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特開2024-82770印刷方法、情報処理装置、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082770
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】印刷方法、情報処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/407 20060101AFI20240613BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20240613BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240613BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H04N1/407 780
G06F3/12 342
G06F3/12 343
G06F3/12 303
G06F3/12 378
B41J2/01 451
B41J21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196865
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】近藤 俊哉
【テーマコード(参考)】
2C056
2C187
5C077
【Fターム(参考)】
2C056EA07
2C056EB13
2C056EC77
2C056EC79
2C056FA10
2C187AC05
2C187AC07
2C187AC08
2C187AE07
2C187BF11
2C187BH17
2C187BH23
2C187DB04
5C077LL19
5C077MM27
5C077MP07
5C077PP23
5C077PP47
5C077SS06
5C077TT02
(57)【要約】
【課題】輪郭の検出が困難な被印刷物であっても、正確な位置に画像を印刷することが可能な印刷方法、情報処理装置、及びプログラムを提供する。
【解決手段】印刷方法は、印刷データに基づく印刷画像を被印刷物に印刷する印刷方法であって、被印刷物が載置される載置領域の画像を含む台紙画像が印刷された台紙を生成する工程と、テーブル上に配置された台紙を撮影する工程(ステップS111)と、台紙の撮影によって得られた撮像画像に基づいて、テーブル上における載置領域の位置を特定する工程(ステップS113)と、特定した載置領域の位置に基づいて印刷画像を配置するレイアウト処理を実行して、レイアウト画像データを生成する工程(ステップS116)と、レイアウト画像データに基づいて、テーブル上に配置された台紙の載置領域に載置された被印刷物に印刷画像を印刷する工程(ステップS119)と、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データに基づく第1画像を被印刷物に印刷する印刷方法であって、
前記被印刷物が載置される載置領域の画像を含む第2画像が印刷された台紙を生成する工程と、
テーブル上に配置された前記台紙を撮影する工程と、
前記台紙の撮影によって得られた撮像画像に基づいて、前記テーブル上における前記載置領域の位置を特定する工程と、
特定した前記載置領域の位置に基づいて前記第1画像を配置するレイアウト処理を実行して、レイアウト画像データを生成する工程と、
前記レイアウト画像データに基づいて、前記テーブル上に配置された前記台紙の前記載置領域に載置された前記被印刷物に前記第1画像を印刷する工程と、を含む印刷方法。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷方法であって、
前記台紙を生成する工程の前に、前記印刷データに基づいて、前記第2画像を表す台紙画像データを生成する工程をさらに含み、
前記印刷データには、前記被印刷物の輪郭を表す輪郭データが含まれており、
前記台紙画像データを生成する工程では、前記輪郭データに基づいて前記載置領域の形状が決定される、印刷方法。
【請求項3】
請求項1に記載の印刷方法であって、
前記台紙を生成する工程の前に、前記印刷データに基づいて、前記第2画像を表す台紙画像データを生成する工程をさらに含み、
前記台紙画像データを生成する工程では、前記第1画像に基づいて前記載置領域の形状が決定される、印刷方法。
【請求項4】
請求項1に記載の印刷方法であって、
前記第2画像には、前記載置領域の位置を特定するための検出マークが含まれ、
前記載置領域の位置を特定する工程では、前記台紙を撮影する工程で撮影された前記検出マークの位置に基づいて、前記載置領域の位置が特定される、印刷方法。
【請求項5】
請求項1に記載の印刷方法であって、
前記撮像画像に基づいて、前記印刷データを特定する工程をさらに含み、
前記第2画像には、前記印刷データを識別するための識別情報を含む二次元コードが含まれ、
前記印刷データを特定する工程では、前記台紙を撮影する工程で撮影された前記二次元コードに含まれる前記識別情報に基づいて、前記印刷データが特定される、印刷方法。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷方法であって、
前記載置領域の位置を特定する工程では、前記台紙を撮影する工程で撮影された前記二次元コードの位置に基づいて、前記載置領域の位置が特定される、印刷方法。
【請求項7】
請求項1に記載の印刷方法であって、
前記載置領域の位置を特定する工程では、前記載置領域の向きも特定され、
前記レイアウト画像データを生成する工程では、特定された前記載置領域の位置及び向きに基づいて前記第1画像が配置される、印刷方法。
【請求項8】
請求項1に記載の印刷方法であって、
前記第1画像を印刷する工程では、前記テーブル上を走査される走査部に取り付けられた印刷ヘッドによって前記第1画像が印刷され、
前記台紙を撮影する工程では、前記走査部に取り付けられた撮像部によって前記台紙が撮影される、印刷方法。
