IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン電子株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-画像読取装置 図1
  • 特開-画像読取装置 図2
  • 特開-画像読取装置 図3
  • 特開-画像読取装置 図4
  • 特開-画像読取装置 図5
  • 特開-画像読取装置 図6
  • 特開-画像読取装置 図7
  • 特開-画像読取装置 図8
  • 特開-画像読取装置 図9
  • 特開-画像読取装置 図10
  • 特開-画像読取装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082686
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/10 20060101AFI20240613BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H04N1/10
H04N1/04 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196706
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤田 阿弓
【テーマコード(参考)】
5C072
【Fターム(参考)】
5C072AA01
5C072BA15
5C072CA05
5C072CA15
5C072DA03
5C072DA12
5C072EA05
5C072EA06
5C072FB12
5C072FB13
5C072LA03
5C072LA08
5C072LA15
5C072LA17
5C072MA02
5C072MB06
5C072MB08
5C072RA04
5C072RA16
5C072TA01
5C072UA03
5C072UA11
5C072UA13
5C072VA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】綴じ部分がある原稿を読み取る場合に、読み取り途中にモータの速度を変動させることなく、綴じ部分の影(暗さ)の発生を抑える画像読取装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置は、原稿載置台11に載置された原稿を読み取るための画像読取手段41と、画像読取手段41を移動させる移動手段70と、移動手段70により画像読取手段41を移動させながら原稿に光を照射することにより得られる画像から輝度値を取得する取得手段と、原稿の読み取りに用いる画像読取手段41の光量を制御する光量制御手段とを備え、移動手段70によって画像読取手段41を第一方向に移動しているときに取得された画像における原稿部分の輝度値の変化に基づいて、移動手段70によって画像読取手段41を第二方向に移動させながら、光量制御手段により原稿部分の輝度値が一定になるように光量の制御を行いつつ、画像読取手段41によって原稿を読み取る。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を載置するための透光性の原稿載置台と、
前記原稿載置台に載置された原稿を読み取るための画像読取手段と、
前記画像読取手段を第一方向および第一方向と反対の第二方向へ移動させる移動手段と、
前記移動手段により前記画像読取手段を移動させながら前記原稿に光を照射することにより得られる画像から輝度値を取得する取得手段と、
前記原稿の読み取りに用いる前記画像読取手段の光量を制御する光量制御手段と
を備え、
前記光量制御手段は、前記移動手段によって前記画像読取手段を前記第一方向に移動しているときに前記原稿に一定の光を照射することにより前記取得手段によって取得された画像における原稿部分の輝度値の変化に基づいて、前記移動手段によって前記画像読取手段を前記第二方向に移動させながら、前記光量制御手段により前記原稿部分の前記輝度値が一定になるように光量の制御を行いつつ、前記画像読取手段によって前記原稿を読み取ることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記画像読取手段を前記第一方向に移動しているときに前記取得手段によって取得された画像の輝度値が漸次的に変化している第1の状態の場合に、
前記移動手段によって前記画像読取手段を前記第二方向に移動させながら、前記光量制御手段により前記原稿部分の前記輝度値が一定になるように光量の制御を行いつつ、前記画像読取手段によって前記原稿を読み取ることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記画像読取手段を前記第一方向に移動しているときに前記取得手段によって取得された画像の輝度値が急激に変化している第2の状態の場合は、
