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特開2024-82687ノック式ボールペン、及びノック式ボールペン組立キット
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  • 特開-ノック式ボールペン、及びノック式ボールペン組立キット 図1
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  • 特開-ノック式ボールペン、及びノック式ボールペン組立キット 図4
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  • 特開-ノック式ボールペン、及びノック式ボールペン組立キット 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082687
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】ノック式ボールペン、及びノック式ボールペン組立キット
(51)【国際特許分類】
   B43K 24/08 20060101AFI20240613BHJP
   B43K 7/00 20060101ALI20240613BHJP
   B43K 3/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B43K24/08
B43K7/00 100
B43K3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196707
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】520147740
【氏名又は名称】株式会社アンテリック・ステーショナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100167818
【弁理士】
【氏名又は名称】蓑和田 登
(72)【発明者】
【氏名】井上 恭史
【テーマコード(参考)】
2C350
2C353
【Fターム(参考)】
2C350GA03
2C350KC05
2C350NA14
2C350NA21
2C353HA01
2C353HA09
2C353HC04
2C353HG03
(57)【要約】
【課題】分割式にするのみでなく、ユーザの嗜好に応じて、極めて簡単な工程で、通常全長及び短縮全長の2種類のサイズに組み立てることができるノック式ボールペンを提供する。
【解決手段】ノック式ボールペン1は、先軸2a、中軸2b、及び後軸2cに3分割可能な軸筒2と、軸筒2の内部空間に収容されるボールペンリフィール3と、軸筒2の先方の内部空間に収容されてボールペンリフィール3を後方に付勢するコイルバネ4と、軸筒2の後方の内部空間に収容されてボールペンリフィール3の後端に接続される延長アダプタ5と、を備える。この構成により、ノック式ボールペン1は、分割式にするのみでなく、ユーザの嗜好に応じて、極めて簡単な工程で、通常全長及び短縮全長の2種類のサイズに組み立てることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノック式ボールペンであって、
先軸、中軸、及び後軸に3分割可能な軸筒と、
前記軸筒の内部空間に収容されるボールペンリフィールと、
前記軸筒の先方の内部空間に収容されて前記ボールペンリフィールを後方に付勢するコイルバネと、
前記軸筒の後方の内部空間に収容されて前記ボールペンリフィールの後端に接続される延長アダプタと、を備え、
前記ノック式ボールペンを通常全長として使用する際には、前記先軸、中軸、及び後軸を連結した軸筒の内部空間に、先方から順番に前記コイルバネ、前記ボールペンリフィール、及び前記延長アダプタが収容され、
前記ノック式ボールペンを短縮全長として使用する際には、前記先軸及び後軸を連結した軸筒の内部空間に、先方から順番に前記コイルバネ及び前記ボールペンリフィールが収容される、ことを特徴とするノック式ボールペン。
【請求項2】
前記後軸は、その開口した前方の内周面に、前記先軸の後方の外周面に形成された螺旋溝又は前記中軸の後方の外周面に形成された螺旋溝の何れかが螺合する凹溝が周方向に沿って形成される、ことを特徴とする請求項1記載のノック式ボールペン。
【請求項3】
前記後軸はその後方にノックバーを設け、
前記先軸、前記中軸、及び前記ノックバーを除いた前記後軸の胴体部の長さは略同一となる、ことを特徴とする請求項1記載のノック式ボールペン。
【請求項4】
前記延長アダプタの長さは、前記中軸の胴体部の長さと略同一となる、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のノック式ボールペン。
