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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082721
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】除塵ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B08B 5/00 20060101AFI20240613BHJP
   B05B 1/04 20060101ALI20240613BHJP
   B05B 1/14 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B08B5/00 A
B05B1/04
B05B1/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196765
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】511254284
【氏名又は名称】ヒューグル開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097205
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 正樹
(72)【発明者】
【氏名】一橋 遼
(72)【発明者】
【氏名】片岡 義彦
【テーマコード(参考)】
3B116
4F033
【Fターム(参考)】
3B116AA47
3B116AB51
3B116BA03
3B116BA23
3B116BB22
3B116BB32
3B116BB72
3B116BB88
4F033AA04
4F033BA02
4F033CA02
4F033DA02
4F033EA01
4F033LA06
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】除塵の対象物との間に僅かな隙間をもって対向できない状況であっても、除塵の性能を発揮することのできる除塵ヘッドを提供することである。
【解決手段】所定の間隔をもって配置された吐出口21及び吸引口22を有し、前記吐出口21から気体を吐出させるとともに前記吸引口22を通して気体を吸引する除塵ヘッドであって、前記吐出口21から気体の吐出側PSに滑らかに延びて前記吸引口22に至る面(31、32、33a)を有する構成となる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔をもって配置された吐出口及び吸引口を有し、前記吐出口から気体を吐出させるとともに前記吸引口を通して気体を吸引するようにした除塵ヘッドであって、
前記吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びて前記吸引口に至る面を有する除塵ヘッド。
【請求項2】
前記吐出口からの気体の吐出方向と前記吸引口への気体の吸引方向とが平行になるように、前記吐出口及び前記吸引口が形成された、請求項1記載の除塵ヘッド。
【請求項3】
前記面は、
前記吐出口から気体の吐出側に滑らかに所定長延びる凸状に湾曲した吐出側面部分と、
前記吸引口に滑らかに至る所定長の凸状に湾曲した吸引側面部分と、
前記吐出側面部分から滑らかにつづいて前記吸引側面部分に滑らにつづく平坦面部分と、を有する請求項2記載の除塵ヘッド。
【請求項4】
前記面は、
前記吐出口から気体の吐出側に滑らかに所定長延びる凸状に湾曲した吐出側面部分と、
前記吐出側面部分から滑らかにつづき前記吸引口に至る平坦面部分と、を有する請求項2記載の除塵ヘッド。
【請求項5】
前記吐出口からの気体の吐出方向と前記吸引口への気体の吸引方向とが交差するように前記吐出口及び前記吸引口が形成された、請求項1記載の除塵ヘッド。
【請求項6】
前記吐出口らの気体の吐出方向と前記吸引口への気体の吸引方向とが直交するように前記吐出口と前記吸引口が形成された、請求項5記載の除塵ヘッド。
【請求項7】
前記吐出口は前記吸引口より当該吸引口への気体の吸引方向において後方に位置するように、前記吐出口及び前記吸引口が形成された、請求項6記載の除塵ヘッド。
【請求項8】
前記吐出口と前記吸引口とは、気体の吸引方向において同じ位置に位置するように、形成され、
前記面は、前記吐出口から前記吸引口までつづく平坦面である、請求項6記載の除塵ヘッド。
【請求項9】
所定の間隔をもって配置された第1吐出口及び第2吐出口と、前記第1吐出口と前記第2吐出口との間に配置された吸引口とを有し、
前記第1吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びて前記吸引口に至る第1面と、
前記第2吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びて前記吐出口に至る第2面と、を有する除塵ヘッド。
【請求項10】
前記第1吐出口からの気体の吐出方向と第2吐出口からの気体の吐出方向と前記吸引口への気体の吸引方向とが平行となるように、前記第1吐出口、前記第2吐出口及び前記吸引口が形成された、請求項9記載の除塵ヘッド。
【請求項11】
前記第1面は、
前記第1吐出口から気体の吐出側に滑らかに所定長延びる凸状に湾曲した第1吐出側面部分と、
前記吸引口に滑らかに至る所定長の凸状に湾曲した第1吸引側面部分と、
前記第1吐出側面部分から滑らかにつづいて前記第1吸引側面部分に滑らかにつづく第1平坦面部分と、を有する請求項10記載の除塵ヘッド。
【請求項12】
前記第2面は、
前記第2吐出口から気体の吐出側に滑らかに所定長延びる凸状に湾曲した第2吐出側面部分と、
前記吸引口に滑らかに至る所定長の凸状に湾曲した第2吸引側面部分と、
前記第2吐出側面部分から滑らかにつづいて前記第2吸引側面部分に滑らかにつづく第2平坦面と、を有する請求項10記載の除塵ヘッド。
【請求項13】
前記第1面は、
前記第1吐出口から気体の吐出側に滑らかに所定長延びる凸状に湾曲した第1吐出側面部分と、
前記第1吐出側面部分から滑らかにつづき前記吸引口に至る第1平坦面部分と、を有する請求項10記載の除塵ヘッド。
【請求項14】
前記第2面は、
前記第2吐出口から気体の吐出側に滑らかに所定長延びる凸状に湾曲した第2吐出側面部分と、
前記第2吐出側面部分から滑らかにつづき前記吸引口に至る第2平坦面部分と、を有する請求項10記載の除塵ヘッド。
【請求項15】
前記第1吐出口からの気体の吐出方向と前記吸引口への気体の吸引方向とが交差するとともに、前記第2吐出口からの気体の吐出方向と前記吸引方向とが交差するように、前記第1吐出口、前記第2吐出口及び前記吸引口が形成された、請求項9記載の除塵ヘッド。
【請求項16】
前記第1吐出口らの気体の吐出方向と前記吸引口への気体の吸引方向とが直交するとともに、前記第2吐出口からの気体の吐出方向と前記吸引方向とが直交するように、前記第1吐出口、前記第2吐出口及び前記吸引口が形成された、請求項15記載の除塵ヘッド。
【請求項17】
前記第1吐出口は前記吸引口より当該吸引口への気体の吸引方向において後方に位置するとともに、前記第2吐出口は前記吸引口より前記吸引方向において後方に位置するように、前記第1吐出口、前記第2吐出口及び前記吸引口が形成された、請求項15または16記載の除塵ヘッド。
【請求項18】
前記第1吐出口、前記第2吐出口及び前記吸引口は、気体の吸引方向において同じ位置に位置するように形成され、
前記第1面は、前記第1吐出口から前記吸引口までつづく第1平坦面であり、
前記第2面は、前記第2吐出口から前記吸引口までつづく第2平坦面である、請求項15または16記載の除塵ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出口から気体を吐出させるとともに吸引口を通して気体を吸引するようにした除塵ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載の除塵装置(除塵ヘッド)が知られている。この除塵装置は、所定の間隔をもって2つの吸引口26と、それら2つの吸引口26との間に配置された吐出口16とを有する。そして、吐出口16からエアの吐出方向に直交して延び、凹状の窪み部28を経て一方の吸引口26に至る面(例えば、第1面という)と、吐出口16から気体の吐出方向に直交して逆側に延び、凹状の窪み部28を経て他方の吸引口26に至る面(例えば、第2面という)とが形成されている。そして、この除塵装置は、それらの面(第1面及び第2面)と除塵の対象物となるプレートPとの間に僅かな隙間(例えば、1~1.5mm)が形成されように配置される(図1及び図5参照)。
