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特開2024-82719全芳香族ポリアミド溶液の製造方法及びそれを用いた全芳香族ポリアミド繊維の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082719
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】全芳香族ポリアミド溶液の製造方法及びそれを用いた全芳香族ポリアミド繊維の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/09 20060101AFI20240613BHJP
   D01F 6/90 20060101ALI20240613BHJP
   D01F 6/60 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
C08J3/09 CFG
D01F6/90 331
D01F6/60 371Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196760
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】周 宗揚
(72)【発明者】
【氏名】曽根原 悟
【テーマコード(参考)】
4F070
4L035
【Fターム(参考)】
4F070AA54
4F070AB26
4F070AC39
4F070AC40
4F070AC45
4F070AC66
4F070AE28
4F070CA11
4F070CB05
4F070CB11
4L035AA04
4L035BB04
4L035BB07
4L035BB11
4L035BB16
4L035DD19
4L035MG02
4L035MG04
(57)【要約】
【課題】無機塩を使用することなく、廃棄したアラミド繊維や産業繊維屑などのアラミド繊維を溶解可能な高い溶解性を示し、工程の安定化に優れた全芳香族アミド溶液の製造法を提供する。
【解決手段】単糸繊度が10dtex以下のパラ型全芳香族ポリアミド繊維又はメタ型全芳香族ポリアミド繊維を、イオン液体と、植物由来の有機溶媒とを、パラ型全芳香族ポリアミド繊維の場合は50:50~60:40の質量比率で、またメタ型全芳香族ポリアミド繊維の場合は20:80~80:20の質量比率で混合した電解質溶媒と接触させて混合物とした後、該混合物を70℃以上に加温しながら剪断応力下にて混錬する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単糸繊度が10dtex以下のパラ型全芳香族ポリアミド繊維又はメタ型全芳香族ポリアミド繊維を、イオン液体と、植物由来の有機溶媒とを、パラ型全芳香族ポリアミド繊維の場合は50:50~60:40の質量比率で、またメタ型全芳香族ポリアミド繊維の場合は20:80~80:20の質量比率で混合した電解質溶媒と接触させて混合物とした後、該混合物を70℃以上に加温しながら剪断応力下にて混錬することを特徴とする全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【請求項2】
パラ型全芳香族ポリアミド繊維又はメタ型全芳香族ポリアミド繊維が、酸成分とジアミン成分から構成されるパラ型又はメタ型全芳香族コポリアミドであって、酸成分としてテレフタル酸ジクロライド(以下第一成分という)を含み、ジアミン成分としてパラフェニレンジアミン又はメタフェニレンジアミン(以下第二成分という)、及び3,3’オキシジフェニレンジアミン、又は3,4’オキシジフェニレンジアミン、又は4,4’オキシジフェニレンジアミンのうちのいずれか一つ、もしくはそれらの混合物(以下第三成分という)を含んでなり、該ジアミン成分における第二成分と第三成分とのモル比率が20:80~80:20である請求項1に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【請求項3】
イオン液体が、分子内のアルキル鎖に7以下の炭素原子を含むイミダゾリウム系イオン液体である請求項1又は2に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【請求項4】
イオン液体が1-エチル-3-メチルイミダゾリウム クロライド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム クロライド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム クロライド、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム クロライド、及び1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム クロライドからなる群から選ばれる少なくとも1種のイオン液体である請求項1又は2に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【請求項5】
