(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008269
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】投光制御装置、投光システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20240112BHJP
E21F 17/00 20060101ALI20240112BHJP
E01F 9/00 20160101ALI20240112BHJP
G08B 23/00 20060101ALI20240112BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20240112BHJP
A62B 3/00 20060101ALI20240112BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
G08B25/04 C
E21F17/00
E01F9/00
G08B23/00 510B
G08B21/02
A62B3/00 B
G08G1/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109995
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】脇野 陽介
(72)【発明者】
【氏名】池田 尚人
【テーマコード(参考)】
2D064
2E184
5C086
5C087
5H181
【Fターム(参考)】
2D064AA11
2D064BA14
2D064EA01
2D064EB01
2D064FA01
2D064FA05
2E184GG07
2E184GG14
2E184HH11
5C086AA34
5C086BA22
5C086CA01
5C086CA09
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5C086CB01
5C086CB11
5C086CB36
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5C086EA45
5C086FA12
5C086FA15
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5C087AA11
5C087AA12
5C087AA16
5C087DD03
5C087DD13
5C087DD28
5C087EE05
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5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG66
5C087GG84
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC02
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF10
5H181MC04
5H181MC17
5H181MC19
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】発生した異常そのものを明確に見えるようにする。
【解決手段】センサ2は、通路を監視するカメラ、煙センサ、炎センサ等であり、感知した結果を示す情報を投光制御装置1に送る。検知部111は、センサ2から情報を取得し、その情報に基づいて、通路で発生した異常を検知する。特定部112は、検知部111が異常の発生を検知した場合に、その異常が発生している位置を特定する。投光制御部113は、検知部111が検知した異常の種類、及びその異常の程度を推定する。そして、投光制御部113は、態様表122を参照し、推定した異常の種類及び程度に対応する態様IDを決定する。そして、投光制御部113は、決定した態様IDにより識別される態様で異常が発生した位置に向けた投光をするように、通知された投光器IDで識別される投光器3に指示を出す。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路で発生した異常を検知する検知部と、
検知された前記異常の位置を特定する特定部と、
特定された前記位置に向けて平常時と異なる態様で投光器に投光させる投光制御部と、
を有する投光制御装置。
【請求項2】
前記投光制御部は、前記検知部が前記異常を検知したときに、平常時よりも強く、又は平常時よりも多方向から投光させる
請求項1に記載の投光制御装置。
【請求項3】
前記検知部は、前記通路を走行する車両に搭載された撮像装置により撮像された画像を用いて前記異常を検知する
請求項1に記載の投光制御装置。
【請求項4】
前記検知部は、前記通路を移動する人が所持する携帯端末に搭載された撮像装置により撮像された画像を用いて前記異常を検知する
請求項1に記載の投光制御装置。
【請求項5】
前記特定部は、前記異常の発生している位置を測定した測位結果に基づいて前記位置を特定する
請求項1から4のいずれか一項に記載の投光制御装置。
