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特開2024-82771三次元造形装置、および、データ生成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082771
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】三次元造形装置、および、データ生成装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/35 20170101AFI20240613BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20240613BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240613BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240613BHJP
   B29C 64/209 20170101ALI20240613BHJP
   B29C 64/336 20170101ALI20240613BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240613BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20240613BHJP
【FI】
B29C64/35
B29C64/393
B33Y30/00
B33Y50/02
B29C64/209
B29C64/336
B33Y10/00
B29C64/118
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196866
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】渡部 学
(72)【発明者】
【氏名】大村 眞
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AC01
4F213AC04
4F213AM12
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL24
4F213WL85
4F213WL96
(57)【要約】
【課題】ノズルのクリーニングによる待ち時間を抑制する。
【解決手段】三次元造形装置は、第1ノズルを有する第1ヘッドとステージとの相対的な位置、および、第2ノズルを有する第2ヘッドとステージとの相対的な位置を変更する位置変更部と、第2ノズルをクリーニングするクリーニング部と、制御部とを備える。制御部は、第1ヘッドとステージとの相対的な位置を変化させつつ第1ノズルから第1造形材料を吐出させることで、造形領域に第1造形材料の層を積層する第1積層処理と、クリーニング部を用いて第2ノズルをクリーニングするクリーニング処理と、クリーニング処理の後に第2ヘッドとステージとの相対的な位置を変化させつつ第2ノズルから第2造形材料を吐出させることで、造形領域に第2造形材料の層を積層する第2積層処理とを実行する。クリーニング処理の開始タイミングと終了タイミングとは、第1積層処理の実行期間内に含まれる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージと、
前記ステージに向けて第1造形材料を吐出する第1ノズルを有する第1ヘッドと、
前記ステージに向けて第2造形材料を吐出する第2ノズルを有する第2ヘッドと、
前記第1ヘッドと前記ステージとの相対的な位置、および、前記第2ヘッドと前記ステージとの相対的な位置を変更する位置変更部と、
前記第2ノズルをクリーニングするクリーニング部と、
前記第1ヘッド、前記第2ヘッドおよび前記位置変更部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1ヘッドと前記ステージとの相対的な位置を変化させつつ、前記第1ノズルから前記第1造形材料を吐出させることによって、前記ステージの造形領域に前記第1造形材料の層を積層する第1積層処理と、
前記クリーニング部を用いて前記第2ノズルをクリーニングするクリーニング処理と、
前記クリーニング処理の後に、前記第2ヘッドと前記ステージとの相対的な位置を変化させつつ、前記第2ノズルから前記第2造形材料を吐出させることによって、前記造形領域に前記第2造形材料の層を積層する第2積層処理と、を実行し、
前記クリーニング処理が開始されるタイミングと、前記クリーニング処理が終了するタイミングと、は前記第1積層処理が実行されている期間内に含まれる、三次元造形装置。
【請求項2】
請求項1に記載の三次元造形装置であって、
前記クリーニング処理が実行される期間における中間の時刻は、前記第1積層処理が実行される期間における中間の時刻よりも後である、三次元造形装置。
【請求項3】
請求項1に記載の三次元造形装置であって、
前記制御部は、前記第1積層処理において、2層以上の前記第1造形材料の層を連続して積層する、三次元造形装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の三次元造形装置であって、
前記第2ヘッドは、前記第1ヘッドとともに前記ステージとの相対的な位置が変化するように構成され、
前記クリーニング部は、前記第2ノズルから排出される前記第2造形材料を回収する回収部と、前記第2ノズルの先端部との接触によって、前記第2ノズルの先端部に付着した異物を除去するクリーニング部材と、の少なくともいずれかを有するクリーニングユニットを備え、
前記クリーニングユニットは、
前記第1ヘッドおよび前記第2ヘッドとともに、前記ステージに対する相対的な位置が変化するように構成され、
前記クリーニング処理が実行されている間に、前記第2ノズルの下方に位置することが可能に構成されている、
三次元造形装置。
【請求項5】
第1造形材料を吐出する第1ノズルを有する第1ヘッドと、第2造形材料を吐出する第2ノズルを有する第2ヘッドと、備える、三次元造形装置で用いられるコマンドデータを生成する、データ生成装置であって、
ノズルが造形材料を吐出しつつ移動する移動経路を表す造形パスデータに基づいて、前記コマンドデータを生成するデータ生成部を備え、
前記データ生成部は、前記コマンドデータとして、
前記移動経路に従って前記第1ノズルから前記第1造形材料を吐出させることによって、ステージの造形領域に前記第1造形材料の層を積層するための第1積層コマンドデータと、
前記第2ノズルのクリーニングを実行するためのコマンドを表すクリーニングコマンドデータと、
前記クリーニングが実行された後に、前記移動経路に従って前記第2ノズルから前記第2造形材料を吐出させることによって、前記造形領域に前記第2造形材料の層を積層するための第2積層コマンドデータと、を生成し、
前記第1積層コマンドデータは、前記第1ノズルからの前記第1造形材料の吐出を開始させることによって前記第1造形材料の層の積層を開始する積層開始コマンドと、前記第1ノズルからの前記第1造形材料の吐出を停止させることによって前記第1造形材料の層の積層を停止する積層停止コマンドと、を含み、
前記クリーニングコマンドデータは、前記クリーニングを開始するクリーニング開始コマンドと、前記クリーニングを停止するクリーニング停止コマンドと、を含み、
前記データ生成部は、
前記クリーニング開始コマンドと、前記クリーニング停止コマンドと、を前記積層開始コマンドと前記積層停止コマンドとの間に実行されるコマンドとして生成する、データ生成装置。
【請求項6】
請求項5に記載のデータ生成装置であって、
前記データ生成部は、
前記第1積層コマンドデータによって前記第1造形材料の層が吐出される時間を表す吐出時間が、予め定められた基準時間以上である場合、前記第2ノズルから前記造形領域とは異なる領域に前記第2造形材料を排出させるためのパージコマンドを含む前記クリーニングコマンドデータを生成し、
前記吐出時間が前記基準時間未満である場合、前記パージコマンドを含まない前記クリーニングコマンドデータを生成する、データ生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、三次元造形装置、および、データ生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元造形装置に関し、特許文献1には、第1射出部に備えられ第1造形材料を射出する第1ノズルと、第2射出部に備えられ第2造形材料を射出する第2ノズルとを同時に清掃する技術が開示されている。第1ノズルと第2ノズルとを同時に清掃することで、清掃に要する時間を短縮できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-113927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術では、ノズルのクリーニングに要する時間を短縮できるものの、クリーニング中に第1ノズルや第2ノズルから造形材料を吐出できないことに起因して、造形の途中で、造形物を実際には造形していない待ち時間が生じ得る。このようなクリーニングによる待ち時間をより抑制できる技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の形態によれば、三次元造形装置が提供される。この三次元造形装置は、ステージと、前記ステージに向けて第1造形材料を吐出する第1ノズルを有する第1ヘッドと、前記ステージに向けて第2造形材料を吐出する第2ノズルを有する第2ヘッドと、前記第1ヘッドと前記ステージとの相対的な位置、および、前記第2ヘッドと前記ステージとの相対的な位置を変更する位置変更部と、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルをクリーニングするクリーニング部と、前記第1ヘッド、前記第2ヘッドおよび前記位置変更部を制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記第1ヘッドと前記ステージとの相対的な位置を変化させつつ、前記第1ノズルから前記第1造形材料を吐出させることによって、前記ステージの造形領域に前記第1造形材料の層を積層する第1積層処理と、前記クリーニング部を用いて前記第2ノズルをクリーニングするクリーニング処理と、前記クリーニング処理の後に、前記第2ヘッドと前記ステージとの相対的な位置を変化させつつ、前記第2ノズルから前記第2造形材料を吐出させることによって、前記造形領域に前記第2造形材料の層を積層する第2積層処理と、を実行する。前記クリーニング処理が開始されるタイミングと、前記クリーニング処理が終了するタイミングと、は前記第1積層処理が実行されている期間内に含まれる。
【0006】