植物由来の有機溶媒がジヒドロレボグルコセノン、γ-バレルラクトンである請求項1又は2に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の製造方法により得られた全芳香族ポリアミド溶液を湿式紡糸用ド-プとして用いることを特徴とする全芳香族ポリアミド繊維の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全芳香族ポリアミド(以下、アラミドと称する場合がある)溶液の製造方法に関するものであり、さらに詳しくはメタ型及びパラ型アラミド繊維を有効に再利用するために、メタ型及びパラ型アラミド繊維屑を溶媒に再溶解し、アラミド溶液を製造する方法に関するものである。さらには、それを用いた全芳香族ポリアミド繊維の製造方法。
【背景技術】
【0002】
アラミド繊維はその高強度、高弾性率、耐薬品性の特性を生かし、産業資材用途や機能性衣料などに活用されている。一方、これらのアラミド繊維製品を廃棄する際は、化学的安定性及び難燃性の観点から焼却処分等の行うことが非常に難しいため、埋め立てによる処分が一般的であり、産業用繊維として利用されている状況から多量のアラミド繊維廃棄物が大きな環境負荷を与えることが問題となっている。
【0003】
さらに、近年では高機能繊維製品の需要が持続的成長を求められ、繊維産業においてもリサイクルを求める声が高まってきている。このような背景のもと、アラミド繊維を有効活用する目的で、廃棄したアラミド繊維または産業繊維屑を溶剤に再溶解してポリマ-溶液(ド-プ)とし、リサイクルする方法が検討されてきた。
【0004】
上記のような問題に対し、アラミド繊維を再溶解する方法がいくつか報告されている。例えば、特開2009-40871号公報(特許文献1)では、溶解性の乏しい、パラ型アラミドを4級アンモニウム塩と非プロトン性の極性溶媒を用いて、溶解したアラミド溶液について記載されている。このように全芳香族ポリアミド繊維を再溶解し、アラミド溶液にすることは、環境負荷低減に加え、全芳香族ポリアミド繊維のリサイクル・再利用可能性を示した。しかしながら、上記の方法は全芳香族ポリアミドを溶解することが可能な濃度が極めて低く、フッ化水素等の発生も考えられ、工業的な使用には適さない。
【0005】
さらに、代替溶剤として検討されたものとして、WO2015/158866号(特許文献2)では部分的に溶解する溶媒として、イオン液体の使用が提案されている。しかしこれらの溶剤を用いても溶解度は低く、廃棄したアラミド繊維から作成したド-プの粘性が極めて高く、再度凝固して繊維やフィルム等の固形物を得ることは困難であった。
【0006】
一方、Green Chem.,2020,22,6127-6136(非特許文献1)ではイオン液体と有機溶媒を混合した溶媒系の使用が提案されている。しかし、ポリマ-を溶解する場合は、イオン液体のみを使用した場合より高い溶解性を示すものの、高い配向性を有するアラミド繊維に対して、溶解性が低い。
【0007】
したがって、上記のようなアラミド繊維の再溶解方法として、廃棄したアラミド繊維または産業繊維屑等のアラミド繊維を高い溶解度で溶解できる溶媒が開発できれば工業的に非常に有用なものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009-40871号公報
【特許文献2】WO2015/158866号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Green Chem.,2020,22,6127-6136
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的としては、かかる従来技術における問題点を解消し、無機塩を使用することなく、廃棄したアラミド繊維や産業繊維屑などのアラミド繊維を溶解可能な高い溶解性を示し、工程の安定化に優れた全芳香族ポリアミド溶液の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討をおこなった結果、メタ型及びパラ型全芳香族ポリアミド繊維を、イオン液体と有機溶媒とを混合した電解質溶媒と接触、混合させた混合物を剪断応力下にて混錬するとき、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明によれば、
1.単糸繊度が10dtex以下のパラ型全芳香族ポリアミド繊維又はメタ型全芳香族ポリアミド繊維を、イオン液体と植物由来の有機溶媒とを、パラ型全芳香族ポリアミド繊維の場合は50:50~60:40の質量比率で、またメタ型全芳香族ポリアミド繊維の場合は20:80~80:20の質量比率で混合した電解質溶媒と接触させて混合物とした後、該混合物を70℃以上に加温しながら剪断応力下にて混錬することを特徴とする全芳香族ポリアミド溶液の製造方法、
2.パラ型全芳香族ポリアミド繊維又はメタ型全芳香族ポリアミド繊維が、酸成分とジアミン成分から構成されるパラ型又はメタ型全芳香族コポリアミドであって、酸成分としてテレフタル酸ジクロライド(以下第一成分という)を含み、ジアミン成分としてパラフェニレンジアミン又はメタフェニレンジアミン(以下第二成分という)、及び3,3’オキシジフェニレンジアミン、又は3,4’オキシジフェニレンジアミン、又は4,4’オキシジフェニレンジアミンのうちのいずれか一つ、もしくはそれらの混合物(以下第三成分という)を含んでなり、該ジアミン成分における第二成分と第三成分とのモル比率が20:80~80:20である上記1に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法、
