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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008272
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20240112BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109998
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】515114289
【氏名又は名称】株式会社ラフール
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】結城 啓太
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】通知の漏れを防ぎつつ重点的な通知を行う情報処理システムを提供する。
【解決手段】通信回線に、サーバ装置が有線で接続され、担当者端末及び複数のユーザ端末が無線で接続されている健康支援システムのような情報処理システムにおいて、サーバ装置は、健康状態に関する調査が行われた従業者に対して、所定の条件が満たされた場合に、健康状態に関する第1の通知を行う第1通知ステップと、調査の結果を含む従業者情報を担当者端末に表示させる表示ステップと、従業者情報が表示された従業者について所定の操作が行われた場合、従業者に対して、調査の結果に関する第2の通知を行う第2通知ステップと、を含む処理を実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムであって、
第1通知ステップでは、健康状態に関する調査が行われた従業者に対して、所定の条件が満たされた場合に、前記健康状態に関する第1の通知を行い、
表示ステップでは、前記調査の結果を含む従業者情報を担当者端末に表示させ、
第2通知ステップでは、前記従業者情報が表示された従業者について所定の操作が行われた場合、当該従業者に対して、前記調査の結果に関する第2の通知を行う、もの。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
抽出ステップでは、前記調査を受けた従業者から高ストレス者を抽出し、
前記第1通知ステップでは、抽出された前記高ストレス者に対して前記第1の通知を行う、もの。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記第1の通知又は前記第2の通知には、前記従業者への相談先の案内が含まれる、もの。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理システムにおいて、
前記相談先の案内には、前記相談先の名称、相談可能な内容又は相談方法が含まれる、もの。
【請求項5】
請求項3に記載の情報処理システムにおいて、
判定ステップでは、前記従業者の前記調査の結果に基づいて複数の相談先の各々の当該従業者への推奨度を判定し、
前記診察案内には、判定された前記推奨度に応じた態様で表された前記相談先が含まれる、もの。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理システムにおいて、
前記表示ステップでは、前記調査の結果に基づく相談先の推奨度と当該相談先と当該調査の結果とを前記担当者端末に表示させ、
変更受付ステップでは、前記推奨度を変更する入力を受け付け、
第2通知ステップでは、変更された前記推奨度を含む前記第2の通知を行う、もの。
【請求項7】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記表示ステップでは、前記従業者の調査の結果の推移を当該従業者が相談した相談先に対応付けて表示させる、もの。
【請求項8】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記表示ステップでは、前記従業者の調査の結果の推移を当該従業者が相談した時期に対応付けて表示させる、もの。
【請求項9】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
取得ステップでは、前記従業者のスケジュール情報を取得し、
前記表示ステップでは、取得された前記スケジュール情報が示す空き時間に予約可能な相談先を表示させ、
予約受付ステップでは、前記空き時間での相談予約の入力を受け付ける、もの。
【請求項10】
請求項9に記載の情報処理システムにおいて、
反映ステップでは、受け付けられた前記相談予約の入力による予約情報を、取得された前記スケジュール情報に反映する、もの。
【請求項11】
請求項9に記載の情報処理システムにおいて、
前記表示ステップでは、前記従業者が所属する企業向けに相談可能な日時の枠が予め確保されている場合に、当該枠に重複する前記空き時間を仮の予約日時として表示させ、
前記予約受付ステップでは、前記仮の予約日時の変更及び予約日時の確定の入力を受け付ける、もの。
【請求項12】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
遠隔表示ステップでは、前記従業者が使用する従業者端末と前記担当者端末との間において双方で撮影された映像を表示する遠隔表示を制御し、所定の切替条件が満たされた場合、前記担当者端末で撮影された映像に替えて前記担当者端末を使用する担当者を示す担当者画像を前記従業者端末に表示させる、もの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、患者側端末からの要求で患者情報と施術者情報のマッチングを実施し、マッチングされた施術者側端末に患者の施術履歴情報を送信する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-144528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば従業者に健康状態の問題が見つかった場合、医師の診察を受けてもらうことが望ましい。しかし、従業者は業務が忙しいため、受診に消極的な場合がある。その場合、従業者に受信を促す通知を行ってもよいが、従業者が多くなると通知の負担が大きくなる。
【0005】
本発明では上記事情を鑑み、通知の漏れを防ぎつつ重点的な通知を行うこととした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、情報処理システムが提供される。この情報処理システムにおける第1通知ステップでは、健康状態に関する調査が行われた従業者に対して、所定の条件が満たされた場合に、健康状態に関する第1の通知を行う。表示ステップでは、調査の結果を含む従業者情報を担当者端末に表示させる。第2通知ステップでは、従業者情報が表示された従業者について所定の操作が行われた場合、当該従業者に対して、調査の結果に関する第2の通知を行う。
【0007】