【0003】
このような構造の除塵装置では、吐出口16から高圧エアがプレートPに向かって均一に噴射される。その吐出口16からプレートPに向かって垂直に噴射された高速エアは、プレートPに付着したダストをその風圧で剥離させた後、ダストと共にエア吸込口26を通して吸引される。
【0004】
ここで、吐出口16と一方の吸引口26との間の第1面及び吐出口16と他方の吸引口26との間の第2面のそれぞれとプレートPとの間は極めて狭い(例えば、1~1.5mm)。また、それら第1面及び第2面のそれぞれには窪み部28が形成されている。このため、その隙間を通って窪み部28に流入する高速エアの流速が変わって、当該窪み部28とこの窪み部28に連通する吸込口26内でカルマン渦(乱流)が発生し得る。そして、吸込口26の入り口部分においてそのカルマン渦(乱流)によるエアカーテンが形成され、プレートPから剥離したダストが吸込口26の入り口部分において留まり、確実にエア吸込口26から吸い込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-100622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した除塵装置(除塵ヘッド)は、吐出口16と一方の吸引口26との間に形成された第1面(窪み部28を含む)及び吐出口16と他方の吸引口26との間に形成された第2面(窪み部28を含む)のそれぞれとプレートPとの間が極めて狭くなるように配置される。このため、吐出口16からプレートPに垂直に高圧エアが吐出しても、自然にその狭い隙間を通って、すなわち、前記第1面に沿って、及び前記第2面に沿って、それぞれ吸引口26に向かうエアの流れが生じる。
【0007】
しかし、このような除塵装置は、除塵の対象物に対向して僅かな隙間をもって対向できない状況では、吐出口から吸引口に向かう面(前記第1面、前記第2面等)に沿った気体の流れが生じない。このため、このような状況では除塵の性能を発揮させることができない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、除塵の対象物との間に僅かな隙間をもって対向できない状況であっても、除塵の性能を発揮することのできる除塵ヘッドを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る除塵ヘッドは、所定の間隔をもって配置された吐出口及び吸引口を有し、前記吐出口から気体を吐出させるとともに前記吸引口を通して気体を吸引するようにした除塵ヘッドであって、前記吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びて前記吸引口に至る面を有する構成となる。
【0010】
このような構成により、吐出口から気体(例えば、エア)が吐出するとともに吸引口を通して気体(エア)が吸引される。吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性によりその周りの気体(エア)引き込みつつ、当該吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる面に引き寄せられ、当該面に沿って吸引口に向かって流れる。このようにして生じる気体の流れによって、当該除塵ヘッドが臨むより広い空間に存するダストが吸引口に向けて移動し、そのダストは気体とともに吸引口を通して吸引され得る。
【0011】
本発明に係る除塵ヘッドにおいて、前記吐出口からの気体の吐出方向と前記吸引口への気体の吸引方向とが平行になるように、前記吐出口及び前記吸引口が形成された、構成とすることができる。
【0012】
このような構成により、吐出口から気体(例えば、エア)が吐出するとともに、その吸引方向が前記気体の吐出方向と平行となる吸引口を通して気体(エア)が吸引される。吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性により、その周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる面に引き寄せられ、当該面に沿って吸引口に向かって流れる。このようにして生じる気体の流れによって、当該除塵ヘッドが臨むより広い空間に存するダストが吸引口に向けて移動し、そのダストは気体とともに吸引口を通して吸引され得る。
【0013】
本発明に係る除塵ヘッドにおいて、前記面は、前記吐出口から気体の吐出側に滑らかに所定長延びる凸状に湾曲した吐出側面部分と、前記吸引口に滑らかに至る所定長の凸状に湾曲した吸引側面部分と、前記吐出側面部分から滑らかにつづいて前記吸引側面部分に滑らにつづく平坦面部分と、を有する構成とすることができる。
【0014】
このような構成により、吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性により、その周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる凸状に湾曲した吐出側面部分に引き寄せられ、当該吐出側面部分に沿って流れる。前記吐出側面部分に沿って流れる気体は、更に、平坦面部分に沿い、そして、凸状に湾曲した吸引側面部分に沿って吸引口に向けて流れ得る。このようにして生じる気体の流れによって、当該除塵ヘッドが臨むより広い空間に存するダストが吸引口に向けて移動し、そのダストは気体とともに吸引口を通して吸引され得る。
【0015】
本発明に係る除塵ヘッドにおいて、前記面は、前記吐出口から気体の吐出側に滑らかに所定長延びる凸状に湾曲した吐出側面部分と、前記吐出側面部分から滑らかにつづき前記吸引口に至る平坦面部分と、を有する構成とすることができる。
【0016】
このような構成により、吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性により、その周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる凸状に湾曲した吐出側面部分に引き寄せられ、当該吐出側面部分に沿って流れる。前記吐出側面部分に沿って流れる気体は、更に、平坦面部分に沿って吸引口に向けて流れ得る。このようにして生じる気体の流れによって、当該除塵ヘッドが臨むより広い空間に存するダストが吸引口に向けて移動し、そのダストは気体とともに吸引口を通して吸引され得る。
【0017】
本発明に係る除塵ヘッドにおいて、前記吐出口からの気体の吐出方向と前記吸引口への気体の吸引方向とが交差するように前記吐出口及び前記吸引口が形成された、構成とすることができる。
【0018】
このような構成により、吐出口から気体(例えば、エア)が吐出するとともに、その吸引方向が前記気体の吐出方向と交差するようになる吸引口を通して気体(エア)が吸引される。吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性によりその周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる面に引き寄せられ、当該面に沿って吸引口に向かって流れる。このようにして生じる気体の流れによって、当該除塵ヘッドが臨むより広い空間に存するダストが吸引口に向けて移動し、そのダストは気体とともに吸引口を通して吸引され得る。
【0019】
本発明に係る除塵ヘッドにおいて、前記吐出口らの気体の吐出方向と前記吸引口への気体の吸引方向とが直交するように前記吐出口と前記吸引口が形成された、構成とすることができる。
【0020】
このような構成により、吐出口から気体(例えば、エア)が吐出するとともに、その吸引方向が前記気体の吐出方向と直行するようになる吸引口を通して気体(エア)が吸引される。吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性によりその周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる面に引き寄せられ、当該面に沿って吸引口に向かって流れる。このようにして生じる気体の流れによって、当該除塵ヘッドが臨むより広い空間に存するダストが吸引口に向けて移動し、そのダストは気体とともに吸引口を通して吸引され得る。