【請求項6】
前記特定部は、前記異常を感知したセンサの設置位置に対応付けられた識別情報に基づいて前記位置を特定する
請求項1から4のいずれか一項に記載の投光制御装置。
【請求項7】
複数のセンサと、
複数の投光器と、
1以上の投光制御装置と、を有し、
前記投光制御装置は、
前記複数のセンサのいずれかから情報を取得して、通路で発生した異常を検知する検知部と、
検知された前記異常の位置を特定する特定部と、
特定された前記位置に向けて平常時と異なる態様で前記複数の投光器のいずれかに投光させる投光制御部と、
を有することを特徴とする投光システム。
【請求項8】
コンピュータを、
通路で発生した異常を検知する検知部と、
検知された前記異常の位置を特定する特定部と、
特定された前記位置に向けて平常時と異なる態様で投光器に投光させる投光制御部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内等の光量が少ない場所において異常発生を光によって知らせる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル内等における異常発生を、光によって知らせる技術を開示する特許文献として、例えば特許文献1、又は特許文献2等がある。特許文献1は、トンネル内の警報、避難誘導の表示などを視認できるようにしたトンネル内投影装置を開示する。特許文献2は、異常発生時にトンネル内への車両の進入を抑制する照明システムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-41862号公報
【特許文献2】特開2022-49478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、これらの特許文献1、2に記載の技術は、異常が発生したときに光を用いて他の車両に警告し、又は消火活動等の異常対応を促すための情報を与える。しかし、これらの技術は、発生した異常そのものを明確に見えるようにはしない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明は、一の態様において、通路で発生した異常を検知する検知部と、検知された前記異常の位置を特定する特定部と、特定された前記位置に向けて平常時と異なる態様で投光器に投光させる投光制御部と、を有する投光制御装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、発生した異常そのものが明確に見えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】投光システム9が利用される状況の例を示す概略図。
【
図7】投光制御装置1の動作の流れの例を示すフロー図。
【
図8】変形例における投光システム9aの全体構成の例を示す図。
【0008】
[実施形態]
[投光システムの全体構成]
図1は、投光システム9が利用される状況の例を示す概略図である。
図1に示す通り、投光システム9は、自動車等の車両Vが行き来する道路上に形成されたトンネルTにおいて用いられる。
【0009】
一般のトンネルは、必ずしも
図1に示すように直線方向に伸びているとは限らず、蛇行・湾曲していることが多い。そのため、
図1に示すようにトンネルTの内部で車両V同士が接触する事故等の異常が発生していても、他の車両Vはその異常が気づけないことが多い。ここで異常とは、例えば、トンネルTの天井等の構造物であって通路上に落下した落下物、舗装にできた穴、凹み、通路を走行する車両等から発生した火災等が挙げられる。また、他の車両Vが異常の現場に近づいたとしても、その現場を照らす光が通常の照明のみである場合には、他の車両Vに乗車している人等は、その異常の現状を明確に見ることができない。
【0010】
図2は、投光システム9の全体構成の例を示す図である。投光システム9は、1以上の投光制御装置1、1以上のセンサ2、及び1以上の投光器3を有する。
図2に示す投光制御装置1は、例えば、閉回路テレビ等を構成する専用の通信線等により複数のセンサ2と接続している。また、
図2に示す投光制御装置1は、専用の通信線等により複数の投光器3と接続している。
【0011】
複数のセンサ2は、トンネルTに沿って配置され、トンネルT内で発生した異常を感知する。これらのセンサ2は、例えば、カメラ、煙センサ、赤外線センサ、距離画像センサ、音センサ、温度計等の各種のセンサである。これらのセンサ2は、検知する異常の種類に応じて様々に異なってよい。また、センサ2は、2種類以上のセンサが組合されてもよい。これらのセンサ2は、異常を感知すると、その感知結果を投光制御装置1に通知する。
【0012】
複数の投光器3は、車両Vの走行方向に沿って、例えば所定間隔をあけて配置された照明装置である。これら複数の投光器3は、投光制御装置1の制御の下で指定された位置に向けて投光する。投光器3が投光する方向は固定されていてもよいが、投光制御装置1の制御下で変更することが可能であってもよい。
【0013】
