(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082777
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0606 20160101AFI20240613BHJP
H01M 8/0662 20160101ALI20240613BHJP
C01B 3/04 20060101ALI20240613BHJP
C01B 3/56 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H01M8/0606
H01M8/0662
C01B3/04 B
C01B3/56 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196874
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】島村 遼一
(72)【発明者】
【氏名】松山 翔
(72)【発明者】
【氏名】内藤 一哉
(72)【発明者】
【氏名】倉田 怜
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 鉄也
【テーマコード(参考)】
4G140
5H127
【Fターム(参考)】
4G140FA02
4G140FB06
4G140FC01
4G140FD01
4G140FE02
5H127AB04
5H127AC15
5H127BA01
5H127BA21
5H127BA28
5H127BA57
(57)【要約】
【課題】省電力化を図ることができる燃料電池システムを提供すること。
【解決手段】燃料電池システム1は、アンモニアを貯留するアンモニアタンク2と、アンモニアタンク2から供給される前記アンモニアの一部を、窒素および水素に分解する第1プラズマリアクタ3と、第1プラズマリアクタ3から供給されるアンモニアの残部、窒素および水素の混合物から、アンモニアの残部を分離する分離膜4と、分離膜4から供給される前記アンモニアの残部を、窒素および水素に分解する第2プラズマリアクタ5と、分離膜4から供給される窒素および水素の混合物、および、第2プラズマリアクタ5から供給される窒素および水素の混合物が供給される燃料電池100とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアを貯留するアンモニアタンクと、
前記アンモニアタンクから供給される前記アンモニアの一部を、窒素および水素に分解する第1プラズマリアクタと、
前記第1プラズマリアクタから供給される前記アンモニアの残部、窒素および水素の混合物から、前記アンモニアの残部を分離する分離膜と、
前記分離膜から供給される前記アンモニアの残部を、窒素および水素に分解する第2プラズマリアクタと、
前記分離膜から供給される窒素および水素の混合物、および、前記第2プラズマリアクタから供給される窒素および水素の混合物が供給される燃料電池とを備える、燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から、燃料電池の燃料として、水素燃料が注目されている。このような水素燃料は、例えば、燃料改質装置によって製造される。燃料改質装置では、アンモニアを、窒素および水素に分解し、分解された水素を抽出する。
【0003】
このような燃料改質装置として、例えば、アンモニアを、プラズマにより改質して、高濃度水素ガスを生成する改質器を備える燃料改質装置が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、燃料改質において、省電力化が要求される。
【0006】
本発明は、省電力化を図ることができる燃料電池システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明[1]は、アンモニアを貯留するアンモニアタンクと、前記アンモニアタンクから供給される前記アンモニアの一部を、窒素および水素に分解する第1プラズマリアクタと、前記第1プラズマリアクタから供給される前記アンモニアの残部、窒素および水素の混合物から、前記アンモニアの残部を分離する分離膜と、前記分離膜から供給される前記アンモニアの残部を、窒素および水素に分解する第2プラズマリアクタと、前記分離膜から供給される窒素および水素の混合物、および、前記第2プラズマリアクタから供給される窒素および水素の混合物が供給される燃料電池とを備える、燃料電池システムである。
