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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082775
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】ノンアルコールビールテイスト飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20240613BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20240613BHJP
A23L 2/64 20060101ALI20240613BHJP
【ＦＩ】
A23L2/00 B
A23L2/38 C
A23L2/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2022196872
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100158698
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 基樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 利久
(72)【発明者】
【氏名】大取 靖秀
【テーマコード（参考）】
4B117
【Ｆターム（参考）】
4B117LC03
4B117LC14
4B117LG16
4B117LG18
4B117LK06
4B117LK08
4B117LK30
(57)【要約】
【課題】大麦または麦芽を原料として使用しながら麦汁臭が抑制されたノンアルコールビールテイスト飲料を提供する。
【解決手段】大麦または麦芽を原料として使用し、アルコール度数が１ｖ／ｖ％未満であり、さらにイソ酪酸イソブチルを２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下含有するノンアルコールビールテイスト飲料とすることにより、前記課題を解決する。
【選択図】なし
【解決手段】大麦または麦芽を原料として使用し、アルコール度数が１ｖ／ｖ％未満であり、さらにイソ酪酸イソブチルを２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下含有するノンアルコールビールテイスト飲料とすることにより、前記課題を解決する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大麦または麦芽を原料として使用した、アルコール度数が１ｖ／ｖ％未満のノンアルコールビールテイスト飲料であって、
イソ酪酸イソブチルを２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下含有する、ノンアルコールビールテイスト飲料。
イソ酪酸イソブチルを２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下含有する、ノンアルコールビールテイスト飲料。
【請求項2】
さらに、フェネチルアルコールを１ｍｇ／Ｌ超含有する、請求項１に記載のノンアルコールビールテイスト飲料。
【請求項3】
前記イソ酪酸イソブチルの含有量が４００μｇ／Ｌ以上２０００μｇ／Ｌ以下である、請求項１または２に記載のノンアルコールビールテイスト飲料。
【請求項4】
前記アルコール度数が０．０５ｖ／ｖ％未満である、請求項１または２に記載のノンアルコールビールテイスト飲料。
【請求項5】
非発酵飲料である、請求項１または２に記載のノンアルコールビールテイスト飲料。
【請求項6】
大麦または麦芽を原料として使用した、アルコール度数が１ｖ／ｖ％未満のノンアルコールビールテイスト飲料の製造方法であって、
イソ酪酸イソブチルを２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下含有させる工程を備える、ノンアルコールビールテイスト飲料の製造方法。
イソ酪酸イソブチルを２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下含有させる工程を備える、ノンアルコールビールテイスト飲料の製造方法。
【請求項7】
大麦または麦芽を原料として使用した、アルコール度数が１ｖ／ｖ％未満のノンアルコールビールテイスト飲料において、イソ酪酸イソブチルの含有量を２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下とすることを特徴とする、ノンアルコールビールテイスト飲料における麦汁臭抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノンアルコールビールテイスト飲料、その製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
健康志向によるアルコール摂取量の調整や自動車等の運転に対する意識の高まりなどを背景として、アルコール分をほとんどあるいは全く含まないノンアルコールビールテイスト飲料の需要が高まっており、その開発が多く行われている。そして、ノンアルコールビールテイスト飲料においては、ビールなどのビールテイストアルコール飲料にはない臭気・香りを感じる場合があり、その抑制技術の開発も行われている。
【0003】
例えば特許文献１には、ゲラニルアセテートの含有量が５ｐｐｂ以上、およびゲラニオールの含有量が３０ｐｐｂ以上のいずれか一方または両方を満たす、芋・粥様の香気を低減したノンアルコールビールテイスト飲料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開２０２１－９３９５０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、大麦または麦芽を原料として使用したノンアルコールビールテイスト飲料では、この大麦や麦芽の使用により飲み応えなどを高めることができるが、不快な麦汁臭（大麦または麦芽を使用して調製された糖化液等の独特な臭気）を感じ易くなってしまう場合がある。そして、この麦汁臭の抑制について様々な取り組みがなされてはいるが、さらなる改善の余地がある。
