に交差する方向の一端および他端の両方に、第2の切欠部を有する、
請求項4記載の磁気治療器。
【請求項6】
前記磁石は、前記皮膚に取り付けられたときに、前記皮膚と対向する一面と、一面の反対面である他面とを有し、
前記一面は、前記磁石の前記第1の方向に沿って設けられる一面側溝を有し、前記他面は、前記磁石の前記第1の方向に沿って設けられる他面側溝を有する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の磁気治療器。
【請求項7】
前記一面側溝は、前記第1の方向における前記一面の全長に亘って設けられ、
前記他面側溝は、前記第1の方向における前記他面の全長に亘って設けられる、
請求項6記載の磁気治療器用磁石。
【請求項8】
前記他面側溝の深さは、前記一面側溝の深さより深く、
前記他面側溝の幅は、前記一面側溝の幅より広い、
請求項6記載の磁気治療器。
【請求項9】
前記一面側溝は、前記一面において、複数設けられ、
前記他面側溝は、前記他面において、複数設けられる、
請求項6記載の磁気治療器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体の血行を良くし、肩こりや腰痛の症状を緩和するために、磁石を備えた磁気治療器が用いられている。磁気治療器としては、たとえば特許文献1に開示されているように、貼付シートによって磁石を人体の皮膚に取り付けるタイプの磁気治療器がある。このタイプの磁気治療器は、貼付シートによって皮膚に容易に取り付けられるので、人体の患部に対する磁気治療を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の磁気治療器では、粒状の磁石が採用されているため、磁石から発生する磁場が及ぶ範囲は狭くなり易く、その磁場の強度も低くなり易い。そのため、この磁気治療器を皮膚に1つだけ取り付けても、磁気治療器による高い磁気治療効果を実感し難いので、複数の磁気治療器が皮膚に取り付けることが多い。しかし、この場合、既に皮膚に取り付けた磁気治療器の取り付け領域(貼付領域)を避けながら、別の磁気治療器を皮膚に取り付ける必要がある。そのため、磁気治療器の取り付け密度が低くなり、皮膚の表面に位置付けられる磁石の密度も低くなるので、人体の体内に及ぶ磁場の強度も低くなってしまう。また、複数の磁気治療器を皮膚に取り付ける手間もかかる。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、高い強度の磁場を広範囲に及ぼすことが可能な磁気治療器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る磁気治療器は、人体の皮膚に取り付けられて使用される磁気治療器であって、前記磁気治療器は、磁石と、前記磁石を支持して前記皮膚に取り付けるシートとを備え、前記磁石は、第1の方向に沿って延びる第1の形状を有し、前記シートは、第2の方向に沿って延びる第2の形状を有し、平面視において、前記第2の形状は、前記第1の形状より大きく、前記第2の方向は、前記第1の方向と略一致する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、高い強度の磁場を広範囲に及ぼすことが可能な磁気治療器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る磁気治療器の使用例を示す、模式的な斜視図である。
【
図2A】本実施形態に係る磁気治療器を示す上面図である。
【
図2B】本実施形態に係る磁気治療器を示す側面図である。
【
図3A】本実施形態に係る磁気治療器に用いられる磁石を示す、下方から見た斜視図である。
【
図3B】本実施形態に係る磁気治療器に用いられる磁石を示す、上方から見た斜視図である。
【
図3C】本実施形態に係る磁気治療器に用いられる磁石を示す、断面図である。
【
図3D】本実施形態に係る磁気治療器に用いられる磁石の表面形状を示す、断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る磁気治療器を説明する。ただし、以下の実施形態は一例にすぎず、本発明は、以下の実施形態に限定されることはない。
【0010】
図1~
図2Cは、本実施形態に係る磁気治療器Mを示している。磁気治療器Mは、
図1に示されるように、人体Bの皮膚Sに取り付けられて使用される。磁気治療器Mは、人体Bの皮膚Sに取り付けられて使用されることで、人体Bの体内に磁場を及ぼし、取り付けられた人体Bの部位およびその周辺の血行を促進したり、代謝を向上したりするなどの磁気治療効果をもたらす。
