(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082708
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】定規
(51)【国際特許分類】
B43L 7/00 20060101AFI20240613BHJP
B43L 9/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B43L7/00 B
B43L9/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196739
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】521544160
【氏名又は名称】株式会社UHOLABO
(74)【代理人】
【識別番号】100188086
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 五郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 孝典
【テーマコード(参考)】
2C071
【Fターム(参考)】
2C071AA01
2C071AB17
2C071AD01
2C071AD06
2C071AE06
2C071AG01
(57)【要約】
【課題】所定角度の角で構成された図形や所定半径の円を作図する場合に好適な定規を提供すること。
【解決手段】第1穿設孔11は、その中心が、上辺基部3aから15mmとなる位置であって、かつ、上辺基部3aから正面視下方に18度傾いた線上の位置に穿設形成されている。また、この第1穿設孔11の孔縁の定規1短手方向には、上辺基部3aから15mmであることを示す円弧状の15ミリ円弧線11aが印刷されている。さらに、第1穿設孔11の孔縁の定規1長手方向には、上辺基部3aから18度下方に傾斜していることを示す直線状の18度補助線11bが印刷されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が直線状に形成された所定辺に目盛りが付された定規であって、
前記目盛りの基点となる位置に、所定の文具の先端部分を係止可能な係止部と、
前記所定辺上であって、前記基点から第1所定距離の位置に付された第1目盛りと、
前記所定辺上と異なる位置であって、前記基点から前記第1所定距離の位置に穿設形成された第1穿設部と、を備えている
ことを特徴とする定規。
【請求項2】
前記第1穿設部は、
前記所定の文具と同等若しくは略同等の他の文具の先端部分が挿入可能な大きさに形成される
ことを特徴とする請求項1記載の定規。
【請求項3】
前記第1穿設部は、
前記基点から第1所定角度の位置に形成される
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定規。
【請求項4】
前記第1穿設部において、前記基点から前記第1所定角度であることを示す第1識別情報が付されている
ことを特徴とする請求項3記載の定規。
【請求項5】
前記第1穿設部において、前記基点から前記第1所定距離であることを示す第2識別情報が付されている
ことを特徴とする請求項4記載の定規。
【請求項6】
前記所定辺上であって、前記基点から前記第1所定距離と異なる第2所定距離の位置に付された第2目盛りと、
前記所定辺上と異なる位置であって、前記基点から前記第2所定距離の位置に穿設形成された第2穿設部と、を備えている
ことを特徴とする請求項1記載の定規。
【請求項7】
前記第2穿設部は、
前記所定の文具と同等若しくは略同等の他の文具の先端部分が挿入可能な大きさに形成される
ことを特徴とする請求項6記載の定規。
【請求項8】
前記第2穿設部は、
前記基点から前記第1所定角度と異なる第2所定角度の位置に形成される
ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の定規。
【請求項9】
前記第2穿設部において、前記基点から前記第2所定角度であることを示す第3識別情報が付されている
ことを特徴とする請求項8記載の定規。
【請求項10】
前記第2穿設部において、前記基点から前記第2所定距離であることを示す第4識別情報が付されている
ことを特徴とする請求項9記載の定規。
【請求項11】
前記目盛りが付されていない所定部位に、少なくとも第1穿設部の形状と異なる形状であって、楕円形状に穿設形成された第3穿設部、を備えている
ことを特徴とする請求項4記載の定規。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯性に優れ、直線のみならず角度線や円を描画する場合に好適な定規に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙や黒板等に所定角度の角で構成された図形を描画する場合、筆記具や直線定規以外に、三角定規や分度器等の文具を使用して所定点から所望の角度をそれぞれ描画しながら図形を描画している。また、用紙や黒板等に中心点から所定半径の円を描画する場合、コンパス等を使用し、中心点に該コンパスの一方の脚の先端部分の針を中心点に固定しつつ、他方の脚の先に設けられた筆記具を回転させて円を描画している。
【0003】
即ち、図形や円を描く場合、筆記具及び直線定規のみでは、所望の角度の図形や所定半径の円を描画することが困難であり、筆記具及び直線定規以外の文具を予め用意しておく必要がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記例示したように、用紙や黒板等に図形や円を描画する場合には、筆記具及び1の定規以外に三角定規や分度器、コンパスのいずれかの文具が必要となり、さらに図形と円とをともに作図したい場合には、三角定規若しくは分度器、及び、コンパスが必要となるため、該文具の大きさによって文具入れが嵩張ってしまうという問題があります。
【0006】
本発明は、上記事情等に鑑みてなされたものであり、携帯性に優れ、所定角度の角で構成された図形や所定半径の円を作図する場合に好適な定規を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために請求項1記載の定規は、少なくとも一部が直線状に形成された所定辺に目盛りが付された定規であって、前記目盛りの基点となる位置に、所定の文具の先端部分を係止可能な係止部と、前記所定辺上であって、前記基点から第1所定距離の位置に付された第1目盛りと、前記所定辺上と異なる位置であって、前記基点から前記第1所定距離の位置に穿設形成された第1穿設部と、を備えている。
【0008】
請求項2記載の定規は、請求項1記載の定規において、前記第1穿設部は、前記所定の文具と同等若しくは略同等の他の文具の先端部分が挿入可能な大きさに形成される。
【0009】
請求項3記載の定規は、請求項1又は請求項2記載の定規において、前記第1穿設部は、前記基点から第1所定角度の位置に形成される。
【0010】
請求項4記載の定規は、請求項3記載の定規において、前記第1穿設部において、前記基点から前記第1所定角度であることを示す第1識別情報が付されている。
【0011】
