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  • 特開-車両用サイドミラー制御装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024082778
(43)【公開日】2024-06-20
(54)【発明の名称】車両用サイドミラー制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/072 20060101AFI20240613BHJP
   B60R 1/06 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
B60R1/072
B60R1/06 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196875
(22)【出願日】2022-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永江 元
(72)【発明者】
【氏名】加藤 久貴
【テーマコード(参考)】
3D053
【Fターム(参考)】
3D053FF03
3D053GG06
3D053MM01
3D053MM21
3D053MM28
3D053MM35
3D053MM37
3D053MM49
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自車線と他車線との交差角の大小に関係なく、運転者がサイドミラーを使用して他車線を視認し、他車両の有無などを確認することができるよう改良されたサイドミラー制御装置を提供する。
【解決手段】ミラーの鏡面の向きを調節可能なサイドミラーと、調節装置の制御により鏡面の向きを制御するサイドミラーECUと、を含み、ECUは、周囲情報取得装置により取得された情報に基づいて、自車線と他車線との合流点が車両の前方に存在する状況において(S10)、車両が自車線から他車線へ車線変更する情報を取得すると(S20)、周囲情報取得装置により取得された情報に基づいて特定される自車線と他車線との交差角αに基づいて調節装置を制御することにより、運転者がサイドミラーを使用して他車線を視認し得るように鏡面の向きを制御する(S50)サイドミラー制御装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調節装置によりミラーの鏡面の向きを調節可能なサイドミラーと、前記調節装置を制御することにより前記鏡面の向きを制御するよう構成された制御ユニットと、を含む車両用サイドミラー制御装置において、
前記サイドミラー制御装置は、更に車両の周囲の情報を取得する周囲情報取得装置を含み、前記制御ユニットは、前記周囲情報取得装置により取得された情報に基づいて、自車線と他車線とが合流する合流点が車両の前方に存在すると判定している状況において、車両が前記自車線から前記他車線へ車線変更する情報を取得すると、前記周囲情報取得装置により取得された情報に基づいて、前記自車線と前記他車線とがなす交差角を特定し、前記交差角に基づいて前記調節装置を制御することにより、運転者が前記サイドミラーを使用して前記他車線を視認し得るように前記鏡面の向きを制御するよう構成された、車両用サイドミラー制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの車両のためのサイドミラー制御装置に係る。
【背景技術】
【0002】
例えば下記の特許文献1に記載されているように、車線変更すべく方向指示器が作動されると、車線変更先の車線が見易くなるよう、予め設定された変更角度だけサイドミラーのミラーの鏡面の向きを車両から離れる方向へ変更するサイドミラー制御装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-195104号公報
【発明の概要】
【0004】
上記特許文献1に記載されたサイドミラー制御装置のような従来のサイドミラー制御装置においては、ミラーの鏡面の向きの変更角度が一定である。そのため、車両が走行する車線(「自車線」という)と他の車両が走行する車線(「他車線」という)とが交差角をなして合流する合流点において車線変更する場合には、ミラーの鏡面の向きが変更されても、運転者がサイドミラーを使用して他車線を視認できないことがある。
【0005】