図1の例では、磁気治療器Mは、肩こりを改善するために、人体Bの肩に取り付けられている。ただし、磁気治療器Mが取り付けられる人体Bの部位は、人体Bの患部に対して磁気治療効果が発揮される位置であれば、特に限定されることはない。磁気治療器Mが取り付けられる他の人体Bの部位として、人体Bの腕、首、腰、脚などが例示される。
【0011】
磁気治療器Mは、
図2A~
図2Cに示されるように、磁石1と、磁石1を支持して皮膚S(
図1参照)に取り付けるシート2とを備えている。
図2A~
図2Cの例では、シート2の一方の表面は、粘着性を有し、磁気治療器Mは、その表面に剥離加工が施された剥離紙(または剥離フィルム)Rにシート2の粘着力によって貼付された状態で、使用者に提供されている。ただし、磁気治療器Mは、
図2A~
図2Cの例に限定されることはなく、シート2に粘着力がない状態で使用者に供給され、別体で供給される粘着シートによって、皮膚Sに取り付けられてもよい。
【0012】
磁石1は、2つの磁極(N極、S極)を有し、人体B(
図1参照)に対して磁気治療効果を及ぼし得る磁力線を発生させる。本実施形態において、磁石1は、シート2の表面(具体的には、後述するシート2の一面2a。
図2Bおよび
図2C参照)に対して略垂直に延びる磁極方向を有している。磁石1は、シート2の表面に対して略垂直に延びる磁極方向を有することで、磁気治療器Mが人体Bの皮膚Sに取り付けられて使用される際(
図1参照)に、皮膚Sに対して略垂直に磁極方向が向くように位置付けられる。このように、磁石1の磁極方向が皮膚Sの表面に対して略垂直に延びることで、皮膚Sの表面に対して磁極方向が平行に延びる場合と比べて、皮膚Sの表面に対して略垂直な方向の磁界の強度が大きくなり、皮膚Sの表面からより深い体内まで磁気を作用させることができる。ただし、磁石1は、人体Bに対して磁気治療効果を及ぼし得る磁力線を発生させることができればよく、その磁極方向は特に限定されることはない。
【0013】
磁石1は、第1の方向(長手方向)D1に沿って延びる第1の形状(長尺形状)を有している。磁石1が長尺形状を有することで、磁石1から発生する磁場を広範囲に及ぼすことができる。磁石1の大きさは、特に限定されることはないが、たとえば、第1の方向D1の長さが20mm~50mmであって、第1の方向D1に垂直な断面が1mm~5mm×1mm~5mmの大きさに形成される。磁石1は、磁気治療器Mに組み込まれて使用される際に、人体Bの皮膚Sに優しく、磁石1に損傷が生じ難くするために、以下で詳しく述べるように、所定の表面形状を施すことができる。磁石1の詳細な表面形状については後述される。
【0014】
磁石1の材料は、人体B(
図1参照)に対して磁気治療効果を及ぼし得る磁力線を発生させることができれば、特に限定されることはない。本実施形態では、磁石1は、母材である樹脂に磁性紛を混合した、いわゆるボンド磁石である。具体的には、磁石1は、エチレン系樹脂に粉体のフェライト系磁石を混合したボンド磁石である。磁石1をボンド磁石とすることで、磁石1は、人体Bの皮膚S(
図1参照)の表面の動きに追従するように、適度に変形する柔軟性を有することができる。磁石1がボンド磁石である場合、エチレン系樹脂以外の母材として、シリコーン系樹脂やウレタン系樹脂などの弾性を有する樹脂などが例示され、フェライト系磁石以外の磁性紛として、ネオジウム系磁石やサマリウムコバルト系磁石などが例示される。磁石1は、フェライト系磁石、ネオジウム系磁石、サマリウムコバルト系磁石などの磁性紛が焼結された焼結磁石であってもよい。
【0015】
シート2は、磁石1を保護するとともに、磁石1を人体Bの対象部位の皮膚S(
図1参照)に取り付けるために使用される。シート2は、全体として、第2の方向(長手方向)D2に沿って延びる第2の形状(長尺形状)を有している。シート2の第2の形状は、磁石1の第1の形状より大きく、第2の方向D2は、第1の方向D1と略一致している。シート2の長手方向と磁石1の長手方向を略一致させることで、シート2が磁石1に沿った一回り大きい形状となる。これにより、シート2によって磁石1を保護しつつ、シート2の皮膚Sへの取り付け面積を確保することが可能な最小限の大きさで、磁気治療器Mを作製することができる。シート2の大きさは、磁石1の大きさなどによるが、たとえば、第2の方向(長手方向)D2の長さが30mm~60mmであって、第2の方向D2に垂直な方向(短手方向)の長さが10mm~30mmであって、厚みが0.1mm~1.0mm(磁石1を含まず)の大きさに形成される。シート2は、一面2aと、一面2aの反対面である他面2bとを有している(
図2Bおよび
図2C参照)。磁気治療器Mが皮膚Sに取り付けられたときに、一面2aは、皮膚Sの側を向く面となり、他面2bは、皮膚Sの側と反対側を向く面となり得る。