前記移動手段によって前記画像読取手段を前記第二方向に移動させながら、前記光量制御手段により前記原稿部分の前記輝度値が一定になるように光量の制御を行いつつ、前記画像読取手段によって前記原稿を読み取る制御を実施しないことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記第2の状態の場合には、前記第二方向での前記原稿の読み取りは実施せず、前記第一方向のみで読み取り動作を終了することを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記原稿の読み取り動作終了後に、前記画像読取手段を前記第一方向に移動したときに得られる前記原稿の読み取り画像と、前記画像読取手段を前記第二方向に移動したときに得られる前記原稿の読み取り画像とのどちらを保存するかをユーザーが選択可能なことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、紙等のシート材や冊子等からなる原稿の画像を読み取るための画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像読取装置は、原稿台のプラテンガラス(以下、原稿台ガラス)上に原稿を積載して原稿を読み取る単体の装置や、複写機の一部として組み込まれて原稿を読み取る装置として、知られている。
【0003】
原稿台ガラス上に原稿を載置して原稿を読み取るタイプの原稿読取装置では、原稿台ガラスに対向して載置された原稿に光を照射し、原稿からの反射光を密着型イメージセンサ(Contact Image Sensor。以下、CISと略す場合がある。)やCCDイメージセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor。以下、CCDと略す場合がある。)を用いて読み取るといった方法で原稿から画像データを取得している。通常、原稿に照射する光の強さは、原稿台ガラス上に原稿が密着している状態と仮定し、読取対象の白色原稿に対して光を照射したときに、その反射光の角度や取得される輝度値が適切な量になるよう調整されている。
【0004】
しかし、製本された冊子のような中央部に綴じ部分のある原稿(以下、ブック原稿)に関しては、その原稿を見開いて原稿台ガラス上に載置した際、綴じ部分が原稿台ガラス上から離間する状態となる場合がある。このような場合、原稿の読み取り面の原稿台ガラスから離間した部分については原稿台ガラスと対向する角度が異なるため、照射光から得られる反射光量が減少する。その結果、CISやCCDが取得する輝度値も減少し、綴じ部分に影が発生して綴じ部分が暗い画像として読み取られてしまう。本来、白い原稿に対し読み取り結果が暗くなるということは、ユーザーが所望する画像とは異なる結果となるばかりでなく、それを再び記録した場合に無駄にトナーを消費してしまうことになる。
【0005】
このような問題に対し、任意のラインにおいて照射光の強さを順次変化させ、その反射光により画像読取センサが逐次画像取得と明るさ判定を行い、適切な明るさになったと判断したら読み取り画像を出力するといった方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4902598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような方法では読み取り画像が適切な明るさになるまでライン毎に繰り返し画像読み取りと光量調整を行う必要がある。このため、特に中央付近においてその暗さが顕著である綴じ部分があるブック原稿については、その分、綴じ部分は適切な明るさと判定されるまでに時間がかかり、待つ必要がある。
【0008】
また、従来の画像読み取りは、CISやCCDを備えた画像読取センサを原稿に対してある方向に走査しながら読み取りを行っている。そのため読み取りたいラインの反射光が適切な明るさになるまで待つということは、その画像読取センサの走査速度を減少させるか、或いは停止させる必要があることを意味する。この結果、原稿全面にわたる画像読み取りを完了させるまでには、モータの速度を変動させながら駆動させる、もしくはモータの停止と駆動を繰り返し行う必要がある。そのため、読み取り画像に色ずれや伸び等の異常をきたす可能性がある。
【0009】
また、綴じ部分の暗さを改善するため、ソフトウェアの画像処理で出力後の読み取り画像を明るくする補正(明るさ補正)を実施する手段もある。しかし、取得した画像において本来得られるはずの明るさの差が得られていなかった場合には、補正できない。
【0010】
本発明は上記従来例に鑑みてなされたもので、ブック原稿のような綴じ部分がある原稿を読み取る場合にも、モータの速度を読み取り途中に変動させることなく、かつ綴じ部分の影(暗さ)の発生を抑えて、綴じ部分以外が明るくなりすぎるのを防ぐことを可能とする画像読取装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画像読取装置は、上記を鑑み、
原稿を載置するための透光性の原稿載置台と、
前記原稿載置台に載置された原稿を読み取るための画像読取手段と、
前記画像読取手段を第一方向および第一方向と反対の第二方向へ移動させる移動手段と、
前記移動手段により前記画像読取手段を移動させながら前記原稿に光を照射することにより得られる画像から輝度値を取得する取得手段と、
前記原稿の読み取りに用いる前記画像読取手段の光量を制御する光量制御手段と
を備え、
