IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 帝人株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082718
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】全芳香族ポリアミド溶液の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/08 20060101AFI20240613BHJP
   C08G 69/46 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
C08J11/08 ZAB
C08G69/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196759
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 学
【テーマコード(参考)】
4F401
4J001
【Fターム(参考)】
4F401AA24
4F401AC20
4F401AD07
4F401AD20
4F401BA13
4F401CA11
4F401CA52
4F401CA68
4F401CA75
4F401CB18
4F401EA64
4F401EA79
4F401EA90
4J001EB37
4J001EC44
4J001EC54
4J001GD06
4J001JA19
(57)【要約】
【課題】廃棄したアラミド繊維やアラミドフィルム等のアラミドを溶解可能とする高い溶解性を示し、工程の安定化に優れた全芳香族アミド溶液の製造法を提供する。
【解決手段】単糸繊度が10dtex以下の全芳香族ポリアミド繊維、もしくは厚さが25μm以下の全芳香族ポリアミドフィルムを、1種類以上の両性イオンを、イオン液体に対し0.1~40モル%含むイオン液体と、0.5:99.5~15:85の質量比率で接触させて混合物とした後、該混合物を60℃以上に加温しながら剪断応力下にて混錬する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単糸繊度が10dtex以下の全芳香族ポリアミド繊維、もしくは厚さが25μm以下の全芳香族ポリアミドフィルムと、イオン液体に対して1種類以上の両性イオンを、0.1~40モル%の比率で混ぜ合わせた混合溶媒を、0.5:99.5~15:85の質量比率で接触させて混合物とした後、該混合物を60℃以上に加温しながら剪断応力下にて混錬することを特徴とする全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【請求項2】
両性イオンが、1分子内にカルボキシ基(-COO-)、スルホ基(-SO-)、及びリン酸基(-OPO-)からなる群から選ばれた1種類以上のアニオン、並びにアミノ基(-NH )、及び4級アンモニウム基(-NR )からなる群から選ばれた1種類以上のカチオンを有する分子からなる請求項1記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【請求項3】
両性イオンが、分子内に1官能基以上のカルボキシ基とアミノ基を有するアミノ酸、アミノ酸をN-アシル化したアミノ酸型両性界面活性剤、アニオン部分がカルボキシ基、スルホ基でカチオン部分が第4級アンモニウム基からなるベタイン型両性界面活性剤、及びアニオン部分がリン酸基でカチオン基が第4級アンモニウム基もしくはアミノ基からなるレシチン型両性界面活性剤からなる群から選ばれた1種類以上の両性イオンである請求項2記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【請求項4】
分子内に1官能基以上のカルボキシ基とアミノ基を有するアミノ酸が、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、メチオニン(Met)、バリン(Val)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、アスパラギン(Asn)、システイン(Cys)、グルタミン(Gln)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)、リジン(Lys)、及びプロリン(Pro)からなる群から選ばれた1種類以上のアミノ酸である請求項3記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【請求項5】
全芳香族ポリアミドが、下記化学式(1)に示す、1種または2種以上の2価の芳香族基がアミド結合により直接連結された全芳香族ポリアミドポリマーであって、
(ア)該芳香族基のAr、Arが、下記化学式(2)からなるホモポリマー、
(イ)該芳香族基のAr、Arが、下記化学式(3)からなるホモポリマー、
のいずれかの全芳香族ポリアミドポリマーである請求項1~3のいずれか1項に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【化1】
【化2】
【請求項6】
全芳香族ポリアミドが、下記化学式(1)に示す、1種または2種以上の2価の芳香族基がアミド結合により直接連結された全芳香族ポリアミドポリマーであって、
(ウ)該芳香族基のArが下記化学式(2)であり、Arが下記化学式(2)と下記化学式(3)~(6)の1種類以上が混合され、且つ化学式(2)と化学式(3)~(6)とのモル比率が10:90~90:10であるコポリマー、
である請求項1~3のいずれか1項に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【化3】
