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特開2024-82735アダプター骨格蛋白質、酵素複合体、及び光合成生物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082735
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】アダプター骨格蛋白質、酵素複合体、及び光合成生物
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20240613BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240613BHJP
   C12N 15/60 20060101ALI20240613BHJP
   C12N 15/31 20060101ALI20240613BHJP
   C07K 14/33 20060101ALI20240613BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240613BHJP
   C12N 9/88 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
C07K19/00
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/60
C12N15/31
C07K14/33
C12N1/21
C12N9/88
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196790
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】599002043
【氏名又は名称】学校法人 名城大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神藤 定生
【テーマコード(参考)】
4B050
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B050CC03
4B050CC05
4B050DD02
4B050EE10
4B050LL05
4B065AA01X
4B065AA26X
4B065AB01
4B065AC09
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA46
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA11
4H045DA89
4H045EA61
4H045FA74
(57)【要約】
【課題】ACC合成酵素及びACC酸化酵素を高度に集積化する。
【解決手段】アダプター骨格蛋白質は、ACC合成酵素サブユニットが結合するコヘシンドメインCACSと、第1結合ドメインと、を含む第1の骨格蛋白質を保持するとともに、ACC酸化酵素サブユニットが結合するコヘシンドメインCACOと、第2結合ドメインと、を含む第2の骨格蛋白質を保持する。前記アダプター骨格蛋白質は、コヘシンドメインC3及びドックリンドメインD3のいずれかである第3結合ドメインと、コヘシンドメインC4及びドックリンドメインD4のいずれかである第4結合ドメインと、を含み、前記第3結合ドメインと前記第1結合ドメインとを介したコヘシン-ドックリン結合によって前記第1の骨格蛋白質を保持し、前記第4結合ドメインと前記第2結合ドメインを介したコヘシン-ドックリン結合によって前記第2の骨格蛋白質を保持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の骨格蛋白質を保持するとともに、第2の骨格蛋白質を保持するアダプター骨格蛋白質であって、
前記第1の骨格蛋白質は、ACC合成酵素サブユニットが結合するコヘシンドメインCACSと、コヘシンドメインC1及びドックリンドメインD1のいずれかである第1結合ドメインと、を含み、
前記第2の骨格蛋白質は、ACC酸化酵素サブユニットが結合するコヘシンドメインCACOと、コヘシンドメインC2及びドックリンドメインD2のいずれかである第2結合ドメインと、を含み、
前記アダプター骨格蛋白質は、
コヘシンドメインC3及びドックリンドメインD3のいずれかである第3結合ドメインと、コヘシンドメインC4及びドックリンドメインD4のいずれかである第4結合ドメインと、を含み、
前記第3結合ドメインと前記第1結合ドメインとを介したコヘシン-ドックリン結合によって前記第1の骨格蛋白質を保持し、
前記第4結合ドメインと前記第2結合ドメインを介したコヘシン-ドックリン結合によって前記第2の骨格蛋白質を保持する、アダプター骨格蛋白質。
【請求項2】
ACC合成酵素とドックリンドメインDACSとを含むACC合成酵素サブユニットと、
前記ドックリンドメインDACSが結合するコヘシンドメインCACSと、コヘシンドメインC1及びドックリンドメインD1のいずれかである第1結合ドメインと、を含む第1の骨格蛋白質と、
ACC酸化酵素とドックリンドメインDACOとを含むACC酸化酵素サブユニットと、
前記ドックリンドメインDACOが結合するコヘシンドメインCACOと、コヘシンドメインC2及びドックリンドメインD2のいずれかである第2結合ドメインと、を含む第2の骨格蛋白質と、
コヘシンドメインC3及びドックリンドメインD3のいずれかである第3結合ドメインと、コヘシンドメインC4及びドックリンドメインD4のいずれかである第4結合ドメインと、を含む第3の骨格蛋白質と、を備え、
前記第3の骨格蛋白質は、
前記第3結合ドメインと前記第1結合ドメインとを介したコヘシン-ドックリン結合によって前記第1の骨格蛋白質を保持し、
前記第4結合ドメインと前記第2結合ドメインを介したコヘシン-ドックリン結合によって前記第2の骨格蛋白質を保持する、酵素複合体。
【請求項3】
ACC合成酵素サブユニット数に対するACC酸化酵素サブユニット数の比率(ACC酸化酵素サブユニット数/ACC合成酵素サブユニット数)が3以上である、請求項2に記載の酵素複合体。
【請求項4】
コヘシンドメインC5及びドックリンドメインD5のいずれかである第5結合ドメインと、コヘシンドメインC6及びドックリンドメインD6のいずれかである第6結合ドメインと、を含む第4の骨格蛋白質、を更に備え、
前記第3の骨格蛋白質は、前記第4結合ドメインと前記第5結合ドメインを介したコヘシン-ドックリン結合によって前記第4の骨格蛋白質を保持し、
前記第4の骨格蛋白質は、前記第6結合ドメインと前記第2結合ドメインを介したコヘシン-ドックリン結合によって前記第2の骨格蛋白質を保持する、請求項2又は請求項3に記載の酵素複合体。
【請求項5】
MTA分解酵素とドックリンドメインDMTANとを含むMTA分解酵素サブユニットを更に備え、
前記第1の骨格蛋白質は、前記ドックリンドメインDMTANが結合するコヘシンドメインCMTANを更に含む、請求項2又は請求項3に記載の酵素複合体。
【請求項6】
請求項2又は請求項3に記載の酵素複合体を産生するように形質転換した光合成生物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アダプター骨格蛋白質、酵素複合体、及び光合成生物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、セルロース結合蛋白質に由来する蛋白質担体上に、コヘシン-ドックリン間の特異的結合性を利用して、逐次反応に関与する酵素群をワンセットで結合させた酵素配列複合体を開示する。
【0003】
特許文献2は、嫌気性微生物由来のコヘシン-ドックリン結合を利用したエチレン生成人工酵素複合体SOC2を開示する。エチレン生成人工酵素複合体SOC2は、骨格蛋白質と、当該骨格蛋白質に結合したACC合成酵素サブユニットと、当該骨格蛋白質に結合したACC酸化酵素サブユニットと、を含んでいる。そして、エチレン生成人工酵素複合体SOC2によれば、SAM(S-アデノシル-L-メチオニン)を基質として、ACC(1-アミノシクロプロパンカルボン酸)を生成し、更にエチレン(C)を生成し得ることが確認されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-157282号公報
【特許文献2】特開2013-074814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1及び特許文献2に記載の技術は、酵素群を直列に配列した酵素複合体に留まる。エチレン産生能を更に向上するために、ACC合成酵素及びACC酸化酵素を高度に集積化することが望まれる。
【0006】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、ACC合成酵素及びACC酸化酵素を高度に集積化することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のアダプター骨格蛋白質は、
第1の骨格蛋白質を保持するとともに、第2の骨格蛋白質を保持するアダプター骨格蛋白質であって、
前記第1の骨格蛋白質は、ACC合成酵素サブユニットが結合するコヘシンドメインCACSと、コヘシンドメインC1及びドックリンドメインD1のいずれかである第1結合ドメインと、を含み、
前記第2の骨格蛋白質は、ACC酸化酵素サブユニットが結合するコヘシンドメインCACOと、コヘシンドメインC2及びドックリンドメインD2のいずれかである第2結合ドメインと、を含み、
前記アダプター骨格蛋白質は、
コヘシンドメインC3及びドックリンドメインD3のいずれかである第3結合ドメインと、コヘシンドメインC4及びドックリンドメインD4のいずれかである第4結合ドメインと、を含み、
前記第3結合ドメインと前記第1結合ドメインとを介したコヘシン-ドックリン結合によって前記第1の骨格蛋白質を保持し、
前記第4結合ドメインと前記第2結合ドメインを介したコヘシン-ドックリン結合によって前記第2の骨格蛋白質を保持する。
【0008】
このアダプター骨格蛋白質によれば、第1の骨格蛋白質を保持するとともに、第2の骨格蛋白質を保持して、ACC合成酵素(ACS)と、ACC酸化酵素(ACO)を高度に集積化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】酵素複合体SOC6を模式的に示す図である。
図2】大腸菌形質転換ベクターpET-Sca1の概念図である。
図3】大腸菌形質転換ベクターpET-Sca2の概念図である。
図4】大腸菌形質転換ベクターpET-Sca3の概念図である。
図5】Sca1とACC合成酵素サブユニットの結合試験の結果を示す写真である。
図6】Sca1とMTA分解酵素サブユニットの結合試験の結果を示す写真である。
図7】Sca1とSca3の結合試験の結果を示す写真である。
図8】Sca2とACC酸化酵素サブユニットの結合試験の結果を示す写真である。
図9】Sca2とSca3の結合試験の結果を示す写真である。
図10】酵素複合体SOC29を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示における好ましい実施の形態を説明する。
本開示の酵素複合体は、
ACC合成酵素とドックリンドメインDACSとを含むACC合成酵素サブユニットと、
前記ドックリンドメインDACSが結合するコヘシンドメインCACSと、コヘシンドメインC1及びドックリンドメインD1のいずれかである第1結合ドメインと、を含む第1の骨格蛋白質と、
ACC酸化酵素とドックリンドメインDACOとを含むACC酸化酵素サブユニットと、
前記ドックリンドメインDACOが結合するコヘシンドメインCACOと、コヘシンドメインC2及びドックリンドメインD2のいずれかである第2結合ドメインと、を含む第2の骨格蛋白質と、
コヘシンドメインC3及びドックリンドメインD3のいずれかである第3結合ドメインと、コヘシンドメインC4及びドックリンドメインD4のいずれかである第4結合ドメインと、を含む第3の骨格蛋白質と、を備え、
前記第3の骨格蛋白質は、
前記第3結合ドメインと前記第1結合ドメインとを介したコヘシン-ドックリン結合によって前記第1の骨格蛋白質を保持し、
前記第4結合ドメインと前記第2結合ドメインを介したコヘシン-ドックリン結合によって前記第2の骨格蛋白質を保持する。
【0011】
この酵素複合体によれば、ACC合成酵素(ACS)と、ACC酸化酵素(ACO)を高度に集積化できる。このため、ACC合成酵素と、ACC酸化酵素の高効率な酵素反応を実現でき、エチレン生産能の向上が期待できる。
【0012】
本開示の酵素複合体において、ACC合成酵素サブユニット数に対するACC酸化酵素サブユニット数の比率(ACC酸化酵素サブユニット数/ACC合成酵素サブユニット数)が3以上であるとよい。ACC合成酵素サブユニット数に対するACC酸化酵素サブユニット数の比率が3以上であれば、より一層のエチレン生産能の向上が期待できる。
【0013】
本開示の酵素複合体において、コヘシンドメインC5及びドックリンドメインD5のいずれかである第5結合ドメインと、コヘシンドメインC6及びドックリンドメインD6のいずれかである第6結合ドメインと、を含む第4の骨格蛋白質、を更に備え、前記第3の骨格蛋白質は、少なくとも前記第4結合ドメインと前記第5結合ドメインを介したコヘシン-ドックリン結合によって前記第4の骨格蛋白質を保持し、前記第4の骨格蛋白質は、少なくとも前記第6結合ドメインと前記第2結合ドメインを介したコヘシン-ドックリン結合によって前記第2の骨格蛋白質を保持してもよい。この構成によれば、ACC合成酵素と、ACC酸化酵素をより高度に集積化できる。
【0014】
本開示の酵素複合体において、MTA分解酵素とドックリンドメインDMTANとを含むMTA分解酵素サブユニットを更に備え、前記第1の骨格蛋白質は、前記ドックリンドメインDMTANが結合するコヘシンドメインCMTANを更に含んでもよい。メチルチオアデノシンをMTAとも称する。この構成によれば、MTA分解酵素(MTAN)によって、ACC合成酵素の触媒反応時に阻害物質として作用し得るメチルチオアデノシン(MTA)を分解することができる。よって、ACC合成能の低下を抑制でき、エチレン生産能の向上に寄与できる。
【0015】
本開示の光合成生物は、上記の酵素複合体を産生するように形質転換した光合成生物であってもよい。この構成によれば、エチレン生産に有用な人工酵素複合体を産生する光合成生物を提供できる。当該光合成生物は、体内に存在するSAMを利用して、人工酵素複合体によってエチレンを生産すると考えられる。よって、光合成可能な細菌や藻類に化石資源の使用等により排出された二酸化炭素を有用な資源であるエチレンに変換させるという、環境への負荷を軽減する物質循環を構築し得る。
【0016】