本開示の第2の形態によれば、第1造形材料を吐出する第1ノズルを有する第1ヘッドと、第2造形材料を吐出する第2ノズルを有する第2ヘッドと、備える、三次元造形装置で用いられるコマンドデータを生成する、データ生成装置が提供される。このデータ生成装置は、ノズルが造形材料を吐出しつつ移動する移動経路を表す造形パスデータに基づいて、前記コマンドデータを生成するデータ生成部を備える。前記データ生成部は、前記コマンドデータとして、前記移動経路に従って前記第1ノズルから前記第1造形材料を吐出させることによって、ステージの造形領域に前記第1造形材料の層を積層するための第1積層コマンドデータと、前記第2ノズルのクリーニングを実行するためのコマンドを表すクリーニングコマンドデータと、前記クリーニングが実行された後に、前記移動経路に従って前記第2ノズルから前記第2造形材料を吐出させることによって、前記造形領域に前記第2造形材料の層を積層するための第2積層コマンドデータと、を生成する。前記第1積層コマンドデータは、前記第1ノズルからの前記第1造形材料の吐出を開始させることによって前記第1造形材料の層の積層を開始する積層開始コマンドと、前記第1ノズルからの前記第1造形材料の吐出を停止させることによって前記第1造形材料の層の積層を停止する積層停止コマンドと、を含む。前記クリーニングコマンドデータは、前記クリーニングを開始するクリーニング開始コマンドと、前記クリーニングを停止するクリーニング停止コマンドと、を含む。前記データ生成部は、前記クリーニング開始コマンドと、前記クリーニング停止コマンドと、を前記積層開始コマンドと前記積層停止コマンドとの間に実行されるコマンドとして生成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】三次元造形システムの概略構成を示す説明図。
図2】三次元造形システムの概略構成を示す説明図。
図3】スクリューの概略構成を示す斜視図。
図4】バレルの概略平面図。
図5】クリーニング部の斜視図。
図6】クリーニングユニットの斜視図。
図7】パージ時の造形ノズルとクリーニングユニットとの位置関係を示す側面図。
図8】データ生成装置の概略構成を示す説明図。
図9】三次元造形物が造形される様子を模式的に示す説明図。
図10】造形処理のフローチャート。
図11】コマンドデータを説明する図。
図12】積層処理のフローチャート。
図13】第1実施形態における積層処理が実行される様子の例を示す説明図。
図14】第2実施形態における積層処理が実行される様子の例を示す説明図。
図15】データ生成処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1および図2は、第1実施形態における三次元造形システム200の概略構成を示す説明図である。図1および図2には、互いに直交するX,Y,Z方向を示す矢印が示されている。X方向及びY方向は、水平面に平行な方向であり、Z方向は、鉛直上向きに沿った方向である。X,Y,Z方向を示す矢印は、他の図においても、図示の方向が図1および図2と対応するように適宜、図示してある。以下の説明において、方向の向きを特定する場合には、各図において矢印が指し示す方向を「+」、その反対の方向を「-」として、方向表記に正負の符合を併用する。以下では、+Z方向のことを「上」、-Z方向のことを「下」ともいう。また、X方向およびY方向に沿った平面のことを「XY平面」とも呼ぶ。
【0009】
三次元造形システム200は、三次元造形装置100とデータ生成装置400とを備える。本実施形態の三次元造形装置100は、材料押出方式によって造形物を造形する装置である。三次元造形装置100は、三次元造形装置100の各部を制御するための制御部70を備えている。制御部70とデータ生成装置400とは、相互に通信可能に接続されている。
【0010】
三次元造形装置100は、制御部70に加え、ヘッド10と、ステージ20と、位置変更部30と、加熱部40と、ノズル移動部50と、クリーニング部60とを備える。
【0011】
制御部70は、三次元造形装置全体の動作を制御する制御装置である。制御部70は、1つまたは複数のプロセッサーと、メモリーと、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェイスとを備えるコンピューターによって構成される。制御部70は、主記憶装置上に読み込んだプログラムや命令をプロセッサーが実行することによって、三次元造形物を造形するための造形処理を実行する機能等、種々の機能を発揮する。なお、制御部70は、コンピューターによって構成される代わりに、各機能の少なくとも一部を実現するための複数の回路を組み合わせた構成により実現されてもよい。
【0012】
ヘッド10は、制御部70による制御下で、固体状態の材料を可塑化させてペースト状にした造形材料を、三次元造形物の基台となるステージ20上に吐出する。ヘッド10は、材料供給部11と、可塑化部12と、吐出部13とを備える。
【0013】
三次元造形装置100は、ヘッド10として、第1ヘッド10aと、第2ヘッド10bとを備える。第1ヘッド10aは、材料供給部11として第1材料供給部11aを備え、可塑化部12として第1可塑化部12aを備え、吐出部13として第1吐出部13aを備える。第2ヘッド10bは、材料供給部11として第2材料供給部11bを備え、可塑化部12として第2可塑化部12bを備え、吐出部13として第2吐出部13bを備える。第1ヘッド10aと第2ヘッド10bは、Y方向における位置が一致するようにX方向に並んで配置されている。第2ヘッド10bは、第1ヘッド10aの+X方向の位置に配置されている。第1ヘッド10aの構成と第2ヘッド10bの構成とは同様であるため、以下では、両者を特に区別しない場合、両者を単にヘッド10と呼ぶこともある。また、両者の構成部材を区別する場合、第1ヘッド10aの構成部材には、符号「a」を付し、第2ヘッド10bの構成部材には、符号「b」を付して表記する。
【0014】
材料供給部11は、造形材料を生成するための材料を可塑化部12に供給する。材料供給部11は、例えば、ホッパーによって構成される。材料供給部11には、ペレット状や粉末状の材料が収容されている。材料としては、例えば、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリアセタール樹脂(POM)などの熱可塑性樹脂が用いられる。第1材料供給部11aには、上記の材料として、第1造形材料を生成するための第1材料MR1が収容されている。第2材料供給部11bには、上記の材料として、第2造形材料を生成するための第2材料MR2が収容されている。本実施形態では、第1造形材料は、後述する本体部を造形するための本体用材料である。第2造形材料は、例えば、本体部を支持するサポート構造を造形するためのサポート用材料である。
【0015】
材料供給部11の下方には、材料供給部11と可塑化部12を接続する連通路15が設けられている。材料供給部11は、連通路15を介して、可塑化部12に材料を供給する。
【0016】
可塑化部12は、材料供給部11から供給された材料の少なくとも一部を可塑化し、流動性を有するペースト状の造形材料を生成し、吐出部13へと導く。「可塑化」とは、溶融を含む概念であり、固体から流動性を有する状態に変化させることである。具体的には、ガラス転移が起こる材料の場合、可塑化とは、材料の温度をガラス転移点以上にすることである。ガラス転移が起こらない材料の場合、可塑化とは、材料の温度を融点以上にすることである。第1可塑化部12aは、第1材料MR1の少なくとも一部を可塑化することによって、造形材料として第1造形材料を生成する。第2可塑化部12bは、第2材料MR2の少なくとも一部を可塑化することによって、造形材料として第2造形材料を生成する。
【0017】
可塑化部12は、スクリュー110と、スクリューケース120と、駆動モーター130と、バレル140とを備える。
【0018】
スクリュー110は、スクリューケース120内に収納されている。スクリュー110の上面側は、駆動モーター130に連結されている。スクリュー110は、駆動モーター130が発生させる回転駆動力によって、スクリューケース120内で回転する。スクリュー110の回転軸RXの軸線方向は、Z方向に沿う方向である。スクリュー110の回転速度は、制御部70が駆動モーター130の回転速度を制御することによって制御される。なお、スクリュー110は、減速機を介して駆動モーター130によって駆動されてもよい。スクリュー110は、ローター、あるいは、フラットスクリューとも呼ばれる。
【0019】
バレル140は、スクリュー110の-Z方向側に設置されている。バレル140の上面である対向面141は、スクリュー110の下面である溝形成面111に対向している。バレル140の中心には、吐出部13の流路153に連通する連通孔142が形成されている。バレル140の内部には、可塑化ヒーター144が設けられている。可塑化ヒーター144の温度は、制御部70によって制御される。
【0020】
図3は、スクリュー110の概略構成を示す斜視図である。スクリュー110は、回転軸RXに沿った方向における長さが回転軸RXに垂直な方向における長さよりも小さい略円柱状を有する。溝形成面111には、中央部112を中心に、渦状の溝113が形成されている。溝113は、スクリュー110の側面に形成された材料投入口114に連通している。材料供給部11から供給される材料は、材料投入口114を通じて溝113に供給される。溝113は、凸条部115によって隔てられることにより形成されている。図3には、溝113が3本形成されている例を示しているが、溝113の数は、1本でもよいし、2本以上であってもよい。なお、溝113は、渦状に限らず、螺旋状あるいはインボリュート曲線状であってもよいし、中央部112から外周に向かって弧を描くように延びる形状であってもよい。
【0021】
図4は、バレル140の概略平面図である。対向面141における連通孔142の回りには、複数の案内溝143が形成されている。それぞれの案内溝143は、その一端が連通孔142に接続され、連通孔142から対向面141の外周に向かって渦状に延びている。なお、案内溝143の一端は連通孔142に接続されていなくてもよい。また、バレル140には案内溝143が形成されていなくてもよい。
【0022】
スクリュー110の溝113に供給された材料は、スクリュー110の回転と可塑化ヒーター144の加熱によって、溝113内において可塑化されながら、溝113に沿って流動し、造形材料としてスクリュー110の中央部112へ導かれる。中央部112に流入した流動性を発現しているペースト状の造形材料は、連通孔142を介して吐出部13に供給される。なお、可塑化部12では、造形材料を構成する全ての種類の物質が可塑化していなくてもよい。造形材料は、造形材料を構成する物質のうちの少なくとも一部の種類の物質が可塑化することによって、全体として流動性を有する状態に転化されていればよい。