このような態様によれば、通知の漏れを防ぎつつ重点的な通知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】健康支援システム1の全体構成を示す図である。
図2】サーバ装置10のハードウェア構成を示す図である。
図3】担当者端末20のハードウェア構成を示す図である。
図4】各装置の制御部の機能構成の一例を示す図である。
図5】通知処理の一例を示すアクティビティ図である。
図6】表示された第1の通知の一例を示す図である。
図7】表示された従業者情報の一例を示す図である。
図8】表示された第2の通知の一例を示す図である。
図9】予約処理の一例を示すアクティビティ図である。
図10】表示された従業者情報の一例を示す図である。
図11】表示された調査結果の推移の一例を示す図である。
図12】表示された調査結果の推移の一例を示す図である。
図13】各装置の制御部の機能構成の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
1.ハードウェア構成
本節では、本実施形態に係る健康支援システムのハードウェア構成について説明する。
【0014】
図1は、健康支援システム1の全体構成を示す図である。健康支援システム1は、従業者の健康を支援するための処理を実行する。従業者とは、企業等の団体で行われる業務に関わる者であり、雇用契約を持つ従業員に限らず、経営者及び外部企業からの派遣社員等を含む。健康支援システム1は、通信回線2と、サーバ装置10と、担当者端末20と、ユーザ端末30-1、30-2、30-3(各々を区別しない場合「ユーザ端末30」と言う)とを備える。
【0015】
通信回線2は、インターネット等を含み、自回線に接続する装置同士の通信を仲介する。通信回線2には、サーバ装置10が有線で接続され、担当者端末20及びユーザ端末30が無線で接続されている。なお、通信回線2への接続は有線・無線のどちらでもよい。
【0016】
担当者端末20は、従業者のメンタルヘルスの担当者によって使用される端末であり、例えば、ノートパソコンである。メンタルヘルスの担当者とは、事業所等において、従業者のメンタルヘルスの向上及び維持を支援する役割を割り当てられた者であり、本実施形態では産業医D1である。産業医D1は、事業所等に所属する従業者が健康な状態で仕事に従事できるように、専門的立場から指導・助言を行う医師である。
【0017】
なお、メンタルヘルスの担当者は、産業医に限らず、臨床心理士、メンタルケアカウンセラー又はキャリアカウンセラー等の資格を有するカウンセラーであってもよいし、資格がなくとも経験や資質がある従業者であってもよい。また、メンタルヘルスの担当者は、従業者の一員であってもよいし、従業者ではない外部の者であってもよい。外部の者とは、例えば、外部のカウンセラー又は医師等である。
【0018】
ユーザ端末30-1、30-2、30-3は、それぞれ従業者W11、W12、W13(各々を区別しない場合「従業者W10」と言う)によって使用される端末であり、例えば、スマートフォンである。なお、各端末は、タブレット端末又はデスクトップパソコン等であってもよい。
【0019】
サーバ装置10は、担当者端末20及びユーザ端末30と連携して、従業者W10の健康を支援するための処理を実行する。サーバ装置10は、従業者W10の健康状態を主に調査するためのサーベイの処理を実行する。また、サーバ装置10は、サーベイの結果に基づき、従業者W10にメンタルヘルスに関する相談を行うことを促す通知処理を実行する。
【0020】
メンタルヘルスに関する相談は、メンタルヘルスの担当者とは別の窓口に対して行われる。別の窓口とは、医師又はカウンセラー等である。医師の場合は診察を受けることで、カウンセラーの場合はカウンセリングを受けることで、メンタルヘルスについての相談が行われる。通知を受け取った従業者W10が医師の診察又はカウンセラーのカウンセリングを受けて健康状態を回復、維持することで、業務のパフォーマンス向上が期待できる。本実施形態では、サーバ装置10は、医師を相談先として、診察の通知処理を実行する。
【0021】
図2は、サーバ装置10のハードウェア構成を示す図である。サーバ装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13を備える。
【0022】
(制御部11)
制御部11は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。制御部11は、記憶部12に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、健康支援システム1に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部12に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例である制御部11によって具体的に実現されることで、制御部11に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節においてさらに詳述する。なお、制御部11は単一であることに限定されず、機能ごとに複数の制御部11を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0023】
(記憶部12)
記憶部12は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、制御部11によって実行される健康支援システム1に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部12は、制御部11によって実行される健康支援システム1に係る種々のプログラムや変数等を記憶している。
【0024】
(通信部13)
通信部13は、サーバ装置10から種々の電気信号を外部の構成要素に送信可能に構成される。また、通信部13は、外部の構成要素からサーバ装置10への種々の電気信号を受信可能に構成される。さらに好ましくは、通信部13がネットワーク通信機能を有し、これにより通信回線2を介して、サーバ装置10と外部機器との間で種々の情報を通信可能に実施してもよい。
【0025】
図3は、担当者端末20のハードウェア構成を示す図である。担当者端末20は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、入力部24と、出力部25とを備える。なお、ユーザ端末30は、性能及び細かな仕様等は異なっていてもよいが、担当者端末20と同様のハードウェア構成を備える。
【0026】
(入力部24)
入力部24は、キー、ボタン、マウス、タッチスクリーン、マイクロフォン及びデジタルカメラ等の入力デバイスのうちの全部又は一部を有し、ユーザによる入力を受け付ける。
(出力部25)
出力部25は、ディスプレイ及びスピーカ等の出力デバイスを有し、画像及び音等を出力する。出力部25のうちのディスプレイは、入力部24のタッチスクリーンに含まれていてもよい。
【0027】
2.機能構成
本節では、本実施形態の機能構成について説明する。前述の通り、各装置(サーバ装置10、担当者端末20、ユーザ端末30)の記憶部に記憶されているソフトウェアによる情報処理がハードウェアの一例である制御部によって具体的に実現されることで、制御部に含まれる各機能部が実行されうる。