【0021】
本発明に係る除塵ヘッドにおいて、前記吐出口は前記吸引口より当該吸引口への気体の吸引方向において後方に位置するように、前記吐出口及び前記吸引口が形成された、構成とすることができる。
【0022】
このような構成により、吸引口よりその気体の吸引方向において後方に位置する吐出口から気体(例えば、エア)が吐出するとともに、その吸引方向が前記気体の吐出方向と直行するようになる吸引口を通して気体(エア)が吸引される。吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性によりその周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる面に引き寄せられ、当該面に沿って吸引口に向かって流れる。このようにして生じる気体の流れによって、当該除塵ヘッドが臨むより広い空間に存するダストが吸引口に向けて移動し、そのダストは気体とともに吸引口を通して吸引され得る。
【0023】
本発明に係る除塵ヘッドにおいて、前記吐出口と前記吸引口とは、気体の吸引方向において同じ位置に位置するように、形成され、前記面は、前記吐出口から前記吸引口までつづく平坦面である、構成とすることができる。
【0024】
このような構成により、吸引口とその気体の吸引方向において同じ位置に位置する吐出口から気体(例えば、エア)が吐出するとともに、その吸引方向が前記気体の吐出方向と直行するようになる吸引口を通して気体(エア)が吸引される。吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性によりその周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる面に引き寄せられ、当該面に沿って吸引口に向かって流れる。このようにして生じる気体の流れによって、当該除塵ヘッドが臨むより広い空間に存するダストが吸引口に向けて移動し、そのダストは気体とともに吸引口を通して吸引され得る。
【0025】
また、本発明に係る除塵ヘッドは、所定の間隔をもって配置された第1吐出口及び第2吐出口と、前記第1吐出口と前記第2吐出口との間に配置された吸引口とを有し、前記第1吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びて前記吸引口に至る第1面と、前記第2吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びて前記吐出口に至る第2面と、を有する構成となる。
【0026】
このような構成により、第1吐出口及び第2吐出口から気体(例えば、エア)が吐出するとともに、それら第1吐出口と第2吐出口との間に配置された吸引口を通して気体(エア)が吸引される。第1吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性によりその周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該第1吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる第1面に引き寄せられ、当該第1面に沿って吸引口に向かって流れる。また、第2吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性によりその周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該第2吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる第2面に引き寄せられ、当該第2面に沿って前記吸引口に向かって流れる。このようにして生じる、前記第1吐出口側から吸引口に向かう気体の流れ及び前記第2吐出口側から吸引口に向かう気体の流れによって、当該除塵ヘッドが臨むより広い空間に存するダストが吸引口に向けて移動し、そのダストは気体とともに吸引口を通して吸引され得る。
【0027】
本発明に係る除塵ヘッドにおいて、前記第1吐出口からの気体の吐出方向と第2吐出口からの気体の吐出方向と前記吸引口への気体の吸引方向とが平行となるように、前記第1吐出口、前記第2吐出口及び前記吸引口が形成された、構成とすることができる。
【0028】
このような構成により、第1吐出口及び第2吐出口のそれぞれから気体(例えば、エア)が吐出するとともに、その吸引方向が前記気体の吐出方向と平行となる吸引口を通して気体(エア)が吸引される。第1吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性によりその周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該第1吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる第1面に引き寄せられ、当該第1面に沿って吸引口に向かって流れる。また、第2吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性によりその周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該第2吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる第2面に引き寄せられ、当該第2面に沿って前記吸引口に向かって流れる。このようにして生じる、前記第1吐出口側から吸引口に向かう気体の流れ及び前記第2吐出口側から吸引口に向かう気体の流れによって、当該除塵ヘッドが臨むより広い空間に存するダストが吸引口に向けて移動し、そのダストは気体とともに吸引口を通して吸引され得る。
【0029】
本発明に係る除塵ヘッドにおいて、前記第1面は、前記第1吐出口から気体の吐出側に滑らかに所定長延びる凸状に湾曲した第1吐出側面部分と、前記吸引口に滑らかに至る所定長の凸状に湾曲した第1吸引側面部分と、前記第1吐出側面部分から滑らかにつづいて前記第1吸引側面部分に滑らかにつづく第1平坦面部分と、を有する構成とすることができる。
【0030】
このような構成により、第1吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性により、その周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該第1吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる凸状に湾曲した第1吐出側面部分に引き寄せられ、当該第1吐出側面部分に沿って流れる。第1吐出側面部分に沿って流れる気体は、更に、第1平面部分に沿い、そして、凸状に湾曲した第1吸引側面部分に沿って吸引口に向けて流れ得る。このようにして生じる気体の流れによって、当該除塵ヘッドが臨むより広い空間に存するダストが吸引口に向けて移動し、そのダストは気体とともに吸引口を通して吸引され得る。
【0031】
本発明に係る除塵ヘッドにおいて、前記第2面は、前記第2吐出口から気体の吐出側に滑らかに所定長延びる凸状に湾曲した第2吐出側面部分と、前記吸引口に滑らかに至る所定長の凸状に湾曲した第2吸引側面部分と、前記第2吐出側面部分から滑らかにつづいて前記第2吸引側面部分に滑らかにつづく第2平坦面と、を有する構成とすることができる。
【0032】
このような構成により、第2吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性により、その周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該第2吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる凸状に湾曲した第2吐出側面部分に引き寄せられ、当該第2吐出側面部分に沿って流れる。第2吐出側面部分に沿って流れる気体は、更に、第2平面部分に沿い、そして、凸状に湾曲した第2吸引側面部分に沿って吸引口に向けて流れ得る。このようにして生じる気体の流れによって、当該除塵ヘッドが臨むより広い空間に存するダストが吸引口に向けて移動し、そのダストは気体とともに吸引口を通して吸引され得る。