【0023】
吐出部13は、造形材料を吐出する。吐出部13は、ノズル151と、流路153と、吐出調整部154と、吸引部156とを備える。
【0024】
ノズル151は、流路153を通じて、バレル140の連通孔142に接続されている。ノズル151は、可塑化部12において生成された造形材料を、ノズル151の先端部tpに形成された開口であるノズル開口152からステージ20に向かって吐出する。より詳細には、第1ノズル151aは、第1先端部tp1に形成された第1ノズル開口152aから第1造形材料を吐出する。第2ノズル151bは、第2先端部tp2に形成された第2ノズル開口152bから第2造形材料を吐出する。
【0025】
吐出調整部154は、流路153内に設けられており、流路153の開度を調整する。本実施形態では、吐出調整部154は、バタフライバルブによって構成され、流路153内で回転することにより、流路153の開口面積を変化させる。吐出調整部154は、制御部70による制御下において、図示しない駆動部によって駆動される。吐出調整部154を駆動させる駆動部は、例えば、ステッピングモーターによって構成される。制御部70は、バタフライバルブの回転角度を制御することによって、可塑化部12からノズル151に流れる造形材料の流量、つまり、ノズル151から吐出される造形材料の吐出量を調整することができる。吐出調整部154は、造形材料の吐出量を調整可能であると共に、造形材料の流出のオン/オフを制御可能である。なお、バタフライバルブの形状は、流路153内で回転することによって流路153の開度を調整するものであればよく、例えば、板形状、または、半球形状であってもよい。また、他の実施形態では、吐出調整部154は、例えば、ピストンの動作によって流路153の開度を調整するピストン機構や、シャッターの開閉によって流路153の開度を調整するシャッター機構として構成されてもよい。
【0026】
吸引部156は、流路153において吐出調整部154とノズル開口152の間に接続されている。吸引部156は、ノズル151からの造形材料の吐出停止時に、流路153内の造形材料を一時的に吸引することによって、造形材料がノズル開口152から糸を引くように垂れる尾引き現象を抑制する。吸引部156は、プランジャーにより構成されている。吸引部156は、制御部70によって制御される。吸引部156は、制御部70による制御下において、図示しない駆動部によって駆動される。吸引部156を駆動させる駆動部は、例えば、ステッピングモーターや、ステッピングモーターの回転力をプランジャーの並進運動に変換するラックアンドピニオン機構等によって構成される。
【0027】
ステージ20は、ノズル151のノズル開口152に対向する位置に配置されている。三次元造形装置100は、ノズル151からステージ20の上面である造形面21に造形材料を吐出させて造形層を積層することによって三次元造形物を造形する。造形面21上の三次元造形物が造形される領域を造形領域とも呼ぶ。
【0028】
位置変更部30は、第1ヘッド10aとステージ20との相対的な位置、および、第2ヘッド10bとステージ20との相対的な位置を変化させる。また、本実施形態では、第2ヘッド10bは、第1ヘッド10aとともにステージ20との相対的な位置が変化するように構成されている。第2ヘッド10bをこのように構成することで、造形中の第2ヘッド10bと第1ヘッド10aとの干渉を簡易に抑制しつつ、第2ノズル151bを第1ノズル151aとともに移動させて効率良く三次元造形物を造形できる。
【0029】
より詳細には、図1に示すように、本実施形態における位置変更部30は、ステージ20をX方向に沿って移動させる第1電動アクチュエーター31と、ステージ20と第1電動アクチュエーター31とをY方向に沿って移動させる第2電動アクチュエーター32と、ヘッド10をZ方向に沿って移動させる第3電動アクチュエーター33とによって構成されている。第3電動アクチュエーター33は、第1ヘッド10aおよび第2ヘッド10bが固定された可動部41をZ方向に沿って移動させることによって、第1ヘッド10aおよび第2ヘッド10bをZ方向に沿って移動させる。つまり、第1電動アクチュエーター31および第2電動アクチュエーター32は、ステージ20を第1ヘッド10aおよび第2ヘッド10bに対して水平方向に沿って移動させる。第3電動アクチュエーター33は、第1ヘッド10aおよび第2ヘッド10bをステージ20に対してZ方向に沿って移動させる。なお、図2では、第3電動アクチュエーター33および可動部41は省略されている。
【0030】
上述した第1電動アクチュエーター31と、第2電動アクチュエーター32と、第3電動アクチュエーター33とは、制御部70の制御下で駆動される。なお、位置変更部30は、例えば、ステージ20をZ方向に移動させ、第1ヘッド10aや第2ヘッド10bをX方向およびY方向に沿って移動させてもよいし、第1ヘッド10aや第2ヘッド10bを移動させずにステージ20をX方向、Y方向およびZ方向に移動させてもよいし、ステージ20を移動させずに第1ヘッド10aや第2ヘッド10bをX方向、Y方向およびZ方向に移動させてもよい。
【0031】
加熱部40は、ステージ20に積層された造形材料を加熱する。加熱部40は、ヒーターを有する板形状であり、可動部41に固定されている。加熱部40は、第1ヘッド10aおよび第2ヘッド10bとともに、ステージ20との相対的な位置が変化するように構成されている。より詳細には、本実施形態では、加熱部40は、ヘッド10とともに、第3電動アクチュエーター33によってZ方向に移動される。加熱部40には、図2に示すように、加熱部40をZ方向に貫通する開口42が設けられている。
【0032】
図1に示したノズル移動部50は、ノズル151と加熱部40との相対的な位置を変化させる。三次元造形装置100には、第1ヘッド10aと第2ヘッド10bとに対応して、2つのノズル移動部50が設けられている。各ノズル移動部50は、可動部41に固定されており、加熱部40と共に第3電動アクチュエーター33によってZ方向に移動される。ノズル移動部50は、例えば電動アクチュエーターとして構成され、制御部70の制御下で駆動される。ノズル移動部50は、ヘッド10をZ方向に移動させることにより、ノズル151と加熱部40との相対的な位置を変化させる。本実施形態では、一方のノズル移動部50は、第1ヘッド10aをZ方向に移動させ、他方のノズル移動部50は、第2ヘッド10bをZ方向に移動させる。各ノズル移動部50は、それぞれ、制御部70によって個別に制御される。他の実施形態では、ノズル移動部50は、例えば、ヘッド10全体ではなく、吐出部13のみをZ方向に移動させてもよい。なお、図2では、ノズル移動部50は省略されている。
【0033】
本実施形態では、第1ノズル151aおよび第2ノズル151bは、それぞれ、ノズル移動部50によって、造形状態と退避状態とを切り替え可能に構成されている。造形状態とは、ノズル151の少なくとも一部が開口42内に配置された状態を指す。造形状態にあるノズル151の先端部tpは、Z方向において加熱部40とステージ20との間に配置される。退避状態とは、ノズル151が開口42よりも上方に配置されることで、ノズル151が開口42の外に配置された状態を指す。ノズル移動部50は、ノズル151を造形状態から退避状態へと切り替える場合、ヘッド10を+Z方向へ移動させ、ノズル151を退避状態から造形状態へと切り替える場合、ヘッド10を-Z方向へ移動させる。なお、本実施形態では、第1ノズル151aと第2ノズル151bとの両方が同時に造形状態をとることや、同時に退避状態をとることが可能である。ただし、第1ノズル151aと第2ノズル151bとの両方が同時に造形状態をとる場合であっても、三次元造形物を造形する際の造形領域への造形材料の吐出は、両方のノズル151から同時には行われず、一方のノズル151ずつから行われる。
【0034】
図5は、クリーニング部60の斜視図である。本実施形態では、クリーニング部60は、加熱部40に固定されており、加熱部40と共に第3電動アクチュエーター33によってZ方向に移動される。
【0035】
クリーニング部60は、クリーニング移動部210と、クリーニングユニット220と、廃棄材料収容部230とを備える。本実施形態では、クリーニング部60は、第1クリーニング部60aと、第2クリーニング部60bとを備える。第1クリーニング部60aは、クリーニング移動部210として第1クリーニング移動部210aを備え、クリーニングユニット220として第1クリーニングユニット220aを備え、廃棄材料収容部230として第1廃棄材料収容部230aを備える。第2クリーニング部60bは、クリーニング移動部210として第2クリーニング移動部210bを備え、クリーニングユニット220として第2クリーニングユニット220bを備え、廃棄材料収容部230として第2廃棄材料収容部230bを備える。第1クリーニング部60aは、第1ノズル151aのクリーニングを行い、第2クリーニング部60bは、第2ノズル151bのクリーニングを行う。第1クリーニング部60aと第2クリーニング部60bの構成は同様である。両者の構成部材を区別する場合、第1クリーニング部60aの構成部材には、符号「a」を付し、第2クリーニング部60bの構成部材には、符号「b」を付して表記する。
【0036】
クリーニングユニット220は、第1ヘッド10aおよび第2ヘッド10bとともに、ステージ20に対する相対的な位置が変化されるように構成されている。また、本実施形態では、クリーニングユニット220は、加熱部40とともにステージ20に対する相対的な位置が変化する。より詳細には、本実施形態では、第3電動アクチュエーター33によって、クリーニング部60が第1ヘッド10aおよび第2ヘッド10bとともにステージ20に対してZ方向に沿って移動し、第1電動アクチュエーター31および第2電動アクチュエーター32によって、ステージ20が第1ヘッド10aと第2ヘッド10bとクリーニング部60とに対して水平方向に沿って移動する。このようにクリーニング部60全体がステージ20に対して相対的に移動することで、クリーニングユニット220のステージ20に対する相対的な位置が変化する。
【0037】
クリーニング移動部210は、クリーニングユニット220をノズル151に対して相対的に移動させる。クリーニング移動部210は、加熱部40の上面に固定されている。クリーニング移動部210は、ガイドフレーム211と、駆動ベルト212と、第1リール213と、第2リール214と、ベルト駆動部215とを備える。ガイドフレーム211は、Y方向に沿って設けられている。第1リール213は、ガイドフレーム211の-Y方向側の端部に設けられている。第2リール214は、ガイドフレーム211の+Y方向側の端部に設けられている。駆動ベルト212は、第1リール213および第2リール214間に架けられており、その一端が第1リール213に巻き回され、その他端が第2リール214に巻き回されている。ベルト駆動部215は、第1リール213および第2リール214を回転駆動させることで、駆動ベルト212の巻き取りまたは巻き出しを行う。ベルト駆動部215は、例えば、モーターによって構成され、制御部70によって制御される。
