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  • 特開-排泄物処理材及びその製造方法 図1
  • 特開-排泄物処理材及びその製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082694
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】排泄物処理材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/015 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
A01K1/015 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196717
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】321000026
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101AA20
2B101GB05
2B101GB08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】排泄の際に動物の爪をケアすることが可能な排泄物処理材、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】排泄物処理材は、動物の排泄物を処理するための粒状体10を備えている。粒状体10は、動物の爪を研ぐための研磨材16を含んでいる。研磨材16は、粒状体10の表面に露出している。このため、動物が粒状体の上に乗って排泄する際、爪が粒状体と擦れることにより、研磨材で爪が研がれる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の排泄物を処理するための粒状体を備え、
前記粒状体は、前記動物の爪を研ぐための研磨材を含んでおり、
前記研磨材は、前記粒状体の表面に露出していることを特徴とする排泄物処理材。
【請求項2】
請求項1に記載の排泄物処理材において、
前記研磨材は、前記粒状体の前記表面の50%以上の領域に露出している排泄物処理材。
【請求項3】
請求項2に記載の排泄物処理材において、
前記研磨材は、前記粒状体の前記表面の70%以上の領域に露出している排泄物処理材。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の排泄物処理材において、
前記粒状体は、吸水性を有する排泄物処理材。
【請求項5】
請求項4に記載の排泄物処理材において、
前記粒状体は、造粒物からなる芯部と、接着性材料を含有するとともに前記芯部を覆う被覆部とを有する排泄物処理材。
【請求項6】
請求項5に記載の排泄物処理材において、
前記研磨材は、前記芯部及び前記被覆部のうち、当該被覆部にのみ含まれている排泄物処理材。
【請求項7】
請求項5に記載の排泄物処理材において、
前記研磨材は、前記被覆部の表面に付着している排泄物処理材。
【請求項8】
請求項7に記載の排泄物処理材において、
前記粒状体に含まれる前記研磨材の全てが、前記被覆部の前記表面に付着している排泄物処理材。
【請求項9】
請求項1乃至3の何れかに記載の排泄物処理材において、
前記粒状体は、疎水性を有する排泄物処理材。
【請求項10】
請求項1乃至3の何れかに記載の排泄物処理材において、
前記粒状体は、被覆されていない造粒物からなる排泄物処理材。
【請求項11】
請求項10に記載の排泄物処理材において、
前記研磨材は、前記造粒物の表面に付着している排泄物処理材。
【請求項12】
請求項11に記載の排泄物処理材において、
前記粒状体に含まれる前記研磨材の全てが、前記造粒物の前記表面に付着している排泄物処理材。
【請求項13】
請求項1乃至3の何れかに記載の排泄物処理材において、
前記粒状体は、有機物を主材料とする排泄物処理材。
【請求項14】
動物の排泄物を処理するための粒状体を形成する粒状体形成工程を含み、
前記粒状体形成工程においては、前記動物の爪を研ぐための研磨材が前記粒状体の表面に露出するように、当該研磨材を含む当該粒状体を形成することを特徴とする排泄物処理材の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、前記研磨材が前記粒状体の前記表面の50%以上の領域に露出するように、当該粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、前記研磨材が前記粒状体の前記表面の70%以上の領域に露出するように、当該粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項17】
請求項14乃至16の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、吸水性を有する前記粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程は、造粒物からなる芯部を形成する芯部形成工程と、接着性材料を含有するとともに前記芯部を覆う被覆部を形成する被覆部形成工程とを含む排泄物処理材の製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、前記研磨材が前記芯部及び前記被覆部のうち当該被覆部にのみ含まれるように、前記粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項20】
請求項18に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程は、前記研磨材を前記被覆部の表面に付着させる研磨材付着工程を含む排泄物処理材の製造方法。
【請求項21】
請求項20に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記研磨材付着工程においては、前記粒状体に含まれることになる前記研磨材の全てを前記被覆部の前記表面に付着させる排泄物処理材の製造方法。