【0016】
シート2は、
図2Aに示されるように、第2の方向D2の一端および他端の少なくとも一方に、第1の切欠部2mを有していてもよい。シート2が第1の切欠部2mを有することで、磁気治療器Mが皮膚Sに取り付けられて使用されるときに、シート2の張力が第1の切欠部2mによって緩和されるので、磁石1の一端および他端の少なくとも一方において、磁石1がシート2の張力によって皮膚Sに過度に押し付けられることが抑制される。また、磁石1が第1の方向(長手方向)D1に沿って延びる長尺形状を有することで、磁石1が変形したときの復元力をシート2の第2の方向(長手方向)D2の端部付近において受け易くなる場合においても、当該応力が第1の切欠部2mによって緩和され易くなる。そのため、磁石1から受ける応力によるシート2の破損が抑制される。さらに、磁石1が皮膚Sに過度に押し付けられ難くなるので、以下で詳しく述べるように、磁石1の一面1aに形成される一面側溝11a(
図3A~
図3C参照)と皮膚S(
図1参照)との間に空隙を確保し易くなり、人体Bから発せられた汗を一面側溝11aから排出し易くなる。
第1の切欠部2mの位置は、第2の方向D2の端部であれば、特に限定されることはないが、本実施形態では、第1の切欠部2mは、磁石1の第1の方向(長手方向)D1の延長上に形成されている。第1の切欠部2mの形状は、特に限定されることはないが、本実施形態では、第1の切欠部2mは、略半円状に切り欠かれるように形成されている。第1の切欠部2mの大きさは、シート2の大きさや第1の切欠部2mの形状によるが、たとえば、幅(第2の方向D2に垂直な方向の長さ)が1mm~10mm、深さ(第2の方向D2の長さ)が1mm~10mmの大きさに形成される。第1の切欠部2mは、略V字状や略直線状に切り欠かれるなど、その他の形状であってもよい。図示される例では、シート2は、第2の方向D2の一端および他端の両方に、第1の切欠部2mを有している。この場合、シート2の張力がさらに緩和されるので、磁石1の皮膚Sへの過度な押し付けやシート2の破損がさらに抑制されるとともに、一面側溝11aと皮膚Sとの間に空隙をさらに確保し易くなる。
【0017】
シート2は、
図2Aに示されるように、第2の方向D2に交差する方向(図示される例では、第2の方向D2に略垂直な方向(短手方向))の一端および他端の少なくとも一方に、第2の切欠部2nを有していてもよい。シート2が第2の切欠部2nを有することで、シート2が第2の方向D2を軸として捩れ易くなるので、シート2が皮膚S(
図1参照)の動きに追従することができずに皮膚Sから剥離することで、磁気治療器Mが意図せずに皮膚Sから離脱することが抑制される。第2の切欠部2nの位置は、第2の方向D2に交差する方向の端部であれば、特に限定されることはないが、本実施形態では、第2の切欠部2nは、第2の方向D2におけるシート2の略中央部であって、第2の方向D2に垂直なシート2の端部に形成されている。第2の切欠部2nの形状は、シート2が捩れ易くなる形状であれば、特に限定されることはないが、本実施形態では、第2の切欠部2nは、略V字状に窪むように形成されている。第2の切欠部2nの大きさは、シート2の大きさや第2の切欠部2nの形状によるが、たとえば、幅(第2の方向D2の長さ)が1mm~40mm、深さ(第2の方向D2に垂直な方向の長さ)が5mm~10mmの大きさに形成される。第2の切欠部2nは、略半円状や略直線状に窪むなど、その他の形状であってもよい。図示される例では、シート2は、第2の方向D2の一端および他端の両方に、第2の切欠部2nを有している。この場合、シート2がさらに捩れ易くなるので、シート2が皮膚Sの動きに追従することができずに、磁気治療器Mが意図せずに皮膚Sから離脱することがさらに抑制される。
【0018】
シート2が第1の切欠部2mおよび第2の切欠部2nの両方を有する場合、第2の切欠部2nの幅は、第1の切欠部2mの幅より広く、第2の切欠部2nの深さは、第1の切欠部2mの深さより深いことが好ましい。そうすることで、シート2の皮膚Sへの取り付け面積を確保しつつ、シート2を捩れ易くすることができる。
【0019】
シート2の構成は、磁石1の保護および磁気治療器Mの皮膚S(
図1参照)への取り付けが可能であれば、特に限定されることはない。本実施形態では、