【0038】
クリーニングユニット220は、加熱部40の上方に配置され、連結部225を介してクリーニング移動部210に連結されている。連結部225は、駆動ベルト212を挟んで固定することで、クリーニングユニット220を駆動ベルト212に固定する。また、連結部225は、クリーニングユニット220がY方向に移動可能となるように、ガイドフレーム211に取り付けられる。そのため、クリーニングユニット220は、駆動ベルト212が第1リール213および第2リール214に巻き取りまたは巻き出しされることによって、ガイドフレーム211に沿ってY方向に移動する。このように、クリーニングユニット220は、位置変更部30によってノズル151とともにステージ20に対して相対的に移動しつつ、クリーニング移動部210によってノズル151に対して相対的に移動可能に構成されている。
【0039】
図6は、クリーニングユニット220の斜視図である。図6は、第1クリーニングユニット220aを示している。クリーニングユニット220は、クリーニング部材221と、クリーニングボックス222と、回収部224とを備える。クリーニング部材221は、ノズル151の先端部tpとの接触によって、先端部tpに付着した異物を除去する。本実施形態では、クリーニング部材221は、ブラシとして構成されている。クリーニングボックス222の形状は、上部に開口を有する箱形状である。クリーニング部材221は、ブラシの毛先が+Z方向を向くようにクリーニングボックス222内の底面に固定されている。回収部224は、後述するパージ処理によってノズル151から排出された造形材料を回収する。本実施形態では、回収部224は、クリーニング部材221に隣接して設けられている。回収部224の形状は、上部に開口を有する箱形状である。回収部224の底面は開閉可能に設けられている。なお、他の実施形態では、クリーニング部材221は、ブラシに加え、あるいは、ブラシに代えて、毛を有しないワイパーやブレードを有していてもよい。また、回収部224は、ノズル151から排出された造形材料を支持できれば箱形状でなくてもよく、例えば、平板状や台状であってもよい。
【0040】
図5に示す廃棄材料収容部230は、ノズル151から回収部224に排出された造形材料を収容する。廃棄材料収容部230は、加熱部40の-Y方向側の端部に着脱可能に取り付けられている。廃棄材料収容部230は、上部が開口した箱形状である。回収部224から廃棄材料収容部230に造形材料が回収される場合は、まず、クリーニング移動部210によって回収部224が廃棄材料収容部230の上方の位置まで移動される。そして、制御部70によって回収部224の底面が開かれることで、回収部224内の造形材料が廃棄材料収容部230に落下する。
【0041】
本実施形態では、制御部70は、クリーニング部60を用いてノズル151をクリーニングするための処理として、パージ処理と先端面清掃処理とを実行する。パージ処理とは、ノズル151から造形材料とは異なる領域に造形材料を排出させる処理のことを指す。先端面清掃処理とは、ノズル151の先端部tpにクリーニング部材221を接触させることによって、先端部tpに付着した異物を除去する処理のことを指す。本実施形態では、パージ処理および先端面清掃処理は、退避状態にあるノズル151に対して実行される。
【0042】
図7は、パージ処理におけるノズル151とクリーニングユニット220との位置関係を示す側面図である。例えば、第2ノズル151bから第2造形材料を排出させるパージ処理では、制御部70は、ノズル移動部50を制御して第2吐出部13bを+Z方向に移動させることで、第2ノズル151bを第2クリーニングユニット220bの下方の位置からクリーニングポジションPbまで移動させる。また、制御部70は、クリーニング移動部210を制御することで、回収部224が第2ノズル151bの真下に位置するように、第2クリーニングユニット220bを第2ノズル151bの下方に移動させる。そして、制御部70は、第2ヘッド10bの吐出調整部154を制御することによって、第2ノズル151bから、造形領域とは異なる領域である回収部224内に、第2造形材料を排出させる。なお、制御部70は、パージ処理において、例えば、ノズル151から造形材料を排出させた後、ノズル151をクリーニングポジションPに位置させたまま、所定時間、待機させてもよい。このようにノズル151を待機させることで、パージ処理の後続の処理において、パージ処理に用いた造形材料がノズル151から垂れ落ちることを抑制できる。
【0043】
制御部70は、例えば、第2ノズル151bの第2先端部tp2をクリーニングする先端部清掃処理では、クリーニング部材221が第2先端部tp2に擦り付けられるように、第2クリーニングユニット220bを第2ノズル151bの下方に移動させる。これにより、第2先端部tp2に付着した異物としての造形材料が除去される。先端部清掃処理では、特に、ノズル開口152やその付近に付着した異物としての造形材料を除去すると好ましい。このように除去された異物は、クリーニングボックス222に回収される。本実施形態では、制御部70は、先端部清掃処理をパージ処理の後に実行する。このようにすることで、ノズル151をより効果的にクリーニングできる。
【0044】
なお、他の実施形態では、制御部70は、例えば、パージ処理と先端部清掃処理とのいずれかのみを実行してもよい。制御部70がパージ処理のみを実行する場合、クリーニングユニット220は、少なくとも回収部224を有していればよい。制御部70が先端部清掃処理のみを実行する場合、クリーニングユニット220は、少なくともクリーニング部材221を有していればよい。
【0045】
図8は、データ生成装置400の概略構成を示す説明図である。データ生成装置400は、CPU410とメモリー420と記憶装置430と通信インターフェイス440と入出力インターフェイス450とがバス460によって相互に接続されたコンピューターとして構成されている。入出力インターフェイス450には、キーボードやマウスなどの入力装置470と、液晶ディスプレイなどの表示装置480とが接続されている。データ生成装置400は、通信インターフェイス440を介して、三次元造形装置100の制御部70に接続される。
【0046】
CPU410は、記憶装置430に記憶されたプログラムを実行することによって、データ生成部411として機能する。データ生成部411は、後述するコマンドデータを生成する。
【0047】
図9は、三次元造形装置100において三次元造形物が造形される様子を模式的に示す説明図である。三次元造形装置100では、上述したように、可塑化部12において、回転しているスクリュー110の溝113に供給された固体状態の材料が可塑化されて造形材料MMが生成される。制御部70は、ステージ20上の造形面21とノズル151との距離を保持したまま、位置変更部30を制御してステージ20の造形面21に沿った方向に、ステージ20に対するノズル151の位置を変えながら、ノズル151から造形材料MMを吐出させる。ノズル151から吐出された造形材料MMは、ノズル151の移動方向に連続して堆積されていき、層MLが形成される。制御部70は、1つの層MLを形成した後、ステージ20を下降させて、ステージ20に対するノズル151の位置を相対的に+Z方向に移動させる。そして、これまでに形成された層MLの上に、更に層MLを積み重ねることによって三次元造形物を造形していく。
【0048】
制御部70は、例えば、一層分の層MLを完了した場合のノズル151のZ方向への移動や、各層MLで独立する複数の造形領域がある場合には、ノズル151からの造形材料MMの吐出を一時的に中断させることがある。この場合、制御部70は、吐出調整部154によって流路153を閉塞させて、ノズル開口152からの造形材料MMの吐出を停止させ、吸引部156によってノズル151内の造形材料MMを一時的に吸引する。制御部70は、ノズル151の位置を変更した後、吸引部156内の造形材料MMを排出しつつ吐出調整部154によって流路153を開くことによって、変更後のノズル151の位置から造形材料MMの堆積を再開させる。
【0049】
図10は、三次元造形システム200において実行される造形処理のフローチャートである。この造形処理は、例えば、制御部70に対してユーザーによる所定の開始操作が行われた場合に実行される。図10に示すステップS10からS50の処理は、データ生成装置400において実行され、ステップS60からS80の処理は、三次元造形装置100において実行される。本実施形態における造形処理で造形される三次元造形物は、本体部と、その本体部を支持するためのサポート構造とを含む。
【0050】
ステップS10にて、データ生成部411は、他のコンピューター、記録媒体、あるいは、記憶装置430から、三次元造形物の形状を表す形状データを取得する。本実施形態では、データ生成部411は、ステップS10において、形状データとして、本体部の形状を表す三次元形状データを取得する。形状データとしては、例えば、三次元CADソフトや三次元CGソフト等を用いて作成された、STL形式やAMF形式等のデータを用いることができる。
【0051】
ステップS20にて、データ生成部411は、ステップS10で取得した形状データを解析することによって、サポート構造の形状を決定する。データ生成部411は、ステップS20では、例えば、本体部のうち下方に支えのない出っ張りの部分である「オーバーハング部」がサポート構造によって下方から支持されるように、サポート構造の形状を決定する。本実施形態では、ステップS10およびS20が実行されることで、造形処理で造形される三次元造形物の形状、つまり、本体部の形状とサポート構造の形状とが決定される。
【0052】
ステップS30にて、データ生成部411は、スライスデータを生成する。スライスデータとは、複数の層にスライスされた三次元造形物の形状を表すデータのことを指す。より詳細には、データ生成部411は、三次元造形物の形状をXY平面に沿って複数の層にスライスすることによって、スライスデータを生成する。
【0053】
ステップS40にて、データ生成部411は、造形パスデータを生成する。造形パスデータとは、ノズル151の移動経路を表すデータのことを指す。造形パスデータは、直線状の複数の移動経路を表すデータを含んでいる。造形パスデータに含まれる各移動経路には、その移動経路において吐出される造形材料の吐出量を表す吐出量情報が含まれる。データ生成部411は、スライスによって生成された三次元造形物の全ての層について造形パスデータ及び吐出量情報を生成することによって、造形パスデータを生成する。