請求項5記載の定規は、請求項4記載の定規において、前記第1穿設部において、前記基点から前記第1所定距離であることを示す第2識別情報が付されている。
【0012】
請求項6記載の定規は、請求項1記載の定規において、前記所定辺上であって、前記基点から前記第1所定距離と異なる第2所定距離の位置に付された第2目盛りと、前記所定辺上と異なる位置であって、前記基点から前記第2所定距離の位置に穿設形成された第2穿設部と、を備えている。
【0013】
請求項7記載の定規は、請求項6記載の定規において、前記第2穿設部は、前記所定の文具と同等若しくは略同等の他の文具の先端部分が挿入可能な大きさに形成される。
【0014】
請求項8記載の定規は、請求項6又は請求項7記載の定規において、前記第2穿設部は、前記基点から前記第1所定角度と異なる第2所定角度の位置に形成される。
【0015】
請求項9記載の定規は、請求項8記載の定規において、前記第2穿設部において、前記基点から前記第2所定角度であることを示す第3識別情報が付されている。
【0016】
請求項10記載の定規は、請求項9記載の定規において、前記第2穿設部において、前記基点から前記第2所定距離であることを示す第4識別情報が付されている。
【0017】
請求項11記載の定規は、請求項4記載の定規において、前記目盛りが付されていない所定部位に、少なくとも第1穿設部の形状と異なる形状であって、楕円形状に穿設形成された第3穿設部、を備えている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の定規によれば、少なくとも一部が直線状に形成された所定辺に目盛りが付された定規であって、前記目盛りの基点となる位置に、所定の文具の先端部分を係止可能な係止部と、前記所定辺上であって、前記基点から第1所定距離の位置に付された第1目盛りと、前記所定辺上と異なる位置であって、前記基点から前記第1所定距離の位置に穿設形成された第1穿設部と、を備えている。これにより、携帯性に優れ、かつ、1の文具で直線と、第1所定距離の半径の円と、を正確に作図することができる、という効果がある。
【0019】
請求項2記載の定規によれば、請求項1記載の定規の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第1穿設部は、前記所定の文具と同等若しくは略同等の他の文具の先端部分が挿入可能な大きさに形成される。これにより、携帯性に優れ、かつ、1の文具で直線と、第1所定距離の半径の円と、を正確に作図することができる、という効果がある。
【0020】
請求項3記載の定規によれば、請求項1又は請求項2記載の定規の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第1穿設部は、前記基点から第1所定角度の位置に形成される。これにより、携帯性に優れ、かつ、1の文具で直線と、第1所定距離の半径の円と、第1所定角度の図形と、を正確に作図することができる、という効果がある。
【0021】
請求項4記載の定規によれば、請求項3記載の定規の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第1穿設部において、前記基点から前記第1所定角度であることを示す第1識別情報が付されている。これにより、携帯性に優れ、かつ、1の文具で直線と、第1所定距離の半径の円と、第1所定角度の図形と、を正確に作図することができる、という効果がある。
【0022】
請求項5記載の定規によれば、請求項4記載の定規の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第1穿設部において、前記基点から前記第1所定距離であることを示す第2識別情報が付されている。これにより、携帯性に優れ、かつ、1の文具で直線と、第1所定距離の半径の円と、第1所定角度の図形と、を正確に作図することができる、という効果がある。
【0023】
請求項6記載の定規によれば、請求項1記載の定規の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記所定辺上であって、前記基点から前記第1所定距離と異なる第2所定距離の位置に付された第2目盛りと、前記所定辺上と異なる位置であって、前記基点から前記第2所定距離の位置に穿設形成された第2穿設部と、を備えている。これにより、携帯性に優れ、かつ、1の文具で直線と、第1所定距離又は第2所定距離の半径の円と、を正確に作図することができる、という効果がある。
【0024】
請求項7記載の定規によれば、請求項6記載の定規の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第2穿設部は、前記所定の文具と同等若しくは略同等の他の文具の先端部分が挿入可能な大きさに形成される。これにより、携帯性に優れ、かつ、1の文具で直線と、第1所定距離又は第2所定距離の半径の円と、を正確に作図することができる、という効果がある。
【0025】
請求項8記載の定規によれば、請求項6又は請求項7記載の定規の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第2穿設部は、前記基点から前記第1所定角度と異なる第2所定角度の位置に形成される。これにより、携帯性に優れ、かつ、1の文具で直線と、第1所定距離又は第2所定距離の半径の円と、第2所定角度の図形と、を正確に作図することができる、という効果がある。
【0026】
請求項9記載の定規によれば、請求項1記載の定規の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第2穿設部において、前記基点から前記第2所定角度であることを示す第3識別情報が付されている。これにより、携帯性に優れ、かつ、1の文具で直線と、第1所定距離又は第2所定距離の半径の円と、第2所定角度の図形と、を正確に作図することができる、という効果がある。
【0027】
請求項10記載の定規によれば、請求項1記載の定規の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記第2穿設部において、前記基点から前記第2所定距離であることを示す第4識別情報が付されている。これにより、携帯性に優れ、かつ、1の文具で直線と、第1所定距離又は第2所定距離の半径の円と、第2所定角度の図形と、を正確に作図することができる、という効果がある。
【0028】
請求項11記載の定規によれば、請求項4記載の定規の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記目盛りが付されていない所定部位に、少なくとも第1穿設部の形状と異なる形状であって、楕円形状に穿設形成された第3穿設部、を備えている。これにより、携帯性に優れ、かつ、1の文具で直線と、第1所定距離の半径の円と、第1所定角度の図形と、を正確に作図することができるとともに、例えば、第3穿設部の形状に合わせて筆記具で塗潰すことで、楕円形状の図形を容易かつ正確に作図することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の第1実施形態における定規の斜視図であって、(a)は、定規の全体斜視図であり、(b)は、(a)の左側部分を拡大した拡大斜視図である。