【化4】
【化5】
【請求項7】
全芳香族ポリアミドが、上記(ア)~(ウ)に記載の全芳香族ポリアミドポリマーを2種類以上混合した全芳香族ポリアミドポリマーである請求項1~3のいずれか1項に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【請求項8】
イオン液体が、カチオン種がイミダゾリウム系、アンモニウム系、ホスホニウム系、ピロリジニウム系、及びピリジニウム系からなる群から選ばれた1種類以上の非プロトン性イオン液体である請求項1~3のいずれか1項に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【請求項9】
イオン液体が、ピリミジン、グアニジン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(TMG)、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)、7-メチルー1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(MTBD)、1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン(THP)、1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン(DMP)、ファスファゼン塩基、及びプロアザフォスフォトラン塩基からなる群から選ばれた1種類以上の有機塩基類と酸とを中和反応させることにより得られる1種類以上のプロトン性イオン液体である請求項1~3のいずれか1項に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【請求項10】
イオン液体が、トリグライム(G3)とリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)との混合物、又はテトラグライム(G4)とリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)との混合物のいずれかの溶媒和系イオン液体である請求項1~3のいずれか1項に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【請求項11】
イオン液体が、ヒドラジンと硝酸との混合物である無機イオン液体である請求項1~3のいずれか1項に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全芳香族ポリアミド(以下、アラミドと称する場合がある)溶液の製造方法
に関するものであり、さらに詳しくはアラミド繊維やアラミドフィルムを有効に再利用するために、アラミド繊維屑やアラミドフィルム屑などを溶媒に再溶解しアラミド溶液を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アラミド繊維はその高強度、高弾性率、耐薬品性の特性を生かし、産業資材用途や機能性衣料などに活用されている。
また近年では持続的成長を求められ、繊維産業においてもリサイクルを求める声が高まってきている。このような背景のもと、アラミド繊維を有効活用する目的で、製造したアラミド繊維を溶剤に再溶解してドープとし、リサイクルする方法が検討されてきた。
【0003】
例えば、特開2006-241624号公報(特許文献1)では、工程内で発生した繊維屑を塩化カルシウム等の無機塩を含有するN―メチルーピロリドン(NMP)と接触、混合させた後、該混合物を剪断応力化に置くことで、アラミド繊維を再溶解する方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、この方法で使用される塩化カルシウム中の塩化物イオンはステンレス鋼の配管表面にある酸素、クロムからなる不導体被膜を損傷し、ステンレス鋼母体に達するため、ステンレス鋼母体中の鉄、クロム、ニッケルなどがイオン化するアノード反応が起こる。一方、その周辺のカソードでは溶存酸素が還元反応を生じている。この時、塩化物イオンは被膜を構成している酸素と置換し、被膜の破損を推し進めると考えられている。
【0005】
このような被膜の破損は配管の腐食、ひいては配管内の薬液の漏洩につながり、漏洩は爆発・火災に通じる。そのため、無機塩を使用しない溶媒が求められていたが、そのような溶媒としては強酸、強アルカリが考えられ、繊維の溶解は可能であったが、配管の腐食性や作業性等を考慮すると工業的な実現可能性は極めて乏しかった。
【0006】
また、特開2009-40871号公報には、溶解性の乏しい、パラ型アラミドを4級アンモニウム塩と非プロトン性の極性溶媒を用いて、溶解したアラミド溶液について記載されている。しかしながら、該方法はパラ型全芳香族ポリアミドが溶解する濃度が極めて低く、フッ化水素等の発生も考えられ、工業的な使用には適さない。
【0007】
さらに代替溶剤として検討されたものとして、WO2015/158866号では部分的に溶解する溶媒としてイオン液体の使用が提案されている。しかしこれらの溶剤を用いても溶解度は低く、廃棄したアラミド繊維からドープを作成し、再度凝固して繊維やフィルム等の固形物を得ることは極めて困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006-241624号公報
【特許文献2】特開2009-40871号公報