【請求項9】
請求項1に記載の印刷方法であって、
前記テーブルには、空気を吸引するための複数の吸引口が形成されており、
前記第2画像には、前記載置領域の内側に貫通孔を形成することを促す画像が含まれる、印刷方法。
【請求項10】
プロセッサーを備え、被印刷物に印刷を行う第1印刷装置を制御して、印刷データに基づく第1画像を前記被印刷物に印刷させる情報処理装置であって、
前記プロセッサーは、
前記第1印刷装置、又は前記第1印刷装置とは異なる第2印刷装置を制御して、前記被印刷物が載置される載置領域の画像を含む第2画像が印刷された台紙を生成させ、
テーブル上に配置された前記台紙を撮影させ、
前記台紙の撮影によって得られた撮像画像に基づいて、前記テーブル上における前記載置領域の位置を特定し、
特定した前記載置領域の位置に基づいて前記第1画像を配置するレイアウト処理を実行して、レイアウト画像データを生成し、
前記第1印刷装置を制御し、前記レイアウト画像データに基づいて、前記テーブル上に配置された前記台紙の前記載置領域に載置された前記被印刷物に前記第1画像を印刷させる、情報処理装置。
【請求項11】
被印刷物に印刷を行う第1印刷装置を制御して、印刷データに基づく第1画像を前記被印刷物に印刷させるコンピューターに、
前記第1印刷装置、又は前記第1印刷装置とは異なる第2印刷装置を制御して、前記被印刷物が載置される載置領域の画像を含む第2画像が印刷された台紙を生成させる手順と、
テーブル上に配置された前記台紙を撮影させる手順と、
前記台紙の撮影によって得られた撮像画像に基づいて、前記テーブル上における前記載置領域の位置を特定する手順と、
特定した前記載置領域の位置に基づいて前記第1画像を配置するレイアウト処理を実行して、レイアウト画像データを生成する手順と、
前記第1印刷装置を制御し、前記レイアウト画像データに基づいて、前記テーブル上に配置された前記台紙の前記載置領域に載置された前記被印刷物に前記第1画像を印刷させる手順と、を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷方法、情報処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被印刷物が載置されるテーブル上を撮影する手段と、撮影した画像に基づいて、被印刷物の輪郭を特定し、被印刷物の位置及び姿勢を得る手段と、取得した被印刷物の位置及び姿勢に基づいて印刷に用いるデータを作成する手段と、を有する印刷装置が記載されている。このような印刷装置を用いることで、被印刷物の所望の位置に正確に画像を印刷することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-149670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、被印刷物の輪郭を画像処理によって検出している。このため、例えば、被印刷物が透明な材料で形成されている場合のように、被印刷物の輪郭を検出することが困難な場合には、被印刷物に対して正確な位置に画像を印刷できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
印刷方法は、印刷データに基づく第1画像を被印刷物に印刷する印刷方法であって、前記被印刷物が載置される載置領域の画像を含む第2画像が印刷された台紙を生成する工程と、テーブル上に配置された前記台紙を撮影する工程と、前記台紙の撮影によって得られた撮像画像に基づいて、前記テーブル上における前記載置領域の位置を特定する工程と、特定した前記載置領域の位置に基づいて前記第1画像を配置するレイアウト処理を実行して、レイアウト画像データを生成する工程と、前記レイアウト画像データに基づいて、前記テーブル上に配置された前記台紙の前記載置領域に載置された前記被印刷物に前記第1画像を印刷する工程と、を含む。
【0006】
情報処理装置は、プロセッサーを備え、被印刷物に印刷を行う第1印刷装置を制御して、印刷データに基づく第1画像を前記被印刷物に印刷させる情報処理装置であって、前記プロセッサーは、前記第1印刷装置、又は前記第1印刷装置とは異なる第2印刷装置を制御して、前記被印刷物が載置される載置領域の画像を含む第2画像が印刷された台紙を生成させ、テーブル上に配置された前記台紙を撮影させ、前記台紙の撮影によって得られた撮像画像に基づいて、前記テーブル上における前記載置領域の位置を特定し、特定した前記載置領域の位置に基づいて前記第1画像を配置するレイアウト処理を実行して、レイアウト画像データを生成し、前記第1印刷装置を制御し、前記レイアウト画像データに基づいて、前記テーブル上に配置された前記台紙の前記載置領域に載置された前記被印刷物に前記第1画像を印刷させる。
【0007】
プログラムは、被印刷物に印刷を行う第1印刷装置を制御して、印刷データに基づく第1画像を前記被印刷物に印刷させるコンピューターに、前記第1印刷装置、又は前記第1印刷装置とは異なる第2印刷装置を制御して、前記被印刷物が載置される載置領域の画像を含む第2画像が印刷された台紙を生成させる手順と、テーブル上に配置された前記台紙を撮影させる手順と、前記台紙の撮影によって得られた撮像画像に基づいて、前記テーブル上における前記載置領域の位置を特定する手順と、特定した前記載置領域の位置に基づいて前記第1画像を配置するレイアウト処理を実行して、レイアウト画像データを生成する手順と、前記第1印刷装置を制御し、前記レイアウト画像データに基づいて、前記テーブル上に配置された前記台紙の前記載置領域に載置された前記被印刷物に前記第1画像を印刷させる手順と、を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】印刷システムの構成を示すブロック図。
図2】第1プリンターを示す斜視図。
図3】情報処理装置の動作を示すフローチャート。
図4】情報処理装置の動作を示すフローチャート。
図5】表示装置に表示されるメイン画面を示す図。
図6】台紙を示す平面図。
図7】テーブル上に載置された複数の台紙を示す平面図。