自車線と他車線との交差角に比して、予め設定された変更角度が小さい場合には、車両が交差点に到達する前の段階においては、運転者がサイドミラーを使用して他車線を視認することができない。逆に、予め設定された変更角度が大きく且つ交差角が小さい場合には、予め設定された変更角度が交差角に比して過大になる。
【0006】
本発明は、自車線と他車線との交差角の大小に関係なく、運転がサイドミラーを使用して他車線を視認し、他車両の有無などを確認することができるよう改良されたサイドミラー制御装置を提供する。
【0007】
本発明によれば、調節装置(14R、14L)によりミラー(18R、18L)の鏡面の向きを調節可能なサイドミラー(12R、12L)と、調節装置を制御することにより鏡面の向きを制御するよう構成された制御ユニット(サイドミラーECU10)と、を含む車両用サイドミラー制御装置(100)が提供される。
【0008】
サイドミラー制御装置(100)は、更に車両の周囲の情報を取得する周囲情報取得装置(物標情報取得装置26、ナビゲーション装置50)を含み、制御ユニット(サイドミラーECU10)は、周囲情報取得装置により取得された情報に基づいて、自車線(60)と他車線(62)とが合流する合流点(64)が車両の前方に存在すると判定している状況において(S10)、車両が自車線から他車線へ車線変更する情報を取得すると(S20)、周囲情報取得装置により取得された情報に基づいて、自車線と他車線とがなす交差角(α)を特定し(S30)、交差角に基づいて調節装置を制御することにより、運転者がサイドミラーを使用して他車線を視認し得るように鏡面の向きを制御する(S50)よう構成される。
【0009】
上記の構成によれば、ミラーの鏡面の向きが車両から離れる方向へ変更されるが、その際の変更角度は交差角に基づいて可変設定される。よって、交差角の大小に関係なく、運転者はサイドミラーを使用して他車線を視認し、他車両の有無などを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態にかかるサイドミラー制御装置を示す図である。
図2】実施形態のサイドミラー制御制御ルーチンを示すフローチャートである。
図3】車両が合流点において車線変更する場合について、従来のサイドミラー制御装置(A)及び実施形態(B)の作動を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付の図を参照して、本発明の実施形態にかかるサイドミラー制御装置について詳細に説明する。
【0012】
<構成>
図1に示されているように、本発明の実施形態にかかるサイドミラー制御装置100は、車両102に適用され、サイドミラーECU10を含んでいる。車両102は、運転支援ECU20、メータECU30及びステアリングECU40を備えている。ECUは、マイクロコンピュータを主要部として備える電子制御装置(Electronic Control Unit)を意味する。なお、以下の説明においては、車両102は、他車両と区別するために、必要に応じて自車両102と呼称される。
【0013】
各ECUのマイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、読み書き可能な不揮発性メモリ(N/M)及びインターフェース(I/F)などを含んでいる。CPUは、ROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現する。更に、これらのECUは、CAN(Controller Area Network)104を介してデータ交換可能(通信可能)に互いに接続されている。従って、特定のECUに接続されたセンサ(スイッチを含む)の検出値などは、他のECUにも送信されるようになっている。
【0014】
サイドミラーECU10には、右側及び左側のサイドミラー12R及び12Lの調節装置14R及び14Lと、調節スイッチ16とが接続されている。調節装置14R及び14Lは、それぞれミラー18R及び18Lを上下方向の軸線の周りに駆動することにより、ミラーの鏡面が車両102の基準方向、例えば車両の横方向に対する角度を調節するようになっている。また、調節装置14R及び14Lは、それぞれミラー18R及び18Lを水平方向の軸線の周りに駆動することにより、ミラーの鏡面が上下方向に対する角度を調節するようになっている。
【0015】
調節装置14R及び14Lは、当技術分野において公知の任意の構成の調節装置であってよい。調節装置14R及び14Lは、調節スイッチ16の操作に応動して、ミラー18R及び18Lを駆動し、また調節スイッチ16が操作されなくてもサイドミラーECU10の制御によってもミラー18R及び18Lを駆動する。