【特許文献3】WO2015/158866号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、かかる従来技術における問題点を解消し、廃棄したアラミド繊維やアラミドフィルム等のアラミドを溶解可能とする高い溶解性を示し、工程の安定化に優れた全芳香族アミド溶液の製造法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討をおこなった結果、全芳香族ポリアミド繊維、もしくは全芳香族ポリアミドフィルムを、1種類以上の両性イオンを含むイオン液体と接触、混合させた混合物を剪断応力下にて混錬するとき、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明によれば、
1.単糸繊度が10dtex以下の全芳香族ポリアミド繊維、もしくは厚さが25μm以下の全芳香族ポリアミドフィルムと、イオン液体に対して1種類以上の両性イオンを、0.1~40モル%の比率で混ぜ合わせた混合溶媒を、0.5:99.5~15:85の質量比率で接触させて混合物とした後、該混合物を60℃以上に加温しながら剪断応力下にて混錬することを特徴とする全芳香族ポリアミド溶液の製造方法、
2.両性イオンが、1分子内にカルボキシ基(-COO-)、スルホ基(-SO-)、及びリン酸基(-OPO-)からなる群から選ばれた1種類以上のアニオン、並びにアミノ基(-NH )、及び4級アンモニウム基(-NR )からなる群から選ばれた1種類以上のカチオンを有する分子からなる上記1記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法、
3.両性イオンが、分子内に1官能基以上のカルボキシ基とアミノ基を有するアミノ酸、アミノ酸をN-アシル化したアミノ酸型両性界面活性剤、アニオン部分がカルボキシ基、スルホ基でカチオン部分が第4級アンモニウム基からなるベタイン型両性界面活性剤、及びアニオン部分がリン酸基でカチオン基が第4級アンモニウム基もしくはアミノ基からなるレシチン型両性界面活性剤からなる群から選ばれた1種類以上の両性イオンである上記2記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法、
4.分子内に1官能基以上のカルボキシ基とアミノ基を有するアミノ酸が、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、メチオニン(Met)、バリン(Val)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、アスパラギン(Asn)、システイン(Cys)、グルタミン(Gln)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)、リジン(Lys)、及びプロリン(Pro)からなる群から選ばれた1種類以上のアミノ酸である上記3記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法、
5.全芳香族ポリアミドが、下記化学式(1)に示す、1種または2種以上の2価の芳香族基がアミド結合により直接連結された全芳香族ポリアミドポリマーであって、
(ア)該芳香族基のAr、Arが、下記化学式(2)からなるホモポリマー、
(イ)該芳香族基のAr、Arが、下記化学式(3)からなるホモポリマー、
のいずれかの全芳香族ポリアミドポリマーである上記1~3のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法、
【化1】
【化2】
6.全芳香族ポリアミドが、下記化学式(1)に示す、1種または2種以上の2価の芳香族基がアミド結合により直接連結された全芳香族ポリアミドポリマーであって、
(ウ)該芳香族基のArが下記化学式(2)であり、Arが下記化学式(2)と下記化学式(3)~(6)の1種類以上が混合され、且つ化学式(2)と化学式(3)~(6)とのモル比率が10:90~90:10であるコポリマー、
である上記1~3のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法、
【化3】
【化4】
【化5】
7.全芳香族ポリアミドが、上記(ア)~(ウ)に記載の全芳香族ポリアミドポリマーを2種類以上混合した全芳香族ポリアミドポリマーである上記1~3のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法、
8.イオン液体が、カチオン種がイミダゾリウム系、アンモニウム系、ホスホニウム系、ピロリジニウム系、及びピリジニウム系からなる群から選ばれた1種類以上の非プロトン性イオン液体である上記1~3のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法、
9.イオン液体が、ピリミジン、グアニジン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(TMG)、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)、7-メチルー1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(MTBD)、1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン(THP)、1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン(DMP)、ファスファゼン塩基、及びプロアザフォスフォトラン塩基からなる群から選ばれた1種類以上のプロトン性イオン液体である上記1~3のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法、