【請求項22】
請求項14乃至16の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、疎水性を有する前記粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項23】
請求項14乃至16の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、被覆されていない造粒物からなる前記粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【請求項24】
請求項23に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程は、前記研磨材を前記造粒物の表面に付着させる研磨材付着工程を含む排泄物処理材の製造方法。
【請求項25】
請求項24に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記研磨材付着工程においては、前記粒状体に含まれることになる前記研磨材の全てを前記造粒物の前記表面に付着させる排泄物処理材の製造方法。
【請求項26】
請求項14乃至16の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記粒状体形成工程においては、有機物を主材料とする前記粒状体を形成する排泄物処理材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄物処理材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の排泄物処理材としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された排泄物処理材は、動物用の排泄物処理材であって、吸水性を有する複数の粒状体からなる。この排泄物処理材は、複数の粒状体が箱状のトイレに敷設された状態で使用される。かかるトイレにおいて動物は、粒状体の上に直接乗った状態で排泄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-97996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、爪のケアは、人間だけでなく動物においても重要である。もし動物が排泄する際に動物の爪をケアすることができれば、便利である。しかしながら、従来の排泄物処理材においては、当然ながら、排泄の際に動物の爪をケアすることができなかった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、排泄の際に動物の爪をケアすることが可能な排泄物処理材、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による排泄物処理材は、動物の排泄物を処理するための粒状体を備え、上記粒状体は、上記動物の爪を研ぐための研磨材を含んでおり、上記研磨材は、上記粒状体の表面に露出していることを特徴とする。
【0007】
この排泄物処理材においては、動物の爪を研ぐための研磨材を含む粒状体が設けられている。研磨材は、粒状体の表面に露出している。このため、動物が粒状体の上に乗って排泄する際、爪が粒状体と擦れることにより、研磨材で爪が研がれる。これにより、動物の爪をケアすることができる。
【0008】
また、本発明による排泄物処理材の製造方法は、動物の排泄物を処理するための粒状体を形成する粒状体形成工程を含み、上記粒状体形成工程においては、上記動物の爪を研ぐための研磨材が上記粒状体の表面に露出するように、当該研磨材を含む当該粒状体を形成することを特徴とする。
【0009】
この製造方法においては、動物の爪を研ぐための研磨材を含む粒状体が形成される。研磨材は、粒状体の表面に露出している。このため、製造後の排泄物処理材においては、動物が粒状体の上に乗って排泄する際、爪が粒状体と擦れることにより、研磨材で爪が研がれる。これにより、動物の爪をケアすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、排泄の際に動物の爪をケアすることが可能な排泄物処理材、及びその製造方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による排泄物処理材の一実施形態を示す模式図である。
図2】粒状体10を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明による排泄物処理材の一実施形態を示す模式図である。排泄物処理材1は、猫や犬等の動物の排泄物(主に尿)の処理に用いられる動物用の排泄物処理材である。排泄物処理材1は、動物の排泄物を処理するための複数の粒状体10を備えている。排泄物処理材1は、例えば、複数の粒状体10が箱状のトイレに敷設された状態で使用される。
【0014】
各粒状体10は、吸水性を有している。すなわち、各粒状体10は、排泄物を吸収することにより当該排泄物を処理する。粒状体10が吸水性を有するというには、次の試験により測定される液通過率が60%未満であることが必要である。まず、内径10cm、目開き1mmの篩に50g相当の粒状体10(サンプル)を入れる。篩の下には、空のビーカーを設置する。そして、サンプルに対し、外筒の内径3cm、筒先の内径4mmのシリンジ(テルモ社製60mlシリンジ)を用いて、30mlの水を10秒かけて滴下する。1分間放置した後、ビーカー内の水量を計測する。計測した水量の滴下した水量(30ml)に対する割合をもって液通過率とする。すなわち、ビーカー内の水量が18ml未満であれば、液通過率が60%未満となるため、粒状体10が吸水性を有するといえる。
【0015】
各粒状体10は、粒状をしている。かかる粒状の形状としては、例えば、球、円柱、又は楕円体が挙げられる。各粒状体10の粒径は、例えば、5mm以上30mm以下である。ここで、粒状体10の粒径は、当該粒状体10を内包し得る最小の球の直径として定義される。