【
図2】(a)は、定規の正面図であり、(b)は、(a)の左側部分を拡大した拡大正面図である。
【
図8】本発明の定規を用いて18度角度線及び15度角度線を引く場合の模式的参考図であり、(a)は、基点から上辺に沿って基準線を描いている状態を示した図であり、(b)は、(a)の状態から、基点の位置に係止部が配置されるように1の筆記具を係止部に係止させつつ、他の筆記具を第1穿設孔に挿入して18度基準点を記している状態を示した図であり、(c)は、(b)の状態から、定規を一旦外して、基点、基準線及び18度基準点が描かれている状態を示した図であり、(d)は、(c)の状態から、基点と18度基準点とを結んで基準線から下方向に18度傾いた18度線を描いた状態を示した図であり、(e)は、基点、基準線、18度基準点及び18度線が描かれた状態を示した図であり、(f)は、(e)の状態から、基点に位置に係止部が配置されるように1の筆記具を係止部に係止させつつ、他の筆記具を第2穿設孔に挿入して15度基準点を記している状態を示した図であり、(g)は、(f)の状態から、定規を一旦外して、基点、基準線、18度基準点、18度線および15度基準点が描かれている状態を示した図であり、(h)は、(g)の状態から、基点と15度基準点とを結んで、基準線から下方向に15度傾いた15度線を描いた状態を示した図である。
【
図9】本発明の定規を用いて半径3cmの円若しくは円弧を描く場合の模式的参考図であり、(a)は、基点を描いた状態を示した図であり、(b)は、(a)の状態から、基点の位置に係止部が配置されるように1の筆記具を係止部に係止させつつ、他の筆記具を第2穿設孔に挿入している状態を示した図であり、(c)は、(b)の状態から、第2穿設孔に挿入した他の筆記具を下方向に回転させながら基点から3cmの円弧を描いている状態を示した図であり、(d)は、(c)の状態から、第2穿設孔に挿入した他の筆記具を1周回転させながら基点から3cmの円を描き、定規を外した状態を示した図である。
【
図10】本発明の第2実施形態における第2定規の六面図であり、(a)は、第2定規の正面図であり、(b)は、第2定規の背面図であり、(c)は、第2定規の右側面図であり、(d)は、第2定規の左側面図であり、(e)は、第2定規の平面図であり、(f)は、第2定規の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<第1実施形態>
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、
図1から
図9を参照し、本発明を適用した定規1の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態における定規1の斜視図であって、
図1(a)は、定規1の全体斜視図であり、
図1(b)は、
図1(a)の左側部分を拡大した拡大斜視図である。また、
図2(a)は、定規1の正面図であり、
図2(b)は、
図2(a)の左側部分を拡大した拡大正面図である。さらに、
図3は、定規の平面図であり、
図4は、定規の底面図であり、
図5は、定規の左側面図であり、
図6は、定規の右側面図であり、
図7は、定規の背面図である。
【0031】
図1から
図7で示すように、定規1は、その正面視長手方向全長が筆記用具入れに収納可能な大きさ(例えば、正面視横幅約20センチメートル(以下、「cm」と称す)、正面視縦幅3cm、厚さ1ミリメートル(以下、「mm」と称す)等)に形成され、透明性を有する合成樹脂材(例えば、アクリル樹脂や塩化ビニル等)で板状に一体成型されて構成されている。
【0032】
定規1の上辺2には、正面視左側から昇順に目盛りが付され、本実施形態では、正面視右側の係止部3(上辺基部3a)から15cm(150mm)に亘って1cm(10mm)ごとに付された上辺大目盛りと、該各上辺大目盛りから0.5cm(5mm)の位置に付された上辺中目盛りと、上記各上辺大目盛りから各上辺中目盛りに亘って0.1cm(1mm)ごとに付された上辺第1小目盛りと、上辺2の1cmから10cmに亘って上辺中目盛りから0.25cm(2.5mm)ごとに付された上辺第2小目盛りと、が上辺2上の長手方向に亘って各目盛りが印刷されるとともに、各数値が長手方向縦書きで印刷されている。上辺大目盛り、上辺中目盛り及び上辺第1小目盛りにより、1mm単位での作図が可能となるとともに、上辺第2小目盛りにより、0.25cm(2.5mm)単位の作図が可能となる。
【0033】
上辺2の正面視左側端部には、所定の筆記具(例えば、鉛筆やシャープペンシル、ボールペン等。以下同様。)の先端部分が係止(位置決め)可能な大きさの係止部3が形成されている。この係止部3は、上辺2の左端端部からR形状に形成されつつ、折り返し形状(U字形状)に形成され、筆記具を係止部3に係止(固定)し易いように構成されている。よって、この係止部3に筆記具を係止(当接)させた場合に、該筆記具の先端中心部分が上辺2の基点(0cm部分)である上辺基部3aに位置する大きさ及び形状で構成される。これにより、筆記具及び定規1の使用者は、係止部3に筆記具を容易に係止させて上辺2の基点である上辺基部3aに筆記具を位置させ易くすることができ、かつ、上辺基部3aを基点として正確な距離を描画することが可能となる。
【0034】
上記1には、上辺2と対向する側に下辺4が形成されている。下辺4には、正面視左側から昇順に目盛りが付され、本実施形態では、正面視左側の下辺基部5から10cmに亘って1cmごとに付された下辺大目盛りと、該各下辺大目盛りから0.5cm(5mm)の位置に付された下辺中目盛りと、上記各下辺大目盛り及び各下辺中目盛りの間に亘って0.1cm(1mm)ごとに付された下辺小目盛りと、が、下辺4上に各目盛りが印刷されるとともに、各数値が長手方向に亘って横書きで印刷されている。上辺2上に印刷された目盛りと下辺上に印刷された目盛りとの記載方法(即ち、縦書きと横書き)を異ならせていることにより、各辺2,4の目盛りを識別し易く構成し、辺2,4ごとの測距をし易くするとともに、計測間違いを抑制することができる。
【0035】
下辺4の正面視左側に形成された下辺基部5は、上辺2の上辺基部3aから30度下方の線上となる位置に形成されている。また、上辺基部3aから下辺基部5に亘って、該上辺基部3aから正面視下方に30度傾いていることを示す30度線5aと、「30°」表示と、が印刷されている。これにより、係止部3に筆記具を当接させて上辺基部3aの位置に上辺基準点を記し、その状態で下辺基部5に筆記具を当接させて下辺基準点を記すことで、上辺2の基準線に対して下方に30度傾いた30度線を容易に描画することが可能となる。
【0036】
また、定規1の正面視左側の外形部分であって、上辺基部3aの正面視左下方45度の線上の位置には、45度位置決め部6が形成されている。また、上辺基部3aから45度位置決め部6に亘って、該上辺基部3aから正面視下方に45度傾いていることを示す45度線6aと、「45°」表記と、が印刷されている。これにより、係止部3に筆記具を当接させて上辺基部3aの位置に上辺基準点を記し、その状態で45度位置決め部6に筆記具を当接させて45度基準点を記すことで、上辺2の基準線に対して下方に45度傾いた45度線を容易に描画することが可能となる。
【0037】