【0016】
運転支援ECU20は、車線逸脱防止制御、追従車間距離制御などの運転支援制御を行う中枢の制御装置である。実施形態においては、後に詳細に説明するように、サイドミラーECU10は、運転支援ECU20と共働して、車両102が車線の合流点を走行する際にミラーの鏡面の角度を制御する。
【0017】
運転支援ECU20には、カメラセンサ22及びレーダセンサ24が接続されている。カメラセンサ22は、前方、後方、右側方及び左側方を撮影する4個のカメラセンサを含んでいるが、4個に限定されない。レーダセンサ24は、前方の領域、右前方の領域、左前方の領域、右後方の領域及び左後方の領域に存在する立体物の物標情報を取得する5個のレーダセンサを含んでいるが、5個に限定されない。カメラセンサ22及びレーダセンサ24は、自車両102の周囲の物標情報を取得する物標情報取得装置26として機能する。
【0018】
カメラセンサ22の各カメラセンサは、図には示されていないが、車両102の周囲を撮影するカメラ部と、カメラ部によって撮影して得られた画像データを解析して道路の白線、他車両などの物標を認識する認識部とを備えている。認識部は、認識した物標に関する情報を所定時間の経過毎に運転支援ECU20に供給する。
【0019】
レーダセンサ24の各レーダセンサは、レーダ送受信部及び信号処理部(図示せず)を備えている。レーダ送受信部は、ミリ波帯の電波(以下、「ミリ波」と称呼する)を放射し、放射範囲内に存在する立体物(例えば、他車両、自転車など)によって反射されたミリ波(即ち、反射波)を受信する。信号処理部は、送信したミリ波と受信した反射波との位相差、反射波の減衰レベル及びミリ波を送信してから反射波を受信するまでの時間などに基づいて、自車両と立体物との距離、自車両と立体物との相対速度、自車両に対する立体物の相対位置(方向)などを表す情報を所定時間の経過毎に取得して運転支援ECU20に供給する。なお、レーダセンサ24に代えて、又はレーダセンサ24に加えて、LiDAR(Light Detection And Ranging)が使用されてもよい。
【0020】
更に、運転支援ECU20には、設定操作器28が接続されており、設定操作器28は、運転者により操作される位置に設けられている。図1には示されていないが、設定操作器28は、運転支援制御に必要な各種のスイッチを含んでいる。
【0021】
メータECU30には、右側及び左側のウインカランプ32R及び32Lが接続されている。右側ウインカランプ32Rは、車両102の前端及び後端の右側の角部に設けられ、左側のウインカランプ32Lは、車両102の前端及び後端の左側の角部に設けられている。
【0022】
ステアリングECU40には、ステアリングコラム(図示せず)に設けられたウインカレバー42が接続されている。ウインカレバー42は、右折方向及び左折方向に対応する上下方向へ傾動されると、そのことを示す信号がステアリングECU40からメータECU30へ供給され、これによりそれぞれ右側及び左側のウインカランプ32R及び32Lが点滅される。
【0023】
CAN104には、ナビゲーション装置50も接続されている。ナビゲーション装置50は、車両102の位置を検出するGPS受信機と、地図情報及び道路情報を記憶する記憶装置と、地図情報及び道路情報の最新情報を外部から取得する通信装置とを備えている。道路情報には、一般道路の交差点、分岐点、合流点などの情報が含まれており、高速道路のような自動車専用道路のインターチェンジ、ジャンクション(分岐点、合流点)、サービスエリア、パーキングエリアなどの情報が含まれている。
【0024】
ナビゲーション装置50は、地図上における車両の位置及び進行方向などの情報に加えて、道路情報もサイドミラーECU10及び運転支援ECU20に出力する。以上の説明から解るように、実施形態においては、物標情報取得装置16及びナビゲーション装置50は、車両102の周囲の道路などの情報を取得する周囲情報取得装置として機能する。
【0025】
<実施形態におけるサイドミラー制御ルーチン>
次に、図2に示されたフローチャートを参照して実施形態におけるサイドミラー制御ルーチンについて説明する。図2に示されたフローチャートによるサイドミラー制御は、図1には示されていないイグニッションスイッチがオンであるときにサイドミラーECU10のCPUにより実行される。
【0026】