前記光量制御手段は、前記移動手段によって前記画像読取手段を前記第一方向に移動しているときに前記原稿に一定の光を照射することにより前記取得手段によって取得された画像における原稿部分の輝度値の変化に基づいて、前記移動手段によって前記画像読取手段を前記第二方向に移動させながら、前記光量制御手段により前記原稿部分の前記輝度値が一定になるように光量の制御を行いつつ、前記画像読取手段によって前記原稿を読み取ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ブック原稿のような綴じ部分がある原稿を読み取る場合にも、モータの速度を読み取り途中に変動させることなく、かつ綴じ部分の影(暗さ)の発生を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の斜視図。
図2】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の上面図。
図3】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の底面図。
図4】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の内部構成の概要を示す断面図。
図5】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の内部構成を示した斜視図
図6】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の制御構成示すブロック図。
図7】本発明の原稿載置台にブック原稿を載置した様子を示す側面図。
図8】ブック原稿に対し一定の光量で画像読取を実行した場合の画像読取結果を示す図。
図9】ブック原稿を一定光量で読みとった際の輝度値の変化を示す図。
図10】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の光量制御量算出処理を示すフローチャート。
図11】本発明の別の実施形態に係る画像読取装置の光量制御量算出処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
以下、本発明の好適な一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
<画像読取装置のハードウェア構成>
図1は本発明の画像読取装置の一例としてのフラットベッドスキャナの一実施形態の斜視図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係るフラットベッドスキャナ1は、原稿Dを下筐体60の上部に設けた透光性の原稿台ガラス(原稿載置台)11上に配置し、開閉蓋20で原稿Dを覆い、フラットベッドスキャナ1の本体部内に設けられたキャリッジ(画像読取手段の一例であるCISやCCDを備えた画像読取部41を含む)40を矢印y方向に走査して原稿Dの画像読み取りを行う装置である。
【0017】
そして、本実施形態では、フラットベッドスキャナ1の本体部に対して開閉可能な開閉蓋20がyz平面上に回動可能に配置されている。また、原稿台ガラス11には、原稿を載置する際に主走査方向の目安となる横指標11aと、副走査方向の目安となる縦指標11bとが設けられている。尚、以下においては、縦指標11bである副走査方向に対して、開閉蓋20のヒンジが設置されている側の端部方向を「奥側」、それと対向する側の端部方向を「手前」という。
【0018】
開閉蓋20は、原稿台ガラス11及び当該原稿台ガラス11上に載置される原稿Dを覆う部材である。
【0019】
図2は、本実施形態に係るフラットベッドスキャナ1の上面図である。フラットベッドスキャナ1は、開閉蓋20の回動操作におけるヒンジとは反対側の端部(回動における径方向先端側)に、開閉蓋20と隣接するように操作パネル50が設けられている。
【0020】
操作パネル50は、スキャン開始ボタン51およびスキャン停止ボタン52、電源ボタン53によって構成されており、スキャン開始ボタン51が押下されると、キャリッジ40が副走査方向(y方向)に移動しながら、画像読取部41が主走査方向に走査することで、原稿載置台11上の原稿Dの画像読み取りが開始される。なお、スキャンの開始については、フラットベッドスキャナ1に接続される情報処理装置で動作するアプリケーション側からスキャン設定を送信すると同時にスキャン開始の指示を送信しても良く、それらを組み合わせても良い。すなわち、フラットベッドスキャナ1においてスキャン開始ボタン51が押下されたことを情報処理装置のアプリケーションで検出すると、スキャン設定やスキャン開始指示を改めて情報処理装置からフラットベッドスキャナ1に対して送信し、スキャンを実施してもよい。さらに、フラットベッドスキャナ1に接続される情報処理装置はネットワークを介した遠隔地に位置しても良く、その接続の仕方は有線に限られず、無線通信によって行っても良い。
【0021】
図3は、本実施形態に係るフラットベッドスキャナ1の底面図である。図3(a)にはフラットベッドスキャナ1に基板カバー61を取り付けた状態を示し、図3(b)にはフラットベッドスキャナ1から基板カバー61を取り外した状態を示している。
【0022】
図3(a)に示すように、フラットベッドスキャナ1の底面には、下筐体60とは別体で形成した基板カバー61が設けられている。基板カバー61は、下筐体60の中央部に設けられており、下筐体60に対してビス固定されている。図3(b)の下筐体60における基板カバー61が設けられた位置には、下筐体60側の内部側に向かって形成された凹部62が設けられており、この凹部62内に制御基板63が配置されている。本実施形態においては、凹部62は、キャリッジ40の走査方向(y方向)に対し、下筐体60の端部から他端部に亘って一体に設けられている。