以下、本実施形態を詳しく説明する。なお、本明細書において、数値範囲について「~」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。例えば、「10~20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10~20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。
【0017】
1.酵素複合体SOC6
図1に示すように、酵素複合体SOC6は、ACC合成酵素サブユニットと、第1の骨格蛋白質と、ACC酸化酵素サブユニットと、第2の骨格蛋白質と、第3の骨格蛋白質と、を備える。第3の骨格蛋白質がアダプター骨格蛋白質に相当する。本実施形態の酵素複合体SOC6は、MTA分解酵素サブユニットを更に備えている。以下、ACC合成酵素サブユニットをACS-DACSとも称する。第1の骨格蛋白質をSca1とも称する。ACC酸化酵素サブユニットをACO-DACOとも称する。第2の骨格蛋白質をSca2とも称する。第3の骨格蛋白質をSca3とも称する。MTA分解酵素サブユニットをMTAN-DMTANとも称する。
【0018】
酵素複合体SOC6は、1個の第1の骨格蛋白質、2個の第2の骨格蛋白質、1個の第3の骨格蛋白質を備えることによって、1個のACC合成酵素サブユニット、4個のACC酸化酵素サブユニット、1個のMTA分解酵素サブユニットの合計6個の酵素サブユニットを集積化できる。また、酵素複合体SOC6は、コヘシン-ドックリン結合によって複合化されている。コヘシン-ドックリン結合は非常に強い結合親和性と高い結合特異性を有する。酵素複合体SOC6は、結合特異性を有するコヘシン-ドックリン結合を複数組み合わせて用いることで、酵素の逐次的な反応に適した酵素サブユニットの数、配置を実現できる。
【0019】
(1)コヘシン-ドックリン結合
コヘシン-ドックリン結合を構成するコヘシンドメインとドックリンドメインは特に限定されない。コヘシンドメインはセルロソームのスキャフォールディンに含まれているドメインとして知られている。ドックリンドメインはセルロソームに含まれているドメインとして知られている。本開示のコヘシンドメインとドックリンドメインは、公知のセルロソームに由来するもの、将来明らかにされるセルロソームに由来するもの、及びこれらの修飾/改変体であってコヘシン-ドックリンの特異的結合性を維持するものを利用することができる。コヘシンドメインとドックリンドメインとしては、例えば、嫌気性細菌、嫌気性糸状菌が生産するセルロソームに由来するコヘシンドメインとドックリンドメインが挙げられる。コヘシンドメインとドックリンドメインの結合特異性を実現するために、同種の嫌気性細菌、嫌気性糸状菌等に由来するコヘシンドメインとドックリンドメインを採用することが好ましい。
【0020】
嫌気性細菌として、Acetivibrio cellulolyticus、Bacteroides cellulosolvens、Butyrivibrio fibrisolvens、Clostridium acetobutylicum、Clostridium cellulovorans、Clostridium cellobioparum、Clostridium cellulolyticum、Clostridium josui、Clostridium papyrosolvens、Clostridium thermocellum、Ruminococcus albus、Ruminococcus flavefaciens、Ruminococcus succinogenesを例示することができる。嫌気性糸状菌としてNeocallimastrix frontalis、Neocallimastrix particiarum、Orpomyces sp.、Piromyces sp.を例示することができる。嫌気性細菌が生産するセルロソームに由来するコヘシンドメインがより好ましく、Clostridium thermocellum、Acetivibrio cellulolyticus、Ruminococcus flavefaciens、Clostridium josuiが生産するセルロソームに由来するコヘシンドメインとドックリンドメインが特に好ましい。
【0021】
また、同じ菌種由来のコヘシンドメインとドックリンドメインの組み合わせを複数採用する場合には、コヘシンドメインとドックリンドメインの種類を適宜選択することによって、結合特異性を有するコヘシン-ドックリン結合を複数構成できる。例えば、同じ菌種由来のコヘシンドメインとドックリンドメインの複数の組み合わせとして、以下の組み合わせが挙げられる。
<Ruminococcus flavefaciens>
FD-1 ScaC cohesinと、FD-1 Group3 dockerinの組み合わせ。
FD-1 ScaA cohesin1と、FD-1 Group1 dockerinの組み合わせ。
<Clostridium thermocellum>
CipA cohesin 3と、Cel48S Dockerinの組み合わせ。
SdbA typeII cohesinと、CipA typeII Dockerinの組み合わせ。
【0022】
以下、ACC合成酵素サブユニット、ACC酸化酵素サブユニット、MTA分解酵素サブユニットについて説明してから、第1の骨格蛋白質、第2の骨格蛋白質、第3の骨格蛋白質について説明する。
【0023】
(2)ACC合成酵素サブユニット(ACS-DACS
ACC合成酵素サブユニットは、ACC合成酵素とドックリンドメインDACSとを含む。ACC合成酵素サブユニットは、ACC合成酵素の触媒作用が阻害されない限り、形質転換やベクターの構築等に利用した配列が残っていても良い。
【0024】
ACC合成酵素は、SAMを基質とし、ACCを生成する酵素である限り特に限定されない。公知のACC合成酵素、将来明らかにされるACC合成酵素、及びこれらの修飾/改変体であってSAMを基質とし、ACCを生成する酵素を利用することができる。また、SAMを基質としACCを生成する反応以外の反応を触媒する多機能酵素も利用することができる。植物に由来するACC合成酵素が好ましく、トマト、ポプラ、ヤエナリ、シロイヌナズナ、イネ、ジャガイモ、エンドウ、コムギ、タバコ、メロン、セイヨウナシ、キウイフルーツ、カーネーション、ゼラニウム、ラン、ペチュニア又はヒマワリに由来するACC合成酵素がより好ましく、トマトに由来するACC合成酵素が特に好ましい。
【0025】
ドックリンドメインDACSは、後述するコヘシンドメインCACSと特異的に結合できれば、特に限定されない。ドックリンドメインDACSは、酵素複合体SOC6を安定的に複合化する観点から、コヘシンドメインCACO、コヘシンドメインCMTAN、コヘシンドメインC1、コヘシンドメインC3、コヘシンドメインC4(C4-1,C4-2)とは特異的に結合しないことが好ましい。
【0026】
ACC合成酵素サブユニットに含まれるACC合成酵素の数は、特に限定されない。ACC合成酵素サブユニットに含まれるACC合成酵素の数は、1~3であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。ACC合成酵素サブユニットに含まれるドックリンドメインDACSの数は、例えば1つである。
【0027】
ACC合成酵素サブユニットにおける、ACC合成酵素とドックリンドメインDACSは直接連結されて良いし、ACC合成酵素とドックリンドメインDACS間にリンカーを介在させても良い。ACC合成酵素サブユニットにACC合成酵素が複数含まれる場合、ACC合成酵素同士はリンカーを介して連結することが好ましい。リンカーを介在させることでACC合成酵素の自由度が確保できると考えられる。リンカーを介在させる場合、リンカーは、酵素複合体SOC6に含まれる酵素の逐次的な反応を維持できるものであることが好ましい。リンカーはアミノ酸配列が好ましい。リンカーをアミノ酸配列とし、ACC合成酵素サブユニットの一部としてACC合成酵素及びドックリンドメインDACSと共に翻訳させる実施形態がより好ましい。リンカーがアミノ酸配列で構成される場合、リンカーを構成するアミノ酸数は5~15個であることが好ましく、6~12個であることがより好ましく、7~9個であることが特に好ましい。また、セルロソームに含まれるドックリンネイティブのリンカーを使用することも好ましい。
【0028】
(3)ACC酸化酵素サブユニット(ACO-DACO
ACC酸化酵素サブユニットは、ACC酸化酵素とドックリンドメインDACOとを含む。ACC酸化酵素サブユニットは、ACC酸化酵素の触媒作用が阻害されない限り、形質転換やベクターの構築等に利用した配列が残っていても良い。
【0029】
ACC酸化酵素は、ACCを基質とし、エチレンを生成する酵素である限り特に限定されない。公知のACC酸化酵素、将来明らかにされるACC酸化酵素、及びこれらの修飾/改変体であってACCを基質とし、エチレンを生成する酵素を利用することができる。また、ACCを基質としエチレンを生成する反応以外の反応を触媒する多機能酵素も利用することができる。植物に由来するACC酸化酵素が好ましく、トマト、キュウリ、バナナ、パッションフリーツ、カーネーション、又はセイヨウナシに由来するACC酸化酵素がより好ましく、トマトに由来するACC酸化酵素が特に好ましい。
【0030】
ドックリンドメインDACOは、後述するコヘシンドメインCACOと特異的に結合できれば、特に限定されない。ドックリンドメインDACOは、酵素複合体SOC6を安定的に複合化する観点から、コヘシンドメインCACS、コヘシンドメインCMTAN、コヘシンドメインC1、コヘシンドメインC3、コヘシンドメインC4(C4-1,C4-2)とは特異的に結合しないことが好ましい。
【0031】
ACC酸化酵素サブユニットに含まれるACC酸化酵素の数は、特に限定されない。ACC酸化酵素サブユニットに含まれるACC酸化酵素の数は、1~3であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。ACC酸化酵素サブユニットに含まれるドックリンドメインDACOの数は、例えば1つである。
【0032】
ACC酸化酵素サブユニットにおける、ACC酸化酵素とドックリンドメインDACOは直接連結されて良いし、ACC酸化酵素とドックリンドメインDACO間にリンカーを介在させても良い。ACC酸化酵素サブユニットにACC酸化酵素が複数含まれる場合、ACC酸化酵素同士はリンカーを介して連結することが好ましい。リンカーを介在させることでACC酸化酵素の自由度が確保できると考えられる。リンカーを介在させる場合、リンカーは、酵素複合体SOC6に含まれる酵素の逐次的な反応を維持できるものであることが好ましい。リンカーはアミノ酸配列が好ましい。リンカーをアミノ酸配列とし、ACC酸化酵素サブユニットの一部としてACC酸化酵素及びドックリンドメインDACOと共に翻訳させる実施形態がより好ましい。リンカーがアミノ酸配列で構成される場合、リンカーを構成するアミノ酸数は5~15個であることが好ましく、6~12個であることがより好ましく、7~9個であることが特に好ましい。また、セルロソームに含まれるドックリンネイティブのリンカーを使用することも好ましい。
【0033】
(4)MTA分解酵素サブユニット(MTAN-DMTAN
MTA分解酵素サブユニットは、MTA分解酵素とドックリンドメインDMTANとを含む。MTA分解酵素サブユニットは、MTA分解酵素の触媒作用が阻害されない限り、形質転換やベクターの構築等に利用した配列が残っていても良い。
【0034】
MTA分解酵素は、MTAをメチルチオリボースへ加水分解させる酵素である限り特に限定されない。MTAは、SAMからACCが合成される際の反応副産物として生成され得る。公知のMTA分解酵素、将来明らかにされるMTA分解酵素、及びこれらの修飾/改変体であってMTAをメチルチオリボースへ加水分解させる酵素を利用することができる。植物に由来するMTA分解酵素が好ましく、シロイヌナズナに由来するMTA分解酵素がより好ましい。
【0035】
ドックリンドメインDMTANは、後述するコヘシンドメインCMTANと特異的に結合できれば、特に限定されない。ドックリンドメインDMTANは、酵素複合体SOC6を安定的に複合化する観点から、コヘシンドメインCACS、コヘシンドメインCACO、コヘシンドメインC1、コヘシンドメインC3、コヘシンドメインC4(C4-1,C4-2)とは特異的に結合しないことが好ましい。
【0036】
MTA分解酵素サブユニットに含まれるMTA分解酵素の数は、特に限定されない。MTA分解酵素サブユニットに含まれるMTA分解酵素の数は、1~3であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。ACC合成酵素サブユニットに含まれるドックリンドメインDMTANの数は、例えば1つである。
【0037】
MTA分解酵素サブユニットにおける、MTA分解酵素とドックリンドメインDMTANは直接連結されて良いし、MTA分解酵素とドックリンドメインDMTAN間にリンカーを介在させても良い。MTA分解酵素サブユニットにMTA分解酵素が複数含まれる場合、MTA分解酵素同士はリンカーを介して連結することが好ましい。リンカーを介在させることでMTA分解酵素の自由度が確保できると考えられる。リンカーを介在させる場合、リンカーは、酵素複合体SOC6に含まれる酵素の逐次的な反応を維持できるものであることが好ましい。リンカーはアミノ酸配列が好ましい。リンカーをアミノ酸配列とし、MTA分解酵素サブユニットの一部としてMTA分解酵素及びドックリンドメインDMTANと共に翻訳させる実施形態がより好ましい。リンカーがアミノ酸配列で構成される場合、リンカーを構成するアミノ酸数は5~15個であることが好ましく、6~12個であることがより好ましく、7~9個であることが特に好ましい。また、セルロソームに含まれるドックリンネイティブのリンカーを使用することも好ましい。
【0038】
(5)第1の骨格蛋白質(Sca1)
第1の骨格蛋白質は、ドックリンドメインDACSが結合するコヘシンドメインCACSと、コヘシンドメインC1及びドックリンドメインD1のいずれかである第1結合ドメインと、を含む。本実施形態の第1の骨格蛋白質Sca1は、後述するドックリンドメインDMTANが結合するコヘシンドメインCMTANを更に含んでいる。
【0039】
コヘシンドメインCACSは、ドックリンドメインDACSと特異的に結合できれば、特に限定されない。コヘシンドメインCACSは、酵素複合体SOC6を安定的に複合化する観点から、ドックリンドメインDACO、ドックリンドメインDMTAN、ドックリンドメインD2、ドックリンドメインD3とは特異的に結合しないことが好ましい。
【0040】