さらに、定規1の正面視左側の外形部分であって、上辺基部3aの正面視鉛直下方(90度)の線上には、90度位置決め部7が形成されている。また、上辺基部3aから90度位置決め部7に亘って、該上辺基部3aから正面視鉛直下方(90度)であることを示す90度線7aが印刷されている。これにより、係止部3に筆記具を当接させて上辺基部3aの位置に上辺基準点を記し、その状態で90度位置決め部7に筆記具を当接させて90度基準点を記すことで、上辺2の基準線に対して下方に90度となる90度線を容易に描画することが可能となる。
【0038】
次いで、定規1の胴体部分には、正面視左から順に、第1穿設孔11、第2穿設孔12、第3穿設孔13、第4穿設孔14、第5穿設孔15、第6穿設孔16、第7穿設孔17、第8穿設孔18、第9穿設孔19、がそれぞれ直径1mmの大きさで筆記具等が挿入可能な形状に穿設形成されている。
【0039】
第1穿設孔11は、その中心が、上辺基部3aから1.5cm(15mm)となる位置であって、かつ、上辺基部3aから正面視下方に18度傾いた線上の位置に穿設形成されている。また、この第1穿設孔11の孔縁の定規1短手方向には、上辺基部3aから1.5cm(15mm)であることを示す円弧状の1.5センチ円弧線11a(
図1(b)及び
図2(b)参照)が印刷されている。さらに、第1穿設孔11の孔縁の定規1長手方向には、上辺基部3aから18度下方に傾斜していることを示す直線状の18度補助線11b(
図1(b)及び
図2(b)参照)が印刷されている。これにより、係止部3に筆記具を当接させて上辺基部3aの位置に上辺基準点を記し、その状態で第1穿設孔11に筆記具を挿入して18度基準点を記すことで、上辺2の基準線に対して下方に18度となる18度線を容易に描画することが可能となる。また、同じく係止部3に1の筆記具を当接させた状態で、該1の筆記具を軸としつつ他の筆記具を第1穿設孔11に挿入させながら該他の筆記具のみを正面視上方又は下方に回転させることで、上辺基部3aを中心点とした半径1.5cm(直径3cm)の円若しくは円弧を容易に描画することが可能となる。即ち、係止部3及び第1穿設孔11を設けることで、上辺基部3aから18度の角度線と、半径1.5cm(直径3cm)の円弧とを容易に描画することができる。なお、18度角度線の描画方法の詳細については、
図8(a)~
図8(d)において後述する。また、以下の説明において、第1穿設孔11を、「18度孔」又は「1.5センチ孔」と称して説明する場合がある。
【0040】
第2穿設孔12は、その中心が、上辺基部3aから3cm(30mm)となる位置であって、かつ、上辺基部3aから正面視下方に15度傾いた線上の位置に穿設形成されている。また、この第2穿設孔12の孔縁の定規1短手方向には、上辺基部3aから3cm(30mm)であることを示す円弧状の3センチ円弧線12a(
図1(b)及び
図2(b)参照)が、上辺2の3cmを示す上辺大目盛りと連続するように印刷されている。さらに、第2穿設孔12の孔縁の定規1長手方向には、上辺基部3aから15度下方に傾斜していることを示す直線状の15度補助線12b(
図1(b)及び
図2(b)参照)が印刷されている。これにより、係止部3に筆記具を当接させて上辺基部3aの位置に上辺基準点を記し、その状態で第2穿設孔12に筆記具を挿入して15度基準点を記すことで、上辺2の基準線に対して下方に15度となる15度線を容易に描画することが可能となる。また、同じく係止部3に1の筆記具を当接させた状態で、該1の筆記具を軸としつつ他の筆記具を第2穿設孔12に挿入させながら該他の筆記具のみを正面視上方又は下方に回転させることで、上辺基部3aを中心点とした半径3cm(直径6cm)の円若しくは円弧を容易に描画することが可能となる。即ち、係止部3及び第2穿設孔12を設けることで、上辺基部3aから15度の角度線と、半径3cm(直径6cm)の円弧とを容易に描画することができる。なお、15度角度線の描画方法の詳細については、
図8(e)~
図8(h)において後述する。また、半径3cm(直径6cm)の円弧の描画方法の詳細については、
図9において後述する。さらに、以下の説明において、第2穿設孔12を、「15度孔」又は「3センチ孔」と称して説明する場合がある。
【0041】
第3穿設孔13は、その中心が、上辺基部3aから4cm(40mm)となる位置であって、かつ、上辺基部3aから正面視下方に10度傾いた線上の位置に穿設形成されている。また、この第3穿設孔13の孔縁の定規1短手方向には、上辺基部3aから4cm(40mm)であることを示す円弧状の4センチ円弧線13a(
図1(b)及び
図2(b)参照)が、上辺2の4cmを示す上辺大目盛りと連続するように印刷されている。さらに、第3穿設孔13の孔縁の定規1長手方向には、上辺基部3aから10度下方に傾斜していることを示す直線状の10度補助線13b(
図1(b)及び
図2(b)参照)が印刷されている。これにより、係止部3に筆記具を当接させて上辺基部3aの位置に上辺基準点を記し、その状態で第3穿設孔13に筆記具を挿入して10度基準点を記すことで、上辺2の基準線に対して下方に10度となる10度線を容易に描画することが可能となる。また、同じく係止部3に1の筆記具を当接させた状態で、該1の筆記具を軸としつつ他の筆記具を第3穿設孔13に挿入させながら該他の筆記具のみを正面視上方又は下方に回転させることで、上辺基部3aを中心とした半径4cm(直径8cm)の円若しくは円弧を容易に描画することが可能となる。即ち、係止部3及び第3穿設孔13を設けることで、上辺基部3aから10度の角度線と、半径4cm(直径8cm)の円弧とを容易に描画することができる。なお、以下の説明において、第3穿設孔13を、「10度孔」又は「4センチ孔」と称して説明する場合がある。
【0042】
第4穿設孔14は、その中心が、上辺基部3aから5cm(50mm)となる位置に穿設形成されている。また、この第4穿設孔14の孔縁の定規1短手方向には、上辺基部3aから5cm(50mm)であることを示す円弧状の5センチ円弧線14a(
図1(b)及び
図2(b)参照)が、上辺2の5cmを示す上辺大目盛りと連続するように印刷されている。これにより、係止部3に1の筆記具を当接させた状態で、該1の筆記具を軸としつつ他の筆記具を第4穿設孔14に挿入させながら該他の筆記具のみを正面視上方又は下方に回転させることで、上辺基部3aを中心とした半径5cm(直径10cm)の円若しくは円弧を容易に描画することが可能となる。
【0043】
第5穿設孔15は、その中心が、上辺基部3aから6cm(60mm)となる位置に穿設形成されている。また、この第5穿設孔15の孔縁の定規1短手方向には、上辺基部3aから6cm(60mm)であることを示す円弧状の6センチ円弧線15a(
図1(a)及び
図2(a)参照)が、上辺2の6cmを示す上辺大目盛りと連続するように印刷されている。これにより、係止部3に1の筆記具を当接させた状態で、該1の筆記具を軸としつつ他の筆記具を第5穿設孔15に挿入させながら該他の筆記具のみを正面視上方又は下方に回転させることで、上辺基部3aを中心とした半径6cm(直径12cm)の円若しくは円弧を容易に描画することが可能となる。
【0044】