【請求項5】
前記延長アダプタの先方には、前記ボールペンリフィールの後端が着脱可能に挿入される円筒ホルダ部が形成される、ことを特徴とする請求項4記載のノック式ボールペン。
【請求項6】
前記ボールペンリフィールの長さは、連結された前記先軸及び前記後軸の胴体部の長さより短くなる、ことを特徴とする請求項3記載のノック式ボールペン。
【請求項7】
ノック式ボールペンを組み立てるためのノック式ボールペン組立キットであって、
請求項1に記載の軸筒と、ボールペンリフィールと、コイルバネと、延長アダプタとを内包した袋部と、
前記袋部を収容したカプセルケースと、を備えることを特徴とするノック式ボールペン組立キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノック式ボールペン、及び当該ノック式ボールペンを組み立てるためのノック式ボールペン組立キットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、軸筒内の空間にボールペンリフィールを収容して、ボールペンリフィールの先端のボールペンチップをノック操作により繰り出し又は繰り戻し可能としたノック式ボールペンが広く使用されている。
【0003】
ノック式ボールペンの組立構造は様々であり、携帯性を向上させたノック式ボールペンの構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、軸体を3分割可能にしたノック式ボールペンも開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-11584号公報
【特許文献2】意匠登録第1296994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ノック式ボールペンに関するユーザの用途・嗜好は様々であり、ノック式ボールペンの分解・組立構造に関しては、未だ新規なアイデアや改良の余地があることは疑いの余地がない。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、分割式にするのみでなく、ユーザの嗜好に応じて、極めて簡単な工程で、通常全長及び短縮全長の2種類のサイズに組み立てることができるノック式ボールペンを提供することを目的する。また、このノック式ボールペンを組み立てるためのノック式ボールペン組立キットを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、ノック式ボールペンであって、先軸、中軸、及び後軸に3分割可能な軸筒と、前記軸筒の内部空間に収容されるボールペンリフィールと、前記軸筒の先方の内部空間に収容されて前記ボールペンリフィールを後方に付勢するコイルバネと、前記軸筒の後方の内部空間に収容されて前記ボールペンリフィールの後端に接続される延長アダプタと、を備え、前記ノック式ボールペンを通常全長として使用する際には、前記先軸、中軸、及び後軸を連結した軸筒の内部空間に、先方から順番に前記コイルバネ、前記ボールペンリフィール、及び前記延長アダプタが収容され、前記ノック式ボールペンを短縮全長として使用する際には、前記先軸及び後軸を連結した軸筒の内部空間に、先方から順番に前記コイルバネ及び前記ボールペンリフィールが収容されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るノック式ボールペンにおいて前記後軸は、その開口した前方の内周面に、前記先軸の後方の外周面に形成された螺旋溝又は前記中軸の後方の外周面に形成された螺旋溝の何れかが螺合する凹溝が周方向に沿って形成されることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係るノック式ボールペンにおいて前記後軸はその後方にノックバーを設け、前記先軸、前記中軸、及び前記ノックバーを除いた前記後軸の胴体部の長さは略同一となることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係るノック式ボールペンにおいて前記延長アダプタの長さは、前記中軸の胴体部の長さと略同一となることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係るノック式ボールペンにおいて前記延長アダプタの先方には、前記ボールペンリフィールの後端が着脱可能に挿入される円筒ホルダ部が形成されることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係るノック式ボールペンにおいて前記ボールペンリフィールの長さは、連結された前記先軸及び前記後軸の胴体部の長さより短くなることが好ましい。