3.イオン液体が、分子内のアルキル鎖に7以下の炭素原子を含むイミダゾリウム系イオン液体である上記1又は2に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法、
4.イオン液体が1-エチル-3-メチルイミダゾリウム クロライド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム クロライド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム クロライド、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム クロライド、及び1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム クロライドからなる群から選ばれる少なくとも1種のイオン液体である上記1又は2に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法、
5.有機溶媒がジヒドロレボグルコセノン(商品名CYRENE)、γ-バレルラクトン、である上記1又は2に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法、
及び、
6.上記1に記載の製造方法により得られた全芳香族ポリアミド溶液を湿式紡糸用ド-プとして用いることを特徴とする全芳香族ポリアミド繊維の製造方法、
が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、パラ型及びメタ型全芳香族ポリアミド繊維をイオン液体と有機溶媒とを混合した電解質溶媒に再溶解させた、溶液安定性に優れた全芳香族ポリアミド溶液が得られるので、この全芳香族ポリアミド溶液を湿式紡糸用ド-プとして用いて再生全芳香族ポリアミド繊維を得ることができる。
【0014】
また、電解質溶媒の構成成分の沸点が大きく異なるので、イオン液体及び有機溶媒をそれぞれ簡単に分離、回収することができ、循環再利用することが可能であるので、環境負荷低減へ大きく貢献でき、廃棄資源再利用への価値も極めて大きい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細を説明する。
【0016】
<全芳香族ポリアミド>
本発明における全芳香族ポリアミドは、酸成分とジアミン成分から構成されるパラ型又はメタ型全芳香族コポリアミドであって、中でも全芳香族ポリアミドが、酸クロライド成分とジアミン成分から構成されるパラ型全芳香族コポリアミド又はメタ型全芳香族ポリアミドであって、酸成分としてテレフタル酸ジクロライド(以下第一成分という)を含み、ジアミン成分としてパラフェニレンジアミン又はメタフェニレンジアミン(以下第二成分という)、及び3,3’オキシジフェニレンジアミン、又は3,4’オキシジフェニレンジアミン、又は4,4’オキシジフェニレンジアミンのうちのいずれか一つ、もしくはそれらの混合物(以下第三成分という)を含んでなり、該ジアミン成分における第二成分と第三成分とのモル比率が20:80~80:20であるパラ型又はメタ型全芳香族コポリアミドであることが好ましい。これら全芳香族ポリアミドからなる繊維のうちすでに工業化されたものとしてテクノ-ラ(帝人株式会社製)及びコ-ネックス(帝人株式会社製)が挙げられる。
【0017】
これらの繊維は製造する工程内で屑糸として発生したり、混紡して紡績糸やフィラメントとして織編物として使用されたのち、廃棄される。このようにして発生した屑糸や廃棄品を用いて再溶解させる。
【0018】
[再溶解]
長繊維、短繊維などは混錬機での取り扱い性の良さからカットして使用することが好ましい。好ましい繊維長としては40mm以下であり、より好ましくは0.5~30mm、さらに好ましくは0.5~10mmである。
カットする方法としては、ギロチンカッタ-、ロ-タリ-式裁断機、反毛用繊維裁断機などを用いてカットする。
【0019】
使用する繊維の繊度は10dtex以下であることが必要であり、0.5~10dtexの範囲が好ましい。該繊度10dtexより大きいと溶解しきれずに繊維が残留しやすくなる。
【0020】
カット時には飛散防止のために水分を付与することはできるが、溶解する前に乾燥する必要がある。100℃以上の温度条件で、水分率が10%以内になるようにコントロ-ルすることが好ましい。10%以上の場合には溶解不足となるため好ましくない。
【0021】
再溶解には、公知のミキサ-を使用することができる、1軸のミキサ-、リボンミキサ-、プラネタリ-ミキサ-などを使用することができる。その中でも、プラネタリ-ミキサ-を選定するのが好ましい。
【0022】