【0006】
そこで本発明は、大麦または麦芽を原料として使用しながら麦汁臭が抑制されたノンアルコールビールテイスト飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明者は鋭意検討し、香気成分であるイソ酪酸イソブチルが、大麦または麦芽を原料として使用したノンアルコールビールテイスト飲料の麦汁臭抑制に効果を発揮することを明らかにした。そして、この知見から、大麦または麦芽を原料として使用し、アルコール度数が１ｖ／ｖ％未満であり、さらにイソ酪酸イソブチルを２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下含有するノンアルコールビールテイスト飲料とすることにより、大麦または麦芽を原料として使用しながら麦汁臭が抑制されたものとなることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は次の＜１＞～＜７＞である。
＜１＞大麦または麦芽を原料として使用した、アルコール度数が１ｖ／ｖ％未満のノンアルコールビールテイスト飲料であって、イソ酪酸イソブチルを２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下含有する、ノンアルコールビールテイスト飲料。
＜２＞さらに、フェネチルアルコールを１ｍｇ／Ｌ超含有する、＜１＞に記載のノンアルコールビールテイスト飲料。
＜３＞前記イソ酪酸イソブチルの含有量が４００μｇ／Ｌ以上２０００μｇ／Ｌ以下である、＜１＞または＜２＞に記載のノンアルコールビールテイスト飲料。
＜４＞前記アルコール度数が０．０５ｖ／ｖ％未満である、＜１＞～＜３＞のいずれか１つに記載のノンアルコールビールテイスト飲料。
＜５＞非発酵飲料である、＜１＞～＜４＞のいずれか１つに記載のノンアルコールビールテイスト飲料。
＜６＞大麦または麦芽を原料として使用した、アルコール度数が１ｖ／ｖ％未満のノンアルコールビールテイスト飲料の製造方法であって、イソ酪酸イソブチルを２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下含有させる工程を備える、ノンアルコールビールテイスト飲料の製造方法。
＜７＞大麦または麦芽を原料として使用した、アルコール度数が１ｖ／ｖ％未満のノンアルコールビールテイスト飲料において、イソ酪酸イソブチルの含有量を２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下とすることを特徴とする、ノンアルコールビールテイスト飲料における麦汁臭抑制方法。
＜１＞大麦または麦芽を原料として使用した、アルコール度数が１ｖ／ｖ％未満のノンアルコールビールテイスト飲料であって、イソ酪酸イソブチルを２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下含有する、ノンアルコールビールテイスト飲料。
＜２＞さらに、フェネチルアルコールを１ｍｇ／Ｌ超含有する、＜１＞に記載のノンアルコールビールテイスト飲料。
＜３＞前記イソ酪酸イソブチルの含有量が４００μｇ／Ｌ以上２０００μｇ／Ｌ以下である、＜１＞または＜２＞に記載のノンアルコールビールテイスト飲料。
＜４＞前記アルコール度数が０．０５ｖ／ｖ％未満である、＜１＞～＜３＞のいずれか１つに記載のノンアルコールビールテイスト飲料。
＜５＞非発酵飲料である、＜１＞～＜４＞のいずれか１つに記載のノンアルコールビールテイスト飲料。
＜６＞大麦または麦芽を原料として使用した、アルコール度数が１ｖ／ｖ％未満のノンアルコールビールテイスト飲料の製造方法であって、イソ酪酸イソブチルを２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下含有させる工程を備える、ノンアルコールビールテイスト飲料の製造方法。
＜７＞大麦または麦芽を原料として使用した、アルコール度数が１ｖ／ｖ％未満のノンアルコールビールテイスト飲料において、イソ酪酸イソブチルの含有量を２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下とすることを特徴とする、ノンアルコールビールテイスト飲料における麦汁臭抑制方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、大麦または麦芽を原料として使用しながら麦汁臭が抑制されたノンアルコールビールテイスト飲料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明について説明する。
本発明は、大麦または麦芽を原料として使用し、アルコール度数が１ｖ／ｖ％未満であり、さらにイソ酪酸イソブチルを２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下含有するノンアルコールビールテイスト飲料（以下においては「本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料」という場合もある）、ならびに、イソ酪酸イソブチルを２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下含有させる工程を備える、大麦または麦芽を原料として使用したアルコール度数が１ｖ／ｖ％未満のノンアルコールビールテイスト飲料の製造方法（以下においては「本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料の製造方法」という場合もある）である。