【0016】
各粒状体10は、有機物を主材料としている。ここで、粒状体10の主材料とは、粒状体10を構成する材料(後述する研磨材16は除く)のうち、当該粒状体10に占める重量割合が最大のものをいう。粒状体10の主材料である有機物としては、例えば、紙類、植物類、プラスチック類、又は有機汚泥類が挙げられる。
【0017】
紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙(紙粉)の他にも、フラッフパルプ、塩ビ壁紙由来の紙(塩ビ壁紙の製造時又は分級時に発生する紙)、石膏ボード由来の紙(石膏ボードの製造時又は分級時に発生する紙)、又は衛生用品由来の紙(紙を含む衛生用品の製造時又は分級時に発生する紙)を用いることができる。紙を含む衛生用品としては、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、尿取りパッド、又は衛生用紙(ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ペーパータオル等)が挙げられる。植物類としては、例えば、木粉、大鋸屑、又は植物性残渣(茶殻、オカラ等)を用いることができる。プラスチック類としては、例えば、通常のプラスチックの他にも、塩ビ壁紙由来のプラスチック(塩ビ壁紙の製造時又は分級時に発生するプラスチック)、又は衛生用品由来のプラスチック(プラスチックを含む衛生用品の製造時又は分級時に発生するプラスチック)を用いることができる。プラスチックを含む衛生用品としては、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、尿取りパッド、又は衛生マスクが挙げられる。有機汚泥類としては、例えば、製紙スラッジ、又はパルプスラッジを用いることができる。
【0018】
図2は、粒状体10を示す模式図である。各粒状体10は、芯部12、及び被覆部14を有している。芯部12は、粒状に成形された造粒物からなる。芯部12は、排泄物を吸収及び保持する機能を有する。芯部12は、有機物を主材料としている。芯部12は、接着性材料を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。接着性材料としては、例えば、吸水性ポリマー、澱粉、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PVA(ポリビニルアルコール)、又はデキストリンが挙げられる。吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル系吸水性ポリマーを用いることができる。
【0019】
被覆部14は、芯部12を覆っている。被覆部14は、各芯部12の表面の全体を覆っている。被覆部14は、使用時に排泄物を吸収した粒状体10どうしを接着させて固まりにする機能(固まり形成機能)を有する。被覆部14は、接着性材料を含有している。被覆部14も、有機物を主材料としている。
【0020】
各粒状体10は、動物の爪を研ぐための研磨材16を含んでいる。研磨材16は、粒状体10の表面に露出している。粒状体10に含まれる研磨材16の全てが粒状体10の表面に露出していてもよいし、一部のみが粒状体10の表面に露出していてもよい。すなわち、研磨材16は多数の粒子からなるところ、全ての粒子が粒状体10の表面に露出していてもよいし、一部の粒子のみが粒状体10の表面に露出していてもよい。なお、各粒子が粒状体10の表面に露出しているというには、当該粒子の少なくとも一部分が粒状体10の表面に露出していれば充分である。研磨材16は、粒状体10の表面の50%以上の領域に露出していることが好ましく、70%以上の領域に露出していることがより好ましい。
【0021】
研磨材16は、芯部12及び被覆部14のうち、被覆部14にのみ含まれている。研磨材16は、被覆部14の表面に付着している。このように研磨材16が被覆部14の表面に付着している態様も、「研磨材16が被覆部14に含まれる」という概念に包摂される。本実施形態においては、粒状体10に含まれる研磨材16の全てが、被覆部14の表面に付着している。研磨材16の材料としては、例えば、セラミックス、ガラス、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、又は酸化ジルコニウムを用いることができる。研磨材16の粒度(研磨材16を構成する各粒子の粒度)は、0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。
【0022】
続いて、本発明による排泄物処理材の製造方法の一実施形態として、排泄物処理材1の製造方法の一例を説明する。この製造方法は、粒状体形成工程を含んでいる。
【0023】
粒状体形成工程は、粒状体10を形成する工程である。粒状体形成工程においては、研磨材16が粒状体10の表面に露出するように、粒状体10を形成する。粒状体形成工程は、芯部形成工程、被覆部形成工程、及び研磨材付着工程を含んでいる。芯部形成工程は、芯部12を形成する工程である。芯部形成工程においては、造粒装置を用いて、芯部材料(芯部12を構成する材料)を造粒することにより、芯部12となる複数の造粒物を形成する。造粒装置としては、例えば押出造粒機を用いることができる。造粒に先立って、芯部材料には、粉砕、混錬、加水等の前処理が必要に応じて行われる。
【0024】
被覆部形成工程は、被覆部14を形成する工程である。被覆部形成工程においては、コーティング装置等を用いて、各芯部12の表面を粉体状の被覆材料(被覆部14を構成する、研磨材16以外の材料)で覆うことにより、被覆部14を形成する。
【0025】