投光制御装置1は、複数のセンサ2から感知結果を取得し、その感知結果に基づいて、投光器3を制御して、異常が発生した位置に向けた投光をさせる情報処理装置である。投光制御装置1は、例えば、コンピュータである。
【0014】
なお、投光システム9が2以上の投光制御装置1を有する場合、これら2以上の投光制御装置1は、図示しない通信回線等により互いに通信可能に接続され、協働して機能すればよい。
【0015】
[投光制御装置の構成]
図3は、投光制御装置1の構成の例を示す図である。
図3に示す投光制御装置1は、プロセッサ11、メモリ12、通信部13、操作部14、及び表示部15を有する。なお、投光制御装置1は、画像を処理する画像処理部16を有してもよい。これらの構成は、例えばバスで、互いに通信可能に接続されている。
【0016】
プロセッサ11は、メモリ12に記憶されているコンピュータプログラム(以下、単にプログラムという)を読出して実行することにより投光制御装置1の各部を制御する。プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0017】
通信部13は、有線又は無線により投光制御装置1を、他の装置に通信可能に接続する通信回路である。
図3に示す通信部13は、
図2に示した通り、有線で投光制御装置1とセンサ2とを直接、接続する。また、通信部13は、有線で投光制御装置1と投光器3とを直接、接続する。
【0018】
操作部14は、各種の指示をするための操作ボタン、キーボード、タッチパネル、マウス等の操作子を備えており、操作を受付けてその操作内容に応じた信号をプロセッサ11に送る。この操作は、例えば、キーボードに対する押下、タッチパネルに対するジェスチャー等である。
【0019】
表示部15は、液晶ディスプレイ等の表示画面を有しており、プロセッサ11の制御の下、画像を表示する。表示画面の上には、操作部14の透明のタッチパネルが重ねて配置されてもよい。なお、投光制御装置1は、操作部14及び表示部15を有しなくてもよい。投光制御装置1は、通信部13を介して外部の装置から操作され、又は外部の装置に情報を提示してもよい。
【0020】
画像処理部16は、センサ2から送信される画像を解析して、その画像に写っている物体の形状、状態等を推定する情報を生成する。
【0021】
メモリ12は、プロセッサ11に読み込まれるオペレーティングシステム、各種のプログラム、データ等を記憶する記憶手段である。メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、又はROM(Read Only Memory)を有する。なお、メモリ12は、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等を有してもよい。また、このメモリ12は、位置表121、及び態様表122を記憶する。
【0022】
[位置表の構成]
図4は、位置表121の構成の例を示す図である。
図4に示す位置表121は、センサID、位置情報、及び、投光器IDの項目をそれぞれ対応付けて記憶する表である。
【0023】
センサIDは、複数のセンサ2を識別する識別情報であるセンサIDを列挙する項目である。位置情報は、対応するセンサIDで識別されるセンサ2によって感知されるトンネルT内の位置の情報を記憶する項目である。投光器IDは、位置情報が示す位置を投光して照らすことが可能な投光器の識別情報である投光器IDを記憶する項目である。
【0024】
なお、センサIDと位置情報とは一対一対応でなくてもよい。例えば、1つのセンサIDに複数の位置情報が対応付けられていてもよい。要するに、センサIDで一意に特定されるセンサ2が感知することができる位置が複数ある場合に、位置表121において、それらの位置を示す位置情報がセンサIDに対応付けられていればよい。
【0025】
また、投光器IDと位置情報とは一対一対応でなくてもよい。例えば、1つの投光器IDに複数の位置情報が対応付けられていてもよい。要するに、投光器IDで一意に特定される投光器3が投光することができる位置が複数ある場合に、位置表121において、それらの位置を示す位置情報が投光器IDに対応付けられていればよい。
【0026】
[態様表の構成]
図5は、態様表122の構成の例を示す図である。
図5に示す態様表122は、種類ID、程度情報、及び、態様IDの項目をそれぞれ対応付けて記憶する表である。
【0027】
種類IDは、発生し得る異常の種類を識別する識別情報である種類IDを列挙する項目である。程度情報は、発生する異常の程度を示す情報を記憶する項目である。態様IDは、種類IDで識別される異常の種類と、程度情報で示される異常の程度との組合せごとに、対応付けられた投光の態様を識別する態様IDを記憶する項目である。態様IDは、態様表122において対応する種類の異常が、対応する程度で発生したときにプロセッサ11に読み出される。プロセッサ11は、態様IDを読み出すと、その態様IDで識別される態様の投光を特定の投光器3に指示する。
【0028】
なお、態様IDは、異常の種類と程度との組合せごとに対応付けられるのではなく、種類のみ、又は程度のみに対応付けられてもよい。
【0029】
[投光制御装置の機能的構成]