第1結合ドメインは、コヘシン-ドックリン結合によって第3の骨格蛋白質に保持される結合ドメインである。図1のように、第1結合ドメインとしてコヘシンドメインC1を含んでいる場合には、後述する第3の骨格蛋白質の第3結合ドメインとして、コヘシンドメインC1と結合するドックリンドメインD3を採用する。他方、第1の骨格蛋白質Sca1が、第1結合ドメインとしてドックリンドメインD1を含む場合には、後述する第3の骨格蛋白質の第3結合ドメインとして、ドックリンドメインD1と結合するコヘシンドメインC3を採用すればよい。以下、第1結合ドメインとしてコヘシンドメインC1を含んでいる場合について説明して、ドックリンドメインD1を含んでいる場合についての説明を省略する。
【0041】
コヘシンドメインC1は、ドックリンドメインD3と特異的に結合できれば、特に限定されない。コヘシンドメインC1は、酵素複合体SOC6を安定的に複合化する観点から、ドックリンドメインDACO、ドックリンドメインDMTAN、ドックリンドメインD2、ドックリンドメインD3とは特異的に結合しないことが好ましい。
【0042】
コヘシンドメインCMTANは、ドックリンドメインDMTANと特異的に結合できれば、特に限定されない。コヘシンドメインCMTANは、酵素複合体SOC6を安定的に複合化する観点から、ドックリンドメインDACS、ドックリンドメインDACO、ドックリンドメインD2、ドックリンドメインD3とは特異的に結合しないことが好ましい。
【0043】
第1の骨格蛋白質に含まれるコヘシンドメインCACSの数は、特に限定されない。第1の骨格蛋白質に含まれるコヘシンドメインCACSの数は、1~3であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。第1の骨格蛋白質に含まれるコヘシンドメインCMTANの数は、特に限定されない。第1の骨格蛋白質に含まれるコヘシンドメインCMTANの数は、1~3であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。第1の骨格蛋白質に含まれるコヘシンドメインC1の数は、例えば1つである。
【0044】
第1の骨格蛋白質における、コヘシンドメインCACSと、コヘシンドメインCMTANと、コヘシンドメインC1の並び順は特に限定されない。これらの並び順は、コヘシンドメインC1が端にあることが好ましく、コヘシンドメインCACS、コヘシンドメインCMTAN、コヘシンドメインC1の順がより好ましい。
【0045】
第1の骨格蛋白質における、各コヘシンドメインは直接連結されて良いし、隣り合うコヘシンドメイン間にリンカーを介在させても良い。コヘシンドメインCACS、コヘシンドメインCMTAN、コヘシンドメインC1の順に並ぶ場合において、コヘシンドメインCACSとコヘシンドメインCMTANはリンカーを介して連結することが好ましい。リンカーを介在させることで、ACC合成酵素と、MTA分解酵素の自由度が確保できると考えられる。リンカーを介在させる場合、リンカーは、酵素複合体SOC6に含まれる酵素の逐次的な反応を維持できるものであることが好ましい。リンカーはアミノ酸配列が好ましい。リンカーをアミノ酸配列とし、第1の骨格蛋白質の一部としてコヘシンドメインCACS、コヘシンドメインCMTAN、コヘシンドメインC1と共に翻訳させる実施形態がより好ましい。隣り合うコヘシンドメインCACSとコヘシンドメインCMTANのリンカーがアミノ酸配列で構成される場合、リンカーを構成するアミノ酸数は7~17個であることが好ましく、8~14個であることがより好ましく、9~11個であることが特に好ましい。隣り合うコヘシンドメインCMTANとコヘシンドメインC1のリンカーがアミノ酸配列で構成される場合、リンカーを構成するアミノ酸数は12~21個であることが好ましく、13~19個であることがより好ましく、14~16個であることが特に好ましい。また、セルロソームに含まれるネイティブのリンカーを使用することも好ましい。
【0046】
(6)第2の骨格蛋白質(Sca2)
第2の骨格蛋白質は、ドックリンドメインDACOが結合するコヘシンドメインCACOと、コヘシンドメインC2及びドックリンドメインD2のいずれかである第2結合ドメインと、を含む。
【0047】
コヘシンドメインCACOは、ドックリンドメインDACOと特異的に結合できれば、特に限定されない。コヘシンドメインCACOは、酵素複合体SOC6を安定的に複合化する観点から、ドックリンドメインDACS、ドックリンドメインDMTAN、ドックリンドメインD2、ドックリンドメインD3とは特異的に結合しないことが好ましい。
【0048】
第2結合ドメインは、コヘシン-ドックリン結合によって第3の骨格蛋白質に保持される結合ドメインである。図1のように、第2結合ドメインとしてドックリンドメインD2を含んでいる場合には、後述する第3の骨格蛋白質の第4結合ドメインとして、ドックリンドメインD2と結合するコヘシンドメインC4(C4-1,C4-2)を採用する。他方、第2の骨格蛋白質Sca2が、第2結合ドメインとしてコヘシンドメインC2を含む場合には、後述する第3の骨格蛋白質の第4結合ドメインとして、コヘシンドメインC2と結合するドックリンドメインD4を採用すればよい。以下、第2結合ドメインとしてドックリンドメインD2を含んでいる場合について説明して、コヘシンドメインC2を含んでいる場合についての説明を省略する。
【0049】
ドックリンドメインD2は、コヘシンドメインC4(C4-1,C4-2)と特異的に結合できれば、特に限定されない。ドックリンドメインD2は、酵素複合体SOC6を安定的に複合化する観点から、コヘシンドメインCACS、コヘシンドメインCACO、コヘシンドメインCMTAN、コヘシンドメインC1、コヘシンドメインC3とは特異的に結合しないことが好ましい。コヘシンドメインD2として、同じ種のセルロソームのスキャフォールディンに含まれる複数のコヘシンドメインにそれぞれ結合できるドックリンドメインであることが好ましく、例えば、Ruminococcus flavefaciensに由来するドックリンドメインを採用できる。
【0050】
第2の骨格蛋白質に含まれるコヘシンドメインCACOの数は、特に限定されない。第2の骨格蛋白質に含まれるコヘシンドメインCACOの数は、1~5であることが好ましく、1~4であることがより好ましく、2~3であることが更に好ましい。第2の骨格蛋白質に含まれるドックリンドメインD2の数は、例えば1つである。
【0051】
第2の骨格蛋白質における、コヘシンドメインCACOとドックリンドメインD2は直接連結されて良いし、コヘシンドメインCACOとドックリンドメインD2間にリンカーを介在させても良い。第2の骨格蛋白質にコヘシンドメインCACOが複数含まれる場合、コヘシンドメインCACO同士はリンカーを介して連結することが好ましい。リンカーを介在させることでACC酸化酵素の自由度が確保できると考えられる。リンカーを介在させる場合、リンカーは、酵素複合体SOC6に含まれる酵素の逐次的な反応を維持できるものであることが好ましい。リンカーはアミノ酸配列が好ましい。リンカーをアミノ酸配列とし、第2の骨格蛋白質の一部としてコヘシンドメインCACO及びドックリンドメインD2と共に翻訳させる実施形態がより好ましい。リンカーがアミノ酸配列で構成される場合、リンカーを構成するアミノ酸数は1~7個であることが好ましく、1~5個であることがより好ましく、1~3個であることが特に好ましい。また、セルロソームに含まれるドックリンネイティブのリンカーを使用することも好ましい。
【0052】
(7)第3の骨格蛋白質(Sca3)
本開示の第3の骨格蛋白質は、第1の骨格蛋白質を保持するとともに、第2の骨格蛋白質を保持するアダプター骨格蛋白質である。第3の骨格蛋白質は、コヘシンドメインC3及びドックリンドメインD3のいずれかである第3結合ドメインと、コヘシンドメインC4及びドックリンドメインD4のいずれかである第4結合ドメインと、を含む。酵素複合体SOC6では、第3結合ドメインとしてドックリンドメインD3を採用し、第4結合ドメインとしてコヘシンドメインC4(C4-1,C4-2)を採用する。
【0053】
第3の骨格蛋白質は、第3結合ドメインと第1結合ドメインとを介したコヘシン-ドックリン結合によって第1の骨格蛋白質を保持する。第3結合ドメインと第1結合ドメインは、コヘシン-ドックリン結合によって直接連結されてもよく、コヘシン-ドックリン結合によって間接的に連結されてもよい。図1の酵素複合体SOC6は、第3結合ドメインであるドックリンドメインD3と第1結合ドメインであるコヘシンドメインC1が、コヘシン-ドックリン結合によって直接連結される。
【0054】
第3の骨格蛋白質は、第4結合ドメインと第2結合ドメインを介したコヘシン-ドックリン結合によって第2の骨格蛋白質を保持する。第4結合ドメインと第2結合ドメインは、コヘシン-ドックリン結合によって直接連結されてもよく、コヘシン-ドックリン結合によって間接的に連結されてもよい。図1の酵素複合体SOC6は、第4結合ドメインであるコヘシンドメインC4(C4-1,C4-2)と第2結合ドメインであるドックリンドメインD2が、コヘシン-ドックリン結合によって直接連結される。
【0055】
ドックリンドメインD3は、コヘシンドメインC1と特異的に結合できれば、特に限定されない。ドックリンドメインD3は、酵素複合体SOC6を安定的に複合化する観点から、コヘシンドメインCACS、コヘシンドメインCACO、コヘシンドメインCMTAN、コヘシンドメインC4(C4-1,C4-2)とは特異的に結合しないことが好ましい。
【0056】
コヘシンドメインC4は、ドックリンドメインD2と特異的に結合できれば、特に限定されない。本実施形態では、コヘシンドメインC4として、一部に異なるアミノ酸配列を有するコヘシンドメインC4-1とコヘシンドメインC4-2を例示する。コヘシンドメインC4-1とコヘシンドメインC4-2を区別しない場合には、単にコヘシンドメインC4とも称する。コヘシンドメインC4-1,C4-2は、酵素複合体SOC6を安定的に複合化する観点から、ドックリンドメインDACS、ドックリンドメインDACO、ドックリンドメインDMTAN、ドックリンドメインD3とは特異的に結合しないことが好ましい。コヘシンドメインC4-1,C4-2として、同じ種のセルロソームのスキャフォールディンに含まれるコヘシンドメインが好ましく、例えば、Ruminococcus flavefaciensに由来するコヘシンドメインを採用できる。
【0057】
第3の骨格蛋白質に含まれるドックリンドメインD3の数は、特に限定されない。第3の骨格蛋白質に含まれるドックリンドメインD3の数は、1~3であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
【0058】
第3の骨格蛋白質に含まれるコヘシンドメインC4の数は、特に限定されない。第3の骨格蛋白質に含まれるコヘシンドメインC4の数は、1~4であることが好ましく、1~3であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。
【0059】
第3の骨格蛋白質における、ドックリンドメインD3とコヘシンドメインC4はリンカーを介して連結することが好ましい。第3の骨格蛋白質にコヘシンドメインC4が複数含まれる場合、コヘシンドメインC4同士はリンカーを介して連結することが好ましい。リンカーを介在させることで、第1の骨格蛋白質と第2の骨格蛋白質、及び/又は、第2の骨格蛋白質同士を干渉させることなく保持できると考えられる。リンカーを介在させる場合、リンカーは、酵素複合体SOC6に含まれる酵素の逐次的な反応を維持できるものであることが好ましい。リンカーはアミノ酸配列が好ましい。リンカーをアミノ酸配列とし、第3の骨格蛋白質の一部としてドックリンドメインD3とコヘシンドメインC4と共に翻訳させる実施形態がより好ましい。リンカーがアミノ酸配列で構成される場合、リンカーを構成するアミノ酸数は8~21個であることが好ましく、9~19個であることがより好ましく、12~17個であることが特に好ましい。また、セルロソームに含まれるドックリンネイティブのリンカーを使用することも好ましい。
【0060】
2.酵素複合体SOC29
図10に示すように、酵素複合体SOC29は、ACC合成酵素サブユニットと、第1の骨格蛋白質と、ACC酸化酵素サブユニットと、第2の骨格蛋白質と、第3の骨格蛋白質と、第4の骨格蛋白質と、を備える。第3の骨格蛋白質又は第4の骨格蛋白質は、アダプター骨格蛋白質に相当する。以下の説明では、第3の骨格蛋白質がアダプター骨格蛋白質に相当するとして、コヘシン-ドックリン結合の態様について説明する。また、本実施形態の酵素複合体SOC29は、MTA分解酵素サブユニットを更に備えている。
【0061】
酵素複合体SOC29は、1個の第1の骨格蛋白質、9個の第2の骨格蛋白質、1個の第3の骨格蛋白質、3個の第4の骨格蛋白質、を備えることによって、1個のACC合成酵素サブユニット、27個のACC酸化酵素サブユニット、1個のMTA分解酵素サブユニットの合計29個の酵素サブユニットを集積化できる。酵素複合体SOC29は、第2の骨格蛋白質と第3の骨格蛋白質との間に、第4の骨格蛋白質が介在している点で、酵素複合体SOC6と相違する。酵素複合体SOC29は、第4の骨格蛋白質を介在させることで、並列した第2の骨格蛋白質の群を第3の骨格蛋白質に接続できる。このため、ACC酸化酵素をより一層高度に集積化できる。
【0062】
酵素複合体SOC29は、酵素複合体SOC6と同様のACC合成酵素サブユニット、第1の骨格蛋白質、ACC酸化酵素サブユニット、第2の骨格蛋白質、MTA分解酵素サブユニットを備えている。コヘシン-ドックリン結合、各酵素サブユニット、第1の骨格蛋白質、第2の骨格蛋白質については酵素複合体SOC6の説明をそのまま適用する。
【0063】
(1)第3の骨格蛋白質(Sca3)
第3の骨格蛋白質は、コヘシンドメインC3及びドックリンドメインD3のいずれかである第3結合ドメインと、コヘシンドメインC4及びドックリンドメインD4のいずれかである第4結合ドメインと、を含む。酵素複合体SOC29では、図10のように、第3結合ドメインとしてドックリンドメインD3を採用し、第4結合ドメインとしてコヘシンドメインC4(C4-3)を採用する。
【0064】
第3の骨格蛋白質は、第3結合ドメインと第1結合ドメインとを介したコヘシン-ドックリン結合によって第1の骨格蛋白質を保持する。第3結合ドメインと第1結合ドメインは、コヘシン-ドックリン結合によって直接連結されてもよく、コヘシン-ドックリン結合によって間接的に連結されてもよい。図10の酵素複合体SOC29は、第3結合ドメインであるドックリンドメインD3と第1結合ドメインであるコヘシンドメインC1が、コヘシン-ドックリン結合によって直接連結される。
【0065】