【0054】
ステップS50にて、データ生成部411は、造形処理において制御部70が三次元造形装置100の各部を制御するためのコマンドデータを生成する。本実施形態では、データ生成部411は、ステップS50において、造形パスデータにコマンドデータを追加することによって、コマンドデータを生成する。以下では、コマンドデータが追加された造形パスデータのことを、造形データとも呼ぶ。
【0055】
図11は、本実施形態におけるコマンドデータを説明する図である。図11に示すように、コマンドデータは、第1コマンドデータと第2コマンドデータとに分類可能である。第1コマンドデータとは、造形パスデータに従った造形材料の層の積層を実現するためのコマンドを表すデータのことを指す。第2コマンドデータとは、ノズル151のクリーニングを実行するためのコマンドデータのことを指す。より詳細には、第2コマンドデータは、三次元造形物を造形するための最初の吐出が行われたタイミング以後にノズル151のクリーニングを実行するためのコマンドデータである。以下では、「三次元造形物を造形するための最初の吐出」のことを、単に「最初の吐出」とも呼ぶ。
【0056】
図11に示すように、第1コマンドデータは、第1積層コマンドデータと、第2積層コマンドデータとに分類可能である。第1積層コマンドデータは、造形パスデータに含まれる移動経路に従って第1ノズル151aから第1造形材料を吐出させることによって、造形領域に第1造形材料の層を積層するためのコマンドを表すデータである。第1積層コマンドデータは、後述する第1積層処理を実行するのに用いられる。第2積層コマンドデータは、造形パスデータに含まれる移動経路に従って第2ノズル151bから第1造形材料を吐出させることによって、造形領域に第2造形材料の層を積層するためのコマンドを表すデータである。第2積層コマンドデータは、後述する第2積層処理を実行するのに用いられる。
【0057】
第1積層コマンドデータは、第1積層開始コマンドと第1積層停止コマンドとを含む。第1積層開始コマンドは、第1ノズル151aからの第1造形材料の吐出を開始させることによって第1造形材料の層の積層を開始するコマンドである。第1積層停止コマンドは、第1ノズル151aからの第1造形材料の吐出を停止させることによって第1造形材料の層の積層を停止するコマンドである。本実施形態における第1積層開始コマンドは、造形パスデータに従って第1ヘッド10aの移動を開始させ、かつ、吸引部156内の造形材料を流路153に排出し、かつ、吐出調整部154を制御して流路153の開度をゼロより大きくするコマンドである。また、第1積層停止コマンドは、造形パスデータに従って第1ヘッド10aの移動を停止し、かつ、吐出調整部154を制御して流路153の開度をゼロにし、かつ、流路153内の造形材料を吸引部156内に吸引するコマンドである。以下では、第1積層開始コマンドのことを、単に積層開始コマンドとも呼ぶ。第1積層停止コマンドのことを、単に積層停止コマンドとも呼ぶ。
【0058】
第1積層開始コマンドおよび第1積層停止コマンドは、それぞれ、位置変更部30や、吐出調整部154、吸引部156等の各部の制御値を指定する。位置変更部30の制御値には、例えば、位置変更部30の各電動アクチュエーターを制御するための制御値が含まれる。吐出調整部154の制御値には、例えば、バタフライバルブの回転角度を制御するための制御値が含まれる。より具体的には、この制御値は、例えば、吐出調整部154を駆動させる駆動部の制御値である。吸引部156の制御データには、例えば、プランジャーの位置を制御するための制御値が含まれる。より具体的には、この制御値は、例えば、吸引部156を駆動させる駆動部の制御値である。他の実施形態では、第1積層開始コマンドや第1積層停止コマンドは、例えば、可塑化部12の制御値を指定してもよい。可塑化部12の制御値には、例えば、スクリュー110の回転数や、可塑化ヒーター144の温度や、スクリュー110の圧力値を制御するための制御値等が含まれる。また、例えば、三次元造形装置100に吸引部156が備えられていない場合には、第1積層開始コマンドや第1積層停止コマンドは、吸引部156の制御値を指定しなくてもよい。
【0059】
第1積層コマンドデータの実行時間は、第1吐出時間に対応する。第1吐出時間は、第1積層コマンドデータによって第1造形材料が吐出される時間を表す。本実施形態では、第1積層コマンドデータの実行時間は、第1吐出時間と同じ時間に設定される。第1吐出時間は、第1積層コマンドデータに対応する本体経路に従って第1造形材料の層が積層されている時間として、本体経路の長さとその本体経路を移動する第1ノズル151aの移動速度とによって定まる。なお、ノズル151の移動速度は、例えば、三次元造形物を造形するための造形条件としてユーザーによって設定可能であってもよいし、制御部70やデータ生成部411によってユーザーによらずに定められてもよい。以下では、第1吐出時間のことを単に吐出時間とも呼ぶ。
【0060】
第2積層コマンドデータは、第1積層コマンドデータと略同様に、第2積層開始コマンドと第2積層停止コマンドとを含む。第2積層開始コマンドは、第2ノズル151bからの第2造形材料の吐出を開始させることによって第2造形材料の層の積層を開始するコマンドである。第2積層停止コマンドは、第2ノズル151bからの第2造形材料の吐出を停止させることによって第2造形材料の層の積層を停止するコマンドである。第2積層コマンドデータの実行時間は、第1吐出時間の実行時間と略同様に、第2吐出時間に対応する。第2吐出時間は、第2積層コマンドデータによって第2造形材料が吐出される時間を表す。本実施形態では、第2積層コマンドデータの実行時間は、第2吐出時間と同じ時間に設定される。
【0061】
第2コマンドデータは、第1クリーニングコマンドデータと、第2クリーニングコマンドデータとに分類可能である。第1クリーニングコマンドデータは、後述する第1クリーニング処理を実行するのに用いられる。第2クリーニングデータは、後述する第2クリーニング処理を実行するのに用いられる。本実施形態では、第1クリーニングコマンドデータおよび第2クリーニングコマンドデータは、パージコマンドと先端部清掃コマンドとを含む。パージコマンドは、上述したパージ処理を実行するためのコマンドであり、パージ処理を開始させるパージ開始コマンドと、パージ処理を停止させるパージ停止コマンドとを含む。先端部清掃コマンドは、上述した先端部清掃処理を実行するためのコマンドであり、先端部清掃処理を開始させる先端部清掃開始コマンドと、先端部清掃処理を停止させる先端部清掃停止コマンドとを含む。本実施形態では、パージコマンドは、先端部清掃コマンドの後に実行されるコマンドである。以下では、第2クリーニングコマンドデータのことを、単にクリーニングコマンドデータとも呼ぶ。
【0062】
第1クリーニングコマンドデータは、第1ノズル151aのクリーニングを開始する第1クリーニング開始コマンドと、第1ノズル151aのクリーニングを停止する第1クリーニング停止コマンドとを含む。第2クリーニングコマンドデータは、第2ノズル151bのクリーニングを開始する第2クリーニング開始コマンドと、第2ノズル151bのクリーニングを停止する第2クリーニング停止コマンドとを含む。本実施形態では、第1クリーニングコマンドデータに含まれるパージ開始コマンドが、第1クリーニング開始コマンドに相当し、第2クリーニングコマンドデータに含まれるパージ開始コマンドが、第2クリーニング開始コマンドに相当する。また、第1クリーニングコマンドデータに含まれる先端部清掃停止コマンドが、第1クリーニング停止コマンドに相当し、第2クリーニングコマンドデータに含まれる先端部清掃停止コマンドが、第2クリーニング停止コマンドに相当する。以下では、第2クリーニング開始コマンドのことを、単にクリーニング開始コマンドとも呼ぶ。また、第2クリーニング停止コマンドのことを、単にクリーニング停止コマンドとも呼ぶ。
【0063】
第2クリーニングコマンドデータの実行時間は、第2クリーニング時間に対応する。第2クリーニング時間とは、第2クリーニング処理によって第2ノズル151bをクリーニングするのに要する時間を表す。本実施形態では、第2クリーニングコマンドデータの実行時間は、第2クリーニング時間と同じ時間である。第2クリーニング時間の長さは、第2クリーニング処理の内容に応じて定まり、例えば、パージ処理において第2ノズル151bから排出させる第2造形材料の量がより多い場合や、先端部清掃処理においてクリーニング部材221をノズル151に擦り付ける回数がより多い場合に長くなる。第2クリーニング処理の内容は、第2クリーニングコマンドデータの実行時間が、第1積層コマンドデータの実行時間以下となるように設定される。同様に、第1クリーニングコマンドデータの実行時間は、第1クリーニング時間に対応する。第1クリーニング時間は、第1クリーニング処理によって第1ノズル151aをクリーニングするのに要する時間を表す。本実施形態では、第1クリーニングコマンドデータの実行時間は、第1クリーニング時間と同じ時間である。
【0064】
データ生成部411は、図10のステップS50では、造形パスデータに基づいて、本体部を生成するための移動経路である本体経路に対応して第1積層コマンドデータを生成し、サポート構造を生成するための移動経路であるサポート経路に対応して第2積層コマンドデータを生成する。また、データ生成部411は、ステップS50では、第1積層コマンドデータに対応して第2クリーニングコマンドデータを生成し、第2積層コマンドデータに対応して第1クリーニングコマンドデータを生成する。
【0065】
データ生成部411は、ステップS50では、第2クリーニング開始コマンドおよび第2クリーニング停止コマンドを、第1積層開始コマンドと第1積層停止コマンドとの間に実行されるコマンドとして生成する。より詳細には、データ生成部411は、まず、第2クリーニング停止コマンドを、第1積層停止コマンドと同じタイミングで実行されるコマンドとして生成する。ある第1積層コマンドデータにおける第1積層停止コマンドの実行タイミングは、その第1積層コマンドデータの実行時間に基づいて算出される。次に、データ生成部411は、第2クリーニング開始コマンドを、第2クリーニング停止コマンドの実行タイミングから第2クリーニングコマンドの実行時間分、遡ったタイミングで実行されるコマンドとして生成する。また、本実施形態では、データ生成部411は、ステップS50において、第1クリーニング開始コマンドおよび第1クリーニング停止コマンドを、上記の第2クリーニング開始コマンドおよび第2クリーニング停止コマンドと略同様に、第2積層開始コマンドと第2積層停止コマンドとの間に実行されるコマンドとして生成する。
【0066】
ステップS60にて、三次元造形装置100の制御部70は、データ生成装置400によって生成された造形データを、データ生成装置400から取得する。