【0028】
図4は、各装置の制御部の機能構成の一例を示す図である。サーバ装置10の制御部11は、調査情報格納部111と、調査処理部112と、対象抽出部113と、相談情報格納部114と、推奨度判定部115と、自動通知部116と、情報配信部117と、担当者通知部118と、予約処理部119とを備える。担当者端末20の制御部21は、配信情報表示部211と、通知操作受付部212と、予約情報表示部213と、予約操作受付部214とを備える。ユーザ端末30の制御部21は、調査処理部311と、回答操作受付部312と、通知表示部313と、相談結果入力部314とを備える。
【0029】
健康支援システム1においては、従業者W10の健康状態に関する調査(以下「健康調査」と言う)が行われる。本実施形態では、健康調査として、メンタルヘルスに関する状態を調査するためのサーベイが行われる。調査情報格納部111は、健康調査に関する情報(本実施形態ではサーベイに関する情報)を格納する。サーベイに関する情報には、サーベイを受けた従業者のユーザID、サーベイで用いられる質問、各質問への従業者の回答及び回答の日時等が含まれる。
【0030】
調査処理部112は、健康調査に関する処理(本実施形態ではサーベイに関する処理)を実行する。ユーザ端末30の調査処理部311も、調査処理部112と協働して、健康調査に関する処理を行う。サーベイに関する処理には、サーベイの質問を表示する処理、質問への回答をユーザID及び回答日時に対応付けて調査情報格納部111に記憶させる処理等が含まれる。
【0031】
回答操作受付部312は、サーベイに対する回答操作を受け付ける。対象抽出部113は、従業者W10から医療機関の診察を案内する対象を抽出する。相談情報格納部114は、複数の相談先(本実施形態では診察先)の各々に関する情報を格納する。推奨度判定部115は、複数の相談先の各々の従業者W10への推奨度を判定する判定部として機能する。推奨度判定部115は、例えば、従業者W10のサーベイ結果に基づいてこの判定を行う。
【0032】
自動通知部116は、健康調査が行われた従業者W10に対して健康状態に関する通知を行う。自動通知部116は、本実施形態では、メンタルヘルスに関するサーベイが健康調査として行われた従業者W10に対して、そのサーベイの結果に関する通知を行う。ユーザ端末30の通知表示部313は、自動通知部116によって行われた通知の内容を表示する。情報配信部117は、従業者W10に関する情報(以下「従業者情報」と言う)を配信する。担当者端末20の配信情報表示部211は、配信されてきた従業者情報を表示する。
【0033】
担当者端末20の通知操作受付部212は、表示された従業者情報が示す従業者W10に対する通知操作を受け付ける。担当者通知部118は、通知の操作が受け付けられた従業者W10に対して健康調査の結果(本実施形態ではサーベイの結果)に関する通知を行う。予約処理部119は、従業者のメンタルヘルスに関する相談(本実施形態では医師への診察)の予約に関する処理を行う。担当者端末20の予約情報表示部213は、上記相談の予約に関する情報を表示する。予約操作受付部214は、上記相談の予約に関する操作を受け付ける。相談結果入力部314は、予約された上記相談の結果の入力を受け付ける。
【0034】
3.情報処理
本節では、本実施形態の情報処理について説明する。健康支援システム1は、従業者への診察案内の通知を行う通知処理と、従業者の健康状態の維持向上について定められた役割を持った担当者(本実施形態では産業医)が従業者の診察の予約を行う予約処理とを実行する。
【0035】
図5は、通知処理の一例を示すアクティビティ図である。図5の例では、従業者W10が健康調査としてメンタルヘルスのサーベイを受けるところから説明する。まず、A11において、サーバ装置10が、調査処理部112により、調査情報格納部111に格納されているサーベイの質問をユーザ端末30に送信する。ユーザ端末30は、A12において、調査処理部311により、送信されてきたサーベイの質問を表示する。
【0036】
従業者W10が、表示された質問に対して回答する回答操作を行うと、ユーザ端末30は、A13において、回答操作受付部312により、従業者W10の回答操作を受け付ける。ユーザ端末30は、調査処理部311により、従業者W10のサーベイへの回答を示す回答データを生成してサーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、A14において、調査情報格納部111により、送信されてきた回答データが示す従業者W10のサーベイへの回答を格納する。A11からA14までの動作が繰り返し行われ、各従業者のサーベイへの回答が蓄積されていく。
【0037】
健康支援システム1においては、従業者W10に対して医療機関での診察を案内する2種類の通知が行われる。1つ目は、自動通知部116によって所定の時期に行われる通知であり、以下ではその時期を「第1通知時期」と言い、第1通知時期に行われる通知を第1通知という。2つ目は、担当者通知部118によって通知の操作が受け付けられた場合に行われる通知であり、以下では第2通知という。サーバ装置10は、サーベイ回答の蓄積処理と並行して、自動通知部116により、第1通知時期が来たか否かを定期的に判断する。
【0038】
図5の例では、例えば、全従業者に共通の第1通知時期として数ヶ月に1回の時期が定められており、サーバ装置10が、A21において、その第1通知時期が来たと判断したものとする。その場合、サーバ装置10は、A22において、調査処理部112により、蓄積された回答から各従業者のサーベイの結果を分析する。次に、サーバ装置10は、A23において、対象抽出部113により、従業者W10からメンタルヘルスに関する相談(本実施形態では医師への診察)を案内する対象を抽出する。対象抽出部113は、例えば、サーベイを受けた従業者W10から高ストレス者を抽出する抽出部として機能する。
【0039】
サーベイの結果から高ストレス者を判断する方法には様々な方法がある。例えば、調査処理部112が、サーベイ結果の分析により、メンタルヘルスの健康度合いを点数で表した健康ポイントを算出するものとする。健康ポイントが大きいほど健康であることを示す場合、対象抽出部113は、算出された健康ポイントが閾値未満である者を高ストレス者と判断する。なお、健康ポイントを用いる方法は一例であり、高ストレス者の抽出には、他の周知の方法が用いられてもよい。
【0040】
続いて、サーバ装置10は、A24において、推奨度判定部115により、各従業者のサーベイの分析結果と相談情報格納部114に格納されている相談先に関する情報とに基づいて、その従業者W10に対する相談先の推奨度を判定する。相談情報格納部114は、例えば、従業者W10に相談してもらうために選ばれた相談先に関する情報を格納している。
【0041】