【0033】
本発明に係る除塵ヘッドにおいて、前記第1面は、前記第1吐出口から気体の吐出側に滑らかに所定長延びる凸状に湾曲した第1吐出側面部分と、前記第1吐出側面部分から滑らかにつづき前記吸引口に至る第1平坦面部分と、を有する構成とすることができる。
【0034】
このような構成により、第1吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性により、その周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該第1吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる凸状に湾曲した第1吐出側面部分に引き寄せられ、当該第1吐出側面部分に沿って流れる。前記第1吐出側面部分に沿って流れる気体は、更に、第1平坦面部分に沿って吸引口に向けて流れ得る。このようにして生じる気体の流れによって、当該除塵ヘッドが臨むより広い空間に存するダストが吸引口に向けて移動し、そのダストは気体とともに吸引口を通して吸引され得る。
【0035】
本発明に係る除塵ヘッドにおいて、前記第2面は、前記第2吐出口から気体の吐出側に滑らかに所定長延びる凸状に湾曲した第2吐出側面部分と、前記第2吐出側面部分から滑らかにつづき前記吸引口に至る第2平坦面部分と、を有する構成とすることができる。
【0036】
このような構成により、第2吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性により、その周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該第2吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる凸状に湾曲した第2吐出側面部分に引き寄せられ、当該第2吐出側面部分に沿って流れる。前記第2吐出側面部分に沿って流れる気体は、更に、第2平坦面部分に沿って吸引口に向けて流れ得る。このようにして生じる気体の流れによって、当該除塵ヘッドが臨むより広い空間に存するダストが吸引口に向けて移動し、そのダストは気体とともに吸引口を通して吸引され得る。
【0037】
本発明に係る除塵ヘッドにおいて、前記第1吐出口からの気体の吐出方向と前記吸引口への気体の吸引方向とが交差するとともに、前記第2吐出口からの気体の吐出方向と前記吸引方向とが交差するように、前記第1吐出口、前記第2吐出口及び前記吸引口が形成された、構成とすることができる。
【0038】
このような構成により、第1突出口及び第2突出口のそれぞれから気体(例えば、エア)が吐出するとともに、吸引方向が、前記第1吐出口からの気体の吐出方向及び前記第2吐出口からの気体の吐出方向とのそれぞれと交差するようになる吸引口を通して気体(エア)が吸引される。第1吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性によりその周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該第1吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる第1面に引き寄せられ、当該第1面に沿って吸引口に向かって流れる。また、第2吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性によりその周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該第2吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる第2面に引き寄せられ、当該第2面に沿って前記吸引口に向かって流れる。このようにして生じる、前記第1吐出口側から吸引口に向かう気体の流れ及び前記第2吐出口側から吸引口に向かう気体の流れによって、当該除塵ヘッドが臨むより広い空間に存するダストが吸引口に向けて移動し、そのダストは気体とともに吸引口を通して吸引され得る。
【0039】
本発明に係る除塵ヘッドにおいて、前記第1吐出口らの気体の吐出方向と前記吸引口への気体の吸引方向とが直交するとともに、前記第2吐出口からの気体の吐出方向と前記吸引方向とが直交するように、前記第1吐出口、前記第2吐出口及び前記吸引口が形成された、構成とすることができる。
【0040】
このような構成により、第1突出口及び第2突出口のそれぞれから気体(例えば、エア)が吐出するとともに、吸引方向が、前記第1吐出口からの気体の吐出方向及び前記第2吐出口からの気体の吐出方向とのそれぞれと直交するようになる吸引口を通して気体(エア)が吸引される。第1吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性によりその周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該第1吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる第1面に引き寄せられ、当該第1面に沿って吸引口に向かって流れる。また、第2吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性によりその周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該第2吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる第2面に引き寄せられ、当該第2面に沿って前記吸引口に向かって流れる。このようにして生じる、前記第1吐出口側から吸引口に向かう気体の流れ及び前記第2吐出口側から吸引口に向かう気体の流れによって、当該除塵ヘッドが臨むより広い空間に存するダストが吸引口に向けて移動し、そのダストは気体とともに吸引口を通して吸引され得る。
【0041】
本発明に係る除塵ヘッドにおいて、前記第1吐出口は前記吸引口より当該吸引口への気体の吸引方向において後方に位置するとともに、前記第2吐出口は前記吸引口より前記吸引方向において後方に位置するように、前記第1吐出口、前記第2吐出口及び前記吸引口が形成された、構成とすることができる。
【0042】
このような構成により、吸引口よりその気体の吸引方向において後方に位置する第1吐出口及び第2吐出口のそれぞれから気体(例えば、エア)が吐出するとともに、その吸引方向が、前記第1吐出口からの気体の吐出方向及び前記第2吐出口からの気体の吐出方向とのそれぞれと直交するようになる吸引口を通して気体(エア)が吸引される。第1吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性によりその周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該第1吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる第1面に引き寄せられ、当該第1面に沿って吸引口に向かって流れる。また、第2吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性によりその周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該第2吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる第2面に引き寄せられ、当該第2面に沿って前記吸引口に向かって流れる。このようにして生じる、前記第1吐出口側から吸引口に向かう気体の流れ及び前記第2吐出口側から吸引口に向かう気体の流れによって、当該除塵ヘッドが臨むより広い空間に存するダストが吸引口に向けて移動し、そのダストは気体とともに吸引口を通して吸引され得る。
【0043】