10.イオン液体が、トリグライム(G3)とリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)との混合物、又はテトラグライム(G4)とリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)との混合物のいずれかの溶媒和系イオン液体である上記1~3のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法、
及び、
11.イオン液体が、ヒドラジンと硝酸との混合物である無機イオン液体である上記1~3のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法、
が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、廃棄したパラ型全芳香族ポリアミド繊維やアラミドフィルムを1種類以上の両性イオンを含むイオン液体に再溶解させた、溶液安定性に優れた全芳香族ポリアミド溶液が得られるので、この全芳香族ポリアミド溶液を湿式紡糸用ドープとして用いて再生全芳香族ポリアミド繊維を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細を説明する。
【0014】
<全芳香族ポリアミド>
本発明における全芳香族ポリアミドとは、化学式(1)に示した1種または2種以上の2価の芳香族基が、アミド結合により直接連結されたポリマーである。
【0015】
【化6】
【0016】
該全芳香族ポリアミドとしては、
(ア)該芳香族基のAr、Arが、下記化学式(2)からなるホモポリマー、
(イ)該芳香族基のAr、Arが、下記化学式(3)からなるホモポリマー、
【化7】
或いは、
(ウ)該芳香族基のArが下記化学式(2)であり、Arが下記化学式(2)と下記化学式(3)~(6)の1種類以上が混合され、且つ化学式(2)と化学式(3)~(6)とのモル比率が10:90~90:10であるコポリマー、
【化8】
【化9】
が使用可能である。
【0017】
これら全芳香族ポリアミドの内、上記(ウ)記載の、芳香族基のArが下記化学式(2)であり、Arが下記化学式(2)と下記化学式(3)~(6)の1種類以上が混合され、且つ化学式(2)と化学式(3)~(6)とのモル比率が10:90~90:10である全芳香族ポリアミドが好ましい。これら全芳香族ポリアミドのうちすでに工業化されたものとしてテクノーラ、コーネックス、トワロン(登録商標)(帝人株式会社製)が挙げられる。
また、本発明においては、上記(ア)~(ウ)に記載の全芳香族ポリアミドを2種類以上混合した全芳香族ポリアミドを使用しても構わない。
【0018】
これらの全芳香族ポリアミドは、繊維を製造する工程内で屑糸として発生したり、紡績糸やフィラメントとして織編物として使用されたのち、廃棄された廃棄品、或いは、アラミドフィルムの場合は、製造工程内で発生する屑フィルムや、フィルム端のスリット屑などを使用し、再溶解させて全芳香族ポリアミド溶液を得る。
【0019】
[再溶解]
再溶解に投入する繊維は、長繊維、短繊維などは混錬機での取り扱い性の良さからカットして使用することが好ましい。好ましい繊維長としては50mm未満であり、短ければ短いほど溶媒との接触面積が増え好ましい。カットする方法としては、ギロチン式カッター、ロータリー式裁断機、反毛用繊維裁断機などを用いてカットする。
【0020】
使用する繊維の繊度は10dtex以下であることが必要であり、0.5~10dtexの範囲が好ましい。10dtexより大きいと溶解しきれずに繊維が残留しやすくなる。
【0021】
カット時には飛散防止のために水分を付与することはできるが、溶解する前に乾燥する必要がある。100℃以上の温度条件で、水分率が10%以内になるようにコントロールすることが好ましい。10%以上の場合には溶解不足となるため好ましくない。
【0022】
フィルムについては厚さが25μm以下であることが必要である。厚さが25μmを越えると、溶解しきれずに樹脂が残留する。さらに、フィルムの場合は、フィルム厚さに対して垂直な面の面積が100cm以下となるよう裁断機等で裁断することが好ましく、さらに好ましくは50cm以下とすることが好まい。
【0023】
再溶解には、公知のミキサーを使用することができる、1軸のミキサー、リボンミキサー、ホモディスパー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー、及びこれらの混合ミキサーなどを使用することができる。その中でも、ホモディスパー、ホモミキサーを混合した混合ミキサーを選定するのが好ましい。
【0024】
溶解にあたっては、両性イオンを含むイオン液体をミキサー内に投入後、糸条あるいはカットされた糸条、カットされたフィルム、粉末状の重合体を該イオン液体に分散させながら加温を行い、剪断応力下にて混錬する。加温の温度は60℃以上が必要である。溶解時間を早めることが可能なことから、80℃以上がより好ましい。
【0025】
従来、全芳香族ポリアミドの溶媒には、N-メチル-ピロリドン(NMP)、N、N-ジメチルアセトアミド(DMAC)などの溶媒が用いられていたが、NMPは生殖毒性、DMACは生殖毒性、発がん性などでその危険性が指摘されており、代替溶媒としてイオン液体が期待されてきた。
【0026】
イオン液体は非プロトン性イオン液体としてはカチオンとしてイミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ピペリジニウム、4級アンモニウム、4級ホスホニウムが挙げられる。その対イオンとしてはハライド、アセテート、フォスフェート、フォスフォネート、サルフェート、ハイドロゲンサルフェート、テトラフルオロボレート、ビス(トリフルオロスルホニル)イミド、ヘキサフルオロホスフェートなどのアニオンが挙げられる(以降カチオンとアニオンの間にスペースを入れ区分する)。いずれもアルキルや芳香族基など修飾可能で、カチオンとアニオンのバランスを調整することが可能なイオン結合体である。