本実施形態では、メンタルヘルスに関する相談として医師への診察が行われるため、相談先に関する情報には、診察先の医療機関名、その医療機関に所属する医師の氏名、専門領域、診察可能な日程、診察場所、オンライン診察・チャット診察の可否等が含まれる。なお、相談先がカウンセラーである場合、相談先に関する情報には、カウンセラーの所属、カウンセラーの氏名、専門領域、相談可能な日程、相談場所、オンライン相談・チャットで相談の可否等が含まれる。
【0042】
本実施形態では、例えば、前述した健康ポイントが算出される場合に、推奨度判定部115は、健康ポイントが低く高ストレスの可能性が高い従業者W10ほど、規模が小さな相談先(医院、クリニック、診療所、小規模カウンセリングサービス等)よりも、規模が大きな相談先(総合病院、特定機能病院、地域医療支援病院、大規模カウンセリングサービス等)の推奨度を高く判定する。なお、推奨度判定部115は、規模だけではなく、専門性の高さ、医師・カウンセラーの体制、治療・カウンセリングの実績等にも基づいて、高ストレスの可能性が高い従業者W10ほど、症状が重い従業者への治療・カウンセリングが可能な相談先の推奨度を高く判定してもよい。
【0043】
次に、サーバ装置10は、A25において、自動通知部116により、従業者W10への第1の通知を示す第1通知データを生成し、生成した第1通知データをユーザ端末30に送信する。自動通知部116は、本実施形態では、対象抽出部113により高ストレス者として抽出された従業者W10が使用するユーザ端末30に送信する。ユーザ端末30は、A26において、通知表示部313により、送信されてきた第1通知データが示す第1の通知を表示する。
【0044】
図6は、表示された第1の通知の一例を示す図である。図6の例では、自動通知部116は、電子メールの形式で生成した第1の通知B1を送っている。第1の通知B1には、本文B11と、サーベイ結果B12と、診察案内B13とが含まれている。本文B11には、サーベイの結果から従業者W10にメンタルヘルスに関する相談(本実施形態では医師の診察)を勧める内容が記載されている。サーベイ結果B12には、従業者W10のサーベイの分析結果のサマリが記載されている。
【0045】
診察案内B13には、従業者W11に対して推奨される診察先に関する情報が記載されている。診察案内B13には、具体的には、診察先C、D、E、Fという診察先の名称B131と、各診察先の概要B132と、診察先が提供している予約ページへのリンクB133とが含まれている。診察先の概要B132には、各診察先の診察内容及び診察方法が表されている。診察内容とは、診察科目及び検査の内容等を示す情報である。診察方法とは、オンライン診察の有無及び外来診察のスケジュール等を示す情報である。
【0046】
診察先C、D、E、Fは、例えば、推奨度が所定の基準を超える診察先である。このように、自動通知部116は、推奨度判定部115により判定された推奨度に基づいて従業者W11に奨める診察先を決定している。診察案内B13において、各診察先は、従業者W11に対する推奨度が高い方から診察先D、C、F、Eという順番に上から並べる態様で表されている。また、推奨度が高い方の2つの診察先D、Cは、推奨度が低い方の2つの診察先F、Eに比べて表示領域を大きくする態様で表されている。
【0047】
このように、自動通知部116は、診察案内B13には、上述した相談先(本実施形態では診察先)が、推奨度判定部115により判定された推奨度に応じた態様で表されている。このような態様によれば、推奨度に関係なく相談先が表される場合に比べて、従業者が相談先を判断しやすいようにすることができる。
【0048】
また、自動通知部116は、健康調査が行われた従業者W11に対して、所定の条件が満たされた場合に、その健康状態に関する第1の通知を行う第1通知部として機能する。本実施形態では、自動通知部116は、メンタルヘルスに関するサーベイが健康調査として行われた従業者W11に対して、第1通知時期が来た場合に所定の条件が満たされたと判断し、そのサーベイの結果に関する第1の通知を行う。第1の通知は、所定の条件が満たされた場合に必ず行われるので、通知担当者による失念等の人為的ミスによる通知の漏れを防ぐことができる。
【0049】
また、自動通知部116は、本実施形態では、対象抽出部113によって抽出された高ストレス者に対して第1の通知を行う。このような態様によれば、全ての従業者に通知を行う場合に比べて、第1の通知の重要度を高めることができる。
【0050】
この第1の通知には、従業者W11への相談先の案内(本実施形態では診察案内)が含まれる。相談先の案内には、従業者W10に勧める相談先の名称(診察先の名称)、相談可能な内容(診察内容)又は相談方法(診察方法)が含まれる。このような態様によれば、第1の通知に相談先への案内が含まれない場合に比べて、従業者が相談先を判断しやすいようにすることができる。
【0051】
第1の通知を行った後、サーバ装置10は、担当者通知部118により、メンタルヘルスの担当者による通知を行う所定の時期(以下「第2通知時期」と言う)が来たか否かを判断する。サーバ装置10は、図5の例では、A31において、例えば、第1の通知が行われてから一定期間(例えば1~2週間程度)が経過したときに、第2通知時期が来たと判断したものとする。その場合、次に、サーバ装置10は、A32において、情報配信部117により、上述した従業者情報(従業者W11に関する情報)を生成し、生成した従業者情報を担当者端末20に配信する。担当者端末20は、A33において、配信情報表示部211により、配信されてきた従業者情報を表示する。
【0052】
図7は、表示された従業者情報の一例を示す図である。図7の例では、情報配信部117は、従業者情報C1を送っている。従業者情報C1には、従業者W11の基本情報C11と、サーベイ結果C12と、診察案内C13と、第1の通知情報C14と、第2の通知の入力欄C15とが含まれている。基本情報C11には、従業者W11の氏名、性別、住所、生年月日、部署及び職種が記載されている。サーベイ結果C12には、従業者W11のサーベイの分析結果のサマリが記載されている。
【0053】
このように、情報配信部117は、調査の結果(本実施形態ではサーベイの結果)を含む従業者情報を担当者端末20に対して配信することで、調査の結果を含む従業者情報を担当者端末20に表示させる表示部として機能する。担当者端末20は、従業者の健康状態に関与する役割を持つ担当者(本実施形態では産業医D1)が使用する担当者端末の一例である。
【0054】
診察案内C13には、従業者W11に推奨される診察先に関する情報が記載されている。診察案内C13には、図6に示す診察案内B13と同様に、従業者W11に対する推奨度が高い方から順番に上から並べる態様で表されている。このように、情報配信部117は、調査の結果(本実施形態ではサーベイの結果)に基づく相談先(本実施形態では診察先)の推奨度とその相談先とその調査の結果とを、従業者情報として、担当者端末20に表示させる。
【0055】
ここでいう相談先(診察先)の推奨度は、並べられた順番によって表される。また、第1の通知情報C14には、第1の通知で通知された内容と、第1の通知が行われた日時とが記載されている。産業医D1は、表示された従業者情報を見て、メンタルヘルスに関する相談(診察)の必要性について判断する。産業医D1は、相談の必要性が特に高いと判断した従業者については、第1の通知とは別の新たな通知を行うための通知操作を行う。