本発明は、大麦または麦芽を原料として使用し、アルコール度数が１ｖ／ｖ％未満であり、さらにイソ酪酸イソブチルを２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下含有するノンアルコールビールテイスト飲料（以下においては「本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料」という場合もある）、ならびに、イソ酪酸イソブチルを２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下含有させる工程を備える、大麦または麦芽を原料として使用したアルコール度数が１ｖ／ｖ％未満のノンアルコールビールテイスト飲料の製造方法（以下においては「本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料の製造方法」という場合もある）である。
【0011】
なお、本発明において「ビールテイスト飲料」とは、ビールらしい香味、つまりビール様の香味を有する飲料を意味する。言い換えれば、酒税法（令和元年法律第六十三号）により定義されるビールのような香味を有する飲料である。したがって、本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料は、ビール様の香味を有するノンアルコール飲料である。
【0012】
また、本発明において「ノンアルコール飲料」とは、アルコール度数が１ｖ／ｖ％未満である飲料を意味し、このアルコール度数は０．９ｖ／ｖ％未満、さらには０．７ｖ／ｖ％未満、さらには０．５ｖ／ｖ％未満、さらには０．１ｖ／ｖ％未満、さらには０．０５ｖ／ｖ％未満であってもよい。本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料は、後述する構成等により、アルコール度数が０．０５ｖ／ｖ％未満の飲料であっても十分な効果が発揮されることが特徴である。
ここで、この「アルコール度数（ｖ／ｖ％）」とは、改訂ＢＣОＪビール分析法（公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、２０１３年増補改訂）の「８．３ アルコール」に記載されている方法（８．３．７ヘッドスペースＧＣ－ＦＩＤ法）によって測定される値である（以下においても同様である）。そして、本発明において「アルコール」とは、エタノールを意味する。
ここで、この「アルコール度数（ｖ／ｖ％）」とは、改訂ＢＣОＪビール分析法（公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、２０１３年増補改訂）の「８．３ アルコール」に記載されている方法（８．３．７ヘッドスペースＧＣ－ＦＩＤ法）によって測定される値である（以下においても同様である）。そして、本発明において「アルコール」とは、エタノールを意味する。
【0013】
以下、本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料の構成等について詳細に説明する。
【0014】
本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料は、大麦または麦芽を原料として使用し且つアルコール度数が１ｖ／ｖ％未満であり、さらにイソ酪酸イソブチル（Ｉｓｏｂｕｔｙｌ ｉｓｏｂｕｔｙｒａｔｅ：Ｃ８Ｈ１６Ｏ２、ＣＡＳ Ｎｏ．９７－８５－８）を２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下含有する。これにより、大麦または麦芽を原料として使用しながら麦汁臭（大麦または麦芽を使用して調製された糖化液等の独特な臭気）が抑制されたノンアルコールビールテイスト飲料とすることができる。そして、香味全体のバランスも高めることが可能となる。このイソ酪酸イソブチルは香気成分の１つであって、下記式（１）で表される化合物である。
【0015】
【化1】
【0016】
そして、本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料においては、このイソ酪酸イソブチルを上記したように２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下と比較的多い含有量とするが、麦汁臭をより抑制し易くなることなどから、この下限は３００μｇ／Ｌ以上であるのがより好ましく、３５０μｇ／Ｌ以上であるのがさらに好ましく、４００μｇ／Ｌ以上であるのがさらに好ましく、４５０μｇ／Ｌ以上であるのがさらに好ましく、５００μｇ／Ｌ以上であるのがさらに好ましく、５５０μｇ／Ｌ以上であるのがさらに好ましく、６００μｇ／Ｌ以上であるのがさらに好ましく、６５０μｇ／Ｌ以上であるのがさらに好ましく、７００μｇ／Ｌ以上であるのがさらに好ましい。上限は、エグ味（飲料を飲んだ際に後に残るエグ味）を感じにくくし易いことなどから、３０００μｇ／Ｌ以下であるのが好ましく、２５００μｇ／Ｌ以下であるのがより好ましく、２０００μｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、１５００μｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、１３００μｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、１０００μｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、９００μｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましい。例えば、このイソ酪酸イソブチルの含有量は、４００μｇ／Ｌ以上２０００μｇ／Ｌ以下であると上記効果が十分に発揮され易いため好適である。なお、このイソ酪酸イソブチル含有量は、市販されているイソ酪酸イソブチル（例えば純品や精製品など）やイソ酪酸イソブチル含有原料（香料やホップなど）の使用により調整することができ、これらを複数併用してもよい。