【0008】
このような構成によると、第1プラズマリアクタは、アンモニアタンクから供給されるアンモニアの一部を、窒素および水素に分解する。次いで、分離膜は、アンモニアの残部(第1プラズマリアクタにおいて未分解のアンモニア)を分離する。そして、第2プラズマリアクタは、分離膜から供給されるアンモニアの残部を、窒素および水素に分解する。このとき、第2プラズマリアクタにおけるアンモニアの残部の流量は、第1プラズマリアクタにおけるアンモニアの一部の流量よりも低くなる。そのため、第2プラズマリアクタにおいて、アンモニアの残部の滞留時間が長くなる。そうすると、第2プラズマリアクタは、第1プラズマリアクタよりも、低い電力でアンモニアの残部を分解できる。その結果、省電力化を図ることができる。そして、分離膜から供給される窒素および水素の混合物、および、第2プラズマリアクタから供給される窒素および水素の混合物は、燃料電池に供給される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の燃料電池システムによれば、省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の燃料電池システムの一実施形態を示す概略図である。
【
図2】
図2は、第1プラズマリアクタのアンモニア分解率(アンモニアの一部の量)と、出力電力との関係、および、第2プラズマリアクタのアンモニア分解率(アンモニアの残部の量)と、出力電力との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<燃料電池システム>
図1を参照して、本発明の燃料電池システムの一実施形態を詳述する。
【0012】
燃料電池システム1は、アンモニアタンク2と、第1プラズマリアクタ3と、アンモニア供給ライン10と、分離膜4と、アンモニア含有混合物供給ライン11と、第1アンモニア不含混合物供給ライン12と、レギュレータ13と、第2プラズマリアクタ5と、アンモニア残部供給ライン14と、第2アンモニア不含混合物供給ライン15と、制御部6と、燃料電池100とを備える。また、燃料電池システム1は、図示しないポンプを、適宜の位置に備える。そして、ポンプの駆動により、後述するアンモンア、水素、および、窒素を供給可能としている。
【0013】
<アンモニアタンク>
アンモニアタンク2は、アンモニア(気体)を貯留するタンクである。
【0014】
また、アンモニアタンク2は、アンモニアとアンモニア以外のガス(例えば、窒素)と含む混合ガスを、貯留することもできる。このような場合には、アンモニアの濃度は、例えば、5%以上、また、例えば、20%以下である。
【0015】
<第1プラズマリアクタ>
第1プラズマリアクタ3は、アンモニアタンク2から供給されるアンモニアの一部を、窒素および水素に分解する。詳しくは、第1プラズマリアクタ3は、第1プラズマリアクタ3を流れるアンモニアの全部のうち、一部(具体的には、第1プラズマリアクタ3を流れるアンモニアの、例えば、50%超過、好ましくは、70%以上、より好ましくは、85%以上、また、例えば、95%以下)を分解し、残部(具体的には、第1プラズマリアクタ3を流れるアンモニアの、例えば、5%以上、また、例えば、30%以下、好ましくは、15%以下、より好ましくは、50%未満)を、分解しない。以下の説明において、アンモニアの残部とは、第1プラズマリアクタ3において未分解のアンモニアを意味する。
【0016】
第1プラズマリアクタ3は、ケーシング30と、複数の電極31とを備える。
【0017】
ケーシング30は、中空の筒形状を有し、その長手方向が、アンモニアの流れ方向に沿うように、配置されている。複数の電極31は、ケーシング30内において、ケーシング30の長手方向に沿って、配置されている。また、複数の電極31は、ケーシング30の長手方向に直交する方向に沿って、互いに間隔を隔てて配置されている。また、ケーシング30内には、触媒(例えば、白金触媒)を配置することもできる。
【0018】
<アンモニア供給ライン>