図8】表示装置に表示されるメイン画面を示す図。
図9】変形例に係る台紙を示す平面図。
図10】変形例に係る台紙を示す平面図。
図11】変形例に係る台紙を示す平面図。
図12】変形例に係る台紙を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態の印刷システム100について、図面を参照して説明する。
図1は、印刷システム100の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、印刷システム100は、被印刷物M(図2参照)に画像を印刷するためのシステムであり、情報処理装置1と、入力装置2と、表示装置3と、第1プリンター4と、第2プリンター5とを備えている。
【0010】
情報処理装置1は、コンピューターによって構成され、制御部11と、記憶部12と、インターフェイス部13と、を備えている。制御部11は、図示しないプロセッサー、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を備えており、ROMに記憶されているプログラム、又は記憶部12からRAMに読み出されたプログラムに従ってプロセッサーが動作することにより、情報処理装置1の各部を制御する。なお、制御部11は、単一のチップで構成されていてもよいし、複数のチップで構成されていてもよい。また、制御部11を構成するプロセッサーは、例えば、CPU(Central Processing Unit)であるが、ASIC(Application Specific IC)等により構成されてもよいし、CPUとASICとにより構成されてもよい。
【0011】
記憶部12は、ハードディスクドライブ又はソリッドステートドライブ等の記憶装置を備えている。記憶部12は、インストールされたOS(Operating System)、アプリケーションプログラム及び各種データ等を記憶する。本実施形態の記憶部12には、アプリケーションプログラムとして、第1プリンター4及び第2プリンター5で印刷を実行するための印刷プログラム14がインストールされている。印刷プログラム14の詳細については後述する。
【0012】
また、記憶部12には、被印刷物Mに画像を印刷する際に用いられる少なくとも1つの印刷データ(図示せず)が記憶されている。印刷データは、例えば、PDF(Portable Document Format)ファイルによって構成され、被印刷物Mに印刷される画像、即ち印刷画像を表す画像データを含むとともに、被印刷物Mの輪郭を表す輪郭データを含んでいる。被印刷物Mに印刷される画像である印刷画像は、第1画像に相当する。
【0013】
インターフェイス部13は、外部の様々な装置との間で情報の入出力を行うための各種インターフェイス回路を備えている。本実施形態のインターフェイス部13には、入力装置2、表示装置3、第1プリンター4、及び第2プリンター5が接続されている。
【0014】
入力装置2は、例えば、キーボードであり、ユーザーの入力操作に応じた操作信号を、インターフェイス部13を介して制御部11に出力する。また、入力装置2は、マウス等のポインティングデバイスを含んでもよい。表示装置3は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示デバイスを備えた装置であり、制御部11の制御に基づく画像を表示する。
【0015】
本実施形態では、情報処理装置1として、入力装置2及び表示装置3が外付けされるコンピューターを例示しているが、情報処理装置1の構成はこれに限定されず、ノート型のコンピューターのように、入力装置2及び表示装置3が一体的に備わる構成であってもよい。
【0016】
ユーザーは、上記のように構成された情報処理装置1を用いて、被印刷物Mに印刷すべき印刷データを選択したり、選択した印刷データに基づく印刷画像を被印刷物Mに印刷させたりすることができる。被印刷物Mへの印刷画像の印刷は、第1プリンター4によって行われる。
【0017】
図2は、第1プリンター4を示す斜視図である。図2には、互いに交差するX軸、Y軸及びZ軸が示されている。典型的には、X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交する。X軸は、第1プリンター4の設置面に対して平行であり、第1プリンター4の幅方向に対応する。Y軸は、第1プリンター4の設置面に対して平行であり、第1プリンター4の奥行き方向に対応する。Z軸は、第1プリンター4の設置面に対して垂直であり、第1プリンター4の高さ方向に対応する。なお、第1プリンター4の正面に向かって右方向を+X方向、正面から奥に向かう方向を+Y方向、上方向を+Z方向とする。
【0018】
第1プリンター4は、インクジェット方式で印刷を行う印刷装置であり、第1印刷装置に相当する。具体的には、第1プリンター4は、被印刷物Mが載置されるテーブル41を備えたフラットベッド型の印刷装置である。第1プリンター4は、テーブル41上を走査される印刷ヘッド45から液体を吐出することにより、被印刷物Mに印刷を行う。被印刷物Mとしては、紙に限定されず、シート状のフィルムや、各種素材で形成された厚みのあるボード、或いはスマートフォンの保護ケースのような樹脂製の構造物等が想定されている。また、印刷ヘッド45から吐出される液体としては、紫外線硬化型のインクが用いられるが、それ以外のインクであってもよい。
【0019】
第1プリンター4は、筐体で覆われた装置本体40の上方にテーブル41を備えている。テーブル41は、上面がXY平面に平行な載置台であり、±Z方向から見て、X軸に平行な2つの辺と、Y軸に平行な2つの辺とを有する矩形の形状を有している。テーブル41の全域には、±Z方向に貫通する図示しない複数の吸引口がマトリクス状に形成されている。また、装置本体40の内部、即ちテーブル41の下側には、吸引ポンプ等で構成される吸引部42が配置されている。吸引部42は、吸引口を介してテーブル41上から空気を吸引することにより、テーブル41上に載置された被印刷物M等をテーブル41に吸着させる。
