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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082752
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】モータ用コイル、ステータ及びモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/18 20060101AFI20240613BHJP
   H02K 3/46 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H02K3/18 J
H02K3/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196831
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 友久
【テーマコード(参考)】
5H603
5H604
【Fターム(参考)】
5H603AA09
5H603BB01
5H603BB09
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB04
5H603CB11
5H603CC05
5H603CC11
5H603CC17
5H603CD02
5H603CD04
5H603CD21
5H603CE05
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB10
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC15
5H604CC16
(57)【要約】
【課題】大きい断面積を有するコイルに、端子を容易に形成する。
【解決手段】モータ用コイルは、巻回軸方向に巻き回された第1の導線と、前記第1の導線に連結した第2の導線と、を備える。前記第1の導線は、前記第1の導線が巻き回される周方向に延在する側面と、当該側面に形成された孔部と、を備える。前記第2の導線の一部は、前記孔部内に配置されている。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回軸方向に巻き回された第1の導線と、
前記第1の導線に連結した第2の導線と、
を備え、
前記第1の導線は、前記第1の導線が巻き回される周方向に延在する側面と、当該側面に形成された孔部と、を備え、
前記第2の導線の一部は、前記孔部内に配置されている、
モータ用コイル。
【請求項2】
前記第2の導線は、前記第1導線側にある一方の端部と、他方の端部と、を備え、
前記一方の端部が前記孔部内にあり、
前記他方の端部は外部装置と接続する端子となっている、
請求項1に記載のモータ用コイル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のモータ用コイルと、
インシュレータと、
当該インシュレータを介して、前記モータ用コイルに囲まれたステータコアと、
を備えるステータ。
【請求項4】
請求項3に記載のステータと、
ロータと、
を備え、
前記第2の導線は、前記ロータの回転軸の方向に延在している、
モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ用コイル、ステータ及びモータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータ用コイルを、銅等の筒状の導体を切断することにより製造する技術が知られている。その際、コイルの端子は、例えば、切断された端部を折り曲げることにより形成される。例えば、導電性筒状体をスパイラル状にカットすることによりコイルを製造する技術において、筒状体の両端に突起や棒状に切り出して端子を形成するか、さらにその端子を折り曲げ加工して曲成された端子を構成する技術が知られている。また、筒状導体を螺旋状に切断して平角線を形成する技術において、回路端子部は筒状導体の切り込みにより形成する平角線の端部を折り曲げて形成されることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-97270号公報
【特許文献2】特開2004-274965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大電流でモータを使用する際に、モータ用コイルの断面積を大きくすることが求められる。その際、切断された端部を折り曲げ加工することが困難となる場合がある。
【0005】
一つの側面では、大きい断面積を有するコイルに、端子を容易に形成できるモータ用コイル、ステータ及びモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様において、モータ用コイルは、巻回軸方向に巻き回された第1の導線と、前記第1の導線に連結した第2の導線と、を備える。前記第1の導線は、前記第1の導線が巻き回される周方向に延在する側面と、当該側面に形成された孔部と、を備える。前記第2の導線の一部は、前記孔部内に配置されている。
【0007】