【0023】
制御基板63は、接続ケーブル(接続手段)64によって画像読取部41に接続される。なお、接続ケーブル64はフレキシブルフラットケーブル(FFC)などによって構成され、スキャン開始ボタン51が押下されたことに基づくスキャン開始信号が制御基板63に搭載された制御部(制御手段)80(図6参照)に送信される。スキャン開始信号が制御部80に送信されると、設定されたスキャン設定に基づき、制御部80から接続ケーブル64を介して画像読取部41に対して制御信号を送信し、また、同時にキャリッジ40の駆動部(駆動手段)70に対して制御信号を送信することによって、原稿Dの画像読み取り動作が実行される。なお、駆動部70に対する制御信号は、接続ケーブル64を介して行っても良いが、本実施形態においては、駆動部70をキャリッジ40とは別に設けているため、別のケーブルを用いて行われる。制御部80はスキャン開始以外にも画像読取部41やキャリッジ40の駆動制御全般を行うものであり、一例としてはCPUやASICによって構成される。
【0024】
図4図1に示した画像読取装置の内部構成の概要を示す断面図である。図5図1に示した画像読取装置の内部構成を示した斜視図である。
【0025】
図4図5に示されているように、原稿台ガラス11の下側には画像読取部41が備えられている。画像読取部41は、ラインセンサ42と、原稿Dに光を照射する光源部としてのLED43と、光源部からの照射光を原稿Dに誘導するライトガイド44と、照射された原稿Dからの反射光をラインセンサ42に集光して導くセルフォック(登録商標)レンズ45とを備える。ラインセンサ42は、集光された反射光を主走査方向に読み取るための光電変換装置(例えば、CMOSセンサやCCD等)により構成される。即ち、ラインセンサ42は、LED43から原稿に照射された光の反射光を受光して画像信号を出力する。
【0026】
LED43とライトガイド44は、キャリッジ40に収容されており、キャリッジ40は、駆動ベルト71に接続されている。駆動ベルト71は、駆動モータ72に連結されており、駆動モータ72により駆動するように構成されている。駆動モータ72は、例えば、ステッピングモータにより構成されており、キャリッジ40の位置は、ポジションセンサ(不図示)と駆動モータ72の回転パルス数とにより把握可能となっている。
【0027】
下筐体60は、原稿台ガラス11を支持すると共に画像読取部41等を内部に収容している。
【0028】
画像読取部41では、LED43から原稿Dに向けて光を照射し、原稿Dからの反射光をラインセンサ42で受光することにより1ラインずつ画像信号を生成する。このとき、画像読取部41は、駆動モータ72により駆動ベルト71を駆動させ、キャリッジ40が図4に示す矢印方向(副走査方向)に移動させることで、原稿台ガラス11上に載置された原稿Dを光学的に走査できる。なお、副走査方向(y方向)の手前側から奥側へ向かう方向を第一方向、奥側から手前側へ向かう方向を第二方向とする。
【0029】
<画像読取装置のブロック図>
図6図1に示した画像読取装置の制御構成を示すブロック図である。
【0030】
この画像読取装置は、はCPU81、記憶部82、操作部83、通信部84及びインターフェース部86を備える。CPU81は記憶部82に記憶されたプログラムを実行することにより、フラットベッドスキャナ1全体の制御を行う。記憶部82は例えばRAM、ROM等から構成される。操作部83は、例えば、スイッチやタッチパネル等で構成され、操作者からの操作を受け付ける。図2に示した操作パネル50はこの操作部83の一例である。
【0031】
通信部84は、外部装置との情報通信を行うインターフェースである。外部装置としてPC(パソコン)を想定した場合、通信部84としては、例えば、USBインターフェースやSCSIインターフェースを挙げることができる。また、このような有線通信のインターフェースの他、通信部84は無線通信のインターフェースとしてもよく、有線通信、無線通信の双方のインターフェースを備えていてもよい。
【0032】
インターフェース部86はアクチュエータ85やセンサ87とのデータの入出力を行うI/Oインターフェースである。アクチュエータ85には、駆動部70等が含まれる。センサ87には、ポジションセンサ(不図示)、画像読取部41等が含まれる。
【0033】
次に、ブック原稿100を読み取る場合の動作について説明する。
【0034】
図7は原稿台ガラス11にブック原稿100を載置した様子を示す側面図である。図8はブック原稿100に対し一定の光量で画像読み取りを実行した場合の画像読み取り結果を示す図である。
【0035】
ブック原稿100は、図7に示すように、中央の綴じ部分の綴り方向が副走査方向と直角になるように原稿台ガラス11に載置された場合を考える。ブック端部から中央方向に向かってある程度の範囲については、ブック原稿100の読み取り面は原稿台ガラス11と平行に密着している。そのため、LED43からの照射光についてはその入射光に対して正反射する角度となるために、集光された反射光がセルフォックレンズ45に入り、十分な光量がラインセンサ42によって受光される。これに対し、図7に示すように、ブック原稿100の中央の綴じ部分では、ブック原稿100の綴じ方にもよるが、原稿台ガラス11上から離間する状態となる。