【0017】
さらに、本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料は、さらにフェネチルアルコール（Ｐｈｅｎｅｔｈｙｌ ａｌｃｏｈｏｌ：Ｃ８Ｈ１０Ｏ、ＣＡＳ Ｎｏ．６０－１２－８）を１ｍｇ／Ｌ超含有すると好適である。前述した所定量のイソ酪酸イソブチルとの相乗効果により、麦汁臭をより抑制し易くなるからである。また、香味全体のバランスもより高め易くなる。このフェネチルアルコールも香気成分の１つである。
【0018】
そして、本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料においては、このフェネチルアルコールの含有量を上記したように１ｍｇ／Ｌ超とするのが好ましいが、この下限は５ｍｇ／Ｌ以上とするのがより好ましく、１０ｍｇ／Ｌ以上とするのがさらに好ましく、１５ｍｇ／Ｌ以上とするのがさらに好ましく、２０ｍｇ／Ｌ以上とするのがさらに好ましい。上記した所定量のイソ酪酸イソブチルとの相乗効果をより発揮させ易くすることができるからである。この上限は、エグ味（飲料を飲んだ際に後に残るエグ味）を感じにくくし易いことなどから、３００ｍｇ／Ｌ以下であるのが好ましく、２００ｍｇ／Ｌ以下であるのがより好ましく、１５０ｍｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、１００ｍｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、７０ｍｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、５０ｍｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、４０ｍｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましく、３５ｍｇ／Ｌ以下であるのがさらに好ましい。例えば、このフェネチルアルコール含有量は、１０ｍｇ／Ｌ以上２００ｍｇ／Ｌ以下であるとより好適である。なお、このフェネチルアルコール含有量は、市販されているフェネチルアルコール（例えば純品や精製品など）やフェネチルアルコール含有原料（香料、植物抽出物など）の使用や、発酵飲料製造におけるアルコール発酵工程により調整することができ、これらを複数併用してもよい。
【0019】
また、本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料においては、本発明の効果がより発揮され易くなることから、イソ酪酸イソブチル含有量とこのフェネチルアルコール含有量との比率を所定の範囲内に調整するとより好適である。
具体的には、本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料において、イソ酪酸イソブチルに対するフェネチルアルコールの質量比（フェネチルアルコール（μｇ）／イソ酪酸イソブチル（μｇ））を１．０以上とするのがより好ましく、５．０以上とするのがさらに好ましく、１０以上とするのがさらに好ましく、１２以上とするのがさらに好ましく、１５以上とするのがさらに好ましく、２０以上とするのがさらに好ましく、２５以上とするのがさらに好ましく、３０以上とするのがさらに好ましい。上限は、７０以下とするのが好ましく、６０以下とするのがより好ましく、５０以下とするのがさらに好ましく、４５以下とするのがさらに好ましい。
具体的には、本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料において、イソ酪酸イソブチルに対するフェネチルアルコールの質量比（フェネチルアルコール（μｇ）／イソ酪酸イソブチル（μｇ））を１．０以上とするのがより好ましく、５．０以上とするのがさらに好ましく、１０以上とするのがさらに好ましく、１２以上とするのがさらに好ましく、１５以上とするのがさらに好ましく、２０以上とするのがさらに好ましく、２５以上とするのがさらに好ましく、３０以上とするのがさらに好ましい。上限は、７０以下とするのが好ましく、６０以下とするのがより好ましく、５０以下とするのがさらに好ましく、４５以下とするのがさらに好ましい。
【0020】
ここで、本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料におけるイソ酪酸イソブチル含有量、およびフェネチルアルコール含有量はいずれも、サンプルを適宜希釈して、ガスクロマトグラフィー質量分析（ＧＣ－ＭＳ）法により測定することができる。
【0021】
そして、本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料は、原料として大麦または麦芽を使用する。この大麦または麦芽は、大麦エキスまたはモルトエキスなどの加工物として使用してもよい。また、これらから選ばれる２以上を併用してもよい。なお、麦芽とは、麦（特に大麦）を発芽させ焙燥した後に根を除くことにより得られるものであり、濃色麦芽や淡色麦芽などが包含される。そして、大麦エキスとは、大麦から糖分および窒素分を含むエキス分を抽出することにより得られるものである。さらに、モルトエキスとは、麦芽から糖分および窒素分を含むエキス分を抽出することにより得られるものである。
【0022】