【0027】
上記イオン液体として、具体的には、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム アセテート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム メチルホスフォネート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム クロライド、及び1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム クロライドなどのイミダゾリウム系イオン液体や、トリブチル(エチル)ホスホニウム ジエチルホスフェート、及びトリブチル(メチル)ホスホニウムジ メチルホスフェートなどのホスホニウム系イオン液体などが挙げられる。
【0028】
このイオン結合体として一般的には塩化ナトリウムのように原子イオン同士のイオン対の場合にはイオンが局在化していないため、イオン結合力が高く、結果として融点の高い結晶となる。一方、イオン液体として用いられるものは分子内にイオンが局在化されているため、イオン結合力は低く、融点が低い。さらに、揮発性も低く、分子溶媒と比較すると安全性に優れていると考えられている。
【0029】
また、プロトン性イオン液体としては有機塩基類を用いることが可能である。そのような有機塩基類としてはピリミジン、グアニジン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(TMG)、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(MTBD)、1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン(THP)、1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン(DMP)、ファスファゼン塩基、プロアザフォスフォトラン塩基が挙げられる。
【0030】
これら有機塩基類に塩酸、酢酸などの酸と中和反応を起こさせることにより、プロトン性イオン液体として使用することが可能となる。また、溶媒和イオン液体としてはトリグライム(G3)、テトラグライム(G4)とリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)との混合物が挙げられる。さらに無機イオン液体としてはヒドラジンと硝酸との混合物が挙げられ、本発明ではこれらイオン液体のいずれかの内、1種類以上を使用する。
【0031】
本発明においては、このイオン液体に対して、1種類以上の両性イオンを、0.1~40モル%の比率で混ぜ合わせ、全芳香族ポリアミドを溶解する混合溶媒とする。
この際使用する両性イオンは、カルボキシ基(-COO-)、スルホ基(-SO-)、及びリン酸基(-OPO-)からなる群から選ばれた1種類以上のアニオン、並びにアミノ基(-NH )、及び4級アンモニウム基(-NR )からなる群から選ばれた1種類以上のカチオンを1分子内に有する化合物からなり、中でも、両性イオンが、分子内に1官能基以上のカルボキシ基とアミノ基を有するアミノ酸、アミノ酸をN-アシル化したアミノ酸型両性界面活性剤、アニオン部分がカルボキシ基、スルホ基でカチオン部分が第4級アンモニウム基からなるベタイン型両性界面活性剤、及びアニオン部分がリン酸基でカチオン基が第4級アンモニウム基もしくはアミノ基からなるレシチン型両性界面活性剤からなる群から選ばれた1種類以上の両性イオンであることが好ましい。
【0032】
尚、分子内に1官能基以上のカルボキシ基とアミノ基を有するアミノ酸の具体例としては、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、メチオニン(Met)、バリン(Val)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、アスパラギン(Asn)、システイン(Cys)、グルタミン(Gln)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)、リジン(Lys)、及びプロリン(Pro)などが挙げられる。
【0033】
上記全芳香族ポリアミドと、両性イオンを含むイオン液体との質量比は0.5:99.5~10:90である。全芳香族ポリアミドの質量比率が0.5質量%未満の場合には全芳香族ポリアミド溶液を紡糸ドープとして使用した場合に、糸として採取することができない。また、全芳香族ポリアミドの質量比率が10質量%を越える場合には粘度が高くなりすぎて、紡糸ドープとすることができない。全芳香族ポリアミドとイオン液体との好ましい質量比は0.5:99.5~8:92であり、さらに好ましい質量比は0.5:99.5~5:95である。
【0034】
上記両性イオンを含むイオン液体を用いて全芳香族ポリアミドを溶解させた全芳香族ポリアミド溶液を用いることにより、湿式成形を行うことが可能となる。湿式成形に使用する凝固液としては水やアルコール類が使用可能で、イオン液体とこれら水、アルコール類との混合液を回収することも可能となる。
【0035】
従来技術においては、紡糸溶液に使用される溶媒にN-メチルピロリドン(NMP)と、無機塩として塩化カルシウムを用いて全芳香族ポリアミド樹脂を溶解し、これを紡糸ドープとして貧溶媒に水を用いて紡糸した場合、溶媒としてNMPを再度回収する際には蒸留して水を揮発させ、またNMPから塩カルを抽出によって除去する必要があり、多大なエネルギーを使用していた。しかしながら、本発明のイオン液体を用いた場合にはN-メチルピロリドン(NMP)を使用せず、無機塩を使用していないため、膜分離方法などを採用することができる。