溶解にあたっては、イオン液体と植物由来の有機溶媒とを混合した電解質溶媒をミキサ-内に投入後、全芳香族ポリアミド繊維糸条あるいはカットされた糸条、粉末状の全芳香族ポリアミド重合体を該電解質溶媒に分散させる。分散させながら、加温を行う。加温の温度は70℃以上が必要である。特に、溶解させる全芳香族ポリアミド繊維がパラ型全芳香族ポリアミド繊維の場合、溶解性を高める観点から、加温の温度は90℃以上が好ましい。そして、前記加温しながら剪断応力下にて混錬することが必要である。
【0023】
総じて、本発明の全芳香族ポリアミド溶液は、全芳香族ポリアミド繊維を、イオン液体と、植物由来の有機溶媒と混合した電解質溶媒と接触させて混合物とした後、該混合物を70℃以上に加温しながら剪断応力下にて混錬する必要がある。
【0024】
従来、溶媒にはN-メチル-ピロリドン(NMP)、N、N-ジメチルアセトアミド(DMAC)などの溶媒が用いられていたが、NMPは生殖毒性、DMACは生殖毒性、発がん性などの危険性が指摘されており、代替溶媒としてイオン液体が期待されてきた。
【0025】
イオン液体はカチオンとしてイミダゾリウム系が挙げられる。その対イオンとしてはクロライドなどのハライドが挙げられ、いずれもアルキルや芳香族基など修飾可能で、カチオンとアニオンのバランスを調整することが可能なイオン結合体である。
【0026】
このイオン結合体として一般的には塩化ナトリウムのように原子イオン同士のイオン対の場合にはイオンが局在化していないため、イオン結合力が高く、結果として融点の高い結晶となる。一方、イオン液体として用いられるものは分子内にイオンが局在化されているため、イオン結合力は低く、融点が低い。さらに、揮発性も低く、分子溶媒と比較すると安全性に優れていると考えられている。
【0027】
本発明において使用する、イオン液体を検討した結果、分子内のアルキル鎖に7以下の炭素原子を含むイミダゾリウム系イオン液体が好ましいイオン液体の一つとして挙げられる。
【0028】
好ましいイオン液体のカチオン種としては下記分子式(1)のR1がメチル基で、R2が炭素数1以上10以下のアルキル基であるイミダゾリウム系イオンが好ましい。R2が炭素数2以上8以下のアルキル基であるイミダゾリウム系イオンがさらに好ましい。炭素数が10を超えると粘度が高くなりすぎ、得られる全芳香族ポリアミド溶液の粘度高くなりすぎ、好ましくない。アニオン種としてはClが好ましい。
【0029】
【化1】
【0030】
これらカチオンとアニオンの組合せは任意であるが(以降カチオン種とアニオン種の間にスペ-スを入れ区分する)、溶解性およびイオン液体の割合(コスト)の観点から、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム クロライド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム クロライド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム クロライド、1-デシル-3-メチルイミダゾリウム クロライド、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム クロライド、及び1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム クロライドからなる群から選ばれる少なくとも1種のイオン液体などが例示され、パラ型全芳香族ポリアミドの場合は1-エチル-3-メチルイミダゾリウム クロリドが特に好ましく、メタ型全芳香族ポリアミドの場合は1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム クロライドが特に好ましい。
【0031】
また、本発明で使用する植物由来の有機溶媒としては、ジヒドロレボグルコセノン(商品名CYRENE)、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレンなどが挙げられ、これら植物由来の有機溶媒は1種単独であっても、2種以上を混合した混合溶媒であっても差し支えない。
【0032】
全芳香族ポリアミドを溶解する電解質溶媒における、イオン液体と、植物由来の有機溶媒との混合割合を検討した結果、パラ型全芳香族ポリアミド繊維を溶解させる場合は50:50~60:40の質量比率で、またメタ型全芳香族ポリアミド繊維を溶解させるの場合は20:80~80:20の質量比率で混合することが肝要である。
【0033】
パラ型全芳香族ポリアミド繊維を溶解させる場合、イミダゾリウム系イオン液体の質量比率が50質量%未満または60質量%を越える場合、全芳香族ポリアミド糸屑などが溶解することができない。一方、メタ型全芳香族ポリアミド繊維を溶解させる場合は、イミダゾリウム系イオン液体の質量比率が20質量%未満または80質量%を越える場合、全芳香族ポリアミド糸屑などが溶解することができない。
【0034】
本発明においては、上記電解質溶媒を用いた全芳香族ポリアミド溶液を用いて上述した湿式紡糸を行うことが可能となる。この際、上記パラ型全芳香族ポリアミドと電解質溶媒との質量比は0.5:99.5~10:90が好ましい。全芳香族ポリアミドの質量比率が0.5質量%未満の場合には全芳香族ポリアミド溶液を紡糸ド-プとして使用した場合に、糸として採取することができない場合がある。また、全芳香族ポリアミドの質量比率が10質量%を越える場合には粘度が高くなりすぎて、紡糸ド-プとすることができない場合がある。