第3の骨格蛋白質は、第4結合ドメインと第2結合ドメインを介したコヘシン-ドックリン結合によって第2の骨格蛋白質を保持する。第4結合ドメインと第2結合ドメインは、コヘシン-ドックリン結合によって直接連結されてもよく、コヘシン-ドックリン結合によって間接的に連結されてもよい。図10の酵素複合体SOC29は、第4結合ドメインであるコヘシンドメインC4(C4-3)と第2結合ドメインであるドックリンドメインD2が、第4骨格蛋白質を介在したコヘシン-ドックリン結合によって間接的に連結される。すなわち、コヘシンドメインC4(C4-3)が第4骨格蛋白質のドックリンドメインD5とコヘシン-ドックリン結合によって連結され、第4骨格蛋白質のコヘシンドメインC4(C4-3)とドックリンドメインD2が連結される。
【0066】
ドックリンドメインD3は、コヘシンドメインC1と特異的に結合できれば、特に限定されない。ドックリンドメインD3は、酵素複合体SOC29を安定的に複合化する観点から、コヘシンドメインCACS、コヘシンドメインCACO、コヘシンドメインCMTAN、コヘシンドメインC4(C4-3)、コヘシンドメインC6とは特異的に結合しないことが好ましい。
【0067】
コヘシンドメインC4(C4-3)は、ドックリンドメインD5と特異的に結合できれば、特に限定されない。コヘシンドメインC4(C4-3)は、酵素複合体SOC29を安定的に複合化する観点から、ドックリンドメインDACS、ドックリンドメインDACO、ドックリンドメインDMTAN、ドックリンドメインD2、ドックリンドメインD3とは特異的に結合しないことが好ましい。
【0068】
第3の骨格蛋白質に含まれるドックリンドメインD3の数は、特に限定されない。第3の骨格蛋白質に含まれるドックリンドメインD3の数は、1~3であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
【0069】
第3の骨格蛋白質に含まれるコヘシンドメインC4の数は、特に限定されない。第3の骨格蛋白質に含まれるコヘシンドメインC4の数は、1~5であることが好ましく、2~4であることがより好ましく、3であることが更に好ましい。
【0070】
第3の骨格蛋白質における、ドックリンドメインD3とコヘシンドメインC4はリンカーを介して連結することが好ましい。第3の骨格蛋白質にコヘシンドメインC4が複数含まれる場合、コヘシンドメインC4同士はリンカーを介して連結することが好ましい。リンカーを介在させることで、第1の骨格蛋白質と第4の骨格蛋白質、及び/又は、第4の骨格蛋白質同士を干渉させることなく保持できると考えられる。リンカーを介在させる場合、リンカーは、酵素複合体SOC29に含まれる酵素の逐次的な反応を維持できるものであることが好ましい。リンカーはアミノ酸配列が好ましい。リンカーをアミノ酸配列とし、第3の骨格蛋白質の一部としてドックリンドメインD3とコヘシンドメインC4と共に翻訳させる実施形態がより好ましい。リンカーがアミノ酸配列で構成される場合、リンカーを構成するアミノ酸数は8~21個であることが好ましく、9~19個であることがより好ましく、12~17個であることが特に好ましい。また、セルロソームに含まれるドックリンネイティブのリンカーを使用することも好ましい。
【0071】
(2)第4の骨格蛋白質(Sca4)
第4の骨格蛋白質は、コヘシンドメインC5及びドックリンドメインD5のいずれかである第5結合ドメインと、コヘシンドメインC6及びドックリンドメインD6のいずれかである第6結合ドメインと、を含む。酵素複合体SOC29では、図10のように、第5結合ドメインとしてドックリンドメインD5を採用し、第6結合ドメインとしてコヘシンドメインC6を採用する。
【0072】
ドックリンドメインD5は、コヘシンドメインC4(C4-3)と特異的に結合できれば、特に限定されない。ドックリンドメインD5は、酵素複合体SOC29を安定的に複合化する観点から、コヘシンドメインCACS、コヘシンドメインCACO、コヘシンドメインCMTAN、コヘシンドメインC1、コヘシンドメインC6とは特異的に結合しないことが好ましい。
【0073】
第4の骨格蛋白質は、第6結合ドメインと第2結合ドメインを介したコヘシン-ドックリン結合によって第2の骨格蛋白質を保持する。第6結合ドメインと第2結合ドメインは、コヘシン-ドックリン結合によって直接連結されてもよく、コヘシン-ドックリン結合によって間接的に連結されてもよい。図10の酵素複合体SOC29は、第6結合ドメインであるコヘシンドメインC6と第2結合ドメインであるドックリンドメインD2が、コヘシン-ドックリン結合によって直接連結される。
【0074】
コヘシンドメインC6は、ドックリンドメインD2と特異的に結合できれば、特に限定されない。コヘシンドメインC6は、酵素複合体SOC29を安定的に複合化する観点から、ドックリンドメインDACS、ドックリンドメインDACO、ドックリンドメインDMTAN、ドックリンドメインD3、ドックリンドメインD5とは特異的に結合しないことが好ましい。
【0075】
第4の骨格蛋白質に含まれるドックリンドメインD5の数は、特に限定されない。第4の骨格蛋白質に含まれるドックリンドメインD5の数は、1~3であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
【0076】
第4の骨格蛋白質に含まれるコヘシンドメインC6の数は、特に限定されない。第4の骨格蛋白質に含まれるコヘシンドメインC6の数は、1~5であることが好ましく、2~4であることがより好ましく、3であることが更に好ましい。
【0077】
第4の骨格蛋白質における、ドックリンドメインD5とコヘシンドメインC6はリンカーを介して連結することが好ましい。第4の骨格蛋白質にコヘシンドメインC6が複数含まれる場合、コヘシンドメインC6同士はリンカーを介して連結することが好ましい。リンカーを介在させることで、第3の骨格蛋白質と第2の骨格蛋白質、及び/又は、第2の骨格蛋白質同士を干渉させることなく保持できると考えられる。リンカーを介在させる場合、リンカーは、酵素複合体SOC29に含まれる酵素の逐次的な反応を維持できるものであることが好ましい。リンカーはアミノ酸配列が好ましい。リンカーをアミノ酸配列とし、第4の骨格蛋白質の一部としてドックリンドメインD5とコヘシンドメインC6と共に翻訳させる実施形態がより好ましい。リンカーがアミノ酸配列で構成される場合、リンカーを構成するアミノ酸数は8~21個であることが好ましく、9~19個であることがより好ましく、12~17個であることが特に好ましい。また、セルロソームに含まれるドックリンネイティブのリンカーを使用することも好ましい。
【0078】
3.ACC合成酵素サブユニット数に対するACC酸化酵素サブユニット数の比率
酵素複合体に含まれる、ACC合成酵素サブユニット数に対するACC酸化酵素サブユニット数の比率(ACC酸化酵素サブユニット数/ACC合成酵素サブユニット数)は、特に限定されない。ACC合成酵素サブユニット数に対するACC酸化酵素サブユニット数の比率は、3以上であることが好ましく、4以上、5以上、7以上、10以上、15以上、20以上、25以上、27以上であってもよい。ACC合成酵素サブユニット数に対するACC酸化酵素サブユニット数の比率の上限値は、エチレンの生産が阻害されない限り特に限定されない。ACC合成酵素サブユニット数に対するACC酸化酵素サブユニット数の比率の上限値は、例えば300以下、200以下、100以下、50以下、40以下、30以下であってもよい。例えば、酵素複合体SOC6のACC合成酵素サブユニット数に対するACC酸化酵素サブユニット数の比率は、4である。酵素複合体SOC29のACC合成酵素サブユニット数に対するACC酸化酵素サブユニット数の比率は、27である。
【0079】
ACC酸化酵素のVmax値は、ACC合成酵素のVmax値の270分の1程度であるとされる。このため、SAMを基質としてエチレンを生成する逐次反応において、ACC酸化酵素による触媒反応が律速段階であると考えられる。また、本願発明者は、1個のACC合成酵素サブユニットと1個のACC酸化酵素サブユニットを含む酵素複合体SOC2と、1個のACC合成酵素サブユニットと2個のACC酸化酵素サブユニットと1個のMTA分解酵素サブユニットを含む酵素複合体SOC4を用いた先導研究から、ACC酸化酵素サブユニットを1個増やすことで、エチレン生産効率を1.7倍高められるという知見を得ている。このため、ACC合成酵素サブユニット数に対するACC酸化酵素サブユニット数の比率を上記のようにすることで、より効率的にエチレン生産能を向上できる。
【0080】
4.データベースの参照
既に、多数のセルロソーム生産微生物においてコヘシンドメイン及びドックリンドメインのアミノ酸配列及びDNA配列が決定されている。また、多数のACC合成酵素及びACC酸化酵素においてアミノ酸配列及びDNA配列が決定されている。それらの配列は例えばGenBank、EBI、DDBJ等で確認することができる。解読された配列についてはライブラリークローンを利用することができるものもある。
【0081】
データベースに登録されたDNA配列は、コドン頻度等を形質転換体に最適化して利用してもよい。最適化されたDNA配列のDNA断片は、人工合成して利用することができる。
【0082】
5.改変体
酵素複合体に含まれるコヘシンドメイン、ドックリンドメイン、ACC合成酵素、ACC酸化酵素、MTA分解酵素は、公知の天然由来の物の他、上述した本開示の酵素複合体に必要な機能を維持した改変体を含む概念である。当該改変体はアミノ酸配列の改変体を含む。例えば、後述の実施例で使用したコヘシンドメイン、ドックリンドメイン、ACC合成酵素、ACC酸化酵素、MTA分解酵素と比較して80%配列が保持された改変体であり、好ましくは90%配列が保持された改変体であり、より好ましくは95%配列が保持された改変体であり、更に好ましくは99%配列が保持された改変体である。当該改変体は、糖鎖などによって修飾されて良い。
【0083】
6.光合成生物
本開示において形質転換され得る光合成生物は、例えば、光合成細菌及び藻類である。
【0084】
光合成生物は、上述の酵素複合体を産生するように形質転換したものである。好ましくは、発現ベクター等を用いて上述の酵素複合体を産生するように形質転換した光合成生物である。
【0085】
上述の酵素複合体を産生するように形質転換され得る光合成細菌として、シアノバクテリア、紅色細菌、緑色硫黄細菌、緑色非硫黄細菌、ヘリオバクテリア等を例示することができる。当該光合成細菌はシアノバクテリアであることが好ましい。シアノバクテリアとして、Synechococcus、Dactylococcopsis、Merismopedia、Chroococcus、Gloeocapsa、Aphanothece、Microcystis、Aphanocapsa、Coelosphaerium、Gomphosphaeria、Myxosarcina、Oscillatoria、Phormidium、Lyngbya、Spirulina、Anabaena、Anabenopsis、Nostoc、Cylindrospermum、Scytonema、Gloeotrichia、Dichothrix、Hapalosiphon、Fischerella、Stigonema等に属する菌を例示することができ、Synechococcus属の菌が好ましい。
【0086】
上述の酵素複合体を産生するように形質転換され得る藻類として、原核生物であるシアノバクテリア(藍藻)(cyanobacteria)から、真核生物である灰色植物門(灰色藻)(Glaucophyta)、紅色植物門(紅藻)(Rhodophyta)、緑色植物門(クロレラ、緑藻を含む)(Chlorophyta)、クリプト植物門(クリプト藻)(Cryptophyta)、ハプト植物門(ハプト藻)(Haptophyta)、不等毛植物門(珪藻を含む不等毛藻)(Heterokontophyta)、渦鞭毛植物門(渦鞭毛藻)(Dinophyta)、ユーグレナ植物門(ユーグレナ藻)(Euglenophyta)、クロララクニオン植物門(クロララクニオン藻)(Chlorarachniophyta)に分類される様々な単細胞生物及び多細胞生物を例示することができる。好ましくはシアノバクテリア、緑藻、紅藻、灰色藻であり、より好ましくはシアノバクテリアである。好ましいシアノバクテリアは上述と同様である。
【0087】
本開示において、従来の分類の通り、シアノバクテリアは光合成細菌に該当し、かつ、藻類にも該当する。
【0088】
上述の酵素複合体の産生は光合成生物が備える蛋白質生産機能を利用することで実現される。上述の酵素複合体を産生するように光合成生物を形質転換する方法は特に限定されず、公知の方法を利用できる。例えば、ファージやプラスミド等のベクターを用いる方法、ヒートショック法、パーティクルガン法、エレクトロポーレーション法等を利用することができる。形質転換は、例えば、ゲノムに上記酵素複合体をコードする遺伝子を導入しても良い。本開示の光合成生物を、エチレン産生能力を維持したまま継代できるように形質転換することが好ましい。生物由来のDNA配列、上記した改変体をコードするDNA配列、cDNA等を適宜使用することができる。ベクターを使用する場合、その種類は特に限定されない。具体的なプラスミドベクターとして、例えば、pET、pTrcHis2、pUC119、pBR322、pBluescript II KS+、pYES2、pAUR123、pQE-Tri、pGEM-3Z、pGEX、pMAL、pRI909、pRI910、pBI221、pBI121、pNCMO2、pBI101、pIG121Hm、pTrc99A、pKK223、pA1-11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSV、pcDNA I/Neo、p3×FLAG-CMV-14、pCAT3、pcDNA3.1、pCMV等のベクターが例示される。
【0089】
形質転換の際、例えば、各骨格蛋白質、各酵素サブユニットをコードする遺伝子を一連に連結して光合成生物に導入しても良いし、各骨格蛋白質、各酵素サブユニットをコードする各遺伝子を独立したプロモーター配置下、あるいは別々の手法やベクターを利用してそれぞれ導入しても良い。形質転換における導入する遺伝子と手法の組み合わせは限定されない。
【0090】
(1)光合成生物の培養
本開示の光合成生物は、二酸化炭素を取り込み、エチレンを産生する。即ち、本開示の光合成生物を培養することでエチレンを産生することができる。
【0091】
上記形質転換され得る光合成生物は原核生物、真核生物の別を問わず自らの代謝においてSAMを生産すると考えられる。よって、当該光合成生物は本願発明者が発案した物質循環を実現するのに適切な生物である。本開示の光合成生物の体内に存在するSAMを利用し、人工酵素複合体によってエチレンが産生されると考えられる。