まず、ステップS10においては、CPUは、周囲情報取得装置により取得された情報に基づいて、自車線と他車線とが交差角をなして合流する合流点が車両102の前方に存在するか否かを判定する。CPUは、否定判定をしたときには、本制御を一旦終了し、肯定判定をしたときには、本制御をステップS20へ進める。この場合、合流点が、自車線と他車線とが合流する合流点であるが、自車線が他車線と平行をなす助走区間がある合流点である場合には、このステップにおいて否定判定が行われる。
【0027】
ステップS20においては、CPUは、周囲情報取得装置により取得された情報に基づいて、車両102が自車線から他車線へ車線変更する情報があるか否かを判定する。CPUは、否定判定をしたときには、本制御を一旦終了し、肯定判定をしたときには、本制御をステップS30へ進める。
【0028】
この場合、下記の(1)及び(2)の何れかであるときに、このステップにおいて肯定判定が行われる。
(1)メータECU30からの情報に基づいて、他車線の側のウインカランプ32R又は32Lが点滅していると判定された。
(2)周囲情報取得装置により取得された情報に基づいて、自車線が合流点において消滅すると判定された。
【0029】
ステップS30においては、CPUは、周囲情報取得装置により取得された情報に基づいて、自車線60と他車線62とがなす交差角αを特定する(図3参照)。
【0030】
ステップS40においては、CPUは、周囲情報取得装置により取得された情報に基づいて、自車線60及び他車線62の合流開始点P0から車両102の基準位置Pv、例えば重心までの距離Lを推定する(図3(B)参照)。
【0031】
ステップS50においては、CPUは、運転者がサイドミラー12R又は12Lを使用して他車線を視認し得るよう、他車線の側の調節装置14R又は14Lを制御することにより、対応するミラー18R又は18Lの鏡面の向きを車両102から離れる方向へ変更する。この場合、交差角αが大きいほど、鏡面の向きの変更角度が大きくなり、距離Lが大きいほど、鏡面の向きの変更角度が小さくなるよう、変更角度は交差角α及び距離Lに基づいて可変設定される。
【0032】
なお、このステップ50及び後述のステップS70において、ミラー18R又は18Lの鏡面の角度の変化が過剰にならないよう、鏡面の角度の調節は所定の時間をかけて行なわれる。
【0033】
ステップS60においては、CPUは、ミラー18R又は18Lの鏡面の向きを元の向き(ステップS20において肯定判定が行われる前の向き)へ復帰させる復帰条件が成立しているか否かを判定する。CPUは、否定判定をしたときには、本制御をステップS50へ戻し、肯定判定をしたときには、本制御をステップS70へ進める。
【0034】
この場合、下記の(3)乃至(6)の何れかであるときに、このステップにおいて肯定判定が行われる。
(3)メータECU30からの情報に基づいて、点滅していたウインカランプ32R又は32Lが消灯したと判定された。
(4)周囲情報取得装置により取得された情報に基づいて、車両102の主要部が他車線へ移動したと判定された。
(5)メータECU30からの情報に基づいて、他車線の側のウインカランプ32R又は32Lの点滅が開始されてから基準時間以上の時間が経過したと判定された。
(6)周囲情報取得装置により取得された情報に基づいて、距離Lが基準距離(正の定数)以上になったと判定された。
【0035】
ステップS70においては、CPUは、調節装置14R又は14Lへ指令信号を出力することにより、ミラー18R又は18Lの鏡面の向きを元の向きに復帰させる。
【0036】
以上の説明から解るように、車両102の前方に自車線と他車線とが交差角をなして合流する合流点が存在する状況になると、ステップS10において肯定判定が行われ、車両102が自車線から他車線へ車線変更する情報があると、ステップS20において肯定判定が行われる。ステップS30において、自車線と他車線とがなす交差角αが特定され、ステップS40において、自車線60及び他車線62の合流開始点P0から車両102の基準位置までの距離Lが推定される。
【0037】
ステップS50において、交差角α及び距離Lに基づいて、運転者がサイドミラー12R又は12Lを使用して他車線を視認し得るよう調節装置14R又は14Lを制御することにより、対応するミラー18R又は18Lの鏡面の向きが変更される。復帰条件が成立すると、ステップS60において肯定判定が行われ、ステップS70において、ミラー18R又は18Lの鏡面の向きが元の向きに戻される。
【0038】