アンモニア供給ライン10は、アンモニアタンク2から、第1プラズマリアクタ3に、アンモニアを供給する。
【0019】
第1アンモニア供給ライン10のアンモニア供給方向における上流側端部は、アンモニアタンク2に接続されている。第1アンモニア供給ライン10のアンモニア供給方向における下流側端部は、第1プラズマリアクタ3に接続されている。
【0020】
<分離膜>
分離膜4は、第1プラズマリアクタ3から供給されるアンモニアの残部、窒素および水素の混合物(以下、アンモニア含有混合物と称する場合がある。)から、アンモニアの残部を分離する。分離膜4としては、アンモニアを分離できる膜であれば、特に限定されず、例えば、ゼオライト膜が挙げられる。
【0021】
<アンモニア含有混合物供給ライン>
アンモニア含有混合物供給ライン11は、第1プラズマリアクタ3から、分離膜4に、アンモニア含有混合物を供給する。
【0022】
アンモニア含有混合物供給ライン11のアンモニア含有混合物供給方向における上流側端部は、第1プラズマリアクタ3に接続されている。アンモニア含有混合物供給ライン11のアンモニア含有混合物供給方向における下流側端部は、分離膜4に接続されている。
【0023】
<第1アンモニア不含混合物供給ライン>
第1アンモニア不含混合物供給ライン12は、分離膜4から、燃料電池100に、分離膜4によって分離された窒素および水素の混合物(以下、アンモニア不含混合物と称する場合がある。)を供給する。
【0024】
第1アンモニア不含混合物供給ライン12のアンモニア不含混合物供給方向における上流側端部は、分離膜4に接続されている。第1アンモニア不含混合物供給ライン12のアンモニア不含混合物供給方向における下流側端部は、燃料電池100に接続されている。
【0025】
<レギュレータ>
レギュレータ13は、分離膜4に対して、圧力を加えることによって、分離膜4の分離性能を向上させるための弁であって、第1アンモニア不含混合物供給ライン12に介在されている。
【0026】
<第2プラズマリアクタ>
第2プラズマリアクタ5は、第1プラズマリアクタ3よりも消費電力が低い小型のプラズマリアクタである。
【0027】
第2プラズマリアクタ5は、分離膜4から供給されるアンモニアの残部を、窒素および水素に分解する。
【0028】
第2プラズマリアクタ5は、第1プラズマリアクタ3と同様に、ケーシング30と、複数の電極31とを備える。また、ケーシング30内には、触媒(例えば、白金触媒)を配置することもできる。
【0029】
<アンモニア残部供給ライン>
アンモニア残部供給ライン14は、分離膜4から、第2プラズマリアクタ5に、アンモニアの残部を供給する。
【0030】
アンモニア残部供給ライン14のアンモニア供給方向における上流側端部は、分離膜4に接続されている。アンモニア残部供給ライン14のアンモニア供給方向における下流側端部は、第2プラズマリアクタ5に接続されている。
【0031】
<第2アンモニア不含混合物供給ライン>
第2アンモニア不含混合物供給ライン15は、第2プラズマリアクタ5から、燃料電池100に、第2プラズマリアクタ5によって分解されたアンモニア不含混合物を供給する。
【0032】
第2アンモニア不含混合物供給ライン15のアンモニア不含混合物供給方向における上流側端部は、第2プラズマリアクタ5に接続されている。第2アンモニア不含混合物供給ライン15のアンモニア不含混合物供給方向における下流側端部は、燃料電池100に接続されている。
【0033】
<制御部>
制御部6は、燃料電池システム1における電気的な制御を実行するユニット(例えば、ECU:Electronic Control Unit)であり、演算処理部およびメモリなどを備えるマイクロコンピュータから構成されている。制御部6は、
図1において破線で示すように、第1プラズマリアクタ3と、第2プラズマリアクタ5と、レギュレータ13と、ポンプ(図示せず)とに接続されている。これにより、制御部6は、第1プラズマリアクタ3と、第2プラズマリアクタ5と、レギュレータ13と、ポンプ(図示せず)とを適宜制御している。
【0034】
<燃料電池>
燃料電池100としては、例えば、燃料電池自動車、および、家庭用燃料電池が挙げられる。
【0035】
燃料電池100には、分離膜4から供給されるアンモニア不含混合物、および、第2プラズマリアクタ5から供給されるアンモニア不含混合物が供給される。