本発明に係る除塵ヘッドにおいて、前記第1吐出口、前記第2吐出口及び前記吸引口は、気体の吸引方向において同じ位置に位置するように形成され、前記第1面は、前記第1吐出口から前記吸引口までつづく第1平坦面であり、前記第2面は、前記第2吐出口から前記吸引口までつづく第2平坦面である、構成とすることができる。
【0044】
このような構成により、吸引口とその気体の吸引方向において同じ位置に位置する第1吐出口及び第2吐出口のそれぞれから気体(例えば、エア)が吐出するとともに、その吸引方向が、前記第1吐出口からの気体の吐出方向及び前記第2吐出口からの気体の吐出方向とのそれぞれと直交するようになる吸引口を通して気体(エア)が吸引される。第1吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性によりその周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該第1吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる第1面に引き寄せられ、当該第1面に沿って吸引口に向かって流れる。また、第2吐出口から吐出する気体の少なくとも一部は、その粘性によりその周りの気体(エア)を引き込みつつ、当該第2吐出口から気体の吐出側に滑らかに延びる第2面に引き寄せられ、当該第2面に沿って前記吸引口に向かって流れる。このようにして生じる、前記第1吐出口側から吸引口に向かう気体の流れ及び前記第2吐出口側から吸引口に向かう気体の流れによって、当該除塵ヘッドが臨むより広い空間に存するダストが吸引口に向けて移動し、そのダストは気体とともに吸引口を通して吸引され得る。
【発明の効果】
【0045】
本発明に係る除塵ヘッドによれば、吐出口から吐出する気体により生じ得る吸引口に向かう気体の流れによって、当該除塵ヘッドが臨むより広い空間に存するダストが吸引口に向けて移動し、そのダストが気体とともに吸引口を通して吸引され得るので、除塵の対象物との間に僅かな隙間をもって対向できない状況であっても、除塵の性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る除塵ヘッドの適用例を示す図である。
図2図2は、本発明の第1の実施の形態に係る除塵ヘッドを示す平面図である。
図3図3は、本発明の第1の実施の形態に係る除塵ヘッドを示す正面図である。
図4図4は、本発明の第1の実施の形態に係る除塵ヘッドを示す側面図である。
図5図5は、図2及び図3における除塵ヘッドのA-A断面を示す断面図である。
図6図6は、図5に示す除塵ヘッドの断面の要部を拡大して示す断面図である。
図7図7は、除塵ヘッドが臨む空間に生じ得る気体(エア)の流れの一例を示す図である。
図8図8は、本発明の第1の実施の形態に係る除塵ヘッドの変形例を示す断面図である。
図9図9は、本発明の第2の実施の形態に係る除塵ヘッドを示す断面図である。
図10図10は、本発明の第3の実施の形態に係る除塵ヘッドを示す断面図である。
図11図11は、図10に示す除塵ヘッドの断面の要部を拡大して示す断面図である。
図12図12は、除塵ヘッドが臨む空間に生じ得る気体(エア)の流れの一例を示す図である。
図13図13は、本発明の第3の実施の形態に係る除塵ヘッドの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0048】
本発明の実施の形態に係る除塵ヘッドは、例えば、図1に示すように適用される。
【0049】
フィルム等の薄材Wの表面に塗料の層を一様の厚さで形成する工程が知られている。この工程では、図1に示すように、一方の面に塗料が塗られた薄材Wを加熱されつつ回転する2つのプレスロール110、120の間を通してその塗料の層を含めた薄材Wの圧延加工が行われる。このような工程では、薄材Wの塗料が塗られた面に接するプレスロール110の表面に塗料が付着して固化してしまう。このようにプレスロール110の表面に付着して固化した塗料を除去するために、プレスロール110の表面に先端が斜めに接するようにスクレイパー130が設けられる。このスクレイパー130によって、プレスロール110の表面の塗料が削り落される(除去される)。これにより、表面が常に清浄な状態のプレスロール110、120によって薄材Wの圧延加工が行われる。
【0050】
上述したスクレイパー130によるプレスロール110表面の塗料の削り落としによって発生する塗料の屑が、そのスクレイパー130の先端を含む領域Eを浮遊するようになる。このように浮遊する塗料の屑を回収するために、除塵ヘッド10が、スクレイパー130の先端を含む領域Eを臨むように設置される。
【0051】
本発明の第1の実施の形態に係る除塵ヘッド10について説明する。
【0052】
本発明の第1の実施の形態に係る除塵ヘッド10は、図2図6に示すように構成される。なお、図2は、本発明の第1の実施の形態に係る除塵ヘッド10を示す平面図、図3は、その除塵ヘッドを示す正面図、及び図4は、その除塵ヘッドを示す側面図である。また、図5は、図2及び図3における除塵ヘッド10のA-A断面を示す断面図であり、図6は、その断面の要部を拡大して示す断面図である。
【0053】
図2図4において、除塵ヘッド10は、長形の立体形状となるヘッド本体11を有し、そのヘッド本体11の上面ほぼ中央に中空ブロック13が設けられ、更にその中空ブロック13に吸気筒14が設けられた構造となっている。ヘッド本体11の一方の側面には2つの継手12a、12bが設けられるとともに、他方の側面にも2つの継手12c、12dが設けられている。吸気筒14は、配管を介して高速にエアを吸引する吸引機構に接続され、4つの継手12a、12b、12c、12dには、高圧エア(気体)を供給する給気機構に続く配管が接続される。
【0054】
特に図3及び図4に示すように、ヘッド本体11の中空ブロック13が設けられた面と逆側の面は、除塵の対象となる領域(例えば、図1における領域E)に臨む面であって、中央に配置される先端面30と、先端面30を挟むように配置される第1傾斜面34a及び第2傾斜面34bとを含む。第1傾斜面34a及び第2傾斜面34bは、先端面30に向けて徐々につぼまるように傾斜している(後述する図5及び図6参照)。そして、先端面30と第1傾斜面34aとの境界部分に長手方向に延びるスリット状の第1吐出口21aが形成され、先端面30と第2傾斜面34bとの境界部分に長手方向に延びるスリット状の第2吐出口21bが形成されている。先端面30の長手方向に直行する方向における中央位置に当該長手方向に延びるスリット状の吸引口22が形成されている。
【0055】
ヘッド本体11の断面外形形状および内部(断面)の詳細な構造は、図5及び図6に示すようになっている。
【0056】
図5において、ヘッド本体11内には、長手方向に平行に延びる第1吐出室23a及び第2吐出室23bとしての2つの空間が形成されるとともに、それら第1吐出室23aと第2吐出室23bとに挟まれるように長手方向に延びる中間吸引室27としての空間が形成されている。中空ブロック13内には吸引室26としての空間が形成されており、ヘッド本体11の中間吸引室27が中空ブロック13の吸引室26に連通している。
【0057】
ヘッド本体11内には、第1吐出室23aから続いてこの第1吐出室23aより狭い隙間幅となる第1中間吐出室24aが、この第1中間吐出室24aから続いて更に狭い所定隙間幅となる第1吐出路25aが形成されている。そして、第1吐出路25aの先端が第1吐出口21aとして外方に向けて開口している。また、ヘッド本体11内には、同様に、第2吐出室23bから続いてこの第2吐出室23bより狭い隙間幅となる第2中間吐出室24bが、この第2中間吐出室24bから続いて更に狭い所定隙間幅となる第2吐出路25bが形成されている。そして、第2吐出路25bの先端が第2吐出口21bとして外方に向けて開口している。更に、ヘッド本体11内には、中間吸引室27から続いてこの中間吸引室27より狭い隙間幅となる吸引路28が形成されている。そして、吸引路28の先端が吸引口22として外方に向けて開口している。
【0058】