一つの態様によれば、大きい断面積を有するコイルに、端子を容易に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態におけるモータの一例を示す図である。
図2図2は、実施形態におけるモータ用コイルのステータへの取付の一例を示す分解斜視図である。
図3図3は、実施形態におけるステータに取り付けられたモータ用コイルの一例を示す斜視図である。
図4図4は、実施形態におけるモータ用コイルの一例を示す斜視図である。
図5図5は、実施形態におけるモータ用コイルの一例を示す分解斜視図である。
図6図6は、実施形態における第2の導線の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示するモータ用コイル、ステータ及びモータの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。各図面において、説明を分かりやすくするために、後に説明するロータの周方向、径方向及び軸方向に基づく座標系を図示する場合がある。
【0010】
[実施形態]
まず、実施形態におけるモータについて、図1を用いて説明する。図1は、実施形態におけるモータの一例を示す図である。図1に示すように、実施形態におけるモータ1は、ステータ80が、ロータ91よりも径方向における外側に配置される、いわゆるインナーロータ型のモータである。
【0011】
モータ1は、図1に示すように、ステータ80と、ロータ91と、シャフト99とを備える。ステータ80は、コイル2と、インシュレータ83と、ステータコア81とを備える。ステータコア81は、例えばステンレス鋼や磁性鋼板などの磁性体を、軸方向に複数積層することによって形成される、環状の部材である。
【0012】
図2に示すように、ステータコア81は、径方向内側に延在するティース82を備える。図2は、実施形態におけるモータ用コイルのステータへの取付の一例を示す分解斜視図である。図2に示すように、ティース82には、インシュレータ83を介して、コイル2が装着される。なお、コイル2は、モータ用コイルの一例である。
【0013】
インシュレータ83は、例えば樹脂等の絶縁体により形成される。図3に示すように、インシュレータ83は、例えば、コイル2に囲まれた状態で、ティース82に挿通される。図3は、ステータに取り付けられたモータ用コイルの一例を示す斜視図である。この場合において、ステータコア81は、インシュレータ83を介して、コイル2に囲まれる。
【0014】
ロータ91は、モータ1において回転軸であるシャフト99を中心に回転可能に設けられる。ロータ91は、シャフト99と、ロータヨーク(ヨーク)と、図示しないマグネットとを備える。
【0015】
シャフト99は、回転軸であって、ロータ91における径方向の最も内側において円柱状に形成される。ロータヨークは、例えば鉄などの磁性材料で円筒状に形成される。そして、ロータ91の内周面は、シャフト99の外周面に接触するように配置される。
【0016】
図4に示すように、コイル2は、巻回軸方向に巻き回された第1の導線10と、第1の導線に連結した第2の導線30とを備える。図4は、実施形態におけるモータ用コイルの一例を示す斜視図である。図4に示すように、コイル2の第1の導線10は、ロータ91の径方向を巻回軸方向として巻き回される。また、実施形態におけるコイル2は、第1の導線10に連結した第2の導線40をさらに備える。
【0017】
コイル2の第1の導線10は、例えば銅等の導体を切り出すことにより形成される。例えば、筒状の銅に、螺旋状に切り込みを入れることで、図4に示す第1の導線10が形成される。なお、第1の導線10には、切り込みが入れられた後に、電着塗装等により絶縁被膜が施される。これにより、第1の導線10の巻回軸方向において隣接する部位が、相互に絶縁される。
【0018】
図5に示すように、第1の導線10は、第1の導線10が巻き回される周方向に延在する側面15,16,17,18を備える。図5は、実施形態におけるモータ用コイルの一例を示す分解斜視図である。図5に示すように、側面15は、軸方向正方向側に位置し、側面17は、軸方向負方向側に位置する。また、側面16は、周方向における一方側に位置し、側面18は、周方向における他方側に位置する。
【0019】
実施形態における第1の導線10は、例えば断面積が4平方mm以上である。図5に示すように、例えば第1の導線10の巻回軸方向における厚さW1が1mmである場合、軸方向における厚さW2は4mm~6mmである。
【0020】
実施形態において、第1の導線10は、巻回軸方向における一方の端部11と、他方の端部12とを備える。図5に示すように、一方の端部11と、他方の端部12とは、いずれも軸方向における正方向側の側面15に位置する。
【0021】
また、第1の導線10は、側面15に形成される孔部13,14を備える。図5に示すように、孔部13は、一方の端部11の近くに形成され、孔部14は、他方の端部12の近くに形成される。実施形態において、孔部13,14は、例えば直径0.8mm程度の略円形状の断面を有する。
【0022】