【0056】
具体的には、産業医D1は、表示された従業者情報を参照しながら、第2の通知の入力欄C15に従業者W1向けのコメントを入力する。担当者端末20は、A34において、通知操作受付部212により、このコメントの入力のような第2の通知に関する通知操作を受け付ける。
【0057】
診察案内C13には、第1の通知における診察案内B13よりも多くの診察先が相談先の一例として記載されており、且つ、推奨度の順位を変更することができるようになっている。通知操作受付部212は、推奨度の順位を変更する産業医の操作を受け付ける。具体的には、通知操作受付部212は、診察先を選択する操作と、選択された診察先の推奨度の順位を上昇させるボタンD11への操作と、下降させるボタンD12への操作とを受け付ける。
【0058】
図7の例では、順位が5番目の診察先Hが選択されており、診察先Hの順位が、ボタンD11への操作により4番目以上に変更され、ボタンD12への操作により6番目以下に変更される。配信情報表示部211は、これらの操作により変更された順位に診察先を移動させて表示する。通知操作受付部212は、送信ボタンD13を押す操作を通知操作として受け付けると、入力されたコメントと、変更された診察先の推奨度の順位とを示す操作結果データをサーバ装置10に送信する。
【0059】
サーバ装置10は、送信されてきた操作結果データを受信すると、A35において、担当者通知部118により、受信した操作結果データに基づいて第2の通知を示す第2通知データを生成し、生成した第2通知データをユーザ端末30に送信する。ユーザ端末30は、A36において、通知表示部313により、送信されてきた第2通知データが示す第2の通知を表示する。
【0060】
図8は、表示された第2の通知の一例を示す図である。図8の例では、担当者通知部118は、電子メールの形式で生成した第2の通知B2を送っている。第2の通知B2には、本文B21と、産業医D1のコメントB22と、サーベイ結果B23と、診察案内B24とが含まれている。本文B21には、サーベイの結果から産業医D1も従業者W11に医師の診察を勧めている内容が記載されている。コメントB22には、産業医D1が担当者端末20に入力したコメントが記載されている。
【0061】
サーベイ結果B23には、第1の通知と同様に、従業者W11のサーベイの分析結果のサマリが記載されている。このように、担当者通知部118は、通知操作受付部212が従業者W11に対する通知の操作を受け付けると、従業者W11に対して健康調査の結果(本実施形態ではサーベイの結果)に関する通知を行う第2通知部として機能する。このように従業者情報が表示された従業者W11について行われる通知であって、従業者の健康状態に関与する役割を持つ担当者(本実施形態では産業医D1)による所定の操作が行われた場合に行われる通知を以下では「第2の通知」と言う。このような態様によれば、第1の通知を行うことで通知の漏れを防ぎつつ、第2の通知を行うことで重点的な通知を行うことができる。
【0062】
第2の通知には、第1の通知と同様に、従業者への診察案内B24(相談先の案内)が含まれる。診察案内B24にも、従業者W11に奨める勧める相談先の名称(診察先の名称)、相談可能な内容(診察内容)又は相談方法(診察方法)が含まれる。診察案内B24には、第1の通知とは異なり、産業医D1により推奨度の順位を変更された診察先(相談先の一例)に関する情報が記載されている。このように、サーバ装置10の担当者通知部118は、担当者端末20から送信されてきた操作結果データを受信することで、推奨度を変更する入力を受け付ける変更受付部として機能する。また、担当者通知部118は、変更された推奨度を含む第2の通知を行う第2通知部として機能する。このような態様によれば、相談先の推奨度をより適切にすることができる。
【0063】
従業者は、第1の通知又は第2の通知を受け取ったことを契機に診察を受けると、受診したことをユーザ端末30に入力する。診察結果の入力は、テキスト入力でもよいし、医療機関から送られてくる診察結果をスキャンした画像での入力でもよい。ユーザ端末30は、A41において、相談結果入力部314により、受診結果の入力をメンタルヘルスの相談の結果として受付け、受診結果を報告する報告データをサーバ装置10に送信する。受診結果には、受診日、受診した診察先及び受診した医師名等が含まれる。サーバ装置10は、A42において、相談情報格納部114により、送信されてきた報告データが示す受診結果を、メンタルヘルスの相談の結果を示す相談情報として格納する。
【0064】
通知処理による2度に渡る通知があってもメンタルヘルスの相談を行わない従業者に対しては、予約処理によって相談(本実施形態では医師の診察)の予約を入れることができる。
図9は、予約処理の一例を示すアクティビティ図である。まず、サーバ装置10は、A51において、予約処理部119により、予約処理による対処を行い従業者の診察の促進を図る時期を判断する。予約処理部119は、例えば、第2の通知が行われてから一定期間(例えば1~2週間程度)が経過したときに、予約対処の時期が来たと判断したものとする。
【0065】
次に、サーバ装置10は、A52において、予約処理部119により、複数の従業者W10から、診察をまだ受けていない非受診者を抽出する。予約処理部119は、例えば、受診結果が格納されていない従業者W10を非受診者として抽出する。続いて、サーバ装置10は、A53において、予約処理部119により、従業者W10のスケジュール情報を取得する取得部として機能する。予約処理部119は、従業者W10がスケジュール管理用の業務システムを使用している場合に、その業務システムにアクセスして従業者W10のスケジュール情報を取得する。
【0066】
また、サーバ装置10は、A54において、予約処理部119により、診察先の医療機関を予約可能な日程を取得する処理を行う。この処理は、診察の予約機能を提供し、且つ、その予約機能から予約可能な日程を提供することが可能な医療機関について行われる。サーバ装置10は、A55において、情報配信部117により、取得したスケジュール情報及び取得した予約可能な日程を含む従業者情報を生成する。情報配信部117は、生成した従業者情報を担当者端末20に送信する。担当者端末20は、A61において、配信情報表示部211により、配信されてきた従業者情報を表示する。
【0067】
図10は、表示された従業者情報の一例を示す図である。図10の例では、情報配信部117は、従業者情報C2を送っている。従業者情報C2には、従業者W11の基本情報C21と、従業者W11のスケジュール情報C22と、診察先の予約可否情報C23と、推奨診察先情報C24と、選択画像C25及びC26と、診察先切替えボタンD14と、予約詳細入力ボタンD15と、予約反映ボタンD16とが含まれている。基本情報C21には、従業者W11の氏名、性別、住所、生年月日、部署及び職種が記載されている。
【0068】