【0013】
上記目的を達成するために本発明は、ノック式ボールペンを組み立てるためのノック式ボールペン組立キットであって、上記記載の軸筒と、ボールペンリフィールと、コイルバネと、延長アダプタとを内包した袋部と、前記袋部を収容したカプセルケースと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るノック式ボールペンは、先軸、中軸、及び後軸に3分割可能な軸筒と、軸筒の内部空間に収容されるボールペンリフィールと、軸筒の先方の内部空間に収容されてボールペンリフィールを後方に付勢するコイルバネと、軸筒の後方の内部空間に収容されてボールペンリフィールの後端に接続される延長アダプタと、を備える。この構成により、ノック式ボールペンを分割式にするのみでなく、ユーザの嗜好に応じて、極めて簡単な工程で、通常全長及び短縮全長の2種類のサイズに組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)本発明の実施の形態に係るノック式ボールペンの通常全長における正面図、(b)同上通常全長時のノック式ボールペンを分解した状態の正面図である。
図2】(a)同上ノック式ボールペンの短縮全長における正面図、(b)同上短縮全長時のノック式ボールペンを分解した状態の正面図である。
図3】同上ノック式ボールペンを構成する軸筒の長さの一例を示す図である。
図4】同上ノック式ボールペンを構成するボールペンリフィール及び延長アダプタの長さの一例を示す図である。
図5】同上軸筒の色を変えた場合の同上ノック式ボールペンの一例を示す図である。
図6】本発明の実施の形態の変形例に係るノック式ボールペン組立キットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態)
本発明の実施の形態に係るノック式ボールペンは、単にノック機能を備えているのみでなく、ユーザの嗜好に応じて、極めて簡単な組み立て工程で、通常全長及び短縮全長の長短2種類のサイズを兼用できる。
【0017】
最初に、本実施の形態に係るノック式ボールペンの全体構造に関して図1を参照して説明する。ノック式ボールペン1は、図1(a)に示すように、円筒状の軸筒2と、軸筒2の内部空間に収容されるボールペンリフィール3と、軸筒2の先方の内部空間に収容されてボールペンリフィール3を後方に付勢するコイルバネ4と、軸筒2の後方の内部空間に収容されてボールペンリフィール3の後端に接続される延長アダプタ5と、を備える。
【0018】
軸筒2は、円筒状であって先端側が先細った先軸2aと、円筒形状の中軸2bと、後端にノックバー2dが設けられた後軸2cとに3分割可能である。より具体的には、図1(b)に示すように、先軸2aは、その開口した前方が先細りする円筒状に形成されており、開口する後方の外周面には螺旋溝21が周方向に沿って形成される。中軸2bは、その開口した前方の内周面に螺旋溝21に螺合する凹溝(図示せず)が周方向に沿って形成されると共に、開口した後方の外周面には螺旋溝22が周方向に沿って形成される。後軸2cは、その開口した前方の内周面に螺旋溝21又は螺旋溝22の何れかが螺合する凹溝(図示せず)が周方向に沿って形成されると共に、その後方内部にはノック機構を備え、このノック機構は、一般的にはカム本体、ノック棒、回転子を有するノックカムと言われる部品によって実現されている。後軸2cの後端にはノックバー2dが設けられ、このノックバー2dを前方へノック操作することによりボールペンリフィール3を先軸2aの先端の開口から繰り出し又は繰り戻しさせる。なお、ノック式ボールペン1に備わるノック機構は上記に限定するものではなく、本願発明の出願時の周知技術に基づく任意のノック機構を採用可能である。
【0019】
本実施の形態に係るノック式ボールペン1において、これら先軸2a、中軸2b、及びノックバー2dを除いた後軸2cの胴体部の長さは、略同一となる。例えば、図3に示すように、先軸2aの胴体部の長さは41mm、中軸2bの胴体部の長さは39mm、後軸2cの胴体部の長さは48mmである。また、図4に示すように、ボールペンリフィール3の全長は67mm、延長アダプタ5の全長は40mmである。なお、本実施の形態の説明において長さとは軸筒2の軸方向に沿った長さであり、略同一とは例えば長さ1~15mmの誤差内を意味し、胴体部とは先軸2a、中軸2b、及び後軸2cが連結された際の外周面を示す。
【0020】
軸筒2の前方の内部空間には、特定色の油性、水性や中性インクが充填されたボールペンリフィール3が交換可能に収容される。このボールペンリフィール3の先端にはボールチップ3a、内部にはインク3bが充填される。ボールペンリフィール3の長さは、図2に示すように、連結された先軸2a及び後軸2cの胴体部の長さより短くなる。この構成により、通常全長又は短縮全長でノック式ボールペン1を組み立てた際に、ノック操作によってボールペンリフィール3の先端が先軸2aの先端の開口から繰り出し又は繰り戻しされる。