【0067】
ステップS70にて、三次元造形装置100の制御部70は、事前クリーニング処理を実行する。事前クリーニング処理とは、造形処理において、最初の吐出に先立って実行される、第1ヘッド10aや第2ヘッド10bをクリーニングする処理のことを指す。事前クリーニング処理では、例えば、上述したパージ処理や先端部清掃処理が実行される。ステップS70では、第1ヘッド10aと第2ヘッド10bとは、例えば、クリーニング部60によって同時にクリーニングされてもよい。
【0068】
ステップS80にて、制御部70は、積層処理を実行する。積層処理とは、造形パスデータに従ってノズル151を移動させつつ、ノズル151から造形材料を吐出させることによって、造形領域に造形材料の層を積層する処理のことを指す。本実施形態における積層処理では、制御部70は、第1積層処理と、第2積層処理と、第1クリーニング処理と、第2クリーニング処理とを実行する。
【0069】
第1積層処理とは、第1ヘッド10aとステージ20との相対的な位置を変化させつつ、第1ノズル151aから第1造形材料を吐出させることによって、造形領域に第1造形材料の層を積層する処理のことを指す。第2積層処理とは、第2クリーニング処理の後に、第2ヘッド10bとステージ20との相対的な位置を変化させつつ、第2ノズル151bから第2造形材料を吐出させることによって、造形領域に第2造形材料の層を積層する処理のことを指す。第1クリーニング処理とは、クリーニング部60を用いて第1ノズル151aをクリーニングする処理のことを指す。第2クリーニング処理とは、クリーニング部60を用いて第2ノズル151bをクリーニングする処理のことを指す。より詳細には、第1クリーニング処理および第2クリーニング処理は、最初の吐出が開始されたタイミング以後に実行される。
【0070】
図12は、図10のステップS80で実行される積層処理のフローチャートである。図13は、本実施形態における積層処理が実行される様子の例を示す説明図である。図13は、積層処理において実行される各処理を、第1ノズル151aに関する処理と第2ノズル151bに関する処理とに区別するとともに、時系列に沿って示している。より詳細には、第1ノズル151aに関する処理は、第1積層処理SP1および第1クリーニング処理CP1である。第2ノズル151bに関する処理は、第2積層処理SP2および第2クリーニング処理CP2である。図13では、時間軸に沿って右に進むほど時間が経過する。
【0071】
図12のステップS81にて、制御部70は、造形データに基づいて、次の層を造形するか否かを判定する。より詳細には、制御部70は、造形データに基づいて、ステップS81の実行時点で全ての層の積層が完了しているか否かを判定し、全ての層の積層が完了していない場合、次の層を造形すると判定する。従って、制御部70は、最初に実行するステップS81では、次の層を造形すると判定する。制御部70は、次の層を造形しないと判定した場合、積層処理を終了させる。
【0072】
ステップS82にて、制御部70は、造形データに基づいて、次の層が第1造形材料の層であるか否かを判定する。ステップS82で次の層が第1造形材料の層であると判定された場合、次の層の造形では、第1ノズル151aが使用される。ステップS82で次の層が第1造形材料の層でないと判定された場合、次の層の造形では、第2ノズル151bが使用される。なお、図13は、最初のステップS82で次の層が第1造形材料の層であると判定され、2回目のステップS82で次の層が第1造形材料の層でないと判定された場合における様子を示している。
【0073】
ステップS82で次の層が第1造形材料の層であると判定された場合、ステップS83にて、制御部70は、第2造形データに従って第1積層開始コマンドSS1を実行することによって、第1積層処理SP1を開始する。図13では、時刻t1において第1積層開始コマンドSS1が実行された様子が示されている。
【0074】
ステップS84にて、制御部70は、造形データに従って第2クリーニング開始コマンドCS2を実行することによって、第2クリーニング処理CP2を開始する。図13では、時刻t3において第2クリーニング開始コマンドCS2が実行された様子が示されている。時刻t3は、時刻t1から、第1積層処理SP1の実行時間TS1の長さと、第2クリーニング処理CP2の実行時間TC2との長さとの差に相当する時間が経過した時刻である。実行時間TS1は、第1積層処理SP1に対応する第1積層コマンドデータの実行時間と同じ時間であり、本実施形態では、第1吐出時間と同じ時間である。実行時間TC2は、第2クリーニング処理CP2に対応する第2クリーニングコマンドデータの実行時間と同じ時間であり、本実施形態では、第2クリーニング時間と同じ時間である。
【0075】
ステップS85にて、制御部70は、造形データに従って第2クリーニング停止コマンドCE2を実行することによって、第2クリーニング処理CP2を終了させる。図13では、時刻t5において第2クリーニング停止コマンドCE2が実行された様子が示されている。時刻t5は、時刻t3から実行時間TC2が経過した時刻である。また、時刻t5は、時刻t1から実行時間TS1が経過した時刻でもある。
【0076】
ステップS86にて、制御部70は、造形データに従って第1積層停止コマンドSE1を実行することによって、第1積層処理SP1を終了させる。図13では、時刻t5において、第2クリーニング停止コマンドCE2と同時に第1積層停止コマンドSE1が実行された様子が示されている。なお、第1積層停止コマンドSE1は、第2クリーニング停止コマンドCE2の実行タイミング以後に実行されればよく、他の実施形態では、第2クリーニング停止コマンドCE2の実行タイミングより後に実行されてもよい。ステップS86の完了後、制御部70は、ステップS81に処理を戻す。
【0077】
ステップS82で次の層が第1造形材料の層でないと判定された場合、ステップS87にて、制御部70は、第2造形データに従って第2積層開始コマンドSS2を実行することによって、第2積層処理SP2を開始する。図13では、時刻t7において第2積層開始コマンドSS2が実行された様子が示されている。
【0078】
ステップS88にて、制御部70は、造形データに従って第1クリーニング開始コマンドCS1を実行することによって、第1クリーニング処理CP1を開始させる。図13では、時刻t9において第1クリーニング開始コマンドCS1が実行された様子が示されている。時刻t9は、時刻t7から、第2積層処理SP2の実行時間TS2の長さと、第1クリーニング処理CP1の実行時間TC1の長さとの差に相当する時間が経過した時刻である。実行時間TS2は、第2積層処理SP2に対応する第2積層コマンドデータの実行時間と同じ時間である。実行時間TC1は、第1クリーニング処理CP1に対応する第1クリーニングコマンドデータの実行時間と同じ時間である。
【0079】
ステップS89にて、制御部70は、第2造形データに従って第1クリーニング停止コマンドCE1を実行することによって、第1クリーニング処理CP1を終了させる。図13では、時刻t11において第1クリーニング停止コマンドCE1が実行された様子が示されている。時刻t11は、時刻t9から実行時間TC1が経過した時刻である。また、時刻t11は、時刻t7から実行時間TS2が経過した時刻でもある。
【0080】
ステップS90にて、制御部70は、第2造形データに従って第2積層停止コマンドSE2を実行することによって、第2積層処理SP2を終了させる。図13では、時刻t11において、第1クリーニング停止コマンドCE1と同時に第2積層停止コマンドSE2が実行された様子が示されている。なお、第2積層停止コマンドSE2は、第1積層停止コマンドSE1と略同様に、第1クリーニング停止コマンドCE1の実行タイミング以後に実行されればよい。ステップS90の完了後、制御部70は、ステップS81に処理を戻す。
【0081】
図13に示すように、第2クリーニング処理CP2が開始されるタイミングに相当する時刻t3と、第2クリーニング処理CP2が終了するタイミングに相当する時刻t5とは、それぞれ、第1積層処理SP1が実行されている期間内に含まれる。また、本実施形態では、第1クリーニング処理CP1が開始されるタイミングに相当する時刻t9と、第1クリーニング処理CP1が終了するタイミングに相当する時刻t11とは、第2積層処理SP2が実行されている期間内に含まれる。
【0082】
また、本実施形態では、第2クリーニング処理CP2が実行される期間における中間の時刻tm2は、第1積層処理SP1が実行される期間における中間の時刻tm1よりも後である。より詳細には、本実施形態では、このように時刻tm2が時刻tm1よりも後であることは、第2クリーニング処理CP2と第1積層処理SP1とがそれぞれ同じ時刻t5において完了することによって実現されている。また、第2クリーニング処理CP2と第1積層処理SP1とがそれぞれ同じ時刻で完了することは、第2クリーニング停止コマンドCE2が第1積層停止コマンドSE1とが同じタイミングで実行されるようにコマンドデータが生成されることで実現されている。なお、本実施形態では、第1クリーニング処理CP1が実行される期間における中間の時刻は、時刻tm2と略同様に、第2積層処理SP2が実行される期間における中間の時刻よりも後である。
【0083】
以上で説明した本実施形態における三次元造形装置100によれば、制御部70は、造形領域に第1造形材料の層を積層する第1積層処理と、クリーニング部60を用いて第2ノズル151bをクリーニングする第2クリーニング処理と、第2クリーニング処理の後に造形領域に第2造形材料の層を積層する第2積層処理とを実行する。第2クリーニング処理の開始タイミングと終了タイミングとは、それぞれ、第1積層処理が実行されている期間内に含まれる。このようにすれば、第1積層処理が実行されている間に第2ノズル151bのクリーニングが完了するので、第1積層処理が完了してから第2積層処理が開始されるまでに、第2ノズル151bのクリーニングに起因して、造形の途中で、三次元造形物を実際には造形していない待ち時間が生じることを抑制できる。そのため、三次元造形物の造形に要する造形時間を全体として短縮できる可能性が高まる。
【0084】
また、本実施形態では、第1クリーニング処理の開始タイミングと終了タイミングとは、それぞれ、第2積層処理が実行されている期間内に含まれる。そのため、第2積層処理が完了してから第1積層処理が開始されるまでに、第1ノズル151aのクリーニングに起因して、造形の途中で、三次元造形物を実際には造形していない待ち時間が生じることを抑制できる。従って、造形時間を全体として短縮できる可能性がより高まる。
【0085】