第6穿設孔16は、その中心が、上辺基部3aから7cm(70mm)となる位置に穿設形成されている。また、この第6穿設孔16の孔縁の定規1短手方向には、上辺基部3aから7cm(70mm)であることを示す円弧状の7センチ円弧線16a(
図1(a)及び
図2(a)参照)が、上辺2の7cmを示す上辺大目盛りと連続するように印刷されている。これにより、係止部3に1の筆記具を当接させた状態で、該1の筆記具を軸としつつ他の筆記具を第6穿設孔16に挿入させながら該他の筆記具のみを正面視上方又は下方に回転させることで、上辺基部3aを中心とした半径7cm(直径14cm)の円若しくは円弧を容易に描画することが可能となる。
【0045】
第7穿設孔17は、その中心が、上辺基部3aから8cm(80mm)となる位置に穿設形成されている。また、この第7穿設孔17の孔縁の定規1短手方向には、上辺基部3aから8cm(80mm)であることを示す円弧状の8センチ円弧線17a(
図1(a)及び
図2(a)参照)が、上辺2の8cmを示す上辺大目盛りと連続するように印刷されている。これにより、係止部3に1の筆記具を当接させた状態で、該1の筆記具を軸としつつ他の筆記具を第7穿設孔17に挿入させながら該他の筆記具のみを正面視上方又は下方に回転させることで、上辺基部3aを中心とした半径8cm(直径16cm)の円若しくは円弧を容易に描画することが可能となる。
【0046】
第8穿設孔18は、その中心が、上辺基部3aから9cm(90mm)となる位置に穿設形成されている。また、この第8穿設孔18の孔縁の定規1短手方向には、上辺基部3aから9cm(90mm)であることを示す円弧状の9センチ円弧線18a(
図1(a)及び
図2(a)参照)が、上辺2の9cmを示す上辺大目盛りと連続するように印刷されている。これにより、係止部3に1の筆記具を当接させた状態で、該1の筆記具を軸としつつ他の筆記具を第8穿設孔18に挿入させながら該他の筆記具のみを正面視上方又は下方に回転させることで、上辺基部3aを中心とした半径9cm(直径18cm)の円若しくは円弧を容易に描画することが可能となる。
【0047】
第9穿設孔19は、その中心が、上辺基部3aから10cm(100mm)となる位置に穿設形成されている。また、この第9穿設孔19の孔縁の定規1短手方向には、上辺基部3aから10cm(100mm)であることを示す円弧状の10センチ円弧線19a(
図1(a)及び
図2(a)参照)が、上辺2の10cmを示す上辺大目盛りと連続するように印刷されている。これにより、係止部3に1の筆記具を当接させた状態で、該1の筆記具を軸としつつ他の筆記具を第9穿設孔19に挿入させながら該他の筆記具のみを正面視上方又は下方に回転させることで、上辺基部3aを中心とした半径10cm(直径20cm)の円若しくは円弧を容易に描画することが可能となる。
【0048】
ここで、
図8を参照して、定規1を用いた所定角度の角度線を描画する場合について説明する。
図8は、本発明の定規1を用いて18度角度線および15度角度線を引く場合の模式的参考図であり、
図8(a)は、基点(上辺基部3a。以下、同様。)から上辺2に沿って基準線を描いている状態を示した図であり、
図8(b)は、
図8(a)の状態から、基点の位置に係止部3が配置されるように1の筆記具を係止部3に係止させつつ、他の筆記具を第1穿設孔11に挿入して18度基準点を記している状態を示した図であり、
図8(c)は、
図8(b)の状態から、定規1を一旦外して、基点、基準線及び18度基準点が描かれている状態を示した図であり、
図8(d)は、
図8(c)の状態から、基点と18度基準点とを結んで基準線から下方向に18度傾いた18度線を描いた状態を示した図である。また、
図8(e)は、基点、基準線、18度基準点及び18度線が描かれた状態を示した図であり、
図8(f)は、
図8(e)の状態から、基点の位置に係止部3が配置されるように1の筆記具を係止部3に係止させつつ、他の筆記具を第2穿設孔12に挿入して15度基準点を記している状態を示した図であり、
図8(g)は、
図8(f)の状態から、定規1を一旦外して、基点、基準線、18度基準点、18度線および15度基準点が描かれている状態を示した図であり、
図8(h)は、
図8(g)の状態から、基点と15度基準点とを結んで、基準線から下方向に15度傾いた15度線を描いた状態を示した図である。
【0049】
図8(a)で示すように、定規1を使用して18度をなす18度角度線を描画したい場合、まず、係止部3に筆記具を当接させて基点を記した状態から、定規1の上辺2右側に沿って基準線を描画する。そして、
図8(a)の定規1の位置を動かさずに、第1穿設孔11に筆記具を挿入し、18度基準点を記す。この場合、定規1の位置がズレないように、1の筆記具を係止部3に当接させた状態で、第1穿設孔11に他の筆記具を挿入して18度基準点を記すことで、
図8(c)で示すような基点及び基準線に対する18度基準点を正確に記すことができる。その後、基準線左側端部の基点と18度基準点とを定規1の上辺2又は下辺4を使用して結ぶことで、18度角度線を描画することができる(
図8(d)参照)。
【0050】
次いで、定規1を使用して15度をなす15度角度線を描画したい場合、まず、
図8(e)で示すように、係止部3に筆記具を当接させて基点を記した状態から、定規1の上辺2右側に沿って基準線を描画する(ここでは、
図8(d)の状態から説明をする)。そして、
図8(e)の基点、基準線に重なるように定規1を配置し、配置した定規1を動かさずに、第2穿設孔12に筆記具を挿入し、15度基準点を記す。この場合、定規1の位置がズレないように、1の筆記具を係止部3に当接させた状態で、第2穿設孔12に他の筆記具を挿入して15度基準点を記すことで、
図8(g)で示すような基点及び基準線に対する15度基準点を正確に記すことができる。その後、基準線左側端部の基点と15度基準点とを定規1の上辺2又は下辺4を使用して結ぶことで、15度角度線を描画することができる(
図8(h)参照)。
【0051】
なお、定規1を使用して10度をなす角度線を描画したい場合は、第3穿設孔13を使用して同様の要領で描画することができる。また、定規1を使用して30度角度線、45度角度線、又は、90度角度線を描画したい場合は、上辺2の上辺基部3aと、下辺基部5、45度位置決め部6、又は、90度位置決め部7とを使用することで、容易に各角度線を描画することができる。
【0052】
また、定規1を使用することで、1度から359度までの角度線を描画することも可能である。
【0053】
具体的には、例えば、1度角度線を描画したい場合は、まず、上辺2を使用して基準線を描画し、その後、第1穿設孔11を使用して、一旦、18度角度線を描画する。その後、基点を維持した状態で18度角度線と上辺2とを重ねた上で、再度、第1穿設孔11を使用して18度角度線を描画して、18°+18°の36度角度線を描画する。そして、同じく基点を維持した状態で36度角度線と上辺2とを重ねた上で、第3穿設孔13を使用して10度角度線を描画し、36°+10°の46度角度線を描画する。次いで、同じく基点を維持した状態で46度角度線と45位置決め部6とを重ねた上で、上辺2を使用することで、46°-45°で基準線から下方に1度傾斜した1度角度線を描画することができる。
【0054】