【0021】
コイルバネ4がボールペンリフィール3の胴体部の外周面に形成された凸部3cまで貫通し、ボールペンリフィール3を後方へ付勢し、ボールペンリフィール3が繰り出されたときにコイルバネ4は圧縮する。例えば、ノック式ボールペン1を使用する際には、ノックバー2dを押圧操作して回転カムをカム溝に沿って前進させ、カム部の作用により回転カムを回転させて、ボールチップ3aを前軸2aの先端の開口より突出させて使用する。さらにノックバー2dを押圧操作すると、カム部の作用により回転カムを回転させ、コイルバネ4の付勢力によって回転カムをカム溝に沿って後退させ、ボールチップ3aを繰り戻す。
【0022】
延長アダプタ5は、円筒形状(棒形状)を有し、ボールペンリフィール3の後端に接続される。この延長アダプタ5の先方には、ボールペンリフィール3の後端が着脱可能に挿入される円筒ホルダ部5aが形成される。延長アダプタ5の後端にはノック機構が接続され、ノックバー2dを前方(図面上では左方)へノックして延長アダプタ5及びボールペンリフィール3を前進させることにより、そのボールペンリフィール3のボールチップ3aを先軸2aの先端に形成された開口から突出させる。
【0023】
次に、ノック式ボールペン1の組み立て方法に関して図1及び図2を参照して説明する。図1に示すように、ノック式ボールペン1を通常全長(例えば150-180mm)で使用する際には、先軸2a、中軸2b、及び後軸2cを連結(螺合)した軸筒2の内部空間に、先方から順番にコイルバネ4、コイルバネ4に貫通されるボールペンリフィール3、及びボールペンリフィール3に接続される延長アダプタ5を収容する。
【0024】
一方、図2に示すように、ノック式ボールペン1を短縮全長(例えば100-120mm)で使用する際には、先軸2a及び後軸2cを連結(螺合)した軸筒2の内部空間に、先方から順番にコイルバネ4及びボールペンリフィール3を収容する。すなわち、短縮全長時には先軸2a、後軸2c、コイルバネ4及びボールペンリフィール3の組み合わせのみで、使用感が良いと言われる全長100mm以上のミニボールペンを組み立てることができる。
【0025】
以上のように、本実施の形態に係るノック式ボールペン1では、限られた長さに収めるため軸筒2を分割式にするのみでなく、ユーザの嗜好に応じて、極めて簡単な工程で、通常全長及び短縮全長の2種類のサイズに組み立てることができる。すなわち、中軸2bと延長アダプタ5を使用しなかった場合、通常よりも短いミニボールペンを組み立てることができ、2種類の異なる長さのボールペンを兼用できる。また、通常全長時及び短縮全長時も共に後端のノックバー2dをノックすることでボールペンリフィール3を出し入れできる。なお、図5に示すように、3分割された先軸2a、中軸2b、及び後軸2cの色を変えることで、国旗のトリコロールカラーに似せるなどノック式ボールペン1の意匠性を向上できる。
【0026】
(変形例)
本発明の実施の形態に係るノック式ボールペンの変形例に関して図6を参照しながら説明する。図6はノック式ボールペン1を組み立てるためのノック式ボールペン組立キットKを示し、3分割された先軸2a、中軸2b、及び後軸2c、ボールペンリフィール3、延長アダプタ5、コイルバネ4が一体化されて、OPP袋などのフィルム状の透明の袋部6に内包される。また、この袋部6を収容したカプセルトレイなどのカプセルケースCを備える。この構成により、上記実施の形態1の作用効果に加えて、カプセルトレイ用のノック式ボールペン組立キットKとして販売が可能となる。すなわち、使い易いとされる長さ120~180mmのノック式ボールペン1を限られた長さのケースC(例えばカプセルトイのカプセルなど)に収納して販売でき、且つユーザが容易に組み立てることができる。
【0027】
なお、本発明は、上記実施の形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、軸筒2は3分割に限定されるのもではない。また、ボールペンリフィール3と延長アダプタ5の連結は円筒ホルダ部5aに限定されるものではなく、通気溝を延長アダプタ5の先方に形成して、この通気溝をボールペンリフィール3の後方の穴部に挿入しても良い。
【符号の説明】
【0028】
1 ノック式ボールペン
2 軸筒
2a 先軸
2b 中軸
2c 後軸
2d ノックバー
3 ボールペンリフィール
4 コイルバネ
5 延長アダプタ
5a 円筒ホルダ部
6 袋部
21,22 螺旋溝
C カプセルケース
K ノック式ボールペン組立キット
図1
図2
図3
図4
図5
図6