スケジュール情報C22は、各月のカレンダーを示し、各日付を選択すると、配信情報表示部211が、その日の予定の詳細を表示する。また、スケジュール情報C22は、第1の通知の実行日と第2の通知の実行日とが示されている。予約可否情報C23は、各日付の予約の可否を示している。予約可否情報C23は、例えば、スケジュール情報C22が示す時間単位の予定と、診察先の予約可能な時間帯とが重なっていない場合に、予約可能であることを「予約可」という文字列で示す。
【0069】
また、予約可否情報C23は、従業者の予定と診察先の予約可能な時間帯とが重なっている場合に、予約不可であることを「予約不可」という文字列で示す。このように、サーバ装置10の予約処理部119は、取得したスケジュール情報が示す空き時間に予約可能な相談先(本実施形態では診察先)を担当者端末20に表示させる表示部として機能する。推奨診察先情報C24は、図10の例では、第2の通知で推奨されていた診察先を示す。選択画像C25は、推奨された診察先のうち選択された診察先(図10の例では診察先H)を示す。
【0070】
予約可否情報C23は、選択された診察先の予約情報に基づき予約の可否を示している。診察先切替えボタンD14を押す操作を行うと、配信情報表示部211は、選択画像C25を次の診察先である診察先Eに移動させ、その診察先Eの予約情報に基づき予約の可否を示す予約可否情報C23を表示する。選択画像C26は、予約可能な日付のうち産業医D1により選択された日付(図10の例では26日)を示す。
【0071】
予約詳細入力ボタンD15を押す操作を行うと、配信情報表示部211は、選択された日付の予約の詳細を入力するための予約画面を表示する。表示された予約画面において予約する診察先及び予約日程を決定する予約操作を産業医D1が行うと、予約操作受付部214は、決定された診察先及び予約日程を示す予約データをサーバ装置10に送信する。サーバ装置10の予約処理部119は、受診した予約データが示す診察先及び予約日程での予約の入力を受け付ける。
【0072】
サーバ装置10は、A63において、予約処理部119により、入力を受け付けた予約を確定する予約処理を行う。予約処理部119は、この予約を診察先が提供する予約システムに要求し、予約システムが予約の確定を通知してくると、予約処理を終了する。このように、予約処理部119は、従業者の空き時間での相談予約(本実施形態では診察予約)の入力を受け付ける予約受付部として機能する。このような態様によれば、通知に反応しない従業者についても相談の予約を入れることができる。
【0073】
次に、サーバ装置10は、A64において、予約処理部119により、確定した予約の情報を従業者W11のスケジュールに反映する反映処理を行う。予約処理部119は、例えば、確定した予約の情報を反映するようにスケジュール管理用の業務システムに要求し、その業務システムがスケジュールに反映したことを通知してくると、反映処理を終了する。このように、予約処理部119は、受け付けた相談予約(本実施形態では診察予約)の入力による予約情報を、取得したスケジュール情報に反映する反映部として機能する。
【0074】
予約処理部119予約を反映した旨を通知する通知データをユーザ端末30に送信する。ユーザ端末30は、A65において、通知表示部313により、送信されてきた通知データが示す通知、すなわち、産業医D1による診察の予約がされ、その予約がスケジュール情報に反映された旨を示す情報を表示する。そして、スケジュール管理用の業務システムが通知機能を有している場合、ユーザ端末30は、A66において、通知表示部313により、その業務システムによる予約日程が近づいてきたことを示す通知を表示する。このような態様によれば、相談の予約(本実施形態では診察の予約)に従業者が気づきやすいようにすることができる。
【0075】
<その他の実施形態>
(1)調査結果の推移
診察が従業者の健康状態に与える影響が分かると、診察先の評価に活用することができる。そのため、例えば、情報配信部117は、従業者W10の健康調査の結果(実施形態ではサーベイの結果)の推移をその従業者W10が相談した相談先(実施形態であれば受診した診察先)に対応付けて表示させてもよい。
【0076】
図11は、表示された調査結果の推移の一例を示す図である。図11(a)の例では、情報配信部117は、従業者情報C3を配信している。従業者情報C3には、従業者W11、W12、W13の診察先とサーベイ得点の推移とが含まれている。サーベイ得点の推移は、例えば、初診の直前のサーベイ得点と、初診から所定の期間(例えば3ヶ月又は6ヶ月等)経過したのちの最初のサーベイ得点との差分である。
【0077】
例えば、従業者W11は、診察先Hで受診した結果、サーベイ得点が+10点に推移している。従業者W12は、診察先Dで受診した結果、サーベイ得点が+20点に推移している。また、従業者W13は、診察先Hで受診した結果、サーベイ得点が+5点に推移している。この従業者情報C3から、診察先Hで受診すれば健康状態が改善することが見込まれるが、診察先Dで受診すればさらに健康状態が改善することが見込まれることが分かる。
【0078】
図11(b)の例では、情報配信部117は、従業者情報C4を配信している。従業者情報C4には、診察先A、診察先B、診察先C及び診察先D等を受診した従業者におけるサーベイ得点の推移の平均が含まれている。例えば、診察先Aの平均は+13.5、診察先Bの平均は+4.0、診察先Cの平均は-1.5、診察先Dの平均は+22.5となっている。この従業者情報C4から、診察先A~Dのうちであれば、健康状態が改善される見込みは、診察先Dが最も高く、診察先Aが2番目、診察先Bが3番目、診察先Cが4番目に高いことが分かる。
【0079】
また、情報配信部117は、従業者の健康調査の結果(実施形態ではサーベイの結果)の推移をその従業者が受診した時期に対応付けて表示してもよい。
【0080】
図12は、表示された調査結果の推移の一例を示す図である。図12の例では、情報配信部117は、従業者情報C4を配信している。従業者情報C4には、従業者W10の診察先と、診察時期と、サーベイ時期と、サーベイ得点の推移とを示す折れ線グラフが含まれている。図12の例では、サーベイが時期T1、T2、T3、T4、T5、T6に実施され、それらのサーベイ得点がP1、P2、P3、P4、P5、P6とそれぞれ推移している。
【0081】
従業者W10は、時期T1とT2の間の時期T11と、時期T2とT3の間の時期T12に診察先Kを受診している。また、従業者W10は、時期T4とT5の間の時期T13と、時期T5とT6の間の時期T14に診察先Dを受診している。一方、サーベイ得点は、P1、P2、P3と下降し、P4、P5、P6と上昇している。つまり、この従業者W10の場合、診察先Kでの診察は健康状態に良い影響を与えるまで至らなかったが、診察先Dでの診察は健康状態に良い影響を与えたことが分かる。
【0082】
なお、図11及び図12の例において、診察先をカウンセラー等への相談先と置き換えてもよい。いずれの場合も、図11及び図12の例で述べた態様によれば、相談先に相談することが健康状態に与える影響を可視化することができる。図11の例では、特に、相談先ごとの影響を可視化しやすい。一方、図12の例では、サーベイ得点の推移を示す折れ線の傾きによって、相談が健康状態に与える影響の大きさを直感的に把握することができる。具体的には、傾きが大きいほど影響が大きいと把握することができる。