【0092】
本開示の光合成生物の培養においては、上記形質転換され得る光合成生物について公知の各種の培地、培養方法を採用することができる。培地形状としては液体培地が好ましい。培地としては、例えば、BG-11培地、海水が好ましい。淡水を培地とする場合、排水等から転用される無機栄養素を含む培地でもよい。
【0093】
また、培地への添加物として、例えば、アスコルビン酸、ACC、SAM、メチオニンが好ましい。
【0094】
例えば、培地のpHは6.5~9.5であることが好ましく、7.0~8.5であることが好ましく、7.0~8.0であることがより好ましい。
【0095】
例えば、本開示の光合成生物の培養においては、二酸化炭素を培地に供給することが好ましい。供給の態様は培地の形状に合わせて適宜選択可能であり限定されないが、気体又は二酸化炭素を含有する液体による供給が好ましく、バブリングによる供給がより好ましい。二酸化炭素を排出する設備からの排気を用いることも好ましい。二酸化炭素を排出する設備として例えば化学プラント、発電所等がある。
【0096】
継続的に本開示の光合成生物を培養する場合、当該光合成生物の継代には公知の各種の手法を採用することができる。
【0097】
また、本開示の光合成生物の古い世代を培地から回収する場合、当該光合成生物が担体に担持されていると回収が容易となる。当該担体として、例えば、鉄鋼スラグ、ハニカム、ビーズ等を使用することができる。担体への本開示の光合成生物の担持は、当該担体と光合成生物の組み合わせに応じて公知の各種の手法を採用することができる。
【実施例0098】
以下、本開示の実施例を説明する。本開示の技術的範囲は以下の実施例に限定されない。万が一、以下の実施例の記載と配列表で配列の記載に齟齬が生じる場合、本実施例の配列の記載が優先する。DNA配列は5’末端から3’末端に向けて記載する。アミノ酸配列はN末端からC末端に向けて記載する。
【0099】
1.SOC6の設計
図1に、後述する酵素複合体SOC6の概念図を示す。SOC6のコヘシンドメインとドックリンドメインは以下の通りである。なお、括弧内に、当該ドメインのDNA配列の表記を示す。
<ACS-DACS
ACS:Clostridium thermocellum Cel48S Dockerin
<ACO-DACO
ACO:Acetivibrio cellulolyticus ScaB Dockerin
<MTAN-DMTAN
MTAN:Clostridium josui Cel8A Dockerin
<Sca1>
C1:Ruminococcus flavefaciens FD-1 ScaC cohesin (RfScaCCohOPT2)
MTAN:Clostridium josui CipA Cohesin (CjCipACoh)
ACS:Clostridium thermocellum CipA cohesin 3 (CtCipACoh3)
<Sca2>
ACO:Acetivibrio cellulolyticus ScaC Cohesin 3 (AcScaCCoh)
ACO:Acetivibrio cellulolyticus ScaC Cohesin 3 (AcScaCCohOPT)
D2:Ruminococcus flavefaciens FD-1 Group1 dockerin (RfGroup1Doc)
<Sca3>
C4-2:Ruminococcus flavefaciens FD-1 ScaB cohesin1 (RfScaBCoh1)
C4-1:Ruminococcus flavefaciens FD-1 ScaA cohesin1 (RfScaAcoh1)
D3:Ruminococcus flavefaciens FD-1 Group3 dockerin (RfGroup3Doc)
【0100】
2.SOC6用の大腸菌用ベクターの構築
(1)ACS-DACSの発現ベクター(pET-ACCS-Ctdoc)の構築
ACC合成酵素(ACS)は、特許文献2(特開2013-74814)に記載の配列の遺伝子断片を用いた。
ドックリンドメインDACSは、Clostridium thermocellum由来ゲノムDNAをテンプレートDNAとし、PCR法によりリンカー配列+ドックリンドメインDACSの配列を含む遺伝子断片(アクセッション番号:L06942)を増幅させた。
【0101】
ACC合成酵素を含む遺伝子断片とドックリンドメインDACSを含む遺伝子断片を、特許文献2と同様の手法にてキメラ化し、DNA断片を増幅した。当該DNA断片を、pET28a(Novagen社製)へIn-Fusion法を用いて導入し、発現ベクターであるpET-ACCS-Ctdocを得た。
【0102】
(2)ACO-DACOの発現ベクター(pET-ACCO-Acdoc)の構築
ACC酸化酵素(ACO)は、特許文献2(特開2013-74814)に記載の配列の遺伝子断片を用いた。
ドックリンドメインDACOは、特許文献2(特開2013-74814)に記載の配列の遺伝子断片を用いた。
【0103】
ACC酸化酵素を含む遺伝子断片とドックリンドメインDACOを含む遺伝子断片を、特許文献2と同様の手法にてキメラ化し、DNA断片を増幅した。当該DNA断片を、pET28a(Novagen社製)へIn-Fusion法を用いて導入し、発現ベクターであるpET-ACCO-Acdocを得た。
【0104】
(3)MTAN-DMTANの発現ベクター(pET-AtMTAN2-CjDoc)の構築
理研BRCより提供されたシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来cDNAクローン(pda20265)をテンプレートDNAとし、PCR法によりMTA分解酵素を含む遺伝子断片を増幅させた。
【0105】
Clostridium josui由来ゲノムDNAをテンプレートDNAとし、PCR法によりリンカー配列+ドックリンドメインDMTANの配列を含む遺伝子断片を増幅させた。
【0106】
MTA分解酵素を含む遺伝子断片とドックリンドメインDMTANを含む遺伝子断片を、特許文献2と同様の手法にてキメラ化し、DNA断片を増幅した。当該キメラ化したDNA断片を、pET28a(Novagen社製)へIn-Fusion法を用いて導入し、発現ベクターであるpET-AtMTAN2-CjDocを得た。
【0107】
pET-AtMTAN2-CjDocの開始コドン(ATG)から終止コドンまで(TAA)までを含むDNA配列は下記配列番号1の通りである。5’末端側の最初の下線部分がMTA分解酵素、続く下線なしの部分がリンカー、続く第2の下線部分がドックリンドメインDMTAN(Clostridium josui Cel8A Dockerin)をコードする。
配列番号1:atgggcagcagccatcatcatcatcatcacagcagcggcctggtgccgcgcggcagccatatggctagcATGGAAGGTGTTATGGGTCAGGTAGAGAAACGGCCGATTTCTACCATCGTCTTCATCGTTGCTATGCAAAAGGAAGCTCAGCCTCTGATCAACAGATTACGCCTCGTTGAAGAAGTTAATACTCCGTTTCCAAAAGAGGTGACTTGGATTATGTTTAAGGGAATGTATAAAGACTTGAACATCAATATAGTGTGTCCTGGAAAAGATTCAACTCTTGGGGTTGAGAGTGTTGGCACAGTTCCTGCATCACTCGTGACTTATGCTTCCATTCTAGCAATTCAACCAGACTTAATCATTAATGCGGGAACCGCTGGTGGCTTTAAGGCCAAAGGAGCATGTATTAGCGATGTTTATGTTGTCTCTACTGTTGCTTTCCATGACAGAAGAATACCTGTTCCTGTCCTTGATATATATGGTGTTGGTATGCGGAACACCTTCCCCACACCCAACCTTATAAAGGAGCTGAACCTAAAGGTGGGAAGATTATCCACTGGCGATTCTATGGATATGTCTCCACATGACGAAGAATCCATCACAGCAAATGATGCTACAGTTAAAGATATGGAGGGAGCAGCAGTGGCCTATGTGGCTGATATCTTTAAAGTGCCTACGATTCTAATAAAAGGTGTGACTGATATTGTGGATGGCAATAGACCAACTTCTGAAGAATTTTTGGAGAACTTAGCTGCAGTCACTGCCAAACTTGATGAGTCACTTACCAAAGTGATTGACTTCATCAGTGGGAAATGTCTCTCAGACCTCAGCTCTCAACCACAGCAAGGTTTAAAAGGCGATGTCAATAATGATGGTGCTATAGATGCCCTTGATATTGCTGCGCTCAAGAAGGCTATTTTGACTCAATCAACTTCTAATATTAATTTAACAAATGCTGATATGAATAATGACGGAAATATTGATGCCATTGATTTTGCTCAGCTAAAAGTTAAACTGCTCAATTAAGGATCCgaattcgagctccgtcgacaagcttgcggccgcactcgagcaccaccaccaccaccactgagatc
【0108】
(4)Sca1の発現ベクター(pET-Sca1)の構築
図2は、pET-Sca1の概念図である。pET-Sca1を構築するために、コヘシンドメインC1の配列を含む遺伝子断片、コヘシンドメインCMTANの配列を含む遺伝子断片、及びコヘシンドメインCACSの配列を含む遺伝子断片を得た。
【0109】
コヘシンドメインC1の配列を含む遺伝子断片は次のようにして得た。Ruminococcus flavefaciens FD-1のゲノムDNAにおける、ScaC cohesinの配列を光合成細菌及び大腸菌用にコドン頻度を最適化し、人工合成した。最適化した配列をRfScaCCohOPT2とも称する。人工合成したDNA断片を、In-Fusion法を用いてpET28a(Novagen社製)へ導入し、発現ベクターであるpEX-ScaCCohを得た。
【0110】
pEX-ScaCCohをテンプレートとして、下記配列番号2及び配列番号3に記載のプライマーを用いたPCR法によりコヘシンドメインC1の配列を含む遺伝子断片を増幅させた。
配列番号2:GGATCCGCAGGCGAAACAGTGCAGATTTCCG(pETSca1J1-Fwdとも称する。)
配列番号3:CTTATAACAGTAGCCTGATCGGGAG(pETSca1J2-Revとも称する。)
【0111】
コヘシンドメインCMTANの配列を含む遺伝子断片は、次のようにして得た。Clostridium josuiのゲノムDNAにおける、CipA Cohesinの配列を光合成細菌及び大腸菌用にコドン頻度を最適化し、人工合成した。人工合成したDNA断片を、In-Fusion法を用いてpUCへ導入し、発現ベクターであるpUC303-SOC4Bを得た。
【0112】
pUC303-SOC4Bをテンプレートとして、下記配列番号4及び配列番号5に記載のプライマーを用いてコヘシンドメインCMTANの配列を含む遺伝子断片を増幅させた。
配列番号4:GGCTACTGTTATAAGTCCAGATCC(pETSca1J2-Fwdとも称する。)
配列番号5:TTGCATTGGATCCGCGACCCATTC(pETSca1J3-Revとも称する。)
【0113】
コヘシンドメインCACSの配列を含む遺伝子断片は、次のようにして得た。Clostridium thermocellum由来ゲノムDNAをテンプレートDNAとし、PCR法によりリンカー配列+コヘシンドメインCACS(CipA Cohesin3)の配列を含むDNA断片を増幅させた。増幅させたDNA断片を、In-Fusion法を用いてpUCへ導入し、発現ベクターであるpUC303-SOC4Bを得た。
【0114】
pUC303-SOC4Bをテンプレートとして、下記配列番号6及び配列番号7に記載のプライマーを用いてコヘシンドメインCACSの配列を含む遺伝子断片を増幅させた。
配列番号6:GGCTACTGTTATAAGTCCAGATCC(pETSca1J3-Fwdとも称する。)
配列番号7:TTGCATTGGATCCGCGACCCATTC(pETSca1J4-Revとも称する。)
【0115】
さらに、pET-Sca1を構築するために、下記配列番号8及び配列番号9に記載のプライマーを用いてPCR法によりpET28a(Novagen社製)の全長を増幅した。
配列番号8:ACAACATAAGGATCCGAATTCGAGCTCCGTC(pETSca1J4-Fwdとも称する。)
配列番号9:TTCGCCTGCGGATCCGCGACCCATTTGCTGTC(pETSca1J1-Revとも称する。)
【0116】
コヘシンドメインC1の配列を含む遺伝子断片、コヘシンドメインCMTANの配列を含む遺伝子断片、コヘシンドメインCACSの配列を含む遺伝子断片、及びpET28aの全長の断片について、In-Fusion Snap Assembly Master Mix User Manualに記載されている方法による連結を試みた。しかし、4つの断片を用いた試験では、目的のpET-Sca1が得られなかったため、予めコヘシンドメインC1の配列を含む遺伝子断片と、コヘシンドメインCMTANの配列を含む遺伝子断片をドッキングPCRにより連結し、コヘシンドメインC1の配列とコヘシンドメインCMTANの配列を含む遺伝子断片を得た。
【0117】
ドッキングPCRには、コヘシンドメインC1の配列(RfScaCCohOPT2)を含む遺伝子断片と、コヘシンドメインCMTANの配列(CjCipACoh)を含む遺伝子断片との間に25bpのオーバーラップ領域を持つように設計したプライマーを用いた。コヘシンドメインC1の配列を含む遺伝子断片の増幅には、下記配列番号10及び配列番号11のプライマーを用いた。
配列番号10:GGATCCGCAGGCGAAACAGTGCAGATTTCCG(pETSca1J1-Fwdとも称する。)
配列番号11:CAACATGTTTTGGGCGCATGAAGGC(pETSca1DockingJ2-Revとも称する。)
コヘシンドメインCMTANの配列(CjCipACoh)を含む遺伝子断片の増幅には、下記配列番号12及び配列番号13のプライマーを用いた。
配列番号12:GATCAGGCTACTGTTATAAGTCCAGATCCTACAAATG(pETSca1DockingJ2-Fwdとも称する。)
配列番号13:TTGCATTGGATCCGCGACCCATTC(pETSca1J3-Revとも称する。)
【0118】
コヘシンドメインC1の配列とコヘシンドメインCMTANの配列を含む遺伝子断片、コヘシンドメインCACSの配列を含む遺伝子断片、及びpET28aの全長の断片の3つの断片を、In-Fusion Snap Assembly Master Mix User Manualに記載されている方法により連結し、pET-Sca1を得た。