また、例えば、2度角度線を描画したい場合は、まず、上辺2を使用して基準線を描画し、その後、第3穿設孔13を使用して、一旦、10度角度線を描画する。その後、基点を維持した状態で10度角度線と上辺2とを重ねた上で、再度、第3穿設孔13を使用して10度角度線を描画して、10°+10°の20度角度線を描画する。そして、同じく基点を維持した状態で20度角度線と第1穿設孔11(18度孔)とを重ねた上で、上辺2を使用することで、20°-18°で基準線から下方に2度傾斜した2度角度線を描画することができる。
【0055】
さらに、例えば、3度角度線を描画したい場合は、まず、上辺2を使用して基準線を描画し、その後、第1穿設孔11を使用して、一旦、18度角度線を描画する。その後、基点を維持した状態で18度角度線と第2穿設孔12(15度孔)とを重ねた上で、上辺2を使用することで、18°-15°で基準線から下方に3度傾斜した3度角度線を描画することができる。
【0056】
また、例えば、4度角度線を描画したい場合は、まず、上辺2を使用して基準線を描画し、その後、下辺基部5を使用して、一旦、30度角度線を描画する。その後、基点を維持した状態で30度角度線と上辺2とを重ねた上で、第3穿設孔13を使用して10度角度線を描画して、30°+10°の40度角度線を描画する。次いで、同じく基点を維持した状態で40度角度線と第1穿設孔11(18度孔)とを重ねた上で、上辺2を使用することで、40°-18°の22度角度線を描画する。そして、同じく基点を維持した状態で22度角度線と第1穿設孔11(18度孔)とを再び重ねた上で、上辺2を使用することで、22°-18°で基準線から下方に4度傾斜した4度角度線を描画することができる。
【0057】
さらに、例えば、5度角度線を描画したい場合は、まず、上辺2を使用して基準線を描画し、その後、第3穿設孔13を使用して、一旦、10度角度線を描画する。その後、基点を維持した状態で10度角度線と第2穿設孔12(15度孔)とを重ねた上で、上辺2を使用することで、10°-15°で基準線から上方に5度傾斜した5度角度線を描画することができる。
【0058】
また、例えば、6度角度線を描画したい場合は、まず、上辺2を使用して基準線を描画し、その後、第1穿設孔11を使用して、一旦、18度角度線を描画する。その後、基点を維持した状態で18度角度線と上辺2とを重ねた上で、再度、第1穿設孔11を使用して18度角度線を描画して、18°+18°の36度角度線を描画する。そして、同じく基点を維持した状態で36度角度線と下辺基部5とを重ねた上で、上辺2を使用することで、36°-30°で基準線から下方に6度傾斜した6度角度線を描画することができる。
【0059】
さらに、例えば、7度角度線を描画したい場合は、まず、上辺2を使用して基準線を描画し、その後、基点を維持した状態で第1穿設孔11(18度孔)を使用して、18度角度線を描画する。次いで、同じく基点を維持した状態で18度角度線と第3穿設孔13(10度孔)とを重ねた上で、上辺2を使用することで、18°-10°の8度角度線を描画する。その後、同じく基点を維持した状態で8度角度線と第2穿設孔12(15度孔)とを重ねた上で、上辺2を使用することで、8°-15°で基準線から上方に7度傾斜した7度角度線を描画することができる。
【0060】
また、例えば、8度角度線を描画したい場合は、まず、上辺2を使用して基準線を描画し、その後、基点を維持した状態で第1穿設孔11(18度孔)を使用して、18度角度線を描画する。次いで、同じく基点を維持した状態で18度角度線と第3穿設孔13(10度孔)とを重ねた上で、上辺2を使用することで、18°-10°で基準線から下方に8度傾斜した8度角度線を描画することができる。
【0061】
さらに、例えば、9度角度線を描画したい場合は、まず、上辺2を使用して基準線を描画し、その後、基点を維持した状態で45度位置決め部6を使用して、45度角度線を描画する。次いで、同じく基点を維持した状態で45度角度線と第1穿設孔11(18度孔)とを重ねた上で、上辺2を使用することで、45°-18°の27度角度線を描画する。その後、同じく基点を維持した状態で27度角度線と第1穿設孔11(18度孔)とを重ねた上で、上辺2を使用することで、27°-18°で基準線から下方に9度傾斜した9度角度線を描画することができる。
【0062】
以下、上辺2、係止部3、下辺基部5、45度位置決め部6、第1穿設孔11、第2穿設孔12及び第3穿設孔13の様々な組み合わせを駆使することで、1度単位で1度から359度の様々な角度線を描画することができるので、嵩張る三角定規や分度器等の角度を計測可能な文具を持ち合わせていなくても定規1のみで様々な角度の角度線を容易に描画することができる。
【0063】
次に、
図9を参照して、定規1を用いた所定半径(直径)の円若しくは円弧を描画する場合について説明する。
図9は、本発明の定規1を用いて半径3cm(直径6cm)の円若しくは円弧を描く場合の模式的参考図であり、
図9(a)は、基点を描いた状態を示した図であり、
図9(b)は、
図9(a)の状態から、基点の位置に係止部3が配置されるように1の筆記具を係止部3に係止させつつ、他の筆記具を第2穿設孔12に挿入している状態を示した図であり、
図9(c)は、
図9(b)の状態から、第2穿設孔12に挿入した他の筆記具を下方向に回転させながら基点から半径3cmの円弧を描いている状態を示した図であり、
図9(d)は、
図9(c)の状態から、第2穿設孔12に挿入した他の筆記具を1周回転させながら基点から半径3cmの円を描き、定規1を外した状態を示した図である。なお、本実施形態では、第2穿設孔12を用いて、半径3cm(直径6cm)の円若しくは円弧を描画する場合について説明し、第1穿設孔11、第3穿設孔13、第4穿設孔14、第5穿設孔15、第6穿設孔16、第7穿設孔17、第8穿設孔18又は第9穿設孔19を用いて、半径1.5cm、半径4cm、半径5cm、半径6cm、半径7cm、半径8cm、半径9cm又は半径10cmの円若しくは円弧を描画する場合については、第2穿設孔12を用いる場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0064】
図9(a)で示すように、定規1を使用して半径3cmの円若しくは円弧を描画したい場合、まず、基準点(中心点)に対し、
図9(b)で示すように、定規1の上辺基部3aが重なるように配置して、1の筆記具を係止部3に当接された状態で、第2穿設孔12(3センチ孔)に他の筆記具を挿入する。そして、
図9(c)で示すように、係止部3に1の筆記具を当接しつつ、第2穿設孔12に他の筆記具を挿入した状態で、係止部3に当接させている1の筆記具を回転軸としながら、第2穿設孔12に挿入されている他の筆記具を正面視下方に回転させることで、
図9(d)で示すような半径3cm(直径6cm)の円を描くことができる。即ち、コンパス等の円を描く文具を持ち合わせていなくても定規1のみで、授業や講義で使用する頻度が高い様々な所定半径の円を容易に描画することができる。
【0065】