【0036】
<燃料電池システムの動作>
燃料電池システム1の動作は、制御部6によって制御される。
【0037】
燃料電池システム1では、まず、第1プラズマリアクタ3において、アンモニアタンク2に貯留されたアンモニアを分解する。
【0038】
第1プラズマリアクタ3において、アンモニアタンク2に貯留されたアンモニアを分解するには、制御部6は、アンモニア供給ライン10に介在するポンプ(図示せず)を駆動する。これにより、アンモニアタンク2から、アンモニア供給ライン10を介して、第1プラズマリアクタ3に、アンモニアを供給する。
【0039】
第1プラズマリアクタ3に供給するアンモニアの流量は、例えば、1L/分以上、好ましくは、10L/分以上、また、例えば、50L/分以下、好ましくは、30L/分以下である。
【0040】
次いで、制御部6は、第1プラズマリアクタ3に電圧を印加する(第1プラズマリアクタ3において、プラズマを発生させる)。これにより、第1プラズマリアクタ3において、アンモニアを、窒素および水素に分解する。
【0041】
第1プラズマリアクタ3の出力電力は、例えば、200W以上、また、例えば、4000W以下である。
【0042】
第1プラズマリアクタ3は、第1プラズマリアクタ3を流れるアンモニアの全部のうち、一部を分解し、残部を分解しない。
【0043】
そして、アンモニアの残部を含むアンモニア含有混合物は、アンモニア含有混合物供給ライン11を介して、第1プラズマリアクタ3から分離膜4に供給される。
【0044】
分離膜4では、アンモニア含有混合物を、アンモニア不含混合物(窒素および水素の混合物)と、アンモニアの残部とに分離する。
【0045】
このとき、制御部6が、レギュレータ13を制御し、分離膜4に対して、圧力を加えることによって、ポンプによらず、上記分離を実施できる。
【0046】
分離されたアンモニア不含混合物は、第1アンモニア不含混合物供給ライン12を介して、分離膜4から燃料電池100に供給される。
【0047】
一方、分離されたアンモニアの残部は、分離膜4から、アンモニア残部供給ライン14を介して、第2プラズマリアクタ5に、供給される。
【0048】
第2プラズマリアクタ5に供給するアンモニアの流量は、第1プラズマリアクタ3において、アンモニアの一部が分解されているため、第1プラズマリアクタ3に供給するアンモニアの流量よりも低くなる。詳しくは、第1プラズマリアクタ3によって、アンモニアの一部が分解され、分離膜4によって、アンモニア以外のガスが分離されるため、第2プラズマリアクタ5には、アンモニアの残部のみが供給される。そうすると、第2プラズマリアクタ5に供給するアンモニアの流量は、第1プラズマリアクタ3におけるアンモニアの全部の流量(混合ガスを用いる場合には、混合ガスの流量)から、アンモニアの一部の流量(混合ガスを用いる場合には、アンモニアの一部の流量およびアンモニア以外の気体の流量)を差し引いた流量となる。
【0049】
第2プラズマリアクタ5に供給するアンモニアの流量は、例えば、0.1L/分以上、好ましくは、1L/分未満である。
【0050】
次いで、制御部6は、第2プラズマリアクタ5に電圧を印加する(第2プラズマリアクタ5において、プラズマを発生させる)。これにより、第2プラズマリアクタ5において、アンモニアの残部を、窒素および水素に分解する。
【0051】
第2プラズマリアクタ5の出力電力は、上記した第1プラズマリアクタ3の出力電力よりも低く、例えば、20W以上、また、例えば、400W未満、好ましくは、200W未満である。
【0052】
その後、窒素および水素(アンモニア不含混合物)は、第2アンモニア不含混合物供給ライン15を介して、第2プラズマリアクタ5から、燃料電池100に供給される。
【0053】
<作用効果>
燃料電池システム1によれば、省電力化を図ることができる。
【0054】