【0036】
この場合、ブック原稿100の読み取り面と原稿台ガラス11とは平行ではなくなる。そのため、LED43からの照射光は、セルフォックレンズ45から外れた方向に反射し、原稿面が原稿台ガラス11と平行に密着している場合と比べ、セルフォックレンズ45からラインセンサ42へ導かれる光量は減ってしまう。その結果、同じ光量ではラインセンサ42の受光光量は減少する。そのため、図8に示すように、ブック中央近傍が暗い画像(影)として現れる。
【0037】
図9(a)はブック原稿100を一定光量で読み取った際に、ラインセンサ42が受光した輝度値の副走査方向の変化を示す図、図9(b)はブック原稿ではない原稿を一定光量で読み取った際に、ラインセンサ42が受光した輝度値の副走査方向の変化を示す図である。
【0038】
図9(a)には、白色原稿をスキャンした場合の全ラインのうち中央近傍(図7での点線範囲)で得られた輝度値がプロットされている。原稿の読み取り面が原稿台ガラス11上に密着している場合は、輝度値は最大値(=255)を示す。これに対し、原稿の読み取り面が原稿台ガラス11上から離間するに従い、光はセルフォックレンズ45から外れた方向に反射してしまうため、中央より左側の領域においては、中央に向かうに従って徐々に輝度値が減少していく。中央より右側の領域においては、中央から離れるに従って離間する距離が小さくなるため、徐々に輝度値が上昇していくのが分かる。
【0039】
なお、ここでは原稿の中央に綴じ部がある場合を考えたが、綴じ部は厳密に原稿の中央になくてもよく、例えばパスポート等の左右のページの厚みに差がある冊子の場合、綴じ部は原稿の中央から左右のどちらかに若干ずれる。その場合は、上述した中央近傍の輝度値を綴じ部近傍の輝度値と置き換えて考えればよい。このように、ブック原稿100を一定光量で読み取った場合、副走査方向の輝度値は徐々に変化する(漸次的変化)。一方、載置された原稿がブック原稿でない場合、原稿の読み取り面は原稿台ガラス11と密着しているため、集光された反射光がセルフォックレンズ45に入り、十分な光量がラインセンサ42によって受光される。しかし、原稿に文字や図がある場合、原稿の色によって照射光は吸収される。そのため、例えば原稿の中央部付近に黒色の線がある原稿の場合、図9(b)に示すように輝度値は副走査方向に急激に変化する(即時的変化)。
【0040】
<画像読取装置の制御構成>
次に、本発明の画像読み取り時の光量制御についてフローチャートを参照しながら説明する。図10はCPU81、記憶部82に格納されているプログラムにより実行する光量制御量算出処理を示すフローチャートである。
【0041】
まず、ステップS100では読み取り前に初期光量値を代入する。初期光量値とは、原稿画像の第一方向の読み取り開始時点でのLED43が点灯する明るさのことであり、通常の読み取りに必要な予め定められた値を示す。画像読取部41においては、光源及びセルフォックレンズ45には光量むらがあり、ラインセンサ42には感度むらがあるため、そのままでは一様な画像読み取りを行うことができない。したがって、今回は、原稿台ガラス11に設けられた色基準部材(不図示)をラインセンサ42で読み取ったときの出力値(データ)を用いて、原稿読み取り時にラインセンサ42の出力値から得られる画像データを補正(以下、シェーディング補正という。)した値を初期光量値としている。
【0042】
シェーディング補正用のデータを取得するための色基準部材は、印刷、塗装又は、接着、テープによる貼付け等の方法で、原稿台ガラス11(原稿が載置される側の面)においてキャリッジ40の移動方向で原稿載置基準からずれた位置に設けられる。本実施形態においては、色基準部材は白色基準部材であり、色基準部材をラインセンサ42からの原稿までの距離と同じ距離となる原稿台ガラス11における載置側の面に設けているため、適切なシェーディング補正を行い、良好な画質を得ることが出来る。なお、本実施例では初期光量値をシェーディング補正によって決定したが、画像読取装置に予め記憶される任意の値としてもよい。
【0043】
次に、ステップS101ではCPU81は光源部に対し光量を初期光量値に設定するように光量調整を実行する。この光量調整により、LED43は初期光量値に対応した明るさの光の照射を開始する。
【0044】
ステップS102では、画像読取部41を駆動部70によって第一方向に移動させ、その照射により画像読み取りを行う。読み取った画像データは、記憶部82に格納される。
【0045】
画像読み取りの実行後、ステップS103では、記憶部82に格納されている画像データから副走査方向の輝度値の変化を算出する。なお、画像読み取りの実行後とは、キャリッジ40がその移動方向における端部まで到達するか、原稿台ガラス11上の原稿が載置された部分の読み取りが完了したと判断した時点で読み取りが完了したとしてよい。また、輝度値を算出するにあたっては、極力原稿の白色部分の輝度値であることが望ましい。原稿に文字や図がある場合、原稿の色によって照射光は吸収される。光の吸収率は色によって異なるため、輝度値を算出する際に、反射光がセルフォックレンズ45から外れた方向に進んだことによって減少したのか、吸収によって減少したのか区別がつきにくいためである。