図6は、投光制御装置1の機能的構成の例を示す図である。投光制御装置1のプロセッサ11は、メモリ12に記憶されたプログラムを実行することにより、検知部111、特定部112、及び、投光制御部113として機能する。
【0030】
センサ2は、トンネルT内の道路に沿って配置されている。センサ2は、通路を監視するカメラ、煙センサ、赤外線センサ等であり、感知した結果を示す情報を投光制御装置1に送る。
【0031】
検知部111は、センサ2から情報を取得し、その情報に基づいて、通路で発生した異常を検知する。すなわち、この検知部111は、通路で発生した異常を検知する検知部の例である。
【0032】
なお、センサ2が通路を撮像した画像を送る場合、検知部111は、この画像を用いて、通路に発生している異常を検知する。例えば、センサ2は、トンネルT内の道路(通路)に沿って設置された複数台のビデオカメラ(撮像装置)であってもよい。
【0033】
この場合、これら複数台のビデオカメラは専用線により中央制御室の投光制御装置1に接続されていてもよい。すなわち、センサ2を構成する複数台のビデオカメラは、それぞれ撮像した映像を示す映像データをリアルタイムに投光制御装置1に送信する。そして、投光制御装置1の表示部15は、送信されたこれらの映像データが示す映像を表示すればよい。このセンサ2である複数台のビデオカメラと投光制御装置1とは、閉回路テレビを構成する。
【0034】
この場合において、センサ2が投光制御装置1に送る映像(画像)は、通路に沿って設置された閉回路テレビ用の撮像装置により撮像された画像の例である。
【0035】
この場合、検知部111は、例えば、上述した画像処理部16を用いて解析された結果を利用してもよい。この検知部111は、通路を撮像した画像を用いて異常を検知する検知部の例である。
【0036】
特定部112は、検知部111が異常の発生を検知した場合に、その異常が発生している位置を特定する。例えば、
図6に示す特定部112は、位置表121を参照して、異常が検知された情報を送ってきたセンサ2を識別するセンサIDに対応する位置情報を読み出し、その位置情報が示す位置を特定する。つまり、この特定部112は、検知された異常の位置を特定する特定部の例である。
【0037】
なお、位置表121において、センサIDに対応付けられている位置情報が、そのセンサIDで識別されるセンサ2の設置位置を示している場合、特定部112は、異常が発生したことを感知したセンサ2の設置位置を特定する。この場合、特定部112は、異常を感知したセンサの設置位置に対応付けられた識別情報に基づいて検知された異常の位置を特定する特定部の例である。特定部112は、特定した位置に対応する投光器IDを投光制御部113に通知する。
【0038】
投光制御部113は、検知部111が検知した異常の種類、及びその異常の程度を推定する。そして、投光制御部113は、態様表122を参照し、推定した異常の種類及び程度に対応する態様IDを決定する。そして、投光制御部113は、決定した態様IDにより識別される態様で異常が発生した位置に向けた投光をするように、通知された投光器IDで識別される投光器3に指示を出す。
【0039】
ここで、態様表122に記述されている態様IDが示す投光の態様は、平常時にトンネルT内を照らす態様とは異なったものである。例えば、この態様IDが示す投光の態様は、平常時よりも強い光で照射する態様である。
【0040】
つまり、この投光制御部113は、特定された位置に向けて平常時と異なる態様で投光器に投光させる投光制御部の例である。また、この投光制御部113は、検知部が異常を検知したときに、平常時よりも強く投光させる投光制御部の例である。
【0041】
[投光制御装置の動作]
図7は、投光制御装置1の動作の流れの例を示すフロー図である。投光制御装置1のプロセッサ11は、通路で発生した異常を検知したか否かを判断する(ステップS101)。異常を検知していない、と判断する間(ステップS101;NO)、プロセッサ11は、このステップS101の処理を続ける。
【0042】
一方、異常を検知した、と判断すると(ステップS101;YES)、プロセッサ11は、検知したその異常が発生している位置を特定し(ステップS102)、その位置に対応する投光器3を特定する(ステップS103)。
【0043】
また、プロセッサ11は、発生した異常の種類、及びその異常の程度を特定し(ステップS104)、特定した異常の種類及び程度の組合せに応じた投光の態様を決定する(ステップS105)。
【0044】
そして、プロセッサ11は、決定した態様での投光をするように、特定した投光器3に指示する(ステップS106)。
【0045】
以上、説明した通り、本発明における投光制御装置1は、異常が発生したことを検知すると、その異常が発生した位置に向けて投光器3に投光させる。この構成により、通路において発生した異常は、例えば、その近傍に所在する人、カメラ等により明確に見えるようになる。また、この構成により、投光器3による投光を直接的、又は間接的に知覚する者は、発生した異常の種類、及びその異常の程度も把握することができる。
【0046】
[変形例]