詳しくは、第1プラズマリアクタ3は、アンモニアタンク2から供給されるアンモニアの一部を、窒素および水素に分解する。次いで、分離膜4は、アンモニアの残部(第1プラズマリアクタ3において未分解のアンモニア)を分離する。そして、第2プラズマリアクタ5は、分離膜4から供給されるアンモニアの残部を、窒素および水素に分解する。このとき、第2プラズマリアクタ5におけるアンモニアの残部の流量は、第1プラズマリアクタ3におけるアンモニアの全部の流量(混合ガスを用いる場合には、混合ガスの流量)から、アンモニアの一部の流量(混合ガスを用いる場合には、アンモニアの一部の流量およびアンモニア以外の気体の流量)を差し引いた流量となるため、第1プラズマリアクタ3におけるアンモニアの流量よりも低くなる。そのため、第2プラズマリアクタ5において、アンモニアの残部の滞留時間が長くなる。そうすると、第2プラズマリアクタ5は、第1プラズマリアクタ3よりも、低い電力でアンモニアの残部を分解できる。その結果、省電力化を図ることができる。詳しくは、第1プラズマリアクタ3を用いて、アンモニアの一部を分解するとともに、第2プラズマリアクタ5を用いて、アンモニアの残部を分解する場合における第1プラズマリアクタ3の出力電力および第2プラズマリアクタ5の出力電力は、第1プラズマリアクタ3のみを用いて、アンモニアのすべてを分解する場合における第1プラズマリアクタ3の出力電力よりも低くなる。そして、この燃料電池システム1によれば、分離膜4から供給されるアンモニア不含混合物、および、第2プラズマリアクタから供給されるアンモニア不含混合物は、燃料電池に供給される。
【0055】
また、この燃料電池システム1によれば、アンモニアのすべてを確実に分解できるため、未分解のアンモニアが、燃料電池100に供給されることを抑制できる。その結果、燃料電池100の劣化を抑制できる。
【0056】
次いで、燃料電池システム1によれば、省電力化を図る点について、より具体的な例を挙げて、詳述する。
【0057】
具体的には、この燃料電池システム1を用いて、まず、アンモニアタンク2から、第1プラズマリアクタ3に、アンモニアおよび窒素を含む混合ガス(具体的には、アンモニア10%および窒素90%の混合ガス)を、流量20L/分で、供給する。
【0058】
第1プラズマリアクタ3では、混合ガスにおけるアンモニアの一部が、窒素および水素に分解される。
【0059】
第1プラズマリアクタ3のアンモニア分解率(アンモニアの一部の量)と、出力電力との関係を
図2に関数Aとして示す。
【0060】
関数Aによれば、第1プラズマリアクタ3のアンモニア分解率が90%(アンモニアの全部に対するアンモニアの一部が90%)の場合には、出力電力は、3645Wとなる。
【0061】
そして、第1プラズマリアクタ3のアンモニア分解率が90%である場合において、アンモニアの残部は、アンモニアの全部に対して、10%である。
【0062】
このようなアンモニアの残部は、分離膜4によって、分離され、第2プラズマリアクタ5に供給される。
【0063】
このとき、第2プラズマリアクタ5におけるアンモニアの残部の流量は、第1プラズマリアクタ3における混合ガスの流量20L/分から、アンモニアの一部の流量(1.8L/分)および窒素の流量(18L/分)を差し引いた0.2L/分となる。
【0064】
そして、流量が0.2L/分である場合において、第2プラズマリアクタ5のアンモニア分解率(アンモニアの残部の量)と、出力電力との関係を
図2に関数Bとして示す。
【0065】
関数Bによれば、アンモニアの残部のすべてを分解する(アンモニア分解率100%)場合には、出力電力は、198Wとなる。
【0066】
以上より、第1プラズマリアクタ3のアンモニア分解率が90%である場合には、第1プラズマリアクタ3の出力電力が3645Wであり、第2プラズマリアクタ5の出力電力が198Wである。つまり、第1プラズマリアクタ3の出力電力および第2プラズマリアクタ5の出力電力の総量が、3943Wであるとわかる。
【0067】
一方、関数Aによれば、第1プラズマリアクタ3のみを用いて、アンモニアのすべてを分解する場合には、第1プラズマリアクタ3の出力電力が、4050Wであるとわかる。この電力は、第1プラズマリアクタ3のアンモニア分解率が90%である場合の電力と比べて、高いとわかる。
【0068】
このことから、第1プラズマリアクタ3を用いて、アンモニアの一部を分解するとともに、第2プラズマリアクタ5を用いて、アンモニアの残部を分解すれば、省電力化を図ることができるとわかる。
【符号の説明】
【0069】
1 燃料電池システム
2 アンモニアタンク
3 第1プラズマリアクタ
4 分離膜
5 第2プラズマリアクタ
100 燃料電池