【0020】
第1プリンター4は、ガントリー43と、ガントリー43に取り付けられたキャリッジ44とを備えている。ガントリー43は、X軸に沿って延在し、テーブル41上を跨ぐように配置されている。ガントリー43には、X軸に沿って延在するガイドレール43Gが設けられており、キャリッジ44は、ガイドレール43Gに案内されて、テーブル41上を±X方向に移動することができる。±X方向は、主走査方向に相当する。
【0021】
テーブル41の±X側の両側面には、Y軸に沿って延在するガイド溝41Gが設けられており、キャリッジ44が取り付けられたガントリー43は、このガイド溝41Gに案内されて±Y方向に移動することができる。±Y方向は、副走査方向に相当する。このように、キャリッジ44は、±X方向及び±Y方向に移動が可能であり、±X方向の一端から他端まで移動する主走査と、±Y方向の一方に向けて所定量だけ移動する副走査とが交互に繰り返されることにより、テーブル41上の全域に亘って走査され得る。キャリッジ44は、走査部に相当する。
【0022】
キャリッジ44には、印刷ヘッド45と、2つの紫外線照射部46とが取り付けられている。印刷ヘッド45は、インクを吐出可能な図示しない複数のノズルを備えており、これらのノズルがキャリッジ44の下面から露出するようにキャリッジ44に配置されている。印刷ヘッド45は、テーブル41上に載置された被印刷物Mに向けてインクを吐出することにより、被印刷物Mに対する印刷を実行する。
【0023】
紫外線照射部46は、キャリッジ44の下側に配置され、図示しない光源を点灯させて、被印刷物Mに紫外線を照射する。これにより、吐出されたインクが硬化し、被印刷物Mに定着する。紫外線照射部46は、印刷ヘッド45の主走査方向の両側、即ち印刷ヘッド45の-X側と+X側とに配置されている。第1プリンター4は、キャリッジ44を±X方向に移動させる主走査を行う過程で、印刷ヘッド45から被印刷物Mにインクを吐出するとともに、インクが吐出された被印刷物Mに、紫外線照射部46によって紫外線を照射する。
【0024】
キャリッジ44には、撮像部47が取り付けられている。撮像部47は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサー、或いはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー等の撮像素子を備えたカメラであり、テーブル41上を撮影可能に配置されている。第1プリンター4は、キャリッジ44にテーブル41上を走査させつつ複数回の撮影を撮像部47に行わせることで、テーブル41上の全域を撮影することが可能である。
【0025】
図1に戻って、第1プリンター4は、電気的な構成として、上述した印刷ヘッド45、紫外線照射部46、撮像部47、及び吸引部42に加えて、制御部61と、記憶部62と、インターフェイス部63と、キャリッジ駆動部64と、を備えている。
【0026】
制御部61は、図示しないプロセッサーを備えており、記憶部62に記憶されている制御プログラムに従ってプロセッサーが動作することにより、第1プリンター4の各部を制御する。なお、制御部61は、単一のチップで構成されていてもよいし、複数のチップで構成されていてもよい。また、制御部61を構成するプロセッサーは、例えば、CPUであるが、ASIC等により構成されてもよいし、CPUとASICとにより構成されてもよい。
【0027】
記憶部62は、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、或いはメモリー等の記憶装置を備えている。記憶部62は、第1プリンター4の動作を制御する制御プログラム及び各種データ等を記憶する。
【0028】
インターフェイス部63は、外部の様々な装置との間で情報の入出力を行うための各種インターフェイス回路を備えている。本実施形態のインターフェイス部63には、情報処理装置1が接続されている。
【0029】
キャリッジ駆動部64は、モーター等の駆動源(図示せず)と、駆動源からの駆動力を伝達する伝達機構等を含み、キャリッジ44を±X方向及び±Y方向に移動させる。具体的には、キャリッジ駆動部64は、制御部61の制御に基づいて、キャリッジ44をガントリー43に沿って±X方向に移動させる駆動と、ガントリー43を±Y方向に移動させる駆動とを実行する。
【0030】
また、印刷ヘッド45、紫外線照射部46、撮像部47、及び吸引部42は、制御部61の制御に基づいて上述した動作を行う。つまり、印刷ヘッド45は、制御部61の制御に基づいてノズルから被印刷物Mにインクを吐出し、紫外線照射部46は、制御部61の制御に基づいて光源を点灯させ、被印刷物Mに紫外線を照射させる。また、撮像部47は、制御部61の制御に基づいてテーブル41上を撮影し、吸引部42は、制御部61の制御に基づいて吸引を行い、被印刷物M等をテーブル41に吸着させる。
【0031】
第2プリンター5は、第1プリンター4とは異なり、印刷用紙に印刷を行う一般的なプリンターである。このため、第2プリンター5についての詳細な説明は省略する。第2プリンター5の印刷方式についても特に限定されず、インクジェット方式、レーザー方式、ドットインパクト方式等であってもよい。第2プリンター5は、第2印刷装置に相当する。なお、第2プリンター5は、必須の構成ではない。
【0032】
次に、印刷プログラム14に基づく情報処理装置1の動作、即ち印刷プログラム14による印刷方法ついて説明する。
印刷プログラム14は、第1プリンター4で被印刷物Mへの印刷を実行するためのプログラムである。印刷プログラム14を用いて印刷を行うことで、印刷データに基づく印刷画像を、テーブル41上に配置された被印刷物Mに対して精度よく印刷することができる。本実施形態では、テーブル41上に台紙80(図6参照)が配置され、この台紙80上に載置された被印刷物Mに対して印刷が行われる。台紙80には、被印刷物Mの形状に応じた載置領域85(図6参照)が明示されており、被印刷物Mは、この載置領域85に載置される。また、テーブル41上に複数の台紙80を配置して、各台紙80の載置領域85に被印刷物Mを載置すれば、一度に複数の被印刷物Mに印刷を行うことが可能である。