【実施例0036】
以下、実施例および比較例により、本発明詳細に説明するが、本発明の範囲は、以下の実施例及び比較例に制限されるものではない。また、実施例中の各物性は以下の方法により測定した。
【0037】
(1)顕微鏡による未溶解部の観察
得られた全芳香族ポリアミド溶液を一昼夜静置したのち、デカンテーションで上部の溶液を取り除き、下部の溶液を顕微鏡観察のために採取した。粘度が高すぎて、デカンテーションができない場合にはスパチュラ等で上部の液を取り除き、下部の溶液を顕微鏡観察のために採取した。採取した溶液をガラスプレートに挟み込み、顕微鏡を用いて溶解した全芳香族ポリアミド溶液を200倍で観察し、未溶解物があるか否かを確認した。3回同じ観察を行い、下記の基準で溶解の可否を判断した。
溶解:長さ100μm以上の未溶解物がなく、繊維屑、又はフィルム屑を完全に溶解できた。
一部溶解:長さ100μm以上の未溶解物が多少あり、繊維屑、又はフィルム屑の一部しか溶解できなかった。
溶解せず:長さ100μm以上の未溶解物が多数あり、繊維屑、またはフィルム屑を溶解できなかった。
【0038】
<実施例1>
[全芳香族ポリアミド繊維の製造]
反応容器にN-メチル-ピロリドン(NMP)を入れ、p-フェニレンジアミン(PPD)、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル(3,4-DAPE)を等モルとなるように秤量して溶解させた。このジアミン溶液にテレフタル酸ジクロライド(TPC)をジアミン総モル量と略等モルとなるように秤量し加えた。反応終了後、水酸化カルシウムで中和し、全芳香族ポリアミド溶液を得た。
【0039】
該溶液をそのまま紡糸ドープとして用い、孔径0.3mm、口数100ホールの紡糸口金から吐出し、エアギャップ約10mmを介してNMP濃度30質量%の水溶液中に紡糸した。その後、水洗、乾燥し、温度500℃下で10倍に延伸した後、巻き取ることにより、単糸繊度が1.67dtexの全芳香族ポリアミド繊維(コポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維)を得た。
この方法で製造された繊維の内、繊度異常で製品とならなかった繊維屑(単糸繊度1.5dtex)をギロチンカッターで3mmにカットし、再溶解に用いた。
【0040】
[再溶解]
1-エチル-3-メチルイミダゾリウム アセテート5000gにアスパラギンを260g加えて、80℃に加温し、溶解させた。得られた1-エチル-3-メチルイミダゾリウム アセテートとアスパラギンの混合溶液4,700gに、3mmにカットされた繊維屑を300g投入し、プラネタリーミキサーで窒素雰囲気下、80℃で加温しながら剪断応力下にて1時間混錬した。
尚、繊維屑を溶解したものをポリマーと称すことがある。上記実施例1の場合、ポリマー濃度は6質量%となる。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物はなく、繊維屑を溶解できたことが確認できた。
【0041】
<実施例2>
[全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例1において、得られる全芳香族ポリアミド繊維の単糸繊度を8dtex(繊維屑の単糸繊度:9dtex)とする以外は実施例1と同様に実施した。
【0042】
[再溶解]
実施例1と同様に実施した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物はなく、繊維屑を溶解できたことが確認できた。
【0043】
<実施例3>
[全芳香族ポリアミドフィルムの製造]
反応容器にN-メチル-ピロリドン(NMP)を入れ、2-クロロ-p-フェニレンジアミン(Cl-PPD)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(4,4-DAPE)をモル比が85:15となるように秤量して溶解させた。このジアミン溶液にクロロテレフタル酸ジクロライド(Cl-TPC)をジアミン総モル量に対し98.5モル%となるように秤量し加えた。反応終了後、塩化水素:炭酸リチウムのモル比が100:98.5となるように炭酸リチウムを添加して中和し、更に塩化水素:トリエタノールアミンのモル比が100:10となるようにトリエタノールアミンを加え、ポリマー濃度が10質量%の全芳香族ポリアミド溶液を得た。
【0044】
該溶液をそのままドープとして用い、フィルムの成膜に用いた。該ドープをステンレス金属フィルターを介して濾過した後、流延機上のステンレス製ベルト上にキャストし、走行するベルト上で180℃の熱風で2分間加熱し、溶媒を蒸発させて膜体を得た。
得られた膜体を剥離し、溶媒抽出処理装置で溶媒抽出しながら、縦方向に1.15倍延伸した。その後横延伸機にて1.3倍に延伸し、厚さ5μmのフィルムを得た。
この方法で製造されたフィルムの内、厚さ異常で製品とならなかったフィルム屑(厚さ3.2μm)を、フィルム裁断機でフィルム厚さに対して垂直な面の面積が3cmとなるように裁断した。
【0045】
[再溶解]
実施例1において、繊維屑の代わりに上記フィルム屑を用いる以外は、実施例1と同様に実施した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物はなく、フィルム屑を溶解できたことが確認できた。
【0046】
<実施例4>