本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料では、原料としてこの大麦または麦芽を使用して糖化液（麦汁等）などを調製し、この糖化液などを調合等に用いる。具体的には、粉砕した大麦または麦芽に湯を加えて一定温度（例えば３０～８０℃程度）で維持して糖化を行い、その後、固形物を除去してから煮沸を行い、糖化液を得る方法が例示される。大麦エキスやモルトエキスを使用する場合には、水（冷水、湯など）とこれらから選ばれる１以上を混合して糖分含有液を得る方法が例示される。この場合も、混合後に煮沸を行ってもよい。さらに、これらを併用してもよい。したがって、本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料は、大麦または麦芽を使用して調製された糖化液または糖分含有液を含む実施形態であるとも言える。
【0023】
なお、本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料は、大麦または麦芽を原料として使用し、且つ、原麦汁エキス濃度が０．５ｗ／ｗ％以上、さらには１．０ｗ／ｗ％以上、さらには１．５ｗ／ｗ％以上、さらには２．０ｗ／ｗ％以上であっても効果が十分に発揮される。この上限は、１５ｗ／ｗ％以下であってよく、１３ｗ／ｗ％以下であってもよい。
ここで、この「原麦汁エキス濃度」とは、ノンアルコールビールテイスト飲料に含まれる糖分の含有量を示すものであって、例えば、国税庁所定分析法（訓令）３清酒３－３比重（日本酒度）及び３－４アルコール分（振動式密度計法）に基づいて測定することができる。
ここで、この「原麦汁エキス濃度」とは、ノンアルコールビールテイスト飲料に含まれる糖分の含有量を示すものであって、例えば、国税庁所定分析法（訓令）３清酒３－３比重（日本酒度）及び３－４アルコール分（振動式密度計法）に基づいて測定することができる。
【0024】
同様に、本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料は、麦芽を原料として使用し、且つ、麦芽使用比率が５０質量％以上、さらには６０質量％以上、さらには７０質量％以上、さらには８０質量％以上、さらには９０質量％以上、さらには１００質量％（オールモルト）であっても効果が十分に発揮される。
この「麦芽使用比率」とは、「酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達－第３条その他の用語の定義（ビールの定義）３項－麦芽の重量計算」に定められた水およびホップ以外の原料に占める麦芽の割合を意味する。
この「麦芽使用比率」とは、「酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達－第３条その他の用語の定義（ビールの定義）３項－麦芽の重量計算」に定められた水およびホップ以外の原料に占める麦芽の割合を意味する。
【0025】
そして、本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料は、原料として大麦または麦芽を使用する限りにおいて、これら以外の原料を併用して糖化液等を調製してもよい。例えば、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦、米、とうもろこし、豆類、果実などを使用することができる。しかしながら、本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料は、大麦または麦芽から調製された糖化液または糖分含有液（特に麦芽から調製された麦汁）を使用した場合でも効果は十分に発揮される。つまり、大麦および麦芽以外の糖化用原料を用いずに糖化液等を調製しても効果は十分に発揮される。
【0026】
本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料にホップを使用する場合、このホップの種類としては、乾燥ホップ、ホップペレット、ホップエキスなどが例示される。また、このホップは、ローホップ、ヘキサホップ、テトラホップ、イソ化ホップエキス等であってもよい。これらは単独で使用してもよいし、２種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、限定されるものではないが、前述した糖化液等の調製（例えば糖化後の煮沸時）においてホップを添加して使用するのがより好ましい。
【0027】
本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料の苦味価（ＢＵ）は、１０以上であってもよく、１５以上であってもよく、２０以上であってもよい。また、上限は、５０以下であってもよく、４５以下であってもよく、４０以下であってもよい。この苦味価（ＢＵ）は、ホップ等の使用量、種類、添加のタイミングなどによって調整することができる。
ここで、この「苦味価（ＢＵ）」とは、改訂ＢＣＯＪビール分析法（公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、２０１３年増補改訂）の「８．１５ 苦味価」に記載されている方法によって測定される値である。
ここで、この「苦味価（ＢＵ）」とは、改訂ＢＣＯＪビール分析法（公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、２０１３年増補改訂）の「８．１５ 苦味価」に記載されている方法によって測定される値である。
【0028】