図2Cに示されるように、シート2は、他面2bの側に設けられる第1のシート21と、一面2aの側に設けられる第2のシート22と、第1のシート21と第2のシート22との間に設けられる第3のシート23とを備えており、磁石1は、第2のシート22と第3のシート23との間に支持されている。図示される例では、第1のシート21は、シート2の基材であり、他面2bをなし、他面2bの側で磁石1を保護する。図示される例では、第2のシート22は、磁気治療器Mを皮膚Sに取り付ける部材であり、粘着性を有する一面2aをなし、一面2aの側で磁石1を保護する。そうすることで、磁気治療器Mは、一面2aの粘着力によって皮膚Sの所望の位置に着脱可能に取り付けられる。図示される例では、第3のシート23は、磁石1の第1のシート21への取り付けを補助する部材であり、一面2aの側の面および他面2bの側の面の両面が粘着性を有する。そうすることで、第3のシート23は、一面2aの側の面の粘着力によって、磁石1が支持された状態で、第2のシート22に取り付けられ、他面2bの側の面の粘着力によって、第1のシート21に取り付けられる。
【0020】
第1~第3のシート21~23の構成および材料は、これらの機能を発揮することができるものであれば、特に限定されることはない。第1~第3のシート21~23として、ポリウレタン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維などから構成される不織布であるか、またはウレタン系樹脂、エチレン系樹脂、エステル系樹脂などから構成されるフィルムであり、必要に応じて適宜、フィルムの片面および両面に、アクリル系粘着剤を塗布したシートが例示される。第1~第3のシート21~23は、たとえば、皮膚S(
図1参照)の蒸れを抑制するために、通気性を有するシートから構成することができる。特に、第2のシート22が通気性を有するシート(たとえば、メッシュシート)とする場合には、第2のシート22を介して、磁石1と皮膚Sとの間の汗を磁気治療器Mの外部に排出し易くなる。
【0021】
シート2は、第3のシート23を備えずに、第1および第2のシート21、22から構成され、磁石1は、第1のシート21と第2のシート22との間に支持されていてもよい。この場合、たとえば、第2のシート22の一面2aの側の面(一面2a)および他面2bの側の面の両面が粘着性を有し、一面2aの側の面の粘着力によって、磁気治療器Mが皮膚Sの所望の位置に着脱可能に取り付けられ、他面2bの側の面の粘着力によって、磁石1が支持された状態で、第1のシート21に取り付けられる。シート2は、第2および第3のシート22、23を備えずに、第1のシート21のみから構成され、磁石1は、第1のシート21のみによって支持されてもよい。この場合、たとえば、第1のシート21は、一面2aの側の面(一面2a)が粘着性を有し、一面2aの側の面の粘着力によって、磁石1が支持された状態で、磁気治療器Mが皮膚Sの所望の位置に着脱可能に取り付けられる。シート2は、4つ以上のシート状の部材(第1~第Nのシート(N≧4))から構成されていてもよい。
【0022】
本実施形態において、第1および第2のシート21、22は、シート2の第2の形状と略一致する平面形状を有している(
図2Aの実線で囲まれる領域参照)。本実施形態において、第3のシート23は、第2の方向D2における長さが磁石1の第1の方向D1における長さと略一致するように、第2の形状が第2の方向D2おいて一端側および他端側で取り除かれた平面形状を有している(
図2Aの点線と実線とで囲まれる領域参照)。しかし、第1~第3のシート21~23の平面形状は、第1~第3のシート21~23のいずれかの平面形状がシート2の第2の形状に形成されていれば、
図2Aの例に限定されることはない。第1~第3のシート21~23の平面形状のすべてが互いに略一致していてもよく、第1~第3のシート21~23の平面形状のいずれも互いに一致していなくてもよい。
【0023】
なお、シート2は、磁気治療器Mを人体B(
図1参照)の所望の部位に位置付けることができれば、必ずしも一面2aの全面で皮膚S(
図1参照)と取り付けられなくてもよい。たとえば、一面2aの外縁のみが粘着性を有することで、シート2がその外縁のみで皮膚Sに取り付けられてもよい。上述のように、シート2が第2および第3のシート22、23を備えない場合、磁石1が皮膚Sに直接的に接触し、第1のシート21の粘着力によって、シート2が磁石1の周囲でのみ皮膚Sに取り付けられることになる。また、シート2の一面2aの全面が粘着性を有する場合であっても、シート2の張力を緩和するためや、シート2を捩れ易くするために、第1の切欠部2mや第2の切欠部2nが皮膚Sから若干離間した状態で、シート2が皮膚Sに取り付けられてもよい。
【0024】
次に、
図3A~
図3Dを参照して、磁石1の表面形状について、説明する。ただし、以下の説明は一例にすぎず、本発明は、以下の説明に限定されることはない。
【0025】
磁石1は、
図3A~