尚、上記全芳香族ポリアミドがメタ型全芳香族ポリアミドの場合、全芳香族ポリアミドと電解質溶媒との好ましい質量比は15:85~35:65である。
【0035】
湿式紡糸に使用する凝固液としては水やアルコ-ル類が使用可能で、これら水、アルコ-ル類との混合液を回収することも可能である。従来技術では紡糸溶液に使用される溶媒にN-メチルピロリドン(NMP)と無機塩として塩化カルシウムを用いて全芳香族ポリアミドを溶解していた。これを紡糸ド-プとして貧溶媒に水を用いて紡糸した際に、溶媒としてNMPを再度回収する際には蒸留し水を揮発させ、またNMPから塩カルを抽出によって除去する必要があり、多大なエネルギ-を使用していた。しかしながら、本発明の如く電解質溶媒を用いた場合にはN-メチルピロリドン(NMP)及び無機塩を使用していないため、膜分離方法を採用することができ、従来リサイクルが困難とされていた全芳香族ポリアミド繊維のリサイクルを容易に実施することが可能となった。
【実施例0036】
以下、実施例および比較例により、本発明詳細に説明するが、本発明の範囲は、以下の実施例及び比較例に制限されるものではない。また、実施例中の各物性は以下の方法により測定した。
【0037】
(1)顕微鏡による溶解有無の観察
得られた全芳香族ポリアミド溶液を一昼夜静置したのち、デカンテ-ションで上部の溶液を取り除き、下部の溶液を顕微鏡観察のために採取した。粘度が高すぎて、デカンテ-ションができない場合にはスパチュラ等で上部の液を取り除き、下部の溶液を顕微鏡観察のために採取した。採取した溶液をガラスプレ-トに挟み込み、顕微鏡を用いて、溶解した全芳香族ポリアミド溶液を200倍で観察し、未溶解物があるか否かを確認した。3回同じ観察を行い、下記の基準で溶解の可否を判断した。
溶解:長さ100μm以上の未溶解物がなく、繊維屑を完全に溶解できた。
一部溶解:長さ100μm以上の未溶解物が多少あり、繊維屑の一部しか溶解できなかった。
溶解せず:長さ100μm以上の未溶解物が多数あり、繊維屑を溶解できなかった。
【0038】
[実施例1]
[パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
反応容器にN-メチル-ピロリドン(NMP)を入れ、p-フェニレンジアミン、3,4’-ジアミノジフェニルエ-テルを等モルとなるように秤量して溶解させた。このジアミン溶液にテレフタル酸ジクロライドをジアミン総モル量と略等モルとなるように秤量し加えた。反応終了後、水酸化カルシウムで中和し、全芳香族ポリアミド溶液を得た。
【0039】
該溶液をそのまま紡糸ド-プとして用い、紡糸口金から吐出し、エアギャップを介して一定濃度のNMP水溶液中で紡糸した。その後、水洗、乾燥し、高温下で延伸された後、巻き取ることにより、単糸繊度が1.67dtexのパラ型全芳香族ポリアミド繊維(コポリパラフェニレン・3,4’-オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維)を得た。
上記方法で製造された繊維の内、繊度異常で製品とならなかった繊維屑(単糸繊度1.5dtex)をギロチンカッタ-で3mmにカットし、再溶解に用いた。
【0040】
[再溶解]
3mmにカットされた繊維屑を120℃で2時間乾燥した。プラネタリ-ミキサ-に1-エチル-3-メチルイミダゾリウム クロライドを2350g、ジヒドロレボグルコセノン(商品名CYRENE)を2350g、合計で4,700g、乾燥した繊維屑を300g投入し、窒素雰囲気下、剪断応力下にて100℃で1時間混錬した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物はなく、繊維屑を溶解できたことが確認できた。
【0041】
<実施例2>
[パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例1と同様に実施した。
【0042】
[再溶解]
3mmにカットされた繊維屑を120℃で2時間乾燥した。プラネタリ-ミキサ-に1-エチル-3-メチルイミダゾリウム クロライドを2820g、ジヒドロレボグルコセノン(商品名CYRENE)を1880g、合計で4,700g、乾燥した繊維屑を300g投入し、窒素雰囲気下、剪断応力下にて100℃で1時間混錬した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物はなく、繊維屑を溶解できたことが確認できた。
【0043】
<実施例3>
[パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例1と同様に実施した。
【0044】
[再溶解]
実施例2において、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム クロライドの代わりに1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム クロライドを投入する以外は実施例2と同様に実施した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物はなく、繊維屑を溶解できたことが確認できた。