次に、図3を参照して、従来のサイドミラー制御装置の問題点及び実施形態の作動について説明する。なお、図3において、S1は車両102がウインカランプを点滅させることなく自車線60を走行している状況を示し、S2は車両102がウインカランプを点滅させながら自車線60を走行している状況を示している。S3は車両102がウインカランプを点滅させながら自車線60から他車線62へ移動する状況を示し、S4は車両102がウインカランプを消灯して他車線62を走行している状況を示している。
【0039】
<従来のサイドミラー制御装置の問題点>
図3(A)に示された従来のサイドミラー制御装置の場合には、左側のウインカランプ32Lが点滅される状況(S2)になると、左側のサイドミラー12Lのミラー18Lの鏡面の向きが予め設定された変更角度だけ車両102から離れる方向へ変更される。
【0040】
しかし、図3(A)に示されているように自車線60と他車線62とがなす交差角αに比して、予め設定された変更角度が小さい場合には、車両102が交差点64に到達する前の段階においては、運転者がサイドミラーを使用して他車線を視認することができない。逆に、予め設定された変更角度が大きく且つ交差角αが小さい場合には、予め設定された変更角度が交差角αに比して過大になる。
【0041】
<実施形態の作動>
実施形態によれば、図3(B)に示されているように、S2の状況になると、ミラー18Lの鏡面の向きが車両102から離れる方向へ変更されるが、その際の変更角度は交差角α及び距離Lに基づいて、可変設定される。よって、交差角αの大小に関係なく、運転者はサイドミラーを使用して他車線62を視認し、他車両66の有無などを確認することができる。
【0042】
また、ミラーの鏡面の向きが交差角αのみに基づいて車両102から離れる方向へ変更される場合には、例えば図3(B)の状況S3について仮想線にて示されているように、距離Lが増大するにつれて、鏡面の向きの変更角度が過大になる。よって、運転者がサイドミラーを使用して他車線62を走行する他車両66を良好に視認することができなくなる。
【0043】
これに対し、実施形態によれば、鏡面の向きの変更角度は、交差角αのみに基づいて決定されるのではなく、距離Lにも基づいて可変設定される。そして、鏡面の向きの変更角度は、距離Lが大きいほど小さくなるよう決定される。従って、状況S3のように車両102が合流開始点P0を通過し、距離Lが増大する過程において、鏡面の向きの変更角度が過大になることを防止し、運転者がサイドミラーを使用して他車線62を走行する他車両66を良好に視認することができなくなる虞を低減することができる。
【0044】
更に、距離Lが増大するにつれて鏡面の向きの変更角度が徐々に減少する。よって、距離Lが増大するにつれて鏡面の向きの変更角度が徐々に減少しない場合に比して、復帰条件が成立したと判定されたときに、ステップS70において鏡面の向きを復帰させるために必要な復帰角度を小さくすることができる。
【0045】
以上においては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0046】
例えば、上述の実施形態においては、ステップS40において、距離Lが推定され、ステップS50において、ミラーの鏡面の向きが交差角α及び距離Lに基づいて車両102から離れる方向へ変更される。しかし、ステップS40が省略され、ステップS50において、ミラーの鏡面の向きが交差角αのみに基づいて変更されてもよい。
【0047】
また、上述の実施形態においては、距離Lが大きいほど、鏡面の向きの変更角度が小さくなるよう、変更角度は距離Lに基づいて可変設定される。しかし、変更角度の漸減は、車両102の基準位置Pvが合流開始点P0に到達する前から、例えばウインカランプの点滅が開始されてから所定の待機時間(正の定数)が経過した時点から開始されてもよい。
【0048】
また、図3に示された合流点においては、自車線60は他車線62との合流後にも消滅せずに存続する。しかし、合流点は、自車線60が他車線62との合流すると消滅する合流点であってもよく、その場合にも実施形態によれば、図3(B)の場合と同様に、運転者がサイドミラーを使用して他車線62をを良好に視認することができるよう、ミラーの鏡面の向きを変更することができる。
【符号の説明】
【0049】
10…ミラー制御ECU、12R,12L…サイドミラー、14R,14L…調節装置、18R,18L…ミラー、20…運転支援ECU、22…カメラセンサ、24…レーダセンサ、26…物標情報取得装置、30…メータECU、32R、32L…ウインカランプ、42…ウインカレバー、50…ナビゲーション装置、60…自車線、62…他車線、64…合流点、66…他車両、100…サイドミラー制御装置、102…自車両
図1
図2
図3