第1吐出室23aは前述した2つの継手12a、12c(図2図4参照)に連通しており、給気機構から供給される高圧エア(気体)がその2つの継手12a、12bを通して第1吐出室23aに導入される。第1吐出室23aに導入される高圧エアは、第1中間吐出室24a及び第1吐出路25aを通して第1吐出口21aから吐出する。また、第2吐出室23bは前述した2つの継手12b、12d(図2図4参照)に連通しており、給気機構から供給される高圧エアがその2つの継手12b、12dを通して第2吐出室23bに導入される。第2吐出室23bに導入される高圧エアは、第2中間吐出室24b及び第2吐出路25bを通して第2吐出口21bから吐出する。中空ブロック13の吸引室26は、吸気筒14を通した吸引機構による吸気作用を受けている。この吸引室26に対する吸気作用が、中間吸引室27を介して吸引路28におよび、その吸気作用により、吸引口22を通して外部のエアが吸引される。
【0059】
図5とともに図6に拡大して示すように、第1吐出路25aと、第2吐出路25bと、吸引路28とは平行に形成されている。その結果、第1吐出口21aからの高圧エアの吐出方向PDaと、第2吐出口21bからの高圧エアの吐出方向PDbと、吸引口22を通したエアの吸引方向SDとは平行となる。また、吸引口22は、第1吐出口21a及び第2吐出口22bのそれぞれより、高圧エアの吐出方向PDa、PDbにおいて前方側に配置される。
【0060】
先端面30は、第1吐出口21aから高圧エアの吐出側PSに滑らかに延びて吸引口22に至る第1先端面30a(第1面)と、第2吐出口21bから高圧エアの吐出側PSに滑らかに延びて吸引口22に至る第2先端面30b(第2面)とを含む。なお、前記高圧エアの吐出側PSは、高圧エアが吐出口(第1吐出口21a、第2吐出口21b)から進み行く側であって、高圧エアの吐出方向PDa、PDbと垂直な方向の側は含まない。
【0061】
第1先端面30aは、第1吐出口21aから高圧エアの吐出側PSに滑らかに所定長延びる凸状に湾曲した第1吐出側面部分31aと、吸引口22に滑らかに至る所定長の凸状に湾曲した第1吸引側面部分33aと、第1吐出側面部分31aから滑らかにつづいて第1吸引側面部分33aに滑らかにつづく第1中間平坦面部分32aとを含む。また、第2先端面30bは、第2吐出口21bから高圧エアの吐出側PSに滑らかに所定長延びる凸状に湾曲した第2吐出側面部分31bと、吸引口22に滑らかに至る所定長の凸状に湾曲した第2吸引側面部分33bと、第2吐出側面部分31bから滑らかにつづいて第2吸引側面部分33bに滑らかにつづく第2中間平坦面部分32bとを含む。
【0062】
上述したヘッド本体11は、吸引口22、吸引路28、及び中間吸引室27を通って長手方向に延びる中心面L(図5参照)に対して対称な構造となっている。
なお、第1先端面30aの凸状に湾曲した第1吸引側面部分33aと、第2先端面30bの凸状に湾曲した第2吸引側面部分33bとが、それらの間隔が徐々に小さくなりつつ、吸引口22(吸引路28の開口)に滑らかに至る。ここで、その間隔が最小Δとなる部分(図6参照)を、吸引路28の開口である吸引口22として定義する。
【0063】
上述したような構造の除塵ヘッド10では、第1吐出口21a及び第2吐出口21bから高圧エアが吐出するとともに、吸引口22を通してエアが吸引される。このような状況において、図7に示すように、第1吐出口21aから吐出する高圧エアの少なくとも一部は、その粘性により、その周りのエアを第1傾斜面34aに沿うようにして引き込みつつ、第1先端面30aの第1吐出側面部分31aに沿って流れる(コアンダ効果:図7の二点鎖線矢印参照)。第1吐出側面部分31aに沿って流れるエアは、更に、第1中間平坦面部分32aに沿い、そして、第1吸引側面部分33aに沿って吸引口22に向けて流れる。また、第2吐出口21bから吐出する高圧エアの少なくとも一部は、同様に、その粘性により、その周りのエアを第2傾斜面34bに沿うようにして引き込みつつ、第2先端面30bの第2吐出側面部分31bに沿って流れる(コリアンダ効果:図7の二点鎖線矢印参照)。第2吐出側面部分31bに沿って流れるエアは、更に、第2中間平坦面部分32bに沿い、そして、第2吸引側面部分33bに沿って吸引口22に向けて流れ得る。このようにして生じるエアの流れによって、除塵ヘッド10(ヘッド本体10)の先端面30が臨むより広い空間(例えば、図1における領域E)に存するダスト(例えば、塗料の屑)が吸引口22に向けて移動する。そして、そのダストはエアとともに吸引口22を通して吸引される。
【0064】
このような除塵ヘッド10によれば、第1吐出口21a及び第2吐出口21bから吐出する高圧エアにより生じ得る吸引口22に向かうエアの流れによって、当該除塵ヘッド10が臨むより広い空間に存するダストが吸引口22に向けて移動し、そのダストがエアとともに吸引口22に吸引されるので、除塵の対象との間に僅かな隙間をもって対向できない状況(例えば、図1に示す状況)であっても、除塵の性能を発揮することができる。
【0065】
なお、上述した構造の除塵ヘッド10では、ヘッド本体11は、吸引口22、吸引路28、及び中間吸引室27を通って長手方向に延びる中心面L(図5参照)に対して対称の構造であったが、これに限定されず、中心面Lに対して非対称の構造であってもよい。第1先端面30a及び第2先端面30bそれぞれは、前述したものに限定されるものではなく、吐出口(第1吐出口21a、第2吐出口21b)から高圧エアの吐出側PD側に滑らかに延びて吸引口22に至る面であればよい。また、第1吐出路21a及び第2吐出路21bのそれぞれは、吸引路28と平行であったが、これに限定されない。第1吐出口21aからの高圧エアの吐出方向PDaと吸引口22へのエアの吸引方向SDとが交差するように、また、第2吐出口21bからの高圧エアの吐出方向PDbと吸引口22へのエアの吸引方向SDとが交差するように、第1吐出路21a、第2吐出路21b、及び吸引路22を形成することができる。
【0066】
ヘッド本体11の先端面30を構成する第1先端面30a及び第2先端面30bは、図8に示すように構成することもできる。なお、図8において、第1先端面30a及び第2先端面30b以外の構造は、前述した第1の実施の形態のもの(図5図6参照)と同じであるので、同じ構造の部分についての説明は省略する。
【0067】
図8において、第1先端面30aは、第1吐出口21aから高圧エアの吐出側PSに滑らかに所定長延びる凸状に湾曲した第1吐出側面部分31aと、第1吐出側面部分31aから滑らかにつづいて吸引口22に至る第1平坦面部分35aとを含む。第2先端面30bは、第2吐出口21bから高圧エアの吐出側PSに滑らかに所定長延びる凸状に湾曲した第2吐出側面部分31bと、第1吐出側面部分31aから滑らかにつづいて吸引口22に至る第2平坦面部分35bとを含む。この例では、前述したようにそれぞれ湾曲した第1吸引側面部分33a及び第2吸引側面部分が形成されることなく、第1吐出側面部分31a及び第2中間吐出側面部分32bのそれぞれに滑らかにつながる第1平坦面部分35a及び第2平坦面部分35bのそれぞれがそのまま吸引口22に至っている。
【0068】
上述したような構造のヘッド本体11を有する除塵ヘッド10では、第1吐出口21a及び第2吐出口21bから高圧エアが吐出するとともに、吸引口22を通してエアが吸引される。このような状況において、第1吐出口21aから吐出する高圧エアの少なくとも一部は、その粘性により、その周りのエアを第1傾斜面34aに沿うようにして引き込みつつ、第1先端面30aの第1吐出側面部分31aに沿って流れる(コリアンダ効果)。このように第1吐出側面部分31aに沿って流れるエアは、更に、第1平坦面部分35aに沿って吸引口22に向けて流れる。また、第2吐出口21bから吐出する高圧エアの少なくとも一部は、同様に、その粘性により、その周りのエアを第2傾斜面34bに沿うようにして引き込みつつ、第2先端面30bの第2吐出側面部分31bに沿って流れる(コリアンダ効果)。このように第2吐出側面部分31bに沿って流れるエアは、更に、第2平坦面部分35bに沿って吸引口22に向けて流れる。このようにして生じるエアの流れによって、除塵ヘッド10(ヘッド本体10)の先端面30が臨むより広い空間(例えば、図1における領域E)に存するダスト(例えば、塗料の屑)が吸引口22に向けて移動する。そして、そのダストはエアとともに吸引口22を通して吸引される。
【0069】
上述したような構造(図8参照)の除塵ヘッド10によれば、前述したもの(図5図7)と同様に、除塵の対象との間に僅かな隙間をもって対向できない状況(例えば、図1に示す状況)であっても、除塵の性能を発揮することができる。