実施形態において、第2の導線30は、第1の導線10の孔部13内に配置され、第2の導線40は、第1の導線10の孔部14に配置される。この場合において、図5に示すように、第2の導線30は、コイル2の巻回軸方向における一方の端部近くに配置され、第2の導線40は、コイル2の巻回軸方向における他方の端部近くに配置される。
【0023】
図6は、実施形態における第2の導線の一例を示す斜視図である。なお、図6は第2の導線40を示すが、第2の導線30も同様の構成を備えるため、以下において、第2の導線30についての詳細な説明を省略する場合がある。
【0024】
図6に示すように、第2の導線40は、第1の導線10側にある一方の端部41と、他方の端部42とを備える。なお、一方の端部31及び41は、第2の導線の一部の一例である。
【0025】
第2の導線30の一方の端部31は、第1の導線10の孔部13に、軸方向における正方向側から挿通され、第2の導線40の一方の端部41は、第1の導線10の孔部14に、軸方向における正方向側から挿通される。この場合において、一方の端部31が、孔部13にあり、一方の端部41が、孔部14にある。すなわち、第2の導線30及び40の一部は、孔部13及び14内に配置されている。この場合において、一方の端部31及び41は、孔部13及び14の断面の直径W3と略同一か、やや小さい断面を有する。例えば、一方の端部31及び41の断面の直径W3は、直径0.7mm程度である。
【0026】
第2の導線30の一方の端部31及び41は、第1の導線10と電気的に接続される。すなわち、一方の端部31及び41は、少なくとも一部が絶縁されておらず、第1の導線10の孔部13及び14に半田付けにて固定される。この場合において、図1に示すように、第2の導線30及び40は、ロータ91の回転軸の方向に延在している。
【0027】
第2の導線40の他方の端部42の太さW4は、例えば一方の端部41の直径W3よりも大きい。また、第2の導線40の他方の端部42は、少なくとも一部が絶縁されていない。この場合において、他方の端部42は、外部装置と接続する端子となっている。これにより、第1の導線10の端部を接続端子とするために加工する必要がないため、接続端子を形成する際の作業性を向上できる。
【0028】
また、コイル2に大きな電流を流すには、接続端子となる第2の導線30,40は、厚くする方が好ましい。実施形態によれば、第2の導線30,40の他方の端部32,42を、第1の導線10の厚さW1よりも太くすることができる。例えば、第1の導線10の巻回軸方向における厚さW1が1mmである場合に、第2の導線30,40の他方の端部32,42の太さW4を2mm以上とすることができる。
【0029】
以上説明したように、実施形態におけるモータ用コイル2は、巻回軸方向に巻き回された第1の導線10と、第1の導線10に連結した第2の導線30,40とを備える。第1の導線10は、第1の導線10が巻き回される周方向に延在する側面15,16,17,18と、側面15に形成された孔部13,14とを備える。第2の導線30の一部31は、孔部13内に配置されている。また、実施形態におけるステータ80は、モータ用コイル2と、インシュレータ83と、インシュレータ83を介して、モータ用コイル2に囲まれたステータコア81とを備える。また、実施形態におけるモータ1は、ロータ91を備え、第2の導線30,40は、ロータ91の回転軸の方向に延在している。かかる構成によれば、大きい断面積を有するコイルに、端子を容易に形成できる。
【0030】
[変形例]
以上、実施形態における構成について説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、2つの第2の導線30及び40を備えるコイルについて説明したが、これに限られず、モータ用コイルは第2の導線を1つだけ備えてもよく、また3つ以上の第2の導線を備えてもよい。
【0031】
第2の導線30,40は、ロータ91の軸方向ではなく、ロータ91の径方向や周方向など、その他の方向を向いていてもよい。また、第2の導線30,40は、屈曲した部分や、湾曲した形状を備えていてもよい。また、第2の導線30と40とが、互いに異なる形状を備えていてもよい。
【0032】
また、第2の導線30,40は、溶接等のその他の方法により、第1の導線10に配置されていてもよい。第2の導線30,40が配置される孔部13,14の形状も、図5に示す略円形状の断面を有するものに限られない。
【0033】
なお、実施形態におけるコイル2は、アウターロータ型のモータに用いてもよい。
【0034】
以上、本発明を実施形態及び各変形例に基づき説明したが、本発明は実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であることも言うまでもない。そのような要旨を逸脱しない範囲での種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0035】
1 モータ、2 コイル、10 第1の導線、11 一方の端部、12 他方の端部、13,14 孔部、15,16,17,18 側面、30,40 第2の導線、31,41 一方の端部、32,42 他方の端部、80 ステータ、81 ステータコア、82 ティース、83 インシュレータ、91 ロータ、99 シャフト
図1
図2
図3
図4
図5
図6