【0033】
図3及び図4は、情報処理装置1の動作を示すフローチャートである。また、図5及び図8は、表示装置3に表示されるメイン画面70を示す図、図6は、上述した台紙80を示す平面図、図7は、テーブル41上に載置された複数の台紙80を示す平面図である。
ユーザーが入力装置2を操作して情報処理装置1に印刷プログラム14の起動を指示すると、情報処理装置1の制御部11は、記憶部12から印刷プログラム14を読み出す。そして、これ以降、制御部11は、印刷プログラム14に従って、図3及び図4に示す手順でステップS101以降の各工程を実行する。
【0034】
まず、ステップS101では、制御部11は、記憶部12に記憶されている印刷データを検索する。そして、見つかった印刷データを印刷候補として登録するとともに、各印刷データに対して、各々を識別するための識別情報を割り当てる。
【0035】
次に、ステップS102では、制御部11は、表示装置3にメイン画面70を表示させる。図5に示すように、メイン画面70は、コマンド選択部71と、画像選択部72と、プレビュー表示部73とを含んでいる。コマンド選択部71は、情報処理装置1に各種指示を行うための複数のアイコンを含むツールバーであり、ユーザーが入力装置2を用いていずれかのアイコンを指定すると、情報処理装置1は、指定されたアイコンに応じた動作を実行する。なお、ツールバーの代わりに、情報処理装置1に対する指示をメニュー形式で選択可能なメニューバーを備えた構成であってもよいし、ツールバー及びメニューバーの双方を備えた構成であってもよい。
【0036】
画像選択部72は、被印刷物Mに印刷する印刷データを選択する領域であり、画像選択部72には、1つ又は複数のサムネイル画像72Tが表示されている。制御部11は、登録された印刷データに含まれる画像データに基づいて、サムネイル画像72Tを生成し、画像選択部72に表示する。記憶部12に複数の印刷データが記憶されている場合には、制御部11は、それぞれの印刷データに対応する複数のサムネイル画像72Tを表示する。ユーザーは、入力装置2を操作していずれか1つのサムネイル画像72Tを指定することにより、被印刷物Mに印刷すべき印刷データを選択することができる。なお、図5では、画像選択部72に3つのサムネイル画像72Tが表示されている。これらの画像は、共通の被印刷物Mに印刷されることが想定されている画像であるため、輪郭はすべて同じである。
【0037】
プレビュー表示部73には、画像選択部72で選択されている印刷データに対応するプレビュー画像73Pが比較的大きなサイズで表示される。ユーザーが画像選択部72で印刷データを選択すると、制御部11は、選択された印刷データから画像データを抽出し、抽出した画像データに基づく画像をプレビュー画像73Pとしてプレビュー表示部73に表示させる。プレビュー画像73Pは、サムネイル画像72Tに比べて高詳細な画像であり、ユーザーは、プレビュー画像73Pによって、画像の細部を確認することができる。
【0038】
ステップS103では、制御部11は、ユーザーによるサムネイル画像72Tの指定、即ち印刷データの選択を受け付ける。そして、選択された印刷データに応じたプレビュー画像73Pをプレビュー表示部73に表示する。
【0039】
ステップS104では、制御部11は、コマンド選択部71の所定のアイコンが指定されることにより、台紙80の生成が指示されたか否かを判断する。そして、台紙80の生成が指示された場合(ステップS104:YES)には、ステップS105に処理を移し、台紙80の生成が指示されていない場合(ステップS104:NO)には、ステップS103に処理を戻す。
【0040】
台紙80の生成が指示されてステップS105に処理が移行した場合には、制御部11は、選択された印刷データに割り当てられている識別情報を含む二次元コード81(図6参照)の画像データを生成する。二次元コード81の種類は特に限定されないが、例えば、QRコード(登録商標)を採用可能である。
【0041】
ステップS106では、制御部11は、選択された印刷データから、被印刷物Mの輪郭を表す輪郭データを抽出する。なお、輪郭データが表す被印刷物Mの輪郭とは、テーブル41上に載置される被印刷物Mを±Z方向から見た場合の輪郭である。
【0042】
ステップS107では、制御部11は、選択された印刷データに基づいて、台紙80に印刷すべき画像を表す台紙画像データを生成する。これ以降、台紙80に印刷すべき画像のことを台紙画像とも呼ぶ。台紙画像は、第2画像に相当する。
【0043】
図6に示すように、台紙80は、例えば、A4サイズの普通紙等からなる印刷用紙に、台紙画像が印刷されることによって生成される。本実施形態の台紙80には、台紙画像として、二次元コード81と、輪郭画像82と、識別テキスト83と、方向指示部84とが印刷されている。二次元コード81は、ステップS105で生成された画像データに基づく画像である。輪郭画像82は、被印刷物Mが載置される載置領域85の輪郭を表す画像であり、その形状は、ステップS106で抽出された輪郭データに基づいて決定される。つまり、台紙画像には、載置領域85の画像が含まれる。識別テキスト83は、選択された印刷データの識別情報、即ち二次元コード81に含まれる識別情報を、ユーザーが視認できるように文字列で表したものある。また、方向指示部84は、台紙80の上下の向きをユーザーに視認させるための矢印である。
【0044】
台紙80において、二次元コード81の位置と、載置領域85の基準位置との位置関係は固定されており、二次元コード81の向きと、載置領域85の向きとの関係も固定されている。つまり、台紙80内における二次元コード81の位置及び向きに基づいて、台紙80内における載置領域85の位置及び向きが特定可能である。このため、二次元コード81は、載置領域85の位置及び向きを特定するための検出マークとして機能する。ここで、載置領域85の基準位置とは、印刷画像を印刷すべき位置を特定する際に基準となる位置であり、載置領域85の内側又は外側の予め定められた点の位置である。例えば、載置領域85の中心であってもよいし、載置領域85の左下の位置であってもよい。また、載置領域85の向きとは、印刷画像を印刷すべき向きを特定する際に基準となる向きであり、例えば、印刷画像の上方向に対応する向きである。制御部11は、二次元コード81の位置及び向きと、載置領域85の位置及び向きとが上記の関係を満たすように、台紙画像データを生成する。