図3Cに示されるように、一面1aと、一面1aの反対面である他面1bとを有している。磁気治療器Mが皮膚S(
図1参照)に取り付けられたときに、一面1aは、皮膚Sの側を向く面となり、他面1bは、皮膚Sの側と反対側を向く面となり得る。
【0026】
本実施形態において、磁石1の一面1aは、
図3Aおよび
図3Cに示されるように、第1の方向D1に沿って設けられる一面側溝11aを有している(以下、「一面側溝11aの幅」は、一面側溝11aの第1の方向D1に垂直な断面における幅を指し、「一面側溝11aの深さ」は、一面側溝11aの第1の方向D1に垂直な断面における深さを指すものとする)。磁石1の一面1aが一面側溝11aを有することで、磁気治療器Mが皮膚S(
図1参照)に取り付けられて使用されるときに、一面側溝11aと皮膚Sとの間に第1の方向D1に沿う空隙が形成されるので、使用者が発汗したときに、汗が空隙に沿って磁気治療器Mの外部に排出され易くなる。そのため、汗によって皮膚Sが蒸れ難くなるので、使用者が磁気治療器Mを快適に使用し易くなる。一面側溝11aの大きさは、磁石1の大きさなどによるが、第1の方向D1に垂直な断面において、たとえば、幅が0.5mm~1.5mmであって、深さが0.1mm~0.5mmの大きさに形成される。図示される例では、一面側溝11aは、第1の方向D1における一面1aの全長に亘って設けられている。この場合、磁石1が一面1aの全長に亘って皮膚Sと密着するように、磁気治療器Mが使用されても、汗が空隙に沿って磁気治療器Mの外部に排出され易くなる。また、図示される例では、一面側溝11aは、一面1aにおいて、複数設けられている(
図3A~
図3Cでは、2つの一面側溝11a(第1および第2の一面側溝111a、112a)が設けられている)。この場合、一面側溝11aと皮膚Sとの間に形成される空隙による、磁気治療器Mの外部への汗の排出経路が増え、汗によって皮膚Sがさらに蒸れ難くなるので、使用者が磁気治療器Mをさらに快適に使用し易くなる。なお、一面側溝11aは、1つのみ設けられてもよく、3つ以上(第1~第Nの一面側溝(N≧3))設けられてもよい。
【0027】
本実施形態において、磁石1の他面1bは、
図3Bおよび
図3Cに示されるように、第1の方向D1に沿って設けられる他面側溝11bを有している(以下、「他面側溝11bの幅」は、他面側溝11bの第1の方向D1に垂直な断面における幅を指し、「他面側溝11bの深さ」は、他面側溝11bの第1の方向D1に垂直な断面における深さを指すものとする)。この場合、磁気治療器Mの使用時に、磁気治療器Mの外面(シート2の他面2b)に意図しない外力などが加わったときに、他面側溝11bの幅が拡大したり縮小したりして他面側溝11bが変形することで、他面1bが外力などを吸収し易くなる。そのため、皮膚S(
図1参照)に外力などが及び難くなるので、磁気治療器Mへの外力などによって皮膚Sが傷つくことが抑制される。他面側溝11bの大きさは、磁石1の大きさなどによるが、第1の方向D1に垂直な断面において、たとえば、幅が0.5mm~1.5mmであって、深さが0.1mm~0.5mmの大きさに形成される。図示される例では、他面側溝11bは、第1の方向D1における他面1bの全長に亘って設けられている。この場合、磁気治療器Mに外力などが加わったときに、他面側溝11bの幅が他面1bの全長に亘って拡縮して他面側溝11bが変形することで、他面1bが外力などをさらに吸収し易くなる。そのため、皮膚S(
図1参照)に外力などがさらに及び難くなるので、磁気治療器Mへの外力などによって皮膚Sが傷つくことがさらに抑制される。また、図示される例では、他面側溝11bは、他面1bにおいて、複数設けられている(
図3A~
図3Cでは、2つの他面側溝11b(第1および第2の他面側溝111b、112b)が設けられている)。この場合、磁気治療器Mに外力などが加わったときに、他面側溝11bのそれぞれの幅が拡縮して他面側溝11bのそれぞれが変形することで、他面1bが外力などをさらに吸収し易くなる。そのため、皮膚S(
図1参照)にさらに外力などが及び難くなるので、磁気治療器Mへの外力などによって皮膚Sが傷つくことがさらに抑制される。なお、他面側溝11bは、1つのみ設けられてもよく、3つ以上(第1~第Nの他面側溝(N≧3))設けられてもよい。
【0028】
磁石1が一面側溝11aおよび他面側溝11bの両方を有する場合、
図3Cおよび
図3D(磁石1の各部位については
図3C参照、磁石1の寸法については
図3D参照)に示されるように、他面側溝11bの深さHbは、一面側溝11aの深さHaより深く、他面側溝11bの幅Hbは、一面側溝11aの幅Waより広いことが好ましい(