【0045】
<実施例4>
[パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例1と同様に実施した。
【0046】
[再溶解]
実施例2において、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム クロライドの代わりに1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム クロライドを投入する以外は実施例2と同様に実施した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物はなく、繊維屑を溶解できたことが確認できた。
【0047】
<実施例5>
[パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例1と同様に実施した。
【0048】
[再溶解]
実施例2において、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム クロライドの代わりに1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム クロライドを投入する以外は実施例2と同様に実施した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物はなく、繊維屑を溶解できたことが確認できた。
【0049】
<実施例6>
[パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例1と同様に実施した。
【0050】
[再溶解]
実施例2において、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム クロライドの代わりに1-デシル-3-メチルイミダゾリウム クロライドを投入する以外は実施例2と同様に実施した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物はなく、繊維屑を溶解できたことが確認できた。
【0051】
<比較例1>
[パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例1と同様に実施した。
【0052】
[再溶解]
3mmにカットされた繊維屑を120℃で2時間乾燥した。プラネタリ-ミキサ-に1-エチル-3-メチルイミダゾリウム クロライドを940g、ジヒドロレボグルコセノン(商品名CYRENE)を3760g、合計で4,700g、乾燥した繊維屑を300g投入し、窒素雰囲気下、剪断応力下にて100℃で1時間混錬した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物が多数あり、繊維屑を溶解できなかった。
【0053】
<比較例2>
[パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例1と同様に実施した。
【0054】
[再溶解]
3mmにカットされた繊維屑を120℃で2時間乾燥した。プラネタリ-ミキサ-に1-デシル-3-メチルイミダゾリウム クロライドを940g、ジヒドロレボグルコセノン(商品名CYRENE)を3760g、合計で4,700g、乾燥した繊維屑を300g投入し、窒素雰囲気下、剪断応力下にて100℃で1時間混錬した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物が多数あり、繊維屑を溶解できなかった。
【0055】
<比較例3>
[パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例1と同様に実施した。
【0056】
[再溶解]
3mmにカットされた繊維屑を120℃で2時間乾燥した。プラネタリ-ミキサ-に1-デシル-3-メチルイミダゾリウム クロライドを1880g、ジヒドロレボグルコセノン(商品名CYRENE)を2820g、合計で4,700g、乾燥した繊維屑を300g投入し、窒素雰囲気下、剪断応力下にて100℃で1時間混錬した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物が多少あり、繊維屑の一部しか溶解できなかった。
【0057】
<比較例4>
[パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例1と同様に実施した。
【0058】
[再溶解]
3mmにカットされた繊維屑を120℃で2時間乾燥した。プラネタリ-ミキサ-に1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム クロライドを1786g、ジヒドロレボグルコセノン(商品名CYRENE)を2914g、合計で4,700g、乾燥した繊維屑を300g投入し、窒素雰囲気下、100℃で1時間混錬した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物が多数あり、繊維屑を溶解できなかった。