【0083】
(2)企業向け予約枠
実施形態では、予約処理部119は、従業者のスケジュール情報が示す空き時間に予約可能な相談先(診察先)を担当者端末20に表示させた。ここで、企業のように大勢の従業者からの相談を同時期に受ける可能性がある場合、相談先によってはその企業向けに相談可能な日時の枠を確保することが考えられる。そこで、予約処理部119は、そのように従業者が所属する企業向けに相談可能な日時の枠が予め確保されている場合に、その枠に重複する空き時間を仮の予約日時として表示させる表示部として機能してもよい。
【0084】
例えば、12月の第1週が企業向けに相談可能な日時の枠として確保されているものとする。そして、予約処理部119は、従業者の空き時間がその週の火曜と木曜である場合、例えば火曜の日時を予約日時として表示させる。そして、予約処理部119は、仮の予約日時の変更及び予約日時の確定の入力を受け付ける予約受付部として機能する。例えば、従業者が火曜は空き時間になっているが、木曜のほうが都合が良いと考えて木曜に予約日時を変更する入力を行った場合、予約処理部119は、その入力を受け付け、変更された日時での予約を予約システムに要求し、予約システムが予約の確定を通知してくると、予約処理を終了する。このような態様によれば、診察日時の企業枠が確保された場合における相談予約の手間を軽減することができる。
【0085】
(3)担当者画像
産業医D1のように従業者の健康の維持に務める役割の担当者がいる場合、健康状態の悪い従業者と面接をすることがある。この面接は、近年の状況や従業者の負担を考え、リモートで行われることも多い。しかし、健康調査が例えばメンタルヘルスに対する調査である場合、高いストレスによりメンタルヘルスの状態が悪い従業者W10は、産業医D1と画面越しに向かい合うだけでも、ストレスに感じる場合がある。そこで、従業者が話しやすいように、アバターのような仮想の人物画像を表示させるようにしてもよい。
【0086】
図13は、各装置の制御部の機能構成の別の一例を示す図である。サーバ装置10の制御部は、図4に示す各部に加えてリモート管理部120を備える。担当者端末20の制御部は、図4に示す各部に加えてリモート制御部215を備える。ユーザ端末30の制御部は、図4に示す各部に加えてリモート制御部315を備える。リモート制御部215及び315は、リモートで接続される端末同士で、撮影される映像及び録音される音声を相互に送信し、受信した映像及び音声を出力することで対話を可能にする機能である。
【0087】
リモート管理部120は、リモート制御部215及び315から送信されてくる映像及び音声を受信し、送信先の装置に対して転送する。このように、リモート管理部120は、従業者W10が使用するユーザ端末30と担当者端末20との間において双方で撮影された映像を表示する遠隔表示を制御する遠隔表示部として機能する。ここで言う遠隔表示とは、例えば、テレビ会議システムにおいて行われる遠隔表示である。リモート管理部120は、例えば、周知のテレビ会議の技術を用いて遠隔表示を制御する。
【0088】
そして、リモート管理部120は、所定の切替条件が満たされた場合、担当者端末20で撮影された映像に替えて担当者端末20を使用する担当者を示す担当者画像をユーザ端末30に表示させる。担当者画像は、例えば産業医D1を示すアバターの画像である。テレビ会議の画面にアバターを表示させる周知の技術があるので、リモート管理部120は、例えばその技術を用いて担当者画像を表示させる。
【0089】
切替条件としては、例えば、サーベイ得点が所定の得点以下の場合に満たされる条件が用いられる。サーベイ得点が低く、メンタルヘルスの状態が良くない従業者ほど、映像であっても人と向かい合うことにストレスを感じる可能性が高いためである。この切替条件が用いられる場合、リモート管理部120は、調査情報格納部111に格納されている従業者W10のサーベイ得点を読み出して、読み出したサーベイ得点に基づいて切替条件が満たされるか否かを判断する。
【0090】
なお、切替条件は上記条件に限らない。例えば、リモート管理部120は、遠隔表示されている従業者W10の顔の映像から従業者W10の感情を判定する。顔の映像から感情を判定する技術としては、例えば、特開2020-149361号公報に開示されているような周知の技術が用いられればよい。そして、リモート管理部120は、特定の感情(極めてネガティブな感情等)が判定された場合に、切替条件が満たされると判断してもよい。
【0091】
リモート管理部120は、担当者画像を予め記憶しておき、切替条件が満たされると判断した場合、担当者画像を読み出し、読み出した担当者画像をユーザ端末30に送信して表示させる。その場合、リモート管理部120は、撮影された産業医D1の映像はユーザ端末30に表示させない。このような態様によれば、従業者が人の映像を直接見なくて済むため、撮影された人の映像を表示させる場合に比べて、従業者のストレスを緩和することができる。
【0092】
一方、リモート管理部120は、撮影された従業者W10の映像を担当者端末20に表示させるが、自分の姿が見られることにもストレスを感じる場合がある。その場合、リモート管理部120は、上記同様の切替条件を満たすか否かを判断し、切替条件を満たすと判断した場合は、従業者を示す従業者画像(例えばアバター)を表示させてもよい。この場合も、従業者の映像を表示させる場合に比べて、従業者のストレスを緩和することができる。
【0093】
(4)健康状態に関する調査
実施形態では、健康状態に関する調査(健康調査)として、メンタルヘルスに関する状態を調査するためのサーベイが行われたが、これに限らない。例えば、フィジカルな健康状態を調査するためのサーベイが行われてもよいし、従業者自身による健康状態の報告が健康調査として行われてもよい。また、従業者自身が健康状態を判断するのではなく、健康診断のように専門家によって健康状態が判断される健康調査が行われてもよい。
【0094】
また、例えば、調査処理部311が、体調の悪い従業者がインターネット等で自分の症状及び治療方法等を検索する処理を、健康調査の処理として行ってもよい。この場合、例えば、健康支援システム1のユーザとして登録された従業者にアカウント情報(ユーザIDとパスワード)が発行され、アカウント情報を用いてログインした状態で検索を行うことで、調査処理部311が健康調査の処理を行い、検索の結果を健康調査の結果として調査情報格納部111が格納する。
【0095】
自動通知部116は、健康状態に関する通知として、例えば、検索された症状又は治療方法等について相談する相談先を通知する。自動通知部116は、相談先として、例えば、産業医D1の他、該当する症状又は治療方法を専門とする医療機関、それらを専門として且つオンライン診療が可能な医師、該当する症状に対して助言が可能なカウンセラー、役所等が開設している公的な相談窓口等を通知する。また、担当者通知部118は、産業医D1による通知の操作を受け付け、従業者W11に対して健康調査の結果に関する通知を行う。
【0096】
(5)構成のバリエーション