【0046】
副走査方向の輝度値の変化の算出は、1ラインごとに主走査の特定エリア(例えば、原稿の端部)の中に含まれる複数の画素を使用する。原稿の端部であれば、文字や図などが印刷されている可能性が低く、反射光が吸収によって減少する影響を受けにくい。よって、より正確に反射光が拡散によって減少したことを輝度値の変化から算出することが可能となる。輝度値は1ラインごとに主走査の特定エリア中に含まれる複数の画素から最大輝度値を選択して、副走査ラインの変化を算出しても良いし、平均輝度値として複数の副走査ラインの変化を算出しても良い。或いは、主走査の特定エリアの中に含まれる複数画素の輝度値合計として副走査ラインの変化を算出しても良いし、閾値を設け、それ以上の値の輝度値を持つ画素を複数抽出し、これらの平均輝度値または合計輝度値を求める方法と組み合わせても良い。また、原稿の全ラインではなく、偶数ラインもしくは奇数ラインのみの結果を使用し、副走査ラインの変化を算出しても良い。
【0047】
副走査方向の輝度値の変化として、後述する光量値補正処理を実行するか否かの判定に関わる漸次的変化と即時的変化の違いについて説明する。
【0048】
副走査方向の輝度値の漸次的変化とは数十から数千のラインに亘って輝度値が増加もしくは減少し続けていることを示す。例えば、図9(a)に示すような変化である。前述したブック原稿100を読み取った場合、綴じ部近傍は原稿の読み取り面と原稿台ガラス11が離間し、原稿に照射した光の反射光はセルフォックレンズ45から外れた方向に進む。反射光の進む方向(反射角度)は原稿の読み取り面と原稿台ガラス11との距離によって決まり、綴じ部近傍ではその距離は一定ではない。よって、輝度値は副走査方向の広域に亘って徐々に変化する。1ラインあたりの幅は、仮に、読取解像度が600dpiであるとすると、1インチ=25.4mmなので、1ドット=0.0423mmとなる。そのため、ブック原稿100では、ブック原稿100の綴じ方にもよるが、綴じ部近傍の数十から数千のラインに亘って輝度値は徐々に増加もしくは減少し続ける。つまり、漸次的に変化する。一方、副走査方向の輝度値の即時的変化とは数ラインのうちに輝度値が急激に増加もしくは減少することを示す。例えば、図9(b)に示すような変化である。例えば、前述した原稿の中央部付近に黒色の線がある場合、照射光が黒色に吸収されることで輝度値は減少する。つまり、輝度値は黒色の線と原稿の地色との境界で変化する。1ラインあたりの幅は、前述したように読取解像度が600dpiの場合、1ドット=0.0423mmであるため、ブック原稿100でない場合は、数ラインのうちに輝度値は急に増加もしくは減少する。つまり、即時的に変化する。
【0049】
なお、上述した通り、この漸次的変化と即時的変化との違いは、主走査方向の全域に亘って生じている場合にそれらの変化があったと区別してもよいが、これに限られず、主走査方向における平均値を用いて区別してもよいし、主走査方向の特定の領域の輝度値のみを用いてもよい。たとえば、主走査方向における原稿部分の両端部のいずれかの部分、すなわち原稿の地色の部分のみを用いても区別してもよい。
【0050】
なお、本実施形態の説明においては、原稿に含まれるコンテンツの説明を省略しているが、実際には文字などが印字されているものであり、その場合には即時的変化が繰り返し生じている。従って、漸次的変化が生じていると判別した場合と、そうでない場合とで以後の処理を分けることが好ましい。
【0051】
ステップS104では、ステップS103で算出した副走査方向の輝度値の変化から光量値補正処理を実行するか否かを判定する。輝度値が徐々に変化している(漸次的変化)と算出された場合(例えば図9(a))、載置された原稿がブック原稿であると判断し、光量値補正処理を実施するため、ステップS105に移行する。
【0052】
ステップS105では、算出した副走査方向の輝度値を一定値にするために光量値を補正する補正パラメータを算出する。一定値とは、例えば、一般的にシェーディング補正した光量値で原稿台ガラス11に白色の原稿面が密着している状態で取得される輝度値と同一の値であるのが望ましいが、画像読取装置に予め記憶されている任意の値としてもよい。ステップS103で算出した輝度値と目標とする一定値との差分から副走査方向における原稿の全ライン分の補正パラメータを算出し、算出した補正パラメータを記憶部82に格納する。なお、原稿の全ライン分すなわち原稿部分の補正パラメータを算出するのは一例であり、原稿部分以外の領域を含んだ全領域に関する補正パラメータを算出してもよいし、原稿部分における補正が必要な領域の補正パラメータのみを算出するように構成してもよい。
【0053】
その後、ステップS106ではステップS105において算出した補正パラメータにより補正した光量値が、既定の最大光量値より大きいか否かを判定する。これは、補正した光量値をそのまま光源部に反映しようとすると、その値によってはLED43の制御回路に過大電流が流れ、最悪の場合、LED43に損傷を受ける可能性があるためである。それを防ぐため、もしステップS105において算出した補正パラメータにより補正する光量が規定光量以上であると判断した場合、処理はステップS207へ進む。
【0054】