さらに、本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料には、本発明の効果に大きな影響を与えない範囲において、飲料に使用可能な原料、例えば酸味料、苦味料、着色料、甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、塩類、香辛料、香料等をさらに使用してもよい。酸味料としては、例えば、リン酸、乳酸、乳酸ナトリウム、ＤＬ－リンゴ酸、ＤＬ－リンゴ酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、アジピン酸、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、ＤＬ－酒石酸、Ｌ－酒石酸、ＤＬ－酒石酸ナトリウム、Ｌ－酒石酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウムなどが挙げられる。苦味料としては、例えば、カフェイン、ナリンジン、イソα酸などが挙げられる。着色料としては、例えば、カラメル色素、クチナシ色素、果汁色素、野菜色素、合成色素などが挙げられる。甘味料としては、例えば、液糖や糖アルコールが挙げられる。高甘味度甘味料としては、例えば、ネオテーム、アセスルファムＫ、スクラロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、リチルリチン酸二ナトリウム、チクロ、ズルチン、ステビア、グリチルリチン、ソーマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテームなどが挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンＣ、ビタミンＥ、ポリフェノールなどが挙げられる。塩類としては、例えば、食塩（塩化ナトリウム）、酸性リン酸カリウム、酸性リン酸カルシウム、リン酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
また、本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料は、本発明の効果に大きな影響を与えない範囲であれば、上記以外の任意の成分をさらに含んでいてもよい。
また、本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料は、本発明の効果に大きな影響を与えない範囲であれば、上記以外の任意の成分をさらに含んでいてもよい。
【0029】
そして、本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料は、その製造において、酵母によるアルコール発酵工程（酵母が糖類などの有機物から代謝産物であるアルコールを生成する工程）を経てアルコール度数が１ｖ／ｖ％未満となるように製造された発酵飲料であってもよく、さらには、アルコール度数が１ｖ／ｖ％以上の発酵アルコール飲料からアルコール分を除去したノンアルコールビールテイスト飲料であってもよい。あるいは、その製造において、アルコール発酵工程を行うことなく製造された非発酵飲料であってもよい。なお、本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料は、前述した構成等により、アルコール発酵工程を経ていない非発酵飲料（非発酵ノンアルコールビールテイスト飲料）であっても十分な効果が発揮される。
【0030】
さらに、本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料は非発泡性であってもよいが、発泡性飲料であるのが好適である。ここで、本発明において「発泡性」とは、２０℃における炭酸ガス圧が０．０４９ＭＰａ（０．５ｋｇ／ｃｍ２）以上であることを意味し、「非発泡性」とは、２０℃における炭酸ガス圧が０．０４９ＭＰａ（０．５ｋｇ／ｃｍ２）未満であることを意味する。この炭酸ガス圧は、国税庁所定分析法（訓令）「８－３ガス圧」に基づいて測定することができる。そして、発泡性飲料である場合においては、この炭酸ガス圧は０．２９４ＭＰａ（３．０ｋｇ／ｃｍ２）以下としてもよい。なお、この炭酸ガスは、発酵により生成されたものであってもよいし、炭酸水やカーボネーション（炭酸ガス圧入）工程により付与されたものであってもよい。そして、このカーボネーション工程は、バッチ式で行ってもよいし、配管路に炭酸ガス圧入システム（カーボネーター）が組み込まれたインライン方式で連続的に行ってもよい。また、このカーボネーション工程は、フォーミング（泡噴き）の発生等を避けるために、液温を１０℃以下（より好ましくは４℃以下）として行うのが好適である。
【0031】
本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料の色度は、限定されるものではないが、４°ＥＢＣ以上５０°ＥＢＣ以下であってよい。この下限は、５°ＥＢＣ以上であってもよく、また上限は、４０°ＥＢＣ以下であってもよく、３０°ＥＢＣ以下であってもよく、２０°ＥＢＣ以下であってもよく、１５°ＥＢＣ以下であってもよく、１０°ＥＢＣ以下であってもよい。
ここで、この「色度（°ＥＢＣ）」とは、改訂ＢＣＯＪビール分析法（公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、２０１３年増補改訂）の「８．８ 色度 ８．８．２吸光度法」に記載されている方法によって測定される値である。
ここで、この「色度（°ＥＢＣ）」とは、改訂ＢＣＯＪビール分析法（公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、２０１３年増補改訂）の「８．８ 色度 ８．８．２吸光度法」に記載されている方法によって測定される値である。
【0032】
以上のような構成である本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料は、大麦または麦芽を原料として使用しながら麦汁臭が抑制されたものとなる。
なお、本発明は、大麦または麦芽を原料として使用した、アルコール度数が１ｖ／ｖ％未満のノンアルコールビールテイスト飲料において、イソ酪酸イソブチルの含有量を２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下とする、ノンアルコールビールテイスト飲料における麦汁臭抑制方法を提供するものであるとも言える。