【0119】
pET-Sca1の開始コドン(ATG)から終止コドンまで(TAA)までのDNA配列は下記配列番号14の通りである。5’末端側の最初の下線なしの部分がpET28由来の配列、最初の下線部分がコヘシンドメインC1(RfScaCCohOPT2)、続く第2の下線なしの部分が第1のリンカー(アミノ酸数14)、続く第2の下線部分がコヘシンドメインCMTAN(CjCipACoh)、続く第3の下線なしの部分が第2のリンカー(アミノ酸数10)、続く第3の下線部分がコヘシンドメインCACS(CtCipACoh3)をコードする。
配列番号14:ATGGGCAGCAGCCATCATCATCATCATCACAGCAGCGGCCTGGTGCCGCGCGGCAGCCATATGGCTAGCATGACTGGTGGACAGCAAATGGGTCGCGGATCCGCAGGCGAAACAGTGCAGATTTCCGCCAGCAATGCGGAGGCAAAGGCAGGTGATCAGTTCGAGGTGAAGGTGTCTTTGGCTGATGTTCCAAGTACCGGAATCCAGGGTATCGACTTTGCTGTTACTTACGACAACACAGTAGTGACAATCGACAAGATCACAGTAGGGGAGATTGCTGACACGAAGGCAGCTTCCAGTGATCAGACTGCATCACTTCTGCCCACATTCGATGTGTCTATTCAGAACAGTGAGGGCTATAGCAGTGTTATCTGGTCTACAGCAGTGGAAGATTCATCATACTGGATCAGCAAGGACGGTGTGTTATGTACAATCACAGGTACAGTGTCAAGCAATGCTAAGCCTGGTGCAGAATCACCTATCAAGCTTGAAGCAGTCAAGCGTGAGACATATGTCGGCTCCGGTACAGACAACAGCAGTATCAGTGCAGGTTATTCTGCAAACGATAAGGCTGTAAAGTACACAGTCAAGGCAACAAACGGTAAGATATCTGTTCCTTCAGCAGAAGTAACAACCACCAAGGCTCCCGATCAGGCTACTGTTATAAGTCCAGATCCTACAAATGCTCTTAAAGTAACAGTAGGAACAGCAGAAGGTAATGTTGGAGAAACAGTAACAGTTCCTGTTACATTTGCTGATGTAGCAAAAGTAAACAACGTAGGAACATGTAACTTCTATCTTGCATATGATGCAAGTCTTTTGGATGTAGTATCAGTAGATGCAGGTCCAATAGTTAAGAATGCAGCAGTAAACTTCTCAAGCAGTGCAAGCAACGGAACAATCAGCTTCCTGTTCTTGGATAACACAATCACTGACGAATTGATTACTTCAGATGGTGTGTTTGCAAATATCACATTCAAATTAAAGAATGTATCAACTAAAACAACAACACCAATAACCTTCAAAGACGGAGGAGCATTTGGTGACGGTACTATGTCAAAGATAACTACAGTTATCAAGACAAACGGTAGTGTAACAATTATTCCTGGTGACCCAGAACCTACAGAAGATCTTAACGTAGCAGTAGGAATGGGTCGCGGATCCAATGCAATAAAGATTAAGGTGGACACAGTAAATGCAAAACCGGGAGACACAGTAAATATACCTGTAAGATTCAGTGGTATACCATCCAAGGGAATAGCAAACTGTGACTTTGTATACAGCTATGACCCGAATGTACTTGAGATAATAGAGATAAAACCGGGAGAATTGATAGTTGACCCGAATCCTGACAAGAGCTTTGATACTGCAGTATATCCTGACAGAAAGATAATAGTATTCCTGTTTGCAGAAGACAGCGGAACAGGAGCGTATGCAATAACTAAAGACGGAGTATTTGCTACGATAGTAGCGAAAGTAAAATCCGGAGCACCTAACGGACTCAGTGTAATCAAATTTGTAGAAGTAGGCGGATTTGCGAACAATGACCTTGTAGAACAGAGGACACAGTTCTTTGACGGTGGAGTAAATGTTGGAGATACAACATAA
【0120】
(5)Sca2の発現ベクター(pET-Sca2)の構築
図3は、pET-Sca2の概念図である。pET-Sca2を構築するために、第1のコヘシンドメインCACOの配列と第2のコヘシンドメインCACOの配列を含む遺伝子断片、及びドックリンドメインD2の配列を含む遺伝子断片を得た。
【0121】
第1のコヘシンドメインCACOの配列と第2のコヘシンドメインCACOの配列を含む遺伝子断片は次のようにして得た。Acetivibrio cellulolyticusのゲノムDNAにおける、ScaC Cohesin 3の配列を光合成細菌及び大腸菌用にコドン頻度を最適化し、人工合成した。人工合成したDNA断片を、In-Fusion法を用いてpUCへ導入し、発現ベクターであるpUC303-SOC4Bを得た。
【0122】
pUC303-SOC4Bをテンプレートとして、下記配列番号15及び配列番号16に記載のプライマーを用いて第1のコヘシンドメインCACOの配列と第2のコヘシンドメインCACOの配列を含む遺伝子断片を増幅させた。
配列番号15:GGATCCGATTTACAGGTTGACATTG(pETSca2J1-Fwdとも称する。)
配列番号16:CTGTAAATCGGATCCGCGACCCATTTGCTGTCCAC(pETSca2J2-Revとも称する。)
【0123】
ドックリンドメインD2の配列を含む遺伝子断片は次のようにして得た。Ruminococcus flavefaciens FD-1のゲノムDNAにおける、Group1 dockerinの配列を光合成細菌及び大腸菌用にコドン頻度を最適化し、人工合成した。人工合成したDNA断片を、In-Fusion法を用いてpET28a(Novagen社製)へ導入し、発現ベクターであるpEX-Doc1Aを得た。
【0124】
pEX-Doc1Aをテンプレートとして、下記配列番号17及び配列番号18に記載のプライマーを用いてドックリンドメインD2の配列を含む遺伝子断片を増幅させた。
配列番号17:ACACCGCCCGTTCAGTCGGAGGAGGCTGTTC(pETSca2J2-Fwdとも称する。)
配列番号18:GGATCCTTATGTAGGAGCGGGCTCCACCGGCTG(pETSca2J3-Revとも称する。)
【0125】
さらに、pET-Sca2を構築するために、PCR法によりpET28a(Novagen社製)の全長を増幅した。
【0126】
第1のコヘシンドメインCACOの配列と第2のコヘシンドメインCACOの配列を含む遺伝子断片、及びドックリンドメインD2の配列を含む遺伝子断片、及びpET28aの全長の断片を、In-Fusion Snap Assembly Master Mix User Manualに記載されている方法で連結し、pET-Sca2を得た。
【0127】
pET-Sca2の開始コドン(ATG)から終止コドンまで(TAA)までのDNA配列は下記配列番号19の通りである。5’末端側の最初の下線なしの部分がpET28由来の配列、最初の下線部分がコヘシンドメインCACO(AcScaCCoh)、続く第2の下線なしの部分が第1のリンカー(アミノ酸数2)、続く第2の下線部分がコヘシンドメインCACO(AcScaCCohOPT)、続く第3の下線なしの部分が第2のリンカー(アミノ酸数15)、続く第3の下線部分がドックリンドメインD2(RfGroup1Doc)をコードする。
配列番号19:ATGGGCAGCAGCCATCATCATCATCATCACAGCAGCGGCCTGGTGCCGCGCGGCAGCCATATGGCTAGCATGACTGGTGGACAGCAAATGGGTCGCGGATCCGATTTACAGGTTGACATTGGAAGTACTAGTGGAAAAGCAGGTAGTGTTGTTAGTGTACCTATAACATTTACTAATGTACCTAAATCAGGTATCTATGCTCTAAGTTTTAGAACAAATTTCGACCCACAAAAGGTAACTGTAGCAAGTATAGATGCTGGCTCACTGATTGAAAATGCTTCTGATTTTACTACTTATTATAATAATGAAAATGGTTTTGCATCAATGACGTTTGAAGCCCCAGTTGATAGAGCTAGAATCATAGATAGTGATGGTGTATTTGCAACCATTAACTTTAAAGTTAGTGATAGTGCCAAAGTAGGTGAACTTTACAATATTACTACTAATAGTGCATATACTTCATTCTATTATTCTGGAACTGATGAAATCAAAAATGTTGTTTACAATGATGGAAAAATTGAGGTAATTGCATCGGTACCGGATCTCCAGGTCGACATTGGCTCCACCTCTGGGAAAGCCGGGTCTGTGGTGTCGGTCCCGATTACCTTCACCAACGTGCCGAAAAGCGGGATCTATGCCCTGAGCTTCCGTACGAACTTTGACCCCCAAAAGGTCACCGTGGCGTCCATTGATGCCGGCTCCTTGATCGAAAACGCGAGCGACTTCACCACGTACTACAACAACGAGAACGGCTTTGCCTCGATGACCTTCGAAGCGCCCGTCGATCGAGCCCGCATTATCGACAGCGATGGCGTCTTTGCGACGATCAACTTCAAGGTGAGCGATAGCGCGAAAGTCGGCGAACTGTACAACATCACGACCAACAGCGCCTATACGTCGTTCTACTACTCGGGCACAGACGAGATCAAGAACGTGGTGTACAACGACGGCAAGATTGAGGTCATTGCGTCGGTACCGACAAACACACCGACAAACACACCGCCCGTTCAGTCGGAGGAGGCTGTTCAGAAGTTCCCGGGTGATGCTAACTGCGACGGAATCGTCGATATTTCGGATGCAGTACTCATTATGCAGACTATGGCTAATCCAAGCAAATATCAGATGACCGACAAAGGCAGAATAAACGCTGACGTTACCGGTAACAGCGACGGAGTGACAGTTCTCGATGCACAGTTCATCCAGAGCTATTGTCTGGGACTTGTGGAACTTCCGCCTGTTGAATATGTGAACGTGACGAAACAGCCGGTGGAGCCCGCTCCTACATAA
【0128】
(6)Sca3の発現ベクター(pET-Sca3)の構築
図4は、pET-Sca3の概念図である。pET-Sca3を構築するために、コヘシンドメインC4-2の配列を含む遺伝子断片、コヘシンドメインC4-1の配列を含む遺伝子断片、及びドックリンドメインD3の配列を含む遺伝子断片を得た。
【0129】
コヘシンドメインC4-2の配列を含む遺伝子断片は次のようにして得た。Ruminococcus flavefaciens FD-1のゲノムDNAにおける、ScaB cohesin1の配列を光合成細菌及び大腸菌用にコドン頻度を最適化し、人工合成した。人工合成したDNA断片を、pET28a(Novagen社製)へIn-Fusion法を用いて導入し、発現ベクターであるpEX-ScaBcohを得た。
【0130】
pEX-ScaBcohをテンプレートとして、下記配列番号20及び配列番号21に記載のプライマーを用いてコヘシンドメインC4-2の配列を含む遺伝子断片を増幅させた。
配列番号20:CGGATCCGGAGTGCTGGATGTTGCTGCG(pETSca3J1-Fwdとも称する。)
配列番号21:GTTGTTGTGAGTATCGTTAGTTCCCTTAAC(pETSca3J2-Revとも称する。)
【0131】
コヘシンドメインC4-1の配列を含む遺伝子断片は次のようにして得た。Ruminococcus flavefaciens FD-1のゲノムDNAにおける、ScaA cohesin1の配列を光合成細菌及び大腸菌用にコドン頻度を最適化し、人工合成した。人工合成したDNA断片を、pET28a(Novagen社製)へIn-Fusion法を用いて導入し、発現ベクターであるpEX-ScaAcohを得た。
【0132】
pEX-ScaAcohをテンプレートとして、下記配列番号22及び配列番号23に記載のプライマーを用いてコヘシンドメインC4-1の配列を含む遺伝子断片を増幅させた。
配列番号22:GATACTCACAACAACTGCTGCTACAACATC(pETSca3J2-Fwdとも称する。)
配列番号23:CGTATACTGTTGTAGCAGGCTGTGGAGCTG(pETSca3J3-Revとも称する。)
【0133】
ドックリンドメインD3の配列を含む遺伝子断片は次のようにして得た。Ruminococcus flavefaciens FD-1のゲノムDNAにおける、Group3 dockerinの配列を光合成細菌及び大腸菌用にコドン頻度を最適化し、人工合成した。人工合成したDNA断片を、pET28a(Novagen社製)へIn-Fusion法を用いて導入し、発現ベクターであるpEX-Group3docを得た。
【0134】
pEX-Group3docをテンプレートとして、下記配列番号24及び配列番号25に記載のプライマーを用いてドックリンドメインD3の配列を含む遺伝子断片を増幅させた。
配列番号24:GATACTCACAACAACTGCTGCTACAACATC(pETSca3J3-Fwdとも称する。)
配列番号25:GGATCCTTATTCAACCGGGAGAGTTTTGCG(pETSca1J4-Revとも称する。)
【0135】
さらに、pET-Sca3を構築するために、下記配列番号26及び配列番号27に記載のプライマーを用いてPCR法によりpET28aの全長を増幅した。
配列番号26:GTTGAATAAGGATCCGAATTCGAGCTCCGTC(pETSca3J4-Fwdとも称する。)
配列番号27:GGATCCTTATTCAACCGGGAGAGTTTTGCG(pETSca3J1-Revとも称する。)
【0136】
コヘシンドメインC4-2の配列を含む遺伝子断片、コヘシンドメインC4-1の配列を含む遺伝子断片、及びドックリンドメインD3の配列を含む遺伝子断片、及びpET28aの全長の断片について、In-Fusion Snap Assembly Master Mix User Manualに記載されている方法による連結を試みた。しかし、4つの断片を用いた試験では、目的のpET-Sca3が得られなかったため、予めコヘシンドメインC4-2の配列を含む遺伝子断片、コヘシンドメインC4-1の配列を含む遺伝子断片をドッキングPCRにより連結し、コヘシンドメインC4-2の配列とコヘシンドメインC4-1の配列を含む遺伝子断片を得た。