【0059】
<比較例5>
[パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例1と同様に実施した。
【0060】
[再溶解]
3mmにカットされた繊維屑を120℃で2時間乾燥した。プラネタリ-ミキサ-に1-デシル-3-メチルイミダゾリウム クロライドを3760g、ジヒドロレボグルコセノン(商品名CYRENE)を940g、合計で4,700g、乾燥した繊維屑を300g投入し、窒素雰囲気下、100℃で1時間混錬した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、溶液が白濁しており、長さ100μm以上の未溶解物が多数あり、繊維屑を溶解できなかった。
【0061】
<比較例6>
[パラ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例1と同様に実施した。
【0062】
[再溶解]
3mmにカットされた繊維屑を120℃で2時間乾燥した。プラネタリ-ミキサ-に1-デシル-3-メチルイミダゾリウム クロライドを4,700g、乾燥した繊維屑を300g投入し、窒素雰囲気下、100℃で1時間混錬した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物が多数あり、繊維屑を溶解できなかった。
【0063】
<実施例7>
[メタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
特公昭47-10863号公報に準じた界面重合により、メタフェニレンイソフタルアミドである重合体粉末を合成した。この際、酸クロライドモノマ-はイソフタル酸クロライドを使用した。また、アミンモノマ-はメタフェニレンジアミンを使用した。重量平均分子量は80万程度であった。この重合体粉末及び塩化カルシウムをN-メチル-ピロリドン(NMP)に溶解させ、透明なポリマ-溶液を得た。この際、ポリマ-溶液に対して、アラミド重合体の濃度が16質量%、塩化カルシウムが3質量%になるように調製した。
【0064】
該溶液を85℃に加温し紡糸ド-プとして用い、紡糸口金から一定濃度のNMP水溶液中に吐出し紡糸した。その後、水洗、乾燥し、高温下で延伸した後、巻き取ることにより、単糸繊度が8dtexのメタ型全芳香族ポリアミド繊維(ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維)を得た。
この方法で製造された繊維の内、繊度異常で製品とならなかった繊維屑(単糸繊度9dtex)をギロチンカッタ-で3mmにカットし、再溶解に用いた。
【0065】
[再溶解]
3mmにカットされた繊維屑を120℃で2時間乾燥した。プラネタリ-ミキサ-に1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム クロライドを800g、γ-バレルラクトンを3200g、合計で4000g、乾燥した繊維屑を1000g投入し、窒素雰囲気下、剪断応力下にて70℃で1時間混錬した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物はなく、繊維屑を溶解できたことが確認できた。
【0066】
<実施例8>
[メタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例7と同様に実施した。
【0067】
[再溶解]
3mmにカットされた繊維屑を120℃で2時間乾燥した。プラネタリ-ミキサ-に1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム クロライドを1340g、γ-バレルラクトンを2010g、合計で3350g、乾燥した繊維屑を1650g投入し、窒素雰囲気下、剪断応力下にて70℃で1時間混錬した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物はなく、繊維屑を溶解できたことが確認できた。
【0068】
<実施例9>
[メタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例7と同様に実施した。
【0069】
[再溶解]
3mmにカットされた繊維屑を120℃で2時間乾燥した。プラネタリ-ミキサ-に1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム クロライドを2070g、γ-バレルラクトンを1380g、合計で3450g、乾燥した繊維屑を1550g投入し、窒素雰囲気下、剪断応力下にて70℃で1時間混錬した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物はなく、繊維屑を溶解できたことが確認できた。
【0070】
<実施例10>
[メタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例7と同様に実施した。
【0071】
[再溶解]