【0070】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る除塵ヘッドについて説明する。この除塵ヘッドは、高圧エアを吐出する系統が、前述した除塵ヘッド10のように2系統(図5参照)ではなく、1系統であることを特徴としている。
【0071】
本発明の第2の実施の形態に係る除塵ヘッドにおけるヘッド本体の断面構造は、図9に示すようになっている。
【0072】
図9において、ヘッド本体11内には、吐出室23が形成され、その吐出室23から続いてこの吐出室23より狭い隙間幅となる中間吐出室24、この中間吐出室24から続いて更に狭い所定隙間幅となる吐出路25が形成されている。そして、吐出路25の先端が吐出口21として外方に向けて開口している。これら吐出室23、中間吐出室24及び吐出路25(吐出口21)は、第1の実施の形態に係る除塵ヘッド10(図5参照)における、第1吐出室23a、第1中間吐出室24a及び第1吐出路25a(第1吐出口21a)と同様の形状および構成となっている。また、ヘッド本体11内には、第1の実施の形態に係る除塵ヘッド10と同様に、中空ブロック13内に形成された吸引室26と連通する中間吸引室27、その中間吸引室27から続いてこの中間吸引室27より狭い隙間幅となる吸引路28が形成されている。そして、吸引路28の先端が吸引口22として外方に向けて開口している。吐出路25と吸引路28とは平行に形成され、吐出路25からの高圧エアの吐出方向と、吸引口22へのエアの吸引方向とは平行となる。吸引口22は、吐出口21より、高圧エアの吐出方向において前方側に配置される。
【0073】
上述したヘッド本体11の吐出室23に吸気機構から供給される高圧エアが導入されるとともに、中空ブロック13の吸引室26が吸引機構による吸気作用を受ける。
【0074】
ヘッド本体11の除塵の対象となる領域に臨むべき面は、先端面30と傾斜面34とを含む。先端面30と傾斜面34との境界部分に長手方向に延びるスリット状の吐出口21が形成される。傾斜面34は、外方から吐出口21に向けて吐出路25に徐々に近づくように傾斜している。
【0075】
先端面30は、吐出口21から高圧エアの吐出側PSに滑らかに所定長延びる凸状に湾曲した吐出側面部分31と、吸引口22に滑らかに至る所定長の凸状に湾曲した第1吸引側面部分33aと吐出側面部分31から滑らかにつづいて第1吸引側面部分33aに滑らかにつづく中間平坦面部分32とを含む。先端面30は、更に、ヘッド本体11の縁端から吸引口22に向かう平坦面部分36と、平坦面部分36から滑らかにつづいて吸引口22に至る第2吸引側面部分33bとを含む。
【0076】
このような構造の除塵ヘッド10では、吐出口21から高圧エアが吐出するとともに吸引口22を通してエアが吸引される。このような状況において、吐出口21から吐出する高圧エアの少なくとも一部は、その粘性により、その周りのエアを傾斜面34に沿うようにして引き込みつつ、先端面30の吐出側面部分31に沿って流れる(コアンダ効果)。このように吐出側面部分31に沿って流れるエアは、更に、中間平坦面部分32に沿い、そして、第1吸引側面部分33aに沿って吸引口22に向けて流れる。このようにして生じるエアの流れによって、除塵ヘッド10(ヘッド本体10)の先端面30が臨むより広い空間(例えば、図1における領域E)に存するダスト(例えば、塗料の屑)が吸引口22に向けて移動する。そして、そのダストはエアとともに吸引口22を通して吸引される。
【0077】
上述したような構造(図9参照)の除塵ヘッド10によれば、吐出口21から吐出する高圧エアにより生じ得る吸引口22に向かうエアの流れによって、除塵ヘッド10が臨むより広い空間に存するダストが吸引口22に向けて移動し、そのダストがエアとともに吸引口22に吸引されるので、除塵の対象との間に僅かな隙間をもって対向できない状況(例えば、図1に示す状況)であっても、除塵の性能を発揮することができる。
【0078】
なお、先端面30の第1吸引側面部分33a及び第2吸引側面部分33bのそれぞれは、図8に示す例と同様に、平坦面として形成することもできる。
【0079】
次に、本発明の第3の実施の態様に係る除塵ヘッドについて説明する。
【0080】
第3の実施の形態に係る除塵ヘッドにおけるヘッド本体の断面構造は、図10及び図11に示すようになっている。
【0081】
図10において、ヘッド本体11内には、長手方向に平行に延びる第1吐出室43a及び第2吐出室43bとしての2つの空間が形成されるとともに、それら第1吐出室43aと第2吐出室43bとに挟まれるように長手方向に延びる中間吸引室47としての空間が形成されている。中空ブロック13内には吸引室46としての空間が形成されており、ヘッド本体11の中間吸引室47が中空ブロック13の吸引室46に連通している。
【0082】
ヘッド本体11内には、第1吐出室43aから続いてこの第1吐出室43aより狭い隙間幅となる第1中間吐出室44aが形成されている。第1中間吐出室44aから、第1吐出室43a及び第1中間吐出室44aの配列方向に直交するようにつづく当該第1中間吐出室44aより狭い隙間幅となる第1吐出路45aが形成されている。そして、第1吐出路45aの先端が第1吐出口41aとして外方に向けて開口している。また、ヘッド本体11内には、同様に、第2吐出室43bから続いてこの第2吐出室43bより狭い隙間幅となる第2中間吐出室44bが形成されている。第2中間吐出室44bから、第2吐出室43b及び第2中間吐出室44bの配列方向に直交するようにつづく当該第2中間吐出室44bより狭い隙間幅となる第2吐出路45bが形成されている。そして、第2吐出路45bの先端が第2吐出口41bとして外方に向けて開口している。第1吐出路45aの先端開口となる第1吐出口41aと、第2吐出路45bの先端開口となる第2吐出口41bとは向かい合っている。更に、ヘッド本体10内には、中間吸引室47から続いてこの中間吸引室より狭い隙間幅となる吸引路48が形成されている。そして、吸引路48の先端が吸引口42として外方に向けて開口している。
【0083】
第1吐出室43a及び第2吐出室43bのそれぞれには、給気機構から供給される高圧エア(気体)が導入される。第1吐出室43aに導入される高圧エアは、第1中間吐出室44a及び第1吐出路45aを通して第1吐出口41aから吐出する。また、第2吐出室43bに導入される高圧エアは、第2中間吐出室44b及び第2吐出路45bを通して第2吐出口41bから吐出する。中空ブロック13の吸引室46は、吸気筒14を通した吸引機構による吸気作用を受けている。この吸引室46に対する吸気作用が、中間吸引室47を介して吸引路48におよび、その吸気作用により、吸引口42を通して外部のエアが吸引される。
【0084】
図10とともに図11に拡大して示すように、第1吐出路45aと吸引路48とは直交するように形成されるとともに、第2吐出路45bと吸引路48とも直交するように形成されている。その結果、第1吐出口41aからの高圧エアの吐出方向PDa及び第2吐出口41bからの高圧エアの吐出方向PDbのそれぞれと吸引口42を通したエアの吸引方向SDは直交する。また、第1吐出口41a及び第2吐出口41bのそれぞれは、吸引口42より当該吸引口42へのエアの吸引方向SDにおいて後方に配置される。
【0085】
除塵の対象となる領域(例えば、図1における領域E)に臨む面は、第1湾曲先端面37a(第1面)、第1傾斜面38a、第2湾曲先端面37b(第2面)及び第2傾斜面38bを含む。第1湾曲先端面37aは、第1吐出口41aから高圧エアの吐出側PSaに滑らかに延びて吸引口42に至る。また、第2湾曲先端面37bは、第2吐出口41bから高圧エアの吐出側PSbに滑らかに延びて吸引口42に至る。第1湾曲先端面37a及び第2湾曲先端面37bのそれぞれは、例えば、円弧状に湾曲した面として形成することができる。第1傾斜面38aは外方から第1湾曲先端面37aに向けて傾斜しており、第1傾斜面38aと第1湾曲先端面37aとの境界部分に長手方向に延びるスリット状の第1吐出口41a(第1吐出路45aの先端開口)が形成される。また、第2傾斜面38bは外方から第2湾曲先端面37bに向けて傾斜しており、第2傾斜面38bと第2湾曲先端面37bとの境界部分に長手方向に延びるスリット状の第2吐出口41b(第2吐出路45bの先端開口)が形成される。
【0086】