図3D参照)。この場合、一面側溝11aが他面側溝11bと比較して幅狭で浅く形成され得るので、磁気治療器Mが皮膚S(
図1参照)に取り付けられて使用されるときに、皮膚Sと対向する磁石1の一面1aにおいて、皮膚Sが一面側溝11aに入り込み難くなる。そのため、一面側溝11aと皮膚Sとの間に第1の方向D1に沿う空隙が形成され易くなり、汗が空隙に沿って磁気治療器Mの外部に排出され易くなる。これにより、汗によって皮膚Sがさらに蒸れ難くなるので、使用者が磁気治療器Mをさらに快適に使用し易くなる。また、皮膚Sが一面側溝11aに入り込み難くなるので、磁石1が一面側溝11aに入り込んだ皮膚Sの動きに追従することで過度に変形し、損傷することが抑制される。また、この場合、他面側溝11bが一面側溝11aと比較して幅広で深く形成され得るので、磁気治療器Mに外力などが加わったときに、他面側溝11bの幅の拡縮の度合いが大きくなり、他面1bが外力などを吸収し易くなる。そのため、皮膚S(
図1参照)に外力などが及び難くなるので、磁気治療器Mへの外力などによって皮膚Sが傷つくことが抑制される。たとえば、他面側溝11bの深さHbは、一面側溝11aの深さHaより1.1倍~3倍深く、他面側溝11bの幅Wbは、一面側溝11aの幅Waより1.1倍~3倍広くなるように、一面側溝11aおよび他面側溝11bを設けることができる。
【0029】
なお、本明細書において、一面側溝11aの幅Waは、第1の方向D1に垂直な断面において、一面側溝11aを両側で仕切る2つの一面側突条12a(
図3Cにおいて、第1の一面側溝111aを仕切る第1および第2の一面側突条121a、122a、または第2の一面側溝112aを仕切る第2および第3の一面側突条122a、123a参照)の両方に接するように接線Laを描いたときに、一方側の一面側突条12aの接点と他方側の一面側突条12aの接点との間の線分の長さを指す。同様に、他面側溝11bの幅Wbは、第1の方向D1に垂直な断面において、他面側溝11bを両側で仕切る2つの他面側突条12b(
図3Cにおいて、第1の他面側溝111bを仕切る第1および第2の他面側突条121b、122b、または第2の他面側溝112bを仕切る第2および第3の他面側突条122b、123b参照)の両方に接するように接線Lbを描いたときに、一方側の他面側突条12bの接点と他方側の他面側突条12bの接点との間の線分の長さを指す。また、本明細書において、一面側溝11aの深さHaは、第1の方向D1に垂直な断面において、一面側溝11aを両側で仕切る2つの一面側突条12aの両方に接するように接線Laを描いたときに、接線Laから垂直な方向において、接線Laをから最も遠い一面側溝11aの底部の位置と接線Laとの間の距離を指す。同様に、他面側溝11bの深さHbは、第1の方向D1に垂直な断面において、他面側溝11bを両側で仕切る2つの他面側突条12bの両方に接するように接線Lbを描いたときに、接線Lbから垂直な方向において、接線Lbから最も遠い他面側溝11bの底部の位置と接線Lbとの間の距離を指す。
【0030】
一面側突条12aは、第1の方向D1に垂直な断面において、その表面を略円弧状に形成することができる。一面側突条12aを略円弧状に形成することで、磁気治療器Mが皮膚S(
図1参照)に取り付けられて使用されるときに、一面側突条12aから皮膚Sに加わる応力が一方向(たとえば、皮膚Sの表面に垂直な方向)に集中せずに多方向に分散する。そのため、磁石1から皮膚Sに過度な応力が加わり難くなるため、皮膚Sに優しい磁石1を得ることができる。他面側突条12bもまた、第1の方向D1に垂直な断面において、その表面を略円弧状に形成することができる。他面側突条12bを略円弧状に形成することで、他面側突条12bからシート2に加わる応力が一方向(たとえば、シート2の他面2bに垂直な方向)に集中せずに多方向に分散する。そのため、磁石1からシート2に過度な応力が加わり難くなるため、磁石1からシート2への応力によるシート2の損傷が抑制される。
【0031】
他面側突条12bの断面における表面の曲率は、一面側突条12aの断面における表面の曲率より大きいことが好ましい。この場合、一面側突条12aの表面は、他面側突条12bの表面と比較して緩やかな曲面から構成される。そのため、一面側突条12aから皮膚S(
図1参照)に加わる応力がさらに分散し、磁石1から皮膚Sに過度な応力がさらに加わり難くなる。また、この場合、他面側突条12bの表面は、一面側突条12aの表面と比較して鋭い曲面から構成されるので、他面側突条12bは、一面側突条12aと比較して幅狭に形成され、その結果、一面側突条12aよりも柔軟性や弾性を有し易くなる。そのため、磁気治療器Mの外面(シート2の他面2b)に意図しない外力などが加わったときに、磁石1の他面1bが他面側突条12bによって変形し易くなり、他面1bの変形によって磁石1への外力などが緩和され易くなる。これにより、皮膚Sに外力などが及び難くなるので、磁気治療器Mへの外力などによって皮膚Sが傷つくことが抑制される。