図1に戻って、説明を続ける。定規1の正面視右側端部には、マーク塗潰し用孔20が穿設形成されている。このマーク塗潰し用孔20は、正面視横幅3mm、正面視縦幅5mmの大きさの楕円形状に穿設されている。一般的なマークシートでは、横幅約3mm、縦幅約5mmの楕円形状の楕円図形が採用され、該楕円図形を塗る潰すことで解答をする場合がある。このようなマークシートの場合、定規1のマーク塗潰し用孔20を上記楕円図形に重ね合わせて、該マーク塗潰し用孔20内に筆記具を挿入して全体を塗潰すことで、楕円図形を容易かつ綺麗に塗潰すことができ、マークミスによる誤解答が発生することを抑制することができる。
【0066】
以上、説明したように、第1実施形態の定規1によれば、係止部3を有する上辺2に対して、第1~第9穿設孔11~19を設けることで、コンパス等の文具を持ち合わせていなくても、授業や講義での使用頻度が高いcm単位の所定半径の円を容易に描画することができ、また、第1~第3穿設孔11~13、下辺基部5、45度位置決め部6を設けることで、三角定規や分度器等の円を描画可能な文具を持ち合わせていなくても定規1のみで1度単位の角度線を容易に描画することができる。
【0067】
次に、
図10を参照して、本発明を適用した第2定規30の第2実施形態について説明する。
図10は、本発明の第2実施形態における第2定規30の六面図であり、
図10(a)は、第2定規30の正面図であり、
図10(b)は、第2定規30の背面図であり、
図10(c)は、第2定規30の右側面図であり、
図10(d)は、第2定規30の左側面図であり、
図10(e)は、第2定規30の平面図であり、
図10(f)は、第2定規30の底面図である。
【0068】
図10(a)~
図10(f)で示すように、第2定規30は、主に、正面視上方に設けられた第2上辺31と、正面視左側に設けられた第2係止部32と、該第2定規30の胴体部分に穿設形成された10cm円周部33、15cm円周部34、20cm円周部35、25cm円周部36及び30cm円周部37と、第2係止部32の中心からの角度を示す60度用マーク41、45度マーク42、30度マーク43、15度マーク44及び10度用マーク45と、背面側に設けられた軸側台座部51と、同じく背面側に設けられた回転側台座部52と、により構成されている。
【0069】
第2定規30は、正面視L字型に形成され、その正面視長手方向上部に第2上辺31が設けられ、第2係止部32の中心点に対して正面視右側に直線を描画することが可能な形状に形成されている。第2係止部32は、第2挿入孔32aを有する第2係止具32bにより構成され、該第2係止具32bと後述する軸側台座部51とで第2定規30の胴体部分を挟持するように構成されている。
【0070】
また、第2挿入孔32aは、黒板等で使用するチョークやホワイトボード等で使用するマーカーが挿入可能な大きさに形成されている。第2実施形態の第2定規30では、この第2挿入孔32aに1のチョーク等を挿入し、他のチョーク等を10cm円周部33の第1チョーク用孔33b等に挿入させながら、上記1のチョーク等を回転軸として、他のチョーク等を上方又は下方に回転させることで、所望の半径の円又は円弧を容易に描画することができるように構成されている。
【0071】
また、第2上辺31上には、正面視左側から順に、第2係止部32中心から10cmの距離に設けられた10cm円周部33と、第2係止部32中心から15cmの距離に設けられた15cm円周部34と、第2係止部32中心から20cmの距離に設けられた20cm円周部35と、第2係止部32中心から25cmの距離に設けられた25cm円周部36と、第2係止部32中心から30cmの距離に設けられた30cm円周部37と、が設けられている。
【0072】
10cm円周部33は、第2係止部32中心から10cmの距離であることを示す「10」と数字が付されているとともに、第2定規30の胴体部分短手方向において、第2係止部32から10cmの距離に、それぞれ、ホワイトボード等で使用するマーカー等の筆記具が挿入可能な大きさに穿設形成された第1マーカー用孔33aと、黒板等で使用するチョーク等の筆記具が挿入可能な大きさに穿設形成された第1チョーク用孔33bと、が設けられている。また、10cmを示す円弧状の補助線が、第1マーカー用孔33aと第1チョーク用孔33bとの中心点に位置するように付されている。
【0073】
15cm円周部34は、第2係止部32中心から15cmの距離であることを示す「15」と数字が付されているとともに、第2定規30の胴体部分短手方向において、第2係止部32から15cmの距離に、それぞれ、黒板等で使用するチョーク等の筆記具が挿入可能な大きさに穿設形成された第2チョーク用孔34aと、ホワイトボード等で使用するマーカー等の筆記具が挿入可能な大きさに穿設形成された第2マーカー用孔34bと、が設けられている。また、15cmを示す円弧状の補助線が、第2チョーク用孔34aと第2マーカー用孔34bとの中心点に位置するように付されている。
【0074】
20cm円周部35は、第2係止部32中心から20cmの距離であることを示す「20」と数字が付されているとともに、第2定規30の胴体部分短手方向において、第2係止部32から20cmの距離に、それぞれ、ホワイトボード等で使用するマーカー等の筆記具が挿入可能な大きさに穿設形成された第3マーカー用孔35aと、黒板等で使用するチョーク等の筆記具が挿入可能な大きさに穿設形成された第3チョーク用孔35bと、が設けられている。また、20cmを示す円弧状の補助線が、第3マーカー用孔35aと第3チョーク用孔35bとの中心点に位置するように付されている。
【0075】
25cm円周部36は、第2係止部32中心から25cmの距離であることを示す「25」と数字が付されているとともに、第2定規30の胴体部分短手方向において、第2係止部32から25cmの距離に、それぞれ、黒板等で使用するチョーク等の筆記具が挿入可能な大きさに穿設形成された第4チョーク用孔36aと、ホワイトボード等で使用するマーカー等の筆記具が挿入可能な大きさに穿設形成された第4マーカー用孔36bと、が設けられている。また、25cmを示す円弧状の補助線が、第4チョーク用孔36aと第4マーカー用孔36bとの中心点に位置するように付されている。
【0076】
30cm円周部37は、第2係止部32中心から30cmの距離であることを示す「30」と数字が付されているとともに、第2定規30の胴体部分短手方向において、第2係止部32から30cmの距離に、それぞれ、ホワイトボード等で使用するマーカー等の筆記具が挿入可能な大きさに穿設形成された第5マーカー用孔37aと、黒板等で使用するチョーク等の筆記具が挿入可能な大きさに穿設形成された第5チョーク用孔37bと、が設けられている。また、30cmを示す円弧状の補助線が、第5マーカー用孔37aと第5チョーク用孔37bとの中心点に位置するように付されている。
【0077】
ここで、第2定規30を用いて、所定の半径の円若しくは円弧を描画する場合について説明する。ここでは、20cm円周部35を使用して、20cmの円若しくは円弧を描画する場合について説明する。黒板等にチョーク等を用いて20cmの円若しくは円弧を描画したい場合、まず、第2係止部32の第2挿入孔32aに1のチョーク等を挿入し、他のチョーク等を20cm円周部35の第3チョーク用孔35b等に挿入させながら、上記1のチョーク等を回転軸として、他のチョーク等を上方又は下方に回転させることで、黒板等に20cm半径の円又は円弧を容易に描画することができる。
【0078】