ステップS207では最大光量値より小さい箇所に関してはステップS105において算出した補正パラメータにより補正した光量値を使用し、最大光量値より大きい箇所に関してはステップS105において算出した補正パラメータにより補正した光量値ではなく、上限値(規定最大光量)になるように調整する。この光量調整により、LED43は光の照射を開始する。
【0055】
その後、ステップS208で画像読取部41を駆動部70によって第一方向とは反対の第二方向に移動を開始し、ステップS209でLED43の光量をブック原稿の綴じ部が第一方向の画像読み取り時よりも明るくなるように変化させながら画像読み取りを行う。読み取った画像データは、記憶部82に格納され、読み取り動作は終了する。
【0056】
また、制御回路に過大電流が流れるのを防ぐため、補正した光量値が最大光量値より大きい箇所ではモータに流す電流値を制限する方法もある。しかし、この方法では画像読み取り中にモータの電流値を変更することになるため、モータの速度を読み取り途中に変動させる必要が発生し、色ずれや伸び等、読み取り画像に異常をきたす可能性がある。本実施例では、モータの速度は一定のまま画像読み取りを実施するため、モータの電流値の変更はせずに制御回路に過大電流が流れるのを防いでいる。
【0057】
これに対し、ステップS106でステップS105において算出した補正パラメータにより補正する光量が規定光量未満であると判断した場合(S106でNO)、処理はステップS107へ進む。LED43はステップS105において算出した補正パラメータにより補正した明るさの光の照射を開始する。画像読取部41を駆動部70によって第二方向に移動を開始し(ステップS108)、LED43の光量をブック原稿に対応して輝度値が一定になるように変化させながら画像読み取りを行う(ステップS109)。具体的な方法の一例としては、ステップS104で輝度値が徐々に変化している(漸次的変化)と判定された部分において、上述したように輝度値が一定となるように光量を変化させる。読み取った画像データは、記憶部82に格納され、読み取り動作は終了する。
【0058】
一方、ステップS104で輝度値が急に変化している(即時的変化)と算出された場合(例えば図9(b))、載置された原稿はブック原稿ではない(光量値補正処理は必要ない)と判断し、ステップS305に移行する。ステップS305では光量は第一方向の読み取りに使用した初期光量値のまま、画像読取部41を駆動部70によって第二方向に移動を開始し、画像読み取りを行う(ステップS306)。読み取った画像データは記憶部82に格納され、読み取り動作は終了する。
【0059】
なお、本実施形態ではステップS103で算出した輝度値の変化から、ステップS104で光量値補正処理は必要ないと判断した場合、光量は初期光量値のまま、第二方向で画像読み取りを実施したが、第一方向の画像読み取りのみで読み取り動作を終了してもよい。この場合、第二方向で画像読み取りを実施する必要がないため第二方向の移動速度を例えば移動可能な速度の上限まで上げることができ、読み取り動作に必要な時間を短縮することができる。また、第一方向の画像読み取りが終了した時点でユーザーに対して画像読み取りが終了したことを報知してもよい。
【0060】
また、本実施形態ではステップS104で光量補正処理が必要だと判断した場合に、光量補正処理を実施して、第二方向で原稿全域を読み取った画像データをフラットベッドスキャナ1に接続された情報処理装置のアプリケーションに出力する最終画像データであるとしたが、第二方向は原稿の綴じ部近傍のみを読み取り、それ以外の部分は第一方向で画像読み取りを実施して取得した画像データと合成したものを出力する最終画像データとしてもよい。光量補正処理が必要だと判断した場合でも、第二方向の移動速度を綴じ部近傍以外は上げることができるため、読み取り動作に必要な時間を短縮することができる。
【0061】
なお、本実施形態ではステップS103で算出した輝度値の変化から、ステップS104で光量値補正処理を実行するか否かを判定したが、輝度値の変化以外からブック原稿であるかを判断し、光量値補正処理を実行するかを判定するようにしてもよい。例えば、第一方向で読み取った画像データの四隅を確認し、四隅のいずれかに数字やマークがある場合に積載された原稿がブック原稿だと判断し、光量値補正処理を実施する。この場合、黒っぽい地色の原稿を読み取る場合に、輝度値の変化から判断するよりも正確に見分けることが可能となる。
【0062】
また、本実施形態では第一方向で読み取った画像データは輝度値の変化の算出のみに使用し、光量値補正処理の有無に関わらず、第二方向で読み取った画像データを最終画像データとしたが、読み取り動作終了後に第一方向で読み取った画像データと第二方向で読み取った画像データのどちらを最終画像データとして出力、保存するかを選択可能にしてもよい。漸次的変化と即時的変化の区別がつけにくい原稿を誤って光量調整してしまった場合に、第一方向、第二方向の両方の画像データを残すことでユーザーが所望する画像を提供することが可能となる。
【0063】
本実施形態では、一例としてブック原稿の綴じ部分が中央部にくるように載置された場合について説明したが、勿論これに限定されず、綴じ部分が中央部以外に載置された場合でもよく、また、ブック原稿は折れ原稿等の凹凸のある原稿でもよい。
【0064】
<他の実施形態>
以下、図1の画像読取装置と同様の構成については同じ符号を付して説明を割愛し、以下、異なる構成について説明する。