図1に示す全体構成は一例であり、これに限られない。例えば、サーバ装置10は、2台以上の装置に分散されてもよいし、クラウドコンピューティングシステムに代替されてもよい。また、図4に示す機能構成も一例であり、これに限られない。例えば、サーバ装置10の機能が2台以上の装置に分散して実現されてもよい。また、例えば、情報配信部117が行う動作を2以上の機能が分散して行ってもよいし、情報配信部117及び担当者通知部118が1つの機能に統合されてもよい。要するに、健康支援システム1の全体で図4に示す各機能が実現されていれば、それらの機能を実現する装置はどのような構成であってもよい。
【0097】
(6)発明のカテゴリ
上述した実施形態の態様は、情報処理方法であってもよい。その情報処理方法は、健康支援システム1のような情報処理システムの各部を備える。また、上述した実施形態の態様は、プログラムであってもよい。そのプログラムは、コンピュータに、同様の情報処理システムの各ステップを実行させる。
【0098】
<付記>
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0099】
(1)情報処理システムであって、第1通知ステップでは、健康状態に関する調査が行われた従業者に対して、所定の条件が満たされた場合に、前記健康状態に関する第1の通知を行い、表示ステップでは、前記調査の結果を含む従業者情報を担当者端末に表示させ、第2通知ステップでは、前記従業者情報が表示された従業者について所定の操作が行われた場合、当該従業者に対して、前記調査の結果に関する第2の通知を行う、もの。
【0100】
このような態様によれば、通知の漏れを防ぎつつ重点的な通知を行うことができる。
【0101】
(2)上記(1)に記載の情報処理システムにおいて、抽出ステップでは、前記調査を受けた従業者から高ストレス者を抽出し、前記第1通知ステップでは、抽出された前記高ストレス者に対して前記第1の通知を行う、もの。
【0102】
このような態様によれば、通知の重要度を高めることができる。
【0103】
(3)上記(1)又は(2)に記載の情報処理システムにおいて、前記第1の通知又は前記第2の通知には、前記従業者への相談先の案内が含まれる、もの。
【0104】
このような態様によれば、従業者が相談先を判断しやすいようにすることができる。
【0105】
(4)上記(3)に記載の情報処理システムにおいて、前記相談先の案内には、前記相談先の名称、相談可能な内容又は相談方法が含まれる、もの。
【0106】
このような態様によれば、従業者がさらに相談しやすいようにすることができる。
【0107】
(5)上記(3)又は(4)に記載の情報処理システムにおいて、判定ステップでは、前記従業者の前記調査の結果に基づいて複数の相談先の各々の当該従業者への推奨度を判定し、前記診察案内には、判定された前記推奨度に応じた態様で表された前記相談先が含まれる、もの。
【0108】
このような態様によれば、従業者が相談先を判断しやすいようにすることができる。
【0109】
(6)上記(5)に記載の情報処理システムにおいて、前記表示ステップでは、前記調査の結果に基づく相談先の推奨度と当該相談先と当該調査の結果とを前記担当者端末に表示させ、変更受付ステップでは、前記推奨度を変更する入力を受け付け、第2通知ステップでは、変更された前記推奨度を含む前記第2の通知を行う、もの。
【0110】
このような態様によれば、相談先の推奨度をより適切にすることができる。
【0111】
(7)上記(1)~(6)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記表示ステップでは、前記従業者の調査の結果の推移を当該従業者が相談した相談先に対応付けて表示させる、もの。
【0112】
このような態様によれば、相談先に相談したことが健康状態に与える影響を相談先毎に可視化することができる。
【0113】
(8)上記(1)~(7)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、前記表示ステップでは、前記従業者の調査の結果の推移を当該従業者が相談した時期に対応付けて表示させる、もの。
【0114】
このような態様によれば、相談先への相談が健康状態に与える影響を可視化することができる。
【0115】
(9)上記(1)~(8)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、取得ステップでは、前記従業者のスケジュール情報を取得し、前記表示ステップでは、取得された前記スケジュール情報が示す空き時間に予約可能な相談先を表示させ、予約受付ステップでは、前記空き時間での相談予約の入力を受け付ける、もの。
【0116】
このような態様によれば、通知に反応しない従業者についても相談の予約を入れることができる。
【0117】
(10)上記(9)に記載の情報処理システムにおいて、反映ステップでは、受け付けられた前記相談予約の入力による予約情報を、取得された前記スケジュール情報に反映する、もの。
【0118】
このような態様によれば、相談の予約に従業者が気づきやすいようにすることができる。
【0119】
(11)上記(9)又は(10)に記載の情報処理システムにおいて、前記表示ステップでは、前記従業者が所属する企業向けに相談可能な日時の枠が予め確保されている場合に、当該枠に重複する前記空き時間を仮の予約日時として表示させ、前記予約受付ステップでは、前記仮の予約日時の変更及び予約日時の確定の入力を受け付ける、もの。
【0120】
このような態様によれば、相談日時の企業枠が確保された場合における相談予約の手間を軽減することができる。
【0121】
(12)上記(1)~(11)の何れか1つに記載の情報処理システムにおいて、遠隔表示ステップでは、前記従業者が使用する従業者端末と前記担当者端末との間において双方で撮影された映像を表示する遠隔表示を制御し、所定の切替条件が満たされた場合、前記担当者端末で撮影された映像に替えて前記担当者端末を使用する担当者を示す担当者画像を前記従業者端末に表示させる、もの。
【0122】
このような態様によれば、従業者のストレスを軽減することができる。
もちろん、この限りではない。
また、上述した実施形態及び変形例を任意に組み合わせて実施するようにしてもよい。
【0123】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0124】
1 :健康支援システム
10 :サーバ装置
20 :担当者端末
30 :ユーザ端末
111 :調査情報格納部
112 :調査処理部
113 :対象抽出部
114 :相談情報格納部
115 :推奨度判定部
116 :自動通知部
117 :情報配信部
118 :担当者通知部
119 :予約処理部
120 :リモート管理部
211 :配信情報表示部
212 :通知操作受付部
213 :予約情報表示部
214 :予約操作受付部
215 :リモート制御部
311 :調査処理部
312 :回答操作受付部
313 :通知表示部
314 :相談結果入力部
315 :リモート制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13