60度用マーク41は、第2係止部32の中心部から正面視下方に60度傾斜した線上となる位置に付されており、この60度用マーク41を目印として、第2上辺31を使用して描画した基準線に対して60度角度線を容易に描画することが可能となる。
【0079】
45度用マーク42は、第2係止部32の中心部から正面視下方に45度傾斜した線上となる位置に付されており、この45度用マーク42を目印として、第2上辺31を使用して描画した基準線に対して45度角度線を容易に描画することが可能となる。
【0080】
30度用マーク43は、第2係止部32の中心部から正面視下方に30度傾斜した線上となる位置に付されており、この30度用マーク43を目印として、第2上辺31を使用して描画した基準線に対して30度角度線を容易に描画することが可能となる。
【0081】
15度用マーク44は、第2係止部32の中心部から正面視下方に15度傾斜した線上となる位置に付されており、この15度用マーク44を目印として、第2上辺31を使用して描画した基準線に対して15度角度線を容易に描画することが可能となる。
【0082】
10度用マーク45は、第2係止部32の中心部から正面視下方に10度傾斜した線上となる位置に付されており、この10度用マーク45を目印として、第2上辺31を使用して描画した基準線に対して10度角度線を容易に描画することが可能となる。
【0083】
第2定規30の背面側の第2係止部32に対応する位置には、軸側台座部51が設けられている。この軸側台座部51は、上述したように、第2係止具32bとこの軸側台座部51とで、第2定規30の胴体部分を挟持して構成されている。また、この軸側台座部51は、磁石保持部51aと、カバー部51bと、4つの磁石51cとで構成され、磁石保持部51aの四隅に各磁石51cが篏合されるとともに、該磁石51cを篏合した状態でカバー部51bが各磁石51cを被覆するように磁石保持部51aに固着されている。これにより、黒板やホワイトボード等の磁石が磁着可能な部材に対して、第2定規30を磁着させることができ、円や角度線を描画する場合において第2係止部32の位置ズレを抑制することができる。また、第2定規30を使用しない状況において、黒板やホワイトボードの端部に第2定規30を磁着させておくことができるので、第2定規30の収納性を向上することができる。
【0084】
回転側台座部52は、第2定規30背面側の軸側台座部51と反対方向に固着されており、該回転側台座部52の底面が軸側台座部51の底面(カバー部51bの底面)と面一となる大きさに形成されている。これにより、黒板やホワイトボードに第2定規30を磁着した場合に、黒板又はホワイトボードの面と第2定規30の胴体面とが平行とすることができるので、黒板又はホワイトボードに対して円や角度線を描画する場合に誤差が生じてしまうことを抑制することができる。
【0085】
以上、説明したように、第2実施形態の第2定規30によれば、第2係止部32と、10cm~30cm円周部33~37との構成により、黒板用若しくはホワイトボード用の三角定規や分度器、コンパス等を用いることなく、黒板やホワイトボード等に対して所定判定の円若しくは円弧を容易に描画することができるとともに、所定角度の角度線を容易に描画することができる。また、軸側台座部51に埋設された磁石51cにより、第2係止部32の位置ズレを抑制し、正確な図形を描画することが可能となる。
【0086】
<変形例1>
上記実施形態では、係止部3をU字形状に構成して、筆記具を当接するように構成している。これに対し、穿設して孔形状に形成してもよいし、45度位置決め部6のように定規1の外形部分を切り欠いて構成してもよい。係止部を孔形状に構成することで、挿入した筆記具の位置ズレを抑制することができ、また、係止部を切り欠いて構成することにより、定規1の大きさを小さくすることができ、収納性及び携帯性を向上することができる。
【0087】
<変形例2>
上記実施形態では、第1~第9穿設孔11~19や10cm~30cm円周部33~37を定規1又は第2定規30の胴体部分にそれぞれ穿設して構成している。これに対し、定規1又は第2定規30の外形を45度位置決め部6のように切り欠いて構成してもよい。このように構成することで、定規1又は第2定規30の短手方向の幅を縮小することができ、収納性及び携帯性を向上することができる。
【0088】
<変形例3>
上記実施形態では、第2定規30の各チョーク用孔33b,34a,35b,36a,37bと、各マーカー用孔33a,34b,35a,36b,37aとが、第2上辺31側に交互に穿設されて構成されている。これに対し、例えば、各各チョーク用孔33b,34a,35b,36a,37bを第2上辺31側に長手方向に並ぶように穿設してもよいし、各マーカー用孔33a,34b,35a,36b,37aを第2上辺31側に長手方向に並ぶように穿設してもよい。このように構成することで、孔の大きさの統一感を出すことができ、第2定規30の美観を向上することができる。
【0089】
<変形例4>
上記実施形態では、軸側台座部51に磁石51cを埋設する一方、回転側台座部52に磁石を埋設しないように構成している。これに対し、回転側台座部52にも磁石を埋設して構成してもよい。このように構成することで、第2定規30の位置ズレを抑制することができる。
【0090】
<変形例5>
上記実施形態では、マーク塗潰し用孔20を1の楕円形状に穿設形成している。これに対し、マーク塗潰し用孔20を、真円形状や、正方形や長方形の四角形状、三角形や五角形等の多角形形状に穿設形成してもよい。そして、複数の形状のマーク塗潰し用孔20を設けることで、様々なマークシートのマークを塗潰し易くすることができる。
【0091】
<変形例6>
上記実施形態では、第2定規30の第2係止部32の第2挿入孔32aをチョークが挿入可能な大きさに構成している。これに対し、ホワイトボード用のマーカーが挿入可能であって、該マーカーを該第2挿入孔32aの中心に篏合させることが可能なアタッチメントを設けてもよい。これにより、黒板でもホワイトボードでも円や角度線を描画し易くすることができる。
【0092】
以上、上記実施形態及び変形例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、実施形態又は各変形例は、それぞれ、実施形態又は各変形例が有する構成の一部または複数部分を、その実施形態又は変形例に追加し或いはその実施形態又は各変形例の構成の一部または複数部分と交換等することにより、その実施形態又は各変形例を変形して構成するようにしても良い。また、上記実施形態又は各変形例で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 定規
2 上辺(所定辺の一部)
3 係止部
3a 上辺基部(基点の一部)
11 第1穿設孔(第1穿設部の一部)
11a 1.5センチ円弧線(第2識別情報の一部)
11b 18度補助線(第1識別情報の一部)
12 第2穿設孔(第2穿設部の一部)
12a 3センチ円弧線(第4識別情報の一部)
12b 15度補助線(第3識別情報の一部)
20 マーク塗潰し用孔(第3穿設部の一部)
30 第2定規(定規の一部)
31 第2上辺(所定辺の一部)
32 第2係止部(係止部の一部)
33b 第1チョーク用孔(第1穿設部の一部)
34a 第2チョーク用孔(第2穿設部の一部)