上述の実施形態は本発明の一具体例であって、本発明の技術的思想の範囲内において様々に変形可能である。それらの変形の例は、以下の通りである。なお、以下に示す2以上の変形例が適宜組み合わされてもよい。
【0047】
(1)上述した実施形態において、態様表122は、平常時よりも強い光で照射する態様を示す態様IDが記述されていたが、この態様は一台の投光器3による投光の態様に限らない。例えば、態様表122は、複数の投光器3が異なる方向からそれぞれ異常の発生した位置に向けて投光する態様を示す態様IDを記述してもよい。
【0048】
この場合、プロセッサ11により実現する投光制御部113は、検知された異常の発生している位置に向けて、例えば、複数の投光器3を用いて平常時よりも多くの方向から投光させる。これにより、異常が発生している位置は、平常時よりも多くの方向から光が当てられるため、影が生じ難く、観察者にとって見やすくなる。すなわち、この投光制御部113は、検知部が異常を検知したときに、平常時よりも多方向から投光させる投光制御部の例である。
【0049】
なお、異常が検知されたときに投光器3に指示する投光の態様は、要するに、平常時に比べて異常が発生した位置の状況等が明確になるような態様であればよい。これに加えて、投光の態様は、光の点滅、色の変更、照射範囲の移動等を含んでいてもよい。この場合、この態様の投光を見た人は、平常時と異なる態様の投光がされているため、異常が発生していることに気づきやすくなる。
【0050】
(2)上述した実施形態において、センサ2は、閉回路テレビ用のビデオカメラによって撮像された画像を、感知結果として投光制御装置1に送っていたが、通路において発生した異常を感知するための画像を撮像する撮像装置は、これに限らない。投光制御装置1は、例えば、車両Vに搭載されたドライブレコーダ等の撮像装置から画像を取得してもよい。
【0051】
図8は、変形例における投光システム9aの全体構成の例を示す図である。投光システム9aは、センサ2に加えて、又は代えて、車両に搭載された撮像装置で構成されるセンサ2aを有する。
【0052】
図9は、センサ2aの構成の例を示す図である。センサ2aは、例えば、車両Vに搭載されたドライブレコーダ等の撮像装置である。このセンサ2aは、プロセッサ21、メモリ22、通信部23、操作部24、表示部25、撮像部26、及び測位部27を有する。
【0053】
プロセッサ21は、メモリ22に記憶されているプログラムを読出して実行することによりセンサ2aの各部を制御する。プロセッサ21は、例えばCPUである。
【0054】
通信部23は、有線又は無線によりセンサ2aを、他の装置に通信可能に接続する通信回路である。
図9に示す通信部23は、無線でセンサ2aと投光制御装置1とを、接続する。
【0055】
操作部24は、各種の指示をするための操作ボタン、キーボード、タッチパネル、マウス等の操作子を備えており、操作を受付けてその操作内容に応じた信号をプロセッサ21に送る。
【0056】
表示部25は、液晶ディスプレイ等の表示画面を有しており、プロセッサ21の制御の下、画像を表示する。表示画面の上には、操作部24の透明のタッチパネルが重ねて配置されてもよい。なお、センサ2aは、操作部24及び表示部25を有しなくてもよい。
【0057】
メモリ22は、プロセッサ21に読み込まれるオペレーティングシステム、各種のプログラム、データ等を記憶する記憶手段である。メモリ22は、RAM、又はROMを有する。なお、メモリ22は、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等を有してもよい。
【0058】
撮像部26は、車両VがトンネルT内の通路を走行しているときに周囲を撮像するビデオカメラ等の撮像装置である。撮像部26は、レンズ等、光を集光する光学系、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等の撮像素子等を備える。
【0059】
測位部27は、自装置の位置を測定する機器である。この測位部27は、例えば、全地球航法衛星システム、地域航法衛星システム等の衛星測位システムの受信機である。測位部27が衛星測位システムの受信機である場合、センサ2aは、自身の位置を緯度と経度との組によって特定する。
【0060】
また、この測位部27は、トンネルT内に予め設置された発信機から発信されるビーコン等の無線標識信号を受信して、この無線標識信号に対応付けられた位置を特定してもよい。
【0061】
また、この測位部27は、各種の屋内測位技術を用いて自装置の位置を測定してもよい。測位部27は、例えば、3軸方向の加速度を検知する加速度センサ等を用いて、自装置が移動した距離を算出し、この距離に基づいて自装置の位置を推定してもよい。
【0062】
このセンサ2aは、車両Vに搭載されて車両Vが通路を走行する際に周囲を撮像し、撮像した映像を示す映像データをメモリ22に記憶する。また、センサ2aは、例えば通信部23を用いた無線通信により映像データの一部を、その映像データが示す映像が撮像されたときに測位部27が測定した車両Vの位置を示す位置情報と対応付けて投光制御装置1に送る。