上述したヘッド本体11は、吸引口42、吸引路48、及び中間吸引室47を通って長手方向に延びる中心面L(図10参照)に対して対称の構造となっている。
なお、第1湾曲先端面37aと第2湾曲先端面37bとが、それらの間隔が徐々に小さくなりつつ、吸引口42(吸引路48の開口)に滑らかに至る。ここで、その間隔が最小Δとなる部分(図11参照)を、吸引路48の開口である吸引口42として定義する。
【0087】
上述したような構造(図10図11参照)の除塵ヘッド10では、第1吐出口41a及び第2吐出口42bから高圧エアが吐出するとともに、吸引口42を通してエアが吸引される。このような状況において、図12に示すように、第1吐出口41aから吐出する高圧エアの少なくとも一部は、その粘性により、その周りのエアを第1傾斜面38aに沿うようにして引き込みつつ、第1湾曲先端面37aに沿って流れる(コリアンダ効果:図12の二点鎖線矢印参照)。そして、第1湾曲先端面37aに沿って流れるエアは、吸引口42に向けて流れ得る。また、第2吐出口41bから吐出する高圧エアの少なくとも一部は、同様に、その粘性により、その周りのエアを第2傾斜面38bに沿うようにして引き込みつつ、第2湾曲先端面37bに沿って流れる(コリアンダ効果:図12の二点鎖線矢印参照)。そして、第2湾曲先端面37bに沿って流れるエアは、吸引口42に向けて流れ得る。このようにして生じるエアの流れによって、除塵ヘッド10(ヘッド本体11)の第1湾曲先端面37a、第2湾曲先端面37b、第1傾斜面38a、及び第2傾斜面38bが臨むより広い空間(例えば、図1における領域E)に存するダスト(例えば、塗料の屑)が吸引口42に向けて移動する。そして、そのダストはエアとともに吸引口22を通して吸引される。
【0088】
このような除塵ヘッド10によれば、第1吐出口41a及び第2吐出口42bから吐出する高圧エアにより生じ得る吸引口42に向かうエアの流れによって、当該除塵ヘッド10が臨むより広い空間に存するダストが吸引口42に移動し、そのダストがエアとともに吸引口42に吸引されるので、除塵の対象との間に僅かな隙間をもって対向できない状況(例えば、図1に示す状況)であっても、除塵の性能を発揮することができる。
【0089】
なお、上述した構造の除塵ヘッド10では、ヘッド本体11は、吸引口42、吸引路48、及び中間吸引室47を通って長手方向に延びる中心面L(図10参照)に対して対称の構造であったが、これに限定されず、中心面Lに対して非対称の構造であってもよい。第1湾曲先端面37a及び第2湾曲先端面37bそれぞれは、前述したものに限定されるものではなく、吐出口(第1吐出口21a、第2吐出口21b)から高圧エアの吐出側PD側に滑らかに延びて吸引口22に至る面であればよい。また、第1吐出口41aからの高圧エアの吐出方向PDa及び第2吐出口41bからの高圧エアの吐出方向PDbのそれぞれと吸引口42へのエアの吸引方向SDとが直交するように、第1吐出路45a、第2吐出路45b、吸引路48が形成されたが、これに限定されない。第1吐出口41aからの高圧エアの吐出方向PDaと吸引口42へのエアの吸引方向SDとが、直角以外の角度で交差するように、また、第2吐出口41bからの高圧エアの吐出方向PDaと吸引口42へエアの吸引方向SDとが、直角以外の角度で交差するように、第1吐出路45a、第2吐出路45b及び吸引路48を形成するようにしてもよい。
【0090】
ヘッド本体11における除塵の対象となる領域(例えば、図1における領域E)に臨む面は、図13に示すように構成することができる。なお、図13において、除塵の対象となる領域(例えば、図1における領域E)に臨む面以外の構造は、前述した第3の実施の形態のもの(図11図12参照)と同じであるので、同じ構造の部分についての説明は省略する。
【0091】
図13において、第1吐出口41a、第2吐出口41b、及び吸引口42がエアの吸引方向SD(図11参照)において同じ位置に位置するように、第1吐出路45a、第2吐出路45b、及び吸引路48が形成される。そして、ヘッド本体11における除塵の対象となる領域に臨む面は、第1平坦先端面39a及び第2平坦先端面39bを含む。第1平坦先端面39aは、第1吐出口41aを境として第1吐出路45aの内面からそのまま続き、吸引口42に至る面である。第2平坦先端面39bは、第2吐出口41bを境として第2吐出路45bの内面からそのまま続き、吸引口42に至る面である。第1傾斜面38aは、外方から第1平坦先端面39aに向かって傾斜し、第2傾斜面38bは、外方から第2平坦先端面39bに向かって傾斜している。
【0092】
このような構造のヘッド本体11を有する除塵ヘッド10では、第1吐出口41a及び第2吐出口41bから高圧エアが吐出するとともに、吸引口42を通してエアが吸引される。このような状況において、第1吐出口41aから吐出する高圧エアの少なくとも一部は、その粘性により、その周りのエアを第1傾斜面38aに沿うようにして引き込みつつ、第1平坦先端面面39aに沿って流れる(コリアンダ効果)。第1平坦先端面39aに沿って流れるエアはそのまま吸引口42に向けて流れる。また、第2吐出口41bから吐出する高圧エアの少なくとも一部は、同様に、その粘性により、その周りのエアを第2傾斜面38bに沿うようにして引き込みつつ、第2平坦先端面39bに沿って流れる(コリアンダ効果)。第2平坦先端面39bに沿って流れるエアはそのまま吸引口42に向けて流れる。このようにして生じるエアの流れによって、除塵ヘッド10(ヘッド本体10)の第1平坦先端面39a、第2平坦先端面39b、第1傾斜面38a及び第2傾斜面38bが臨む広い空間(例えば、図1における領域E)に存するダスト(例えば、塗料の屑)が吸引口42に向けて移動する。そして、そのダストはエアとともに吸引口42を通して吸引される。
【0093】
上述したような構造(図13参照)の除塵ヘッド10によれば、前述したもの(図10図12)と同様に、除塵の対象との間に僅かな隙間をもって対向できない状況(例えば、図1に示す状況)であっても、除塵の性能を発揮することができる。
【0094】
なお、図10図12に示す本発明の第3の実施の形態に係る除塵ヘッド、及びその変形例となる図13に示す除塵ヘッドのそれぞれは、高圧エアを吐出する系統が2系統であったが、図9に示す例と同様に、高圧エアを吐出する系統を1系統とすることもできる。
【0095】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、この実施の形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明に係る除塵ヘッドは、除塵の対象物との間に僅かな隙間をもって対向できない状況であっても、除塵の性能を発揮することができるという効果を有し、吐出口から気体を吐出させるとともに吸引口を通して気体を吸引するようにした除塵ヘッドとして有用である。
【符号の説明】
【0097】
10 除塵ヘッド
11 ヘッド本体
12a、12b、12c、12d 継手
13 中空ブロック
14 吸気筒
21 吐出口
21a 第1吐出口 21b 第2吐出口
22 吸引口
23 吐出室
23a 第1吐出室 23b 第2吐出室
24 中間吐出室
24a 第1中間吐出室 24b 第2中間吐出室
25 吐出路
25a 第1吐出路 25b 第2吐出路
26 吸引室
27 中間吸引室
28 吸引路
30 先端面
30a 第1先端面 30b 第2先端面
31 吐出側面部分
31a 第1吐出側面部分 31b 第2吐出側面部分
32 中間平坦面部分
32a 第1中間平坦面部分 32b 第2中間平坦面部分
33a 第1吸引側面部分 33b 第2吸引側面部分
34 傾斜面
34a 第1傾斜面 34b 第2傾斜面
35a 第1平坦面部分 35b 第2平坦面部分
36 平坦面部分
37a 第1湾曲先端面 37b 第2湾曲先端面
38a 第1傾斜面 38b 第2傾斜面
39a 第1平坦先端面 39b 第2平坦先端面
41a 第1吐出口 41b 第2吐出口
42 吸引口
43a 第1吐出室 43b 第2吐出室
44a 第1中間吐出室 44b 第2中間吐出室
45a 第1吐出路 45b 第2吐出路
46 吸引室
47 中間吸引室
48 吸引路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13