【0065】
<画像読取装置の制御構成>
本発明の画像読み取り時の光量制御についてフローチャートを参照しながら説明する。図11はCPU81、記憶部82に格納されているプログラムにより実行される光量制御量算出処理を示すフローチャートである。ステップS400からステップS405までの制御はステップS100からS105までの制御と同じ、ステップS605、S606の制御はステップS305、S306の制御と同じため説明は省略する。
【0066】
ステップS406ではステップS405において算出した補正パラメータにより補正した光量値が、既定の最大光量値より大きいか否かを判定する。もし規定最大光量値より大きいと判断した場合(S406でYES)、ステップS505で通信部84へ通知を出し、ユーザーに対してブック原稿100をもっと原稿台ガラス11に密着させるように促す。
【0067】
そして、ステップS506で光量調整をそのまま継続するかもしくは最初からやり直すかをユーザーに選択させる。ユーザーが光量調整を最初からやり直さない(例えばそのまま継続する)と選択した場合(S506でNO)、ステップS507に進み、光量が規定最大光量値を超える箇所については規定最大光量値もしくはあらかじめ決めておいた任意の値、それ以外の箇所についてはステップS405において算出した補正パラメータにより補正した光量値に調整する。この光量調整により、LED43は光の照射を開始する。画像読取部41を駆動部70によって第一方向とは反対の第二方向に移動を開始し(ステップS508)、LED43の光量をブック原稿の綴じ部が第一方向の画像読み取り時よりも明るくなるように変化させながら画像読み取りを行う(ステップS509)。読み取った画像データは、記憶部82に格納され、読み取り動作は終了する。
【0068】
一方、通知した後、ステップS507でユーザーが光量調整を最初からやり直すと選択した場合(S506でYES)はその後の動作を中断し、画像読み取りは実施せずに画像読取部41を駆動部70によって第二方向に移動させる。画像読取部41が第一方向の読み取り開始位置まで移動したら、ステップS400の初期光量値の設定(シェーディング補正)から光量制御を再度実施する。
【0069】
ステップS406でステップS405において算出した補正パラメータにより補正した光量値が、既定最大光量値未満であると判断した場合(S406でNO)、処理はステップS407へ進む。LED43はステップS405において算出した補正パラメータによって補正した明るさの光の照射を開始する。ステップS408に進み、画像読取部41を駆動部70によって第二方向に移動させ、LED43の光量をブック原稿に対応して輝度値が一定になるように変化させながら画像読み取りを行う(ステップS409)。読み取った画像データは、記憶部82に格納され、読み取り動作は終了する。
【0070】
以上、本実施形態では補正パラメータにより補正した光量値が、既定の最大光量値より大きい場合にユーザーに対してブック原稿100をもっと原稿台ガラス11に密着させるように通知し、ユーザーの選択によってその後の制御を分けている。通知せずにそのまま読み取り動作を継続した場合に比べて、光量が足りない部分の原稿台ガラス11への密着を促すことで、綴じ部を明るく読み取ることが可能となる。
【0071】
以上、説明した各実施形態に従えば、第一方向で読み取った画像データから輝度値の変化を算出し、LED43の光量を輝度値が一定になるように調整することで、モータの速度を読み取り途中で変動させることなく、且つ、適切な光量でブック原稿を読み取ることができるため、綴じ部分の影(暗さ)の発生を抑え、また、綴じ部分以外が明るくなりすぎるのを防ぐことが可能となる。
【0072】
また、載置されたブック原稿に対応した明るさにLED43の光量を変更させながら画像読み取りを行うため、ブック原稿の綴じ部分を原稿台ガラス11に密着させようと上から必要以上に圧をかけなくて良いため、ブック原稿が傷むのを防ぐことができる。
【0073】
また、各実施形態で説明した第一方向で読み取った画像データから輝度値の変化を算出し、その後の制御を切り替える制御については、特定の動作モードが選択された際にのみ実行されてもよい。すなわち、第1の動作モードとしては従来通り第一方向で読み取った画像データを最終画像データとし、冊子モードなど、第2の動作モードが選択された際に、第一方向で読み取った画像データから輝度値の変化を算出し、漸次的変化があるかどうかを判断するように構成してもよい。この構成によれば、ユーザーが必要に応じて綴じ部分の影の影響を抑えた画像データを得ることが可能となる。
【0074】
なお、上述した各実施形態では、画像読取装置の一例としてフラットベッドスキャナを例示して説明したが、本発明は勿論これに限定されず、画像読取装置(画像読取手段)を備えた装置、例えば、複写機や複合機等の各種処理装置に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 フラットベッドスキャナ
11 原稿台ガラス
40 キャリッジ
41 画像読取部
42 ラインセンサ
43 LED
44 ライトガイド
45 セルフォックレンズ
63 制御基板
70 駆動部
71 駆動ベルト
72 駆動モータ
82 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11