【0045】
ステップS108では、制御部11は、台紙画像、即ち台紙画像データに基づく画像を印刷用紙に印刷し、台紙80を生成する。なお、台紙80を生成するための印刷は、一般的な印刷用紙に対する印刷であるため、第1プリンター4を用いて行ってもよいし、第2プリンター5を用いて行ってもよい。第1プリンター4を用いて台紙80を生成する場合には、テーブル41上の所定の位置に載置された印刷用紙に対して印刷が実行される。印刷を実行するプリンターは、図示しない設定画面上で予め設定されてもよいし、印刷を実行する際にユーザーに指定させるようにしてもよい。また、台紙80を繰り返し何度も使用する予定がある場合には、印刷用紙よりも耐久性が高いプラスチックフィルム等で台紙80を生成してもよい。この場合には、第1プリンター4を用いて印刷を行うことが好適である。
【0046】
また、一度に複数の被印刷物Mに対して同じ画像を印刷する場合には、同じ台紙画像が印刷された台紙80を複数枚用意しておく必要がある。このため、台紙80を印刷する際の印刷枚数は、ユーザーによって適宜指定される。印刷枚数についても、図示しない設定画面上で予め設定されてもよいし、印刷を実行する際にユーザーに指定させるようにしてもよい。
【0047】
1つの印刷データに基づく台紙80の生成が終了した後、ステップS109では、制御部11は、図示しないダイアログボックスを表示装置3に表示して、別の印刷データに基づく台紙80を生成するか否かをユーザーに問い合わせる。そして、別の印刷データに基づく台紙80の生成が指示された場合(ステップS109:YES)には、制御部11は、ステップS103に処理を戻し、次の印刷データの選択を受け付けて、以降の動作を繰り返す。一方、必要なすべての台紙80の生成が終了した場合(ステップS109:NO)には、ステップS110に処理を移す。
【0048】
図7に示すように、必要なすべての台紙80が生成されると、ユーザーは、台紙80をテーブル41上に配置する。このとき、テーブル41に対する台紙80の向きは任意である。また、複数の台紙80を配置する際に、すべての台紙80の向きが揃っている必要はなく、テーブル41上に複数の台紙80が効率的に配置されるように、一部の台紙80の向きを意図的に異ならせてもよい。また、台紙80の向きが意図せずに傾いてしまっていても構わない。図7には、識別情報が「Data_01」である2枚の台紙80Aと、識別情報が「Data_02」である3枚の台紙80Bとがテーブル41上に配置された状態が示されている。ユーザーは、すべての台紙80をテーブル41に配置した後に、コマンド選択部71の所定のアイコンを指定することにより、配置された台紙80の検出を指示することができる。
【0049】
ステップS110では、制御部11は、ユーザーにより台紙80の検出が指示されたか否かを判断する。そして、台紙80の検出が指示された場合(ステップS110:YES)には、ステップS111に処理を移し、台紙80の検出が指示されていない場合(ステップS110:NO)には、本ステップを繰り返し、台紙80の検出が指示されるまで待機する。
【0050】
ステップS111に処理が移行した場合には、制御部11は、テーブル41上に配置された台紙80を撮像部47に撮影させる。具体的には、まず、制御部11は、吸引部42を動作させて台紙80をテーブル41に吸着させる。その後、制御部11は、テーブル41上の全域に亘ってキャリッジ44を走査させつつ、撮像部47に複数回の撮影を実行させる。なお、キャリッジ44の走査経路や、撮影を実行するタイミングは、複数回の撮影によって得られる複数の撮像画像内にテーブル41上の全域が含まれるように、予め定められている。つまり、キャリッジ44は、制御部11の制御に基づいてテーブル41上を走査し、撮像部47は、制御部11の制御に基づくタイミングで台紙80を撮影する。
【0051】
ステップS112では、制御部11は、台紙80の撮影により得られた複数の撮像画像から、台紙80に印刷された二次元コード81を検出する。そして、ステップS113では、制御部11は、検出した二次元コード81のテーブル41上における位置及び向きに基づいて、台紙80に含まれる載置領域85の位置及び向きを特定する。テーブル41上における二次元コード81の位置は、例えば、撮影がなされたときのキャリッジ44の位置と、撮像画像内における二次元コード81の位置とによって特定可能である。また、二次元コード81の向きは、二次元コード81を構成するパターンの向き等によって特定可能である。上述したように、二次元コード81の位置及び向きが特定されれば、載置領域85の位置及び向きを特定することができる。
【0052】
ステップS114では、制御部11は、二次元コード81を解析し、二次元コード81に含まれる識別情報を読み取る。そして、読み取った識別情報に基づいて、印刷対象の印刷データを特定する。
【0053】
ステップS115では、制御部11は、まだ検出されていない他の二次元コード81が存在するか否かを判断する。制御部11は、他の二次元コード81の検出を行って、新たな二次元コード81が見つかった場合(ステップS115:YES)には、ステップS113に戻って上記の動作を繰り返す。一方、新たな二次元コード81が見つからなかった場合(ステップS115:NO)には、ステップS116に処理を移す。
【0054】