また、本実施形態では、第2クリーニング処理が実行される期間における中間の時刻tm2は、第1積層処理が実行される期間における中間の時刻tm1よりも後である。このようにすれば、時刻tm2が時刻tm1以前である場合と比較して、第2クリーニング処理が完了してから第2積層処理が開始されるまでの時間をより短くできる。そのため、第2クリーニング処理が完了してから第2積層処理が開始されるまでに、例えば、パージ処理で用いた第2造形材料が第2ノズル151b内の第2ノズル開口152b付近で滞留することや、先端部清掃処理で一旦クリーニングされた第2先端部tp2に新たな異物が付着することを抑制できる。そのため、第2積層処理において吐出される第2造形材料の品質をより高めることや、第2積層処理において第2先端部tp2から造形領域へと異物が落下するのをより抑制することができ、第2積層処理における造形精度をより向上できる。従って、三次元造形物の造形精度を向上できる。
【0086】
また、本実施形態では、クリーニングユニット220は、第2ノズル151bから排出される第2造形材料を回収する回収部224と、第2ノズル151bの第2先端部tp2との接触によって、第2先端部tp2に付着した異物を除去するクリーニング部材221との少なくともいずれかを有している。また、クリーニングユニット220は、第1ヘッド10aおよび第2ヘッド10bとともにステージ20に対する相対的な位置が変化するように構成され、かつ、クリーニング処理が実行されている間に、第2ノズル151bの下方に位置することが可能に構成されている。このようにすれば、第2ヘッド10bが第1ヘッド10aとともにステージ20との相対的な位置が変化するように構成されている形態において、クリーニングユニット220によって第2ノズル151bを簡易にクリーニングできる。また、本実施形態では、クリーニングユニット220は、加熱部40の上方に配置され、加熱部40とともにステージ20との相対的な位置が変化するように構成されているので、加熱部40の下方で加熱部40によってステージ20上の造形材料を加熱しつつ、加熱部40の上方でクリーニングユニット220によってノズル151を簡易にクリーニングできる。
【0087】
B.第2実施形態:
図14は、第2実施形態における積層処理が実行される様子の例を示す説明図である。図14は、図13と同様に、積層処理において実行される各処理を時系列に沿って示している。本実施形態では、制御部70は、第1実施形態とは異なり、1回の第1積層処理において、2層以上の第1造形材料の層を連続して積層する。本実施形態における三次元造形装置100やデータ生成装置400の構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
【0088】
上述した「2層以上の第1造形材料の層を連続して積層する」とは、途中で第1造形材料以外の造形材料の層を積層することなく2層以上の第1造形材料の層を積層することを指す。2層以上の第1造形材料の層を連続して積層している間には、途中で第1造形材料以外の層を積層しなければ、第1造形材料の吐出が一時的に停止されるタイミングが含まれていてもよい。例えば、n層とn+1層とを連続して積層する場合に、n層の積層が完了するタイミングで第1造形材料の吐出が一時的に停止され、n+1層の積層が開始されるタイミングで第1造形材料の吐出が再開されてもよい。なお、nは任意の自然数である。
【0089】
本実施形態では、制御部70は、1回の第1積層処理において、途中で第2造形材料の層を積層することなく、2層の第1造形材料の層を連続して積層する。図14に示した第1積層処理SP1は、処理SP1aと処理SP1bとを含んでいる。処理SP1aは、第1積層処理SP1によって積層される2層のうちの下層を積層する処理である。処理SP1bは、2層のうちの上層を積層する処理である。処理SP1aは、開始コマンドSS1aが実行されることによって開始され、停止コマンドSE1aが実行されることによって終了する。処理SP1bは、開始コマンドSS1bが実行されることによって開始され、停止コマンドSE1bが実行されることによって終了する。停止コマンドSE1aが実行された場合、第1造形材料の吐出は一時的に停止されるが、第1積層処理SP1は終了しない。停止コマンドSE1aによって一時的に停止された第1造形材料の吐出は、開始コマンドSS1bが実行されることによって再開される。図14の例では、開始コマンドSS1aが第1積層開始コマンドSS1に相当する。また、停止コマンドSE1bが第1積層停止コマンドSE1に相当する。
【0090】
なお、図14の例では、第1積層処理SP1の実行時間TS1は、処理SP1aの実行時間TS1aと処理SP1bの実行時間TS1bとの合計時間よりも長い。より詳細には、実行時間TS1は、実行時間TS1aと、実行時間TS1bと、ノズル151の下層から上層への移動時間とを含んでいる。
【0091】
以上で説明した本実施形態における三次元造形装置100によれば、制御部70は、1回の第1積層処理において、2層以上の第1造形材料の層を連続して積層する。このようにすれば、1回の第1積層処理において1層の第1造形材料の層のみを積層する場合と比較して、第1積層処理の実行時間が長くなる。そのため、第2クリーニング処理の開始タイミングおよび完了タイミングを、第1積層処理が実行されている期間内に含ませやすくなる。
【0092】
C.第3実施形態:
図15は、データ生成処理のフローチャートである。本実施形態では、データ生成部411は、第1実施形態とは異なり、コマンドデータを生成する際に、後述する判定処理を実行する。本実施形態における三次元造形装置100やデータ生成装置400の構成のうち、特に説明しない部分については、第1実施形態と同様である。
【0093】
図15に示したデータ生成処理は、図10のステップS50で実行される。より詳細には、データ生成部411は、図10のステップS50で、本体経路に対応して第1積層コマンドデータおよび第2クリーニングコマンドデータを生成する場合に、図15に示したデータ生成処理を実行する。
【0094】
ステップS51にて、データ生成部411は、判定処理を実行する。判定処理とは、第1吐出時間が予め定められた基準時間以上であるか否かを判定する処理のことを指す。基準時間は、例えば、パージ処理の実行時間に基づいて定められ、本実施形態では、パージ処理の実行時間と先端部清掃コマンドの実行時間との合計時間として定められる。
【0095】
データ生成部411は、ステップS51で第1吐出時間が基準時間以上であると判定した場合、ステップS52に処理を進める。ステップS52にて、データ生成部411は、ステップS51で判定処理の対象となった第1積層コマンドデータに対応する第2クリーニングコマンドデータとして、第2ノズル151bから第2造形材料を排出させるパージコマンドを含む第2クリーニングコマンドデータを生成する。より詳細には、本実施形態では、データ生成部411は、ステップS52において、パージコマンドと先端部清掃コマンドとを含む第2クリーニングコマンドデータを生成する。一方で、データ生成部411は、ステップS51で第1吐出時間が基準時間以上でないと判定した場合、ステップS53に処理を進める。ステップS53にて、データ生成部411は、同様に判定処理の対象となった第1積層コマンドデータに対応する第2クリーニングデータとして、パージコマンドを含まない第2クリーニングコマンドデータを生成する。つまり、データ生成部411は、第1吐出時間が基準時間未満である場合、パージコマンドを含まない第2クリーニングコマンドデータを生成する。より詳細には、本実施形態では、データ生成部411は、ステップS53において、先端部清掃コマンドのみを含む第2クリーニングコマンドデータを生成する。
【0096】
以上で説明した本実施形態におけるデータ生成装置400によれば、データ生成部411は、第1吐出時間が基準時間以上である場合、パージコマンドを含む第2クリーニングコマンドデータを生成し、第1吐出時間が基準時間未満である場合、パージコマンドを含まない第2クリーニングコマンドデータを生成する。このようにすれば、第1吐出時間が基準時間未満である場合に生成される第2クリーニングコマンドデータの実行時間を、第1吐出時間が基準時間以上である場合に生成される第2クリーニングコマンドデータと比較して、パージコマンドの実行時間の分、短くできる。そのため、第1吐出時間が比較的短い場合であっても、第2クリーニング開始コマンドと第2クリーニング停止コマンドとを、第1積層開始コマンドと第1積層停止コマンドとの間に実行されるコマンドとして容易に生成できる。また、第1吐出時間が基準時間以上である場合には、第2ノズル151bのパージが実行されるように第2クリーニングコマンドを生成できる。そのため、例えば、第2クリーニングコマンドを、一律にパージコマンドを含まないコマンドとして生成する形態と比較して、第2積層処理において吐出される第2造形材料の品質を高めることができる。
【0097】
D.他の実施形態:
(D-1)上記実施形態では、第2クリーニング処理が実行される期間における中間の時刻は、第1積層処理が実行される期間における中間の時刻よりも後である。これに対して、第2クリーニング処理が実行される期間における中間の時刻が、第1積層処理が実行される期間における中間の時刻以前であってもよい。例えば、図10のステップS50において、データ生成部411が、第2クリーニング開始コマンドを第1積層開始コマンドと同じタイミングで実行されるコマンドとして生成した場合、第2クリーニング処理が実行される期間における中間の時刻は、第1積層処理が実行される期間における中間の時刻以前となる。
【0098】
(D-2)上記実施形態では、クリーニングユニット220は、第1ヘッド10aおよび第2ヘッド10bとともにステージ20に対する相対的な位置が変化するように構成されているが、このように構成されていなくてもよい。例えば、第2ヘッド10bを、第1ヘッド10aとは独立してステージ20との相対的な位置が変化するように構成し、第2クリーニング処理において、ステージ20に対して位置が固定された回収部224やクリーニング部材221まで第2ヘッド10bを移動させてもよい。同様に、第1クリーニング処理において、位置が固定された回収部224やクリーニング部材221まで第1ヘッド10aを移動させてもよい。また、クリーニングユニット220を、第1ヘッド10aや第2ヘッド10bとは独立してステージ20との相対的な位置が変化するように構成してもよい。
【0099】
(D-3)上記実施形態では、第1ノズル151aと第2ノズル151bとに対応して2つのクリーニングユニット220が設けられているが、クリーニングユニット220の個数と、ノズル151やヘッド10の個数とを対応させなくてもよい。例えば、1つのクリーニングユニット220のみを設け、そのクリーニングユニット220によって第1ノズル151aと第2ノズル151bとをクリーニングするように構成してもよい。
【0100】