研磨材付着工程は、研磨材16を被覆部14の表面に付着させる工程である。研磨材付着工程においては、接着性材料を用いて、被覆部14の表面に研磨材16を付着させる。このとき、接着性材料としては、被覆部14に含有されている接着性材料を用いてもよいし、別途用意した接着性材料(被覆部14に含有されていない接着性材料)を用いてもよい。前者の場合、例えば、加水等により被覆部14の表面を適度に濡らした状態で、当該表面に研磨材16を付着させればよい。後者の場合、例えば、接着性材料に研磨材16を混ぜ合わせた上で当該接着性材料を被覆部14の表面に塗布することにより、当該表面に研磨材16を付着させることができる。研磨材付着工程においては、粒状体10に含まれることになる研磨材16の全てを被覆部14の表面に付着させる。その後、篩分け(分粒)、乾燥等の後処理が必要に応じて行われる。以上により、複数の粒状体10からなる排泄物処理材1が得られる。
【0026】
本実施形態の効果を説明する。本実施形態においては、動物の爪を研ぐための研磨材16を含む粒状体10が形成される。研磨材16は、粒状体10の表面に露出している。このため、排泄物処理材1においては、動物が粒状体10の上に乗って排泄する際、爪が粒状体10と擦れることにより、研磨材16で爪が研がれる。これにより、動物の爪をケアすることができる。したがって、排泄の際に動物の爪をケアすることが可能な排泄物処理材1、及びその製造方法が実現されている。
【0027】
ところで、猫は、足を使って粒状体10を排泄物に掛ける習性を有するため、爪が粒状体10と擦れやすい。それゆえ、排泄物処理材1は、猫用の排泄物処理材として特に適している。
【0028】
研磨材16が粒状体10の表面の広範囲に露出していれば、動物の爪が粒状体10と擦れたときに、研磨材16で爪が研がれやすい。かかる観点から、研磨材16は、粒状体10の表面の50%以上の領域に露出していることが好ましく、70%以上の領域に露出していることがより好ましい。他方、研磨材16が露出する領域が広すぎると、粒状体10の吸水性が阻害されかねない。かかる観点から、研磨材16は、粒状体10の表面の90%以下の領域に露出していることが好ましい。
【0029】
粒状体10は、吸水性を有している。この場合、排泄物を粒状体10の内部に閉じ込めることにより、排泄物から発生した悪臭が周囲に漂うのを抑制することができる。
【0030】
粒状体10は、芯部12及び被覆部14を有している。この場合、芯部12及び被覆部14に別々の機能を担わせることができる。実際、本実施形態においては、吸水・保水機能を主に芯部12に担わせ、固まり形成機能を被覆部14に担わせている。
【0031】
研磨材16は、芯部12及び被覆部14のうち被覆部14にのみ含まれている。このように動物の爪が触れにくい芯部12には研磨材16を設けないことにより、研磨材16の使用量を節約することができる。
【0032】
研磨材16は、被覆部14の表面に付着している。この場合、研磨材16を粒状体10の表面に確実に露出させやすくなる。
【0033】
粒状体10に含まれる研磨材16の全てが、被覆部14の表面に付着している。この場合、全ての研磨材16を粒状体10の表面に露出させることが可能となる。このことは、研磨材16の使用量を節約しつつ、粒状体10の表面の広範囲に研磨材16を露出させるのに有利である。
【0034】
粒状体10が有機物を主材料とする場合、焼却処分に適した粒状体10を得ることができる。このことは、使用済みの粒状体10の処分の便宜に資する。
【0035】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、研磨材16が被覆部14の表面に付着している場合を例示した。しかし、研磨材16は、被覆部14に埋設されていてもよい。その場合、研磨材付着工程は、実行されない。代わりに、被覆部形成工程において、被覆材料に研磨材16を混ぜ合わせた上で、芯部12の表面を当該被覆材料で覆えばよい。被覆材料に対する研磨材16の量や、被覆材料(被覆部14)の厚みを調整することにより、研磨材16の一部を粒状体10の表面に露出させることができる。具体的には、被覆材料に対する研磨材16の量を多くしたり、被覆材料の厚みを小さくしたりするほど、研磨材16が粒状体10の表面に露出しやすくなる。なお、研磨材16の一部が被覆部14の表面に付着するとともに、研磨材16の残りが被覆部14に埋設されていてもよい。
【0036】
上記実施形態においては、各粒状体10が、芯部12及び被覆部14からなる複層構造(二層構造)を有する場合を例示した。しかし、被覆部14を設けることは、必須でない。すなわち、各粒状体10は、被覆されていない造粒物(芯部12)からなる単層構造を有していてもよい。その場合、研磨材16は、造粒物(粒状体10)の表面に露出するように、造粒物に含まれる。研磨材16は、造粒物の表面に付着していてもよいし、造粒物に埋設されていてもよい。前者の場合、粒状体10に含まれる研磨材16の全てが、造粒物の表面に付着していることが好ましい。かかる構成の粒状体10は、芯部形成工程の後に研磨材付着工程を実行することにより、実現することができる。この研磨材付着工程は、研磨材16を造粒物の表面に付着させる工程である。被覆部形成工程は、実行されない。
【0037】
このように粒状体10が被覆されていない造粒物からなる場合、被覆材料が不要となるため、排泄物処理材1の製造コストを削減することができる。また、研磨材16が造粒物の表面に付着している場合、研磨材16を粒状体10の表面に確実に露出させやすくなる。さらに、粒状体10に含まれる研磨材16の全てが造粒物の表面に付着している場合、全ての研磨材16を粒状体10の表面に露出させることが可能となる。
【0038】
上記実施形態においては、各粒状体10が吸水性を有する場合を例示した。しかし、各粒状体10は、疎水性を有していてもよい。粒状体10が疎水性を有するというには、上述の試験により測定される液通過率が60%以上であることが必要である。かかる疎水性の粒状体10を用いた場合、排泄物は、粒状体10どうしの隙間を通過する。この場合、排泄物をトイレの下方に導くことにより、排泄物から発生した悪臭がトイレの上部から外に漏れるのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 排泄物処理材
10 粒状体
12 芯部(造粒物)
14 被覆部
16 研磨材
図1
図2