【0137】
ドッキングPCRには、コヘシンドメインC4-2の配列(RfScaBCoh1)を含む遺伝子断片と、コヘシンドメインC4-1の配列(RfScaACoh1)を含む遺伝子断片との間に15bpのオーバーラップ領域を持つように設計したプライマーを用いた。コヘシンドメインC4-2の配列(RfScaBCoh1)を含む遺伝子断片の増幅には、下記配列番号28及び配列番号29のプライマーを用いた。
配列番号28:CGGATCCGGAGTGCTGGATGTTGCTGCG(pETSca3J1-Fwdとも称する。)
配列番号29:CAGCAGTTGTTGTGAGTATCGTTAGTTCCCTTAACAGC(pETSca3DockingJ2-Revとも称する。)
コヘシンドメインC4-1の配列(RfScaACoh1)を含む遺伝子断片の増幅には、下記配列番号30及び配列番号31のプライマーを用いた。
配列番号30:CTAACGATACTCACAACAACTGCTGCTACAACATC(pETSca3DockingJ2-Fwdとも称する。)
配列番号31:CGTATACTGTTGTAGCAGGCTGTGGAGCTG(pETSca3J3-Revとも称する。)
【0138】
コヘシンドメインC4-2の配列とコヘシンドメインC4-1の配列を含む遺伝子断片、ドックリンドメインD3の配列を含む遺伝子断片、及びpET28aの全長の断片の3つの断片を、In-Fusion Snap Assembly Master Mix User Manualに記載されている方法により連結し、pET-Sca3を得た。
【0139】
pET-Sca3の開始コドン(ATG)から終止コドンまで(TAA)までのDNA配列は下記配列番号32の通りである。5’末端側の最初の下線なしの部分がpET28由来の配列及びその他の配列(アミノ酸数14)、最初の下線部分がコヘシンドメインC4-2(RfScaBcoh1)、続く第2の下線なしの部分が第1のリンカー(アミノ酸数16)、続く第2の下線部分がコヘシンドメインC4-1(RfScaAcoh1)、続く第3の下線なしの部分が第2のリンカー(アミノ酸数13)、続く第3の下線部分がドックリンドメインD3(RfGroup3Doc)をコードする。
配列番号32:ATGGGCAGCAGCCATCATCATCATCATCACAGCAGCGGCCTGGTGCCGCGCGGCAGCCATATGGCTAGCATGACTGGTGGACAGCAAATGGGTCGCGGATCCGGAGTGCTGGATGTTGCTGCGAATAAGACAGCTGGTGAGGATGTAGTCTTCGATTTCGGTAAATGGACAGCTAATGCAGGCGAAACCATTGATGTTGACGTGTTTGTGGACACTCAGGGTAAAGCCGTGTCTGCTATGGATGTCAGATTCCAGATCGATTCACCTCTTAAGATCACGGCGATGGAAAAAGAGGCACCTGCATTCAACACGACCGCAATGGTAAACCTTTCTAATCTGGGTCTTAACTTTAAATCACTCAGCGATAAAGGCGAACCTCTTACGCCGATAAACAATGAGCCTGTGTTCATGTTAGCGGTTGAGGTTCCTGCAAATACGCCTTCCGGTGATTATAAAATTGGTTTCGGTGACAAGTGTGAGGTTCACAAGAGCAACGATGGTTCCAAGTATTCAACCGCTGCAATCAACGGCGTGATCCTGTTAAGGGAACTAACGATACTCACAACAACTGCTGCTACAACATCAGCTCAGCCTGTTGCTAATGCAGACGTGATCTTCGACTTCGGTAACTACGAAGCTAAAGCTGGCGAAGAGGTTCAGGTCGACGTGACTGTCGATTCCAAGAACAAAGCAATTTCTGCTATGGACGTTGTGTTCGCAATTGACTCACCTCTTACCATCGATGAGATTGACAAAGAATCACTTGCATTCAAAACCACAGCTATGACCAACATGGCTATTCTCGGTGCAAACTTCAAATCACTCGACGACAAAGGCGAGCCACTCGTACCTACCAAGGATCCTGTGTTCACGTTATATGTCACAGTTCCTGCTACAACGCCTGATGGTGTATACAATGTCGGCTTCGGCAAGAAATGCGAAGTACATAAAAGCAACGATGGTTCTAAGTACTCATCAACAGCTATCAACGGTAAGATCAAAGTTGGTAACCCTGTTGATGATCCAACAACATCTGCTACAACAGCTCCACAGCCTGCTACAACAGTATACGGCGACCTTGACGGTGACGGCGAGGTTGACGTGTTCGATCTCATCCTCATGAGAAAAGCTGTCGAAAACGGCGATACAGAGCGTTTTGAAGCGGCTGACCTCAACTGCGACGGCGTGATTGACTCCGATGATCTCACATATCACAGCGAGTATCTCCACGGCATACGCAAAACTCTCCCGGTTGAATAA
【0140】
3.形質転換体(大腸菌)における組換えタンパク質の発現
上記の「2.SOC6用の大腸菌用ベクターの構築」にて取得した各発現ベクターを用いて、発現用大腸菌BL21(DE3)株(E.coliBL21(DE3)株コンピテントセル、Agilent Technologies社製)を形質転換させて、各タンパク質を発現する形質転換体を得た。形質転換はすべてのベクターにおいてヒートショック法で行った。
【0141】
得られた大腸菌を培養し、以下の条件で陰イオン交換クロマトグラフィー法により精製した。精製により得られたタンパク質は、SDS-PAGEによる分析で、各目的タンパク質の推定分子量付近にほぼ単一のバンドとしてあらわれた。
Device:NGC Chromatography System(Bio-Rad社製)
Column:EnrichQ
Flow rate:1 ml/min
BufferA:50 mM Tris-HCl(8.5)
BufferB:BufferA+1 MNaCl
【0142】
pET-ACCS-Ctdocから発現するタンパク質(本開示のACC合成酵素サブユニットに該当する。)のアミノ酸配列は下記配列番号33の通りである。N末端側の最初の下線なしの部分がpET28a由来の配列、続く下線部分がACC合成酵素、続く第2の下線なしの部分がリンカー、続く第2の下線部分(C末端まで)がドックリンドメインDACSを示す。
配列番号33:MGSSHHHHHHSSGLVPRGSHMASMTGGQQMGRGSGFEIAKTNSILSKLATNEEHGENSPYFDGWKAYDSDPFHPLKNPNGVIQMGLAENQLCLDLIEDWIKRNPKGSICSEGIKSFKAIANFQDYHGLPEFRRAIAKFMEKTRGGRVRFDPERVVMAGGATGANETIIFCLADPGDAFLVPSPYYPAFNRDLRWRTGVQLIPIHCESSNNFKITSKAVKEAYENAQKSNIKVKGLILTNPSNPLGTTLDKDTLKSVLSFTNQHNIHLVCDEIYAATVFDTPQFVSIAEILDEQEMTYCNKDLVHIVYSLSKDMGLPGFRVGIIYSFNDDVVNCARKMSSFGLVSTQTQYFLAAMLSDEKFVDNFLRESAMRLGKRHKHFTNGLEEVGIKCLKNNAGLFCWMDLRPLLRESTFDSEMSLWRVIINDVKLNFSPGSSFECQEPGWFRVCFANMDDGTVDIALARIRRFVGVEKSGDKSSSMEKKQQWKKNNLRLSFSKRMYDESVLSPLSSPIPPSPLVRTYKVPGTPSTKLYGDVNDDGKVNSTDAVALKRYVLRSGISINTDNADLNEDGRVNSTDLGILKRYILKEIDTLPYKN
【0143】
pET-ACCO-Acdocから発現するタンパク質(本開示のACC酸化酵素サブユニットに該当する。)のアミノ酸配列は下記配列番号34の通りである。N末端側の最初の下線なしの部分がpET28a由来の配列、続く下線部分がACC酸化酵素、続く第2の下線なしの部分がリンカー、続く第2の下線部分(C末端まで)がドックリンドメインDACOを示す。
配列番号34:MGSSHHHHHHSSGLVPRGSHMASMTGGQQMGRGSENFPIINLENLNGDERAKTMEMIKDACENWGFFELVNHGIPHEVMDTVEKLTKGHYKKCMEQRFKELVASKGLEAVQAEVTDLDWESTFFLRHLPTSNISQVPDLDEEYREVMRDFAKRLEKLAEELLDLLCENLGLEKSYLKNAFYGSKGPNFGTKVSNYPPCPKPDLIKGLRAHTDAGGIILLFQDDKVSGLQLLKDEQWIDVPPMRHSIVVNLGDQLEVITNGKYKSVMHRVIAQTDGTRMSLASFYNPGNDAVIYPAPSLIEESKQVYPKFVFDDYMKLYAGLKFQPKEPRFEAMKAMEANVELVDQIASALITPPGTKFIYGDVDGNGSVRINDAVLIRDYVLGKINEFPYEYGMLAADVDGNGSIKINDAVLVRDYVLGKIFLFPVEEKEE
【0144】
pET-AtMTAN2-CjDocから発現するタンパク質(本開示のMTA分解酵素サブユニットに該当する。)のアミノ酸配列は下記配列番号35の通りである。N末端側の最初の下線なしの部分がpET28a由来の配列、続く下線部分がMTA分解酵素、続く第2の下線なしの部分がリンカー、続く第2の下線部分(C末端まで)がドックリンドメインDMTANを示す。
配列番号35:MGSSHHHHHHSSGLVPRGSHMASMEGVMGQVEKRPISTIVFIVAMQKEAQPLINRLRLVEEVNTPFPKEVTWIMFKGMYKDLNINIVCPGKDSTLGVESVGTVPASLVTYASILAIQPDLIINAGTAGGFKAKGACISDVYVVSTVAFHDRRIPVPVLDIYGVGMRNTFPTPNLIKELNLKVGRLSTGDSMDMSPHDEESITANDATVKDMEGAAVAYVADIFKVPTILIKGVTDIVDGNRPTSEEFLENLAAVTAKLDESLTKVIDFISGKCLSDLSSQPQQGLKGDVNNDGAIDALDIAALKKAILTQSTSNINLTNADMNNDGNIDAIDFAQLKVKLLN
【0145】
pET-Sca1から発現するタンパク質(本開示の第1の骨格蛋白質に該当する。)のアミノ酸配列は下記配列番号36の通りである。N末端側の最初の下線なしの部分がpET28a由来の配列、続く下線部分がコヘシンドメインC1(RfScaCCohOPT2由来の配列)、続く第2の下線なしの部分が第1のリンカー(アミノ酸数14)、続く第2の下線部分がコヘシンドメインCMTAN(CjCipACoh由来の配列)、続く第3の下線なしの部分が第2のリンカー(アミノ酸数10)、続く第3の下線部分がコヘシンドメインCACS(CtCipACoh3由来の配列)を示す。
配列番号36:MGSSHHHHHHSSGLVPRGSHMASMTGGQQMGRGSAGETVQISASNAEAKAGDQFEVKVSLADVPSTGIQGIDFAVTYDNTVVTIDKITVGEIADTKAASSDQTASLLPTFDVSIQNSEGYSSVIWSTAVEDSSYWISKDGVLCTITGTVSSNAKPGAESPIKLEAVKRETYVGSGTDNSSISAGYSANDKAVKYTVKATNGKISVPSAEVTTTKAPDQATVISPDPTNALKVTVGTAEGNVGETVTVPVTFADVAKVNNVGTCNFYLAYDASLLDVVSVDAGPIVKNAAVNFSSSASNGTISFLFLDNTITDELITSDGVFANITFKLKNVSTKTTTPITFKDGGAFGDGTMSKITTVIKTNGSVTIIPGDPEPTEDLNVAVGMGRGSNAIKIKVDTVNAKPGDTVNIPVRFSGIPSKGIANCDFVYSYDPNVLEIIEIKPGELIVDPNPDKSFDTAVYPDRKIIVFLFAEDSGTGAYAITKDGVFATIVAKVKSGAPNGLSVIKFVEVGGFANNDLVEQRTQFFDGGVNVGDTT
【0146】
pET-Sca2から発現するタンパク質(本開示の第2の骨格蛋白質に該当する。)のアミノ酸配列は下記配列番号37の通りである。N末端側の最初の下線なしの部分がpET28a由来の配列、続く下線部分がコヘシンドメインCACO(AcScaCCoh由来の配列)、続く第2の下線なしの部分が第1のリンカー(アミノ酸数2)、続く第2の下線部分がコヘシンドメインCACO(AcScaCCohOPT由来の配列)、続く第3の下線なしの部分が第2のリンカー(アミノ酸数15)、続く第3の下線部分がドックリンドメインD2(RfGroup1Doc由来の配列)を示す。
配列番号37:MGSSHHHHHHSSGLVPRGSHMASMTGGQQMGRGSDLQVDIGSTSGKAGSVVSVPITFTNVPKSGIYALSFRTNFDPQKVTVASIDAGSLIENASDFTTYYNNENGFASMTFEAPVDRARIIDSDGVFATINFKVSDSAKVGELYNITTNSAYTSFYYSGTDEIKNVVYNDGKIEVIASVPDLQVDIGSTSGKAGSVVSVPITFTNVPKSGIYALSFRTNFDPQKVTVASIDAGSLIENASDFTTYYNNENGFASMTFEAPVDRARIIDSDGVFATINFKVSDSAKVGELYNITTNSAYTSFYYSGTDEIKNVVYNDGKIEVIASVPTNTPTNTPPVQSEEAVQKFPGDANCDGIVDISDAVLIMQTMANPSKYQMTDKGRINADVTGNSDGVTVLDAQFIQSYCLGLVELPPVEYVNVTKQPVEPA
【0147】
pET-Sca3から発現するタンパク質(本開示の第3の骨格蛋白質に該当する。)のアミノ酸配列は下記配列番号38の通りである。N末端側の最初の下線なしの部分がpET28a由来の配列及びその他の配列、続く下線部分がコヘシンドメインC4-2(RfScaBcoh1由来の配列)、続く第2の下線なしの部分が第1のリンカー(アミノ酸数16)、続く第2の下線部分がコヘシンドメインC4-1(RfScaAcoh1由来の配列)、続く第3の下線なしの部分が第2のリンカー(アミノ酸数13)、続く第3の下線部分がドックリンドメインD3(RfGroup3Doc由来の配列)を示す。