【0063】
投光制御装置1のプロセッサ11は、上述した通り、検知部111として機能する。この検知部111は、センサ2aから送られた映像データの一部を解析して、その映像データが示す映像に異常が含まれているか否か判断する。検知部111が、この映像に異常が含まれていると判断することは、通路で発生した異常を検知することである。
【0064】
また、プロセッサ11は、上述した通り、特定部112として機能する。この特定部112は、検知部111が異常を検知した場合、上述した映像データと対応付けて送られた位置情報に基づいて、その異常が発生した位置を特定し、その位置に向かって投光が可能な投光器3を特定する。プロセッサ11が実現する投光制御部113は、特定された投光器3に指示をすればよい。
【0065】
この場合、異常を検知するために用いるセンサ2aが送信する画像は、通路を走行する車両に搭載された撮像装置により撮像された画像の例である。
【0066】
また、この場合、プロセッサ11により実現する特定部112は、異常の発生している位置を測定した測位結果に基づいて検知された異常の位置を特定する特定部の例である。
【0067】
(3)上述した変形例において、センサ2aは、車両Vに搭載されたドライブレコーダ等の撮像装置であったが、
図8に示す通り、例えば、通路を移動する人が所持するスマートフォン等の携帯端末に搭載されたカメラ等の撮像装置であってもよい。
【0068】
この場合、異常を検知するために用いるセンサ2aが送信する画像は、通路を移動する人が所持する携帯端末に搭載された撮像装置により撮像された画像の例である。また、この場合、センサ2aが有する測位部27は、通路に沿って配置された、いわゆるフェムトセル等と呼ばれる小型の基地局との通信の接続状況を利用して自装置の位置を測定してもよい。
【0069】
(4)上述した実施形態において、投光システム9は、複数のセンサと、複数の投光器と、1以上の投光制御装置と、を有する投光システムの例である。そして、この投光システム9における投光制御装置1は、複数のセンサのいずれかから情報を取得して、通路で発生した異常を検知する検知部と、検知された異常の位置を特定する特定部と、特定された位置に向けて平常時と異なる態様で複数の投光器のいずれかに投光させる投光制御部と、を有することを特徴とする投光制御装置の例である。
【0070】
(5)上述した実施形態において、投光システム9は、トンネルT内の道路に適用されているが、適用の対象はトンネルT内に限らない。投光システム9は、例えば、夜間の道路、日中でも比較的暗い林道等の通路、鉄道等に適用されてもよい。
【0071】
(6)上述した実施形態において、センサ2は、例えば、カメラ、煙センサ、赤外線センサ、距離画像センサ、音センサ、温度計等であったが、他の構成であってもよい。例えば、センサ2は、車両Vに搭載された、いわゆるLiDAR(Light Detection and Ranging)であってもよい。
【0072】
また、センサ2は、少なくとも一本の光ファイバーセンサであってもよい。センサ2は、光ファイバーセンサである場合、外力、熱等を受けて歪んだ自身の位置を検知すればよい。
【0073】
(7)上述した実施形態において、投光器3は、車両Vの走行方向に沿って所定間隔をあけて配置された照明装置であったが、これ以外の構成であってもよい。例えば、投光器3は、消火器、消火栓、火災検知器、押し釦通報装置、非常電話等の非常設備及びその収容箱等に設置された照明装置であってもよい。
【0074】
また、投光器3は、移動する照明装置であってもよい。移動する投光器3は、例えば、ドローン、ラジオコントロールカー、レールに沿って走行するロボット等に搭載されていてもよい。この場合、投光器3は、投光制御装置1からの指示を受け、検知された異常が発生している位置まで移動してもよい。
【0075】
(8)上述した実施形態において、プロセッサ11は、CPUであったが、他の構成であってもよい。プロセッサ11は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)であってもよいし、FPGAを含んでもよい。また、このプロセッサは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又は他のプログラマブル論理デバイスを有し、これらによって制御を行ってもよい。
【0076】
(9)上述した実施形態において、プロセッサ11に読み込まれるプログラムは、コンピュータを、通路で発生した異常を検知する検知部と、検知された異常の位置を特定する特定部と、特定された位置に向けて平常時と異なる態様で投光器に投光させる投光制御部、として機能させるためのプログラムの例である。
【符号の説明】
【0077】
1…投光制御装置、11…プロセッサ、111…検知部、112…特定部、113…投光制御部、12…メモリ、121…位置表、122…態様表、13…通信部、14…操作部、15…表示部、16…画像処理部、2、2a…センサ、21…プロセッサ、22…メモリ、23…通信部、24…操作部、25…表示部、26…撮像部、27…測位部、3…投光器、9、9a…投光システム。