すべての二次元コード81の検出が済んでステップS116に処理が移行した場合には、制御部11は、特定された印刷データから画像データ及び輪郭データを抽出し、レイアウト処理を実行する。レイアウト処理とは、テーブル41上における載置領域85の位置及び向きに基づいて、テーブル41に対応する背景上に、印刷画像、即ち抽出した画像データに基づく画像を配置する処理である。このとき、配置される印刷画像の形状は、抽出した輪郭データに基づいて決定される。制御部11は、このレイアウト処理により、印刷画像が配置されたレイアウト画像73L(図8参照)を表すレイアウト画像データを生成する。レイアウト画像データは、ラスターイメージの画像データである。
【0055】
ステップS117では、制御部11は、生成したレイアウト画像データに基づくレイアウト画像73Lをメイン画面70に表示する。具体的には、図8に示すように、制御部11は、レイアウト画像データの生成が完了すると、生成したレイアウト画像データを表すシンボル72Sを画像選択部72に表示する。そして、サムネイル画像72Tの代わりにシンボル72Sが選択された状態にするとともに、生成したレイアウト画像データに基づくレイアウト画像73Lをプレビュー表示部73に表示する。これにより、ユーザーは、テーブル41上に配置された台紙80の位置及び向き、即ちテーブル41上における載置領域85の位置及び向きが、レイアウト画像73Lに反映されていることを確認することができる。
【0056】
ユーザーは、レイアウト画像73Lを確認した後、台紙80の載置領域85上に被印刷物Mを載置する。このとき、ユーザーは、被印刷物Mの外形が、載置領域85の輪郭を表す輪郭画像82と一致するように、被印刷物Mの位置及び向きを調整する。ユーザーは、すべての被印刷物Mを台紙80上に載置した後に、コマンド選択部71の所定のアイコンを指定することにより、被印刷物Mへの画像の印刷を指示することができる。
【0057】
ステップS118では、制御部11は、ユーザーにより印刷が指示されたか否かを判断する。そして、印刷が指示された場合(ステップS118:YES)には、ステップS119に処理を移し、印刷が指示されていない場合(ステップS118:NO)には、本ステップを繰り返し、印刷の開始が指示されるまで待機する。
【0058】
ステップS119に処理が移行した場合には、制御部11は、第1プリンター4を制御して、被印刷物Mへの印刷を実行させる。具体的には、制御部11は、生成したレイアウト画像データを第1プリンター4に出力し、レイアウト画像データに基づく印刷を第1プリンター4に実行させる。そして、第1プリンター4は、キャリッジ44にテーブル41上を走査させつつ印刷ヘッド45からインクを吐出させることにより、台紙80の載置領域85上に載置された被印刷物M、即ちテーブル41上に載置されたすべての被印刷物Mに印刷画像を印刷する。被印刷物Mへの印刷が完了すると、制御部11は、フローを終了する。
【0059】
以上説明したように、本実施形態の印刷システム100、印刷方法、情報処理装置1、及び印刷プログラム14によれば、以下の効果を得ることができる。
【0060】
(1)本実施形態によれば、台紙80に載置領域85の画像が印刷され、テーブル41上に載置されたこの台紙80を撮影することによって得られる撮像画像から、テーブル41上における載置領域85の位置及び向きが特定される。そして、特定された載置領域85の位置及び向きに応じてレイアウト画像データが生成され、生成されたレイアウト画像データに基づいて被印刷物Mに印刷がなされる。このため、テーブル41に載置された台紙80の載置領域85に合わせて被印刷物Mを載置すれば、輪郭の検出が困難な被印刷物Mであっても、正確な位置に画像を印刷することが可能となる。
【0061】
(2)本実施形態によれば、印刷データに含まれる輪郭データに基づいて、載置領域85の形状が決定されるため、台紙80を生成するための台紙画像データを容易に生成することができる。
【0062】
(3)本実施形態によれば、印刷データを識別するための識別情報を含む二次元コード81が台紙80に印刷されるため、被印刷物Mに印刷すべき印刷画像を容易に特定することができる。
【0063】
(4)本実施形態によれば、二次元コード81を、載置領域85の位置及び向きを特定するための検出マークとして利用している。このため、台紙80に他の検出マークを印刷することなく、載置領域85の位置及び向きを容易に特定することができる。
【0064】
(5)本実施形態によれば、レイアウト処理において、載置領域85の位置及び向きに基づいて印刷画像が配置されるため、被印刷物Mに対して、適切な位置に適切な向きで印刷画像を印刷することが可能となる。
【0065】
(6)本実施形態によれば、キャリッジ44に取り付けられた撮像部47によって台紙80が撮影される。つまり、比較的近距離から台紙80が撮影されるため、周辺環境の明るさ等の影響を受けにくく、撮像画像の画質を安定させることができる。また、遠距離から撮影する構成に比べ、装置の大型化を抑制することができる。
【0066】
上記の実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0067】
上記実施形態では、台紙80は、吸引部42によってテーブル41に吸着されるが、台紙80上に載置された被印刷物Mは、テーブル41に吸着されない。このため、キャリッジ44の移動に伴う振動や気流等によって、被印刷物Mが動いてしまう恐れがある場合には、台紙80の載置領域85の内側に貫通孔を形成することにより、被印刷物Mをテーブル41に吸着させることが望ましい。この場合、貫通孔の形成を促す画像を台紙80に印刷してもよい。言い換えれば、台紙画像には、台紙80の載置領域85の内側に貫通孔を形成することを促す画像が含まれてもよい。
【0068】
例えば、図9に示すように、貫通孔を形成することが望ましい位置に所定のマーク86を印刷するとともに、マーク86の位置に貫通孔を形成することをユーザーに促すメッセージ87を台紙80に印刷してもよい。この場合、マーク86及びメッセージ87が、貫通孔の形成を促す画像に相当する。なお、マーク86及びメッセージ87のいずれか一方のみを印刷するようにしてもよい。また、貫通孔の形成を促すメッセージ等を、表示装置3に表示させるようにしてもよい。貫通孔は、台紙80がテーブル41上に配置される前に、ユーザーにより、カッターナイフ等の道具を用いて形成され得る。台紙80に貫通孔が形成されれば、空気の吸引により被印刷物Mがテーブル41に吸着されるため、被印刷物Mが台紙80上で動いてしまうことが抑制される。