配列番号38:MGSSHHHHHHSSGLVPRGSHMASMTGGQQMGRGSGVLDVAANKTAGEDVVFDFGKWTANAGETIDVDVFVDTQGKAVSAMDVRFQIDSPLKITAMEKEAPAFNTTAMVNLSNLGLNFKSLSDKGEPLTPINNEPVFMLAVEVPANTPSGDYKIGFGDKCEVHKSNDGSKYSTAAINGVILLRELTILTTTAATTSAQPVANADVIFDFGNYEAKAGEEVQVDVTVDSKNKAISAMDVVFAIDSPLTIDEIDKESLAFKTTAMTNMAILGANFKSLDDKGEPLVPTKDPVFTLYVTVPATTPDGVYNVGFGKKCEVHKSNDGSKYSSTAINGKIKVGNPVDDPTTSATTAPQPATTVYGDLDGDGEVDVFDLILMRKAVENGDTERFEAADLNCDGVIDSDDLTYHSEYLHGIRKTLPVE
【0148】
4.Sca1とACC合成酵素サブユニット(ACS-DACS)の結合試験
精製したSca1とACS-DACSを等モルで混合した。その後、Native-PAGE法により、Sca1とACS-DACSが結合していることを確認した。図5において、No.3はSca1とACS-DACSを混合したサンプルである。No.1は、No.3と同量のSca1のみのサンプルであり、No.2はNo.3と同量のACS-DACSのみのサンプルである。No.3(Sca1とACS-DACSを混合したサンプル)は、No.1(Sca1のみ)と、No.2(ACS-DACSのみ)から、矢印の位置にバンドが移動しており、Sca1とACS-DACSが複合体を形成することが確認できた。
【0149】
5.Sca1とMTA分解酵素サブユニット(MTAN-DMTAN)の結合試験
精製したSca1とMTAN-DMTANを1:15(Sca1:MTAN-DMTAN)のモル比で混合した。その後、Native-PAGE法により、Sca1とMTAN-DMTANが結合していることを確認した。図6において、No.3はSca1とMTAN-DMTANを混合したサンプルである。No.1は、No.3と同量のSca1のみのサンプルであり、No.2はNo.3と同量のMTAN-DMTANのみのサンプルである。No.3(Sca1とMTAN-DMTANを混合したサンプル)は、No.1(Sca1のみ)と、No.2(MTAN-DMTANのみ)から、矢印の位置にバンドが移動しており、Sca1とMTAN-DMTANが複合体を形成することが確認できた。
【0150】
6.Sca1とSca3の結合試験
精製したSca1とSca3を等モルで混合した。その後、Native-PAGE法により、Sca1とSca3が結合していることを確認した。図7において、No.3はSca1とSca3を混合したサンプルである。No.1は、No.3と同量のSca1のみのサンプルであり、No.2はNo.3と同量のSca3のみのサンプルである。No.3(Sca1とSca3を混合したサンプル)は、No.1(Sca1のみ)と、No.2(Sca3のみ)から、矢印の位置にバンドが移動しており、Sca1とSca3が複合体を形成することが確認できた。
【0151】
7.Sca2とACC酸化酵素サブユニット(ACO-DACO)の結合試験
精製したSca2とACO-DACOを1:2(Sca2:ACO-DACO)のモル比で混合した。その後、Native-PAGE法により、Sca2とACO-DACOが結合していることを確認した。図8において、No.3はSca2とACO-DACOを混合したサンプルである。No.1は、No.3と同量のACO-DACOのみのサンプルであり、No.2はNo.3と同量のSca2のみのサンプルである。No.3(Sca2とACO-DACOを混合したサンプル)は、No.1(ACO-DACOのみ)と、No.2(Sca2のみ)から、矢印の位置にバンドが移動しており、Sca2とACO-DACOが複合体を形成することが確認できた。
また、ゲルろ過クロマトグラフィーによる結合試験によって、Sca2 1molに対してACO-DACOがほぼ2molの割合で結合することが確認できた。
【0152】
8.Sca2とSca3の結合試験
精製したSca2とSca3を等モルで混合した。その後、Native-PAGE法により、Sca2とSca3が結合していることを確認した。図9において、No.9はSca2とSca3を混合したサンプルである。No.7は、No.9と同量のSca2のみのサンプルであり、No.8はNo.3と同量のSca3のみのサンプルである。No.9(Sca2とSca3を混合したサンプル)は、No.7(Sca2のみ)と、No.8(Sca3のみ)から、矢印の位置にバンドが移動しており、Sca2とSca3が複合体を形成することが確認できた。
【0153】
9.酵素複合体の作製及びシアノバクテリアの形質転換
結合特異性を有するコヘシン-ドックリン結合を組み合わせて酵素複合体を作製できること、シアノバクテリアを形質転換して、酵素複合体を産生する光合成生物を得られることは、特許文献2(特開2013-074814号公報)、参考文献1:Jindou, S., et al., Engineered platform for bioethylene production by a cyanobacterium expressing a chimeric complex of plant enzymes. ACS Synth Biol, 2014. 3(7): p. 487-96.、参考文献2:神藤 定生(名城大学)、酵素複合体を導入したシアノバクテリアによるバイオエチレン生産の相乗機構の解明と大量生産の研究、公益財団法人 日比科学技術振興財団 研究報告書、平成26年にて報告されている。本開示において、特許文献2、参考文献1、参考文献2の内容も参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0154】
10.SOC6のまとめ
上記の実施例より、Sca3が、ドックリンドメインD3とコヘシンドメインC1とを介したコヘシン-ドックリン結合によってSca1を保持することを確認できた。また、Sca3が、コヘシンドメインC4(C4-1,C4-2)とドックリンドメインD2とを介したコヘシン-ドックリン結合によってSca2を保持することが確認できた。
また、上記の実施例より、ACS-DACS、ACO-DACO、MTAN-DMTAN、Sca1、Sca2、Sca3を得ることができた。これらのタンパク質を用いて、酵素複合体SOC6を構築できる。
【0155】
11.SOC29の設計
図8に、酵素複合体SOC29の概念図を示す。SOC6からの変更点は、主に次の点である。Sca2のコヘシンドメインCACO(AcScaCCoh)を1個追加し、計3個にする。Sca3のコヘシンドメインC4(C4-1,C4-2)を、3つの後述するコヘシンドメインC4(C4-3)に変更する。新たに、Sca3とSca2との間に介在するSca4を追加する。Sca4は、3個のコヘシンドメインC6と、1個のドックリンドメインD5を含む。SOC29のコヘシンドメインとドックリンドメインにおいて、SOC6からの主な変更は以下の通りである。
<Sca3>
C4-3:Clostridium thermocellum SdbA typeII cohesion
<Sca4>
C6:Ruminococcus flavefaciens FD-1 ScaB cohesin1
D5:Clostridium thermocellum CipA typeII Dockerin
【0156】
酵素複合体SOC29の第2の骨格蛋白質Sca2のアミノ酸配列は下記配列番号39の通りである。N末端側の最初の下線部分がコヘシンドメインCACO(RAcScaCCoh由来の配列)、続く下線なしの部分が第1のリンカー(アミノ酸数2)、続く第2の下線部分がコヘシンドメインCACO(RAcScaCCoh由来の配列)、続く第2の下線なしの部分が第2のリンカー(アミノ酸数2)、続く第3の下線部分がコヘシンドメインCACO(RAcScaCCoh由来の配列)、続く第3の下線なしの部分が第3のリンカー(アミノ酸数15)、続く第4の下線部分がドックリンドメインD2(RfGroup1Doc由来の配列)を示す。
配列番号39:DLQVDIGSTSGKAGSVVSVPITFTNVPKSGIYALSFRTNFDPQKVTVASIDAGSLIENASDFTTYYNNENGFASMTFEAPVDRARIIDSDGVFATINFKVSDSAKVGELYNITTNSAYTSFYYSGTDEIKNVVYNDGKIEVIASVPDLQVDIGSTSGKAGSVVSVPITFTNVPKSGIYALSFRTNFDPQKVTVASIDAGSLIENASDFTTYYNNENGFASMTFEAPVDRARIIDSDGVFATINFKVSDSAKVGELYNITTNSAYTSFYYSGTDEIKNVVYNDGKIEVIASVPDLQVDIGSTSGKAGSVVSVPITFTNVPKSGIYALSFRTNFDPQKVTVASIDAGSLIENASDFTTYYNNENGFASMTFEAPVDRARIIDSDGVFATINFKVSDSAKVGELYNITTNSAYTSFYYSGTDEIKNVVYNDGKIEVIASVPTNTPTNTPPVQSEEAVQKFPGDANCDGIVDISDAVLIMQTMANPSKYQMTDKGRINADVTGNSDGVTVLDAQFIQSYCLGLVELPPVEYVNVTKQPVEPA
【0157】
酵素複合体SOC29の第3の骨格蛋白質Sca3のアミノ酸配列は下記配列番号40の通りである。N末端側の最初の下線部分がコヘシンドメインC4-3(Clostridium thermocellum SdbA typeII cohesion由来の配列)、続く下線なしの部分が第1のリンカー(アミノ酸数16)、続く第2の下線部分がコヘシンドメインC4-3(Clostridium thermocellum SdbA typeII cohesion由来の配列)、続く下線なしの部分が第2のリンカー(アミノ酸数16)、続く第3の下線部分がコヘシンドメインC4-3(Clostridium thermocellum SdbA typeII cohesion由来の配列)、続く第3の下線なしの部分が第3のリンカー(アミノ酸数13)、続く第4の下線部分がドックリンドメインD3(RfGroup3Doc由来の配列)を示す。
配列番号40:ARADKASSIELKFDRNKGEVGDILIGTVRINNIKNFAGFQVNIVYDPKVLMAVDPETGKEFTSSTFPPGRTVLKNNAYGPIQIADNDPEKGILNFALAYSYIAGYKETGVAEESGIIAKIGFKILQKKSTAVKFQDTLSMPGAISGTQLFDWDGEVITGYEVIQPDVLSLGDEPYETPGTDIPISDNPAATPSSTPSVTPSPEVKPTQTPSPLLRELTILARADKASSIELKFDRNKGEVGDILIGTVRINNIKNFAGFQVNIVYDPKVLMAVDPETGKEFTSSTFPPGRTVLKNNAYGPIQIADNDPEKGILNFALAYSYIAGYKETGVAEESGIIAKIGFKILQKKSTAVKFQDTLSMPGAISGTQLFDWDGEVITGYEVIQPDVLSLGDEPYETPGTDIPISDNPAATPSSTPSVTPSPEVKPTQTPSPLLRELTILARADKASSIELKFDRNKGEVGDILIGTVRINNIKNFAGFQVNIVYDPKVLMAVDPETGKEFTSSTFPPGRTVLKNNAYGPIQIADNDPEKGILNFALAYSYIAGYKETGVAEESGIIAKIGFKILQKKSTAVKFQDTLSMPGAISGTQLFDWDGEVITGYEVIQPDVLSLGDEPYETPGTDIPISDNPAATPSSTPSVTPSPEVKPTQTPSPLLRELTILEVYGDLDGDGEVDVFDLILMRKAVENGDTERFEAADLNCDGVIDSDDLTYHSEYLHGIRKTLPVE
【0158】
酵素複合体SOC29の第4の骨格蛋白質Sca4のアミノ酸配列は下記配列番号41の通りである。N末端側の最初の下線部分がコヘシンドメインC6(RfScaBcoh1由来の配列)、続く下線なしの部分が第1のリンカー(アミノ酸数16)、続く第2の下線部分がコヘシンドメインC6(RfScaBcoh1由来の配列)、続く下線なしの部分が第2のリンカー(アミノ酸数16)、続く第3の下線部分がコヘシンドメインC6(RfScaBcoh1由来の配列)、続く下線なしの部分が第3のリンカー(アミノ酸数13)、続く第4の下線部分がドックリンドメインD5(Clostridium thermocellum CipA typeII Dockerin由来の配列)を示す。
配列番号41:VVFDFGKWTANAGETIDVDVFVDTQGKAVSAMDVRFQIDSPLKITAMEKEAPAFNTTAMVNLSNLGLNFKSLSDKGEPLTPINNEPVFMLAVEVPANTPSGDYKIGFGDKCEVHKSNDGSKYSTAAINGVILLRELTILTTTAATTSVVFDFGKWTANAGETIDVDVFVDTQGKAVSAMDVRFQIDSPLKITAMEKEAPAFNTTAMVNLSNLGLNFKSLSDKGEPLTPINNEPVFMLAVEVPANTPSGDYKIGFGDKCEVHKSNDGSKYSTAAINGVILLRELTILTTTAATTSAQPVANADVIFDFGNYEAKAGEEVQVDVTVDSKNKAISAMDVVFAIDSPLTIDEIDKESLAFKTTAMTNMAILGANFKSLDDKGEPLVPTKDPVFTLYVTVPATTPDGVYNVGFGKKCEVHKSNDGSKYSSTAINGKIKVGNPVDDPTTSATTAPQPATTGDIVKDNSINLLDVAEVIRCFNATKGSANYVEELDINRNGAINMQDIMIVHKHFGATSSDYDAQ
【0159】
12.実施例の効果
本実施例によれば、第1の骨格蛋白質を保持するとともに、第2の骨格蛋白質を保持して、ACC合成酵素(ACS)と、ACC酸化酵素(ACO)を高度に集積化できるアダプター骨格蛋白質(第3の骨格蛋白質)を提供できた。本実施例によれば、ACC合成酵素及びACC酸化酵素を高度に集積化した酵素複合体を得ることができる。また、本実施例の酵素複合体を用いた光合成生物によれば、エチレン産生能を向上できる。
【0160】
本開示は上記で詳述した実施例に限定されず、本開示の範囲で様々な変形又は変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【配列表】
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