[全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例1において、コポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維に代えて、コーネックス繊維(帝人(株)製、イソフタル酸クロライド(IPC)とメタフェニレンジアミン(MPD)からなるポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維、単糸繊度3dtex)を用いる以外は実施例1と同様に実施した。
【0047】
[再溶解]
実施例1と同様に実施した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物はなく、繊維屑を溶解できたことが確認できた。
【0048】
<実施例5>
[全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例1と同様に実施した。
【0049】
[再溶解]
実施例1において、アスパラギンをアスパラギン酸に変更する以外は実施例1と同様に実施した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物はなく、繊維屑を溶解できたことが確認できた。
【0050】
<実施例6>
[全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例1と同様に実施した。
【0051】
[再溶解]
実施例1において、アスパラギンをトリプトファンに変更する以外は実施例1と同様に実施した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物はなく、繊維屑を溶解できたことが確認できた。
【0052】
<実施例7>
[全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例1と同様に実施した。
【0053】
[再溶解]
実施例1において、イオン液体をトリブチル(エチル)ホスホニウム ジエチルホスフェートに変更する以外は実施例1と同様に実施した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物はなく、繊維屑を溶解できたことが確認できた。
【0054】
<比較例1>
[全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例1において、得られる全芳香族ポリアミド繊維の単糸繊度を18dtex(繊維屑の単糸繊度:19dtex)とする以外は実施例1と同様に実施した。
【0055】
[再溶解]
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物が多数あり、繊維屑を溶解できなかった。
【0056】
<比較例2>
[全芳香族ポリアミドフィルムの製造]
実施例3において、フィルムの厚さを30μmとする以外は実施例3と同様に実施した。
【0057】
[再溶解]
実施例3と同様に実施した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物が多数あり、フィルム屑を溶解できなかった。
【0058】
<比較例3>
[全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例1と同様に実施した。
【0059】
[再溶解]
実施例1において、アスパラギンを4,100g(イオン液体に対する両性イオンの比率が50モル%)用いる以外は実施例1と同様に実施し、全芳香族ポリアミド溶液を得ようとしたが、溶液中に未溶解のアスパラギンが多量に残留し、溶液として使用することができなかった。
【0060】
<比較例4>
[全芳香族ポリアミドフィルムの製造]
実施例3と同様に実施した。
【0061】
[再溶解]
実施例3において、アスパラギンを用いずに1-エチル-3-メチルイミダゾリウム アセテートだけを4,275g、カットされたフィルム屑を725g用いる以外は実施例3と同様に実施した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物が多数あり、フィルム屑を溶解できなかった。
【0062】
<比較例5>
[全芳香族ポリアミドフィルムの製造]
実施例3と同様に実施した。
【0063】
[再溶解]
実施例3において、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム アセテートとアスパラギンの混合溶液4,200g、カットされたフィルム屑を800g投入する以外は実施例3と同様に実施した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物が多数あり、フィルム屑を溶解できなかった。
【0064】
<比較例6>
[全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例1と同様に実施した。
【0065】
[再溶解]
実施例1において、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム アセテートとアスパラギンの混合溶液4,980g、カットされた繊維屑を20g用いる以外は実施例1と同様に実施した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物はなく、繊維屑を溶解できたことが確認できたが、該全芳香族ポリアミド溶液を紡糸ドープとして使用しようとした場合、繊維状に成形を行うことができなかった。
上記実施例、比較例の結果を表1、表2に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、廃棄したアラミド繊維やアラミドフィルム等のアラミドを溶解可能とする高い溶解性を示し、工程の安定化に優れた全芳香族アミド溶液の製造法が提供されるので、本発明の産業上の利用可能性は高く、その工業的価値は極めて大きい。