【0069】
上記実施形態では、1枚の台紙80に1つの被印刷物Mを載置可能な構成を示したが、この構成に限定されない。例えば、台紙80に対して被印刷物Mの大きさが十分に小さい場合には、図10に示すように、1枚の台紙80に複数の載置領域85を配置して、複数の被印刷物Mを載置可能な構成としてもよい。また、1枚の台紙80に複数の載置領域85を配置するとともに、載置領域85ごとに個別の二次元コード81を配置することにより、印刷される画像が異なる複数の被印刷物Mを1枚の台紙80に載置可能な構成としてもよい。
【0070】
上記実施形態では、1つの二次元コード81の位置及び向きに基づいて載置領域85の位置及び向きを特定しているが、図11に示すように、複数の二次元コード81を離れた位置に配置し、複数の二次元コード81の位置及び向きに基づいて載置領域85の位置及び向きを特定する構成としてもよい。この場合には、載置領域85の位置及び向きを精度よく特定することが可能となる。
【0071】
上記実施形態では、二次元コード81の位置及び向きに基づいて載置領域85の位置及び向きを特定しているが、この構成に限定されない。例えば、図12に示すように、二次元コード81とは別の検出マーク88の位置及び向きに基づいて、載置領域85の位置及び向きを特定する構成であってもよい。この場合、離れて配置された複数の検出マーク88で載置領域85の位置及び向きを特定する構成とすることにより、載置領域85の位置及び向きを精度よく特定することが可能となる。また、この構成において、印刷すべき画像が1つに固定されている場合等には、印刷データを識別する識別情報が不要となるため、二次元コード81を含まない構成としてもよい。また、二次元コード81や検出マーク88を用いることなく、輪郭画像82に基づいて載置領域85の位置及び向きを特定する構成としてもよい。
【0072】
上記実施形態では、印刷データとして、PDFファイルが用いられているが、印刷データは、印刷画像を表現可能なデータであればよく、PDFファイルに限定されない。例えば、印刷データは、JPEGやPNG等、ラスター形式の画像データであってもよい。つまり、印刷データは、印刷画像を表す画像データとは別に輪郭データを含まない構成であってもよい。この場合には、印刷データとして、背景色によって被印刷物Mの輪郭を判別できるような画像データを用意しておき、制御部11が輪郭を検出して輪郭データを生成してもよい。つまり、この場合、載置領域85の形状は、画像データが表す画像、即ち印刷画像に基づいて決定される。この構成によれば、印刷データに輪郭データが含まれていない構成であっても、台紙画像データを容易に生成することができる。
【0073】
また、画像データとは別に輪郭データを予め用意したうえで、画像データと輪郭データとをユーザーに選択させる態様であってもよい。この場合、台紙80に印刷する二次元コード81には、選択された画像データを識別するための識別情報と、選択された輪郭データを識別するための識別情報とを含めることが望ましい。この構成によれば、その後のレイアウト処理において、選択された画像データ及び輪郭データを特定することができるため、レイアウト処理を適切に実行することができる。なお、この構成において、印刷すべき画像が1つに固定されている場合等には、画像データの識別情報を二次元コード81に含める必要はない。
【0074】
上記実施形態では、メイン画面70の画像選択部72にサムネイル画像72Tを表示しているが、この構成に限定されない。例えば、サムネイル画像72Tの代わりに、印刷データの識別情報、或いは印刷データのファイル名等を表示してもよい。
【0075】
上記実施形態では、印刷データは、情報処理装置1の記憶部12に記憶されているが、この構成に限定されない。例えば、情報処理装置1の外部に備わる図示しない記憶装置に記憶されていてもよい。
【0076】
上記実施形態では、二次元コード81に基づいて、載置領域85の位置及び向きを特定しているが、この構成に限定されない。例えば、台紙80を予め定められた向きでテーブル41上に配置する前提であれば、載置領域85の向きを特定しない構成であってもよい。
【0077】
上記実施形態において、撮像部47は、キャリッジ44に取り付けられた構成に限定されない。例えば、一回の撮影でテーブル41の全体を撮影可能な位置に配置されていてもよい。また、第1プリンター4は、撮像部47を備える構成に限定されない。例えば、外部の撮像装置が撮影した撮像画像を、情報処理装置1がインターフェイス部13を介して取得する構成であってもよい。
【0078】
上記実施形態において、台紙80に印刷される輪郭画像82は、輪郭データに基づく輪郭、即ち実際の被印刷物Mの輪郭よりもわずかに大きいサイズで印刷してもよい。この場合には、載置領域85上に被印刷物Mを載置する際に、輪郭画像82が被印刷物Mによって見えなくなることが抑制される。
【符号の説明】
【0079】
1…情報処理装置、2…入力装置、3…表示装置、4…第1プリンター、5…第2プリンター、11…制御部、12…記憶部、13…インターフェイス部、14…印刷プログラム、40…装置本体、41…テーブル、41G…ガイド溝、42…吸引部、43…ガントリー、43G…ガイドレール、44…キャリッジ、45…印刷ヘッド、46…紫外線照射部、47…撮像部、61…制御部、62…記憶部、63…インターフェイス部、64…キャリッジ駆動部、70…メイン画面、71…コマンド選択部、72…画像選択部、72T…サムネイル画像、72S…シンボル、73…プレビュー表示部、73P…プレビュー画像、73L…レイアウト画像、80,80A,80B…台紙、81…二次元コード、82…輪郭画像、83…識別テキスト、84…方向指示部、85…載置領域、86…マーク、87…メッセージ、88…検出マーク、100…印刷システム、M…被印刷物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12