【0032】
図3Cに示されるように、磁石1に一面側溝11aや他面側溝11bが形成される場合、磁石1は、一面側溝11aや他面側溝11bによって分離された複数の長尺形状の磁石部121~123を備える複合磁石と見なすことができる。この場合、第1の方向D1に垂直な断面において、各磁石部121~123の断面形状は、磁石1の断面形状よりも細長くなる。各磁石部121~123の磁極方向がその一面1aと他面1bとの間で延びる方向であるとき、細長い断面形状に起因して、各磁石部121~123から発生する磁場が強くなる。これにより、磁石1から発生する磁場が全体として強くなるので、磁石1が小さくても、人体B(
図1参照)の体内に及ぶ磁場の強度も強くなる。本実施形態では、磁石1は、第1の一面側溝111aおよび第1の他面側溝111b、ならびに第2の一面側溝112aおよび第2の他面側溝112bによって分離された第1~第3の磁石部121~123を備えている。第1~第3の磁石部121~123はそれぞれ、第1~第3の一面側突条121a~123aおよび第1~第3の他面側突条121b~123bを含むことで、細長い断面形状を有し、各磁石部121~123は、磁極方向がその一面1aと他面1bとの間で延びる方向に磁化されている。これにより、皮膚Sの表面に対して略垂直な方向の磁界の強度がさらに大きくなり、皮膚Sの表面からよりさらに深い体内まで磁気を作用させることができる。なお、磁石1は、4つ以上の磁石部(第1~第Nの磁石部(N≧4))を備えていてもよい。
【0033】
(まとめ)
第1の態様に係る磁気治療器は、人体の皮膚に取り付けられて使用される磁気治療器であって、前記磁気治療器は、磁石と、前記磁石を支持して前記皮膚に取り付けるシートとを備え、前記磁石は、第1の方向に沿って延びる第1の形状を有し、前記シートは、第2の方向に沿って延びる第2の形状を有し、平面視において、前記第2の形状は、前記第1の形状より大きく、前記第2の方向は、前記第1の方向と略一致する。
【0034】
第1の態様に係る磁気治療器によれば、磁石が第1の方向に沿って延びる第1の形状を有しているので、磁石から発生する磁場は、第1の方向に沿って広範囲に及ぶ。また、磁石が第1の方向に沿って連続的に形成されているため、磁気治療器における磁石の密度も高くなる。これにより、磁気治療器は、皮膚に取り付けられて使用されるときに、人体の体内に高い強度の磁場を広範囲に及ぼすことができる。また、1つの磁気治療器のみを使用しても、人体の体内に高い強度の磁場を広範囲に及ぼし得るので、使用者は、高い磁気治療効果を実感し易い。そのため、磁気治療器の使用に際し、必ずしも複数の磁気治療器を皮膚に取り付ける必要がないので、磁気治療器を皮膚に取り付ける手間も低減される。
【0035】
また、第1の態様に係る磁気治療器によれば、平面視において、シートの第2の形状は、磁石の第1の形状より大きく、シートの第2の方向(長手方向)は、磁石の第1の方向(長手方向)と略一致している。そのため、シートによって磁石を保護し、シートの皮膚への取り付け面積を確保しつつ、最小限の大きさで磁気治療器を作製することができる。
【0036】
第2の態様に係る磁気治療器は、第1の態様に係る磁気治療器において、前記シートが、前記第2の方向の一端および他端の少なくとも一方に、第1の切欠部を有する。
【0037】
第2の態様に係る磁気治療器によれば、磁気治療器が皮膚に取り付けられて使用されるときに、シートの張力が緩和されるので、磁石の皮膚への過度な押し付けやシートの破損が抑制される。
【0038】
第3の態様に係る磁気治療器は、第1の態様または第2の態様に係る磁気治療器において、前記シートが、前記第2の方向の一端および他端の両方に、第1の切欠部を有する。
【0039】
第3の態様に係る磁気治療器によれば、磁気治療器が皮膚に取り付けられて使用されるときに、シートの張力がさらに緩和されるので、磁石の皮膚への過度な押し付けやシートの破損がさらに抑制される。
【0040】
第4の態様に係る磁気治療器は、第1の態様~第3の態様のいずれかの態様に係る磁気治療器において、前記シートが、前記第2の方向に交差する方向の一端および他端の少なくとも一方に、第2の切欠部を有する。
【0041】
第4の態様に係る磁気治療器によれば、シートが捩れ易くなるので、シートが皮膚の動きに追従することができずに、磁気治療器が意図せずに皮膚から離脱することが抑制される。
【0042】