なお、本発明は、大麦または麦芽を原料として使用した、アルコール度数が１ｖ／ｖ％未満のノンアルコールビールテイスト飲料において、イソ酪酸イソブチルの含有量を２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下とする、ノンアルコールビールテイスト飲料における麦汁臭抑制方法を提供するものであるとも言える。
【0033】
次に、本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料の製造方法について詳細に説明する。
【0034】
本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料の製造方法は、大麦または麦芽を原料として使用した、アルコール度数が１ｖ／ｖ％未満のノンアルコールビールテイスト飲料の製造方法であって、イソ酪酸イソブチルを２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下含有させる工程を備えていれば、その他の工程については特段限定されない。なお、大麦または麦芽を用いて糖化液（麦汁等）または糖分含有液を調製する工程を備えているのが好適であり、この糖化液等を用いてイソ酪酸イソブチルを２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下含む調合液とするのが好ましい。さらに、アルコール度数を１ｖ／ｖ％未満に調整する工程などを備えていてもよい。また、フェネチルアルコールを１ｍｇ／Ｌ含有させる工程をさらに備えていてもよい。そして、上記の各成分を前述したような含有量とする工程としてもよく、例えば、イソ酪酸イソブチル含有量を４００μｇ／Ｌ以上２０００μｇ／Ｌ以下とする工程やフェネチルアルコール含有量を１０ｍｇ／Ｌ以上２００ｍｇ／Ｌ以下とする工程などとしてもよい。なお、上記した各工程は１工程において併せて行ってもよく、あるいは各工程の少なくとも１つを２工程以上に分けて行ってもよい。
そして、上記した各工程は、後述するように、非発酵ビールテイスト飲料製造における調合前工程（原料調製工程等）、調合工程、調合後工程などにおいて行うことができる。
そして、上記した各工程は、後述するように、非発酵ビールテイスト飲料製造における調合前工程（原料調製工程等）、調合工程、調合後工程などにおいて行うことができる。
【0035】
本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料の製造方法の一例としては、非発酵飲料を製造する場合、まず調合工程として、大麦または麦芽を使用して調製された糖化液（例えば麦汁）や糖分含有液、イソ酪酸イソブチル含有原料（例えば香料、ホップ等）などを使用し、必要であればフェネチルアルコール含有原料（例えば香料、植物抽出物等）や他の原料なども添加し、所定量のイソ酪酸イソブチルを含む調合液を調製する。さらに、これも必要に応じてホップ、炭酸水等の添加、カーボネーション等による炭酸ガス圧の調整などを行う。なお、前述したように、ホップの使用は糖化液等の調製時であってもよい。その後、濾過工程（フィルター濾過、ストレーナー濾過等）、殺菌工程（プレート殺菌等）などを行って、最終的に（最終製品として）、イソ酪酸イソブチルの含有量が２５０μｇ／Ｌ以上４０００μｇ／Ｌ以下であるノンアルコールビールテイスト飲料とする。さらに、このノンアルコールビールテイスト飲料をアルミニウム製やスチール製などの金属製容器、ガラス製容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ（プラスチックパウチ）容器、樽容器などに充填して密封する容器充填工程を行ってもよい。このような容器詰飲料とすることにより、香味などの経時劣化を抑制しやすいだけでなく、流通や販売などにおける利便性がより高まる。特に、気体、水分、光線などの遮断性が高く、長期間常温において品質を維持することが可能であることから、金属製容器に充填され密封された構成とするのがより好ましい。
【0036】
以上のような構成である本発明に係るノンアルコールビールテイスト飲料の製造方法により製造された本発明に係るビールテイスト飲料は、前述したように、大麦または麦芽を原料として使用しながら麦汁臭が抑制されたものとなる。
【0037】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において様々な変形が可能である。
【実施例0038】
＜ノンアルコールビールテイスト飲料の調製および官能評価Ｉ＞
まず、大麦麦芽を使用して麦汁を調製した。すなわち、粉砕した大麦麦芽を使用してタンパク休止、第一糖化、第二糖化を行った。さらに、この糖化後の混合液から大麦麦芽の穀皮を除去し、その後、ホップを添加して煮沸を行った。煮沸後の混合液を麦汁として得た。そして、この麦汁にイソ酪酸イソブチル、酸味料、炭酸水等を加え、アルコール度数が０ｖ／ｖ％（０．００ｖ／ｖ％）、原麦汁エキス濃度が３ｗ／ｗ％、ｐＨ３．８、２０℃における炭酸ガス圧が０．２３ＭＰａであり、イソ酪酸イソブチル含有量が下記表１上段に記載の量であるノンアルコールビールテイスト飲料サンプル（サンプル１～７）を調製した。
まず、大麦麦芽を使用して麦汁を調製した。すなわち、粉砕した大麦麦芽を使用してタンパク休止、第一糖化、第二糖化を行った。さらに、この糖化後の混合液から大麦麦芽の穀皮を除去し、その後、ホップを添加して煮沸を行った。煮沸後の混合液を麦汁として得た。そして、この麦汁にイソ酪酸イソブチル、酸味料、炭酸水等を加え、アルコール度数が０ｖ／ｖ％（０．００ｖ／ｖ％）、原麦汁エキス濃度が３ｗ／ｗ％、ｐＨ３．８、２０℃における炭酸ガス圧が０．２３ＭＰａであり、イソ酪酸イソブチル含有量が下記表１上段に記載の量であるノンアルコールビールテイスト飲料サンプル（サンプル１～７）を調製した。
【0039】