3mmにカットされた繊維屑を120℃で2時間乾燥した。プラネタリ-ミキサ-に1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム クロライドを3200g、γ-バレルラクトンを800g、合計で4000g、乾燥した繊維屑を1000g投入し、窒素雰囲気下、剪断応力下にて70℃で1時間混錬した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物はなく、繊維屑を溶解できたことが確認できた。
【0072】
<実施例11>
[メタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例7と同様に実施した。
【0073】
[再溶解]
3mmにカットされた繊維屑を120℃で2時間乾燥した。プラネタリ-ミキサ-に1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム クロリドを740g、γ-バレルラクトンを2960g、合計で3700g、乾燥した繊維屑を1300g投入し、窒素雰囲気下、70℃で1時間混錬した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物はなく、繊維屑を溶解できたことが確認できた。
【0074】
<実施例12>
[メタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例7と同様に実施した。
【0075】
[再溶解]
3mmにカットされた繊維屑を120℃で2時間乾燥した。プラネタリ-ミキサ-に1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム クロライドを2070g、γ-バレルラクトンを1380g、合計で3450g、乾燥した繊維屑を1550g投入し、窒素雰囲気下、剪断応力下にて70℃で1時間混錬した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物はなく、繊維屑を溶解できたことが確認できた。
【0076】
<実施例13>
[メタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例7と同様に実施した。
【0077】
[再溶解]
3mmにカットされた繊維屑を120℃で2時間乾燥した。プラネタリ-ミキサ-に1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム クロライドを2160g、γ-バレルラクトンを1440g、合計で3600g、乾燥した繊維屑を1400g投入し、窒素雰囲気下、剪断応力下にて70℃で1時間混錬した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物はなく、繊維屑を溶解できたことが確認できた。
【0078】
<比較例7>
[メタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例7と同様に実施した。
【0079】
[再溶解]
3mmにカットされた繊維屑を120℃で2時間乾燥した。プラネタリ-ミキサ-に1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム クロライドを4000g、乾燥した繊維屑を1000g投入し、窒素雰囲気下、剪断応力下にて70℃で1時間混錬した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物が多数あり、繊維屑を溶解できなかった。
【0080】
<比較例8>
[メタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例7と同様に実施した。
【0081】
[再溶解]
3mmにカットされた繊維屑を120℃で2時間乾燥した。プラネタリ-ミキサ-に1-オクチル-3-メチルイミダゾリウム クロライドを4000g、乾燥した繊維屑を1000g投入し、窒素雰囲気下、剪断応力下にて70℃で1時間混錬した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物が多数あり、繊維屑を溶解できなかった。
【0082】
<比較例9>
[メタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造]
実施例7と同様に実施した。
【0083】
[再溶解]
3mmにカットされた繊維屑を120℃で2時間乾燥した。プラネタリ-ミキサ-にγ-バレルラクトンを4000g、乾燥した繊維屑を1000g投入し、窒素雰囲気下、剪断応力下にて70℃で1時間混錬した。
得られた全芳香族ポリアミド溶液を光学顕微鏡により観察したところ、長さ100μm以上の未溶解物が多数あり、繊維屑を溶解できなかった。
上記の結果をまとめて表1~4に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明によれば、無機塩や非プロトン性極性有機溶媒を使用することなく、廃棄したアラミド繊維等のアラミド繊維を溶解可能とする高い溶解性を示し、工程の安定化に優れた全芳香族アミド溶液の製造法が提供されるので、本発明の産業上の利用可能性は高く、その工業的価値は極めて大きい。