第5の態様に係る磁気治療器は、第1の態様~第4の態様のいずれかの態様に係る磁気治療器において、前記シートが、前記第2の方向に交差する方向の一端および他端の両方に、第2の切欠部を有する。
【0043】
第5の態様に係る磁気治療器によれば、シートがさらに捩れ易くなるので、シートが皮膚の動きに追従することができずに、磁気治療器が意図せずに皮膚から離脱することがさらに抑制される。
【0044】
第6の態様に係る磁気治療器は、第1の態様~第5の態様のいずれかの態様に係る磁気治療器において、前記磁石が、前記皮膚に取り付けられたときに、前記皮膚と対向する一面と、一面の反対面である他面とを有し、前記一面が、前記磁石の前記第1の方向に沿って設けられる一面側溝を有し、前記他面が、前記磁石の前記第1の方向に沿って設けられる他面側溝を有する。
【0045】
第6の態様に係る磁気治療器によれば、一面側溝と皮膚との間に形成される空隙によって、汗が空隙に沿って磁気治療器の外部に排出され易くなり、汗によって皮膚が蒸れ難くなるので、使用者が磁気治療器を快適に使用し易くなる。また、磁気治療器の外面に意図しない外力などが加わったときに、他面側溝の幅が拡縮して他面側溝が変形することで、他面が外力などを吸収し易くなる。そのため、皮膚に外力などが及び難くなるので、磁気治療器への外力などによって皮膚が傷つくことが抑制される。
【0046】
第7の態様に係る磁気治療器は、第6の態様に係る磁気治療器において、前記一面側溝が、前記第1の方向における前記一面の全長に亘って設けられ、前記他面側溝が、前記第1の方向における前記他面の全長に亘って設けられる。
【0047】
第7の態様に係る磁気治療器によれば、磁石が全長に亘って皮膚と密着するように、磁気治療器が使用されても、汗が空隙に沿って磁気治療器の外部に排出され易くなる。また、磁気治療器に外力などが加わったときに、他面側溝の幅が他面の全長に亘って拡縮して他面側溝が変形することで、他面が外力などをさらに吸収し易くなる。そのため、皮膚に外力などがさらに及び難くなるので、磁気治療器への外力などによって皮膚が傷つくことがさらに抑制される。
【0048】
第8の態様に係る磁気治療器は、第6の態様または第7の態様に係る磁気治療器において、前記他面側溝の深さは、前記一面側溝の深さより深く、前記他面側溝の幅は、前記一面側溝の幅より広い。
【0049】
第8の態様に係る磁気治療器によれば、一面側溝が他面側溝と比較して幅狭で浅く形成され得るので、磁気治療器が皮膚に取り付けられて使用されるときに、皮膚と対向する磁石の一面において、皮膚が一面側溝に入り込み難くなる。そのため、一面側溝と皮膚との間に第1の方向に沿う空隙が形成され易くなり、汗が空隙に沿って磁気治療器の外部に排出され易くなる。これにより、汗によって皮膚がさらに蒸れ難くなるので、使用者が磁気治療器をさらに快適に使用し易くなる。また、皮膚が一面側溝に入り込み難くなるので、磁石が一面側溝に入り込んだ皮膚の動きに追従することで過度に変形し、損傷することが抑制される。また、他面側溝が一面側溝と比較して幅広で深く形成され得るので、磁気治療器に外力などが加わったときに、他面側溝の幅の拡縮の度合いが大きくなり、他面が外力などを吸収し易くなる。そのため、皮膚に外力などが及び難くなるので、磁気治療器への外力などによって皮膚が傷つくことが抑制される。
【0050】
第9の態様に係る磁気治療器は、第6の態様~第8の態様のいずれかの態様に係る磁気治療器において、前記一面側溝が、前記一面において、複数設けられ、前記他面側溝は、前記他面において、複数設けられる。
【0051】
第9の態様に係る磁気治療器によれば、一面側溝と皮膚との間に形成される空隙による磁気治療器の外部への汗の排出経路が増え、汗によって皮膚がさらに蒸れ難くなるので、使用者が磁気治療器をさらに快適に使用し易くなる。また、磁気治療器への外力などが複数の他面側溝によって分散されることで、皮膚に外力などがさらに及び難くなるので、磁気治療器への外力などによって皮膚が傷つくことがさらに抑制される。
【符号の説明】
【0052】
1 磁石
1a 磁石の一面
1b 磁石の他面
11a、111a、112a 一面側溝
11b、111b、112b 他面側溝
121~123 磁石部
12a、121a~123a 一面側突条
12b、121b~123b 他面側突条
2 シート
2a シートの一面
2b シートの他面
21~23 第1~第3のシート
2m 第1の切欠部
2n 第2の切欠部
B 人体
D1 第1の方向(磁石の長手方向)
D2 第2の方向(シートの長手方向)
Ha 一面側溝の深さ
Hb 他面側溝の深さ
La、Lb 接線
M 磁気治療器
R 剥離紙(剥離フィルム)
S 皮膚
Wa 一面側溝の幅
Wb 他面側溝の幅