(D-4)上記実施形態では、データ生成部411は、コマンドデータを造形パスデータに追加することによってコマンドデータを生成している。これに対して、データ生成部411は、コマンドデータを造形パスデータとは別のデータとして生成してもよい。
【0101】
(D-5)上記実施形態では、データ生成部411は、図10のステップS10で、本体部の形状を表す形状データを取得している。これに対して、データ生成部411は、図10のステップS10で、例えば、本体部とサポート構造とを含む形状データを取得してもよい。また、データ生成部411は、例えば、スライスデータや造形パスデータを生成しなくてもよく、例えば、他のスライサーソフトによって生成されたスライスデータに基づいて造形パスデータを生成し、その造形パスデータに基づいてコマンドデータを生成してもよいし、他のデータ生成装置によって生成された造形パスデータに基づいてコマンドデータを生成してもよい。
【0102】
(D-6)上記実施形態では、第1造形材料と第2造形材料との組み合わせは、本体用材料とサポート用材料との組み合わせであったが、他の組み合わせであってもよい。例えば、第1造形材料と第2造形材料との組み合わせは、例えば、異なる色や異なる材質の本体用材料の組み合わせであってもよい。また、第1造形材料と第2造形材料とが、それぞれ同じ本体用材料であってもよい。この場合、例えば、第1ノズル151aによる造形中に第2ノズル151bをクリーニングすることと、第2ノズル151bによる造形中に第1ノズル151aをクリーニングすることとを交互に繰り返すことで、三次元造形物を効率的に精度良く造形できる。また、第1造形材料と第2造形材料とが本体材料である場合、三次元造形物は、サポート構造を含んでいなくてもよい。
【0103】
(D-7)上記実施形態の三次元造形装置100は、2つのヘッド10を備えているが、三次元造形装置100は、3つ以上のヘッド10を備えていてもよい。この場合、第2クリーニング処理において、第1ノズル151a以外の複数のノズル151が同時にクリーニングされてもよい。例えば、三次元造形装置100が3つのヘッド10を備える場合、第2クリーニング処理において、第2ノズル151bと、第3のヘッド10のノズル151とが同時にクリーニングされてもよい。
【0104】
(D-8)上記実施形態において、ヘッド10に備えられた可塑化部12は、フラットスクリューによって材料を可塑化している。これに対して可塑化部12は、例えば、インラインスクリューを回転させることによって材料を可塑化するものであってもよい。また、可塑化部12は、フィラメント状の材料をヒーターで可塑化するものであってもよい。
【0105】
E.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0106】
(1)本開示の第1の形態によれば、三次元造形装置が提供される。この三次元造形装置は、ステージと、前記ステージに向けて第1造形材料を吐出する第1ノズルを有する第1ヘッドと、前記ステージに向けて第2造形材料を吐出する第2ノズルを有する第2ヘッドと、前記第1ヘッドと前記ステージとの相対的な位置、および、前記第2ヘッドと前記ステージとの相対的な位置を変更する位置変更部と、前記第1ノズルおよび前記第2ノズルをクリーニングするクリーニング部と、前記第1ヘッド、前記第2ヘッドおよび前記位置変更部を制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記第1ヘッドと前記ステージとの相対的な位置を変化させつつ、前記第1ノズルから前記第1造形材料を吐出させることによって、前記ステージの造形領域に前記第1造形材料の層を積層する第1積層処理と、前記クリーニング部を用いて前記第2ノズルをクリーニングするクリーニング処理と、前記クリーニング処理の後に、前記第2ヘッドと前記ステージとの相対的な位置を変化させつつ、前記第2ノズルから前記第2造形材料を吐出させることによって、前記造形領域に前記第2造形材料の層を積層する第2積層処理と、を実行する。前記クリーニング処理が開始されるタイミングと、前記クリーニング処理が終了するタイミングと、は前記第1積層処理が実行されている期間内に含まれる。
このような形態によれば、第1積層処理が実行されている間に第2ノズルのクリーニングが完了する。そのため、第1積層処理が完了してから第2積層処理が開始されるまでに、第2ノズルのクリーニングに起因して、造形の途中で、三次元造形物を実際には造形していない待ち時間が生じることを抑制できる。
【0107】
(2)上記形態では、前記クリーニング処理が実行される期間における中間の時刻は、前記第1積層処理が実行される期間における中間の時刻よりも後であってもよい。このような形態によれば、第2クリーニング処理が完了してから第2積層処理が開始されるまでの時間をより短くできる。そのため、第2積層処理における造形精度をより向上できる。
【0108】
(3)上記形態では、前記制御部は、前記第1積層処理において、2層以上の前記第1造形材料の層を連続して積層してもよい。このような形態によれば、第1積層処理において1層の第1造形材料の層のみを積層する場合と比較して、第1積層処理の実行時間が長くなる。そのため、第2クリーニング処理が開始されるタイミングと終了するタイミングとを、第1積層処理が実行されている期間内に含ませやすくなる。
【0109】
(4)上記形態では、前記第2ヘッドは、前記第1ヘッドとともに前記ステージとの相対的な位置が変化するように構成され、前記クリーニング部は、前記第2ノズルから排出される前記第2造形材料を回収する回収部と、前記第2ノズルの先端部との接触によって、前記第2ノズルの先端部に付着した異物を除去するクリーニング部材と、の少なくともいずれかを有するクリーニングユニットを備え、前記クリーニングユニットは、前記第1ヘッドおよび前記第2ヘッドとともに、前記ステージに対する相対的な位置が変化するように構成され、前記クリーニング処理が実行されている間に、前記第2ノズルの下方に位置することが可能に構成されていてもよい。このような形態によれば、第2ヘッドが第1ヘッドとともにステージとの相対的な位置が変化するように構成されている形態において、クリーニングユニットによって第2ノズルを簡易にクリーニングできる。
【0110】
(5)本開示の第2の形態によれば、第1造形材料を吐出する第1ノズルを有する第1ヘッドと、第2造形材料を吐出する第2ノズルを有する第2ヘッドと、備える、三次元造形装置で用いられるコマンドデータを生成する、データ生成装置が提供される。このデータ生成装置は、ノズルが造形材料を吐出しつつ移動する移動経路を表す造形パスデータに基づいて、前記コマンドデータを生成するデータ生成部を備える。前記データ生成部は、前記コマンドデータとして、前記移動経路に従って前記第1ノズルから前記第1造形材料を吐出させることによって、ステージの造形領域に前記第1造形材料の層を積層するための第1積層コマンドデータと、前記第2ノズルのクリーニングを実行するためのコマンドを表すクリーニングコマンドデータと、前記クリーニングが実行された後に、前記移動経路に従って前記第2ノズルから前記第2造形材料を吐出させることによって、前記造形領域に前記第2造形材料の層を積層するための第2積層コマンドデータと、を生成する。前記第1積層コマンドデータは、前記第1ノズルからの前記第1造形材料の吐出を開始させることによって前記第1造形材料の層の積層を開始する積層開始コマンドと、前記第1ノズルからの前記第1造形材料の吐出を停止させることによって前記第1造形材料の層の積層を停止する積層停止コマンドと、を含む。前記クリーニングコマンドデータは、前記クリーニングを開始するクリーニング開始コマンドと、前記クリーニングを停止するクリーニング停止コマンドと、を含む。前記データ生成部は、前記クリーニング開始コマンドと、前記クリーニング停止コマンドと、を前記積層開始コマンドと前記積層停止コマンドとの間に実行されるコマンドとして生成する。
【0111】
(6)上記形態では、前記データ生成部は、前記第1積層コマンドデータによって前記第1造形材料の層が吐出される時間を表す吐出時間が、予め定められた基準時間以上である場合、前記第2ノズルから前記造形領域とは異なる領域に前記第2造形材料を排出させるパージコマンドを含む前記クリーニングコマンドデータを生成し、前記吐出時間が前記基準時間未満である場合、前記パージコマンドを含まない前記クリーニングコマンドデータを生成する。このような形態によれば、第1吐出時間が比較的短い場合であっても、第2クリーニング開始コマンドと第2クリーニング停止コマンドとを、第1積層開始コマンドと第1積層停止コマンドとの間に実行されるコマンドとして容易に生成できる。また、例えば、第2クリーニングコマンドを、一律にパージコマンドを含まないコマンドとして生成する形態と比較して、第2積層処理において吐出される第2造形材料の品質を高めることができる。
【符号の説明】
【0112】
10…ヘッド、10a…第1ヘッド、10b…第2ヘッド、11…材料供給部、11a…第1材料供給部、11b…第2材料供給部、12…可塑化部、12a…第1可塑化部、12b…第2可塑化部、13…吐出部、13a…第1吐出部、13b…第2吐出部、15…連通路、20…ステージ、21…造形面、30…位置変更部、31…第1電動アクチュエーター、32…第2電動アクチュエーター、33…第3電動アクチュエーター、40…加熱部、41…可動部、42…開口、50…ノズル移動部、60…クリーニング部、60a…第1クリーニング部、60b…第2クリーニング部、70…制御部、100…三次元造形装置、110…スクリュー、111…溝形成面、112…中央部、113…溝、114…材料投入口、115…凸条部、120…スクリューケース、130…駆動モーター、140…バレル、141…対向面、142…連通孔、143…案内溝、144…可塑化ヒーター、151…ノズル、151a…第1ノズル、151b…第2ノズル、152…ノズル開口、152a…第1ノズル開口、152b…第2ノズル開口、153…流路、154…吐出調整部、156…吸引部、200…三次元造形システム、210…クリーニング移動部、210a…第1クリーニング移動部、210b…第2クリーニング移動部、211…ガイドフレーム、212…駆動ベルト、213…第1リール、214…第2リール、215…ベルト駆動部、220…クリーニングユニット、220a…第1クリーニングユニット、220b…第2クリーニングユニット、221…クリーニング部材、222…クリーニングボックス、224…回収部、225…連結部、230…廃棄材料収容部、230a…第1廃棄材料収容部、230b…第2廃棄材料収容部、400…データ生成装置、410…CPU、411…データ生成部、420…メモリー、430…記憶装置、440…通信インターフェイス、450…入出力インターフェイス、460…バス、470…入力装置、480…表示装置
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