そして、得られた各サンプルにおける、麦汁臭、エグ味（飲料を飲んだ際に後に残るエグ味）、およびノンアルコールビールテイスト飲料としての総合評価（香味全体のバランス）について、訓練され官能的識別能力を備えた４名のパネリストにより、以下に示す評価基準を用いて各サンプルを官能評価した。
【0040】
［麦汁臭の評価基準］
サンプル１における麦汁臭を１（強く感じる）とし、このサンプル１との対比として、それぞれ、１（強く感じる、サンプル１と同等）から５（感じない）の５段階により比較官能評価を行った。
サンプル１における麦汁臭を１（強く感じる）とし、このサンプル１との対比として、それぞれ、１（強く感じる、サンプル１と同等）から５（感じない）の５段階により比較官能評価を行った。
【0041】
［エグ味の評価基準］
サンプル１におけるエグ味（飲料を飲んだ際に後に残るエグ味）を１（感じない）とし、このサンプル１との対比として、それぞれ、１（感じない、サンプル１と同等）から５（強く感じる）の５段階により比較官能評価を行った。なお、この項目は点数が低いほど高い評価となる。
サンプル１におけるエグ味（飲料を飲んだ際に後に残るエグ味）を１（感じない）とし、このサンプル１との対比として、それぞれ、１（感じない、サンプル１と同等）から５（強く感じる）の５段階により比較官能評価を行った。なお、この項目は点数が低いほど高い評価となる。
【0042】
［ノンアルコールビールテイスト飲料としての総合評価の評価基準］
ノンアルコールビールテイスト飲料としての総合評価（香味全体のバランス）を、１（悪い）から５（良い）の５段階によって絶対評価を行った。
ノンアルコールビールテイスト飲料としての総合評価（香味全体のバランス）を、１（悪い）から５（良い）の５段階によって絶対評価を行った。
【0043】
この官能評価結果（４名のパネリストの評価平均値）を下記表１下段に示した。この結果から、イソ酪酸イソブチルの含有量が３００μｇ／Ｌ以上３０００μｇ／Ｌ以下であるサンプル２～６は、麦芽を原料として使用しながら麦汁臭が抑制されていることが明らかとなった。特に、サンプル３～５は、麦汁臭がかなり抑制され且つ総合評価（香味全体のバランス）もより優れたものとなっていた。
【0044】
【表1】
【0045】
＜ノンアルコールビールテイスト飲料の調製および官能評価ＩＩ＞
上記Ｉと同様にして調製した麦汁にイソ酪酸イソブチル、フェネチルアルコール、酸味料、炭酸水等を加え、アルコール度数が０ｖ／ｖ％（０．００ｖ／ｖ％）、原麦汁エキス濃度が３ｗ／ｗ％、ｐＨ３．８、２０℃における炭酸ガス圧が０．２３ＭＰａであり、イソ酪酸イソブチル含有量およびフェネチルアルコール含有量が下記表２上段に記載の量であるノンアルコールビールテイスト飲料サンプル（サンプル８～１２）を調製した。
上記Ｉと同様にして調製した麦汁にイソ酪酸イソブチル、フェネチルアルコール、酸味料、炭酸水等を加え、アルコール度数が０ｖ／ｖ％（０．００ｖ／ｖ％）、原麦汁エキス濃度が３ｗ／ｗ％、ｐＨ３．８、２０℃における炭酸ガス圧が０．２３ＭＰａであり、イソ酪酸イソブチル含有量およびフェネチルアルコール含有量が下記表２上段に記載の量であるノンアルコールビールテイスト飲料サンプル（サンプル８～１２）を調製した。
【0046】
そして、得られた各サンプルにおける麦汁臭、エグ味（飲料を飲んだ際に後に残るエグ味）、およびノンアルコールビールテイスト飲料としての総合評価（香味全体のバランス）について、上記Ｉと同じ方法および評価基準により官能評価を行った。
【0047】
この官能評価結果（４名のパネリストの評価平均値）を下記表２下段に示した。この結果から、イソ酪酸イソブチルを８００μｇ／Ｌ含有し、且つフェネチルアルコールを１０ｍｇ／Ｌ以上含有するサンプル９～１２は、このイソ酪酸イソブチルとフェネチルアルコールとの相乗効果によって、麦芽を原料として使用しながら麦汁臭が十分に抑制されたものとなっていた。特に、サンプル９～１１は、麦汁臭が十分に抑制され且つ総合評価（香味全体のバランス）もさらに優れたものとなっていた。
【0048】
【表2】
【0049】
＜ノンアルコールビールテイスト飲料の調製および官能評価ＩＩＩ＞
上記Ｉと同様にして調製した麦汁にイソ酪酸イソブチル、フェネチルアルコール、スピリッツ（アルコール度数：６５．５ｖ／ｖ％）、酸味料、炭酸水等を加え、アルコール度数が０．５ｖ／ｖ％または０．９ｖ／ｖ％であり、原麦汁エキス濃度が３ｗ／ｗ％、ｐＨ３．８、２０℃における炭酸ガス圧が０．２３ＭＰａであり、イソ酪酸イソブチル含有量およびフェネチルアルコール含有量が下記表３上段に記載の量であるノンアルコールビールテイスト飲料サンプル（サンプル１３～１４）を調製した。なお、下記表３では、参考として上記ＩＩのサンプル１０についても示した。
上記Ｉと同様にして調製した麦汁にイソ酪酸イソブチル、フェネチルアルコール、スピリッツ（アルコール度数：６５．５ｖ／ｖ％）、酸味料、炭酸水等を加え、アルコール度数が０．５ｖ／ｖ％または０．９ｖ／ｖ％であり、原麦汁エキス濃度が３ｗ／ｗ％、ｐＨ３．８、２０℃における炭酸ガス圧が０．２３ＭＰａであり、イソ酪酸イソブチル含有量およびフェネチルアルコール含有量が下記表３上段に記載の量であるノンアルコールビールテイスト飲料サンプル（サンプル１３～１４）を調製した。なお、下記表３では、参考として上記ＩＩのサンプル１０についても示した。
【0050】
そして、得られた各サンプルにおける麦汁臭、エグ味（飲料を飲んだ際に後に残るエグ味）、およびノンアルコールビールテイスト飲料としての総合評価（香味全体のバランス）について、上記Ｉと同じ方法および評価基準により官能評価を行った。
【0051】
この官能評価結果（４名のパネリストの評価平均値）を下記表３下段に示した。この結果から、イソ酪酸イソブチルを８００μｇ／Ｌ含有し、且つフェネチルアルコールを３０ｍｇ／Ｌ含有するサンプルとすることにより、アルコール分を微量含むものであっても同様に麦汁臭が十分に抑制されたものとなっていた。
【0052】
【表3】